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審決分類 審判    A41C
管理番号 1180854
審判番号 無効2007-400006  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-24 
確定日 2008-06-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第3087144号実用新案「一体成型によるブラジャーの構造」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3087144号の請求項1ないし4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件登録実用新案第3087144号は、平成14年1月8日(パリ条約による優先権主張平成13年1月10日、台湾)に出願され、平成14年4月24日に設定登録がなされたものである。
これに対し、レジーナ・ミラクル・インターナショナル・リミテッド(以下、「請求人」という。)より、平成17年11月11日付けで無効審判(無効2005-40009号)が請求され、平成18年8月29日に、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決がなされた。
請求人はこれを不服として、知的財産高等裁判所に審決の取消を求める出訴(平成18年(行ヶ)10428号)を提起し、同裁判所は、平成19年5月31日に、「特許庁が無効2005-40009号について平成18年8月29日にした審決を取り消す。」と判決し、この判決は確定し、本件無効審判が特許庁に差し戻された。
一方、平成19年8月24日付けで、請求人より、本件無効審判が請求され、平成19年11月1日付けで、被請求人に本件審判請求書の副本を送達し、期間を指定して答弁を求めたが、期間を経過しても、被請求人からは何らの応答もなされなかった。

第2 本件登録考案
本件登録考案の請求項1ないし4に係る考案(以下それぞれ「本件登録考案1ないし4」という。)は、登録時の明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
[A]外カップ層、内綿層、定型管、肩紐、背フックより構成される一体成型によるブラジャーの構造において、
[B]一体成型されており、且つカップ部と背帯とを含む該外カップ層と、
[C]一体成型であり、該外カップ層の外形に対応しており、カップ部及び背帯を含む該内綿層と、
[D]該外カップ層と該内綿層との間のカップ部内側下縁に設けられている該定型管と、を含み、
[E]高温でプレスされて一体成型された該外カップ層と内綿層とが緊密に貼合されていることを特徴とする一体成型によるブラジャーの構造。
【請求項2】
[F]該外カップ層と内綿層の間のカップ部内側にはパットが設置されて胸部の張り出た感覚が強調されることを特徴とする請求項1記載の一体成型によるブラジャーの構造。
【請求項3】
[G]高温によりプレスを経た後、該定型管個所の外カップ層及び内綿層間にはまだ貼合されていない欠け口が残されて、ワイヤが装入される個所が提供され、該ワイヤが装入された後には同様に高温でプレスされて該欠け口が貼合されることを特徴とする請求項1記載の一体成型によるブラジャーの構造。
【請求項4】
[H]該型紐は高圧プレスによって該カップ部及び背帯一端上に貼合され、該背フックにおいては、高圧で背帯末端個所に貼合されていることを特徴とする請求項1記載の一体成型によるブラジャーの構造。」

なお、[A]?[H]は、審判請求書に沿った構成の分説であり、以下、「本件登録考案の1の構成[A]」等ということにする。

第3 審判請求人の主張
請求人は、審判請求書において、概略次のように主張している。
本件登録の請求項1ないし3に係る考案は、甲第15号証の6または甲第5号証の1に記載された考案、ならびに甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4のいずれかに記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により登録を受けることができないものであり、この実用新案登録は実用新案法第37条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
本件実用新案の請求項4に係る考案は、甲第15号証の6または甲第5号証の1に記載された考案、ならびに甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4のいずれかに記載された考案、ならびに甲第1号証に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、この実用新案登録は実用新案法第37条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
また、本件実用新案の請求項1に記載された考案は明確でなく、実用新案法第5条第6項第2号の規定に適合しないものであり、この実用新案登録は実用新案法第37条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
本件実用新案の請求項2ないし4に記載された考案は、請求項1と同様の理由により明確でなく、実用新案法第5条第6項第2号の規定に適合しないものであり、この実用新案登録は実用新案法第37条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
[証拠方法]
甲第1号証:特開平10-88405号公報写し
甲第2号証:特開2000-34604号公報写し
甲第4号証の1:実開昭54-54436号公報写し
甲第4号証の2:実開昭54-54437号公報写し
甲第4号証の3:登録実用新案第3023567号明細書写し
甲第4号証の4:米国特許第3114374号明細書写し及び同抄訳
甲第4号証の5:米国特許第5873768号明細書写し及び同抄訳
甲第5号証の1:実公昭53-3867号公報写し
(なお、審判請求書には、「実開昭53-3867号公報」と記載されて いるが、添付された甲第5号証の1からみて、「実公昭53-3867 号公報」の誤りであることは明白である。)
甲第15号証の6:特公昭39-18378号公報写し
甲第16号証の1:特開2000-273705号公報写し
甲第16号証の2:特許第2853091号明細書写し
甲第16号証の4:ドイツ実用新案公開DE29810765U1号明細 書及び同抄訳
(なお審判請求書には、「ドイツ特許DE29810765U1号公報」 と記載されているが、添付された甲第16号証の4からみて、「ドイツ 実用新案公開DE29810765U1号明細書」の誤りであることは 明白である。)
甲第27号証:無効審判(無効2005-40009号事件)の審決写し
甲第28号証:審決取消訴訟(知財高裁平成19年5月31日判決
平成18年(行ケ)第10428号)の判決写し
甲第29号証:特許・実用新案審査基準第II部第2章1.5.2
(特許庁編/発明協会、2001年3月30日)写し

第4 被請求人の主張
前述のとおり、平成19年10月25日付けで、被請求人に本件審判請求書の副本を送達し、答弁を求めたが、指定した期間内に被請求人からは何らの応答もなされなかった。

第5 当審の判断
1.引用刊行物
(1)甲第1号証(特開平10-88405号公報)について
甲第1号証には、図面とともに次のように記載されている。
(a)「肩ひも8は、サイド部分2と3の前上部領域にしてカップ4と5の上方部分9においては不動に固定されているが、背側部分10では調節要素11により形成されるバックル12で調節可能に支持されている。」(段落【0014】)
(b)「本発明によるブラジャーを製造するには、まず最初に両方のサイド部分2、3を製造する。それからこの両サイド部分を前中央部6で結合させ、最後に肩ひも8と留め具部分7をとりつける。」(段落【0018】)
(c)「通常伸縮性のある帯材からなる肩ひも8はかならず熱可塑的に溶融可能な繊維を含んでいるから、サイド部分2、3の対応する部分に重ねて、溶着継ぎ目25で互いに結合できる。背中側で肩ひも8を調節可能にとりつけるために、とりつけ部10に(図2B)、補強布を張りつけたサイド部分2、3の材料から舌片26を作り、この舌片を通し環27に通してから折り返す。舌片26は溶着継ぎ目25によりサイド部分2、3と溶着される。」
(段落【0021】)
(d)「背留め具の各部分も同じようなやり方でとりつける(図3)。背留め具7は、掛け側部分7aと受け側部分7bから成り立つ。掛け側部分7aは留め具頭部7cを、受け側部分7bは穴7dを有する。両留め具部分7a、7bはそれぞれ通し環7eにつながる。ここでも、サイド部分2、3の端は舌片28となり、溶着継ぎ目29でサイド部分2、3と溶着するために、それぞれ通し環7eを通して後ろに折り返される。」(段落【0022】)
以上を総合すれば、甲第1号証には、本件登録考案1の構成Hに対応して、次の事項が記載されているものと認められる。
「[H]肩ひも(8)がカップ(4、5)の上方部分(9)において溶着により固定され、肩ひも(8)の通し環(27)が、肩ひも(8)の方向に延びる部分(19)のとりつけ部(10)に溶着により固定され、背留め具(7)が溶着により固定されたブラジャーの構造。」

