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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  B43K
審判 一部無効 4項(134条6項)独立特許用件  B43K
管理番号 1224807
審判番号 無効2007-800163  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-15 
確定日 2010-09-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2573636号「筆記具のクリップ取付装置」の実用新案登録無効審判事件についてされた平成20年10月2日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の決定(平成20年(行ケ)第10408号平成21年2月12日決定言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2573636号の請求項1、2、5に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1.手続の経緯
平成 5年11月26日 出願(実願平5-71336号)
平成10年 3月20日 設定登録(実用新案登録第2573636号)
平成19年 1月19日 訂正審判請求
(訂正2007-390006号)
平成19年 3月20日 訂正2007-390006号の審決
(訂正認容、平成19年3月30日確定)
平成19年 8月15日 本件無効審判請求
(無効2007-800163号)
平成19年11月15日 答弁書及び訂正請求書の提出
平成20年 1月31日 訂正拒絶理由通知
無効理由通知
平成20年 3月 4日 意見書及び訂正請求書の提出
平成20年 4月11日 弁駁書の提出
平成20年 6月12日 口頭審理陳述要領書及び
口頭審理陳述要領書(2)(請求人)の提出
口頭審理陳述要領書及び上申書(被請求人)
の提出
口頭審理
訂正拒絶理由通知
平成20年 6月30日 意見書、上申書(1)及び上申書(2)
(被請求人)の提出
平成20年10月 2日 審決(訂正認容、請求成立)
(以下「第1審決」という。)
平成20年10月31日 審決取消訴訟
(平成20年(行ケ)第10408号)
平成20年12月26日 訂正審判請求
(訂正2009-390001号)
平成21年 2月12日 取消決定(差し戻し決定)
平成21年 4月 1日 訂正請求のための期間指定通知
平成21年 4月 3日 参加申請書(株式会社電通)の提出
平成21年 4月16日 訂正2009-390001号の請求書に
添付された全文訂正明細書を援用する訂正
(以下「再訂正」という。)がなされたもの
とみなされる。
平成21年 5月12日 参加拒否の決定(参加許可)
平成21年 6月26日 弁駁書(請求人)の提出
平成21年 6月29日 弁駁書(参加人)の提出
平成21年 7月13日 訂正拒絶理由通知
平成21年 8月14日 意見書(被請求人)
平成21年 9月30日 上申書(被請求人)

第2.審判請求の概要・被請求人の答弁等
1.請求人の主張
(1)第1審決前の主張
請求人株式会社高島屋は、本件の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求め、甲第1?4号証及び参考資料を提出した。

a.無効理由1
本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、実用新案法第5条第5項第2号の規定に規定する要件を満たしていないものであり、無効とすべきである。
b.無効理由2
本件実用新案登録の請求項1、2、5に係る考案は、実用新案法第5条第4項の規定する要件を満たしていないものであり、無効とすべきである。
c.無効理由3
本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、無効とすべきである。
d.無効理由4
本件実用新案登録の請求項2に係る考案は、甲第1号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、無効とすべきである。
e.無効理由5
本件実用新案登録の請求項5に係る考案は、甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定により、無効とすべきである。

甲第1号証:実願昭54-64953号(実開昭55-166689号)のマイクロフィルム
甲第2号証:実願昭60-104255号(実開昭62-11687号)のマイクロフィルム
甲第3号証:実願昭56-176453号(実開昭58-82291号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実願昭60-116920号(実開昭62-25591号)のマイクロフィルム

平成20年3月4日付け訂正請求について、訂正を認めないこと及び本件の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求め、仮に、訂正が認められるとしても、訂正後の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求めた。

(2)第1審決後の主張
再訂正を認めないこと及び本件の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求め、仮に、訂正が認められるとしても、訂正後の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求め、甲第5?26号証を提出した。

a.訂正が認められない理由1
再訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではなく、また、訂正目的要件を満たしていない。
b.訂正が認められない理由2
仮に、再訂正が願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、訂正目的要件も満たしているとしても、訂正後の請求項3、4及び6に係る考案は、甲第5号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、独立して実用新案登録を受けることができないものである。
c.訂正が認められない理由3
仮に、再訂正が願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、訂正目的要件も満たしているとしても、訂正後の請求項3、4及び6に係る考案は、甲第6号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、独立して実用新案登録を受けることができないものである。
d.無効理由6
仮に、訂正が認められるとしても、訂正後の請求項1、2及び5に係る考案は、甲第5号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、無効とすべきである。
e.無効理由7
仮に、訂正が認められるとしても、訂正後の請求項1、2及び5に係る考案は、甲第6号証に記載された考案及び周知技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、無効とすべきである。

