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審決分類 審判    A45C
審判    A45C
管理番号 1305030
審判番号 無効2014-400009  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-11-10 
確定日 2015-08-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3186449号実用新案「ダブルロック機能付きスーツケース」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3186449号の請求項1ないし4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案登録第3186449号に係る考案についての出願は、平成25年7月25日に実用新案登録出願され、平成25年9月11日にその考案について実用新案登録の設定登録がなされた。
その後、平成26年11月10日に請求人(株式会社ティーアンドエス)から実用新案登録無効審判の請求がなされ、これに対し、被請求人(頼 偉浤)から応答はなされなかったものである。

第2 本件登録実用新案
本件実用新案登録の請求項1?4に係る登録実用新案(以下、「本件考案1?4」という。)は、本件の登録明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものである。
「【請求項1】
ケースと、
前記ケースに開放可能に枢着されており、前記ケースとから第1収容空間を構成する第1蓋と、
前記第1蓋に開放可能に枢着されており、前記第1蓋とから第2収容空間を構成する第2蓋と、
前記ケースに組み付けられている第1内ジッパーと、
前記第1蓋の一側に組み付けられており、前記第1内ジッパーに対応する第2内ジッパーと、
前記第1内ジッパーと前記第2内ジッパーの間に移動可能に設けられており、前記第1内ジッパーと前記第2内ジッパーを合せ、又は分離可能な二つの第1ジッパーヘッドと、
前記第1ジッパーヘッドに組み付けられており、それぞれ第1ジッパー穴を有する二つの第1プルヘッドと、
前記第1蓋の他側に組み付けられている第1外ジッパーと、
前記第2蓋に組み付けられており、前記第1外ジッパーに対応する第2外ジッパーと、
前記第1外ジッパーと前記第2外ジッパーの間に移動可能に設けられており、前記第1外ジッパーと前記第2外ジッパーを合せ、又は分離可能な二つの第2ジッパーヘッドと、
前記第2ジッパーヘッドに組み付けられており、それぞれ第2ジッパー穴を有する二つの第2プルヘッドと、
前記第1蓋に設けられており、本体と、第1ロック具と、第2ロック具と、第1押圧ボタンと、第2押圧ボタンと、ロックユニットと、を有する錠と、
を含み、
前記本体は、前記第2内ジッパーに近接する内側辺と、前記内側辺の反対側に位置しており、前記内側辺によりも前記第1外ジッパーに近接する外側辺と、前記内側辺から前記外側辺へ設けられており、前記第1ジッパー穴を置き可能な二つの内ロック溝と、前記外側辺から前記内側辺へ設けられており、前記第2ジッパー穴を置き可能な二つの外ロック溝と、を有し、前記第1蓋の外側面に設けられており、
前記第1ロック具は、押さえられたと前記内ロック溝から同期に離脱し、平常時に前記内ロック溝に位置して前記第1ジッパー穴を挿通している二つの第1柱部を有し、前記本体の内部に復帰可能に組み付けられており、
前記第2ロック具は、押さえられたと前記外ロック溝から同期に離脱し、平常時に前記外ロック溝に位置して前記第2ジッパー穴を挿通している二つの第2柱部を有し、前記本体の内部に復帰可能に組み付けられており、
前記第1押圧ボタンは、前記本体に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、前記第1ロック具の二つの前記第1柱部の前記内ロック溝からの離脱の可否を制御可能であり、
前記第2押圧ボタンは、前記本体に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、前記第2ロック具の二つの前記第2柱部の前記外ロック溝からの離脱の可否を制御可能であり、
前記ロックユニットは、前記本体に組み付けられており、前記第1ロック具と前記第2ロック具との変位の可否を制御可能であることを特徴とする、
ダブルロック機能付きスーツケース。
【請求項2】
前記本体は、更に、第1止め部と、第2止め部と、前記第1止め部と前記第2止め部の間に位置しており、前記ロックユニットを入れ可能な溝部と、前記溝部の周囲に設けられている二つの第3止め部と、前記第1ロック具の二つの前記第1柱部にそれぞれ対応する二つの第4止め部と、前記第2ロック具の二つの前記第2柱部にそれぞれ対応する二つの第5止め部と、を含み、前記第1ロック具は、更に、第1ロッド部と、前記第1ロッド部の反対側に位置する第1押付部と、を有し、二つの前記第1柱部と二つの前記第4止め部の間に第1バネが設けられており、前記第2ロック具は、更に、第2ロッド部と、前記第2ロッド部の反対側に位置する第2押付部と、を有し、二つの前記第2柱部と二つの前記第5止め部の間に第2バネが設けられており、前記第1押圧ボタンは、前記第1ロッド部を挿入可能な第1挿入溝と、前記第1止め部に押付け、又は前記第1止め部から離れ可能な第1フック部と、を有し、前記第2押圧ボタンは、前記第2ロッド部を挿入可能な第2挿入溝と、前記第2止め部に押付け、又は前記第2止め部から離れ可能な第2フック部と、を有し、前記ロックユニットは、錠であり、前記第3止め部に押付け、又は前記第3止め部から離れ可能な二つの凸部を有し、前記各凸部が前記第3止め部に押付けているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とからずれており、前記各凸部が前記第3止め部から離れているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とに押付けていることを特徴とする、請求項1に記載のダブルロック機能付きスーツケース。
【請求項3】
前記ロックユニットは、更に、暗号錠を含み、前記暗号錠は、前記第1ロック具と前記第2ロック具との変位の可否を制御可能であることを特徴とする、請求項2に記載のダブルロック機能付きスーツケース。
【請求項4】
前記ロックユニットは暗号錠であることを特徴とする、請求項1に記載のダブルロック機能付きスーツケース。」

第3 請求人の主張の概略
請求人の主張は、以下のとおりである。
本件考案1、4は、甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
本件考案2、3は、甲第1号証に記載された考案及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案し得たものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
したがって、本件考案1?4に係る実用新案登録は実用新案法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

