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審決分類 審判    D04D
管理番号 1222904
審判番号 無効2009-400005  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-11-10 
確定日 2010-08-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第3148760号実用新案「結びもの」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
平成20年12月15日に、名称を「結びもの」とする考案について実用新案登録出願(実願2008-8769号)がされ、平成21年2月4日に、実用新案登録第3148760号として設定登録を受けた(請求項の数6)。
これに対して、請求人から本件実用新案登録について本件無効審判の請求がされた。
その手続の経緯は、以下のとおりである。
平成21年11月10日付け 審判請求書・甲第1号証ないし甲第4号証
提出(請求人)
同年12月18日付け 手続補正書(方式)提出 (請求人)
甲第1号証及び甲第3号証を証拠方法
から削除
平成22年 1月 6日付け 手続補正書(方式)提出(請求人)
同年 3月15日付け 答弁書・訂正書提出(被請求人)
同年 3月25日 登録の訂正
同年 4月13日付け 無効理由通知
同年 5月12日付け 訂正書提出(被請求人)
同年 5月18日 登録の訂正
同年 6月22日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)
同日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)
同年 7月 6日 口頭審理

第2 本件考案
本件については、平成22年3月25日に実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲及び明細書の訂正を内容とする本件登録の訂正がされ、さらに同年5月18日に実用新案登録請求の範囲第1項、第2項及び第6項の削除を訂正の内容とする本件登録の訂正がされた(請求項の数3。以下、その実用新案登録を「本件実用新案登録」といい、その明細書、実用新案登録請求の範囲及び図面を「本件実用新案登録明細書」という。)。
そうすると、本件実用新案登録に係る考案は、平成22年3月25日及び同年5月18日に本件登録の訂正がされた実用新案登録請求の範囲に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項3】前記連結部材は、接着テープ又は両面テープであることを特徴とする請求項1に記載の結びもの。
【請求項4】前記連結部材は、前記束紐の両端に設けられた連結部と、両連結部にそれぞれ挿通した紐部材と、前記両連結部の間に配設される連結板とからなり、両方の前記紐部材を前記連結板の挿通孔に挿通させてから結束したものであることを特徴とする請求項1に記載の結びもの。
【請求項5】前記連結部材は、前記束紐の紐巾と略半幅に形成される切れ目同士を互いに嵌合して止着されているものであることを特徴とする請求項1に記載の結びもの。」

そして、請求項3ないし5は、それぞれ「請求項1」を引用して記載されており、その「請求項1」は、「複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなる」と書き替えると、上記請求項3ないし請求項5は以下のとおりとなる。
「【請求項3】複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなり、前記連結部材は、接着テープ又は両面テープであることを特徴とする結びもの。
【請求項4】複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなり、 前記連結部材は、前記束紐の両端に設けられた連結部と、両連結部にそれぞれ挿通した紐部材と、前記両連結部の間に配設される連結板とからなり、両方の前記紐部材を前記連結板の挿通孔に挿通させてから結束したものであることを特徴とする結びもの。
【請求項5】複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなり、前記連結部材は、前記束紐の紐巾と略半幅に形成される切れ目同士を互いに嵌合して止着されているものであることを特徴とする結びもの。」(以下、それぞれ項番順に「本件訂正考案3」ないし「本件訂正考案5」といい、また、これらをあわせて「本件訂正考案」ということがある。なお、本件審判請求時の請求項1ないし請求項6に係る考案を、同じく、それぞれ「本件考案1」ないし「本件考案6」という。)

