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審決分類 審判    F21Q
管理番号 1193739
審判番号 無効2007-400007  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-10-24 
確定日 2009-02-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第3128143号実用新案「電球式カーライト」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3128143号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯

平成18年10月13日 出願
(実願2006-8342号)
平成18年12月 6日 設定登録
(登録第3128143号、請求項の数:4)
平成19年 8月23日 実用新案技術評価請求書
平成19年 9月10日 実用新案技術評価書作成日
平成19年10月24日 登録無効の審判請求
(無効2007-400007号)
平成20年 3月 3日 答弁書、訂正書(請求項1,3,4を削除) 平成20年 3月 6日 本権の登録の訂正
(請求項1,3,4削除の登録日)

平成20年 6月13日 無効理由通知(発送日)

第2 審判請求の概要、被請求人の答弁等

1.請求人・劉 美珍は、本件登録実用新案は、甲第1号証又は甲第3号証に記載された考案であるから、また、甲第1号証又は甲第3号証に記載された考案並びに甲第4号証乃至甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第1項第3号若しくは同法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件考案(請求項1?4に係る考案)に係る実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである旨主張し、証拠として、以下の甲第1号証?甲第7号証を提示した。

甲第1号証:台湾実用新案登録M281838号
甲第2号証:台湾実用新案登録M281838号の英語翻訳文
(実は、本件考案の英語翻訳文を誤って添付している)
甲第3号証:特開2001-155512号公報
甲第4号証:特開2001-307518号公報
甲第5号証:特開2006- 66176号公報
甲第6号証:特開2001-266608号公報
甲第7号証:実用新案登録第3128143号の技術評価書

2.被請求人(実用新案権者)・帝崗國際企業有限公司は、答弁書と同日付けで提出した訂正書において請求項1,3,4を削除する訂正をし、答弁書において、本件実用新案登録に係る考案は、甲第1?6号証に記載された考案または周知技術に基づいてきわめて容易に考案できたものではないから、実用新案法第3条第1項第3号若しくは同条第2項の規定には該当しないので、無効にされるべき理由はない旨主張し、本件審判の請求は成り立たないとの審決を求めた。
なお、答弁書には乙第1号証として甲第1号証の日本語訳が添付されている。

第3 本件考案

被請求人が平成20年3月3日に提出した訂正書によると、請求項1,3,4を削除する訂正がなされた。この訂正は、実用新案法第14条の2第7項で規定する請求項の削除を目的としたものであるから適法な訂正(登録日:平成20年3月6日)である。
上記訂正によると、請求項を削除した結果、設定登録時の請求項2が新たな請求項1として独立請求項の形式で残された。訂正後の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という)は、次のとおりのものと認める。

「ライト台と、
ライト台上に設置する電球と、
電球に被せ、更にライト台に設置し、複数個の穿孔を貫設するライトフ レームと、
ライト台に設置するライト外枠体と、を備えるLED視覚効果のある電 球式カーライトにおいて、
ライトフレームの穿孔に透光体が設置され、透光体は透明材質であり、 球体状であり、
前記ライトフレームの穿孔は、周辺に錐形状壁面が設置されている
ことを特徴とする電球式カーライト。」

第4 当審における無効理由通知

訂正後の新たな請求項1に係る考案(本件考案)に対して、当審において平成20年6月10日付けで当事者双方に本審決の末尾に転記したとおりの無効理由を通知した。
上記無効理由の概要は、本件考案は、甲第1号証刊行物に記載された考案(甲第1号証考案)並びに引用例に記載された技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるというものである。
甲第1号証刊行物: 台湾実用新案登録M281838号
引 用 例: 特開2006-222029号公報

この無効理由通知に対して期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、被請求人(実用新案権者)からは何らの応答もない。
そして、あらためて上記の無効理由を検討しても、当該無効理由は妥当なものと認められる。

第5 むすび

以上によれば、本件考案は、甲第1号証考案並びに引用例に記載された技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものであるから、同法第37条第1項第2号に該当し、本件考案に係る実用新案登録は当審において平成20年6月10日付けで通知した上記の無効理由によって無効とされるべきものである。
審判に関する費用は、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項で更に準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。