〈証拠方法〉
甲第1号証:登録新案登録第3183509号公報
甲第2号証:中国実用新案第202596354号明細書

第4 当審の判断
1 甲第1、2号証の記載事項
(1)甲第1号証(以下、「甲1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
1a「【請求項1】
トラベルケースを開閉するための第1スライドファスナーおよび第2スライドファスナーが並設され、両スライドファスナーは、二つのスライダーを互いに近接させることで当該スライドファスナーが閉鎖され、二つのスライダーを互いに離反させることで当該スライドファスナーが開放されるものとしたトラベルケースの錠前装置であって、第1スライドファスナーの互いに近接させた二つのスライダーの第1引き手それぞれを各挿入する第1挿入部と、第2スライドファスナーの互いに近接させた二つのスライダーの第2引き手それぞれを各挿入する二つの第2挿入部とを一つの筐体に設けて成り、各引き手に開口形成された係止孔に係脱自在となるように各挿入部内側においてスライド可能とし且つ弾性部材によって係止方向に付勢されたスライドフックと、弾性部材の付勢力に抗してスライドフックを係止解除方向へスライドさせることで係止孔への係止を解除する解除ボタンとを備えて成ることを特徴とするトラベルケースの錠前装置。
・・・
【請求項4】
複数のダイヤルの回転操作により前記解除ボタンを操作可能または操作不能とするダイヤルロック機構を含み、前記ロック機構は、ダイヤルロック機構のダイヤルの回転操作により解除ボタンが操作可能となった状態で、スライドフックの係止解除方向へのスライドを阻止するよう前記係止片を揺動操作させるものとした請求項1乃至3のいずれか記載のトラベルケースの錠前装置。」(【実用新案登録請求の範囲】)

1b「本考案は、例えばキャスター移動式のスーツケース等において、その収納室を開閉させるスライドファスナーが対状に配置形成されている場合、二つのスライドファスナーそれぞれを閉塞すべく互いに閉じ方向に近接した双方のスライドファスナーにおける各二つのスライダーを集中的に纏めさせてロック・アンロック可能としたスーツケースその他のトラベルケースの錠前装置に関するものである。」(段落【0001】)

1c「本考案によれば、スーツケースその他のトラベルケース等において、スライドファスナー8,9が対状に配置形成されている場合、二つのスライドファスナー8,9の互いに閉じ方向に近接した双方の各二つのスライダー10a,10b,12a,12bを、集中的に纏めさせた箇所で共にロック・アンロック可能にする。例えば、一つの収納室であるトラベルケース1に例えば横開き用のための第1スライドファスナー8および例えば縦開き用のための第2スライドファスナー9が並設されている場合、またはトラベルケース1を内部で分割すべく仕切り壁を設けて二つの収納室と成し、各収納室を第1スライドファスナー8、第2スライドファスナー9それぞれによって開閉する場合、さらには一つの収納室の開閉用の第1スライドファスナー8とは別にトラベルケース1の外表面に、例えば小さい収納室となるポケット部を設け、これの開閉のための第2スライドファスナー9を設けた場合等の様々なタイプのトラベルケース1において、第1スライドファスナー8の互いに閉じ方向に近接した二つのスライダー10a,10bと、第2スライドファスナー9の互いに閉じ方向に近接した二つのスライダー12a,12bとの双方を、集中的に纏めさせた同一箇所である一つの筐体22によって共にロック・アンロック可能にする。」(段落【0012】)

1d「以下、図面を参照して本考案の第1実施形態を詳細に説明すると、図において示される符号1は、例えば旅行用収納具として使用されるスーツケースであり、保形性を有する例えば硬質の強化プラスチック材等により形成されている。」(段落【0019】)

1e「・・・トラベルケース1は、図1に示すように、箱部2と蓋部3とにより全体が略直方体状に構成され、箱部2の内部には、種々の収容物を収容するための収納空間部が形成されている。・・・」(段落【0020】)

1f「(スライドファスナーの詳細構造)
トラベルケース1には、一方の側辺側に設けられている不図示のヒンジ部を介して蓋部3を横開きするための第1スライドファスナー8と、底辺側に設けられている不図示のヒンジ部を介して蓋部3を縦開きするための第2スライドファスナー9とが並設されている。そして、スライドファスナー8(9)は、二つのスライダー10a,10b(12a,12b)を互いに近接させることで当該スライドファスナー8(9)を構成する歯合部が閉鎖され、二つのスライダー10a,10b(12a,12b)を互いに離反させることで当該スライドファスナー8(9)を構成する歯合部が開放されるものとなっている。スライダー10a,10bには、板片状の第1引き手11a,11bが取付けられ、スライダー12a,12bには、板片状の第2引き手13a,13bが取付けられており、さらに各引き手11a,11b,13a,13bには、後述するスライドフック31に係止させるための係止孔14a,14bが開口形成されている(図4参照)。」(段落【0021】)

1g「・・・トラベルケース1を内部で分割すべく仕切り壁を設けて二つの収納室と成し、各収納室それぞれを第1スライドファスナー8、第2スライドファスナー9それぞれによって個別に開閉する場合や、第1スライドファスナー8によって開閉される本体収納室とは別にトラベルケース1の外表面に例えば小さい収納室となるポケット部を設け、これの開閉のための第2スライドファスナー9を設けた場合等にも適用できる。」(段落【0022】)

