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審決分類 審判    B09B
管理番号 1214467
審判番号 無効2009-400003  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-07-24 
確定日 2010-03-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第3139358号実用新案「使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3139358号の請求項に係る考案1?6についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第3139358号は、平成19年11月28日に出願され、平成20年1月23日に実用新案権の設定登録がなされ、平成21年7月24日に請求人トータルケア・システム株式会社により本件実用新案登録の実用新案登録無効審判の請求がなされたものであって、同年8月20日付けで当審より請求書副本の送達をしたところ、実用新案法第39条第1項に係る答弁書の提出がなされなかったものである。
その後、同年11月18日付けで当審から職権による無効理由通知がなされ、これに対して被請求人からその指定期間内に何らの応答もなかったものである。

2.本件考案
本件実用新案登録の請求項1?6に係る考案(以下、「本件考案1?6」という。)は、登録された実用新案明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1?6に記載された次のとおりのものであると認める。

【請求項1】
水とポリマー分離剤と滅菌・殺菌剤が供給される分離槽と、分離槽内の処理物を攪拌する攪拌機とを備えて使用済み紙おむつからパルプ類とプラスチック類を分離して回収する分離回収装置に於て、前記分離槽には、収集体に入れられた使用済み紙おむつが投入されると共に、収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段を設けた事を特徴とする使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。
【請求項2】
収集体に入れられた使用済み紙おむつが投入されると共に水とポリマー分離剤と滅菌・殺菌剤が供給される分離槽と、分離槽を上下室に区画するスクリーンと、分離槽の上室に設けられて処理物を攪拌する攪拌機と、分離槽の下室に連通して設けられてスクリーンを通過したパルプ類を排出するパルプ類排出手段と、分離槽の上室に設けられて収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段と、分離槽の上室に連通して設けられてスクリーンを通過できないプラスチック類を自然流下で排出するプラスチック類排出手段と、から構成した事を特徴とする使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。
【請求項3】
破砕手段は、攪拌機に設けられていると共に、攪拌機の回転速度は、可変にされている請求項1又は2に記載の使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。
【請求項4】
攪拌機及び破砕手段は、スクリーンの目詰まりを防ぐべくこれの上面に近接して配置されている請求項2に記載の使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。
【請求項5】
パルプ類排出手段は、分離槽の下室に連通される排出管と、これの途中に設けられた開閉弁と、排出管に接続された回収ポンプとを備えている請求項2に記載の使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。
【請求項6】
プラスチック類排出手段は、分離槽の上室に連通される排出管と、これの途中に設けられた開閉弁とを備えている請求項2に記載の使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。

3.請求人の求めた審決及び主張
審判請求人は、実用新案登録第3139358号の請求項1?6に係る考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、下記の書証をもって以下に示す無効理由により本件実用新案登録は無効にされるべきであると主張する。

(証拠方法)
甲第1号証:「トータルケア・システム株式会社殿 紙おむつリサイクル設備新設工事 取扱説明書(リサイクル設備) 平成16年7月 田熊プラント株式会社」と題する資料
甲第2号証:インターネットホームページ(http://anzenmon.jp/page/73199)2009年7月7日印刷
甲第3号証:横浜市政記者、横浜ラジオ、テレビ記者各位宛の記者発表資料(平成18年6月28日)
甲第4号証:賞状(ウェステック大賞二〇〇六 審査委員長特別賞)の写し
甲第5号証:ウェステック大賞2006表彰式・懇親パーティーの写真の写し
甲第6号証:インターネットホームページ(http://www.totalcare-system.co.jp/wastec.html) 2009年7月7日印刷
甲第7号証:「ウェステック大賞2006【審査委員長特別賞】」と記載された資料
甲第8号証:平成18年8月23日付けの環境新聞の写し
甲第9号証:トータルケア・システム株式会社常務取締役増田俊次宛のウェステック実行委員会委員長小林康彦からの平成18年7月21日付けの書簡
甲第10号証:INDUST 231号 Vol.22 No.1 2007 49?53頁(平成19年1月5日発行)
甲第11号証:WEDGE Vol.17 No.4 APRIL 2005 108?109頁(2005年3月20日発行)
甲第12号証:平成16年5月7日付けの日刊工業新聞の写し
甲第13号証:インターネットホームページ(http://www.recycle1.com/seminarinfo/03seminar.html) 2009年7月9日印刷
甲第14号証:配付資料(エコテクノ2006オープンセミナー「環境ビジネスの最新動向と事業化の鍵」平成18年11月22日)
甲第15号証:エコテクノ2006オープンセミナーの写真の写し
甲第16号証:特許第3378204号公報
甲第17号証:実用新案登録第2523789号公報
甲第18号証:特開平6-57666号公報
甲第19号証:特開平6-299487号公報
甲第20号証:特開2006-328606号公報
付属資料1:実用新案登録第3139358号公報
付属資料2:実用新案登録第3139358号の登録原簿

