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審決分類 審判 全部無効   G03B
審判 全部無効   G03B
管理番号 1180857
審判番号 無効2007-800121  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-06-29 
確定日 2008-05-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第2598506号実用新案「原稿圧着板開閉装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2598506号の請求項1ないし3に係る考案についての出願は、平成5年4月27日に実用新案登録出願され、平成11年1月18日付けで手続補正がなされたのち、同年6月11日にその請求項1ないし3に係る考案について実用新案権の設定の登録がなされた。
これに対して、請求人である下西技研工業株式会社より、平成19年6月29日に本件実用新案登録無効審判に係る審判請求書が提出され、同年8月21日付けで上申書が提出され、また、同年9月4日付けで該審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書が提出された。
そして、被請求人である加藤電機株式会社より、平成19年9月25日付けで答弁書が提出された。
さらに、平成20年3月11日に口頭審理が行われ、同日付けで請求人及び被請求人より、口頭審理陳述要領書が提出された。

2.本件考案
本件実用新案登録第2598506号の請求項1ないし3に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面(以下、「登録明細書等」という。)の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものと認める。

「【請求項1】 装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材の両側板に回動可能にその両側板の一端部側をヒンジピンを介して軸着させた支持部材と、この支持部材と重なり合い該支持部材の自由端側の両側板へ該支持部材とは反対方向へ回動するようにその両側板を支持ピンを介して軸着させたところの原稿圧着板の後部を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられた作動部材と、この作動部材と前記取付部材側の前記支持部材の軸着位置とは異なる位置との間に前記支持部材を前記原稿圧着板の開成方向へ附勢させ、かつ該原稿圧着板を取り付けた前記リフト部材を自己の弾力のみで前記支持部材と重なり合う方向へ附勢保持するように弾設した圧縮コイルスプリングとで構成すると共に、前記支持部材の両側板には前記リフト部材が前記支持ピンを支点として回動する時に、前記作動部材の旋回を許容する切欠を設けたことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。」(以下、「本件考案1」という。)

「【請求項2】 前記圧縮コイルスプリングを前記リフト部材側と取付部材側との間に弾設するに当り、前記圧縮コイルスプリングの両端部に支持部材に摺動自在に拘持される一対のスライダーを取り付け、このスライダーの一方を前記リフト部材の前記作動部材側へ当接させ、他方を取付部材に固着したカム部材へ当接させたことを特徴とする、請求項1記載の原稿圧着板開閉装置。」(以下、「本件考案2」という。)

「【請求項3】 前記圧縮コイルスプリングを前記リフト部材側と取付部材側との間に弾設するに当り、前記圧縮コイルスプリングの前記リフト部材の作動部材側にスライダーを取り付けると共に、前記圧縮コイルスプリングの前記取付部材側を該取付部材に軸着させたバネ受部材に支持させたことを特徴とする、請求項1記載の原稿圧着板開閉装置。」(以下、「本件考案3」という。)

なお、請求項2において、上記下線を引いた箇所に記載された「圧縮スプリング」は、「圧縮コイルスプリング」の誤記と認められるので、請求項2に係る考案を上記のとおり認定した。

3.請求人の主張の概要および証拠方法
請求人は、「実用新案登録第2598506号考案の請求項1、請求項2および請求項3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、その理由として、本件実用新案登録第2598506号の請求項1ないし3に係る考案は、その出願日(平成5年4月27日)前の平成4年3月30日に頒布された甲第1号証(特公平4-19532号公報)に開示された先行技術考案と同じ又はその考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができた考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号あるいは同条第2項に該当し、実用新案法第37条第1項第1号の規定により無効にされるべきである、と主張し、以下の証拠方法を提出している。

甲第1号証 特公平4-19532号公報
甲第2号証 本件の審査段階において提出された、平成10年11月
20日付けの早期審査に関する事情説明書
甲第3号証 実開昭62-156938号公報

なお、甲第1号証は審判請求書に添付して提出され、甲第2号証および甲第3号証は口頭審理陳述要領書に添付して提出されたものである。

4.被請求人の主張の概要
被請求人は、「本件実用新案登録の請求項1、請求項2及び請求項3に係る考案は、実用新案法第3条第1項第3号あるいは同条第2項に規定する考案に該当するものではなく、無効理由が存しないので、被請求人は請求の趣旨に対する答弁のとおりの『本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする』旨の審決を求めるものである。」と主張している。

5.請求人が提出した甲号各証の記載について
5.1 甲第1号証
甲第1号証として提出された刊行物である特公平4-19532号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「原稿圧着板開閉装置」の考案に関して、図面とともに次の記載がある。

・記載事項1
「1 複写機本体側に原稿圧着板の開閉方向と同一方向へ回動するように支持部材を取り付け、この支持部材と複写機本体側との間に該支持部材を開方向へ付勢する弾性手段を設け、前記支持部材の自由端側へ該支持部材とは反対方向へ回動するようにヒンジピンを介して原稿圧着板を軸着させて成るものにおいて、前記ヒンジピンにクランク部材をさらに回動自在に軸着し、このクランク部材の軸支点を越えた一端部に前記弾性手段の作用点を作用せしめると共に、他端部に前記原稿圧着板を前記ヒンジピンの軸支位置とは異なる位置において固定ピンを介して回動自在に軸着せしめ、もつて、通常時は前記弾性手段とクランク部材を介して原稿圧着板を支持部材と重なる方向へ回動附勢させているが、原稿が本のように厚いものの場合には、前記弾性手段の弾力に抗して原稿圧着板の反転を許容し、前記立体原稿上を水平に覆うことができるように構成したことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。」(第1欄第2行?第20行)