甲第5号証:実願昭53-158472号(実開昭55-73388号)のマイクロフィルム
甲第6号証:意匠登録第709131号公報
甲第7号証:実公昭33-10122号公報
甲第8号証:実公昭34-12110号公報
甲第9号証:実願昭46-41989号(実開昭48-3337号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実願昭51-134640号(実開昭53-52841号)のマイクロフィルム
甲第11号証:実願昭51-172155号(実開昭53-89841号)のマイクロフィルム
甲第12号証:実願昭50-168659号(実開昭52-81231号)のマイロフィルム
甲第13号証:実願昭62-149297号(実開昭64-55088号)のマイクロフィルム
甲第14号証:実願昭51-56795号(実開昭52-148126号)のマイクロフィルム
甲第15号証:実願平2-96826号(実開平4-54891号)のマイクロフィルム
甲第16号証:実願平2-100254号(実開平4-58384号)のマイクロフィルム
甲第17号証:実願平3-57783号(実開平5-2991号)のCD-ROM
甲第18号証:実願平4-76500号(実開平6-32090号)のCD-ROM
甲第19号証:実願昭54-179433号(実開昭56-95895号)のマイクロフィルム
甲第20号証:実願昭46-84127号(実開昭48-41335号)のマイクロフィルム
甲第21号証:昭和2年実用新案出願公告第3935号公報
甲第22号証:特開平2-289269号公報
甲第23号証:実願平2-73955号(実開平4-32886号)のマイクロフィルム
甲第24号証:実願昭60-151720号(実開昭62-59458号)のマイクロフィルム
甲第25号証:特開昭55-11830号公報
甲第26号証:特開平4-25499号公報

2.被請求人の主張
(1)第1審決前の主張
被請求人株式会社壽は、上記請求に対する答弁書において、本件審判の請求は成り立たないとの審決を求め、平成19年11月15日付け訂正請求による訂正後の請求項1、2、5に係る考案には、無効理由1?5がない旨主張した。
平成20年1月31日付け当審の訂正拒絶理由通知及び同日付け無効理由通知に対し、平成20年3月4日付け訂正請求による訂正後の請求項3、4、6に係る考案は、独立して実用新案登録を受けることができるものであり、訂正後の請求項1、2、5に係る考案には、無効理由がない旨主張し、平成20年6月12日付け上申書で、参考資料(陳述書2通、平成20年6月12日の口頭審理において、参考資料とする旨、審判長が告げた。)を提出した。
平成20年6月12日の口頭審理において、口頭で通知された訂正拒絶理由に対し、平成20年3月4日付け訂正請求による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、訂正目的要件も満たしている旨主張し、乙第1?6号証を提出した。

乙第1号証:実公平2-21272号公報
乙第2号証:実開平4-132991号公報
乙第3号証:実願平4-14874号(実開平5-74883号)のCD-ROM
乙第4号証:実開平1-131577号公報
乙第5号証:実開平1-139593号公報
乙第6号証:実開平1-132777号公報

(2)第1審決後の主張
再訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、訂正目的要件も満たしており、実用新案登録請求の範囲を実質的に拡張し変更するものでもなく、再訂正後の請求項3、4、6に係る考案は、独立して実用新案登録を受けることができるものであり、再訂正後の請求項1、2、5に係る考案には、無効理由がない旨主張し、平成21年7月13日付け訂正拒絶理由通知に対し、再訂正後の請求項3、4、6に係る考案は、独立して実用新案登録を受けることができるものであり、再訂正後の請求項1、2、5に係る考案には、無効理由がない旨主張し、乙第7号証を提出し、平成21年9月30日付け上申書で乙第8号証を提出した。

乙第7号証:実験報告書
乙第8号証:実験報告書2

3.参加人の主張
参加人株式会社電通は、再訂正を認めないこと及び本件の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求め、仮に、訂正が認められるとしても、訂正後の請求項1、2及び5に係る考案についての実用新案登録を無効とすることを求め、丙第1、2号証を提出した。

丙第1号証:大辞林
丙第2号証:特開平8-127194号公報

第3.再訂正の内容
再訂正により訂正しようとする内容は、以下の通りである。

訂正事項A:実用新案登録無効審判の請求がされている請求項1の、
「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、クリップ片の裏側と一体に形成されて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」
の記載を、
「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成される一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、
前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、
クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものであることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」(下線は訂正箇所を示し、訂正2009-390001号の請求書に添付された全文訂正明細書において付されたとおりである。以下、同様。)
と訂正する。
訂正事項B:実用新案登録無効審判の請求がされている請求項2の、
「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成されて成り、前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」
の記載を、
「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成ることを特徴とする請求項1の筆記具のクリップ取付装置。」
と訂正する。
訂正事項C:実用新案登録無効審判の請求がされている請求項5の、
「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成されて成り、前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」
の記載を、
「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成ることを特徴とする請求項1の筆記具のクリップ取付装置。」
と訂正する。
訂正事項D:請求項2を引用し、当該請求項2に係る考案を特定する事項の全部をその考案を特定する事項としている、実用新案登録無効審判の請求がされていない請求項3についての、上記訂正事項Bによる請求項2の訂正に伴う訂正。
訂正事項E:請求項3を引用し、当該請求項3に係る考案を特定する事項の全部をその考案を特定する事項としている、実用新案登録無効審判の請求がされていない請求項4についての、上記訂正事項Bによる請求項2の訂正に伴う訂正。
訂正事項F:請求項5を引用し、当該請求項5に係る考案を特定する事項の全部をその考案を特定する事項としている、実用新案登録無効審判の請求がされていない請求項6についての、上記訂正事項Cによる請求項5の訂正に伴う訂正。