1h「 図2に示すように、トラベルケース1の上面において、第1スライドファスナー8と第2スライドファスナー9との間には、両スライドファスナー8,9の互いに閉じ方向に近接した各二つのスライダー10a,10b,12a,12bを共にロック・アンロック可能とした錠前装置21が付設されている。この錠前装置21は、図2に示すように、平面視略長方形状の筐体22によって形成され、第1スライドファスナー8側に対向する筐体の平面視左上縁部には、互いに近接させた二つのスライダー10a,10bの第1引き手11a,11bそれぞれを各挿入するための切欠スリット状となった二つの第1挿入部23a,23bが並設され、第2スライドファスナー9に対向する筐体22の平面視右下縁部には、互いに近接させた二つのスライダー12a,12bの第2引き手13a,13bそれぞれを各挿入するための切欠スリット状となった二つの第2挿入部24a,24bが並設されている。また、筐体22の平面視左右両端部には、第1挿入部23a,23bおよび第2挿入部24a,24bそれぞれからスライダー10a,10bおよびスライダー12a,12bをロック解除して開放するために筐体22の側方から操作可能とする解除ボタン25a,25bが突設されている。さらに、筐体22の平面視中央には、各解除ボタン25a,25bの押し込み操作を阻止するための二つのロック機構26a,26bが上下に配置されている。」(段落【0023】)

1i「次に、錠前装置21の詳細内部構造について図3および図4に基づき説明する。なお、以下の説明において、第1挿入部23a,23bと第2挿入部24a,24b、および解除ボタン25aと解除ボタン25b、およびロック機構26aとロック機構26bそれぞれの配置が互いに対称である以外は共に同じ構成であるため、一方の第1挿入部23a,23b、解除ボタン25a、ロック機構26bのみについて説明する。」(段落【0024】)

1j「図3に示すように、筐体22の内部には、解除ボタン25aと一体となったスライドフック31が不図示のガイド溝に沿って水平方向にスライド自在となるように配装されている。スライドフック31の下面視上縁部左端側には、二つの係止突起31a,31bが外方に向けて突設され、係止突起31a,31bの後面側は、筐体22の内壁から内側に向けて突設した各不動部22a,22bに弾性部材33a,33bを介して連繋されている。また係止突起31a,31bの前面側には、係合突起32a,32bがスライド方向に沿って突設され、弾性部材33a,33bの弾発力によって第1挿入部23a,23b側に係合突起32a,32bが常時突出するようにしてある。」(段落【0025】)

1k「・・・解除ボタン25aを押圧操作すると、係止突起31a,31bが弾性部材33a,33bを圧縮しつつ、係合突起32a,32bが第1挿入部23a,23b側から平面視左方向へ退避されることで第1引き手11a,11bそれぞれの係止孔14a,14bから係合突起32a,32bが解放される。また解除ボタン25aの押圧操作の解除によって、係合突起32a,32bが弾性部材33a,33bの弾発力によって平面視右方向の第1挿入部23a,23b側に突出することで、第1引き手11a,11bそれぞれの係止孔14a,14bに係合突起32a,32bが係合されるようにしてある。・・・」(段落【0026】)

1l「ロック機構26bは、キー孔にキーを挿入しシリンダーを揺動することによって当該シリンダーの周面に突設した係止片27を、スライドフック31の平面視左下に形成された被係止部34側に揺動させることで解除ボタン25aの押圧操作が不能となるようにしている。このように係止片27が被係止部34に当接し突っ掛かり状態とすることによって、スライドフック31の係合突起32a,32bは第1挿入部23a,23b側に常時突出された状態を維持する。すなわち、第1挿入部23a,23b内で第1引き手11a,11bそれぞれがロックされた状態を維持する。一方、係止片27を、スライドフック31の被係止部34から離反する方向に揺動させることで解除ボタン25aの押圧操作が可能となる。」(段落【0027】)

1m「(錠前装置の外観構成)
すなわち、図8に示すように、ダイヤルロック機構41は、筐体22の第1挿入部23a,23bおよび第2挿入部24a,24bそれぞれに対向すべく、筐体22の平面視右上および平面視左下それぞれに例えば3つのダイヤル42a,42b,42cが一部露出した状態で並設されて成る。これら3つのダイヤル42a,42b,42cの各回転位置が予め指定されている番号順となるように回転操作されることで解除ボタン25a,25bがロック解除され、またこれら3つのダイヤル42a,42b,42cの各回転位置が予め指定されている番号順となっておらず、ランダム回転位置であったときには、解除ボタン25a,25bがロックされるようになっている。」(段落【0035】)

(ア)上記記載事項1b及び1cの記載から、甲1には、「二つのスライドファスナー双方の各二つのスライダーを集中的に纏めさせてロック・アンロック可能とした錠前装置を有するトラベルケース錠前装置を有するトラベルケース」が記載されている。

(イ)上記記載事項1c、記載事項1g及び図1の記載から、トラベルケースは「箱部2と、箱部2に開放可能に枢着されており、箱部2とから第1収容空間を構成する横開きする蓋部3と、横開きする蓋部3に開放可能に枢着されており、前記横開きする蓋部3とから第2収容空間を構成する縦開きする蓋部3と、を有している」といえる。

(ウ)第1スライドファスナー8のうち、上記記載事項1b、記載事項1f、記載事項1h、図1及び図2の記載から、第1スライドファスナー8のうち、箱部2に組み付けられている第1スライドファスナー8の部分を「第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分」と称し、横開きする蓋部3の一側に組み付けられいる第1スライドファスナー8の部分を「第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分」と称し、第2スライドファスナー9のうち、横開きする蓋部3の他側に組み付けられている第2スライドファスナー9の部分を「第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分」と称し、縦開きする蓋部3に組み付けられている第2スライドファスナー9の部分を「第2スライドファスナー9の他方のジッパー部分」と称すると、トラベルケースは「箱部2に組み付けられている第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分と、横開きする蓋部3の一側に組み付けられており、前記第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分に対応する第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分と、第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分と他方のジッパー部分の間に移動可能に設けられており、一方のジッパー部分と他方のジッパー部分を合せ、又は分離可能な二つの第1スライドファスナー8のスライダー10a,10bと、第1スライドファスナー8のスライダー10a,10bに組み付けられており、それぞれ係止孔14a,14bを有する二つの第1引き手11a,11bと、横開きする蓋部3の他側に組み付けられている第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分と、縦開きする蓋部3に組み付けられており、前記第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分に対応する第2スライドファスナー9の他方のジッパー部分と、第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分と他方のジッパー部分の間に移動可能に設けられており、前記一方のジッパー部分と他方のジッパー部分を合せ、又は分離可能な二つの第2スライドファスナー9のスライダー12a,12bと、第2スライドファスナー9のスライダー12a,12bに組み付けられており、それぞれ係止孔14a,14bを有する二つの第2引き手13a,13bと、」を有する。

