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審決分類 審判    A45D
管理番号 1261389
審判番号 無効2011-400006  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-04-27 
確定日 2012-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3134691号実用新案「室内芳香器」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3134691号の請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯

1.本件実用新案登録第3134691号の請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録出願は、平成19年6月7日になされ、平成19年8月1日にその考案について実用新案権の設定登録がされた。

2.これに対し、平成22年10月26日に、訂正書が提出された。

3.平成23年4月4日、請求人株式会社香彩堂より、本件実用新案登録第3134691号の請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録を無効とするとの審決を求める別件の無効審判の請求(無効2011-400004号)がなされた。

4.平成23年4月15日、請求人不二貿易株式会社より、本件実用新案登録第3134691号の請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録を無効とするとの審決を求める別件の無効審判の請求(無効2011-400005号)がなされた。

5.平成23年4月27日、請求人株式会社ノルコーポレーションより、本件実用新案登録第3134691号の請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録を無効とするとの審決を求める本件の無効審判の請求(無効2011-400006号)がなされた。

6.平成23年7月7日の差出日として、被請求人株式会社アート・ラボより3つの無効審判事件すべてに対して審判事件答弁書が提出された。

7.平成23年9月16日に、別件である無効2011-400004号の請求人より口頭審理陳述要領書が提出され、同年9月20日に、別件である無効2011-400005号の請求人より口頭審理陳述要領書が提出され、同年10月4日に、本件である無効2011-400006号の請求人より口頭審理陳述要領書が提出され、また、同年9月20日に、被請求人から3つの無効審判事件すべてに対して口頭審理陳述要領書が提出され、同年10月4日に口頭審理が審理を併合して実施され、その後、審理の併合を解除した。


第2 本件考案
本件実用新案登録の請求項1ないし5に係る考案(以下「本件考案1」ないし「本件考案5」という。)は、平成22年10月26日付けの訂正書によって訂正された実用新案登録請求の範囲、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし5により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
a)液体芳香剤を収容する、上部に開口を有する容器と、
b)前記開口の上に配置された、ソラの木の皮で作製した造花と、
c)下端が前記液体芳香剤中に配置され、上部において前記造花と接続されている浸透性の紐と、
を備えることを特徴とする室内芳香器。
【請求項2】
前記液体芳香剤が有色であり、前記造花が淡色であることを特徴とする請求項1に記載の室内芳香器。
【請求項3】
前記紐が綿糸を編んだ綿コードであることを特徴とする請求項1又は2に記載の室内芳香器。
【請求項4】
前記綿コードの中にワイヤが挿入されていることを特徴とする請求項3のに記載の室内芳香器。
【請求項5】
前記容器が透明であることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の室内芳香器。」


第3 請求人の主張の要点
請求人は、本件考案1ないし5は、甲第3ないし6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、同法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とされるべきであると主張し、証拠方法として甲第1ないし6号証を提出した。

証拠方法
甲第 1号証:実用新案登録第3134691号公報
甲第 2号証:実用新案登録第3134691号訂正明細公報
甲第 3号証:(株)主婦と生活社「Saison de かおん」2005年11月1日発行、第44ページの写し
甲第 4号証:実用新案登録第3108960号公報
甲第 5号証:特開2004-329794号公報
甲第 6号証:実用新案登録第3055497号公報


第4 被請求人の主張の要点
被請求人は、請求人の主張する無効理由に対し、本件考案1ないし5は、甲第3ないし6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではないと反論している。