なお、請求項1には「連結部材若しくは弾性部材とを備え」る、と記載されており、さらに「前記弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなる」と記載されている。そして、請求項3ないし5は、請求項1の考案特定事項の一部である「連結部材」を限定する記載となっていることからすると、「連結部材」と「弾性部材」とは、別々の態様を表していることは明らかである。
また、本件実用新案登録明細書を参酌すると、段落【0029】に「・・・この第2実施例に係る結びものは、環状体又は輪ゴム5に代わって、平ゴム紐(連結部材)6を使用する。」と、段落【0032】に「・・・この第3実施例に係る結びものは、環状体又は輪ゴム5に代わって、接着テープ又は両面テープ7(連結部材)を使用する。」と、段落【0034】には「・・・この第4実施例に係る結びものは、環状体又は輪ゴム5に代わって、束紐3、3の両端に設けられた連結部4、4と、両連結部4、4にそれぞれ挿通した紐部材8、8と、両連結部4、4の間に配設される連結板9とからなる(連結部材)。」と、段落【0036】には「・・・この第5実施例に係る結びものは、環状体又は輪ゴム5に代わって、束紐3の紐巾と略半幅に形成される切れ目11、11同士を互いに嵌合して止着されるものである(連結部材)。・・・」と、さらに【符号の説明】においても、「5 環状体又は輪ゴム(弾性部材)」、「6 平ゴム紐(連結部材)」、 「7 接着テープ又は両面テープ(連結部材)」と記載されていることからみても、「連結部材」と「弾性部材」とは、別の態様を表していることは明らかである。
すなわち、本件訂正考案3ないし5は、「連結部材若しくは弾性部材」のうち、「弾性部材」を選択した場合において、束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなる「弾性部材」を備えたもの、と解するのが相当である。
さらに、本件訂正考案3は、「連結部材若しくは弾性部材」のうち、「連結部材」を選択した場合において、接着テープ又は両面テープである「連結部材」を備えたもの、本件訂正考案4も、「連結部材若しくは弾性部材」のうち、「連結部材」を選択した場合において、束紐の両端に設けられた連結部と、両連結部にそれぞれ挿通した紐部材と、前記両連結部の間に配設される連結板とからなり、両方の前記紐部材を前記連結板の挿通孔に挿通させてから結束したものである「連結部材」を備えたもの、本件訂正考案5も、「連結部材若しくは弾性部材」のうち、「連結部材」を選択した場合において、束紐の紐巾と略半幅に形成される切れ目同士を互いに嵌合して止着されているものである「連結部材」を備えたもの、と解するのが相当である。

第4 当事者の主張の概要、及び当事者が提出した証拠方法
1 請求人の主張する無効理由の概要、及び請求人が提出した証拠方法
(1)請求人は、請求の趣旨の欄を「実用新案登録第3148760号は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」とし、大略以下の無効理由を主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した(なお、審判請求書について、平成21年12月18日付け及び平成22年1月6日付けの手続補正により無効理由を確認するとともに、証拠方法から甲第1号証と甲第3号証を削除している。)
上記請求の趣旨の「実用新案登録第3148760号」の記載は、正確には、「本件実用新案登録第3148760号の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし請求項6に係る考案の本件実用新案登録」であるといえる(各請求項に係る考案についての実用新案登録を、各「本件実用新案登録1」ないし「本件実用新案登録6」という。)。
これらによれば、審判請求時における請求人の主張する無効理由は、以下のとおりであると認められる。
本件考案1ないし本件考案6は、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第2号証又は甲第4号証に記載された考案で、実用新案法第3条第1項第3号に該当するため、実用新案登録を受けることができないものであるから、本件実用新案登録1ないし本件実用新案登録6は、同条の規定に違反してされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(平成22年1月6日付けの審判請求書の手続補正書の2ないし5ページ「7.請求の理由」の欄)
請求人の提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第2号証:実用新案登録第3016416号
甲第4号証:実用新案登録第3080200号

(2)上記「第2」で示したように、本件については、平成22年3月25日に、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲及び明細書の訂正を内容とする本件登録の訂正がされ、さらに同年5月18日付けで実用新案登録請求の範囲第1項、第2項及び第6項の削除を訂正の内容とする本件登録の訂正がされたのであるから、本件考案1、2、6に対する上記無効理由はなくなった。
一方、本件訂正考案3ないし5は、本件考案3ないし5の考案特定事項から、「環状体」が削除されただけであるから、本件審判請求の無効理由は、上記無効理由における本件考案3ないし5を、それぞれ、本件訂正考案3ないし5と読み替えたものであるということができる。
また、請求人は、口頭審理陳述要領書において、「1.陳述の要旨」として、「本件実用新案登録請求の範囲及び明細書を訂正されても、訂正考案と引用考案A及び引用考案Bとの主要な構成要件は基本的には全く同一と解すべきである。」とし、証拠方法として、参考資料1を提出している。
参考資料1:広辞苑
なお、請求人は、口頭審理陳述要領書において、「3.陳述の補充」として、意見の補充を行っているが、平成22年7月6日に行った口頭審理において、この意見については撤回されている。また、参考資料2が提出されているが、「3.陳述の補充」中で引用する資料であるため、この参考資料2も証拠方法から削除されたものとみなせる。

