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審決分類 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない B42D
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない B42D
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない B42D
管理番号 1265875
審判番号 訂正2012-390046  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-04-10 
確定日 2012-09-24 
事件の表示 実用新案登録第2150603号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本件審判の手続の経緯
平成24年 4月10日 審判請求
平成24年 6月15日 訂正拒絶理由通知
平成24年 7月17日 手続補正書及び意見書の提出

2 補正の適否
平成24年7月17日付けの手続補正は、図面と考案の詳細な説明との不整合を合致させ、不明りょうな記載を明りょうにしたものであって、実質的に訂正の要旨を変更するものではないから、同手続補正を認める。

3 請求の要旨
上記「2」で述べたとおり、平成24年7月17日付けの手続補正は適法と認められるので、本件審判の請求の要旨は、実用新案登録第2150603号(以下「本件考案」という。平成8年2月21日実用新案出願公告(実公平8-5827号公報))について、明細書及び図面を平成24年7月17日付け手続補正後の審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり訂正することを求めるものであり、次の訂正事項からなる。
訂正事項a:明細書の【実用新案登録請求の範囲】に記載されている「…押形部からなる指示部を設けてなり、…」という事項を「…押形部からなるカード本体を側面からみて、上下面から厚み中心部方向(表裏方向)にくぼんでいる形状又はカード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状である指示部を設けてなり、…」と訂正する。
訂正事項b:明細書の【考案の詳細な説明】における【0005】に記載されている「…押形部からなる差込方向の指示部を設けた…」という事項を「…押形部からなるカード本体を側面からみて、上下面から厚み中心部方向(表裏方向)にくぼんでいる形状又はカード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状である差込方向の指示部を設けた…」と訂正する。
訂正事項c:明細書の【考案の詳細な説明】における【0009】に記載されている「…又、上述の如く、指示部2がカード本体の直交する2つの中心軸線の夫々から一側にずれて配置されているのでカード本体の電話機への差し込み方向を知ることができると共にカード本体1の表裏を確認することができる。」という事項の次に「尚、図1に示した実施例はカード本体を側面からみてカード本体の上下面から厚み中心方向へ向けた押形部3を形成したもの、図2に示した実施例は図1と同じくカード本体を側面からみてカード本体の上下面から厚み中心方向へ向けた押形部3を形成したものであるが押形部3の形成位置を厚み方向に直交する方向にずらして一部をカード本体1の縁から開口させて形成したもの。図3はカード本体1の平面的な中心方向へ向けた押形部3を形成したものである。」を追加する。
訂正事項d:明細書の【図面の簡単な説明】における【図1】の次行に「【図2】本考案の異なる実施の例を示す平面図である。」、「【図3】本考案の更に異なる実施の例を示す平面図である。」を追加する。
訂正事項e:図面について【図1】を審判請求書に添付した【図1】に訂正し、【図2】、【図3】を追加する。
(下線部は、平成24年7月17日付け手続補正で補正された審判請求書の記載と前記審判請求書に添付した訂正明細書及び図面の記載と整合しないが、前記審判請求書に添付した訂正明細書及び図面に整合させて記載した。)

4 訂正拒絶理由の概要
平成24年6月15日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、次の通りである。
本件訂正は、訂正の目的に違反しており、平成5年改正法附則第4条第2項(後に、平成15年法律第47号附則第12条第1号の規定により改正され、平成16年法律第120号附則第6条第1項の規定により改正された)により読み替えられた実用新案法第39条第1項に掲げる事項を目的とするものとはいえず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、または変更するものであるから、平成5年改正法附則第4条第2項(後に、平成15年法律第47号附則第12条第1号の規定により改正され、平成16年法律第120号附則第6条第1項の規定により改正された)により読み替えられた実用新案法第39条第4項の規定に適合しないから、本件訂正は、認められない。