第4.訂正の適否について
1.訂正目的について
(1)訂正事項Aについて
訂正事項Aは、請求項1に係る考案に関して、「クリップ片」について「割れ目のない」と減縮し、「筆記具のクリップ取付装置」について「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され」及び「前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」と減縮することを目的とするものである。

(2)訂正事項Bについて
訂正事項Bは、請求項1を引用し、「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成る」という発明特定事項を付加したものである。
このように請求項1を引用したことにより、実質的に訂正前の請求項2に係る考案に関して、「筆記具のクリップ取付装置」について「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」と減縮することを目的とするものである。

(3)訂正事項Cについて
訂正事項Cは、請求項1を引用し、「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成る」という発明特定事項を付加したものである。
このように請求項1を引用したことにより、実質的に訂正前の請求項5に係る考案に関して、「筆記具のクリップ取付装置」について「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」と減縮することを目的とするものである。

(4)訂正事項D、E、Fについて
請求項3、4、6は訂正の前後でその記載に何らの変更はなく、訂正事項D、E、Fは、上記訂正事項A、B、Cによる請求項1、2、5の訂正に伴ってなされた訂正であるから、実質的に訂正前の請求項3、4、6に係る考案に関して、「筆記具のクリップ取付装置」について「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」と減縮することを目的とするものである。

2.独立登録要件
実用新案登録無効の審判の請求がされていない請求項についての訂正が実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正を含むものであるときは、平成5年法律第26号附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされ、平成15年法律第47号附則第12条で改正された平成5年法律第26号附則第4条第2項によって読み替えられた実用新案法(以下、単に「読替実用新案法」という。)第40条の2項第5項において読み替えて準用する同法39条第5項の規定に適合しているか否かが判断されるから、上記訂正事項D、E、Fによる訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項3、4、6に係る考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものか否かを検討する。

上記訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項3、4、6に係る考案(以下、「再訂正考案3」、「再訂正考案4」、「再訂正考案6」という。)を独立形式で書き下すと以下の通りである。

再訂正考案3:「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成される一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、
前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、
クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものであり、
前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成り、
前記回転防止手段が、前記筆記具本体におけるリング取り付け個所の外周面に形成された多角形状部と、前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」

再訂正考案4:「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成される一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、
前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、
クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものであり、
前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成り、
前記回転防止手段が、前記筆記具本体におけるリング取り付け個所の外周面に形成された多角形状部と、前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成り、
前記筆記具本体の多角形状部と筆記具本体の外周面との間に径方向の段差を形成して成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」

再訂正考案6:「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成される一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、
前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、
クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものであり、
前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成り、
前記抜落防止手段が、前記筆記具本体のリングの取り付け個所の後端に形成されたリブであることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。」

(1)引用例
本件の出願日前に頒布され、平成21年7月13日付け訂正拒絶理由で引用された実願昭53-158472号(実開昭55-73388号)のマイクロフィルム(甲第5号証、以下、「引用例」という。)には、再訂正考案3、4、6に関連する事項として、それぞれ以下の事項が図示とともに記載されている。

