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審決分類 審判    E06B
管理番号 1287476
審判番号 無効2013-400003  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-06-25 
確定日 2014-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3183840号実用新案「引戸の隙間防止装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3183840号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案登録第3183840号の請求項1?7に係る考案についての出願は、平成25年3月22日に実用新案登録出願され、平成25年5月8日にその実用新案登録の設定登録がなされたものである。
その後、平成25年6月25日に本件実用新案登録に対して実用新案登録無効審判が請求され、その請求書の副本を被請求人へ平成25年8月19日に発送するとともに、期間を決めて答弁書の提出の機会を与えたが、被請求人からは応答が無かった。
また当審から平成26年2月25日付けで、請求人及び被請求人へ書面審理通知書を送付した。


第2 本件考案
本件実用新案登録第3183840号の請求項1ないし7に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、次のとおりである。

「出入口を開閉する引戸が該出入口を閉じた状態で戸尻側表面に近接して起立する方立枠を有す引戸装置であって、この引戸と方立枠との間に形成される隙間を塞ぐ為の隙間防止装置において、上記方立枠の引戸側面には凹溝を全長に亘って形成し、この凹溝には先端に引戸面に接するモヘアなどの隙間防止部材を取付けた遮蔽部材を嵌め、方立枠の出入口側面には調整部材を取着し、該調整部材は方立枠に設けた穴に回転しないように嵌った外輪と該外輪に嵌って回転する回転体から成り、回転体を回転することで連動機構を介して上記遮蔽部材が前進・後退移動するようにしたことを特徴とする引戸の隙間防止装置。」


第3 請求人の主張
1.請求人の主張、及び提出した証拠の概要
請求人は、実用新案登録第3183840号の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、甲第1号証を提示し、以下の無効理由を主張した。

[無効理由]
本件実用新案登録は、甲第1号証に記載された発明(当審注:実用新案法第3条第1項第3号の条文からみて、「発明」は「考案」と認める。)と同一であって、実用新案法第3条第1項(当審注:請求人の主張する無効理由全体からみて、「第3条第1項」は「第3条第1項第3号」と認める。)の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(請求書2頁11?14行)

(具体的理由)
(1)本件登録実用新案と甲第1号証との対比
(a)構成においては、本件登録実用新案の必須要件である<調整部材は方立枠に設けた穴に回転しないように嵌った外輪と該外輪に嵌って回転する回転体から成り、回転体を回転することで連動機構を介して上記遮蔽部材が前進・後退移動するようにしたこと>に対して甲第1号証の必須要件である<貫通孔に挿入配設されるカム材の回動によりフィラー部材が扉本体表面に対し略直角方向で進退自在となるようにしたこと>であって、本件登録実用新案と甲第1号証の構成は同一である。
(b)効果においても、本件登録実用新案が、<調整部材の回転体後方端から延びる偏心カム軸が遮蔽部材に沿って形成したカム溝に係合し、回転体の回転に伴って偏心カム軸が回動することで遮蔽部材は前進・後退することが出来る>効果に対して、甲第1号証は<カム材の回動でフィラー部材を容易に調整できる>効果であって、本件登録実用新案と甲第1号証の効果は同一である。(請求書3頁末行?4頁13行)

[証拠方法]
甲第1号証:特許第4487408号公報


第4 無効理由についての当審の判断
1.甲第1号証の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、以下の事項が記載されている。

ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開動作の際には控え壁と手前側で重なるようにスライドする扉本体と、控え壁の開口側端部に配設される中方立とを備えた片引き戸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図16、17に示すように中方立(3)と扉本体(2)との間には、扉本体(2)が円滑にスライド走行できるように隙間(10)が設けられていた。
【0003】
これにより、中方立(3)に擦れることなく扉本体(2)を円滑にスライド走行させることができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、スライド走行用に設けた隙間(10)が施工の具合により、必要以上に大きくなってしまうことがあり、意匠上好ましくない状態に陥ることがあるという問題を抱えていた。又、これとは逆に施工の具合により必要な隙間(10)が確保されず、扉本体(2)が中方立(3)に対して擦れてしまうこともあり、スライド走行の際に磨耗等の問題が発生することもあった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、中方立と扉本体との隙間を適正な大きさに調整し、意匠的にも充分満足できる隙間とすることのできる片引き戸を提供することにある。」