第5 当審の判断
1.甲第5号証の記載内容
ア 段落【0001】
「【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散器に関し、特に、供給される芳香液に応じて色彩や模様が付与される揮散体を有する揮散器に関する。また、揮散体が特定の形状を有する揮散器に関する。」
イ 段落【0016】?【0019】
「【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる揮散器の第1の実施の形態を示す全体斜視図である。図2は、図1に示す揮散器の断面図である。
図1に示す揮散器10は、内部に有効成分を含有する溶液2を収納した容器1と、溶液2に浸漬された吸液部材3と、この吸液部材3に取り付けられた揮散体4とを備えている。
図2に示すように、容器1は中空の円筒状に形成され、上方に開口部が設けられている。開口部には、長尺の円柱状に形成された吸液部材3が嵌挿されている。吸液部材3は、一方の端部が溶液2に浸漬され、容器1の内部底面に接近又は接触した状態で配され(本図においては接触した状態)、他方の端部が開口部から容器1の外部に露呈した状態で配されている。
図1に示すように、揮散体4は、円形の濾紙を適当に湾曲させることで略花弁状に形成された部材(以下、花弁部5)を複数集めた集合体で構成されている。それぞれの花弁部5は、図2に示すように、吸液部材3の外部に露呈した側の端部の外周面に接触するように取り付けられている。そして、それぞれの花弁部5は揮散器10の上面視(図1に向かって上側から見た場合)において、吸液部材3を中心とし、その中心から外周側へ花弁部5の先端(吸液部材3に取り付けられた側とは反対側の縁部)を向けた花を模るように配されている。
なお、揮散体4は、その材質として、クレープペーパ、書道用紙、布、合成繊維、不織布等を用いてもよい。
溶液は香料及び色素を含む。・・・」
ウ 段落【0020】?【0022】
「本実施の形態の揮散体は、重量を91g/m^(2)とし、総揮散面積を337cm^(2)とした。また、吸液部材は、材質がポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維で、芯径をφ13mmとし、長さを10cmとし、気孔率を77%とした。
吸液部材3は、揮散体4に供給する溶液2の量を調整可能で、揮散体4は、供給された溶液2によって着香及び着色した箇所が模様として識別可能であるように構成されている。
つまり、図1に示すように、容器1に収納された溶液2は吸液部材3に吸収され、吸液部材3と揮散体4が接触する箇所を介して揮散体4に供給される。揮散体4において、供給された溶液2に含まれる、不揮発性の色素を除く、溶媒、香料が揮発する。すると、揮散体4における、色素が残留した箇所(以下、着色部5aともいう)が色づく。言い換えれば、着色部5aからは香料が揮散されていると捉えることができる。このため、揮散体4に基づいて揮散器10における揮散成分(芳香成分)の揮散状態を確認することができる。
本実施の形態において、図1に示すように、揮散体4の色づく箇所は、花弁部5の先端から濃く着色し、使用開始から所定時間(90分)経過後には花弁部5の全体が着色される。言い換えれば、着色部5aの形状(模様)は、揮散体4に供給される溶液2の量に応じて流動的に面積が変化し、また、時間の経過によって大きくなる。」
エ 段落【0006】?【0007】
「・・・
このような構成を有する揮散器とすれば、上記の揮散器と同様の効果を奏するだけでなく、使用者は時間の経過に伴う揮散体の色や模様の変化を楽しむことができるため、より一層装飾性が向上する。
上記構成の揮散器において、揮散体の少なくとも一部は花型の形状を有する構造とすれば、揮散体に芳香液が供給された際に、あたかも実際の花が色づくように見えるため、より一層装飾性が向上する。」
オ ここで、図面の図1、図2を参照すると、吸液部材3は、下端が溶液2中に配置され、上部において揮散体4と接続されているものであることは明らかである。
カ 甲第5号証に記載の考案
上記アないしエの摘記事項、及びオの認定事項を、技術常識を勘案しつつ本件考案1ないし5に照らしてして整理すると、甲第5号証には、次の考案(以下「甲5考案」という。)が記載されていると認められる。
「香料及び色素を含む溶液2を収容する、上部に開口部を有する容器1と、
前記開口部の上に配置された、花弁部5を複数集めた集合体で構成された濾紙からなる揮散体4と、
下端が前記溶液2中に配置され、上部において前記揮散体4と接続されている、ポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材3と、
を備える揮散器10。」

