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審決分類 審判    H04M
管理番号 1281360
審判番号 無効2012-400007  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-11-23 
確定日 2013-10-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3170253号実用新案「携帯電子機器用保護フィルム」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3170253号の請求項1、3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案は、平成23年6月28日に出願され、同年8月17日に実用新案権の設定登録がなされたもので(実用新案登録第3170253号)、その後、請求人株式会社パワーサポートから無効審判が請求されたものである。以下、請求以後の経緯を整理して示す。
平成24年11月22日 審判請求書の提出
平成25年 2月 8日 答弁書の提出
平成25年 3月15日 無効理由通知書の通知
平成25年 3月15日 職権審理結果通知書の通知
平成25年 4月22日 意見書、訂正書の提出
平成25年 7月30日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成25年 8月 8日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成25年 8月22日 口頭審理

第2 請求人の主張の概要
請求人が主張する無効理由の骨子及び提出した証拠方法は以下のとおりである。
1.本件の実用新案登録の請求の範囲の記載は不明確であり、実用新案法第5条第6項第2号に規定する要件を充足しない。
2.請求項1?3に係る考案は、先願特許(甲第10号証:特許第5071950号)の発明と同一であり、実用新案法第7条第3項の規定により実用新案登録を受けることができない 。
3.請求項1?3に係る考案は、甲第1?9号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
4.請求人が提出した甲号証は、以下のとおりである。
甲第1号証:earth wear 絶滅危惧種コレクション for iPhone 4
http://web.archive.org/web/20110515102418/http://arigato-ipod.com/product-earth-wear-iphone4.html
甲第2号証:インターネット・アーカイブであるウェイバックマシンについてのWikipediaでの解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%96
甲第3号証:世界の絶滅危惧種をモチーフにしたiPhoneケース「Earthwear」レビュー
http://web.archive.org/web/20100408072814/http://www.donpy.net/apple/iphone/iphone-accessories/7037.html
甲第4号証:iPhoneケース絶滅危惧種コレクション「earthwear」iPhoneを通じて環境問題に取り組もう!
http://web.archive.org/web/20100831180114/http://www.iphone-quality.com/reviews/iphone-earthwear/
甲第5号証:earth wear クリアジャケットセット for iPod nano 5G 絶滅危惧種コレクション
http://web.archive.org/web/20100106120217/http://arigato-ipod.com/product-earth-wear-ipod-nano-5g-eiap02.html
甲第6号証:iPhone4用のデザイン保護フィルム
http://web.archive.org/web/20110518192409/http://ifreaks.jp/832.html
甲第7号証:鏡面仕上げのクローム調 iPhoneケース「case-mate ベアリーゼア薄型ハードケース for iPhone 4(クローム)」
http://web.archive.org/web/20100829020035/http://arigato-ipod.com/2010/08/case-mate-barely-there-iphone-4-case-chrome..html
甲第8号証:鏡面仕上げのクローム調 iPhoneケース「case-mate ベアリーゼア薄型ハードケース for iPhone 4(クローム)」
http://megalodon.jp/2012-1120-1204-22/amebli.jp/iphone-parts/entry-10932493256.html
甲第9号証:ウェブ魚拓のWikipediaでの解説
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E9%AD%9A%E6%8B%93
甲第10号証:特許第5071950号公報

第3 被請求人の主張の概要
被請求人の主張の骨子は以下のとおりである。
1.本件の実用新案登録の請求の範囲の記載は明確である
2.請求項1?3に係る考案は、先願特許の発明と同一ではない。
3.請求項1?3に係る考案は、甲第1?9号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。

第4 当審において通知した無効理由
当審において、平成25年3月15日付けの無効理由通知書において通知した理由の概要は以下のとおりである。
[理由1]
本件実用新案登録の請求項1?3に係る考案(以下、「本件考案1?3」という。)は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された、下記の刊行物に記載された考案又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった考案に基いて,その出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案1?3の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、実用新案法第37条第1項第2号に規定に該当し、無効とすべきものである。