・記載事項2
「(実施例)
図面に依れば、複写機本体Aの後部アツパープレートa上には、両側板1a,1aを有する取付部材1が取付釦2を介して着脱可能に取り付けられている。尚、この取付部材1は後部アツパープレートa上にビス等により固着されても良く、また、後部アツパープレートaと一体に構成されても良い。この取付部材1の一側には、ヒンジピン3を介して支持部材4がその両側板4a,4aの一端部を回動自在に軸着させている。この支持部材4の自由端側には、両側に取付板5b,5bを設けた凸型の制御部材5が両側板5a,5aをヒンジピン7,7によつて回動自在に軸着させており、この制御部材5の取付板5b,5bに原稿圧着板Bの後端部が固着されている。尚、この制御部材5は、原稿圧着板Bと一体に構成されても良い。制御部材5の軸着側には、クランク部材8が固定ピン9によつて固着されると共に、このクランク部材8はヒンジピン7,7に回動自在に軸着されている。尚、このクランク部材8は制御部材5、或は原稿圧着板Bと一体に構成されても良い。そして、クランク部材8の支点を越えた側に取り付けた受圧ピン10,10と、取付部材1の側に設けた固定ピン11との間には、嵌縮自在に構成されたガイド部材12が懸架されると共に、このガイド部材12を環巻きして弾性手段を構成する圧縮コイルスプリング13が受圧ピン10,10と固定ピン11との間に弾設されている。
したがつて今、原稿圧着板Bを閉じた状態において、とくに第1図乃至第2図に示したように支持部材4と制御部材5は取付部材1に対して互いに折畳まれた状態にある。この状態から原稿圧着板Bを開くと制御部材5の背部は支持部材4の背部に当接するので、原稿圧着板Bは支持部材4と共にヒンジピン3を支点として開かれる。同時に固定ピン11と受圧ピン10,10間の距離が変化し長くなるので、ガイド部材12が長手方向に伸長し、同時に圧縮コイルスプリング13の弾力が変化し、手を離した際に原稿圧着板Bがヒンジピン3の回りに生じさせる回転トルクと、これを打ち消す方向に作用する圧縮コイルスプリング13の弾力がバランスしたところで停止し、とくに第4図に示したように、自然落下することがなく保持される。この中間開角度における原稿圧着板Bに対する安定保持の許容範囲は、ヒンジピン3で連結した取付部材1と支持部材4の当接部にフリクシヨン機能を与えればそれだけ増大するものである。
開いた原稿圧着板Bから手を離すと、該原稿圧着板Bは制御部材5と共にヒンジピン7を支点として反転しそうに見えるが、この制御部材5と共に回動するクランク部材8の支点を越えた一端部に設けた受圧ピン10,10に一方の作用点を有する圧縮コイルスプリング13の弾力によつて、原稿圧着板Bは制御部材5と共に支持部材4と重なる方向である時計方向へ回動附勢されており、反転することなく支持部材4と一体性を維持する。
原稿圧着板Bは開かれるにつれて回転トルクが減少し、圧縮コイルスプリング13の弾力が勝る一定開角度以上ではこれを弾ね上げるので、90°近くからは圧縮コイルスプリングの弾力が0となる工夫が凝らされている。
原稿圧着板Bを閉じると、圧縮コイルスプリング13を圧縮することになり、原稿圧着板Bは制御部材5と共にヒンジピン7を支点に反時計方向へ回動しようとする力を受けるので、全閉位置から閉じ方向へ押圧させると、最初のうちは圧縮コイルスプリング13の弾力が弱いので、原稿圧着板Bは制御部材5と共に若干反時計方向へ若干回転するが、すぐに圧縮コイルスプリング13の弾力に押し戻され、支持部材4と一体的に閉じられるものである。
第5図に示したように、原稿が本のように厚い立体原稿Cのような場合には、原稿圧着板Bを閉じると、その一部が最初はこの立体原稿Cの角に当接するが、さらに若干力を加えて原稿圧着板Bの手前側を押し下げると、艇子の原理により原稿圧着板Bは圧縮コイルスプリング13の弾力に抗して制御部材5と共に反時計方向へ反転し、立体原稿Cに対して水平になる。そして、この反転許容範囲は立体原稿Cの厚さによつて制限を受けることがない。反時計方向へ回転させた原稿圧着板Bはその手前側を押し下げる力を除くか、立体原稿Cを取り去れば、制御部材5は圧縮コイルスプリング13の弾力によつてクランク部材8を介して支持部材4と重なる方向である時計方向へ押されるので、該制御部材5共に原稿圧着板Bは同じく時計方向へ回転し、折り畳まれて支持部材4と一体になる。
(効果)
この発明は以上のように構成したので、簡単な構造で、通常の原稿圧着板開閉装置としての原稿圧着板に対する開閉動作及びその中間開角度での原稿圧着板に対する安定停止保持動作を行うことができた上で、本のように厚い立体原稿上を原稿圧着板で容易に水平状態で覆い、露光が外部に漏れたり、外光が機械内部に侵入するのを可及的に防止することができものである。そして、その際に原稿圧着板を立体原稿に対して反転させることのできる範囲にとくに制限が設けられることがないという効果を合わ奏し得る。」(第3欄第33行?第6欄第17行)