2.対比・判断
(1) 本件考案1について
ア 対比
本件考案1と甲5考案とを対比する。
甲5考案の「香料及び色素を含む溶液2」、「開口部」、「花弁部5を複数集めた集合体で構成された濾紙からなる揮散体4」、「揮散器10」は、それぞれ、本件考案1の「液体芳香剤」、「開口」、「造花」、「芳香器」に相当する。
甲5考案の「ポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材3」は、浸透性を有するものであるので、「浸透材」という限りで、本件考案1の「浸透性の紐」と共通する。
したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりと認められる。
<一致点>
「a)液体芳香剤を収容する、上部に開口を有する容器と、
b)前記開口の上に配置された、造花と、
c)下端が前記液体芳香剤中に配置され、上部において前記造花と接続されている浸透材と、
を備える室内芳香器。」
<相違点1>
造花に関して、本件考案1では、「ソラの木の皮で作製した」ものであるのに対して、甲5考案は、花弁部5を複数集めた集合体で構成された濾紙からなる揮散体4からなる点。
<相違点2>
浸透材に関して、本件考案1では、「浸透性の紐」であるのに対して、甲5考案は、ポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材3である点。
イ 相違点についての判断
(ア) <相違点1>について
造花をソラの木の皮で構成することは、甲第3号証に記載されたように「ソラフラワー」として従来周知の事項である。そして、ソラフラワーも、ソラフラワー自体は芳香を有するものではなく、甲第3号証において第44ページに「ソラフラワー各¥525、リフレッシャーオイル8ml¥630」と記載されているように、造花であるソラフラワーと芳香剤を別体として販売し、ユーザーがソラフラワーに芳香剤を染み込ませて使うものであることが周知であること、及び、従来周知の造花であるソラフラワーを甲5考案の造花に適用できないとする阻害要因も格別見当らないことからすれば、甲5考案において、芳香剤を染み込ませる造花として、甲5考案に用いられている花弁部5を複数集めた集合体で構成された濾紙からなる揮散体4に代え、従来周知のソラフラワーを用いることは、当業者がきわめて容易になし得たものであると考えざるを得ない。
被請求人は、平成23年7月7日付け審判事件答弁書において、「本件実用新案登録考案1に係る室内芳香器では、時間をかけて徐々に芳香剤が造花に染み込んでゆく点を大きな特徴としている。このような、『時間』に関する観念は、『ポプリ』には無い。むしろ、ポプリでは染み込ませた芳香剤が空気中に揮散してゆき、徐々に芳香が弱くなってゆくものである。」(第3ページ第18行?第25行。)と主張し、また、平成23年9月20日付け口頭審理陳述書において、「本件実用新案登録の請求項1に係る考案における造花は、予め芳香剤を染み込ませたものではない。芳香剤は、容器から浸透性の紐を通って、毛細管現象により重力に抗して徐々に上がってゆき、造花に到達するのである。そして、その造花の中において、該紐が取り付けられた部分からその他の部分に全体に染み込んでゆくのである。この、芳香剤が紐を通って徐々に上昇してゆき、造花に至るとともに、最初に造花に至った後も、その造花の中において、紐が取り付けられた部分からその他の部分に全体に染み込んでゆく、という機能・作用・効果は、いずれの証拠にも記載がない。浸透における『時間』に関する観念は『ポプリ』には無い。むしろ、ポプリでは浸み込ませた芳香剤が空気中に揮散してゆき、徐々に芳香が弱くなってゆくものである。」(第3ページ第20行?第4ページ第10行。)と主張している。
また、平成23年10月4日に行われた口頭審理においても、「ソラの木の皮は、植物繊維であるので、芳香剤が徐々に広がっていき、そのことをユーザーが楽しめるものである。」(第1回口頭審理調書参照。)と主張している。
しかしながら、甲第5号証において、摘記事項ウに「本実施の形態において、図1に示すように、揮散体4の色づく箇所は、花弁部5の先端から濃く着色し、使用開始から所定時間(90分)経過後には花弁部5の全体が着色される。言い換えれば、着色部5aの形状(模様)は、揮散体4に供給される溶液2の量に応じて流動的に面積が変化し、また、時間の経過によって大きくなる。」と記載され、また、摘記事項エに「このような構成を有する揮散器とすれば、上記の揮散器と同様の効果を奏するだけでなく、使用者は時間の経過に伴う揮散体の色や模様の変化を楽しむことができるため、より一層装飾性が向上する。上記構成の揮散器において、揮散体の少なくとも一部は花型の形状を有する構造とすれば、揮散体に芳香液が供給された際に、あたかも実際の花が色づくように見えるため、より一層装飾性が向上する。」と記載されているように、甲5考案も、揮散器10は、時間に関する観念を考慮しているものである。
