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審決分類 審判    G02C
管理番号 1206584
審判番号 無効2008-400007  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-10-06 
確定日 2009-10-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第3141598号実用新案「眼鏡用テンプル構造」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3141598号の請求項に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯・請求人の主張の概要
本件は、平成20年(2008年)2月28日の出願(実願2008-1108号)であって、平成20年4月16日に実用新案権の設定登録(実用新案登録第3141598号)がなされたものである。
これに対して、平成20年10月6日に審判請求人は、
(1)本件登録実用新案は、実用新案法第3条第1項第3号又は同法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。
(2)本件登録実用新案は、実用新案法第37条第1項第5号に該当し無効とすべきものである。
(3)本件登録実用新案は、パリ条約第4条の優先権を主張して請求人が行った特願2008-236462号(2008年9月16日出願)が出願公開されたときに、実用新案法第3条の2第1項の規定に違反してなされたものとなるから、実用新案法第37条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。
の上記(1)ないし(3)の無効事由を主張して、「実用新案登録3141598号は、これを無効とする。」との審決を求める無効審判を請求した。
その後、平成21年3月3日付けで被請求人に請求書副本の送達がなされるとともに、答弁指令がなされたが、指定期間を経過した後も、被請求人からは何らの応答もない。
さらに、平成21年5月28日付けで、応答期間を指定して無効理由が通知されたが、指定期間を経過した後も、被請求人からは何らの応答もない。

第2 本件考案
本件実用新案登録第3141598号の請求項1ないし3に係る考案(以下、順に「本件考案1」、「本件考案2」及び「本件考案3」という。)は、願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲、及び、図面の記載からみて、それぞれ、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載の次のとおりのものである。

「【請求項1】左右のレンズ部を備えた眼鏡本体の左右両側にヒンジ部材を介して回動可能に設けられる眼鏡用テンプル構造であって、テンプルを眼鏡本体側に連結されるテンプル本体と、モダン部が備えられたモダン部側テンプル体に分割すると共に、前記モダン部側テンプル体を前記テンプル本体に対して、連結部材により前記モダン部の先端が離間乃至近接する方向に所定角度回動可能に連結して、前記モダン部側テンプル体を前記テンプル本体に対して、弾性付勢部材により前記モダン部の先端が近接する方向に付勢させていることを特徴とする眼鏡用テンプル構造。
【請求項2】連結部材がテンプル本体に組みつけられる固定体とモダン部側テンプル体に組みつけられる回動体から構成されて、前記固定体に前記回動体を回動可能に設けると共に、弾性付勢部材がトーションスプリングから構成されて、このトーションスプリングが固定体と回動体との間に介装されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡用テンプル構造。
【請求項3】固定体及び回動体にはトーションスプリングの圧入孔がそれぞれ設けられて、これら圧入孔へのトーションスプリングの圧入により、回動体が固定体に対してトーションスプリングを介して連結されていることを特徴とする請求項2に記載の眼鏡用テンプル構造。」

第3 引用例
1 当審で通知した無効理由に引用され、本件考案の出願前に頒布された刊行物である韓国実用新案登録20-0437816号公報(以下、「引用例1」という)には、次の事項が記載されている。(日本語訳を記載した。なお、下記の「2 引用例1に記載された考案の認定」において直接関連した記載に下線を付した。)