イ 「【0016】
【発明の実施の形態】
[第1の参考例]図1乃至3は、本発明の第1の参考例である片引き戸を示す説明図である。
【0017】
この参考例の片引き戸は、開動作の際には控え壁(1)と手前側で重なるようにスライドする扉本体(2)と、控え壁(1)の開口側端部に配設される中方立(3)とを備えた片引き戸において、中方立(3)の前端部垂直方向略全長に、扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるフィラー部材(4)を設けている。
【0018】
又、該参考例の片引き戸は、フィラー部材(4)の横断面形状を略L字形とし其の一辺の内側面部に嵌合突起(5)を設けると共に、中方立(3)の側面部に嵌合突起(5)と嵌合し扉本体(2)表面に対し略直角方向に並ぶ複数の嵌合穴(6)を設け、嵌合突起(5)を選択した嵌合穴(6)に嵌合することで、フィラー部材(4)が扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるようにしてもいる。
【0019】
又、該参考例の片引き戸は、嵌合突起(5)をフィラー部材(4)の略全長に渡って設けると共に、嵌合穴(6)を中方立(3)の略全長に渡る溝としてもいる。
【0020】
図1に示すように、本参考例の片引き戸は、中方立(3)と扉本体(2)と縦枠(7)とを備えている。
【0021】
中方立(3)は横断面長方形の棒材で控え壁(1)の開口側端部に設けられる。中方立(3)は、図2に示すように、側面部に溝状の嵌合穴(6)を有している。本参考例では3本備えており、状況に応じて適切な嵌合穴(6)にフィラー部材(4)を嵌合させる。嵌合穴(6)がある方が控え壁(1)の手前側に配設される。反対側には、ケーシング材埋込み用縦溝(8)が掘り込まれている。
【0022】
フィラー部材(4)は、図3に示すように、横断面略L字形で内側面部に嵌合突起(5)を備えている。嵌合突起(5)の断面は鏃状の加工が施してあり、嵌合穴(6)に嵌合した際には外れにくくなるように工夫されている。又、嵌合突起(5)と略平行な外側面部には、軟質繊維(9)が多数設けられており、扉本体(2)とフィラー部材(4)とが擦れても扉本体(2)が磨耗することのないようにもしてある。又、フィラー部材(4)はプラスチックにて成形される。
【0023】
したがって、以上説明した片引き戸によると、中方立(3)と扉本体(2)との隙間(10)を適正な大きさに調整し、意匠的にも充分満足できる隙間(10)を形成することができる。即ち、施工の際の誤差により、隙間(10)の大きさがばらついてしまっても、このフィラー部材(4)を進退自在に調整することで、隙間(10)の大きさを調整することができる。その結果適正な大きさの隙間(10)とすることができる。
【0024】
又、嵌合穴(6)を選択することで中方立(3)と扉本体(2)との隙間(10)を適正な大きさに調整することができる。即ち、嵌合穴(6)は扉本体(2)表面に対し略直角方向に並べて複数設けているので、各々の嵌合穴(6)について各々の隙間(10)間隔を得ることができる。
【0025】
又、中方立(3)に対するフィラー部材(4)の嵌合を強固なものとすることができる。即ち、中方立(3)の略全長に渡る溝で嵌合するようにするので嵌合強度が増す。又、嵌合穴(6)を溝とすることでフィラー部材(4)を上下方向に調整可能とすることができる。」

ウ 「【0028】
[第1の実施の形態]図5乃至7は、本発明の請求項1又は2に対応する片引き戸を示す説明図である。
【0029】
この実施の形態の片引き戸は、請求項1及び請求項2に記載したように、フィラー部材(4)の横断面形状を略L字形とし其の一辺に貫通する調整用貫通孔(11)を設けると共に、中方立(3)の前面部に該一辺が挿入可能で尚且つ側壁に貫通孔(12)を有したスリット(13)を設け、スリット(13)内に該一辺を挿入し、貫通孔(12)を通して調整用貫通孔(11)にカム材(14)を挿入配設し、このカム材(14)の回動によりフィラー部材(4)が扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるようにしている。
【0030】
このものは、第1の参考例と中方立(3)とフィラー部材(4)が異なり、フィラー部材(4)の進退をカム材(14)により操作するようにしている。
【0031】
図5に示すように本実施の形態の中方立(3)は、前面部にスリット(13)を備えている。このスリット(13)には横断面略L字状のフィラー部材(4)の一辺が挿入される。
【0032】
図6に示すようにフィラー部材(4)は横断面が略L字状で、その一辺には縦長円形状の調整用貫通孔(11)が3つ設けてある。この調整用貫通孔(11)にはカム材(14)が挿入されてカム材(14)の回動によりフィラー部材(4)が進退自在に動く。又、調整用貫通穴(11)の軸方向と略平行な一辺の前面部には軟質繊維(9)が多数設けられている。又、フィラー部材(4)はプラスチックで成形される。
【0033】
図7に示すようにカム材(14)は大小の円板部からなる。大きい円板部(15)の外面にはプラスドライバーが差し込めるように十字穴(16)加工が施されている。このカム材(14)は、小さい円板部(17)を貫通孔(12)を通して調整用貫通孔(11)に挿入配設し、大きい円板部(15)外側面に設けられた十字穴(16)にドライバーを差し込んで回動する。
【0034】
したがって、以上説明した片引き戸によると、カム材(14)の回動でフィラー部材(4)の進退を容易に調整できる。即ち、カム材(14)の回動により調整用貫通孔(11)の内周壁前側が押圧された際には、フィラー部材(4)が前方に迫出される。又、同様にカム材(14)の回動により調整用貫通孔(11)の内周壁後側が押圧された際にはフィラー部材(4)が後方に引き込まれる。このようにカム材(14)の回動でフィラー部材(4)の進退を容易に調整することができる。」