電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった情報を、以下「電子的技術情報」という。
[引用する電子的技術情報]
1.「iPad/iPhone/iPodアイテム通販: iPhone4ケース アースウェア絶滅危惧種+パワーサポートAir(エアー)ジャケット EWFP01/EWFP02(earthwear /POWERSUPPORT)」
2010年12月9日(インターネット・アーカイブに収録)
URL:http://web.archive.org/web/20101209152032/http://ri-bot.jp/item/EWFP.html
2.「earthwear × POWERSUPPORT 特別企画、earthwear絶滅危惧種 iPhone 4 ケース」
2010年12月24日 URL:http://apptoi.com/archives/1355
3.「4世代iPod Touch 全体用保護フィルム SKIN EVOLUTION 」
2010年9月21日(インターネット・アーカイブに収録)
URL:http://web.archive.org/web/20100921151627/http://www.skinevo.com/catalog/ipod/ipod-touch-4gen
4.「iPod Nano 6世代用保護フィルム SKIN EVOLUTION 」
2010年9月21日(インターネット・アーカイブに収録)
URL:http://web.archive.org/web/20100921151617/http://www.skinevo.com/catalog/ipod/ipod-nano-6gen
5.帝国インキ製造株式会社 テクニカルレポートNo.124
「MIR9000ミラーインキ」2004年9月
URL:http://www.teikokuink.com/backnumber/jp/124_new.pdf
6.帝国インキ製造株式会社 テクニカルレポートNo.142
「ミラーインキ(鏡面インキ)によるメッキ代替」2008年9月
URL: http://www.teikokuink.com/techreport/report/142_kino.html

[理由2]
本件実用新案登録は、実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、実用新案法第5条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、実用新案法第37条第1項第4号に該当し、無効にすべきものである。

1.請求項2には、「前記保護フィルムの図形あるいは文字は、ミラー加工印刷により前記保護フィルムの外表面あるいは内面に設けられた」と記載されているが、「ミラー加工印刷」が何を意味するのか不明である。したがって、請求項2に係る考案は明確でない。
2.考案の詳細な説明の【0008】、【0013】、【0014】には、図形や文字を「ミラー加工印刷」により設けることについて記載されているが、「ミラー加工印刷」が具体的にどのようなものか説明されておらず、「ミラー加工印刷」について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものとは認められない。

第5 無効理由通知に対する被請求人の主張の概要
[理由1]に対して
電子的技術情報1,2に示されるiPhone4ケースは、あくまで「アースウェア絶滅危惧種」の図柄を描いたものであり、本件考案のような、ロゴマークおよびロゴ文字の少なくとも一方と一体となって一つのモチーフを醸し出すようなものではない
[理由2]に対して
平成25年4月22日付けの訂正書により請求項2を削除しており解消した。

第6 本件考案
平成25年4月22日付けの訂正書により請求項2が削除されたので、本件実用新案の請求項1、3に係る考案(以下、「本件考案1」、「本件考案3」という。)は、訂正後の実用新案登録請求の範囲1、3に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
携帯電子機器の裏面乃至側面の外面形状を覆う保護フィルムにおいて、該保護フィルムが透光性素材からなり、携帯電子機器の裏面を覆う前記保護フィルムの外表面側あるいは内面側に図形あるいは文字が付され、前記保護フィルムを前記携帯電子機器に取り付けた場合に、前記携帯電子機器のロゴマークおよびロゴ文字が透視でき、ロゴマークおよびロゴ文字の少なくとも一方と一体となって一つのモチーフを醸し出せるものであることを特徴とする携帯電子機器用保護フィルム。
【請求項3】
前記保護フィルムの図形は、前記携帯電子機器のロゴマークを運搬する車両、前記携帯電子機器のロゴマークを屋上看板のコンテンツとした建物、前記携帯電子機器のロゴマークを用いたキーボードのボタン、前記携帯電子機器のロゴマークの容器や包装、前記携帯電子機器のロゴマークと接する動物や植物、のいずれかである請求項1に記載の携帯電子機器用保護フィルム。」

第7 当審の判断
以下、無効理由通知の[理由1]について検討する。
1.電子的技術情報に記載された考案
電子的技術情報1には、iPhone4ケースの「アースウェア絶滅危惧種」について記載されている。
その中央付近には、
「クリアタイプは透明のクリアケースに白で動物をデザインしてあります。」及び「クリアタイプ6種(透明のクリアケースに白で動物のイラストデザイン」と記載されており、以下に示す「アフリカゾウEWFP01LA」の写真が記載されている。