5 本件原出願及び本件出願の経緯
本件考案は、実願昭59-134611号(以下「本件原出願」といい、原出願に係る考案を「原考案」という。)が公告された後に、本件原出願を親出願として、分割出願されたものである。そこで、本件原出願及び本件出願の主な経緯を以下に記載する。
(ア)本件原出願の経緯
a 原考案は、昭和59年9月5日、実用新案登録出願された。
原考案の出願当初明細書の「実用新案登録請求の範囲」欄には、
「電話機に差し込むことより電話がかけられるテレホンカードにおいて、このカード本体の一部に、カードの表裏の確認並びに電話機に差し込む方向を指示するために切欠部、穴部或は押形部などからなる表裏並びに差込方向の指示部を設けてなるテレホンカード。」と記載され、「考案の詳細な説明」欄の[実施例]において、指示部の構成として、切欠部を形成する例が第1図に、穴部を形成する例が第2図に、押形部を形成する例が第3図に、それぞれ示されていた。
b 上記出願に対して、平成2年8月8日付けで、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないとの拒絶理由通知が発せられ、引用例として、「実願昭56-48368号(実開昭57-161131号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム」が示された。
この引用例の「実用新案登録請求の範囲」欄には、「表面に磁気記録欄を有するカードの特定された一部に切取線により区分されて切離可能とした切除部を形成してなる磁気カード。」と記載され、「考案の詳細な説明」欄には、「磁気カード1は、矩形状をなし、・・・上記磁気カード1の特定された一部には切除部3が切離可能に設けられている。」(第3頁第5?10行)と記載され、実施例において、切除部をカードの下端一隅に三角形状に設けた例が第1図及び第2図に、下端一隅に四角形状に設けた例が第3図に、さらに磁気カードの下方部において一側方に片寄った位置に円形状に形成した例が第4図に、それぞれ示されている。
c 本件原出願の出願人は、平成2年11月13日、「意見書に代える手続補正書」を提出し、その中で明細書を全文訂正し、図面中、第1図、第2図を削除し、第3図とあるのを第1図と補正した。その結果、補正後の実用新案登録請求の範囲の記載は、「電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードにおいて、このカード本体の一部に、カードの表裏の確認並びに電話機に差し込む方向を指示するために押形部からなる差込方向の指示部を設けてなるテレホンカード。」とされ、また、「考案の詳細な説明」欄において、第1図、第2図に関する記載が削除された。
d 本件原出願は、平成3年4月2日付けで、拒絶査定を受けた。なお、この拒絶査定の備考欄で、「方向の指示のための表示を行う事は磁気カードの分野では従来周知の技術である。(特開昭55-43669号公報参照)」と指摘された。
e これに対して、本件原出願の出願人は、平成3年5月23日付け審判請求書を提出し、拒絶査定の取消を求めた。本件原出願の出願人は、その理由として、「本願考案は、・・・特に、『カードの差し込む方向を指示するために押形部からなる差込方向の指示部を設けてなるテレホンカード』を必須の要件としております。これに対し、上述の拒絶理由通知書において引用された実開昭57-161131号および拒絶査定謄本において引用された上述の特開昭55-43669号公報のいずれにも本願考案の上述の必須要件、とりわけ、押形部について開示しておりません。・・・又、本願考案の指示部は押形部から成っております。これは上述の引用例の切除部や矢印と違って、目の悪い人でも差込方向を容易に感知できるという利点を有します。」と述べた。
f 本件原出願については、平成5年6月24日、実用新案登録出願公告がされた。
g なお、これに対しては、実用新案登録異議申立がされたが、本件原出願の出願人は、平成6年5月24日付けで、手続補正書及び実用新案登録異議答弁書を提出し、同年11月21日、上記異議申立てにつき、「本件登録異議の申立ては、理由がないものとする。」との決定がなされた。
また、同日付けで、原考案につき、拒絶査定を取り消し、実用新案登録をすべきものとする審決がなされた。
h 原考案は、上述のとおりの手続を経て、平成7年4月20日、実用新案登録された。