なお、上記記載事項2において、上記下線を引いた箇所に記載された「一対に」は、「一体に」の誤記と認められるので、記載事項2を上記のとおり認定した。

上記記載事項1および2並びに図面に示された内容を総合すると、刊行物1には、次の考案が記載されているものと認められる。

「複写機本体Aの後部アツパープレートa上に、両側板1a,1aを有する取付部材1が取り付けられ、
この取付部材1の一側には、ヒンジピン3を介して支持部材4がその両側板4a,4aの一端部を回動自在に軸着され、
この支持部材4の自由端側には、両側に取付板5b,5bを設けた凸型の制御部材5が両側板5a,5aをヒンジピン7,7によつて回動自在に軸着されており、この制御部材5の取付板5b,5bに原稿圧着板Bの後端部が固着され、
制御部材5の軸着側には、クランク部材8が制御部材5と一体に構成されると共に、このクランク部材8はヒンジピン7,7に回動自在に軸着され、
クランク部材8の支点を越えた側に受圧ピン10,10が取り付けられ、
受圧ピン10,10と、取付部材1の側に設けた固定ピン11との間には、嵌縮自在に構成されたガイド部材12が懸架されると共に、このガイド部材12を環巻きして弾性手段を構成する圧縮コイルスプリング13が受圧ピン10,10と固定ピン11との間に弾設され、
原稿圧着板Bを閉じた状態から原稿圧着板Bを開くと制御部材5の背部は支持部材4の背部に当接するので、原稿圧着板Bは支持部材4と共にヒンジピン3を支点として開かれ、同時に固定ピン11と受圧ピン10,10間の距離が変化し長くなるので、ガイド部材12が長手方向に伸長し、同時に圧縮コイルスプリング13の弾力が変化し、手を離した際に原稿圧着板Bがヒンジピン3の回りに生じさせる回転トルクと、これを打ち消す方向に作用する圧縮コイルスプリング13の弾力がバランスしたところで停止し、自然落下することがなく保持され、
制御部材5と共に回動するクランク部材8の支点を越えた一端部に設けた受圧ピン10,10に一方の作用点を有する圧縮コイルスプリング13の弾力によつて、原稿圧着板Bは制御部材5と共に支持部材4と重なる方向である時計方向へ回動附勢されており、反転することなく支持部材4と一体性を維持する、
原稿圧着板開閉装置。」(以下、「刊行物1考案」という。)

5.2 甲第2号証
甲第2号証として提出された平成10年11月20日付けの早期審査に関する事情説明書(以下、「早期審査事情説明書」という。)には、次の記載がある。

・記載事項3
「(ロ)特公平4-19532号特許公報
この公知技術文献(ロ)には、
『複写機本端側に原稿圧着板の開閉方向と同一方向へ回動するように支持部材を取り付け、この支持部材と複写機本体側との間に該支持部材を開方向へ附勢する弾性手段を設け、前記支持部材の自由端側へ該支持部材とは反対方向へ回動するようにヒンジピンを介して原稿圧着板を軸着させて成るものにおいて、前記ヒンジピンにクランク部材をさらに回動自在に軸着し、このクランク部材の軸支点を越えた一端部に前記弾性手段の作用点を作用せしめる と共に、他端部に前記原稿圧着板を前記ヒンジピンの軸支位置とは異なる位置において固定ピンを介して回動可能に軸着せしめ、もって、通常時は前記弾性手段とクランク部材を介して原稿圧着板を支持部材と重なる方向へ回動附勢させているが、原稿が本のように厚いものの場合には、前記弾性手段の弾力に抗して原稿圧着板の反転を許容し、前記立体原稿上を水平に覆うことができるように構成した原稿圧着板開閉装置』
が記載されている。
尚、この公知技術文献(ロ)でいう、複写機本体は本願考案でいう装置本体に、弾性手段は圧縮コイルスプリングに、クランク部材はリフト部材に、固定ピンは作動ピンにそれぞれ該当する。」(第5頁第16行?第6頁第4行)

・記載事項4
「▲b▼ 次に、公知技術文献(ロ)でいう特公平4-19532号のものは、リフ
ト部材に相当する制御部材5の反転を制御するのに、支持部材4を原稿圧着板Bの開成方向へ附勢する圧縮コイルスプリング13の弾性を利用するという点では同じであり、請求項1の考案に最も近いものであるが、請求項1の考案のリフト部材の反転を制御する手段としての、
『リフト部材の前記支持部材に対する軸着部の側であって該軸着位置とは異なる位置の両側板間に軸架された作動ピンと、この作動ピンと前記取付部材の前記支持部材の軸着位置とは異なる位置との間に前記支持部材を前記原稿圧着板の開成方向に附勢し、前記リフト部材を前記支持部材と重なり合う方向へ附勢するように弾設した圧縮コイルスプリングとで構成すると共に、前記リフト部材が前記支持ピンを支点として回動する時に、前記作動ピンの旋回を許容する切欠を設ける構成』
については、開示も示唆もされていない。」(第8頁第15行?第28行)

5.3 甲第3号証
甲第3号証として提出された刊行物である実開昭62-156938号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「原稿圧着板開閉装置」の考案に関して、図面とともに次の記載がある。