当審において平成20年6月10日付けで当事者双方に通知した
【無効理由通知書】の内容は、以下のとおりである。

1.手続の経緯
平成18年10月13日 出願
平成18年12月 6日 設定登録
(登録第3128143、請求項の数:4)
平成19年 8月23日 実用新案技術評価請求書
平成19年 9月10日 実用新案技術評価書作成日
平成19年10月24日 登録無効の審判請求
平成20年 3月 3日 答弁書、訂正書(請求項1,3,4を削除) 平成20年 3月 6日 本権の登録の訂正
(請求項1,3,4削除の登録日)

2.本件考案
平成20年3月3日付けの訂正書により、実用新案登録請求の範囲の請求項1,3,4が削除(登録日:同年3月6日)された。
請求項を削除した結果、当初の請求項2が新たな請求項1として残った。
したがって、本件登録実用新案第3128143号の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という)は、次のとおりのものである。
被請求人は、新たな請求項1とするにあたり、従属形式であったものを独立形式に書き換えたものとしている。
なお、便宜上構成要件をA?Fの符号を用いて分説した。

【請求項1】
A ライト台と、
B ライト台上に設置する電球と、
C 電球に被せ、更にライト台に設置し、複数個の穿孔を貫設するライ トフレームと、
D ライト台に設置するライト外枠体と、を備えるLED視覚効果のあ る電球式カーライトにおいて、
E1 ライトフレームの穿孔に透光体が設置され、
E2 透光体は透明材質であり、
E3 球体状であり、
F 前記ライトフレームの穿孔は、周辺に錐形状壁面が設置されている ことを特徴とする電球式カーライト。

3.引用刊行物とその記載事項
本件無効審判請求書に添付された本願の出願前に頒布された刊行物である台湾実用新案登録M281838号(甲第1号証、公報発行日:2005年(平成17年)12月1日)の第6頁13行?第7頁9行には、以下の技術事項が記載されている。
上記箇所を摘記するにあたっては、原文ではなく、被請求人が乙第1号証(甲第1号証の日本語翻訳文)として提出した日本語翻訳文で記載した。

【0007】
「まず、第1?3図を参照していただきたい。本発明のカーライトがライトハウジング(1)の前方に1個の反射カバー(2)を設置し、当該反射カバー(2)の前端面に光線を反射することができる複数の反射面(21)を備え、反射カバー(2)の前側にランプ(3)を組み付け、さらに反射カバー(2)の前方に1個のパッチ(4)を設置し、かつパッチ(4)の中央箇所に1個の透光カバー(41)を設置する。透光カバー(41)の周囲に前側から後ろにかけてへこんで碗状になった造形の、後端に空洞穿孔(421)を備えた複数の反射溝部(42)を形成し、同時に各反射溝部(42)が設置された方向が反射力バー(2)の各反射面(21)に対応しており、それによってランプ(3)の光線が反射カバー(2)の各反射面(21)に反射した後、確実にこれと対応する反射溝部(42)の穿孔(421)箇所に投射され、また当該反射溝部(42)の端面上に光線を反射することができる数多くの反射面(422)を備え、かつ反射溝部(42)の後端内壁箇所に突出したストッパー部(423)を有し、さらに、1個の透光板(43)が前記穿孔(421)中に組み付けられ、その周壁上にはめ込み溝(431)を有し、穿孔(421)箇所のストッパー部(423)と対応してかみ合うようになっており、透光板(43)を反射溝部(42)中に定位固定し、最後にパッチ(4)前側に1個の透光ライトカバー(5)をはめ込んで覆いかぶせている。」
【0008】
「これによって、ランプ(3)が発行するとき、その光線が反射カバー(2)の各反射面(21)に反射した後、一部の光線が直接透光カバー(41)を経由して投射され、また別の部分の光線が反射溝部(42)の穿孔(421)箇所に投射され、反射溝部(42)の穿孔(421)箇所に組み付けられた透光板(43)を通過し、通過した光線がさらに反射溝部(42)端面上の反射面(422)に反射し、光線が外部に投射されることによって、当該カーライトは数個の発光ダイオードが発光しているような効果を生み出す。」