この写真は、ケースをiPhone4に取り付けたものであることは明らかであり、iPhone4の(メーカであるアップル社の)ロゴマークおよびロゴ文字が透視できる。そして、アフリカゾウがiPhone4のロゴマークであるリンゴを鼻でくわえているように見えるので、ケースに付されたアフリカゾウのイラストデザインがロゴマークと一体となって一つのモチーフを醸し出しているということができる。
また、透明のクリアケースでは、ケースの素材が透光性素材であることは技術常識である。
電子的技術情報2にも、iPhone4ケースの「アースウェア絶滅危惧種」について記載されており、その写真等からして、電子的技術情報1のiPhone4ケースの「アースウェア絶滅危惧種」と同じ製品であることは明かである。
電子的技術情報2のiPhone4のケースの写真からすると、このiPhone4のケースは、iPhone4の裏面乃至側面の外面形状を覆うものであるといえる。
したがって、電子的技術情報1には、以下の考案(以下、「引用考案」という。)が開示されているものと認められる。
「iPhone4の裏面乃至側面の外面形状を覆うケースにおいて、該ケースが透光性素材からなり、iPhone4の裏面を覆う前記ケースにアフリカゾウのイラストデザインが付され、前記ケースを前記iPhone4に取り付けた場合に、前記iPhone4のロゴマークおよびロゴ文字が透視でき、ロゴマークと一体となって一つのモチーフを醸し出せるものであるiPhone4のケース。」

2.対比・判断
(1)本件考案1について
本件考案1と引用考案とを対比する。
引用考案の「iPhone4」は、本件考案1の「携帯電子機器」に相当する。
引用考案の「ケース」と本件考案1の「保護フィルム」とは「保護部材」である点で共通する。したがって、引用考案の「iPhone4のケース」は、「携帯電子機器用保護部材」といえる。
引用考案の「アフリカゾウのイラストデザイン」は、本願考案1の「図形」に相当する。

したがって、本件考案1と引用考案とは、
「携帯電子機器の裏面乃至側面の外面形状を覆う保護部材において、該保護部材が透光性素材からなり、携帯電子機器の裏面を覆う前記保護部材に図形が付され、前記保護部材を前記携帯電子機器に取り付けた場合に、前記携帯電子機器のロゴマークおよびロゴ文字が透視でき、ロゴマークおよびロゴ文字の少なくとも一方と一体となって一つのモチーフを醸し出せるものである携帯電子機器用保護部材。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本件考案1の保護部材は、保護フィルムであるのに対して、引用考案の保護部材は、ケースである点。
[相違点2]
本件考案1は、保護部材の外表面側あるいは内面側に図形あるいは文字が付されるのに対して、引用考案は、保護部材に図形が付されるものである点。

上記相違点1について検討すると、電子的技術情報3、4には、携帯電子機器の裏面乃至側面の外面形状を覆う保護フィルムが開示されており、引用考案の保護部材を保護フィルムとすることに困難性は認められない。
上記相違点2について検討すると、保護部材に図形を付けるときに、保護部材の外表面側あるいは内面側に図形を付けることは普通に行われていることであり、格別のことではない。

(2)本件考案3について
本件考案3と引用考案とを対比する。
本件考案3と引用考案とは、上記相違点1、2に加えて以下の点で相違している。
[相違点3]
本件考案3の保護部材の図形は、「前記携帯電子機器のロゴマークを運搬する車両、前記携帯電子機器のロゴマークを屋上看板のコンテンツとした建物、前記携帯電子機器のロゴマークを用いたキーボードのボタン、前記携帯電子機器のロゴマークの容器や包装、前記携帯電子機器のロゴマークと接する動物や植物、のいずれかである」のに対して、引用考案の保護部材の図形はアフリカゾウである点。

上記相違点3について検討すると、電子的技術情報1の前掲した写真には、iPhone4のメーカであるアップル社のロゴマークと接する動物(アフリカゾウ)が示されており、また、保護部材に付ける図形として種々の図形が選択できることは当然のことであり、格別のことではない。

3.まとめ
以上のとおり、本件考案1及び本件考案3は、引用考案及び電子的技術情報2?4に記載された事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第8 むすび
本件考案1及び本件考案3は、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録がされたものであり、その実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号に該当し無効とされるべきものである。
そして、審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2013-08-28 
出願番号 実願2011-3670(U2011-3670) 
審決分類 U 1 114・ 121- ZA (H04M)
最終処分 成立  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 藤井 浩
矢島 伸一
登録日 2011-08-17 
登録番号 実用新案登録第3170253号(U3170253) 
考案の名称 携帯電子機器用保護フィルム  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 特許業務法人グローバル知財  
代理人 伊藤 寛之  
代理人 奥野 彰彦  
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