・記載事項5
「(1) 複写機本体側に取り付けられる取付部材へ原稿圧着板側に取り付けられる支持部材をヒンジピンで回動自在に連結し、前記取付部材側へ固定された湾曲カム部材へ一部を当接させたスライダーを前記支持部材へ一方向へ移動附勢させつつ収納させたものにおいて、このスライダーに前記ヒンジピンと係合する一対のガイド長穴と、前記支持部材の両側板に設けた凸部又は長穴と係合する凹部又は凸部を設けたことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
(2) 取付部材が複写機本体に設けた挿入穴に挿脱自在に挿入されるリフト脚を設けたものであることを特徴とする、実用新案登録請求の範囲第1項記載の原稿圧着板開閉装置。」(「実用新案登録請求の範囲」の記載)

6.当審の判断
6.1 本件考案1について
6.1.1 対比
・対応関係1
本件考案1と刊行物1考案とを対比すると、刊行物1考案の「複写機本体A」は、本件考案1の「装置本体」に相当し、以下同様に、「取付部材1」は「取付部材」に、「両側板1a,1a」は「取付部材の両側板」に、「その両側板4a,4aの一端部」は「その両側板の一端部側」に、「ヒンジピン3」は「ヒンジピン」に、「支持部材4」は「支持部材」に、「支持部材4の自由端側」は「支持部材の自由端側」に、「両側板5a,5a」は「その両側板」に、「ヒンジピン7,7」は「支持ピン」に、「原稿圧着板Bの後端部」は「原稿圧着板の後部」に、「制御部材5」は「リフト部材」に、「受圧ピン10,10」は「作動部材」に、「圧縮コイルスプリング13」は「圧縮コイルスプリング」に、それぞれ相当する。

・対応関係2
対応関係1を考慮すれば、刊行物1考案の「複写機本体Aの後部アツパープレートa上に、両側板1a,1aを有する取付部材1が取り付けられ」という構成は、本件考案1の「装置本体側に取り付けられる取付部材」に相当するといえる。

・対応関係3
記載事項2及び第2図の記載によれば、刊行物1考案の支持部材4は、取付部材1の両側板1a,1aにその両側板4a,4aを軸着させていることは明らかであるから、対応関係1をも考慮すれば、刊行物1考案の「この取付部材1の一側には、ヒンジピン3を介して支持部材4がその両側板4a,4aの一端部を回動自在に軸着され」という構成は、本件考案1の「この取付部材の両側板に回動可能にその両側板の一端部側をヒンジピンを介して軸着させた支持部材」に相当するといえる。

・対応関係4
記載事項2および第2図ないし第5図の記載によれば、刊行物1考案の制御部材5は、支持部材4と重なり合うものであり、支持部材4の自由端側の両側板4a,4aへ該支持部材4とは反対方向へ回動するように軸着されていることは明らかであるから、対応関係1をも考慮すれば、刊行物1考案の「この支持部材4の自由端側には、両側に取付板5b,5bを設けた凸型の制御部材5が両側板5a,5aをヒンジピン7,7によつて回動自在に軸着されており、この制御部材5の取付板5b,5bに原稿圧着板Bの後端部が固着され」という「制御部材5」に関連する構成は、本件考案1の「この支持部材と重なり合い該支持部材の自由端側の両側板へ該支持部材とは反対方向へ回動するようにその両側板を支持ピンを介して軸着させたところの原稿圧着板の後部を取り付けるリフト部材」に相当するといえる。

・対応関係5
記載事項2および第2図ないし第5図の記載によれば、刊行物1には、支持部材4の両側板4a,4aの、制御部材5と支持部材4との軸着位置の略上方の部分に切欠(以下、「切欠4b」という。)が設けられていることが開示されているといえる。

また、記載事項2および第2図ないし第5図の記載によれば、刊行物1には、制御部材5の支持部材4に対する軸着部側の両側板5a,5aの内側には、制御部材5の背部と支持部材4の背部が当接する状態の時に上記切欠4bを通りつつ支持部材4の側板4aを跨ぎ、そこから支持部材4の両側板4a,4aの内面に沿って下方に伸びる形で、クランク部材8が制御部材5と一体に構成され、当該クランク部材8の、制御部材5の回動時にヒンジピン7を支点に旋回する位置に受圧ピン10,10が設けられていることが開示されているといえる。

してみれば、対応関係1をも考慮すれば、刊行物1考案の「制御部材5の軸着側には、クランク部材8が制御部材5と一体に構成されると共に、このクランク部材8はヒンジピン7,7に回動自在に軸着され、クランク部材8の支点を越えた側に受圧ピン10,10が取り付けられ、」という「受圧ピン10,10」に関連する構成と、本件考案1の「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられた作動部材」とは、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置に取り付けられた作動部材、である点で共通する。

・対応関係6
記載事項2および第2図ないし第5図の記載によれば、刊行物1考案の「取付部材1の側に設けた固定ピン11」は、取付部材1側の支持部材4の軸着位置であるヒンジピン3とは異なる位置に設けられていることは明らかである。

また、刊行物1考案においては、「原稿圧着板Bを閉じた状態から原稿圧着板Bを開くと制御部材5の背部は支持部材4の背部に当接するので、原稿圧着板Bは支持部材4と共にヒンジピン3を支点として開かれ、同時に固定ピン11と受圧ピン10,10間の距離が変化し長くなるので、ガイド部材12が長手方向に伸長し、同時に圧縮コイルスプリング13の弾力が変化し、手を離した際に原稿圧着板Bがヒンジピン3の回りに生じさせる回転トルクと、これを打ち消す方向に作用する圧縮コイルスプリング13の弾力がバランスしたところで停止し、自然落下することがなく保持され」るのであるから、刊行物1考案の「圧縮コイルスプリング13」が、支持部材4を原稿圧着板Bの開成方向へ附勢するものであることは明らかである。