「【課題を解決するための手段】
本考案は、前記課題を解決するために、テンプルの耳当て部(5)とテンプル本体部(4)とを分離して形成するが、一側に回転管(201)を形成し、前記回転管(201)の内側に作動孔(202)及び押圧穴(203)を順に形成し、前記回転管(201)の一側の外周に切開面からなる固定溝(204)と外径が延びて形成される凸部(205)とを形成した回転具(2)を形成し、前記回転具(2)の押圧穴(203)にバネの一端部を挿入して結合し、一側に段差部(101)を形成し、他側に固定片(105)を形成してなる固定具(1)の内側に、凸部挿入孔(102)、回転孔(103)及び押圧穴(104)を順に形成し、前記回転具(2)に結合されたバネ(3)の外側の端部を固定具(1)の押圧穴(104)に挿入し、前記固定具(1)及び前記回転具(2)がバネによって回転するように結合し、固定具(1)の回転孔(103)の内側に位置する前記回転管(201)の固定溝(204)の上部で回転孔(103)の外周を加圧する圧点(7)を形成することによって、前記固定具(1)の回転管(103)の内側で前記回転具(2)を固定することを特徴とするテンプルの耳当て部の回転装置を提供する。
【考案の効果】
本考案によれば、眼鏡の装着時に耳当て部をテンプル本体から外側に回転可能にして、装着者の耳の裏側で密着して装着されるようにすることで、眼鏡の掛け心地が良く、装着者が耳当て部の角度を調節する必要がないため、使用が便利である。また、回転装置の部品数が低減し、加工性及び組み立て性に優れているため、生産性に優れているという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面を参照して、本考案の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本考案に係るテンプルの耳当て部の回転装置の要部の分解斜視図であり、図2は、本考案に係るテンプルの耳当て部の回転装置の断面図であり、図3は、本考案に係るテンプルの耳当て部の回転装置の要部を拡大した断面図であり、図4は、本考案に係るテンプルの耳当て部の回転装置の作動時の一実施形態を示す例示図である。
すなわち、本考案は、回転管201の内側には、作動孔202及び押圧穴203が順に形成され、前記回転管201の一側の外周には、切開面からなる固定溝204と、その外径が延びて形成される凸部205とが形成される。回転具2は、バネ3が作動孔202を通って押圧穴203に押込固定される。固定具1は、一側に段差部101が形成され、他側に固定片105が形成されてなり、固定具1の内側には、凸部挿入孔102、回転孔103及び押圧穴104が順に形成される。回転具2に結合されたバネ3の外側の端部を固定具1の押圧穴104に挿入することによって固定具1と回転具2とを結合させる。固定具1の回転孔103の内側に位置する回転管201の固定溝204の上部で回転孔103の外周を加圧する圧点7を形成する。加圧された圧点7は固定溝204に挿入され、回転管201を固定具1の回転管103の内側に固定させる。
前記バネ3は、円形のそれぞれのコイルの間に隙間を形成しないことによって、回転具2を固定具1の内側で一方向にのみ回転させる。
すなわち、バネ3の一端は、固定具1に押込固定され、他端は、回転具2に押込固定される。図3に示すように、バネ3の両端の固定部の間は回転管201の作動孔202の内側に位置し、固定具1内で、バネ3を形成するコイルの解き方向にバネ3の直径が拡大しつつ、回転具2が回転し、コイルの巻き方向にバネ3を形成するコイルが密着して、回転具2が回転しない。バネ3を形成するコイルが拡張して解かれるときに、拡張するバネ3のコイルの外周が作動孔202の内壁に密着すれば、回転具2の回転が停止して、回転具2の回転量を制限する。テンプルの耳当て部5とテンプル本体4とを分離して形成することによって、テンプル本体4に固定具1が結合され、耳当て部5に回転具2が結合されれば、テンプル本体4から耳当て部5が所定角度に回転する。
一方、フレーム6にテンプルを結合させるとき、耳当て部5は、フレームの外側へ回転することが好ましく、対向する他側のテンプルは、内側に挿入されるバネ3の巻き方向を互いに逆方向に形成することによって、両側のテンプルの耳当て部は対称に作動する。」

【図1】には耳当て部回転装置の要部の分解斜視図が、【図2】には耳当て部回転装置の断面図が、【図3】には耳当て部回転装置の要部を拡大した断面図が、それぞれ記載されている。
【図4】には、耳当て部回転装置の作動時の一実施形態が記載されている。

2 引用例1に記載された考案の認定
上記記載及び図面の記載を総合勘案すれば、引用例1には、眼鏡テンプル構造に関し、
「テンプルの耳当て部5とテンプル本体4とを分離して形成し、
テンプル本体4に固定具1が結合され、耳当て部5に回転具2が結合され、
バネ3の一端は、固定具1に押込固定され、他端は、回転具2に押込固定され、固定具1内で、バネ3を形成するコイルの解き方向にバネ3の直径が拡大しつつ、回転具2が回転し、拡張するバネ3のコイルの外周が作動孔202の内壁に密着すれば、回転具2の回転が停止して、回転具2の回転量を制限し、これによって、テンプル本体4から耳当て部5が所定角度に回転し、
内側に挿入されるバネ3の巻き方向を互いに逆方向に形成することによって、両側のテンプルの耳当て部は対称に作動する眼鏡テンプル構造。」の考案(以下、「引用考案」という。)が記載されている。