(エ)上記記載事項1i、記載事項1k、記載事項1l、図2及び図3の記載から、解除ボタン25a,25bのうち、解除ボタン25aを「第1の解除ボタン25a」と称し、解除ボタン25bを「第2の解除ボタン25b」と称し、スライドフック31のうち、第1の解除ボタン25a側のスライドフック31を「第1のスライドフック31」と称し、第2の解除ボタン25b側のスライドフック31を「第2のスライドフック31」と称すると、トランクケースは、「横開きする蓋部3に設けられており、筐体22と、第1のスライドフック31と、第2のスライドフック31と、第1の解除ボタン25aと、第2の解除ボタン25bと、ロック機構26a,26bと、を有する錠前装置21と、」を有する。

(オ)上記記載事項1h、図2及び図3の記載から、筐体22の第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分に近接する辺を「第1の辺」と称し、第1の辺の反対側に位置しており、第1の辺よりも前記第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分に近接する辺を「第2の辺」と称すると、トランクケースの「筐体22」について、「筐体22は、第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分に近接する第1の辺と、第1の辺の反対側に位置しており、第1の辺よりも前記第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分に近接する第2の辺と、第1の辺から第2の辺へ設けられており、係止孔14a,14bを置き可能な二つの第1挿入部23a,23bと、第2の辺から第1の辺へ設けられており、係止孔14a,14bを置き可能な二つの第2挿入部24a,24bと、を有し、横開きする蓋部3の外側面に設けられている」といえる。

(カ)上記記載事項1i、図2及び図3の記載から、トランクケースの「スライドフック31」について、「第1のスライドフック31は、押さえられたとき第1挿入部23a,23bから同期に離脱し、平常時に前記第1挿入部23a,23bに位置して係止孔14a,14bを挿通している二つの係合突起32a,32bを有し、筐体22の内部に復帰可能に組み付けられており、第2のスライドフック31は、押さえられたとき第2挿入部24a,24bから同期に離脱し、平常時に第2挿入部24a,24bに位置して係止孔14a,14bを挿通している二つの係合突起32a,32bを有し、筐体22の内部に復帰可能に組み付けられている」といえる。

(キ)上記記載事項1h、図2及び図3の記載から、トランクケースの「解除ボタン25a,25b」について、「第1の解除ボタン25aは、筐体22に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、第1のスライドフック31の二つの係合突起32a,32bの第1挿入部23a,23bからの離脱の可否を制御可能であり、第2の解除ボタン25bは、筐体22に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、第2のスライドフック31の二つの係合突起32a,32bの前記第2挿入部24a,24bからの離脱の可否を制御可能である」といえる。

(ク)上記記載事項1l、図2及び図3の記載から、トランクケースの「ロック機構26a,26b」と「解除ボタン25a,25b」とについては、「ロック機構26a,26bは、筐体22に組み付けられており、第1のスライドフック31と第2のスライドフック31との変位の可否を制御可能である第1の解除ボタン25aは、筐体22に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、第1のスライドフック31の二つの係合突起32a,32bの第1挿入部23a,23bからの離脱の可否を制御可能であり、第2の解除ボタン25bは、筐体22に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、第2のスライドフック31の二つの係合突起32a,32bの前記第2挿入部24a,24bからの離脱の可否を制御可能である」といえる。

以上から、甲1には、次の考案(以下、「甲1考案」という。)が記載されている。
「箱部2と、
前記箱部2に開放可能に枢着されており、前記箱部2とから第1収容空間を構成する横開きする蓋部3と、
前記横開きする蓋部3に開放可能に枢着されており、前記横開きする蓋部3とから第2収容空間を構成する縦開きする蓋部3と、
前記箱部2に組み付けられている第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分と、
前記横開きする蓋部3の一側に組み付けられており、前記第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分に対応する第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分と、
前記第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分と他方のジッパー部分の間に移動可能に設けられており、前記一方のジッパー部分と他方のジッパー部分を合せ、又は分離可能な二つの第1スライドファスナー8のスライダー10a,10bと、
前記第1スライドファスナー8のスライダー10a,10bに組み付けられており、それぞれ係止孔14a,14bを有する二つの第1引き手11a,11bと、
前記横開きする蓋部3の他側に組み付けられている第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分と、
前記縦開きする蓋部3に組み付けられており、前記第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分に対応する第2スライドファスナー9の他方のジッパー部分と、
前記第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分と他方のジッパー部分の間に移動可能に設けられており、前記一方のジッパー部分と他方のジッパー部分を合せ、又は分離可能な二つの第2スライドファスナー9のスライダー12a,12bと、
前記第2スライドファスナー9のスライダー12a,12bに組み付けられており、それぞれ係止孔14a,14bを有する二つの第2引き手13a,13bと、
前記横開きする蓋部3に設けられており、筐体22と、第1のスライドフック31と、第2のスライドフック31と、第1の解除ボタン25aと、第2の解除ボタン25bと、ロック機構26a,26bと、を有する錠前装置21と、
を含み、
前記筐体22は、前記第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分に近接する第1の辺と、前記第1の辺の反対側に位置しており、前記第1の辺よりも前記第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分に近接する第2の辺と、前記第1の辺から前記第2の辺へ設けられており、前記係止孔14a,14bを置き可能な二つの第1挿入部23a,23bと、前記第2の辺から前記第1の辺へ設けられており、前記係止孔14a,14bを置き可能な二つの第2挿入部24a,24bと、を有し、前記横開きする蓋部3の外側面に設けられており、
前記第1のスライドフック31は、押さえられたとき前記第1挿入部23a,23bから同期に離脱し、平常時に前記第1挿入部23a,23bに位置して前記係止孔14a,14bを挿通している二つの係合突起32a,32bを有し、前記筐体22の内部に復帰可能に組み付けられており、
前記第2のスライドフック31は、押さえられたとき前記第2挿入部24a,24bから同期に離脱し、平常時に前記第2挿入部24a,24bに位置して前記係止孔14a,14bを挿通している二つの係合突起32a,32bを有し、前記筐体22の内部に復帰可能に組み付けられており、
前記第1の解除ボタン25aは、前記筐体22に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、前記第1のスライドフック31の二つの前記係合突起32a,32bの前記第1挿入部23a,23bからの離脱の可否を制御可能であり、
前記第2の解除ボタン25bは、前記筐体22に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、前記第2のスライドフック31の二つの前記係合突起32a,32bの前記第2挿入部24a,24bからの離脱の可否を制御可能であり、
前記ロック機構26a,26bは、前記筐体22に組み付けられており、前記第1のスライドフック31と前記第2のスライドフック31との変位の可否を制御可能であることを特徴とする、
二つのスライドファスナー双方の各二つのスライダーを集中的に纏めさせてロック・アンロック可能とした錠前装置を有するトラベルケース。」