さらに、造花として天然素材のものがあることは、上記の「ソラフラワー」だけでなく、例えば、特表2006-505699号公報(段落【0005】に「造花は、・・・乾燥させた花又は乾燥させた植物から成るものであってもよい。」と記載されている。)や、実願昭54-21743号(実開昭55-122681号)のマイクロフィルム(第1ページ第9行?第12行に「本考案は香水容器に対してドライフラワー等の永久花を挿入して、該永久花を介して香水を持続的に発散させるようにした香水容器型永久花瓶に関するものである。」と記載されている。)に記載されているように従来周知の事項である。
したがって、被請求人の上記主張は採用することができない。
(イ) <相違点2>について
液体を浸透により吸い上げる材料として浸透性の紐は、例えばアルコールランプに見られるように従来周知の事項であることからすれば、甲5考案において浸透性の材料として甲5考案で用いられている吸液部材3に代え、浸透性の紐を用いることは、当業者にとってきわめて容易に想到することができたものである。
(ウ) 本件考案1の作用ないし効果について
時間に関する観念が甲5考案にも存在することから、本件考案1の作用ないし効果については、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。
(エ) まとめ
したがって、本件考案1は、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(2) 本件考案2について
ア 対比
本件考案2は、本件考案1の室内芳香器において、「前記液体芳香剤が有色であり、前記造花が淡色であることを特徴とする」という限定を付すものである。
そこで、本件考案2と甲5考案とを対比すると、両者は、上記<一致点>で一致し、前記(1)アで示した<相違点1>ないし<相違点2>に加え、以下の相違点3で相違する。
<相違点3>
本件考案2は、「液体芳香剤が有色であり、造花が淡色である」のに対し、甲5考案では、溶液2が色素を含むものの、揮散体4の花弁部5の色については不明な点。
イ 相違点についての判断
(ア) <相違点1>、<相違点2>について
相違点1、2についての判断は、上記(1)イ(ア)、(イ)に記載したとおりである。
(イ) <相違点3>について
甲5考案においては、摘記事項ウに「本実施の形態において、図1に示すように、揮散体4の色づく箇所は、花弁部5の先端から濃く着色し、使用開始から所定時間(90分)経過後には花弁部5の全体が着色される。」と記載されているように、色素を含む溶液2により、花弁部5が変色するものであることから、変色する前のもとの色を、溶液2の色素の色と異なる色とすること、すなわち、淡色系の色とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得た程度の事項である。
(ウ) 本件考案2の作用ないし効果について
本件考案2の効果についてみても、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。
(エ) まとめ
したがって、本件考案2は、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(3) 本件考案3について
ア 対比
本件考案3は、本件考案1又は2の室内芳香器において、「前記紐が綿糸を編んだ綿コードであることを特徴とする」という限定を付すものである。
そこで、本件考案3と甲5考案とを対比すると、両者は、上記<一致点>で一致し、前記(1)アで示した<相違点1>ないし<相違点2>、前記(2)アで示した<相違点3>に加え、以下の相違点4で相違する。
<相違点4>
浸透材に関して、本件考案3は、「紐が綿糸を編んだ綿コードである」と特定しているのに対して、甲5考案は、ポリプロピレン、ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材3である点。
イ 相違点についての判断
(ア) <相違点1>、<相違点2>、<相違点3>について
相違点1、2についての判断は、上記(1)イ(ア)、(イ)に記載したとおりであり、相違点3についての判断は、上記(2)イ(イ)に記載したとおりである。
(イ) <相違点4>について
液体を浸透により吸い上げる材料として、綿糸を編んだ綿コードからなる紐は、例えばアルコールランプに見られるように従来周知の事項であることからすれば、甲5考案において浸透性の材料として甲5考案で用いられている吸液部材3に代え、綿糸を編んだ綿コードからなる紐を用いることは、当業者にとってきわめて容易に想到することができたことである。
(ウ) 本件考案3の作用ないし効果について
本件考案3の効果についてみても、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。
(エ) まとめ
したがって、本件考案3は、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(4) 本件考案4について
ア 対比
本件考案4は、本件考案3の室内芳香器において、「綿コードの中にワイヤが挿入されていることを特徴とする」という限定を付すものである。