(2)甲第2号証(特開2000-34604号公報)について
甲第2号証には、図面とともに次のように記載されている。
(a)「ブラジャー1は、・・・表地15、パッド部材16?18、及び裏地20を重ねて三層に形成されるうち、表地15が、・・・一体形成されたものとなっている。・・・表地15として、少なくともカップ対応部位15a、好ましくはこれにカップ土台対応部位15b・・・も一含めて、複数の裁断片を継ぎ合わせた構造でないことが重要となっている。」(段落【0017】?【0018】)
(b)「このような表地15に対し、パッド部材16?18は、カップ2の肉厚内に内装されるもの(即ち、パッド部材16)と、カップ土台3の肉厚内に内装されるもの(即ち、パッド部材17)とが、互いに別部材により形成されている。」(段落【0020】)
(c)「パッド部材16とパッド部材17との結合、及び裏地20における裁断片25a?25cと裁断片25dとの接合を行うにあたり、これらの接合間へ下回りワイヤ6を挿通させるための袋生地27(図3参照)を配置し」(段落【0024】)。
(d)「袋生地27は、・・・裏地20の表側(表生地15との間)へ位置付けてもよい。・・・この袋生地27内へ下回りワイヤ6を挿入した・・・」(段落【0025】)
(e)「接合手段は・・・接着、テープ接合であっても良い。」(段落【0030】)
以上を総合すれば、甲第2号証には、本件登録考案1の構成A、D及びG並びにFに対応して、次の事項が記載されているものと認められる。
「A、D及びG:裏地(20)と表地(15)との間に、下回りワイヤ(6)を挿通させるための袋生地(27)を配置し、接着を含む接合手段により接合すること。」(段落【0024】、【0025】、図3)、及び
「F:表地(15)と裏地(20)との間にはパット部材(16)を設けること。」(段落【0017】、【0018】、【0020】、図2及び図3)

(3) 甲第5号証の1(実公昭53-3867号公報)について
甲第5号証の1には、図面とともに次のように記載されている。
(a)「従来のブラジャー等は膨出部を形成するため何枚もの生地を継ぎ合わせ・・・るなど多くの手数を必要としていた。」(第1欄23?26行)
(b)「本考案は通気性を完全に備えると共に、膨出部形成と同時に表裏生地を一体に接着し、かつ保形に優れたシームレスなブラジヤー等の胸部を整容するカツプを有する胸部整容被服を提供せんとするものである。」(第1欄31行?35行)
(c)「1は表裏一体の継目のない生地で、該生地1により第1図のブラジヤー・・・は形成されている。ところで生地1は第2図の実施例の場合は表地2と裏地3の間に熱可塑性樹脂よりなる網状物、毛状構造物、多数の孔4を穿設した多孔フィルム等の多孔性シート状物5よりなり表地1、多孔性シート状物5、裏地3を重ねたのち、加熱プレスにより3者を一体に接着すると共に膨出部6を成形し、同時に膨出部6以外の部分もシームレスに形成する。・・・膨出部6以外の部分としてはブラジャーの場合はカップ間から両脇に至る部分・・・である。」(第1欄最下行?第2欄17行)
(d)「表裏地の中間に熱可塑性樹脂の多孔性シート状物を介在させ、加熱プレスにより膨出部となるカップを成形するようにしているので、カップ部の表裏地は縫着することなしに表裏一体に接着される」(第3欄第3?8行)
(e)「合成繊維布帛よりなる表裏生地の間に熱可塑性樹脂の多孔性シートを介在させ、加熱プレスにより一体に接着すると同時に通気性を備えた膨出部となるカツプ部を成形してなる胸部を整容するカツプを有する胸部整容被服」(実用新案登録請求の範囲の欄)
(f)第1図には、膨出部6・カップ間及び両脇に至る部分が継ぎ目なく形成されたブラジャーが図示されている。

以上を総合すれば、甲第5号証の1には、次の考案(以下「甲第5号証の1考案」という。)が記載されているものと認められる。
「[A’]表地(2)、裏地(3)、肩紐、背フックより構成され、表裏生地が一体に接着されたシームレスなブラジャーの構造において、
[B]表地(2)は継目のない生地で、膨出部(6)よりなるカップと、その周囲部分とを含み、
[C]裏地(3)は継目のない生地で、膨出部(6)よりなるカップと、その周囲部分とを含み、
[E]表地(2)と裏地(3)が加熱プレスされて一体に接着されているブラジャーの構造。」
なお、A’?Eは、本件登録考案1の分説に沿って、対応する構成を分節したものである(以下同様)。