(2)甲第2号証(以下、「甲2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
2a「1. 錠ハウジングと、錠ハウジングの一方の両側に設けられるボタンと、錠ハウジングの他方の両側に設けられるキャッチ溝とを含み、
錠ハウジング内には、錠芯座及び、互いに対向するスライドロッドが設けられ、スライドロッドには、キャッチ溝内に進入してファスナの引き手をロック可能なロックプレートが設けられ、錠芯座には、回転可能な錠芯が設けられ、錠芯には、互いに対向する押しロッドが設けられ、押しロッドの夫々が対応するスライドロッドを押圧し、前記ボタンは、スライドロッドを押して移動させ、スライドロッドと錠ハウジングとの間に、スライドロッドを位置回復させるための戻し機構が設けられる、双方ファスナ錠前。
・・・
4.前記戻し機構は、戻しバネを含み、当該戻しバネの両端面の夫々がスライドロットと錠ハウジングの内壁に押圧する、請求項1に記載の双方ファスナ錠前。
5.前記スライドロッドは、第1スライドロッド及び第2スライドロッドを含み、前記ロックプレートが、それぞれ、第1スライドロッド及び第2スライドロッドに設けられる、請求項4に記載の双方フアスナ錠前。
6.前記第1スライドロッド及び第2スライドロッドに突柱が設けられ、前記戻しバネの一端が突柱に嵌設される、請求項5に記載の双方ファスナ錠前。
7.前記ボタン内に、収納溝と、第1位置決め部と、第2位置決め部とが設けられ、前記スライドロッドの端部が収納溝内に設けられ、前記錠ハウジングに、第1位置決め部に係合する第1止部と、第2位置決め部に係合する第2止部とが設けられる、請求項1に記載の双方ファスナ錠前。」(請求の範囲)

2b「本考案は、錠前に関し、特に双方ファスナ錠前に関する。」([0001])

2c「通常、ファスナを備えるスーツケース、又はその他の類似するスーツケースには、ファスナが設けられており、ファスナの2枚の引き手をロックすることができる。
しかし、現在、多くのスーツケースは、2つの付属ケースを有しており、2つのファスナを用いてロックする必要がある。上述した方式ではコストが高いため、上記の欠陥に対して、本考案者は、双方ファスナ錠前を開発し、当該双方ファスナ錠前は、2つのファスナをまとめてロックすることができ、構造が簡単でコストが低く、さらに、製品のバリエーションが拡大される。」([0002])

2d「本考案の有益な効果は、本考案が鍵を使用して錠芯を回転させることにより押しロッドを回転させる。これにより、押しロッドがスライドロットに押圧しなくなり、ボタンを押すことによりスライドロッドを押してロックプレートを移動させ、ファスナの引き手のロックを解錠する。本考案は、構造が簡単、使用が便利であり、生産コストが低下する。」([0012])

2e「図1?図7を参照し、本考案は、双方ファスナ錠前を開示し、錠ハウジング1と、錠ハウジング1の一方の両側の夫々に設けられるボタン2と、錠ハウジング1の他方の両側の夫々に設けられるキャッチ溝3とを含み、錠ハウジング1内に錠芯座4と、対向するスライドロッド5とが設けられており、スライドロッド5において、キャッチ溝3内に進入してファスナの引き手をロック可能なロックプレート6が設けられ、錠芯座4内に回転可能な錠芯7が設けられ、錠芯7には、夫々が、対応するスライドロッド5を押圧可能である、対向する押しロッド8を設けており、前記ボタン2がスライドロッド5を押して移動させることができ、スライドロッド5と錠ハウジング1との間に、スライドロッド5を位置回復させる戻し機構が設けられ、錠芯7は当該分野の慣用構造であるため、詳述しない。」([0021])

2f「図示するように、当該具体的な実施例において、錠ハウジング1の両側の夫々において、2つのキャッチ溝3が設けられ、スーツケースにおける1つのファスナに2つの引き手を備えているため、上下2つのファスナは、それぞれ、両側における2つのキャッチ溝3に対応可能である。錠ハウジング1の他方の両側において、対向するボタン2が設けられ、取付け及び加工の便宜を図るため、錠ハウジング1に収納孔9及び底板11が設けられ、収納孔9にガードボード10が設けられている。前記錠芯座4は、収納孔9内に設けられ、且つ、軸方向に移動するように、ガードボード10及び底板11により制限される。前記錠芯座4の外壁に、テープ状の突条12が設けられ、収納孔9の内壁に、テープ状の突条12に合致する凹状溝13が設けられ、前記錠芯座4では、突条12と凹状溝13との合致によりその軸方向の回転が制限される。錠芯7に、突ブロック14及び連接材15が設けられ、連接材15に連接孔が設けられ、突ブロック14が連接孔に挿設し、前記錠芯7は、突ブロック14が連接孔壁を押し付けることで連接材15を回転させ、押しロッド8の夫々が、連接材15に設けられ、本実施例において、押しロッド8と連接材15とが一体成形されている。」([0022])