さらに、刊行物1考案では、「圧縮コイルスプリング13の弾力によつて、原稿圧着板Bは制御部材5と共に支持部材4と重なる方向である時計方向へ回動附勢されており、反転することなく支持部材4と一体性を維持する」のであるから、刊行物1考案においても、「圧縮コイルスプリング13」が、原稿圧着板Bを取り付けた制御部材5を自己の弾力のみで支持部材4と重なり合う方向へ附勢保持するように弾設されていることは明らかである。

してみれば、対応関係1および5をも考慮すれば、刊行物1考案は、本件考案1の「この作動部材と前記取付部材側の前記支持部材の軸着位置とは異なる位置との間に前記支持部材を前記原稿圧着板の開成方向へ附勢させ、かつ該原稿圧着板を取り付けた前記リフト部材を自己の弾力のみで前記支持部材と重なり合う方向へ附勢保持するように弾設した圧縮コイルスプリング」に相当する構成を備えているといえる。

以上の対応関係1ないし6より、本件考案1と刊行物1考案の両者は、

「装置本体側に取り付けられる取付部材と、この取付部材の両側板に回動可能にその両側板の一端部側をヒンジピンを介して軸着させた支持部材と、この支持部材と重なり合い該支持部材の自由端側の両側板へ該支持部材とは反対方向へ回動するようにその両側板を支持ピンを介して軸着させたところの原稿圧着板の後部を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置に取り付けられた作動部材と、この作動部材と前記取付部材側の前記支持部材の軸着位置とは異なる位置との間に前記支持部材を前記原稿圧着板の開成方向へ附勢させ、かつ該原稿圧着板を取り付けた前記リフト部材を自己の弾力のみで前記支持部材と重なり合う方向へ附勢保持するように弾設した圧縮コイルスプリングとで構成した原稿圧着板開閉装置。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点1
本件考案1では、作動部材が、「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられ」ているのに対し、刊行物1考案では、「制御部材5の軸着側には、クランク部材8が制御部材5と一体に構成されると共に、このクランク部材8はヒンジピン7,7に回動自在に軸着され」、本件考案1の「作動部材」に相当する構成である「受圧ピン10,10」が、「クランク部材8の支点を越えた側に」取り付けられている点。

・相違点2
本件考案1では、「前記支持部材の両側板には前記リフト部材が前記支持ピンを支点として回動する時に、前記作動部材の旋回を許容する切欠を設け」ているのに対し、刊行物1考案では、その点について限定がない点。

6.1.2 判断
上記相違点1および2について検討する。

・相違点1について
上記「6.1.1 対比」の対応関係5で既述のとおり、刊行物1には、制御部材5の支持部材4に対する軸着部側の両側板5a,5aの内側には、制御部材5の背部と支持部材4の背部が当接する状態の時に上記切欠4bを通りつつ支持部材4の側板4aを跨ぎ、そこから支持部材4の両側板4a,4aの内面に沿って下方に伸びる形で、クランク部材8が制御部材5と一体に構成され、当該クランク部材8の、制御部材5の回動時にヒンジピン7を支点に旋回する位置に受圧ピン10,10が設けられていることが開示されている。

すなわち、刊行物1考案におけるクランク部材8は、制御部材5と一体に構成されてはいるが、クランク8と両側板5a,5aとは、それぞれ別々の部材として制御部材5の一部をなす部材であるから、刊行物1考案におけるクランク部材8は、制御部材5の両側板5a,5aと同一の部材ではない。

これに対し、本件考案1のリフト部材の両側板は、作動部材を取り付けるための特別な部材を有しない単独の部材であるから、刊行物1考案におけるクランク部材8が、本件考案1のリフト部材の側板とは構成を異にする部材であることは明らかである。

そして、刊行物1には、「クランク部材8は制御部材5…と一体に構成されても良い。」旨の記載はあるものの、制御部材5の両側板5a,5aとクランク部材8とを同一の部材とすることについては記載がなく、それを示唆する記載もない。

仮に、刊行物1において、クランク部材8と制御部材5の両側板5a,5aとを同一の部材とすることが想定されているのであれば、その場合には受圧ピン10,10と支持部材4および制御部材5との配置関係が、明細書および図面に開示された実施例の配置関係とは全く異なるものとなるのであるから、明細書または図面には、クランク部材8と制御部材5の両側板5a,5aとを同一の部材とした場合における、受圧ピン10,10と支持部材4および制御部材5との具体的な配置関係を開示した実施例が記載されていなければならない。

しかしながら、刊行物1には、クランク部材8と制御部材5の両側板5a,5aとを同一の部材とした場合の実施例は何ら記載されていないばかりか、それを示唆する記載もないのであるから、刊行物1に記載された考案は、クランク部材8と制御部材5の両側板5a,5aとを同一の部材とすることについて想定していないというべきである。

また、刊行物1には、別部材としてそれぞれ設けられているクランク部材8と制御部材5の両側板5a,5aのうち、制御部材5の両側板5a,5aを省略してクランク部材8のみを残すことについても記載されておらず、また、それを示唆する記載もなされていないのであるから、そもそも刊行物1に記載された考案は、受圧ピン10,10を、制御部材5の両側板5a,5a、又は、それらにかわる単一の部材に設けることについて想定していないといえる。