(3)以上によれば、請求人の主張する無効理由は、以下のとおりと認められる。
「本件訂正考案3ないし本件訂正考案5は、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第2号証又は甲第4号証に記載された考案で、実用新案法第3条第1項第3号に該当するため、実用新案登録を受けることができないものであるから、本件実用新案登録3ないし本件実用新案登録5は、同条の規定に違反してされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。」

2 被請求人の主張の概要
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、請求人の主張する本件審判請求の無効理由のいずれにも理由がない旨の主張をしている。なお、被請求人は証拠方法を提出していない。

第5 当審の判断
当審は、上記無効理由は理由がないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

1 刊行物、参考資料及び刊行物、参考資料の記載
(1)甲第2号証:実用新案登録第3016416号
甲第2号証(以下、「刊行物1」という。)は、平成7年10月3日に日本国内又は外国において頒布されたものであって、本件実用新案登録の出願の日(平成20年12月15日)前に頒布された刊行物であることは明らかである。そして、刊行物1には、以下の記載がある。
・摘示事項1A:「複数の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材を介して止着されていることを特徴とする結びもの。」(【請求項1】)
・摘示事項1B:「 他方、前記弾性部材4は、前記束紐3の紐幅と略同幅に形成されると共に、前記束紐3と同色で、かつ、束紐3の表面に現出した筋線模様と連続した溝線等の表面模様を有する帯状バンドを使用し、図3乃至図4に示すように、前記束紐3との重合部分に連結部材5を介して止着している。」(段落【0025】)
・摘示事項1C:「この連結部材5は、透明若しくは半透明のポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂材からなる両端開口の管体からなり、両端の開口からそれぞれ束紐3と弾性部材4とを挿着してその遊端側を互いに重合させ、然る後、ホットプレス等の適宜手段にて熱処理を施すことにより、斯かる連結部材5は収縮して両部材を堅固に溶着するものである。」(段落【0026】)
・摘示事項1D:「

」(【図4】)

(2)甲第4号証:実用新案登録第3080200号
甲第4号証(以下、「刊行物2」という。)は、平成13年9月14日に日本国内又は外国において頒布されたものであって、本件実用新案登録の出願の日(平成20年12月15日)前に頒布された刊行物であることは明らかである。そして、刊行物2には、以下の記載がある。
・摘示事項2A:「複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結孔を介して止着されたゴム紐からなることを特徴とする結びもの。」(【請求項1】)
・摘示事項2B:「 一方、結び目2は、上掲した水引を接合状態に並列させた標準的巾の帯紐で所謂「淡路結び」と称される結び目に結び上げており、別体の束紐3を摺動自在に挿通させていると共に、その遊端に連結孔4,4介してゴム紐5が止着されている。
また、連結孔4は、束紐3の遊端側に紙製の連結代4aを介して穿設されており、ゴム紐5を挿通することにより、束紐3を環状に連結させている。 ゴム紐5は、図2に示すように、単純に挿通させても良いものであるが、図3に示すように、両端に抜止部5a,5aを設けて止着するのが良い。」(段落【0031】?【0033】)
・摘示事項2C:「

」(【図2】)

(3)参考資料1
参考資料1には、以下の記載がある。
・摘示事項3A:「だん・せい【弾性】(elasticity)」外部から力を加えられて形や体積に一定の限度内の変化を生じた物体が、力を取り去ると再びもとの状態に回復する性質。・・・-たい【弾性体】弾性を有する物体。ゴムのような弾性を示す限界の特に大きいものを指していうこともある。・・・」(第1528ページ)
・摘示事項2B:「わ・ゴム【輪-】包み紙の上にかけたり、物を束ねたりする時などに用いる輪状のゴム。ゴム・バンド」(第2573ページ)

2 刊行物に記載された考案
(1)刊行物1
刊行物1には、「複数の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材を介して止着されていることを特徴とする結びもの。」(摘示事項1A)と記載されていることから、刊行物1には、
「複数の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材を介して止着されていることを特徴とする結びもの。」
の考案(以下、「引用考案A」という。)が記載されている。