2g「図示するように、戻し機構は、戻しバネ(未図示)を含み、当該戻しバネの両端面が、それぞれ、スライドロッド5と錠ハウジング1の内壁に押圧する。取付け及び加工の便宜を図るため、スライドロッド5は、第1スライドロッド16と第2スライドロッド17とを含み、前記ロックプレート6が第1スライドロッド16及び第2スライドロッド17の夫々に設けられ、第1スライドロッド16及び第2スライドロッド17に突柱18が設けられ、前記戻しバネの一端部が、突柱18に嵌設される。」([0023])

2h「図示するように、ボタン2内に、収納溝19と、第1位置決め部20と、第2位置決め部21とが設けられ、前記スライドロッド5の端部が収納溝19内に設けられている。前記錠ハウジング1に、第1位置決め部20に対して係合する第1止部22と、第2位置決め部21に対して係合する第2止部23とが設けられる。」([0024])

2i「当該製品の作動原理は、解錠時、鍵が錠芯7に挿入し、錠芯7を回転させることで、押しロッド8を回転させ、押しロッド8がスライドロッド5に押圧しなくなる。
両側のボタン2を押すと、スライドロッド5が移動するように押されることにより、ロックプレート6の移動を連動させ、引き手に対するロックを解除し、引き手をキャッチ溝3内から取り出して、スーツケースを開けることができる。スーツケースを施錠する時、フアスナを締め、ボタン2を押すことでスライドロッド5がロックプレートを引き戻す。引き手の夫々を対応するキャッチ溝3に入れ、ボタン2を離して、戻しバネがスライドロッド5を押して位置回復させることにより、ロックプレート6が引き手孔に挿入し、鍵が錠芯7を回転させることで、押しロッド8を回転させることで位置回復する。これにより、押しロッド8がスライドロッド5を押圧することで、スライドロッド5が移動できなくなり、ロックプレート6が引き手をロックさせる。」([0025])

(ケ)図3において、押しロッド8の回転を規制する2つの部材(押しロッド8の近傍の部材)を「回転規制部」と称する。図3において、戻しばねが存在する4箇所の、(突柱8と反対の側の)部材を「バネ受け具」と称する。また、「第1止部22及び第2止部23」、「スライドロッド5」、「ボタン2」等について、図2及び図3の錠ハウジング1の右半分(右上部分)にある部材を、それぞれ「一方の第1止部22及び第2止部23」、「一方のスライドロッド5」、「一方のボタン2」等と称し、図2及び図3の錠ハウジング1の左半分(左下部分)にある部材を、それぞれ「他方の第1止部22及び第2止部23」、「他方のスライドロッド5」、「他方のボタン2」等と称する。
そうすると、上記記載事項2e、記載事項2i、図2、図3、図4及び図5の図示内容から、甲2には、「錠ハウジング1は、一方の第1止部22及び第2止部23と、他方の第1止部22及び第2止部23と、一方の第1止部22及び第2止部23と他方の第1止部22及び第2止部23の間に位置しており、錠芯7を入れ可能な収納孔9と、収納孔9の周囲に設けられている二つの回転規制部と、一方の第1止部22及び第2止部23の二つのロックプレート6にそれぞれ対応する二つのバネ受け部と、他方のスライドロッド5の二つのロックプレート6にそれぞれ対応する二つのバネ受け部と、を含む」点が、記載されている。

(コ)図4及び図6において、スライドロッド5の収納溝19に収納される端部の反対側に位置する部分を「当接部」と称する。
上記記載事項2a、記載事項2e、記載事項2f、記載事項2g、図2、図3、図4、図6及び図7の図示内容から、甲2には、「一方のスライドロッド5は、更に、一方の収納溝19に収納される端部と、一方の収納溝19に収納される端部の反対側に位置する当接部と、を有し、二つのロックプレート6と二つのバネ受け部の間に戻しバネが設けられており、他方のスライドロッド5は、更に、他方の収納溝19に収納される端部と、他方の収納溝19に収納される端部の反対側に位置する当接部と、を有し、二つのロックプレート6と二つのバネ受け部の間に戻しバネが設けられている」点が記載されている。

(サ)上記記載事項2a、記載事項2e、記載事項2f、図2、図3、図4、図6及び図7の図示内容から、甲2には、「一方のボタン2は、一方の収納溝に収納される端部を挿入可能な一方の収納溝19と、一方の第1止部22及び第2止部23に押付け、又は一方の第1止部22及び第2止部23から離れ可能な一方の第1位置決め部20及び第2位置決め部21と、を有し、
他方のボタン2は、他方の収納溝19に収納される端部を挿入可能な他方の収納溝19と、他方の第1止部22及び第2止部23に押付け、又は他方の第1止部22及び第2止部23から離れ可能な他方の第1位置決め部20及び第2位置決め部21と、を有する」点が記載されている。

(シ)上記記載事項2a、記載事項2d、記載事項2f、記載事項2i、図2、図3、図4及び図6の図示内容から、甲2には、「各押しロッド8が回転規制部に押付けているときには、二つの押しロッド8が、一方のスライドロッド5の一方の第1止部22及び第2止部23と他方のスライドロッド5の他方の第1止部22及び第2止部23とからずれており、各押しロッド8が前記回転規制部から離れているときには、二つの押しロッド8が、前記一方のスライドロッド5の一方の第1止部22及び第2止部23と他方のスライドロッド5の他方の第1止部22及び第2止部23とに押付ける構造を有する」点が記載されている。