(無効理由)
無効理由1.
本件実用新案登録の請求項1?6に係る考案は、本件実用新案登録に係る出願前に、請求人がラブフォレスト大牟田に平成16年7月に設置し、平成17年4月から本格稼働し、見学・展示・セミナー発表等によって公知となっていた「紙おむつリサイクルプラント」の「分離槽」の考案と同一であり、仮にそうでないとしても、この「分離槽」の考案から、または、この考案と甲第10、16?20号証に記載の考案とを組み合わせることで当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第1項第2号に該当し、または、同条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。よって、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
無効理由2.
本件実用新案登録の請求項1?6に係る考案は、甲第10、16?20号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。よって、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

4.当審無効理由通知
当審は、平成21年11月18日付けで職権による無効理由を以下のように通知した。
本件考案1?6は、本件考案の出願前に頒布されたことが明らかな刊行物である引用文献1、引用文献2及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
引用文献1:INDUST 231号 Vol.22 No.1 2007 49?53頁(平成19年1月5日発行)-請求人が提出した甲第10号証
引用文献2:WEDGE Vol.17 No.4 APRIL 2005 108?109頁(2005年3月20日発行)-請求人が提出した甲第11号証

5.当審の判断
5-1.引用文献に記載の考案
5-1-1.引用文献1には、次の事項が記載され、視認される。
(1-1)「訪問したのはラブ・フォレスト大牟田(・・・・・・)と言い福岡県の大牟田エコタウン内にある。その施設の設置者は福岡市・・・・・・のトータルケア・システム(株)であって」(49頁左欄17?21行)
(1-2)「ゼリー状のポリマーから脱水するのに最適な薬剤として、塩化カルシウムなどを混ぜると吸収剤から水分が抜けて、簡単に分離する」(50頁右欄8?11行)
(1-3)「3 ラブ・フォレストの紙おむつリサイクルシステム
・・・・・・施設のフローを図3に・・・・・・示す。
すなわち使用済紙おむつは、紙おむつ回収袋により回収車で工場に搬入され、貯留ピットに投入されるが、一般廃棄物の処理プラントと同様に供給クレーンで分離槽に定量供給される。分離槽は故紙の再生プロセスに使用されているハイドロパルパーとも言われる水中破砕機状のもので、前述の塩化カルシウム溶液を送入してパルプとプラスチックなどに分離される。
ビニールなどは脱水してリサイクルされるが、パルプは分離スクリーンで上質パルプと低質パルプに分離される。上質パルプは・・・・・・紙おむつやモウルド・防火版などのリサイクル品として利用される・・・・・・低質パルプは・・・・・・土壌改良剤として利用される。」(51頁右欄5行?52頁左欄23行)
(1-4)「図3 ラブ・フォレスト大牟田のフローチャート」には、分離槽の側面からビニール脱水機に向かう矢印、及び、分離槽の底面からパルプ濃度調整槽に向かう矢印が視認される。
5-1-2.引用文献2には、次の事項が記載されている。
(2-1)「それは・・・・・・分離槽と呼ばれているが、さしずめ巨大な「洗濯機」である。・・・・・・使用済の紙オムツをリサイクル装置である。
洗濯機の底には大きなドリルがある。水を注入して、ドリルを回転させると、紙オムツは攪拌されながらドリルの刃でばらばらになってしまう。
・・・・・・
工場は福岡県大牟田市のエコタウン内にある。・・・・・・建設したのは福岡市にあるトータルケア・システムである。紙オムツをリサイクルするために設立された企業だ。」(108頁上段1?20行)
(2-2)「分離槽で使う水には殺菌剤と塩化カルシウムが混ぜてある。ポリマーに取り込まれた尿は塩化カルシウムと反応して脱水される。すると、ゼリー状のポリマーは粒状になってしまう。後は、ポリマーとパルプが混じった水を回収して、比重差を利用しながらパルプを分離する。」(108頁中段18?26行)