(2)刊行物2
刊行物2には、「複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結孔を介して止着されたゴム紐からなることを特徴とする結びもの。」(摘示事項2A)と記載されていることから、刊行物2には、
「複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材とを備えてなる結びものにおいて、前記弾性部材は、前記束紐に連結孔を介して止着されたゴム紐からなることを特徴とする結びもの。」
の考案(以下、「引用考案B」という。)が記載されている。

3 検討
(1)本件訂正考案3について
ア 引用考案Aとの対比・判断
(ア)対比
本件訂正考案3と引用考案Aとを対比すると、引用考案Aは、弾性部材を備えてなるものであるから、本件訂正考案3の「連結部材若しくは弾性部材」とを備えてなるもののうち、「弾性部材」を備えてなる態様に相当する。 そして、引用考案Aの「合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材」は、本件訂正考案3の「連結部」の下位概念にあたる。
そうすると、両者は、
「複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された弾性部材と備えてなる結びものにおいて、弾性部材は、束紐に連結部を介して止着されている」ものである点で一致しているのに対し、次の点で相違する。
a-i)弾性部材が、本件訂正考案3は、「輪ゴム」からなるのに対し、引用考案Aは、具体的に規定されていない点(以下、「相違点a-i)」という。)

(イ)相違点の検討
本件訂正考案3の弾性部材は、「輪ゴム」に限定されているものであるところ、「輪ゴム」とは、請求人が提出した参考資料1によれば、「包み紙の上にかけたり、物を束ねたりする時などに用いる輪状のゴム。」(摘示事項3B)と定義されるものである。
これに対し、引用考案Aの「弾性部材」とは、引用考案Aが記載されている刊行物1の記載を参酌すると、「他方、前記弾性部材4は、・・・帯状バンドを使用し、図3乃至図4に示すように、前記束紐3との重合部分に連結部材5を介して止着している。」(摘示事項1B)と記載されているように、具体的には、「帯状バンド」である。帯状バントとは、図面(摘示事項1D)に見られるように平らで、端のあるゴムであって、輪ゴムとは明らかに異なるものであるから、両者は同一のものとも認められない。また、引用考案Aが記載されている刊行物1のその他の記載を参酌しても、引用考案Aの「弾性部材」が「輪ゴム」のことを意味しているものとも認められない。

(ウ)小括
よって、本件訂正考案3と引用考案Aとは同一ではない。

イ 引用考案Bとの対比・判断
(ア)対比
本件訂正考案3と引用考案Bとを対比すると、両者ともに「連結部材若しくは弾性部材」を備えてなるものである。そして、引用考案Bの「連結孔」は、本件訂正考案3の「連結部」の下位概念にあたる。
そうすると、両者は、
「複数本の水引を接合状態に並列させた帯紐で所望形状に結び上げられた結び目と、該結び目の左右両端に延出すべく配設された環状の束紐と、該束紐の少なくとも一部に介在された連結部材若しくは弾性部材と備えてなる結びものであって、弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着されたものからなる」で一致しているのに対し、次のいずれかの点で相違する。
b-i)両者ともに弾性部材を備えてなる態様について、弾性部材が、本件訂正考案3は「輪ゴム」に対し、引用考案Bは「ゴム紐」である点(以下、「相違点b-i)」という。)
b-ii)両者ともに連結部材を備えてなる態様について、本件訂正考案3は、「連結部材は、接着テープ又は両面テープである」のに対し、引用考案Bは、そのような規定がされてない点(以下、「相違点b-ii)」という。)

(イ)相違点の検討
・相違点b-i)について
本件訂正考案3の弾性部材とは、「輪ゴム」であるところ、「輪ゴム」とは、請求人提出の参考資料1の摘示事項3Bによれば、「包み紙の上にかけたり、物を束ねたりする時などに用いる輪状のゴム。」と定義されるものである。これに対し、引用考案Bの「弾性部材」とは、「ゴム紐」であって、一般的に摘示事項2Cの図面にあるように一本の紐で、輪状にはなっていないから、ゴム紐と輪ゴムとは明らかに異なるものであって、両者は同一のものとは認められない。また、引用考案Bの記載されている刊行物2のその他の記載を参酌しても、引用考案Bの「ゴム紐」が「輪ゴム」のことを意味しているものとも認められない。

・相違点b-ii)について
引用考案Bには、「接着テープ又は両面テープ」を用いることが規定されていないし、また、引用考案Bの記載されている刊行物2のその他の記載を参酌しても、引用考案Bの「連結部材」が「接着テープ又は両面テープ」のことを意味しているものとも認められない。

