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審決分類 審判    A61F
管理番号 1203678
審判番号 無効2008-400008  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-11-28 
確定日 2009-08-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第3145805号実用新案「ストーマパウチ用ベルト」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 手続の経緯
本件実用新案登録第3145805号の請求項1に係る考案についての出願は、平成20年8月7日に出願され、平成20年10月1日にその考案についての実用新案権の設定登録がなされた。この実用新案登録に対して請求人より平成20年11月28日に本件無効審判の請求がなされたが、これに対し被請求人は何らの応答をしなかった。その後当審より平成21年4月30日付けで審尋を行い、請求人より平成21年5月21日付けで回答書が提出された。

2 本件考案
本件実用新案登録第3145805号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「ストーマパウチを片手で係止自在とする係止具を備えたストーマパウチ用ベルトであって、
身体の胴部表面に巻回され、一面に第1の面ファスナが形成されているベルト本体と、
前記ベルト本体の一端に固定される第1の係止具と、
前記ベルト本体の長手方向に移動自在に保持されている第2の係止具と、
前記ベルト本体の端部に設けられた、前記ベルト本体が長手方向に折り返されたときに前記端部と重なり合う部分で、前記第1の面ファスナと係合する第2の面ファスナと、
を含む
ことを特徴とするストーマパウチ用ベルト。」

3 請求人の主張
請求人は、本件考案についての実用新案登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、本件考案は、本件実用新案登録出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、本件実用新案登録出願前に公然実施された検甲第1号証に係る考案に基いて、きわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものであると主張し、審判請求書とともに証拠方法として検甲第1号証及び甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。さらにその後当審からの審尋に対して回答書とともに証拠方法として甲第5号証及び甲第6号証を提出している。

(証拠方法)
検甲第1号証:「オストミーワンタッチベルト」
甲第1号証:写真
甲第2号証:写真
甲第3号証:コンベンションカレンダーの写し
甲第4号証:説明用カタログ
甲第5号証:パソコン画面をプリントアウトしたもの
甲第6号証:納品書の写し

4 当審の判断
検甲第1号証として提出されたものは、ベルト状のものであって、請求人の用語を用いれば、少なくとも「ベルト本体」、「第1及び第2の係止具」、「バックル」を備えた「オストミーワンタッチベルト」である。
甲第1号証の写真には、「ピースケア」との表示のある展示コーナーにおいて、人の胴体模型に白いベルトが巻かれ、該ベルトにストーマパウチ様のものが吊り下げられている状態が撮影されている。また同写真の右下部に「2008.05.10」との記載がある。
甲第2号証の写真には、人の胴体模型に白いベルトが巻かれ、その両端の係止具でストーマパウチ様のものが吊り下げられており、その上部に「オストミー ワンタッチベルト」と表示されている状態が撮影されている。また同写真の左下部に「2008.05.10」との記載がある。
甲第3号証のカレンダーの写しには、「Copyright 2003 社団法人 倉敷観光コンベンションビューロー」との表示とともに、「平成20年8月27日現在」の「平成20年度主なコンベンション開催予定」として記載された一覧表の中に、「5/9?10」の期間「第17回創傷・オストミー・失禁ケア研究会」が「倉敷市芸文館」で開催された旨記載されているものと認められる。
甲第4号証のカタログには、「オストミー ワンタッチベルト」、「株式会社 ミムロ」の表示とともに特長や品番等の表示及び写真が掲載されており、その写真には、少なくとも「ベルト本体」、「第1及び第2の係止具」、「バックル」を備えたベルトにストーマパウチ様のものが係止されている状態が撮影されている。
甲第5号証のプリントアウトしたものには、パソコン画面の表計算ソフト上に、甲第4号証のカタログとそれに重畳してエクセルファイルのプロパティとが表示されており、該プロパティには「腰痛チラシ」との表題と、エクセルファイルの格納場所として、「¥ストーマベルト関連¥チラシ用」との表示がある。さらに、作成日時として2008年4月2日及び更新日時として2008年12月5日の表示がある。
甲第6号証としては、株式会社ミムロの表示とともに、平成20年6月4日から同年8月4日までの表示がある納品書(控)5通の写しが提出されており、各納品書(控)の品名欄には「オストミーベルト」、「オストミーワンタッチベルト」の他、各種のベルト等が記載されている。