(イ)本件出願の経緯
a 平成6年5月24日、本件原出願を親出願として、本件考案に係る分割出願(本件出願)がされた(実願平6-5675号)。
平成8年2月21日、本件考案に係る出願公告がされた(実公平8-5827号公報)。その「実用新案登録請求の範囲」の記載は、以下のとおりである。
「電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードにおいて、このカード本体の一部に、電話に差し込む方向を指示するための押形部からなる指示部を設けてなり、該指示部は、カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいると共にカード本体の直交する2つの中心軸線の夫々から一側にずれてカード本体に配置されており、且つ、該指示部は目の不自由な者がカード本体を電話機に差し込む際、目の不自由な者の指がふれる位置に配置されていることを特徴とするテレホンカード。」
b 上記出願公告後、実用新案登録異議申立がされ、平成9年12月25日、同申立について「異議理由あり」とする異議決定がされ、同日、本件出願に対する拒絶査定がされた。次いで、この拒絶査定に対する不服の審判が請求され(審判平10-2419号)、平成10年3月12日付けで、考案の詳細な説明の【従来の技術】の欄の補正がなされ、平成11年10月14日付けで、本件出願に対する拒絶理由通知がされた。同通知の中で、拒絶理由の1つとして、本件考案の実用新案登録請求の範囲の「該指示部は、カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」が、いかなる構成を意味するのか不明瞭であり、実用新案法第5条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていないことが指摘された。
c 平成11年10月28日、本件考案の出願人である請求人他2名は、上記拒絶理由通知に対する手続補正書及び意見書を提出した。
上記意見書には、「『カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる』の文言中の『内方向』の意は、図1に示すような平面図におけるカード本体の内方向、つまり平面的なカードの中心方向を意味する場合と、テレホンカードを側面からみて上下面から厚み中心部に向かう方向を意味する場合とが考えられます。このため、上下面から厚み中心部に向かう方向を意味する場合を明瞭にするために手続補正書で図2及び図3を補充し、平面的なカードの中心方向を意味する場合を明瞭にするために図4乃至図6を補充致しました。・・・図面で追加した例は、いずれも出願当時の押し型の技術によって形成可能なものです。」との記載がある。
また、手続補正書において、図1を変更し、図2ないし図6を追加し、指示部として「穴」(図3)、「一部が切除された押形部で成る切欠形状」(図4)、「押形部で成る長形若しくは楕円状の切欠形状」(図5)さらに「押形部で成る複数の山型状の切欠を連続させて成る切欠形状」(図6)を設けた例を追加し、考案の詳細な説明につき、段落【0007】の【問題点を解決するための手段】欄、段落【0008】の【作用】欄、段落【0014】の【考案の効果】欄に各記載の「押形部」を「切欠形状又は穴形状の押形部」とする旨の補正をした。なお、「押形部で成る複数の山型状の切欠を連続させて成る切欠形状」(図6)の例は、平成11年12月6日付け手続補正書で削除された。
d 上記平成11年10月28日付け及び平成11年12月6日付け手続補正に対して、平成12年1月26日付けで、補正の却下の決定がなされ、その理由として、本件考案における「押形部」は「材料に押し型によって圧力を加えて成形した形状部」を意味し、「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる指示部」の形状に穴形状及び切欠形状を含むものとする補正は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものであるから許されない旨の指摘がなされるとともに、同日付けで、拒絶査定に対する不服の審判事件について「原査定を取り消す。本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。」との審決がなされた。

6 判断
(ア)訂正事項bないしeについて
訂正事項bないしeは、訂正事項aに伴うもので、押形部からなる指示部について「カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状」の実施例を付け加えようとするものである。後記(イ)aで述べるように、本件訂正前の明細書に記載の「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」は、カード本体を側面からみて、上下面から厚み中心部方向(表裏方向)にくぼんでいると解さざるを得ないものであるから、本件訂正前の明細書及び図面には、押形部からなる指示部について「カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状」の実施例は記載されていなかったものと解される。
また、押形部からなる指示部を「カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状」とすることが、本件原出願の公告時の明細書及び図面(以下「公告明細書等」という。)の記載から自明であったとも認められない。
そうすると、押形部からなる指示部について「カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状」の実施例を付け加えようとする上記訂正事項bないしeは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。また、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものとも誤記の訂正を目的とするものともいえない。