エ 「【0044】
尚、軟質繊維(9)はモヘアとしても良い。又、軟質繊維(9)は図15に示すように、軟質部(27)と硬質部(28)を備えたヒレ状体(29)としても良い。
【0045】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、中方立と扉本体との隙間を適正な大きさに調整し、意匠的にも充分満足できる隙間を形成することができる。」

オ 上記アないしエからみて、甲第1号証には、以下の考案(以下、「甲1考案」という。)が記載されているものと認められる。
「開動作の際には控え壁(1)と手前側で重なるようにスライドする扉本体(2)と、控え壁(1)の開口側端部に配設される横断面長方形の棒材である中方立(3)とを備えた片引き戸において、
中方立(3)と扉本体(2)との間には、扉本体(2)が円滑にスライド走行できるように隙間(10)が設けられており、
中方立(3)の前端部垂直方向略全長に、扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるフィラー部材(4)を設け、
フィラー部材(4)の横断面形状を略L字形とし其の一辺に貫通する縦長円形状の調整用貫通孔(11)を設けると共に、中方立(3)の前面部に該一辺が挿入可能で尚且つ側壁に貫通孔(12)を有したスリット(13)を設け、スリット(13)内に該一辺を挿入し、貫通孔(12)を通して調整用貫通孔(11)にカム材(14)を挿入配設し、このカム材(14)の回動によりフィラー部材(4)が扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるようにしており、調整用貫通穴(11)の軸方向と略平行な一辺の前面部には軟質繊維(9)としてモヘアが多数設けられている、
施工の際の誤差により、中方立(3)と扉本体(2)との隙間(10)の大きさがばらついてしまっても、このフィラー部材(4)を進退自在に調整することで、隙間(10)の大きさを調整することができ、
カム材(14)の回動でフィラー部材(4)の進退を容易に調整できる、
片引き戸」

2.当審の判断
(1)対比
本件考案と甲1考案を対比する。

ア 甲1考案の「扉本体(2)」,「中方立(3)」,「片引き戸」,「中方立(3)と扉本体(2)との間に」設けられた「隙間(10)」,「中方立(3)の前面部」,「スリット(13)」,「軟質繊維(9)」,「フィラー部材(4)」,「中方立(3)」の「側壁」及び「貫通穴(12)」は、それぞれ本件考案の「引戸」,「方立枠」,「引戸装置」,「引戸と方立枠との間に形成される隙間」,「方立枠の引戸側面」,「凹溝」,「隙間防止部材」,「遮蔽部材」,「方立枠の出入口側面」及び「方立枠に設けた穴」に相当する。
甲1考案の「カム材(14)」は、本件考案の「調整部材」と「回転体」に相当する。
甲1考案の「前面部には軟質繊維(9)としてモヘアが多数設けられ」た「フィラー部材(4)」と「カム材(14)」を合わせたものが、本件考案の「隙間防止装置」に相当する。

イ 甲1考案の「扉本体(2)」が「出入口を開閉する」ことは、一般的なことであって、自明な事項である。
そして甲1考案において、「控え壁(1)の開口側端部」の位置は、「扉本体(2)」で出入口を閉鎖したときの「扉本体(2)」の戸尻側位置近傍にあたるので、甲1考案の「控え壁(1)の開口側端部に配設される横断面長方形の棒材である中方立(3)」は、本件考案の「引戸が出入口を閉じた状態で戸尻側表面に近接して起立する方立枠」に相当する。

ウ 甲1考案は、「中方立(3)と扉本体(2)との隙間(10)の大きさがばらついてしまっても、このフィラー部材(4)を進退自在に調整することで、隙間(10)の大きさを調整することができ」るものであって、その「フィラー部材(3)」の「中方立(3)調整用貫通穴(11)の軸方向と略平行な一辺の前面部には軟質繊維(9)が多数設けられている」ことからすると、甲1考案の「フィラー部材(4)」と「軟質繊維(9)」とが「中方立(3)と扉本体(2)との隙間(10)」を、完全かどうか不明であるものの、塞いでいるものと認められる。
よって、甲1考案の「フィラー部材(4)」と「軟質部材(9)」は、本件考案の「隙間防止装置」と同様に、引戸と方立枠との間に形成される隙間を塞ぐ為の」ものである。