5-2.対比・判断
5-2-1.本件考案1について
引用文献1の(1-3)には、「紙おむつリサイクルシステム」として「使用済紙おむつは、紙おむつ回収袋により回収車で工場に搬入され、貯留ピットに投入されるが、一般廃棄物の処理プラントと同様に供給クレーンで分離槽に・・・・・・供給され・・・・・・分離槽は故紙の再生プロセスに使用されているハイドロパルパーとも言われる水中破砕機状のもので、前述の塩化カルシウム溶液を送入してパルプとプラスチックなどに分離され」それぞれリサイクルされることが記載されているといえる。
(あ)ここで、「紙おむつ回収袋により回収車で工場に搬入され、貯留ピットに投入されるが、一般廃棄物の処理プラントと同様に供給クレーンで分離槽に・・・・・・供給され」ることは、紙おむつ回収袋に入れられた使用済み紙おむつが分離槽に供給クレーンで供給されることに他ならない。
(い)また、「分離槽」は「ハイドロパルパーとも言われる水中破砕機状のもので」あるが、ハイドロパルパー、すなわち、パルパーとは、水と故紙を一緒に攪拌して剪断力を作用させ故紙の繊維をほぐしてスラリー状の破砕片混合物を得るものであるから(要すれば、請求人が提出した甲第20号証である特開2006-328606号公報の【0016】など参照)、上記分離槽は槽内に攪拌手段及び水中破砕手段を有するものとみることができる。
そして、上記(あ)の検討をあわせてみると、紙おむつ回収袋に入れられた使用済み紙おむつが上記分離槽に供給クレーンで供給されるといえる。
これら(あ)、(い)の検討に基づいて、上記(1-3)の記載を、本件考案1の記載ぶりに則して整理して記載すると、引用文献1には、
「塩化カルシウム溶液が供給される分離槽と、分離槽内に攪拌手段とを備えて使用済み紙おむつからパルプとプラスチックなどに分離してリサイクルする使用済み紙おむつリサイクルシステムに於いて、前記分離槽には、紙おむつ回収袋により入れられた使用済み紙おむつが供給クレーンで供給されると共に、紙おむつ回収袋に入れられた使用済紙おむつを破砕する水中破砕手段を設けた使用済み紙おむつリサイクルシステム。」の考案(以下「引用考案」という。)が記載されていると認める。