以上から、甲2には、双方ファスナ錠前において、
「錠ハウジング1は、一方の第1止部22及び第2止部23と、他方の第1止部22及び第2止部23と、前記一方の第1止部22及び第2止部23と前記他方の第1止部22及び第2止部23の間に位置しており、錠芯7を入れ可能な収納孔9と、前記収納孔9の周囲に設けられている二つの回転規制部と、一方の第1止部22及び第2止部23の二つのロックプレート6にそれぞれ対応する二つのバネ受け部と、他方のスライドロッド5の二つのロックプレート6にそれぞれ対応する二つのバネ受け部と、を含み、
前記一方のスライドロッド5は、更に、一方の収納溝19に収納される端部と、前記一方の収納溝19に収納される端部の反対側に位置する当接部と、を有し、二つの前記ロックプレート6と二つの前記バネ受け部の間に戻しバネが設けられており、
前記他方のスライドロッド5は、更に、他方の収納溝に収納される端部と、前記他方の収納溝19に収納される端部の反対側に位置する当接部と、を有し、二つの前記ロックプレート6と二つの前記バネ受け部の間に戻しバネが設けられており、
一方のボタン2は、前記一方の収納溝19に収納される端部を挿入可能な一方の収納溝19と、前記一方の第1止部22及び第2止部23に押付け、又は前記一方の第1止部22及び第2止部23から離れ可能な一方の第1位置決め部20及び第2位置決め部21と、を有し、
他方のボタン2は、前記他方の収納溝19に収納される端部を挿入可能な他方の収納溝19と、前記他方の第1止部22及び第2止部23に押付け、又は前記他方の第1止部22及び第2止部23から離れ可能な他方の第1位置決め部20及び第2位置決め部21と、を有し、
前記錠芯7は、錠であり、前記回転規制部に押付け、又は回転規制部から離れ可能な二つの押しロッド8を有し、
前記各押しロッド8が前記回転規制部に押付けているときには、前記二つの押しロッド8が、前記一方のスライドロッド5の前記一方の第1止部22及び第2止部23と前記他方のスライドロッド5の前記他方の第1止部22及び第2止部23とからずれており、前記各押しロッド8が前記回転規制部から離れているときには、前記二つの押しロッド8が、前記一方のスライドロッド5の前記一方の第1止部22及び第2止部23と前記他方のスライドロッド5の前記他方の第1止部22及び第2止部23とに押付ける構造を有するものとすること」が記載されている。

したがって、甲2には、双方ファスナ錠前について、
「本体は、第1止め部と、第2止め部と、前記第1止め部と前記第2止め部の間に位置しており、ロックユニットを入れ可能な溝部と、前記溝部の周囲に設けられている二つの第3止め部と、第1ロック具の二つの第1柱部にそれぞれ対応する二つの第4止め部と、第2ロック具の二つの第2柱部にそれぞれ対応する二つの第5止め部と、を含み、前記第1ロック具は、更に、第1ロッド部と、前記第1ロッド部の反対側に位置する第1押付部と、を有し、二つの前記第1柱部と二つの前記第4止め部の間に第1バネが設けられており、前記第2ロック具は、更に、第2ロッド部と、前記第2ロッド部の反対側に位置する第2押付部と、を有し、二つの前記第2柱部と二つの前記第5止め部の間に第2バネが設けられており、第1押圧ボタンは、前記第1ロッド部を挿入可能な第1挿入溝と、前記第1止め部に押付け、又は前記第1止め部から離れ可能な第1フック部と、を有し、第2押圧ボタンは、前記第2ロッド部を挿入可能な第2挿入溝と、前記第2止め部に押付け、又は前記第2止め部から離れ可能な第2フック部と、を有し、前記ロックユニットは、錠であり、前記第3止め部に押付け、又は前記第3止め部から離れ可能な二つの凸部を有し、前記各凸部が前記第3止め部に押付けているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とからずれており、前記各凸部が前記第3止め部から離れているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とに押付けているものとする」考案(以下、「甲2考案」という。)が記載されている。

2 対比・判断
(1)本件考案1について
a 対比
本件考案1と甲1考案とを対比する。
甲1考案の「トラベルケース」、「二つのスライドファスナー双方の各二つのスライダーを集中的に纏めさせてロック・アンロック可能とした錠前装置を有するトラベルケース」は、甲1考案の「スーツケース」、「ダブルロック機能付きスーツケース」にそれぞれ相当する。
甲1考案の「箱部2」、「横開きする蓋部3」、「縦開きする蓋部3」は、それぞれ、本件考案1の「ケース」、「第1蓋」、「第2蓋」に相当する。
甲1考案の「第1スライドファスナー8の一方のジッパー部分」は、本件考案1の「第1内ジッパー」に相当する。
甲1考案の「第1スライドファスナー8の他方のジッパー部分」は、本件考案1の「第2内ジッパー」に相当する。
甲1考案の「第2スライドファスナー9の一方のジッパー部分」は、本件考案1の「第1外ジッパー」に相当する。
甲1考案の「第2スライドファスナー9の他方のジッパー部分」は、本件考案1の「第2外ジッパー」に相当する。
甲1考案の「第1スライドファスナー8のスライダー10a,10b」は、本件考案1の「第1ジッパーヘッド」に相当する。
甲1考案の「係止孔14a,14b」は、本件考案1の「第1ジッパー穴」に相当する。
甲1考案の「第1引き手11a,11b」は、本件考案1の「第1プルヘッド」に相当する。
甲1考案の「第2スライドファスナー9のスライダー12a,12b」は、本件考案1の「第2ジッパーヘッド」に相当する。
甲1考案の「係止孔14a,14b」は、本件考案1の「第2ジッパー穴」に相当する。
甲1考案の「第2引き手13a,13b」は、本件考案1の「第2プルヘッド」に相当する。
甲1考案の「筐体22」は、本件考案1の「本体」に相当する。
甲1考案の「第1のスライドフック31」は、本件考案1の「第1ロック具」に相当する。
甲1考案の「第2のスライドフック31」は、本件考案1の「第2ロック具」に相当する。
甲1考案の「錠前装置21」は、本件考案1の「錠」に相当する。
甲1考案の「第1の解除ボタン24a」は、本件考案1の「第1押圧ボタン」に相当する。
甲1考案の「第2の解除ボタン24b」は、本件考案1の「第2押圧ボタン」に相当する。
甲1考案の「ロック機構26a,26b」は、本件考案1の「ロックユニット」に相当する。
甲1考案の「第1の辺」は、本件考案1の「内側辺」に相当する。
甲1考案の「第2の辺」は、本件考案1の「外側辺」に相当する。
甲1考案の「第1挿入部23a,23b」は、本件考案1の「内ロック溝」に相当する。
甲1考案の「第1挿入部24a,24b」は、本件考案1の「外ロック溝」に相当する。
甲1考案の「係合突起31a,31b」は、本件考案1の「第1柱部」に相当する。
甲1考案の「係合突起32a,32b」は、本件考案1の「第2柱部」に相当する。