ここで、発光ダイオードとは、略してLEDとも表現するから、また、透光板(43)は、「ランプ(3)が発光するとき、その光線が反射カバー(2)の各反射面(21)に反射した後、別の部分の光線が透光板(43)を通過し」との記載から透明材質であるといえるから、第1?3図とともに上記記載事項を総合すると、甲第1号証刊行物には、

「A ライトハウジング(1)と、
B ライトハウジング上に設置するランプ(3)と、
C ランプに被せ、更にライトハウジングに設置し、複数個の空洞穿孔 (421)を貫設するパッチ(4)と、
D ライトハウジングに設置する透光ライトカバー(5)と、を備える 発光ダイオード(LED)視覚効果のあるランプ式カーライトにおい て、
E1 パッチ(4)の空洞穿孔(421)に透光板(43)が設置され 、
E2 透光板(43)は透明材質であり、
e3 平板状であり、
f 前記パッチ(4)の空洞穿孔は、周辺に碗状の反射溝部(42)が 設置されているランプ式カーライト。」
に関する考案(以下「甲第1号証考案」という)が記載されているものと認められる。

また、当審において発見された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-222029号公報(出願公開日:平成18年8月24日、以下「引用例」という)には、以下の技術事項が記載されている。

【0001】
「本発明は、車両用ライト装置及び該ライト装置を備えた自動車,自動二輪車等の車両に関する。」
【0015】
「上記リヤカバー11の後壁面に本発明の一実施形態であるテールライト装置20が配設されている。・・・・」
【0018】
「上記テールライト25は、1つのランプバルブ(光源)27と、該ランプバルブ27からの光を反射するインナレンズ28と、該ランプバルブ27及びインナレンズ28を覆うアウタレンズ29とを備えている。・・・・」
【0019】
「・・・・アウタレンズ29は略平板状をなしており、上記インナレンズ28の開口部28bに嵌合装着されている。」
【0023】
「上記アウタレンズ29の外周部には、複数の凸部(光透過部)29cが上記ランプバルブ27を中心とする同心円上に位置し、かつ等角度間隔をなすように形成されている。具体的には9個の凸部29cが40度間隔毎に形成されている。」
【0026】
「本実施形態では、アウタレンズ29の外周部に後方に膨出する複数の凸部29cが所定角度間隔をあけて形成され、インナレンズ28に上記各凸部29cに向かってランプバルブ27からの光cを集光する集光部28eが形成されている。そのため、上記ランプバルブ27からの光cは、インナレンズ28の各集光部28eの凹状溝28dにより上記各凸部29cに向かうよう反射集光され、各凸部29cに向かって照射されることとなる。これにより、1つのランプバルブ27でありながら、9つの光源を備えているかの如き外観を得ることができ、・・・・」
【0027】
「上記外観の向上を、上記アウタレンズ29に凸部29cを形成し、インナレンズ28に集光部28eを形成するという簡単な構成で実現できる。・・・・」
【0031】
「また上記各凸部29cを略半球状に形成したので、各凸部29cの形状自体が光源の如き外観を有することとなり、この点からも見栄えを向上できる。」
【0034】
「・・・・凸部29cをアウタレンズに一体形成したが、・・・凸部29cはアウタレンズと別部品として形成し、これをアウタレンズに接着,溶着等により取り付けてもよい。」

4.考案の対比
本件考案と甲第1号証考案とを対比すると、甲第1号証考案の「ライトハウジング(1)」、「ランプ(3)」、「空洞穿孔(421)」、「パッチ(4)」、「透光ライトカバー(5)」及び「透光板(43)」は、それぞれ、本件考案の「ライト台」、「電球」、「穿孔」、「ライトフレーム」、「ライト外枠体」及び「透光体」に相当するものである。
そうすると、両者は、