そこで、本件考案1と引用考案とを対比する。
(か)引用考案では「塩化カルシウム溶液が供給される分離槽」及び「分離槽には・・・・・・使用済み紙おむつを破砕する水中破砕機」を有しているから、「分離槽」には水が供給されていることは明らかである。
(き)引用考案の「使用済み紙おむつリサイクルシステム」は「使用済み紙おむつからパルプとプラスチックなどに分離してリサイクル」されており、リサイクルのためには使用済み紙おむつからパルプとプラスチックなどに分離して回収しなくてはならないから、引用考案の「分離してリサイクル」は本件考案1の「分離して回収する」ことである。
(く)引用考案の「パルプとプラスチックなど」は本件考案1の「パルプ類とプラスチック類」に相当することは明らかである。
(け)引用考案の「紙おむつ回収袋」、「使用済み紙おむつが供給クレーンで供給される」は、それぞれ、本件考案1の「収集体」、「使用済み紙おむつが投入される」に相当する。
(こ)引用考案の「攪拌手段」、「水中破砕手段」は、それぞれ、本件考案1の「分離槽内の処理物を攪拌する攪拌機」及び「収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段」に相当する。
(さ)引用考案の「リサイクルシステム」は、上記(き)において検討したように「分離して回収する」ものであるから、本件考案1の「分離回収装置」に相当し、また、上記(こ)において検討したように引用考案は「収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段」に相当するものを有するから、引用考案の「リサイクルシステム」は、本件考案1の「使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置」に相当するともいえる。
そうすると、両者は、
「水が供給される分離槽と、分離槽内の処理物を攪拌する攪拌機とを備えて使用済み紙おむつからパルプ類とプラスチック類を分離して回収する分離回収装置に於て、前記分離槽には、収集体に入れられた使用済み紙おむつが投入されると共に、収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段を設けた使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。」である点で一致し、次の点で相違している。
相違点A:本件考案1では分離槽に「ポリマー分離剤と滅菌・殺菌剤」が供給されるのに対し、引用考案では「塩化カルシウム」が供給されている点
そこで、この相違点Aについて検討する。
・ポリマー分離剤について
ポリマー分離剤について本件明細書の記載をみてみると、【0026】には「使用済み紙おむつAが破砕されると、外装Bと不織布Cと吸収紙DとパルプEとポリマーFとに分離される。分離されたポリマーFは、水Hを吸収してゲル状となる性質を有するが、ポリマー分離剤Iと接触する事で吸収した水分を分離・排出すると共に、その機能が阻止され、分離槽2での攪拌分離が容易に行われる。」と記載されている。この記載をみると、「ポリマー分離剤」はゲル状となったポリマーから水分を分離・排出するためのものといえ、上記(1-2)に記載されている塩化カルシウムのもつ働きと同じである。
そうであれば、引用考案の塩化カルシウムは本件考案1のポリマー分離剤に他ならない。
・滅菌・殺菌剤について
引用文献1は、上記(1-1)及び(1-3)の記載からみて、トータルケア・システム(株)が設置した大牟田エコタウン内にあるラブ・フォレストの使用済み紙おむつリサイクルシステムに関する記載をしたものといえる。
引用文献2は、上記(2-1)の記載からみて、トータルケア・システムが建設した大牟田エコタウン内にある使用済み紙オムツをリサイクル装置に関する記載をしたものといえる。
そうであれば、引用文献1も2も同一の使用済み紙おむつリサイクルシステム(装置)に係る記載であるとみることができる。そこで、引用文献2の記載をみてみると上記(2-2)において、「分離槽に使う水には殺菌剤と塩化カルシウムが混ぜてある」と記載されていることから、引用考案において、分離槽には殺菌剤が供給されているとみることができる。ここで、殺菌剤と滅菌・殺菌剤は共に無菌にするための薬剤であり同じものとみることができる。
よって、引用考案においても引用文献1には明示がないものの引用文献2の記載を参照すれば滅菌・殺菌剤が分離槽に供給されているといえる。
また、仮に、引用文献1と2がそれぞれ異なる使用済み紙おむつリサイクルシステム(装置)に係る記載であるとしても、両者は共に同じ技術分野である使用済み紙おむつリサイクルに係る記載であるから、引用文献2に記載の事項を引用文献1に記載のものに適用することは当業者であれば困難なくなし得たことである。
以上より、この相違点Aは、実質的なものではなく本件考案1と引用考案は同じであり、本件考案1に係る実用新案登録は実用新案法第3条第1項に違反してなされたもの、あるいは、本件考案1は引用考案を基に当業者であればきわめて容易になし得たものであり、その実用新案登録は実用新案法第3条第2項に違反してなされたものである。

5-2-2.本件考案2について
上記(か)?(さ)の検討に加え、
(し)「使用済み紙おむつからパルプとプラスチックなどに分離してリサイクルする」ためには、引用文献1には明言されていないものの、引用考案は、パルプ類を排出するパルプ類排出手段、プラスチック類を排出するプラスチック類排出手段を有していることは明らかであり、このことは上記(1-4)の視認事項からも窺える。
以上を踏まえ、本件考案2と引用考案を対比すると、両者は、
「収集体に入れられた使用済み紙おむつが投入されると共に水が供給される分離槽と、処理物を攪拌する攪拌機と、パルプ類を排出するパルプ類排出手段と、収集体と使用済み紙おむつを破砕し得る破砕手段と、プラスチック類排出手段と、から構成した使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置。」である点で一致し、次の点で相違している。
相違点B:本件考案2では分離槽に「ポリマー分離剤と滅菌・殺菌剤」が供給されるのに対し、引用考案では「塩化カルシウム」が供給されている点
相違点C:本件考案2が、分離槽を上下室に区画するスクリーンを有しているのに対し、引用考案はかかるスクリーンを有しているか不明である点
相違点D:攪拌機につき、本件考案2では分離槽の上室に設けられているのに対し、引用考案では分離槽に設けられてはいるが上室かどうかは不明である点
相違点E:パルプ類排出手段につき、本件考案2では分離槽の下室に連通して設けられてスクリーンを通過したパルプ類を排出するものであるのに対し、引用考案ではかかる事項を有するか否か不明である点
相違点F:プラスチック類排出手段につき、本件考案2では分離槽の上室に連通して設けられてスクリーンを通過できないプラスチック類を自然流下で排出するものであるのに対し、引用考案ではかかる事項を有するか否か不明である点
そこで、これら相違点について検討する。
・相違点Bについて
相違点Bは相違点Aと同じであるから、その検討結果は相違点Aの検討のところで述べたとおりである。
・相違点C及びDについて
ハイドロパルパー、すなわち、パルパーなる分離槽において、分離槽の内部を上下室に区画するスクリーンを設けること、及び、攪拌手段である攪拌機をこの上室に設けることは、故紙のリサイクルにおいて共に周知技術であるから、引用考案においてかかる周知技術(要すれば、実願昭58-77835号(実開昭59-181900号)のマイクロフィルム、特開平6-57666号公報、実用新案登録公報第2523789号公報、特開2007-84968号公報を参照。)を採用することは当業者ならば格別の困難なくなし得ることである。
・相違点Eについて
パルプ類は分離槽を上下室に区画するスクリーンの下部から排出させることも周知技術(要すれば、実願昭58-77835号(実開昭59-181900号)のマイクロフィルム、特開平6-57666号公報、実用新案登録公報第2523789号公報を参照。)であるから、分離槽の下室に連通して設けられてスクリーンを通過したパルプ類を排出するパルプ類排出手段を設けることも当業者ならば格別の困難なくなし得ることである。
・相違点Fについて
プラスチック類は比重が軽いために分離槽の上室に浮遊するから(要すれば、特開2007-84968号公報の【0031】を参照。)、これを排出するために、分離槽の上室に連通して設けられてスクリーンを通過できないプラスチック類を自然流下で排出するプラスチック類排出手段を設けることも当業者ならば格別の困難なくなし得ることである。
よって、本件考案2は、引用考案を基に当業者であればきわめて容易になし得たものであり、その実用新案登録は、実用新案法第3条第2項に違反してなされたものである。