(4)甲第15号証の6(特公昭39-18378号公報)について
甲第15号証の6には、下記の記載事項、第1図及び第2図により、ブラジャー本体の幾多の分割を全廃し、全体が無縫着の一布片からなる内外2枚の布地を溶着かつ立体形成してなるブラジャーが開示されているものと認められる。
(a)「本発明に於ては、ブラジヤー本体の幾多の分割を全廃し、全体を無縫着の一布片からならしめることを以て、本発明の主眼とする。」(第1頁右欄4?6行)
(b)「・・・本発明にあっては、前記した布質の布地を2枚合わせとしたことを以て特徴とする。」(第1頁右欄21?22行)
(c)「2枚合わせとした本体の周縁は、布質が熱可塑性のものであるので、熔着して一体をなさしめてもよく又は縫着なさしめてもよい。」(第1頁右欄29?31行)
(d)「次にこの塗装のある布面の裏面からは、乳房状をなした突起状型を当てがい、表面からはこれに適合する凹面型をあてがい、両者又は一方の型を180?190℃に加熱に圧着をなさしめるものであることを特徴とする。これによつて扁平状布面であつた乳房布面も、熱可塑性であるので、型にならつて膨出しセツトされるので、弾性があり歪を生ずることがない椀状の突起が表面に向つて突出せしめられるに至るのである。」(第1頁右欄37?44行)
(e)「加熱圧着は、乳房部分の布面に対して行うものであるが、乳房布以外の布面に対しては、接着剤を使用しないで、単に加熱するだけで、布質が熱可塑性であるところから、セツトなさしめることが可能であつて、これによつて乳房布以外の布面にも弾性を与えるようにすることが可能である。この場合、乳房布部分の加熱圧着と、その余の部分の加熱セツトとを、一体をなす熱鈑によつて行い得るものである。」(第2頁左欄19行?27行)
(f)「本体には前記したように、縫着部分が全然ない」(第2頁左欄最終行?右欄2行)
(g)「完全に熔着され、且つセットせしめられているので、洗濯にも堪え得るものである。」(第2頁右欄21行?23行)
以上を総合すれば、甲第15号証の6には、次の考案(以下「甲第15号証の6考案」という。)が記載されているものと認められる。
「[A’]表面の布面の層、裏面の布面の層、肩紐、背フックより構成され、全体を無縫着の一布片で構成したブラジャーの構造において、
[B]表面の布面の層は一布片であり、且つ乳房部と胴脇布に相当する本体布面とを含んでおり、
[C]裏面の布面の層は一布片であり、輪郭が表面の布面の層と同じであり、乳房部と胴脇布に相当する本体布面とを含んでおり、
[E]2枚合わせとした本体の乳房布以外の布面については、熔着により一体をなさしめ、乳房部分の布面については、乳房状をなした突起状型を当てがい、表面からはこれに適合する凹面型をあてがい、加熱して圧着し、
[H’]肩紐の止め具が乳房部上側に取り付けられ、肩紐の一端が背帯の一端上に取り付けられており、本体に縫着部分をまったく有さないブラジャーの構造。」

(5)甲第16号証の1(特開2000-273705号公報)について
甲第16号証の1には、下記の記載事項、図1及び図2により、ワイヤーを装入した袋状のテープをカップ周縁部の表側カップ布と肌側カップ布の間に介在させる点が開示されているものと認められる。
また、外カップ層と内綿層との間のカップ部内側下縁に定型管が設けられている点、及び定型管にワイヤーが挿入可能とされている点が開示されている。
(a)「ワイヤーを取り付ける手段としてはワイヤーを袋状のテープ内に装入し、この袋状のテープをカップ周縁部の表側カップ布と肌側カップ布とによる複数枚の布の間に介在させて縫い付けるようにしたものが知られている」(段落【0002】第2文)
(b)「・・・4は各カップ1.1の下側周縁部に沿わせて施される保形材をあらわす。」(段落【0008】第1文)
「さらに保形材4は、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、あるいはゴムなどの柔軟性のある弾性材を加工して得られたところの、内部中空の軟質チューブ等が用いられる。」(段落【0009】第2文)
(c)「さらに軟質チューブ内に、カップの下縁に沿わせたワイヤーあるいは形状記憶合金バーを挿入するようにすると、保形力がより一層完全になる。 保形材4はカップ1の周縁部に縫い合わせてもよく、また予め形成された袋状部3内に装入し、さらにこの場合、予め形成された袋状部の開口部3aから装入するようにしてもよい。」(段落【0010】第2?3文)

以上を総合すれば、甲第16号証の1には、本件登録考案の構成A及びDに対応して、次の事項が記載されているものと認められる。
「[A]、[D]ワイヤーを袋状のテープに装入し、この袋状のテープをカップ周縁部の表側カップ布と肌側カップ布とによる複数枚の布の間に介在させること。」

(6)甲第16号証の2(特許第2853091号明細書)について
甲第16号証の2には、下記の記載事項、図1及び2により、外カップ層(表側カップ布)と内綿層(肌側カップ布)との間であってカップ部の下側周縁にワイヤーを封入する点が開示されているものと認められる。
「上記左右カップ本体11、11はそれぞれ、肌側カップ布15と表側カップ布16とを重ねあわせた形状で、これら肌側カップ布15と表側カップ布16の外周縁を縫着して一体としており、該縫着時に、下端縁に沿ってワイヤー20を封入したテープ19も同時に縫着して肌側カップ布15と表側カップ布16に間に内蔵している。」(段落【0016】、図1及び図3)

以上を総合すれば、甲第16号証の2には、本件登録考案1の構成A及びDに対応して、次の事項が記載されているものと認められる。
「[A]、[D]肌側カップ布(15)、表側カップ布(16)の間に、下端縁に沿ってワイヤー(20)を封入したテープ(19)を内蔵したブラジャー。」

(7)甲第16号証の4(ドイツ実用新案公開DE29810765U1号 明細書)について
甲第16号証の4は、内外のパターン部の間であって、カップ部の下部周縁にチャンネル内にワイヤを挿入する構成を開示しており、本件登録考案1の構成A及びDに対応して、次の事項が記載されているものと認められる。
「[A]、[D]ソーインチャンネル12は通常、いくつかの層に折り込まれた繊維材料からなり、その内部には、(図示されない)補強ワイヤの挿入のためのチャンネルが、周縁の長手方向の縫い目により形成されていること。」(3頁21?24行抄訳、図1、図3及び図6)