3 引用例2の記載事項
当審で通知した無効理由に引用され、本件考案の出願前に頒布された刊行物である特開2002-287098号公報(以下、「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。

「【0010】図1(イ)は本発明の第一の実施例の場合の、第二テンプルが第一テンプルに格納されている状態の平面図であり、(ロ)はその一部断面正面図であり、第一テンプル1は後部に第二のテンプル格納用の空洞部3を有する柱状体4を有し、弾性変形に富む素材から形成された前記第二テンプル2は前端部にて嵌合用突起部5を有して一体的に結合され、前記第二テンプルは前端部近辺から後端部に向かい少なくとも二つ以上に上下に開いた形状に分割され、そして前記第二テンプルの殆どの部分が前記第一のテンプルの後端部から空洞部内に前記開いた形状から弾性変形されて格納され、メガネテンプルを装着する場合は、前記第二のテンプルは前記第一のテンプル後端部から引き出され、前記第二テンプルの前端部の嵌合用突起部は第一テンプルの後端部空洞内壁に設けられた嵌合用凹部6に枢支可能に嵌合され、前記少なくとも二つ以上に分割された第二テンプルの各々後端部2a,2b,は、弾性変形から解放され開いた状態に戻り、装着者の耳上側頭部から耳後ろ後頭部に掛けて当接するように設けられており、そして、図2(イ)に示された如く第一テンプル後端部に、第二テンプルを嵌合用枢支凹部6を中心に内側に廻す為の付勢手段となる突片7が設けられる事により、第二テンプル2は矢印Kの方向に回動する応力が生じ、その応力がテンプルを装着した場合、図3(イ)の矢印Lの様に第二テンプルは装着者の側頭部から後頭部を押圧する事になり、図3(ロ)の様に、耳介上部を含めて応力が三箇所S、T、U,に分散され、一箇所当たりの負担が軽くなると共に、運動によってもテンプルがずれ難くなり、簡単に不用意に外れることも無くなる。又前記第二テンプル前端部の嵌合用突起部5は上下に弾性を持たされる様にされる方がより好ましく嵌合用枢支凹部6に嵌合する。」

「【0016】図6、図7、は第一テンプルに第二テンプルを組み入れる場合又は交換する場合の説明図であって、図6の様に第一テンプル1cに第二テンプル2eを後方から組み入れた空洞部付きの柱状体をネジ9等で取り付けても良いし、又図7の様に第一テンプル1dに空洞部を一体的に設けてその後端部から第二テンプルを挿入しネジ9aで抜け防止手段を設けても良く、その方法は問わない。
【0017】図8(イ)は上記図6の場合の第一テンプル後端部の要部拡大裏面図であり(ロ)はその側面図であって、第二テンプルが格納される前の状態で、図2(ロ)に示された如く第二テンプルが装着された場合は、第二テンプルの上下開拡角度αや、図2(イ)に示された如く、内側に付勢され回動する角度βは上部穴10、下部穴11の大きさや、前方への切込みの長さLにも互いに関連して、前記第二テンプルの引き出され弾性回復された形状は、ある程度コントロールされる事が可能となる。
【0018】又、後部突片7bにバネ性の材質を使用する事や形状を変化させる事により、第二テンプルの内側への回動角度や、弾力性も変化する様になり、より一層の装着フィット感が得られる。」

5 引用例3の記載事項
当審で通知した無効理由に引用され、本件考案の出願前に頒布された刊行物である登録実用新案第3124644号公報(以下、「引用例3」という)には、次の事項が記載されている。