(ウ)小括
よって、本件訂正考案3と引用考案Bとは同一ではない。

(2)本件訂正考案4について
ア 引用考案Aとの対比
本件訂正考案4と引用考案Aとを対比すると、引用考案Aは、弾性部材を備えてなるものであるから、本件訂正考案4の「連結部材若しくは弾性部材」とを備えてなるもののうち、「弾性部材」を備えてなる態様に相当するため、両者は、上記相違点a-i)でのみ相違する。
そして、上記「(1)ア(イ)」で示した理由と同じく、本件訂正考案4と引用考案Aとは同一ではない。

イ 引用考案Bとの対比
(ア)対比
本件訂正考案4と引用考案Bとを対比すると、両者ともに弾性部材を備えてなる態様ついて、上記相違点b-i)、
または、両者ともに連結部材を備えてなる態様について、
b-ii’)本件訂正考案4は、「連結部材は、前記束紐の両端に設けられた連結部と、両連結部にそれぞれ挿通した紐部材と、前記両連結部の間に配設される連結板とからなり、両方の前記紐部材を前記連結板の挿通孔に挿通させてから結束したものである」のに対し、引用考案Bは、そのような規定がされてない点(以下、「相違点b-ii’)」という。)
でのみ相違する。

(イ)相違点の検討
・相違点b-i)について
上記「(1)イ(イ)」に示したのと同じく、上記相違点b-i)におけるゴム紐と輪ゴムとは明らかに異なるものであるため、両者は、同一のものとも認められない。また、引用考案Bの記載されている刊行物2のその他の記載を参酌しても、引用考案Bの「ゴム紐」が「輪ゴム」のことを意味しているものとも認められない。

・相違点b-ii’)について
引用考案Bには、「連結部材は、前記束紐の両端に設けられた連結部と、両連結部にそれぞれ挿通した紐部材と、前記両連結部の間に配設される連結板とからなり、両方の前記紐部材を前記連結板の挿通孔に挿通させてから結束したものである」ことが規定されていないし、また、引用考案Bの記載されている刊行物2のその他の記載を参酌しても、引用考案Bの「連結部材」がその規定のことを意味するものとも認められない。

(ウ)小括
よって、本件訂正考案4と引用考案Bとは同一ではない。

(3)本件訂正考案5について
ア 引用考案Aとの対比
本件訂正考案5と引用考案Aとを対比すると、引用考案Aは、弾性部材を備えてなるものであるから、本件訂正考案5の「連結部材若しくは弾性部材」とを備えてなるもののうち、「弾性部材」を備えてなる態様に相当するため、両者は、上記相違点a-i)でのみ相違する。
そして、上記「(1)ア(イ)」で示した理由と同じく、本件訂正考案5と引用考案Aとは同一ではない。

イ 引用考案Bとの対比
(ア)対比
本件訂正考案5と引用考案Bとを対比すると、両者ともに弾性部材を備えてなる態様について、上記相違点b-i)、
または、両者ともに連結部材を備えてなる態様について、
b-ii’’)本件訂正考案5は、「連結部材は、前記束紐の紐巾と略半幅に形成される切れ目同士を互いに嵌合して止着されている」のに対し、引用考案Bは、そのような規定がされてない点(以下、「相違点b-ii’’)」という。)
でのみ相違する。

(イ)相違点の検討
・相違点b-i)について
上記「(1)イ(イ)」に示したのと同じく、上記相違点b-i)におけるゴム紐と輪ゴムとは明らかに異なるものであるため、両者は同一のものとも認められない。また、引用考案Bの記載されている刊行物2のその他の記載を参酌しても、引用考案Bの「ゴム紐」が「輪ゴム」のことを意味しているものとも認められない。

・相違点b-ii’)について
引用考案Bに、「連結部材は、前記束紐の紐巾と略半幅に形成される切れ目同士を互いに嵌合して止着されている」ことが規定されていないし、また、引用考案Bの記載されている刊行物2のその他の記載を参酌しても、引用考案Bの「連結部材」がその規定のことを意味するものとも認められない。