2.本件登録考案1について
(1)本件登録考案1の技術的意義
本件明細書の考案の詳細な説明の欄には、次のように記載されている。
(a)「【考案の属する技術分野】
本考案は一体成型によるブラジャーの構造に係り、特に高温によるプレスを施して一体成型されることより、低コストで外観が美しく、また着け心地の良いブラジャーの構造に関わる。」(段落【0001】)。
(b)「【従来の技術】
現在ブラジャーは女性にとって胸を包む機能だけでなく、胸の形がよく見えること、また着け心地の良さ等が追求されている。
図6に示すような公知構造のブラジャー50においては、二つのカップ51の下方に下側部52を縫い付け、該下側部52の両側には背帯53を縫い付け、該背帯53には背フック531を縫い付け、更に肩紐54を縫い付けてブラジャー50がほぼ完成する。
このように、それぞれのパーツを縫い合わせることにより、公知構造のブラジャー50は、カップが立体的で円弧形を描いていることから胸を綺麗に見せると同時に、胸を理想の位置までアップさせる効果を提供している。」(段落【0002】)。
(c)「【考案が解決しようとする課題】
しかし上述のような公知構造のブラジャーにおいては、それぞれのパーツを裁断してから、人手によって縫製されるのであり、縫製の過程においては左右の対称や位置などを注意深く縫い合わせなければならず、比較的難しい作業であることによりコストが必然的に高くなっている。またこのようなブラジャーの使用においては、縫い跡のために着け心地が悪かったり、糸がほつれ易くて寿命が短い等の欠点もある。
そこでこれらの欠点に鑑み、低コストで見た目に美しく、着け心地のよい本考案の一体成型によるブラジャーの構造を提供する。」(段落【0003)】。
(d)「【課題を解決するための手段】
カップ部及び背帯を含み一体成型で製造されている外カップ層と、カップ部と背帯とを含み形状が該外カップ層の外形に対応しており且つ一体成型で製造されている内綿層と、該外カップ層と内綿層との間のカップ部内側下縁個所に設けられた定型管、並びに背フックと一対の肩紐とより構成し、高温によりプレスを施して該外カップ層及び内面層を緊密に貼合し、該肩紐及び背フックを高圧でブラジャー上に貼合する。」(段落【0004】)。
(e)「【考案実施の形態】
図1、2に示すように、本考案は主に外カップ層11と内綿層12、定型管13、肩紐14及び背フック15より構成されている。
該外カップ層11は一体成型されており、カップ部111と背帯112を含み、該内綿層12は該外カップ層11の外形に対応するべく一体成型されており、カップ部121及び背帯122を含む。また該定型管13においてはゴム質の空洞管であり、該外カップ層11と内綿層12との間のカップ部111、121内側下縁個所に設けられている。更に該外カップ層11と内綿層12との間のカップ部111、121内側にはパット16が設けられ(図3、4参照)該カップ部111、121の突き出した感覚を強調している。
高温によるプレス処理が施されて、該外カップ層11と内綿層12が緊密に貼合し、該型紐14は高温によるプレス方式で該ブラジャー10のカップ部111、121及び背帯112、122の一端に貼合され、該背フック15は同様に高温によるプレスで該背帯112、122の末端個所に貼合される。」(段落【0005】)。
「図5に示すように、プレスを経て貼合された外カップ層11及び内綿層12の内、定型管13個所の外カップ層11及び内綿層12間には、貼合されていない欠け口131が残されており、ワイヤ132を装入する個所を提供しており、該ワイヤ132が装入された後の該欠け口131は更にプレスが施されて貼合され、該ワイヤ132が該欠け口13から出ないように加工される。」(段落【0006】)。
(f)「【考案の効果】
本考案によると、外カップ層及び内綿層は一体成型であるため、生産時には高温によるプレスで貼合させるだけでよく、公知構造のように複雑な縫製作業を行わなくともよいことで不良品の出る率が下がり、同時に人件費が省かれることからコストが下がり、また完成時には縫製の跡が見えなくて着け心地もよく、当然糸がほつれる心配もなく、見た目にも美しい製品が完成し、使用上の寿命も長くなり、更にゴム質の定型管を採用したことにより、ワイヤの硬い感触を好まない使用者にとって着け心地がよく、しかも該定型管にワイヤを装入して胸部を固定する機能を提供することもできるなど、多くの目的が一挙に達成された。」(段落【0007】)。

上記(a)?(f)の各記載によれば、従来、二つのカップ・下側部・背帯・肩紐等のパーツを縫い合わせてブラジャーを完成させていたが、左右の対称や位置などを注意深く縫い合わせる作業が比較的難しいためにコストが高くなり、また、縫い跡のために着け心地が悪かったり糸がほつれ易くて寿命が短い等の欠点があったところ、本件登録考案1は、これらの欠点に鑑み、低コストで見た目に美しく、着け心地のよいブラジャーの構造を提供する(段落【0001】?【0003】)もので、本件の請求項1に記載された構成を課題解決手段として(段落【0004】) 、生産時には、一体成型された外カップ層及び内綿層を高温によるプレスで貼合させるだけでよく、複雑な縫製作業を行わなくともよいことでコストが下がり、また完成時には縫製の跡が見えなくて着け心地もよく、当然糸がほつれる心配もなく、見た目にも美しい製品が完成し、使用上の寿命も長くなり、更にゴム質の定型管を採用すれば、ワイヤの硬い感触を好まない使用者にとって着け心地がよく、しかも該定型管にワイヤを装入して胸部を固定する機能を提供することもできるなどの効果を奏することをその技術的課題にしているものということができる。
したがって、本件登録考案1は、外カップ層の構造について、カップ部と背帯とが一体成型されたものであること、内綿層の構造について、カップ部と背帯とが外カップ層の外形に対応するように一体成型されたものであること、及び、これらの接合構造について、高温でプレスされて緊密に貼合されていることを要件としているから、「一体成型」については、各部材が複数の部材片に分かれるものではなく、左右等が「一体」であることを記載したものということができる。
しかし、本件の請求項1における「・・・を含み、高温でプレスされて一体成型された該外カップ層と内綿層とが緊密に貼合されていることを特徴とする」との文言は、一体成型された外カップ層と内綿層との接合構造が、高温でプレスされて緊密に貼合されていることを記載するにとどまり、これを超えて、外カップ層のカップ部が、高温プレスによる貼合の前にカップ状に成型されたものであるとか、内綿層が、貼合するだけでブラジャーとなる程度に外カップ層の外形に対応して成型されていることまで記載しているということはできず、「一体成型された外カップ層と内綿層」とが「高温でプレスされて緊密に貼合され」ることでブラジャーとなることまで記載していると解することはできないというべきである。
このことは「一体成型」の一般的な意味内容について「成型」とは、一般に「形を作ること。形成(広辞苑第5版)を意味するものであるから、本件登録考案1の「一体成型」もかかる一般的な語義と同様に「一体」のものとしての形を作ることを意味すると解されるに止まることからも裏付けられる。
また、本件明細書の「【考案の効果】本考案によると、外カップ層及び内綿層は一体成型であるため、生産時には高温によるプレスで貼合させるだけでよく、・・・見た目にも美しい製品が完成し(段落【0007】)との記載は、前記(f)(段落【0007】)の記載全体からみて、一体成型された外カップ層と内綿層とが高温プレスで貼合されることにより、従来必要とされた二つのカップ・下側部・背帯・肩紐等のパーツを縫い合わせる作業を不要としたことに基づく効果をいうものであることが明らかであるから、本件登録考案1が「一体成型された外カップ層と内綿層」とが「高温でプレスされて緊密に貼合され」ることでブラジャーとなることを記載していることの裏付けとなるものではない。
また、本件明細書には、左右の対称や位置などを注意深く縫い合わせる作業が比較的難しいためにコストが高くなることが従来技術の欠点として挙げられている(段落【0003】)。
しかし当該記載も「一体成型」の文言が、各部材が複数の部材片に分かれるものではなく左右等が「一体」であるという意味を有すると見ることと符合するとはいえるが、前記(c)(段落【0003】)の記載によれば、それを超えて、本件登録考案1が「一体成型された外カップ層と内綿層」とが「高温でプレスされて緊密に貼合され」ることでブラジャーとなることまで記載していることの裏付けとまでなるものとはいえない。
また、本件登録考案1の外カップ層が、貼合するだけでブラジャーとなる程度に、カップ部がカップ状に成型されていることについては、本件の請求項1にも、本件明細書の考案の詳細な説明にも何ら記載がなされていない。
かえって、図3をみると、外カップ層11のカップ部111、内綿層12のカップ部121がカップ状に成型された様子を示すものとはいえず、一見しただけでは、これらの部分は平面状にもみえるから、むしろ、貼合する際の高温プレスによってカップ状に成型されるものと解する余地もある。
また、図1をみると、内綿層12のカップ部121は、枠状部分の内側に形成された単なる空間のようにもみえることからすれば、外カップ層、内綿層の「カップ部」とは、カップとなることが予定される部分と解する余地もある。
したがって、本件の請求項1においては、外カップ層のカップ部が、高温プレスによる貼合の前にカップ状に成型されたものであるとか、内綿層が、「貼合するだけでブラジャーとなる程度に」外カップ層の外形に対応して成型されているということは、何ら特定されていないといわざるを得ず、本件登録考案1の各構成は、外カップ層の構造について、カップ部と背帯とが一体成型されたものであること、内綿層の構造について、カップ部と背帯とが外カップ層の外形に対応するように一体成型されたものであること、及び、これらの接合構造について、高温でプレスされて緊密に貼合されているものであることを特定するにとどまり、それ以上の事項は特定していないというほかない。
以上を前提に、本件登録考案1と、甲第第15号証の6考案及び甲第5号証の1考案のそれぞれとを対比判断する。