a.「金属クリツプと、筒体を通す非金属装着環とからなり、金属クリツプは脚杆の片端を裏側に折返えして取付片を形成すると共に、その取付片に係合辺を形成して構成し、非金属装着環は高分子物質環体に突壁を対峙突設すると共に、その突壁間に支持壁を架設して構成し、その装着環の支持壁を金属クリツプの脚杆と取付片とで挟むと共に金属クリツプの係合辺を非金属装着環の突壁又は支持壁に係合せしめた筆記具のクリツプ装置。」(実用新案登録請求の範囲)
b.「本考案は筆記具のクリップ取付装置の改良に関する。
筆記具の軸筒又はキヤツプ等の筒体を通す装着環に脚杆を同一体に形成したクリツプは周知であるが、その周知のクリツプは、金属板を利用して装着環と脚杆とを同一体につくり、脚杆を装着環の表側に折曲加工した構造のものと、合成樹脂で装着環と脚杆とを同一体につくつた構造のものとの2種がある。ところが、前者は筆記具に着脱する際や使用中に装着環が動いて、装着環によつて軸筒又はキヤツプ等の筒体表面にひつかききずのようなきずをつけることが多くなる不利があり、後者は脚杆がバネ性に欠けて締付け力に劣る欠点があつた。」(第1頁第16行?第2頁第行11行)
c.「金属クリツプ(A)は脚杆(1)の片端を裏側に折返えして取付片(2)を同一体に折曲形成し、その取付片の末端又は両側縁に係合辺(3)を形成することにより構成する。」(第3頁第2?6行)
d.「第3図、第4図に示す係合辺(3)は、同図の如く非金属装着環(B)の支持壁(7)の末端に係合せしめ」(第3頁第12?14行)
e.「非金属装着環(B)は硬質合成樹脂、硬質ゴム質等の高分子物質で環体(4)をつくると共に、突壁(6)を外向に対峙突設せしめて同一体に設け、その突壁間には支持壁(7)を同一体に架設し、高分子物質環体(4)の内面に筒体(5)の表面に圧接する縦長突条(8)又は凸起(図示せず)を数箇所設けて、取付け後の動きを防止し、筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成する。非金属装着環(B)は高分子分質でつくられるから、筒体(5)にひつかききずのようなきずをつける惧れが少ない。」(第4頁第5行?第15行)
f.「筒体(5)は筆記具の軸筒又はキヤツプであつて、非金属装着環(B)を通し、金属クリツプ(A)の脚杆先端を筒体(5)の表面に弾圧接せしめる。」(第4頁第16行?第18行)
g.「金属クリツプは金属脚杆と取付片とで、非金属装着環の支持壁を挟み、かつ取付片の係合辺を非金属脚杆の突壁又は支持壁に係合するから、金属クリツプが非金属装着環から、使用中に脱落する惧が解消し、取付けを強固なものとなしえる利点がある。」(第5頁第10行?第15行)
h.「第1図は本考案クリツプ装置を備えた筆記具の斜視図」(第6頁第6?7行)
i.第1図から、筆記具のクリップ装置が非金属装着環(B)の高分子物質環体(4)部分に筒体(5)の後部が通され取り付けられていることが看取できる。また、脚杆(1)が割れ目のないものであることが看取できる。

上記fに「筒体(5)は筆記具の軸筒又はキヤツプであつて」と記載されているから、筒体(5)として筆記具の軸筒である筒体を想定できる。また、上記引用例は、「筆記具のクリップ装置」に係るものであるが、前記筆記具の軸筒である筒体と「筆記具のクリップ装置」とから成るものを想定でき、それを「筆記具のクリップ取付装置」と称することができる。
そうすると、上記a?hの記載を含む引用例には、以下の考案が記載されているものと認められる。
「筆記具の軸筒である筒体5と、この筒体5の後部に取り付けられる筆記具のクリップ装置とから成り、この筆記具のクリップ装置は、金属クリツプAと、筒体5を通す非金属装着環Bとからなり、金属クリツプAは割れ目のない脚杆1の片端を裏側に折返えして取付片2を形成すると共に、その取付片2に係合辺3を形成して構成し、非金属装着環Bは高分子物質環体4に突壁6を対峙突設すると共に、その突壁6間に支持壁7を架設して同一体に設け、その装着環Bの支持壁7を金属クリツプAの脚杆1と取付片2とで挟むと共に金属クリツプの係合辺3を非金属装着環Bの支持壁7に係合せしめたものであり、
筆記具のクリップ装置は、非金属装着環Bの高分子物質環体4部分に筒体5の後部が通され取り付けられている筆記具のクリップ取付装置。」(以下、「引用例考案」という。)