(ウ)小括
よって、本件訂正考案5と引用考案Bとは同一ではない。

(4)中括
したがって、本件訂正考案3ないし5は、刊行物1又は刊行物2のいずれにも記載された考案ではない。

4 請求人の主張について
(1)請求人の主張
請求人は、平成22年1月6日付け審判請求書の手続補正書の「(4)本件実用新案権を無効にすべき理由」において、
ア 「理由1:甲第2号証の引用考案と本件考案との主要な構成要件の対比は、・・・」として、「(1)まず両考案は、基本的な構成要件は同一である。・・・(2)そこで、両考案で使用されている「弾性部材」の構成を更に対比すれば、甲第2号証の引用考案の弾性部材は「前記束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材を介して止着されている」(請求項1参照)ところにあり、本件考案で使用されている弾性部材は「前記束紐に連結部を介して止着された環状体又は輪ゴムからなるところにある。(3)よって、両考案の弾性部材の「素材」を対比すれば、まず甲第2号証の引用考案の弾性部材は束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成されており、一方本件考案の弾性部材は特に素材は限定されていない。従って、本件考案の弾性部材は甲第2号証の引用考案の弾性部材より広い概念となるので、当然均等論から云えば同一部材に含まれるものと解すべきである。」(以下、「主張ア」という。)
イ 「更に、甲第4号証の引用考案と本件考案との主要な構成要件の対比は、・・・」として、「(1)まず両考案は、基本的な構成要件は同一である。・・・(2)そこで、両考案で使用されている「弾性部材」の構成を更に対比すれば、・・・「ゴム紐」と「輪ゴム」は同一手段であるから、両考案の構成要件は全く同一と解すべきである。」(以下、「主張イ」という。)
ウ 口頭審理陳述要領書の「2.陳述の理由」において、「・・・しかし、本件訂正考案と引用考案との対比で重要な点は、「連結部材若しくは弾性部材を備えてなるものであるから、そのうち「弾性部材」と「輪ゴム」の技術的な違いがあるか否かである。一般的な用語の概念からすれば「輪ゴム」は「弾性部材」の一態様にすぎず実施例として説明する場合は良いが、本考案の主要な構成要件としては前述のとおり広く「弾性部材」と解釈するのが適切かつ相当と解する。」(以下、「主張ウ」という。)と主張した。

(2)請求人の主張の検討
ア 主張アについて
請求人の主張は、引用考案Aの弾性部材が、「前記束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材」であることを前提としているものである。
しかしながら、引用考案Aの弾性部材は、「束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材を介して止着されている」と規定されているように、あくまでも、「束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材を介して止着されている」ものであって、「前記束紐との重合部分に合成樹脂等の熱可塑性素材にて形成された連結部材」そのものではない。
よって、請求人の主張は明らかに誤りである。

イ 主張イについて
「ゴム紐」と「輪ゴム」とは、「弾性部材」という「上位概念」の範疇に属するものではある。しかしながら、上記「3(1)イ(イ)・相違点b-i)について」で示したように、「ゴム紐」と「輪ゴム」とは、両者は異なるものであるから、請求人の主張するように、両考案の構成要件とは全く同一と解すべき理由はない。
よって、請求人の主張は採用できない。

ウ 主張ウについて
本件訂正考案3ないし5は、「前記弾性部材は、前記束紐に連結部を介して止着された輪ゴムからなり」と規定されているもので、上位概念である「弾性部材」において、「・・・輪ゴム」という下位概念に限定されているのであるから、本件訂正考案3ないし5を、上位概念である「弾性部材」の考案と認定することはできない。
よって、請求人の主張は採用できない。

5 無効理由についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正考案3ないし5は実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当するため実用新案登録を受けることができないものである、ということはできないから、本件実用新案登録3ないし5は、この理由によっては同条の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第37条第1項第2号に該当しない。
よって、請求人が主張する無効理由は理由がない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件実用新案登録3ないし5を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条第1項の規定において準用する特許法第169条第2項の規定を準用する民事訴訟法第61条の規定により請求人が負担とすべきものとする。
したがって、結論のとおり審決する。
審決日 2010-07-14 
出願番号 実願2008-8769(U2008-8769) 
審決分類 U 1 114・ 113- Y (D04D)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 原 健司
特許庁審判官 柳 和子
細井 龍史
登録日 2009-02-04 
登録番号 実用新案登録第3148760号(U3148760) 
考案の名称 結びもの  
代理人 特許業務法人東京アルパ特許事務所  
代理人 唐木 浄治  
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