(2)本件登録考案1及甲第第15号証の6考案との対比・判断
(2-1)対比
(2-1-1)構成Aについて
本件登録考案1の構成Aは、「A.外カップ層、内綿層、定型管、肩紐、背フックより構成される一体成型によるブラジャーの構造において、」である。
これに対し、甲第15号証の6には、表面の布面の層、裏面の布面の層、肩紐、背フックより構成され、全体を無縫着の一布片からならしめたブラジャーが記載されている。(第1頁右欄4?6行、21?22行、29?31行、第1図及び第2図)
ここで、表面の布面の層は「外カップ層」と同様にブラジャーの表側にある層であり、裏面の布面の層は「内綿層」と同様にブラジャーの内側にある層である。
したがって、表面の布面の層は、裏面の布面の層は、それぞれ「外カップ層」、「内綿層」に相当する。
また、甲第15号証の6の第1図には、肩紐及び背フックと認められる部材が示されている。
また、甲第15号証の6のように、全体を無縫着の一布片からならしめたブラジャーの構造は、「一体成型」の一態様であるといえる。
したがって、本件登録考案1の構成Aについては、定型管を除くすべての構成が甲第15号証の6に記載されている。

(2-1-2)構成Bについて
本件登録考案1の構成Bは、「一体成型されており、且つカップ部と背帯とを含む該外カップ層と、」である。
これに対し、甲第15号証の6には、表面の布面の層が一布片であり、且つ乳房部と胴脇布に相当する本体布面とを含んでいることが記載されており(第1頁右欄4?6行、21?22行、29?31行、第1図及び第2図)、表面の布面の層が一布片であることは、「一体成型」の一態様であるといえる。
また、乳房部は「カップ部」に、胴脇布に相当する本体布面は「背帯」に、それぞれ相当する。
したがって、本件登録考案1の構成要件Bについては、そのすべてが甲第15号証の6に記載されている。

(2-1-3)構成Cについて
本件登録考案1の構成Cは、「一体成型であり、該外カップ層の外形に対応しており、カップ部及び背帯を含む該内綿層と、」である。
これに対し、甲第15号証の6には、裏面の布面の層は一布片であり、輪郭が表面の布面の層と同じであり、乳房部と胴脇布に相当する本体布面とを含んでいることが記載されている。(第1頁右欄4?6行、21?22行、29?31行、第2図)
ここで、裏面の布面の層が一布片であることは、(2-1-2)で検討したように「一体成型」の一態様であるといえ、乳房部は「カップ部」に、胴脇布に相当する本体布面は、「背帯」に相当する。
したがって、本件登録考案1の構成Cについては、そのすべてが甲第15号証の6に記載されている。

(2-1-4)構成Dについて
本件登録考案1の構成Dは、「該外カップ層と該内綿層との間のカップ部内側下縁に設けられている該定型管と、を含み、」である。
本件登録考案1と甲第15号証の6考案とでは、本件登録考案1が「定型管」を有しているのに対して、甲第15号証の6考案が「定型管」を有しているのか否か明確でない点で相違する。

(2-1-5)構成Eについて
本件登録考案1の構成Eは、「高温でプレスされて一体成型された該外カップ層と内綿層とが緊密に貼合されていることを特徴とする一体成型によるブラジャーの構造。」である。
これに対し、甲第15号証の6には、2枚合わせとした本体の乳房布以外の布面については、熔着により一体をなさしめ、乳房部分の布面については、乳房状をなした突起状型を当てがい、表面からはこれに適合する凹面型をあてがい、加熱して圧着をなさしめるブラジャーの構造が記載されている。(第1頁右欄21?22行、29?31行、37?44行、第2頁左欄19行?27行、第2図及び第3図)
ここで、乳房部分における加熱による圧着と、「高温でプレス」とは、呼び方の違いにすぎず、実質的な相違はない。
また、甲第15号証の6の第1頁右欄29?31行に「2枚合わせとした本体の周縁は、布質が熱可塑性のものであるので、熔着して一体をなさしめてもよく」と記載されており、また、第2頁左欄19?27行に「乳房布以外の布面に対しては、接着剤を使用しないで、単に加熱するだけで、布質が熱可塑性であるところから、セツトなさしめることが可能であつて」、「この場合、乳房布部分の加熱圧着と、その余の部分の加熱セツトとを、一体をなす熱鈑によつて行い得るものである」と記載されているように、本体周縁における熔着は、乳房布部分とともに加熱プレスにより行うことが可能である。
さらに、外カップ層と内綿層とが「緊密に貼合されていること」は、両層が高温でプレスされた結果として得られた状態を示しているにすぎず、これは甲第15号証の6における「完全に熔着」と同様である。
したがって、本件登録考案1の構成Eについては、そのすべてが甲第15号証の6に記載されているといえる。

(2-1-6)相違点及び一致点
以上の検討から、本件登録考案1と甲第15号証の6考案との一致点及び相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「[A’]外カップ層、内綿層、肩紐、背フックより構成される一体成型によるブラジャーの構造において、
[B]一体成型されており、且つカップ部と背帯とを含む該外カップ層と、
[C]一体成型であり、該外カップ層の外形に対応しており、カップ部及び背帯を含む該内綿層と、を含み、
[E]高温でプレスされて一体成型された該外カップ層と内綿層とが緊密に貼合されていることを特徴とする一体成型によるブラジャーの構造。」
〈相違点〉
本件登録考案1が「定型管」を有しているのに対して、甲第15号証の6考案が「定型管」を有しているか否か明確ではない点。