そこで、これらの証拠方法について検討すると、甲第1?3号証から、
(1)平成20年5月9日から10日の期間「第17回創傷・オストミー・失禁ケア研究会」が「倉敷市芸文館」で開催されたこと、
(2)平成20年(2008年)5月10日に、「ピースケア」との表示のある展示コーナーにおいて、人の胴体模型に白いベルトが巻かれ、その両端の係止具でストーマパウチ様のものが吊り下げられ、その上部に「オストミー ワンタッチベルト」と表示された展示物が展示されていたこと、
が一応推認される。
しかしながら、まず、上記(2)の「ピースケア」との表示のある展示コーナーがどの場所にあったものかについては甲第2及び3号証から見て取ることができず、それを示す他の証拠も提出されていない。したがって、該展示コーナーが(1)の「第17回創傷・オストミー・失禁ケア研究会」の展示コーナーであるか否かを確認することができない。そうすると、(2)の「ピースケア」との表示のある展示コーナーは、例えば不特定多数の人々が見ることができるように公然と展示されたものか否かが明らかでないから、そこで展示された「オストミー ワンタッチベルト」と表示された展示物についても公然と展示されたものか否かは明らかでない。
次に、(2)の白いベルトについて、甲第2号証の写真からは、白いベルトが「ベルト本体」と「第1及び第2の係止具」を備えていることは見て取れるが、「バックル」を備えているかどうかは明らかでない。そうすると、「ベルト本体」、「第1及び第2の係止具」のみならず、「バックル」をも備えた検甲第1号証の「オストミーワンタッチベルト」と(2)の白いベルトが同一あるいは同型のものかどうかは明らかとは言えない。
以上のとおり、「ピースケア」との表示のある展示コーナーにおいて展示された「オストミー ワンタッチベルト」と表示された展示物が公然と展示されたものか否かは明らかでないし、仮に公然と展示されたとしても、その展示物と検甲第1号証の「オストミーワンタッチベルト」とが同一あるいは同型のものかどうか明らかでないから、甲第1?3号証からは、検甲第1号証の「オストミーワンタッチベルト」が本件実用新案登録出願前に公然実施されたものとすることはできない。

次に、甲第4号証について検討すると、甲第4号証には、上記のとおり少なくとも「ベルト本体」、「第1及び第2の係止具」、「バックル」を備えたベルトが記載されており、このベルトが検甲第1号証の「オストミーワンタッチベルト」と同一あるいは同型のものである蓋然性は高いと認められる。
しかしながら、甲第4号証のカタログ自体には、それが頒布されたことや頒布された時期を示す記載はないから、このカタログが公然知られたものか、また仮に公然知られたものとしてもいつ公然知られた状態となったのかが明らかでない。
そこで、さらに当審からの審尋に対する回答書とともに提出された甲第5号証及び甲第6号証を検討する。
甲第5号証は、回答書によれば、甲第4号証のカタログファイルのプロパティを当該カタログと重畳して表示したものをプリントアウトしたものとされている。しかしながら表題を「腰痛チラシ」とする該プロパティが甲第4号証のカタログファイルのものかどうか、また表示された日付が正確なものかどうかについては確認できない。さらにそのプロパティには確かに作成日時として本件考案の出願前である2008年4月2日の日付けがあるが、その下段には更新日時として本件考案の出願後である2008年12月5日の日付けもある。そうすると、仮にこのプロパティが甲第4号証のカタログファイルのものであり、表示された日付が正確なものであるとしても、更新後の甲第4号証のカタログが、作成時のものと同じかどうかは確認できない。
よって、甲第5号証により、甲第4号証のカタログが本件考案の出願前に公然知られたものとすることはできない。
甲第6号証は、回答書によれば、甲第4号証のカタログを不特定者に頒布した結果、本件考案の出願前に受注した甲第4号証に係るオストミーベルトの納品書の写しとされている。しかしながら、まず仮に甲第6号証が甲第4号証に係るオストミーベルトの納品書であるとしても、甲第4号証に係るオストミーベルトの納品という事実が、甲第4号証のカタログが不特定者に頒布されたことを裏付けるものではない。発注者は、甲第4号証のカタログ以外の手段により甲第4号証に係るオストミーベルトの存在を知り、発注する可能性が十分あり得るし、その可能性を否定するような事情があることが窺えるわけでもないからである。
さらに、甲第6号証に示される納品書には、各種のベルトの記載があり、そのうちの「オストミーベルト」や「オストミーワンタッチベルト」が甲第4号証に係るオストミーベルトと同じものであるかどうか明らかでない。また、仮に同型のものとしても、製品の改良が行われる可能性も考えられることから、納品された「オストミーベルト」や「オストミーワンタッチベルト」が甲第4号証に係るオストミーベルトと同じものであることは確認できない。
よって、甲第6号証によっても、甲第4号証のカタログが本件考案の出願前に公然知られたものとすることはできない。
そして、甲第5号証及び甲第6号証によっても、甲第4号証のカタログが本考案の出願前に公然知られたものとすることができない以上、甲第4号証によって検甲第1号証の「オストミーワンタッチベルト」が本件実用新案登録出願前に公然実施されたものとすることはできない。

さらに、甲第1?6号証を総合したとしても、検甲第1号証の「オストミーワンタッチベルト」が本件実用新案登録出願前に公然実施されたものとすることはできない。

したがって、本件考案は、本件実用新案登録出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、本件実用新案登録出願前に公然実施された検甲第1号証に係る考案に基いて、きわめて容易に考案をすることができたものではない。

5 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件考案についての実用新案登録を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-06-19 
結審通知日 2009-06-24 
審決日 2009-07-07 
出願番号 実願2008-5519(U2008-5519) 
審決分類 U 1 114・ 121- Y (A61F)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 高木 彰
吉澤 秀明
登録日 2008-10-01 
登録番号 実用新案登録第3145805号(U3145805) 
考案の名称 ストーマパウチ用ベルト  
代理人 加藤 孝雄  
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