A ライト台と、
B ライト台上に設置する電球と、
C 電球に被せ、更にライト台に設置し、複数個の穿孔を貫設するライ トフレームと、
D ライト台に設置するライト外枠体と、を備えるLED視覚効果のあ る電球式カーライトにおいて、
E1 ライトフレームの穿孔に透光体が設置され、
E2 透光体は透明材質であり、
f 前記ライトフレームの穿孔の周辺に壁面が立設されている電球式カ ーライト。

に関する考案である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。

<相違点1>
透光体に関して、本件考案が、球体状であるのに対して、甲第1号証考案では、平板状である点
<相違点2>
ライトフレームの穿孔の周辺に立設した壁面が、本件考案では、錐形状壁面であるのに対して、甲第1号証考案では、碗状の壁面(42)である点

5.相違点の検討
上記相違点について検討する。

<相違点1>について
引用例の段落【0002】、【0003】にも記載されているように、これらの記載を参照すると、引用例に記載の実施形態のものもLED(発光ダイオード)のような光源を備えているかの如き外観を呈するものであるといえるから、引用例には、本件考案と同様の技術分野の車両用ライト装置(カーライト)が記載されているといえる。
そうすると、引用例に記載の車両用ライト装置は、図6?8に示されているように光源としてランプバルブ(電球)を用い、ランプバルブ27からの光cが一旦集光部28eで反射され、その後、略半球状の各凸部29cに向かうよう反射集光されて各凸部29cに向かって照射された結果、1つのランプバルブ27でありながら、9つの光源を備えているかの如き外観を得ることができるものであるから、引用例に記載の略半球状(本件考案でいう球体状に相当)に形成された各凸部(光透過部)29cを甲第1号証考案の透明材質からなる平板状の透光板(43)に代えて採用し、本件考案でいう透光体を球体状とすることは当業者にとって困難なことではない。
したがって、上記相違点1でいう本件考案の構成とすることは当業者にとってきわめて容易に想到し得たことというべきである。

<相違点2>について
本件考案は、錐形状壁面とすることにより、透光体が球体状であることと相俟って光線を集める効果を高めて全体的に均一の明るさを呈するものであるところ、上記<相違点1>についてのところで検討したように、甲第1号証考案でも引用例を参酌して平板状の透光板(43)を球体状とすることによって碗状の壁面(42)と相俟って本件考案と同様の効果が得られるものであることを考慮すると、結局、甲第1号証考案においてパッチ(4)(本件考案のライトフレームに相当)の穿孔の周辺に立設した壁面の形状を碗状の壁面(42)とするか錐形状壁面とするかは設計的事項の範疇であり、甲第1号証考案の碗状の壁面(42)に代えて錐形状壁面を採用することは当業者にとって困難なことではない。
したがって、上記相違点2でいう本件考案の構成とすることも当業者がきわめて容易に想到できたものである。

そして、上記相違点1,2を併せ備えた結果、全体的に均一の明るさを呈し、あたかもLED視覚効果のある電球式カーライトの効果が得られるという本件考案の作用・効果について検討しても、甲第1号証考案並びに引用例に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別顕著なものといえる訳ではない。

したがって、本件考案は甲第1号証考案並びに引用例に記載された技術事項から当業者がきわめて容易に推考することができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本件考案は、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものであるから、同法第37条第1項第2号に該当し、本件考案に係る実用新案登録は無効とされるべきものである。


[付 記]
被請求人は、この無効理由通知に対して意見書を提出することはできま す。
訂正については、「請求項の削除」はできますが、「実用新案登録請求 の範囲の減縮」を目的とした訂正は、すでに訂正できる時期が過ぎている のでできません。
この点留意してください。

以 上
審理終結日 2008-08-28 
結審通知日 2008-09-02 
審決日 2008-09-29 
出願番号 実願2006-8342(U2006-8342) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (F21Q)
最終処分 成立  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 柿崎 拓
中川 真一
登録日 2006-12-06 
登録番号 実用新案登録第3128143号(U3128143) 
考案の名称 電球式カーライト  
代理人 山田 英穂  
代理人 山口 朔生  
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