してみれば、本件考案1のように、「リフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に」作動部材を取り付けることは、刊行物1に記載されている事項とはいえないし、刊行物1に記載されているに等しい事項であるともいえない。

さらに、刊行物1には、刊行物1考案の受圧ピン10,10をクランク部材8に設ける構成を、本件考案1の如く、作動部材をリフト部材の両側板間に取り付けるように変更することについて、その動機付けとなり得る記載がなされていないから、相違点1に係る本件考案1の構成は、刊行物1考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得たものではない。

・相違点2について
刊行物1考案においては、受圧ピン10,10は、支持部材4とは干渉しない構造となっているのであるから、支持部材4の両側板4a,4aに、制御部材5がヒンジピン7を支点として回動する時に、受圧ピン10,10の旋回を許容する切欠を設ける必要はないものである。

さらに、相違点1についての検討で述べたように、作動部材が、「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられ」るように構成することは、刊行物1考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得たものではないのであるから、そのような作動部材の配置を前提とする、本件考案1の「前記支持部材の両側板には前記リフト部材が前記支持ピンを支点として回動する時に、前記作動部材の旋回を許容する切欠を設け」る構成も同様に、刊行物1考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得たものではない。

そして、本件考案1は、「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられた作動部材」、および「前記支持部材の両側板には前記リフト部材が前記支持ピンを支点として回動する時に、前記作動部材の旋回を許容する切欠を設けた」という構成を採用したことにより、「従来公知のものに比較して、構造が簡単となることにより、故障が少なくて操作性の良い、かつ部品点数を省略できることにより製造コストの安い安価な原稿圧着板開閉装置を提供することができる」という登録明細書等に記載の効果を奏するものである。

以上のとおりであるから、本件考案1は、甲第1号証に記載された考案ではなく、また、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。

6.2 本件考案2について
6.2.1 対比
本件考案2は、本件考案1において、「前記圧縮コイルスプリングを前記リフト部材側と取付部材側との間に弾設する」にあたり、「前記圧縮コイルスプリングの両端部に支持部材に摺動自在に拘持される一対のスライダーを取り付け、このスライダーの一方を前記リフト部材の前記作動部材側へ当接させ、他方を取付部材に固着したカム部材へ当接させた」ことを限定した考案である。

そして、前記「6.1 本件考案1について」で既述したように、本件考案1は、甲第1号証に記載された考案ではなく、また、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない以上、本件考案2も、甲第1号証に記載された考案ではなく、また、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。

6.3 本件考案3について
6.3.1 対比
本件考案3は、本件考案1において、「前記圧縮コイルスプリングを前記リフト部材側と取付部材側との間に弾設する」にあたり、「前記圧縮コイルスプリングの前記リフト部材の作動部材側にスライダーを取り付けると共に、前記圧縮コイルスプリングの前記取付部材側を該取付部材に軸着させたバネ受部材に支持させた」ことを限定した考案である。

そして、前記「6.1 本件考案1について」で既述したように、本件考案1は、甲第1号証に記載された考案ではなく、また、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない以上、本件考案3も、甲第1号証に記載された考案ではなく、また、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。

6.4 請求人の主張について
6.4.1 主張1
請求人は、審判請求書において、
「本件登録実用新案の「切欠」は、リフト部材が支持ピンを支点として回動する時に、作動部材の旋回を許容するために設けられるものであるが、
先行技術考案では、本件登録実用新案の作動部材(作動ピン)11に相当する「受圧ピン10」は、リフト部材に相当する制御部材5が、支持ピンに相当するヒンジピン7を支点として回動する時に、支持部材4の側板に干渉しない構造となっているため、受圧ピン10の旋回を許容するための「切欠」は必要でない。
本件登録実用新案の「切欠」は、部材の干渉を避けるためのものであり、このように部材の干渉を避けるために「切欠」を設けることは、甲第1号証の第5図にも固定ピン9との干渉を避けるための切欠が、支持部材4に形成されているように、当業者が必要に応じて採用する常套手段、すなわち、単なる設計事項である。また、この「切欠」は、本登録考案の本質的な部分ではない。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、前記相違点1についての検討で述べたように、相違点1に係る本件考案1の「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられた作動部材」の構成は、刊行物1考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得たものではない。

そして、本件考案1の「切欠」は、作動部材を両側板間に取り付けることを前提として設けられた構成であるので、本件考案1の本質的な部分であるといえ、単なる設計事項であるとすることはできない。

よって、請求人の上記主張は採用することができない。

6.4.2 主張2
請求人は、審判請求書において、
「上記先行技術考案の「ガイド部材12」は、本件登録実用新案の「一対のスライダー」に相当する。すなわち、
上記先行技術考案の「ガイド部材12」は相互に嵌縮する一対の部材から構成され、該ガイド部材12を構成する左右の嵌縮部材は、本件登録実用新案の各スライダーに相当し、一方の嵌縮部材は作動部材に相当する受圧ピン10側に当接され、他方の嵌縮部材はカム部材に相当する固定ピン11側に当接されている点で、両者は実質的に同じ技術である。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、本件考案2においては、「前記圧縮コイルスプリングの両端部に支持部材に摺動自在に拘持される一対のスライダーを取り付け、このスライダーの一方を前記リフト部材の前記作動部材側へ当接させ、他方を取付部材に固着したカム部材へ当接させた」構成が採用されており、刊行物1考案の「嵌縮自在に構成されたガイド部材12」は、受圧ピン10,10と、取付部材1の側に設けた固定ピン11との間に懸架されるものであって、支持部材4に摺動自在に拘持されるものではないので、刊行物1考案の「嵌縮自在に構成されたガイド部材12」は、本件考案2の「一対のスライダー」に相当するとはいえない。