(2)再訂正考案3についての対比判断
再訂正考案3と引用例考案とを対比すると、引用例考案の「筆記具の軸筒である筒体5」、「筆記具のクリップ装置」及び「高分子物質環体4」は、それぞれ再訂正考案3の「筆記具本体」、「クリップ」及び「(Cリング形状の)取付リング」に相当する。
引用例考案の「突壁6」の内、支持壁7より高分子物質環体4側の部分(以下、「突壁6のリング側部」という。)は、「突壁6」から「突壁6のリング側部」を除いた部分(以下、「突壁6の非リング側部」という。)、「支持壁7」及び「金属クリップA」を接続する機能を有していることは明らかであるから、再訂正考案3の「接続手段」に相当する。
引用例考案の「筆記具のクリップ装置」は、「非金属装着環Bは高分子物質環体4に突壁6を対峙突設すると共に、その突壁6間に支持壁7を架設して同一体に設け、その装着環Bの支持壁7を金属クリツプAの脚杆1と取付片2とで挟むと共に金属クリツプの係合辺3を非金属装着環Bの支持壁7に係合せしめたものであ」るから、支持壁7を金属クリツプAの脚杆1と取付片2とで挟むことにより係合され、「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」全体は、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)をポケット等に取り付ける機能を有すると共に、「突壁6のリング側部」によって「高分子物質環体4」(取付リング)に接続されるから、再訂正考案3の「クリップ片」と、「クリップ機能を有する被接続部」の点で共通する。
引用例考案の「筆記具のクリップ装置は、非金属装着環Bの高分子物質環体4部分に筒体5の後部が通され取り付けられている」ものであるから、「高分子物質環体4」は、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)に筆記具のクリップ装置(クリップ)を取り付けるためのものといえる。
引用例考案の「突壁6」は、「高分子物質環体4」に「対峙突設する」ものであり、「突壁6のリング側部」も対峙突設しているから、「突壁6のリング側部」は、二分割されたものといえるとともに、「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」(クリップ機能を有する被接続部)と高分子物質環体4(取付リング)とは二分割された接続手段によってのみ接続されるといえ、高分子物質環体4(Cリング形状の取付リング)の両開放端から外方に延出しているものといえる。
引用例考案の「突壁6の非リング側部」及び「支持壁7」は、「突壁6のリング側部」(接続手段)を広げないように拘束することは明らかであるから、引用例考案の「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」と再訂正考案3の「割れ目のないクリップ片」とは、接続部分の間隔を広げることのないクリップ機能を有する被接続部の点で共通し、「突壁6のリング側部」(接続手段)は、接続部分の間隔を広げることのないクリップ機能を有する被接続部の裏側と一体に形成されているといえる。また、「突壁6のリング側部」(接続手段)の間隔は、「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」(クリップ機能を有する被接続部)の裏側の幅よりも狭く形成されているものといえる。
引用例考案は、「突壁6間に支持壁7を架設して同一体に設け」られているものであるから、「突壁6のリング側部」(接続手段)は、「突壁6の非リング側部」及び「支持壁7」によって拘束され、「突壁6のリング側部」(接続手段)の接続部分の間隔を広げることのないものであり、接続部分を除いた部分において「突壁6のリング側部」間が広がり、それにともなって高分子物質環体4の内径が広がることは明らかであるから、引用例考案は、「突壁6のリング側部」(接続手段)の間隔を広げることのない「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」(クリップ機能を有する被接続部)の二分割された「突壁6のリング側部」(接続手段)との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された「突壁6のリング側部」(接続手段)の広がりにより高分子物質環体4(取付リング)の内径を広げて、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)に取り付けられるものであるといえる。
したがって、両者の一致点と相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ機能を有する被接続部と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ機能を有する被接続部と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成されて成り、クリップ機能を有する被接続部と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、接続部分の間隔を広げることのないクリップ機能を有する被接続部の裏側と一体に形成されて成り、
前記二分割された接続手段の間隔は、前記クリップ機能を有する被接続部の裏側の幅よりも狭く形成され、
前記接続部分の間隔を広げることのないクリップ機能を有する被接続部の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである
筆記具のクリップ取付装置。」

<相違点1>
クリップ機能を有する被接続部に関し、再訂正考案3では、「クリップ片」あるいは、「割れ目のないクリップ片」と特定されているのに対して、引用例考案のクリップ機能を有する被接続部は、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)をポケット等に取り付ける機能を有し、接続部分によって「高分子物質環体4」(取付リング)に接続されるものであり、接続部分の間隔を広げることのない機能を有するものの、「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」である点。

<相違点2>
クリップに関し、再訂正考案3では「クリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成される一部品のみから成り」と特定されているのに対して、引用例考案は、金属クリツプAと非金属装着環Bとからなる点。

<相違点3>
再訂正考案3では、「二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており」と特定されているのに対して、引用例考案は、二か所の接続部分においてT字形状をなしていない点。

<相違点4>
再訂正考案3では「クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく・・・前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられる」と特定されているのに対して、引用例考案は、二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、筆記具本体に取り付けられるものであるものの、離間した突条を設けないことが明示されていない点。

<相違点5>
再訂正考案3では「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成り、前記回転防止手段が、前記筆記具本体におけるリング取り付け個所の外周面に形成された多角形状部と、前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成る」と特定されているのに対して、引用例考案は、そのような回転防止手段を有していない点。

相違点の判断
・相違点1、2について
引用例考案の「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」の内、「突壁6の非リング側部」及び「支持壁7」は、「突壁6のリング側部」及び「高分子物質環体4」とともに一体に形成されているものであるが、「金属クリップA」とは、一体に形成されているものではない。
しかしながら、引用例のbに「筆記具の軸筒又はキヤツプ等の筒体を通す装着環に脚杆を同一体に形成したクリツプは周知である」と記載され、甲第7?11号証に開示されているように、筆記具本体の後部に取り付けられるクリップにおいて、クリップ片と、取付リングと、クリップ片と取付リングとを接続する接続手段とを一部品のみから成るものとすることが周知技術であると認められ、製造の容易性、安価な製造等を考慮すると、引用例考案の筆記具のクリップ装置(クリップ)を一部品のみから成るものとすることは当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。また、引用例考案の筆記具のクリップ装置(クリップ)を一部品のみから成るものとすれば、「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」の部分を「クリップ片」あるいは、「割れ目のないクリップ片」と称することができる。