(2-1-7)相違点についての検討及び判断
本件考案明細書の段落【0007】には、「外カップ層及び内綿層は一体成型であるため、生産時には高温によるプレスで貼合させるだけでよく、公知構造のように複雑な縫製作業を行わなくともよいことで不良品の出る率が下がり、同時に人件費が省かれることからコストが下がり、また完成時には縫製の跡が見えなくて着け心地もよく、当然糸がほつれる心配もなく、見た目にも美しい製品が完成し、使用上の寿命も長くなり、更にゴム質の定型管を採用したことにより、ワイヤの硬い感触を好まない使用者にとって着け心地がよく、しかも該定型管にワイヤを装入して胸部を固定する機能を提供することもできるなど、多くの目的が一挙に達成された。」と記載されている。
しかしながら、胸部を固定する機能を提供するために、外カップ層と内綿層との間のカップ部内側下縁に「定型管」を設ける点は、下記(a)?(d)のとおり、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4に記載されている。
(a)甲第16号証の1
「発明の実施の形態」の欄には、保形材(4)をブラジャー下側周縁の袋状部(3)内に装入すること、保形材(4)に内部中空の軟質チューブを用いること、軟質チューブ内にワイヤーを挿入することが記載されている。(段落【0008】?【0010】、図1)
甲第16号証の1の「発明の効果」の欄を見ると、軟質チューブからなる保形材(4)により、外観性を整え、局所的な圧迫が少なくなることが記載されている。(段落【0012】)
このように軟質チューブからなる保形材(4)は、「定型管」に相当するものである。
一般に、「発明の実施の形態」の欄に記載の発明は、「従来の技術」の欄(段落【0002】)に記載された発明を改良したものである。
甲第16号証の1の「発明の実施の形態」に記載の発明は、従来技術における、ワイヤーに起因する問題点(窮屈感、肌当たり等)を解決するために、ワイヤーに代えて軟質チューブを採用したものである。( 段落【0003】)
したがって、「発明の実施の形態」の欄に記載の発明においては、ワイヤーに代えて軟質チューブを採用した部分以外については、従来技術のものと同じと考えるのが合理的である。
そして、「従来の技術」の欄をみると、表側カップ布と肌側カップ布とを有する一般的なブラジャー(特許第2853091号すなわち甲第16号証の2に類するもの)記載されているから、「発明の実施の形態」の欄に記載の発明においても、ブラジャーには表側カップ布と肌側カップ布とを有する一般的な構造のものが含まれると考えられる。そして、これらの表側カップ布および肌側カップ布は、本件登録考案1の「外カップ層」および「内綿層」にそれぞれ相当するものである。
また、「発明の実施の形態」の欄に記載の発明において、軟質チューブは、従来技術のワイヤーに代えて採用したものであるから、従来技術と同様に、表側カップ布と肌側カップ布との間に介在され得るものと考えられる。
なお、軟質チューブからなる保形材(4)を、複数枚の布の間に介在させることは甲第16号証の1及び甲第2号証に記載のとおり当業者にとって周知の技術であり、きわめて容易に採用し得ることである。
(b)甲第2号証
下回りワイヤ(6)を挿通させるための袋生地(27)を、裏地(20)の裏側だけでなく、裏地(20)と表地(15)との間に接合により位置付けてもよいこと、接合手段は接着でもよいことが記載されている。(段落【0024】、【0025】、【0030】)
また、袋生地(27)については、下回りワイヤ(6)の膨出向きを表側にすることにより、肌触りを良好にできることが記載されている。( 段落【0033】)
このように下回りワイヤ(6)が挿通される袋生地(27)は、「定型管」に相当するものである。
(c)甲第16号証の2
肌側カップ布(15)、表側カップ布(16)の間に、下端縁に沿ってワイヤー(20)を封入したテープ(19)を内蔵したブラジャーが記載されている。( 段落【0016】、図1及び図3)
このようにワイヤー(20)を封入したテープ(19)は、「定型管」に相当するものである。
(d)甲第16号証の4
「ソーインチャンネル12は通常、いくつかの層に折り込まれた繊維材料からなり、その内部には、(図示されない)補強ワイヤの挿入のためのチャンネルが、周縁の長手方向の縫い目により形成されている。」と記載されている。(3頁21?24行抄訳、図1、図3及び図6)
このように補強ワイヤを挿入するためのチャンネルは、「定型管」に相当するものである。
なお、本件明細書の 段落【0007】には「ゴム質の定型管を採用したことにより、ワイヤの硬い感触を好まない使用者にとって着け心地がよく」と記載されているが、仮に、本件考案に記載の「定型管」が付け心地のよさをねらってある程度軟質のものが想起されるとしても、例えば甲第2号証のように袋生地(27)も柔かい素材であり、かつ付け心地のよさを達成することは明らかである。
また、本件登録考案1の「定型管」における「定型」の持つ語感から、ある程度の硬さを持った筒状のものが想起されるとしても、甲第16号証の1の 段落【0009】、 【0010】に記載されているように、そのような部材は上述したように周知技術にすぎない。
ちなみに、ある程度の硬さを持った定型管は、甲第16号証の4のみならず、ブラジャーの技術分野において本件出願日前より周知技術である。
すなわち、
・甲第4号証の1(実開昭54-54436号公報)
請求項2には、「ワイヤーボーンを合成樹脂管材に挿入することにより該ワイヤーボーンの全表面を合成樹脂材で被覆してなることを特徴とする・・・ブラジャー」が記載されている。
第4、5図には、合成樹脂管(13)(定型管)がブラジャーの内外層の間のカップ部内側下縁に配置されている状態が図示されている。
・甲第4号証の2(実開昭54-54437号公報)
請求項2には、「硬化線1の両端部又は全体に可撓性パイプ2を被覆したことを特徴とする・・・整型体」が記載されている。
同請求項4には、可撓性パイプ2がゴムパイプで構成されることが記載されており、第1、3図には、可撓性パイプ2(定型管)がブラジャーの内外層の間のカップ部内側下縁に配置されている状態が図示されている。
・甲第4号証の3(登録実用新案第3023567号明細書)の請求項1には、「金属材ワイヤ4に樹脂チューブ5を被せた・・・ブラジャー用芯」が記載されている。
また第1?4図には、樹脂チューブ(5)(定型管)、及びこれがブラジャーの内外層の間のカップ部内側下縁に配置されている状態が図示されている。
要約書には、樹脂チューブは従来の芯体に比べて乳房に触れる感触がソフトであることが記載されている。
・甲第4号証の4(米国特許第3114374号明細書)
「全長に亘り均一な断面を有し、機械によって曲げられ切断されるワイヤ10は、樹脂管12に挿入される。管12はナイロン又はポリプロピレンから製造することができる。」(第1欄第53?57行抄訳)と記載されており、また、「ブラジャーのステーは衣類に挿入される準備ができたところである。」(第2欄第15?16行抄訳)と記載されている。
また「保護されたワイヤは、必要な心地よいサポートを与え、」(第2欄37?39行抄訳)と記載されている。
また第1?4図には、樹脂管(12)(定型管)、及びその各種の変形例が記載されている。
・甲第4号証の5(米国特許第5873768号明細書)
「支持ワイヤ22は、着用者の活動中に乳房へのサポートの提供を支援する、可撓性ある金属線、又は重合体の管とすることができる。・・・重合体はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、又はポリ塩化ビニル、もしくはこれに類するものとすることができ、・・・。重合体の管は中空又は中実とすることができる。」(第6欄第6?16行抄訳)と記載されている。
また第1、3図には、支持ワイヤ(22)がブラジャーのカップ部内側下縁に設けられている状態が図示されている。