よって、請求人の上記主張は採用することができない。

6.4.3 主張3
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「被請求人は、答弁書の第4頁のオ.において、引用公知技術の「クランク部材」は、本件登録実用新案の「両側板」ではない、と反論している。
しかし、被請求人は、本件登録実用新案の出願中における平成10年11月20日に早期審査に関する事情説明書(甲第2号証)を提出し、本説明書において、本甲第1号証(特公平4-19532号特許公報)を含む4件の公知技術文献を挙げ、この特公平4-19532号特許公報に関し、説明書の第5頁第16行目?第6頁第4行目において、次のように説明している。

(ロ)本特公平4-19532号特許公報
この公知技術文献(ロ)には、
「複写機本体側に原稿圧着板の開閉方向と同一方向へ回動するように支持部材を取り付け、この支持部材と複写機本体側との間に該支持部材を開方向へ附勢する弾性手段を設け、前記支持部材の自由端側へ該支持部材とは反対方向へ回動するようにヒンジピンを介して原稿圧着板を軸着させて成るものにおいて、前記ヒンジピンにクランク部材をさらに回動自在に軸着し、このクランク部材の軸支点を越えた一端部に前記弾性手段の作用点を作用せしめると共に、他端部に前記原稿圧着板を前記ヒンジピンの軸支位置とは異なる位置において固定ピンを介して回動可能に軸着せしめ、もって、通常時は前記弾性手段とクランク部材を介して原稿圧着板を支持部材と重なる方向へ回動附勢させているが、原稿が本のように厚いものの場合には、前記弾性手段の弾力に抗して原稿圧着板の反転を許容し、前記立体原稿上を覆うことができるように構成した原稿圧着板開閉装置」が記載されている。
尚、この公知技術文献(ロ)でいう、複写機本端体は本願考案でいう装置本体に、弾性手段は圧縮コイルスプリングに、クランク部材はリフト部材に、固定ピンは作動ピンにそれぞれ該当する。(上記アンダーラインは請求人が加筆)

被請求人は、「公知技術文献(ロ)でいう、・・・クランク部材は(本願考案でいう)リフト部材に、・・・該当する。」と説明し、「特公平4-19532号に記載されたクランク部材8が、本件考案のリフト部材、正確にはリフト部材の両側板」に相当することを既に認めている。
従って、上記答弁は上記説明と矛盾し、被請求人の上記答弁は失当である。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、甲第2号証における公知技術文献(ロ)に関する上記記載は、「他端部に前記原稿圧着板を前記ヒンジピンの軸支位置とは異なる位置において固定ピンを介して回動可能に軸着せしめ、」の記載からもわかるように、「制御部材5」という構成要素を省略して記載するものであり、必ずしも正確なものとはいえない。

しかしながら、甲第2号証には、上記「5.2 甲第2号証」の記載事項4に摘記したとおり、「公知技術文献(ロ)でいう特公平4-19532号のものは、リフト部材に相当する制御部材5の反転を制御するのに、支持部材4を原稿圧着板Bの開成方向へ附勢する圧縮コイルスプリング13の弾性を利用するという点では同じであり」と記載されており、被請求人は、本件考案1のリフト部材に相当するものは制御部材5であると記載していることがわかる。

してみれば、請求人の指摘する、「クランク部材はリフト部材に、…該当する。」の記載は、クランク部材8に作用する弾性手段の弾力により結果として原稿圧着板が附勢されることから、クランク部材8と本件考案1のリフト部材とは、弾性手段の弾力を伝達する部材である点で共通することを述べているに留まり、クランク部材8が本件考案1の「リフト部材の両側板」に相当することを述べているわけではないと解するのが相当である。

よって、請求人の上記主張は採用することができない。

6.4.4 主張4
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「請求人は、「クランク部材8」は「リフト部材」に相当するとは、一言も言っておらず、「クランク部材8」は「リフト部材の両側板」に相当すると主張しており、矛盾しない。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、前記「6.1.2 判断」の相違点1についてで述べたように、「クランク部材8」は「リフト部材の両側板」には相当しないのであるから、請求人の主張は失当である。

6.4.5 主張5
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「作動部材をリフト部材の両側板の間に取り付けることにより、なぜ、支持部材の両側板に切欠を設けなければならないのか、理解できない。
すなわち、本件考案の構成要件Fの「切欠」は、「リフト部材が支持ピンを支点として回動する時に、作動部材の旋回を許容する」ためのものであるが、「作動部材をリフト部材の両側板の間に取り付けることにより、支持部材の両側板に切欠を設けなければ、作動部材は絶対に旋回できない」のか、疑問である。
作動部材をリフト部材の両側板の間に取り付けても、支持部材の両側板に切欠を設けずに作動部材を旋回させることは可能である。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、前記「6.1.2 判断」の相違点1についてで述べたように、刊行物1考案の受圧ピン10,10をクランク部材8に設ける構成を、本件考案1の如く、作動部材をリフト部材の両側板間に取り付けるように変更することは、当業者がきわめて容易に想到し得たことではないのであるから、作動部材をリフト部材の両側板の間に取り付けることを前提とした請求人の上記主張は、その前提において誤っているのであるから、これを採用することはできない。