「【0040】ここで、本考案に係る眼鏡フレームの他の態様について説明する。図4は本考案に係る第2実施形態における眼鏡フレームの概略図である。図4(a)は第1姿勢における平面図であり、図4(b)は第2姿勢における平面図である。第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】本実施形態の眼鏡フレーム1’が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態におけるテンプル本体31および連結部材32の代わりに、一体のテンプル本体31’を用いてテンプル3’が構成される点である。より具体的には、当接部材33がテンプル本体31’の後端部31’r側に配設され、当該後端部31’rより後方に延設された部分が内方に回動可能に取り付けられる。また、姿勢保持部材34の後端部34r側が前記当接部材33の前端部33f側に連設される一方、姿勢保持部材34の前端部34f側が前記テンプル本体31’の内側かつ当接部材取り付け位置より前方に離間した位置に取り付けられる。前記姿勢保持部材34は、可撓性を有し、前記当接部材33の後端部33rが内方に向かうように前記テンプル本体31’に沿った状態に湾曲した第1姿勢(図4(a))と、当接部材33の後端部33rが外方に向かうように内方に向けて凸状に湾曲した第2姿勢(図4(b))とに切り替わる。
【0042】上記構成の眼鏡フレーム1’におけるテンプル3’によれば、眼鏡フレーム1’の前枠2に取り付けられたテンプル本体31’の後端部31’rに当接部材33が配設され、テンプル本体31’の後端部31’rより後方に延設された部分が軸部材35を介して、内方に回動可能に構成される。一方、当接部材33の前端部33f側に姿勢保持部材34の後端部34f側が連設されるとともに、姿勢保持部材34の前端部34f側がテンプル本体31’の内側であって、しかも当該テンプル本体31’の当接部材取り付け位置より前方に離間した位置に固定部材35を用いて取り付けられる。」

第4 本件考案1について
1 対比
(1) 本件考案1と引用考案を対比する。

眼鏡テンプルが、眼鏡本体の左右両側にヒンジ部を介して回動可能に連結されるものであることは技術常識であり、また、引用例1の【図4】の記載も参酌すれば、引用考案の「眼鏡テンプル構造」は、本件考案1の「左右のレンズ部を備えた眼鏡本体の左右両側にヒンジ部材を介して回動可能に設けられる眼鏡用テンプル構造」に相当し、引用考案の「テンプル本体4」及び「テンプルの耳当て部5」が、それぞれ、本件考案1の「眼鏡本体側に連結されるテンプル本体」及び「モダン部が備えられたモダン部側テンプル体」に相当することは明らかである。すると、引用考案の「眼鏡テンプル構造」において、「テンプルの耳当て部5とテンプル本体4とを分離して形成」することが、本件考案1の「テンプルを眼鏡本体側に連結されるテンプル本体と、モダン部が備えられたモダン部側テンプル体に分割する」ことに相当する。

引用考案の「テンプル本体4」に「結合され」た「固定具1」及び「耳当て部5」に「結合され」た「回転具2」は、本件考案1の「連結部材」に相当する。また、引用考案の「テンプル本体4に固定具1が結合され、耳当て部5に回転具2が結合され」、「バネ3の一端は、固定具1に押込固定され、他端は、回転具2に押込固定され、固定具1内で、バネ3を形成するコイルの解き方向にバネ3の直径が拡大しつつ、回転具2が回転し、拡張するバネ3のコイルの外周が作動孔202の内壁に密着すれば、回転具2の回転が停止して、回転具2の回転量を制限し、これによって、テンプル本体4から耳当て部5が所定角度に回転」する点が、本件考案1の「前記モダン部側テンプル体を前記テンプル本体に対して、連結部材により」「所定角度回動可能に連結」する点に相当する。

引用考案の「内側に挿入されるバネ3の巻き方向を互いに逆方向に形成することによって、両側のテンプルの耳当て部は対称に作動する」点が、本件考案1の「連結部材により前記モダン部の先端が離間乃至近接する方向に」「回動可能に連結」する点に相当する。

引用考案の「バネ3」によって「テンプル本体4から耳当て部5が所定角度に回転し」、「両側のテンプルの耳当て部は対称に作動する」ことは、本件考案1の「前記モダン部側テンプル体を前記テンプル本体に対して、弾性付勢部材により」「付勢させている」ことに相当する。