・相違点3について
上記「相違点1、2について」で検討したように、引用例考案の筆記具のクリップ装置(クリップ)を一部品のみから成るものとすることがきわめて容易であって、その際、二分割された接続手段の幅とクリップ片の幅は自由に設計できるものである。また、甲第15?17号証に開示されているように、接続手段の幅よりクリップ片の幅を広くすることは周知技術でもあるから、二分割された接続手段の幅よりクリップ片の幅を広くし、その結果として相違点3のような構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。
なお、被請求人は、平成21年8月14日付け意見書で実験報告書(乙第7号証)、平成21年9月30日付け上申書で実験報告書2(乙第8号証)を提出し、二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなすと、取付力が強くなる実験報告書を提出しているが、構成から自ずと予想される程度の結果であり、予想し得ない格別の効果を奏しているものとはいえない。

・相違点4について
引用例のeに「高分子物質環体(4)の内面に筒体(5)の表面に圧接する縦長突条(8)又は凸起(図示せず)を数箇所設けて、取付け後の動きを防止し、筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成する。」と記載され、縦長突条(再訂正考案3の「突条」に相当。)を高分子物質環体4の内面に設けることが記載されているが、引用例のaの実用新案登録請求の範囲には、縦長突条が記載されていない。即ち、縦長突条は必須のものではなく、しかも、甲第12号証、甲第14号証に開示されているように、二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径が広げがるクリップにおいて、取付リングの内周面に離間した突条を設けないことが周知技術でもあるから、相違点4のような構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。

・相違点5について
引用例のeに「高分子物質環体(4)の内面に筒体(5)の表面に圧接する縦長突条(8)又は凸起(図示せず)を数箇所設けて、取付け後の動きを防止し、筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成する。」と記載されているように、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)と筆記具のクリップ装置(クリップ)とは、取付けた後に相対的に移動しないことが要求されることは明らかである。しかも、甲第23?26号証に開示されているように、共通の軸方向に結合された2部材の回転を防止する技術として、一の部材への他の部材の取付箇所において接合される、一の部材の外周面と他の部材の内周面とに多角形状部を設け、これらを嵌め合わせることで両部材の回転を防止することが周知技術であるから、引用例考案の相対移動防止手段として、上記周知技術を採用し、相違点5のような構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。

以上のとおりであるから、再訂正考案3の相違点1?5に係る構成は、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、それにより得られる効果も当業者が予測できる範囲のものである。

なお、被請求人は、引用考案の「突壁6」を「非リング側部」と「リング側部」とに分けて解釈するのは突壁6の技術的意義を無視したものである旨主張するので、この点について検討する。
そもそも、再訂正考案3のクリップは、「クリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成される一部品のみから成」るものであって、「クリップ片」と「接続手段」、「接続手段」と「取付リング」の境界は、実在するものではなく、仮想の境界を想定して、その境界を境に、それぞれの部分を「クリップ片」、「接続手段」及び「取付リング」と称しているのに過ぎないものである。
引用考案の「非金属装着環B」の一部である「突壁6」を再訂正考案3と同様、仮想境界を想定して2つに分け、それぞれ「非リング側部」と「リング側部」と称することに何の問題もなく、「突壁6のリング側部」が「接続手段」に相当し、「突壁6の非リング側部」、「支持壁7」及び「金属クリップA」全体と、再訂正考案3の「クリップ片」が、「クリップ機能を有する被接続部」の点で共通することは既に述べたとおりである。

<まとめ>
したがって、再訂正考案3は、平成5年改正前実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。

(3)再訂正考案4についての対比判断
再訂正考案4は、再訂正考案3に「前記筆記具本体の多角形状部と筆記具本体の外周面との間に径方向の段差を形成して成る」という特定事項を付加したものである。そうすると、両者の一致点は、前記「(2)再訂正考案3についての対比判断」の<一致点>と同様であり、相違点は、前記「(2)再訂正考案3についての対比判断」で検討した相違点1?5(ただし、「再訂正考案3」を「再訂正考案4」と読み替える。)に加え、下記相違点6で相違する。

<相違点6>
再訂正考案4では「前記筆記具本体の多角形状部と筆記具本体の外周面との間に径方向の段差を形成して成る」と特定されているのに対して、引用例考案は、そのような段差を有していない点。