エ 甲1考案は、「中方立(3)の前端部垂直方向略全長に、扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるフィラー部材(4)を設け」ていることからすると、甲1考案の「中方立(3)の前面部に該一辺が挿入可能」に設けられた「スリット(13)」は、「中方立(3)」の「全長に亘って形成されている」ものと認められる。

オ 甲1考案の「フィラー部材(4)の横断面形状を略L字形とし其の一辺に貫通する縦長円形状の調整用貫通孔(11)を設けると共に、中方立(3)の前面部に該一辺が挿入可能で尚且つ側壁に貫通孔(12)を有したスリット(13)を設け、スリット(13)内に該一辺を挿入し」「調整用貫通穴(11)の軸方向と略平行な一辺の前面部には軟質繊維(9)としてモヘアが多数設けられている」ことと、本件考案の「この凹溝には先端に引戸面に接するモヘアなどの隙間防止部材を取付けた遮蔽部材を嵌め」ることとは、「この凹溝には先端にモヘアなどの隙間防止部材を取付けた遮蔽部材を嵌め」ることで共通している。

カ 甲1考案の「中方立(3)の前面部に該一辺が挿入可能で尚且つ側壁に貫通孔(12)を有したスリット(13)を設け、」「貫通孔(12)を通して調整用貫通孔(11)にカム材(14)を挿入配設」することは、本件考案の「方立枠の出入口側面には調整部材を取着」することに相当する。

キ 甲1考案の「カム材(14)の回動によりフィラー部材(4)が扉本体(2)表面に対し略直角方向で進退自在となるようにして」いることと、本件考案の「調整部材は方立枠に設けた穴に回転しないように嵌った外輪と該外輪に嵌って回転する回転体から成り、回転体を回転することで連動機構を介して上記遮蔽部材が前進・後退移動するようにしたこと」とは、「調整部材は回転する回転体から成り、回転体を回転することで連動機構を介して上記遮蔽部材が前進・後退移動するようにしたこと」で共通している。

ク 上記アないしキからみて、本件考案と甲1考案とは、
「出入口を開閉する引戸が該出入口を閉じた状態で戸尻側表面に近接して起立する方立枠を有す引戸装置であって、この引戸と方立枠との間に形成される隙間を塞ぐ為の隙間防止装置において、上記方立枠の引戸側面には凹溝を全長に亘って形成し、この凹溝には先端にモヘアなどの隙間防止部材を取付けた遮蔽部材を嵌め、方立枠の出入口側面には調整部材を取着し、該調整部材は回転体から成り、回転体を回転することで連動機構を介して上記遮蔽部材が前進・後退移動するようにしたことを特徴とする引戸の隙間防止装置。」で一致し、以下の点で一応相違している。

相違点1:隙間防止部材が、本件考案は、引戸面に接するのに対し、甲1考案は、引戸面に接しているかどうか不明な点。
相違点2:調整部材が、本件考案は、方立枠に設けた穴に回転しないように嵌った外輪と該外輪に嵌って回転する回転体から成るのに対し、甲1考案は、外輪が無く回転体のみである点。

(2)判断
上記一応の相違点について検討する。

ア 相違点1
引戸と枠体との間の隙間に軟質部材を設ける理由は、一般的に当該隙間から風や光を通さないようにすることであって、そして当該理由から、通常、上記軟質部材を隙間を完全に塞ぐように配置するので、甲1考案の軟質繊維は引戸面に接しているとみるのが自然である。
したがって、相違点1に係る構成は、実質的な相違点とは認められない。

イ 相違点2
本件考案の調整部材のうちの外輪は、方立枠に設けられた穴に回転しないように嵌っているものであって、当該外輪は、回転体が嵌っている以外の何らかの機能も認められない。とすれば、当該外輪は実質的に方立枠の一部であって、単に方立枠の一部分を別体にしたものとも言える。
部材を一体で形成するか、別体で形成するかは、当業者が必要に応じて適宜選択するような設計上の微差に過ぎないものであるから、上記外輪も方立枠の一部を別体で構成した程度の設計上の微差に過ぎず、上記相違点2に係る構成は、実質的な相違点とは認められない。

(3)まとめ
上記(1)及び(2)のとおり、本件考案と甲1考案とは実質的に相違しないものであって、本件考案は甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。


第5 むすび
以上のとおり、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものであって、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、実用新案法第41条が準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-03-07 
結審通知日 2014-03-11 
審決日 2014-03-26 
出願番号 実願2013-1578(U2013-1578) 
審決分類 U 1 124・ 113- Z (E06B)
最終処分 成立  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 中川 真一
住田 秀弘
登録日 2013-05-08 
登録番号 実用新案登録第3183840号(U3183840) 
考案の名称 引戸の隙間防止装置  
代理人 平崎 彦治  
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