6.4.6 主張6
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「上記切欠4bは、固定ピン9の旋回、すなわち、クランク部材8に取り付けられた受圧ピン10の旋回を許容する、機能を有する。
以上のように、甲第1号証(特公平4-19532)には、本件登録実用新案の構成要件Fに相当する「支持部材4の両側板には制御部材5がヒンジピン7を支点として回動する時に、受圧ピン10の旋回を許容する切欠」が記載されている。」
旨主張している。
また、請求人は、口頭審理において、「『作動部材の旋回を許容する切欠』は、甲第1号証にも存在する。」旨主張した。

上記主張について検討すると、前記「6.1.1 対比」の対応関係5で述べたように、「切欠4b」は、制御部材5の背部と支持部材4の背部が当接する状態の時に、制御部材5とクランク部材8の連結部分が通過するための切欠である。そして、制御部材5がヒンジピン7を支点として回動する時には、「切欠4b」は受圧ピン10,10と干渉しない位置に設けられていることは明らかであるから、「切欠4b」は、本件考案1の「前記リフト部材が前記支持ピンを支点として回動する時に、前記作動部材の旋回を許容する切欠」に相当するとはいえない。

よって、請求人の上記主張は採用することができない。

6.4.7 主張7
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「しかし、「スライダーを支持部材の拘持部に拘持させること」は、甲第3号証(昭62-156938号公開実用新案公報)の第1図および第3図に、スライダー9が支持部材7に拘持されている技術が開示されており、既に知られている技術である。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、仮に「スライダーを支持部材の拘持部に拘持させること」が既に知られている技術であるとしても、前記「6.2 本件考案2について」で述べたように、そもそも本件考案1が、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえないのであるから、請求人の上記主張は、本件考案2に関する進歩性の判断を左右するものではない。

6.4.8 主張8
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「クランク部材8は、制御部材5(リフト部材に相当)の側板に、ヒンジピン7と固定ピン9により一体に固定されていて、ヒンジピン7を支点に制御部材5と共に回動し、該ヒンジピン7を支点に旋回する位置に受圧ピン(作動部材に相当)が設けられている。
一方、リフト部材の側板は、支持ピンを支点に回動し、該支持ピンを支点に旋回する位置に作動部材が設けられている。
従って、甲第1号証の「クランク部材8」は、本件考案の「リフト部材の両側板」に相当する。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、前記「6.1.2 判断」の相違点1についてで述べたように、「クランク部材8」は「リフト部材の両側板」には相当しないのであるから、請求人の主張は失当である。

6.4.9 主張9
請求人は、口頭審理陳述要領書において、
「甲第1号証の受圧ピン10は、制御部材5の側板に一体に固定されたクランク部材8の、ヒンジピン7を支点に旋回する位置に、設けられると共に、圧縮コイルスプリング13の一端側を押圧して、制御部材5の回動と圧縮コイルスプリング13の弾力とを連動せしめる。
一方、本件考案の「作動部材」は、リフト部材の、支持ピンを支点に旋回する位置に、設けられると共に、圧縮コイルスプリングの一端側を押圧して、リフト部材の回動と圧縮コイルスプリングの弾力とを連動せしめる。
従って、甲第1号証の「受圧ピン10」は、本件考案の「作動部材」に相当する。」
旨主張している。

上記主張について検討すると、前記「6.1.1 対比」の対応関係1で述べたように、単独の部材としてとらえた場合には、刊行物1考案の「受圧ピン10」は、本件考案の「作動部材」に相当するものであるといえる。

しかしながら、前記「6.1.1 対比」の対応関係5で述べたように、刊行物1考案の「制御部材5の軸着側には、クランク部材8が制御部材5と一体に構成されると共に、このクランク部材8はヒンジピン7,7に回動自在に軸着され、クランク部材8の支点を越えた側に受圧ピン10,10が取り付けられ、」という「制御部材5」に関連する構成と、本件考案1の「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられた作動部材」とは、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置に取り付けられた作動部材、である点で共通するものの、その具体的な取り付け位置が「クランク部材8」であるか、「リフト部材の両側板」であるかという点で相違するものであるから、本件考案1の「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置の両側板間に取り付けられた作動部材」は、「このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回動時に前記支持ピンを支点に旋回する位置に取り付けられた作動部材」に相当するということはできない。

よって、請求人の上記主張は採用することができない。

7.むすび
以上のとおりであるから、審判請求人の主張する理由及び証拠によっては、本件考案1ないし3に係る考案についての実用新案登録を無効とすることはできない。
審判請求に関する費用については、平成15年5月23日法律第47号附則第12条により改正された、平成5年改正法附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、同法附則第4条第2項において「表」で読み替えて得られる、旧実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項においてさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-03-25 
結審通知日 2008-03-27 
審決日 2008-04-10 
出願番号 実願平5-27998 
審決分類 U 1 113・ 121- Y (G03B)
U 1 113・ 113- Y (G03B)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 江塚 政弘
植野 孝郎
登録日 1999-06-11 
登録番号 実用新案登録第2598506号(U2598506) 
考案の名称 原稿圧着板開閉装置  
代理人 鈴木 征四郎  
代理人 伊藤 捷雄  
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