そこで、本件考案4と甲5考案とを対比すると、両者は、上記<一致点>で一致し、前記(1)アで示した<相違点1>ないし<相違点2>、前記(2)アで示した<相違点3>、前記(3)アで示した<相違点4>に加え、以下の相違点5で相違する。
<相違点5>
綿コードに関して、本件考案4は、「綿コードの中にワイヤが挿入されている」のに対して、甲5考案では、吸液部材3の補強について不明な点。
イ 相違点についての判断
(ア) <相違点1>、<相違点2>、<相違点3>、<相違点4>について
相違点1、2についての判断は、上記(1)イ(ア)、(イ)に記載したとおりであり、相違点3についての判断は、上記(2)イ(イ)に記載したとおりであり、相違点4についての判断は、上記(3)イ(イ)に記載したとおりである。
(イ) <相違点5>について
造花において、茎と成る部分にワイヤを挿入して自立できるようにすることは、例えば、特開2002-220720号公報(熱収縮性樹脂チューブ12内の金属ワイヤ製の茎部10を参照。)や特開平10-72718号公報(幹部分7内の針金1参照。)に記載されているように従来周知の事項であることからすれば、甲5考案においても、浸透材である吸液部材3の中にワイヤを挿入することは、当業者がきわめて容易に想到し得たものである。
(ウ) 本件考案4の作用ないし効果について
本件考案4の効果についてみても、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。
(エ) まとめ
したがって、本件考案4は、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(5) 本件考案5について
ア 対比
本件考案5は、本件考案1ないし4の室内芳香器において、「前記容器が透明であることを特徴とする」という限定を付すものである。
そこで、本件考案5と甲5考案とを対比すると、両者は、上記<一致点>で一致し、前記(1)アで示した<相違点1>ないし<相違点2>、前記(2)アで示した<相違点3>、前記(3)アで示した<相違点4>、前記(4)アで示した<相違点5>に加え、以下の相違点6で相違する。
<相違点6>
容器に関して、本件考案5では、「透明である」としているのに対して、甲5考案では、容器1が透明かどうか不明な点。
イ 相違点についての判断
(ア) <相違点1>、<相違点2>、<相違点3>、<相違点4>、<相違点5>について
相違点1、2についての判断は、上記(1)イ(ア)、(イ)に記載したとおりであり、相違点3についての判断は、上記(2)イ(イ)に記載したとおりであり、相違点4についての判断は、上記(3)イ(イ)に記載したとおりであり、相違点5についての判断は、上記(4)イ(イ)に記載したとおりである。
(イ) <相違点6>について
芳香剤の入った容器を透明とすることは、例えば、特開平8-131529号公報(段落【0009】参照。)、実願平1-77085号(実開平3-16942号)のマイクロフィルム(第7ページ第11行?第14行参照。)にも記載されているように従来周知の事項であることからすれば、甲5考案においても、容器1を透明とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得た程度のことである。
(ウ) 本件考案5の作用ないし効果について
本件考案5の効果についてみても、甲5考案、並びに甲第3号証記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。
(エ) まとめ
したがって、本件考案5は、甲5考案、並びに甲第3号証に記載の従来周知の事項及びその他の周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。


第6 むすび
以上のとおり、本件考案1ないし本件考案5は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるので、本件考案1ないし本件考案5についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当するので、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
審決日 2011-10-17 
出願番号 実願2007-4275(U2007-4275) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (A45D)
最終処分 成立  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 藤井 眞吾
長屋 陽二郎
登録日 2007-08-01 
登録番号 実用新案登録第3134691号(U3134691) 
考案の名称 室内芳香器  
代理人 水野 清  
代理人 特許業務法人京都国際特許事務所  
代理人 北村 仁  
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