相違点の判断
・相違点6について
引用例のeに「高分子物質環体(4)の内面に筒体(5)の表面に圧接する縦長突条(8)又は凸起(図示せず)を数箇所設けて、取付け後の動きを防止し、筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成する。」と記載されているように、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)と筆記具のクリップ装置(クリップ)とは、取付けた後に相対的に移動しないことが要求されることは明らかである。しかも、甲第1号証、甲第19?21号証に開示されているように、筆記具に形成された溝にクリップの取付リングを取り付けることによって、溝の筆記具の軸方向両端にある段差(甲第1、19、21号証)若しくはリブ(甲第20号証)で取付リングの後方への移動を防止することで両部材の軸方向の移動を防止することが周知技術であり、段差の具体的形成位置をどこにするかは必要に応じ適宜決定し得ることであるから、引用例考案の相対移動防止手段として、上記周知技術を採用し、段差の具体的形成位置を筆記具本体の多角形状部と筆記具本体の外周面との間とし、相違点6のような構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。

以上のとおりであるから、再訂正考案4の相違点1?6に係る構成は、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、それにより得られる効果も当業者が予測できる範囲のものである。

<まとめ>
したがって、再訂正考案4は、平成5年改正前実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。

(4)再訂正考案6についての対比判断
再訂正考案6と引用例考案とを対比すると、前記「(2)再訂正考案3についての対比判断」の「<相違点4>」までは同様である。
そうすると、両者の一致点は、前記「(2)再訂正考案3についての対比判断」の<一致点>と同様であり、相違点は、前記「(2)再訂正考案3についての対比判断」で検討した相違点1?4(ただし、「再訂正考案3」を「再訂正考案6」と読み替える。)に加え、下記相違点7で相違する。

<相違点7>
再訂正考案6では「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成り、前記抜落防止手段が、前記筆記具本体のリングの取り付け個所の後端に形成されたリブである」と特定されているのに対して、引用例考案は、そのような抜落防止手段を有していない点。

相違点の判断
・相違点7について
引用例のeに「高分子物質環体(4)の内面に筒体(5)の表面に圧接する縦長突条(8)又は凸起(図示せず)を数箇所設けて、取付け後の動きを防止し、筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成する。」と記載されているように、筆記具の軸筒である筒体5(筆記具本体)と筆記具のクリップ装置(クリップ)とは、取付けた後に相対的に移動しないことが要求されることは明らかである。しかも、甲第1号証、甲第19?21号証に開示されているように、筆記具に形成された溝にクリップの取付リングを取り付けることによって、溝の筆記具の軸方向両端にある段差(甲第1、19、21号証)若しくはリブ(甲第20号証)で取付リングの後方への移動を防止することで両部材の軸方向の移動を防止することが周知技術であり、具体的形状、形成位置は必要に応じ適宜決定し得ることであるから、引用例考案の相対移動防止手段として、上記周知技術を採用し、具体的形状をリブとし、形成位置を筆記具本体のリング取り付け位置箇所の後端とし、相違点7のような構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。

以上のとおりであるから、再訂正考案6の相違点1?4及び7に係る構成は、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、それにより得られる効果も当業者が予測できる範囲のものである。

<まとめ>
したがって、再訂正考案6は、平成5年改正前実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、再訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであるものの、実用新案登録無効審判の請求がされていない請求項3、4、6に係る考案の進歩性が欠如し、請求項3、4、6についての訂正は、実用新案登録無効審判の請求がされている請求項1、2、5の訂正に伴ったものである。したがって、読替実用新案法第40条の2項第5項で準用される同法39条第5項の規定に適合しないから、再訂正を認めることができない。

第5.本件考案
上記したように、再訂正は認められないから、本件請求項1?6に係る考案(以下、「本件考案1?6」という。)は、平成19年3月20日付け訂正2007-390006号の審決で認められた実用新案登録請求の範囲の請求項1?6に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】
筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、クリップ片の裏側と一体に形成されて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。
【請求項2】
筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成されて成り、前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。
【請求項3】
前記回転防止手段が、前記筆記具本体におけるリング取り付け個所の外周面に形成された多角形状部と、前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成ることを特徴とする請求項2の筆記具のクリップ取付装置。
【請求項4】
前記筆記具本体の多角形状部と筆記具本体の外周面との間に径方向の段差を形成して成ることを特徴とする請求項3の筆記具のクリップ取付装置。
【請求項5】
筆記具本体と、この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り、このクリップはクリップ片と、筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと、上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成されて成り、前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。
【請求項6】
前記抜落防止手段が、前記筆記具本体のリングの取り付け個所の後端に形成されたリブであることを特徴とする請求項5の筆記具のクリップ取付装置。」

第6.本件考案1、2、5についての当審の判断
1.引用例
平成20年1月31日付けの当審による無効理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「第4.2.(1)」に記載したとおりである。

2.対比・判断
本件考案1は、前記「第4.2.(2)」で検討した再訂正考案3から、「クリップ片」についての限定事項である「割れ目のない」との構成を省き、「筆記具のクリップ取付装置」についての限定事項である「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され」及び「前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」との構成を省き、「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成る」こと、及び「前記回転防止手段が、前記筆記具本体におけるリング取り付け個所の外周面に形成された多角形状部と、前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成る」との構成を省いたものである。
そうすると、実質的に本件考案1を特定する事項を全て含み、さらなる限定を付加したものに相当する再訂正考案3が、前記「第4.2.(2)」に記載したとおり、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本件考案1も、同様の理由により、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