上記(a)ないし(d)に挙げた、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4に記載された定型管に係る技術、すなわち外カップ層と内綿層との間のカップ部内側下縁に定型管を設ける点は、ブラジャーに係るものであって、甲第15号証の6考案と技術分野を共通にする。
またその目的ないし解決課題は、付け心地のよさ、及び胸部を固定するブラジャー機能の提供であって、甲第15号証の6考案においても、当然に採用すべきものであって、当業者が格別の困難を伴うことなく、適宜採用し得ることである。

(2-1-8)まとめ
以上の検討から明らかなように、本件登録考案1は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術を、甲第15号証の6考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案1を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(2-2)本件登録考案2について
構成AないしEについては既に検討したので、本件登録考案2の構成F:「該外カップ層と内綿層の間のカップ部内側にはパットが設置されて胸部の張り出た感覚が強調される」点について検討すると、甲第2号証においても、表地(15)と裏地(20)との間にパッド部材(16)を介在させている(段落【0017】、【0018】、【0020】、【0026】、図2及び図3)。
胸部の張り出た感覚を強調するためパッドを使用すること、及び当該パッドを表地と裏地との間に介在させることは、ブラジャーの機能からみても、周知ないし慣用技術であり、甲第15号証の6考案に甲第2号証のパッドを組み合わせることを妨げる特段の事情も見当たらないから、本件登録考案2は、甲第2号証のパッドを、甲第15号証の6考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
したがって、本件登録考案2は、甲第2号証のパッド、並びに甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術を、甲第15号証の6考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案2を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(2-3)本件登録考案3について
構成AないしEについては既に検討したので、本件登録考案3の構成G:「高温によりプレスを経た後、該定型管個所の外カップ層及び内綿層間にはまだ貼合されていない欠け口が残されて、ワイヤが装入される個所が提供され、該ワイヤが装入された後には同様に高温でプレスされて該欠け口が貼合される」点について検討する。
ここで、本件登録考案3の構成Gをさらに分説すると、
[G1]高温によりプレスを経た後、
[G2]該定型管個所の外カップ層及び内綿層間にはまだ貼合されていない欠け口が残されて、
[G3]ワイヤが装入される個所が提供され、
[G4]該ワイヤが装入された後には同様に高温でプレスされて該欠け口が貼合される
となり、構成Gは、手順に相当するG1ないしG4を時系列的に記載したものに相当する。
実用新案法第1条に、「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」と規定されていることからみて、構成Gは、時系列的な手順に関わりなく、定型管個所の外カップ層及び内綿層間に、欠け口を通してワイヤが挿入配置されていること、そして、その欠け口が高温でプレスされて貼合されるという、ブラジャーの構造を特定するものと解すべきである。(甲第29号証の特許・実用新案審査基準第II部第2章「新規性進歩性」1.5.2(3)参照。)
以上を前提に構成Gについて検討すると、定型管の配置は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等から明らかなように、ブラジャーの分野において本願出願前より、周知慣用の技術である。
そして、このような定型管に係る技術を甲第15号証の6に記載の考案に適用するとすれば、定型管を表層と裏層の間に加熱により圧着し、挿入箇所を含め貼合することは、当業者が当然に採用し得ることであって、きわめて容易に想到し得ることである。
なお、甲第2号証の段落【0024】、【0025】及び図2には、下回りワイヤ(6)を挿通させるための袋生地(27)を接合により位置付けること、接合手段は接着でもよいことが開示されている。
ここで、ブラジャーの製造に関する技術分野において、加熱プレスによる貼合が接着の一態様であることは、例えば、甲第1号証の実用新案登録請求の範囲に「加熱プレスにより一体に接着する」と記載されていることからもみても明らかである。
以上のとおり、本件登録考案3は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術を、甲第15号証の6考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案3を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(2-4)本件登録考案4について
構成AないしEについては既に検討したので、本件登録考案4の構成H:「該型紐は高圧プレスによって該カップ部及び背帯一端上に貼合され、該背フックにおいては、高圧で背帯末端個所に貼合されている」点について検討する。
構成H4もまた構成Gと同様に、
[H1]該型紐(14)は高圧プレスによって該カップ部(111)及び背帯(112)一端上に貼合され、
[H2]「該背フック(15)においては、高圧で背帯(112)末端個所に貼合されている
という、手順に相当するH1、H2を時系列的に記載したものに相当するので、構成Hは、肩紐が高圧プレスによって該カップ部及び背帯一端上に貼合されていること、及び同肩紐が背フックにおいては、背帯末端個所に高圧下で貼合されているという、ブラジャーの構造を特定するものと解すべきである。
以上を前提に構成Hについて検討すると、甲第1号証には、肩ひも(8)がカップ(4、5)の上方部分(9)において溶着により固定され、肩ひも(8)の通し環(27)が、肩ひも(8)の方向に延びる部分(19)のとりつけ部(10)に溶着により固定され、背留め具(7)が溶着により固定されることが記載されている。((段落【0014】、(段落【0018】?【0023】、図1)
ここで、溶着で固定されることは、貼合されることにほかならず、この貼合を高圧下で行うことは、必要とする貼合の強度に応じて、当業者が適宜採用し得ることである。
甲第1号証に記載された肩ひも(8)は、カップ(4、5)の上方部分(9)において溶着により固定されている。
また、通し環(27)は、肩ひも(8)の方向に延びる部分(19)のとりつけ部(10)に溶着により固定されているが、当該とりつけ部(10)は「背帯一端上」にあるといえる。
さらに、背留め具(7)は、「背フック」に相当する。
また、甲第1号証に記載された、肩ひもをブラジャー本体のカップ及び背帯の一端に溶着で固定する点、ならびに背留め具を溶着により固定する点は、ブラジャーに係るものであって、甲第15号証の6考案と技術分野を共通にするものであり、甲第15号証の6考案においても、当然に採用し得ることである。
また、甲第15号証の6考案に甲第1号証に記載された事項を組み合わせることを妨げる特段の事情も見当たらない。
以上のとおり、本件登録考案4は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術、及び甲第1号証に記載された技術を、甲第15号証の6考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案4を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(3)本件登録考案1及甲第5号証の1考案との対比・判断
(3-1)対比
(3-1-1)構成Aについて
本件登録考案1の構成要件Aは、「A.外カップ層、内綿層、定型管、肩紐、背フックより構成される一体成型によるブラジャーの構造において」である。
これに対し、甲第5号証の1には、表地(2)、裏地(3)、肩紐、背フックより構成され、表裏生地が一体に接着されたシームレスなブラジャーが記載されている(第1欄31?35行、第2欄2?9行、第3欄3?12行、実用新案登録請求の範囲、第1図及び第2図)。
ここで、表地(2)、裏地(3)は、それぞれ「外カップ層」、「内綿層」に相当し、表面の布面の層及び裏面の布面の層は、それぞれ「外カップ層」及び「内綿層」に相当する。
また、甲第5号証の1の第1図には、肩紐及び背フックが図示されている。
また、甲第5号証の1のシームレスなブラジャーの構造は、「一体成型」の一態様であるといえる。
したがって、本件登録考案1の構成要件Aについては、定型管を除くすべての構成が甲第5号証の1に記載されているといえる。