(2) 一致点
したがって、本件考案1と引用考案とは
「左右のレンズ部を備えた眼鏡本体の左右両側にヒンジ部材を介して回動可能に設けられる眼鏡用テンプル構造であって、テンプルを眼鏡本体側に連結されるテンプル本体と、モダン部が備えられたモダン部側テンプル体に分割すると共に、前記モダン部側テンプル体を前記テンプル本体に対して、連結部材により前記モダン部の先端が離間乃至近接する方向に所定角度回動可能に連結して、前記モダン部側テンプル体を前記テンプル本体に対して、弾性付勢部材により付勢させている眼鏡用テンプル構造。」の考案である点で一致し、次の点で相違する。

(3) 相違点
本件考案1では、弾性付勢部材によりモダン部側テンプル体をテンプル本体に対して付勢する方向が、「モダン部の先端が近接する方向」であるのに対して、引用考案には、その点の限定がない点。

2 当審の判断
眼鏡テンプルがテンプル本体とモダン部(当接部)側テンプルに回動可能に分離しているものにおいて、「モダン部側テンプル体をテンプル本体に対して、弾性付勢部材によりモダン部の先端が近接する方向に付勢させ」ることは、引用例2,3に記載(下線部参照)されているように周知の技術である。
したがって、引用考案においても、眼鏡テンプルが人の頭部にフィットすることを目的として、上記引用例2,3に記載の周知技術を採用し、上記相違点に係る本件考案1の特定事項を得ることは、当業者がきわめて容易に想到し得た事項である。

そして、本件考案1によってもたらされる効果は、引用考案及び引用例2,3に記載された周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

以上より、本件考案1は、引用考案及び引用例2,3に記載された周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

3 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る考案は、引用例1に記載された考案及び引用例2,3に記載された周知技術により、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本願の請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

第5 本件考案2について
引用考案は、「テンプル本体4に固定具1が結合され、耳当て部5に回転具2が結合され」、「バネ3の一端は、固定具1に押込固定され、他端は、回転具2に押込固定され」、「固定具1内で、バネ3を形成するコイルの解き方向にバネ3の直径が拡大しつつ、回転具2が回転」しており、また、上記「バネ3」は、回転方向に付勢するバネであることは明らかであるから、引用考案の「バネ3」は、トーションスプリングであるといえる。
したがって、本件考案2において特定された「連結部材がテンプル本体に組みつけられる固定体とモダン部側テンプル体に組みつけられる回動体から構成されて、前記固定体に前記回動体を回動可能に設けると共に、弾性付勢部材がトーションスプリングから構成されて、このトーションスプリングが固定体と回動体との間に介装されている」点は、すべて引用考案の特定事項であるといえる。
したがって、本願の請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案と同様に、引用例1に記載された考案及び引用例2,3に記載された周知技術により、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本願の請求項2に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

第6 本件考案3について
引用例1には、「(回転具1の)回転管201の内側には、作動孔202及び押圧穴203が順に形成され」ていること、「回転具2は、バネ3が作動孔202を通って押圧穴203に押込固定される」こと、「固定具1の内側には、凸部挿入孔102、回転孔103及び押圧穴104が順に形成される」こと、及び、「回転具2に結合されたバネ3の外側の端部を固定具1の押圧穴104に挿入することによって固定具1と回転具2とを結合させる」ことが記載されている。また、上記「第5 本件考案2について」において検討したように、上記バネ3は、トーションスプリングであるといえる。
したがって、本件考案3において特定された「固定体及び回動体にはトーションスプリングの圧入孔がそれぞれ設けられて、これら圧入孔へのトーションスプリングの圧入により、回動体が固定体に対してトーションスプリングを介して連結されている」点は、すべて引用例1に記載されている特定事項であるといえる。
したがって、本願の請求項3に係る考案は、請求項1に係る考案と同様に、引用例1に記載された考案及び引用例2,3に記載された周知技術により、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本願の請求項3に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本件実用新案登録の請求項1ないし3に係る考案は、いずれも、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号に該当するから、無効審判の請求において審判請求人が主張する無効事由を判断するまでもなく、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-08-21 
結審通知日 2009-08-31 
審決日 2009-09-11 
出願番号 実願2008-1108(U2008-1108) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (G02C)
最終処分 成立    
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 日夏 貴史
森林 克郎
登録日 2008-04-16 
登録番号 実用新案登録第3141598号(U3141598) 
考案の名称 眼鏡用テンプル構造  
代理人 杉本 勝徳  
代理人 高島 敏郎  

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