本件考案2は、前記「第4.2.(2)」で検討した再訂正考案3から、「筆記具のクリップ取付装置」についての限定事項である「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」との構成を省き、「回転防止手段」についての限定事項である「前記回転防止手段が、前記筆記具本体におけるリング取り付け個所の外周面に形成された多角形状部と、前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成る」との構成を省いたものである。
そうすると、実質的に本件考案2を特定する事項を全て含み、さらなる限定を付加したものに相当する再訂正考案3が、前記「第4.2.(2)」に記載したとおり、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本件考案2も、同様の理由により、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

本件考案5は、前記「第4.2.(4)」で検討した再訂正考案6から、「筆記具のクリップ取付装置」についての限定事項である「一部品のみから成り、クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され、接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており、割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り、前記二分割された接続手段の間隔は、前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され、二分割された接続手段とクリップ片とが、その二か所の接続部分においてそれぞれ、クリップ片を取付リングよりも上側にした状態でクリップの後方から見てT字形状をなしており、クリップは、取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく、前記割れ目のないクリップ片の前記二分割された接続手段との二か所の接続部分の間隔を広げずに、前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて、前記筆記具本体に取り付けられるものである」との構成を省き、「前抜落防止手段」についての限定事項である「前記抜落防止手段が、前記筆記具本体のリングの取り付け個所の後端に形成されたリブである」との構成を省いたものである。
そうすると、実質的に本件考案5を特定する事項を全て含み、さらなる限定を付加したものに相当する再訂正考案6が、前記「第4.2.(4)」に記載したとおり、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、本件考案5も、同様の理由により、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

なお、念のため、本件考案1、2、5についての再訂正が認められた場合の進歩性についても検討しておく。
再訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2、5に係る考案(以下、「再訂正考案1」、「再訂正考案2」、「再訂正考案5」という。)は、「第3.再訂正の内容」の通りである。
再訂正考案1と引用例考案とを対比すると、両者の一致点は、前記「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」の<一致点>と同様であり、相違点は、同「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」で検討した<相違点1>?<相違点4>(ただし、「再訂正考案3」を「再訂正考案1」と読み替える。)で相違し、各相違点については、既に検討されているから、同様の理由により、再訂正考案1は、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

再訂正考案2と引用例考案とを対比すると、両者の一致点は、前記「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」の<一致点>と同様であり、相違点は、同「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」で検討した<相違点1>?<相違点4>(ただし、「再訂正考案3」を「再訂正考案2」と読み替える。)に加え、同「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」で検討した<相違点5>の一部である下記<相違点5’>で相違する。
<相違点5’>
再訂正考案2では「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成る」と特定されているのに対して、引用例考案は、そのような回転防止手段を有していない点。
相違点1?4については、既に検討した通りであり、相違点5’で特定する事項を全て含み、さらなる限定を付加したものに相当する相違点5が「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」で既に検討されているから、同様の理由により、再訂正考案2は、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

再訂正考案5と引用例考案とを対比すると、両者の一致点は、前記「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」の<一致点>と同様であり、相違点は、同「第4.2.(2)再訂正考案3についての対比判断」で検討した<相違点1>?<相違点4>(ただし、「再訂正考案3」を「再訂正考案5」と読み替える。)に加え、同「第4.2.(4)再訂正考案6についての対比判断」で検討した<相違点7>の一部である下記<相違点7’>で相違する。
<相違点7’>
再訂正考案5では「前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成る」と特定されているのに対して、引用例考案は、そのような抜落防止手段を有していない点。
相違点1?4については、既に検討した通りであり、相違点7’で特定する事項を全て含み、さらなる限定を付加したものに相当する相違点7が「第4.2.(4)再訂正考案6についての対比判断」で既に検討されているから、同様の理由により、再訂正考案5は、引用例考案、引用例に記載された技術および周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものである。

第7.むすび
したがって、本件考案1、2、5は、平成5年改正前の実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであり、読替実用新案法第37条第1項第1号の規定に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、読替実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-09-03 
結審通知日 2008-09-17 
審決日 2008-10-02 
出願番号 実願平5-71336 
審決分類 U 1 123・ 121- ZB (B43K)
U 1 123・ 856- ZB (B43K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 湯本 照基
江成 克己
登録日 1998-03-20 
登録番号 実用新案登録第2573636号(U2573636) 
考案の名称 筆記具のクリップ取付装置  
代理人 井口 直樹  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 佐藤 睦  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 石戸 久子  
代理人 升永 英俊  
代理人 河野 哲  
代理人 池田 孝宏  
代理人 城山 康文  
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