(3-1-2)構成Bについて
本件登録考案1の構成Bは、「一体成型されており、且つカップ部と背帯とを含む該外カップ層と」である。
これに対し、甲第5号証の1には、表地(2)は継目のない生地で、膨出部(6)よりなるカップと、その周囲部分とを含んでいることが記載されている。(第1欄36行?第2欄2行、第2欄9?13行、第2欄29?32行、第1図及び第2図)
また、表地(2)が継目のない生地であることは、「一体成型」の一態様であるといえる。
さらに、膨出部(6)よるなるカップは、「カップ部」に対応するから、本件登録考案1の構成要件Bについては、そのすべてが甲第5号証の1に記載されているといえる。

(3-1-3)構成Cについて
本件登録考案1の構成要件Cは、「一体成型であり、該外カップ層の外形に対応しており、カップ部及び背帯を含む該内綿層と」である。
甲第5号証の1には、裏地(3)は継目のない生地で、膨出部(6)よりなるカップと、その周囲部分とを含んでいることが記載されている。(第1欄36行?第2欄2行、第2欄9?13行、第2欄29?32行、第1図及び第2図)
ここで、裏地(3)は内綿層に相当し、裏地(3)が継目のない生地であることは、「一体成型」の一態様であるといえる。
さらに、膨出部(6)よりなるカップは「カップ部」に相当する。
したがって、本件登録考案1の構成要件Cについては、そのすべてが甲第5号証の1に記載されているといえる。

(3-1-4)構成Dについて
本件登録考案1の構成要件Dは、「該外カップ層と該内綿層との間のカップ部内側下縁に設けられている該定型管と、を含み」である。
本件登録考案1と甲第5号証の1とでは、本件登録考案1が「定型管」を有しているののに対して、甲第5号証の1には「定型管」を有しているのか否か明確でない点で相違する。

(3-1-5)構成Eについて
本件登録考案1の構成要件Eは、「高温でプレスされて一体成型された該外カップ層と内綿層とが緊密に貼合されていることを特徴とする一体成型によるブラジャーの構造」である。
これに対し、甲第5号証の1には、表地(2)と裏地(3)が加熱プレスされて一体に接着されているブラジャーの構造が記載されている(第1欄31?35行、第2欄2?9行、第3欄3?12行、実用新案登録請求の範囲、第1図及び第2図)。
ここで、乳房部分における加熱による圧着と、「高温でプレス」とは、実質的に相違はない。
また、外カップ層と内綿層とが「緊密に貼合されていること」は、両層が高温でプレスされた結果として得られた状態を示しているにすぎず、これは甲第5号証の1の場合も同じである。
例えば、甲第5号証の1の第2図には、表地(2)と裏地(3)とが多孔性シート(5)を介して隙間なく接着されている様子が図示されており、これらが緊密に貼合されているといえる。
したがって、本件登録考案1の構成要件Eについては、そのすべてが甲第5号証の1に記載されているといえる。

(3-1-6)一致点及び相違点
以上の検討から、本件登録考案1と、甲第5号証の1考案との一致点及び相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「[A’]外カップ層、内綿層、肩紐、背フックより構成される一体成型によるブラジャーの構造において、
[B]一体成型されており、且つカップ部と背帯とを含む該外カップ層と、
[C]一体成型であり、該外カップ層の外形に対応しており、カップ部及び背帯を含む該内綿層と、を含み、
[E]高温でプレスされて一体成型された該外カップ層と内綿層とが緊密に貼合されていることを特徴とする一体成型によるブラジャーの構造。」
〈相違点〉
本件登録考案1が「定型管」を有しているのに対して、甲第5号証の1考案が「定型管」を有しているか否か明確でない点。

(3-1-7)相違点についての検討及び判断
胸部を固定する機能を提供するために、外カップ層と内綿層との間のカップ部内側下縁に「定型管」を設ける点は、上記のように甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載されている。
また、ある程度の硬さを持った定型管は、甲第16号証の1及び甲第4号証の1?5に記載のように、本件考案の属する技術分野において本件出願日前に周知である。
甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4に記載された、外カップ層と内綿層との間のカップ部内側下縁に定型管を設ける技術は、ブラジャーに係るものであって、甲第5号証の1考案と技術分野を共通にする。
そして、その目的ないし解決課題は、付け心地のよさ、及び胸部を固定するブラジャー機能の提供であって、甲第15号証の6考案に適用することは当業者がきわめて容易に想到し得ることであって、その適用を妨げる特段の事情も見当たらない。

(3-1-8) まとめ
以上の検討から明らかなように、本件登録考案1は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術を、甲第5号証の1考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案1を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(3-2)本件登録考案2について
上記(2-2)で検討したとおり、本件登録考案2は、甲第2号証のパッド、並びに甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術を、甲第5号証の1考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案2を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(3-3)本件登録考案3について
上記(2-3)で検討したとおり、本件登録考案3は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術を、甲第5号証の1考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案3を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

(3-4)本件登録考案4について
上記(2-4)で検討したとおり、本件登録考案4は、甲第16号証の1、甲第2号証、甲第16号証の2及び甲第16号証の4等に記載された定型管に係る技術、及び甲第1号証に記載された技術を、甲第5号証の1考案に適用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
本件登録考案4を全体構成でみても、これら引用考案から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本件登録考案1ないし4の各考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない考案であり、本件登録考案1ないし4についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。
また、審判に関する費用の負担については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項の規定において、さらに準用する民事訴訟法第61条の規定により被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-01-15 
結審通知日 2008-01-17 
審決日 2008-01-29 
出願番号 実願2002-20(U2002-20) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (A41C)
最終処分 成立  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 関 信之
寺本 光生
登録日 2002-04-24 
登録番号 実用新案登録第3087144号(U3087144) 
考案の名称 一体成型によるブラジャーの構造  
代理人 新開 正史  
代理人 谷 義一  
代理人 小林 武彦  
代理人 窪田 郁大  
代理人 阿部 和夫  
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