(イ)訂正審判においては、明細書及び図面の訂正は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならないものであり、請求人は、本件訂正は、不明瞭な記載の釈明である旨主張しているから、まず、訂正前の実用新案登録請求の範囲に記載された考案を解釈する。

a 訂正前の本件考案の解釈
(a)本件訂正前の実用新案登録請求の範囲
本件訂正前の実用新案登録請求の範囲を記載すると以下のとおりである。
「電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードにおいて、このカード本体の一部に、電話に差し込む方向を指示するための押形部からなる指示部を設けてなり、該指示部は、カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいると共にカード本体の直交する2つの中心軸線の夫々から一側にずれてカード本体に配置されており、且つ、該指示部は目の不自由な者がカード本体を電話機に差し込む際、目の不自由な者の指がふれる位置に配置されていることを特徴とするテレホンカード。」

本件訂正前の考案の「指示部」は、「カード本体の一部に、電話に差し込む方向を指示するための押形部からなる」及び「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」構成を備えているものとして特定されている。

(b)「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」について
上記5(イ)cで既に記載したように、出願人が平成11年10月28日付け意見書において指摘するように、一般的には、上記「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」は、(I)カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状と、(II)カード本体を側面からみて、上下面から厚み中心部方向(表裏方向)にくぼんでいる形状の2通りに解される。
しかし、本件考案は、「5 本件原出願及び本件出願の経緯」に記載のとおり、本件原出願に係る当初明細書等が補正され、出願公告がされた後に、本件原出願から分割出願されたものである。このように原出願に係る当初明細書等が分割出願前に補正され、出願公告されている場合には、分割出願に係る考案は、原出願に係る当初明細書等及び補正後の公告明細書等の双方に記載されている考案であることを要するものというべきである。
原出願の公告明細書等において、テレホンカードに対して「指示部」がどの方向にくぼんでいるかについての記載は、図1のカード本体を側面からみて、上下面から厚み中心部方向にくぼんでいる形状を示す記載以外にない。
そうすると、本件考案の「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」は、原出願の公告明細書等の第1図に基づき、カード本体を側面からみて、上下面から厚み中心部方向(表裏方向)にくぼんでいる形状と解さざるを得ない。
また、押形部からなる指示部を「カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状」とすることが、本件原出願の公告明細書等の記載から自明であったとも認められない。
さらに、本件の公告明細書及び図面を見ても、上下面から厚み中心部方向にくぼんでいる形状を示すもの以外の記載や示唆はない。

b 訂正事項についての判断
(a)訂正事項aは、本件訂正前の実用新案登録請求の範囲の「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼんでいる」という記載の意味を、カード本体を平面的にみて、カードの中心方向にくぼんでいる形状も含むようにするものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものといわざるを得ない。

7 まとめ
本件訂正は、上記6(ア)で検討したとおり、訂正の目的に違反しており、平成5年改正法附則第4条第2項(後に、平成15年法律第47号附則第12条第1号の規定により改正され、平成16年法律第120号附則第6条第1項の規定により改正された)により読み替えられた実用新案法第39条第1項に掲げる事項を目的とするものとはいえず、また、上記6(イ)で検討したとおり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、または変更するものであるから、平成5年改正法附則第4条第2項(後に、平成15年法律第47号附則第12条第1号の規定により改正され、平成16年法律第120号附則第6条第1項の規定により改正された)により読み替えられた実用新案法第39条第4項の規定に適合しないから、本件訂正は、認められない。
審理終結日 2012-08-01 
結審通知日 2012-08-03 
審決日 2012-08-16 
出願番号 実願平6-5675 
審決分類 U 1 41・ 854- Z (B42D)
U 1 41・ 853- Z (B42D)
U 1 41・ 855- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 國田 正久  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 菅野 芳男
黒瀬 雅一
登録日 2000-03-17 
登録番号 実用新案登録第2150603号(U2150603) 
考案の名称 テレホンカード  
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