5-2-3.本件考案3について
本件考案3は、本件考案1または2に対して、さらに、「破砕手段は、攪拌機に設けられていると共に、攪拌機の回転速度は、可変にされている」という特定事項を加えるものであるところ、パルパーなる分離槽において、破砕手段を攪拌機に設けること、及び、攪拌機の回転速度は可変とすることは共に周知技術(要すれば、特開平6-57666号公報、特表平6-504327号公報を参照)であるから、破砕手段を攪拌機に設けること、及び、攪拌機の回転速度を可変にすることは、当業者であればきわめて容易になし得たものである。
よって、本件考案3の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項に違反してなされたものである。

5-2-4.本件考案4について
本件考案4は、本件考案2に対して、さらに、「攪拌機及び破砕手段は、スクリーンの目詰まりを防ぐべくこれの上面に近接して配置されている」という特定事項を加えるものであるところ、分離槽内において、攪拌手段である攪拌機及び破砕手段をスクリーンの上面に近接して配置することは周知技術(要すれば、実願昭58-77835号(実開昭59-181900号)のマイクロフィルム、特開平6-57666号公報、実用新案登録公報第2523789号公報、特開2007-84968号公報を参照。)であり、当業者であればきわめて容易になし得たものである。
よって、本件考案4の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項に違反してなされたものである。

5-2-5.本件考案5について
本件考案5は、本件考案2に対して、さらに、「パルプ類排出手段は、分離槽の下室に連通される排出管と、これの途中に設けられた開閉弁と、排出管に接続された回収ポンプとを備えている」という特定事項を加えるものであるところ、かかる特定事項は、例えば、実用新案登録公報第2523789号公報の2頁左欄4?8行に記載されているように周知のものであって、当業者であればきわめて容易になし得たものである。
よって、本件考案5の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項に違反してなされたものである。

5-2-6.本件考案6について
本件考案6は、本件考案2に対して、さらに、「プラスチック類排出手段は、分離槽の上室に連通される排出管と、これの途中に設けられた開閉弁とを備えている」という特定事項を加えるものであるところ、かかる特定事項は、例えば、実願昭58-77835号(実開昭59-181900号)のマイクロフィルムの5頁及び図面に記載されているように周知のものであって、当業者であればきわめて容易になし得たものである。
よって、本件考案6の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項に違反してなされたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件考案1?6は、引用文献1、引用文献2及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条が準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-01-18 
結審通知日 2010-01-21 
審決日 2010-02-02 
出願番号 実願2007-9156(U2007-9156) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (B09B)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 木村 孔一
斉藤 信人
登録日 2008-01-23 
登録番号 実用新案登録第3139358号(U3139358) 
考案の名称 使用済み紙おむつ用破砕分離回収装置  
代理人 杉本 丈夫  
代理人 杉本 丈夫  
代理人 杉本 丈夫  
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