本件考案1は、甲1考案と、
「ケースと、
前記ケースに開放可能に枢着されており、前記ケースとから第1収容空間を構成する第1蓋と、
前記第1蓋に開放可能に枢着されており、前記第1蓋とから第2収容空間を構成する第2蓋と、
前記ケースに組み付けられている第1内ジッパーと、
前記第1蓋の一側に組み付けられており、前記第1内ジッパーに対応する第2内ジッパーと、
前記第1内ジッパーと前記第2内ジッパーの間に移動可能に設けられており、前記第1内ジッパーと前記第2内ジッパーを合せ、又は分離可能な二つの第1ジッパーヘッドと、
前記第1ジッパーヘッドに組み付けられており、それぞれ第1ジッパー穴を有する二つの第1プルヘッドと、
前記第1蓋の他側に組み付けられている第1外ジッパーと、
前記第2蓋に組み付けられており、前記第1外ジッパーに対応する第2外ジッパーと、
前記第1外ジッパーと前記第2外ジッパーの間に移動可能に設けられており、前記第1外ジッパーと前記第2外ジッパーを合せ、又は分離可能な二つの第2ジッパーヘッドと、
前記第2ジッパーヘッドに組み付けられており、それぞれ第2ジッパー穴を有する二つの第2プルヘッドと、
前記第1蓋に設けられており、本体と、第1ロック具と、第2ロック具と、第1押圧ボタンと、第2押圧ボタンと、ロックユニットと、を有する錠と、
を含み、
前記本体は、前記第2内ジッパーに近接する内側辺と、前記内側辺の反対側に位置しており、前記内側辺によりも前記第1外ジッパーに近接する外側辺と、前記内側辺から前記外側辺へ設けられており、前記第1ジッパー穴を置き可能な二つの内ロック溝と、前記外側辺から前記内側辺へ設けられており、前記第2ジッパー穴を置き可能な二つの外ロック溝と、を有し、前記第1蓋の外側面に設けられており、
前記第1ロック具は、押さえられたと前記内ロック溝から同期に離脱し、平常時に前記内ロック溝に位置して前記第1ジッパー穴を挿通している二つの第1柱部を有し、前記本体の内部に復帰可能に組み付けられており、
前記第2ロック具は、押さえられたと前記外ロック溝から同期に離脱し、平常時に前記外ロック溝に位置して前記第2ジッパー穴を挿通している二つの第2柱部を有し、前記本体の内部に復帰可能に組み付けられており、
前記第1押圧ボタンは、前記本体に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、前記第1ロック具の二つの前記第1柱部の前記内ロック溝からの離脱の可否を制御可能であり、
前記第2押圧ボタンは、前記本体に組み付けられており、押圧されると復帰可能であり、前記第2ロック具の二つの前記第2柱部の前記外ロック溝からの離脱の可否を制御可能であり、
前記ロックユニットは、前記本体に組み付けられており、前記第1ロック具と前記第2ロック具との変位の可否を制御可能であることを特徴とする、
ダブルロック機能付きスーツケース。」で一致し、相違点はない。

よって、本件考案1は、甲1考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

(2)本件考案2について
a 対比
本件考案2は、その考案を特定するために必要な事項である「本体」に関して、本件考案1の「本体」を「本体は、更に、第1止め部と、第2止め部と、前記第1止め部と前記第2止め部の間に位置しており、前記ロックユニットを入れ可能な溝部と、前記溝部の周囲に設けられている二つの第3止め部と、前記第1ロック具の二つの前記第1柱部にそれぞれ対応する二つの第4止め部と、前記第2ロック具の二つの前記第2柱部にそれぞれ対応する二つの第5止め部と、を含み、前記第1ロック具は、更に、第1ロッド部と、前記第1ロッド部の反対側に位置する第1押付部と、を有し、二つの前記第1柱部と二つの前記第4止め部の間に第1バネが設けられており、前記第2ロック具は、更に、第2ロッド部と、前記第2ロッド部の反対側に位置する第2押付部と、を有し、二つの前記第2柱部と二つの前記第5止め部の間に第2バネが設けられており、前記第1押圧ボタンは、前記第1ロッド部を挿入可能な第1挿入溝と、前記第1止め部に押付け、又は前記第1止め部から離れ可能な第1フック部と、を有し、前記第2押圧ボタンは、前記第2ロッド部を挿入可能な第2挿入溝と、前記第2止め部に押付け、又は前記第2止め部から離れ可能な第2フック部と、を有し、前記ロックユニットは、錠であり、前記第3止め部に押付け、又は前記第3止め部から離れ可能な二つの凸部を有し、前記各凸部が前記第3止め部に押付けているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とからずれており、前記各凸部が前記第3止め部から離れているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とに押付けていること」とするものである。

したがって、本件考案2と甲1考案とを対比すると、次の点で相違する。

(相違点1)
本体について、本件考案2において、「本体は、更に、第1止め部と、第2止め部と、前記第1止め部と前記第2止め部の間に位置しており、前記ロックユニットを入れ可能な溝部と、前記溝部の周囲に設けられている二つの第3止め部と、前記第1ロック具の二つの前記第1柱部にそれぞれ対応する二つの第4止め部と、前記第2ロック具の二つの前記第2柱部にそれぞれ対応する二つの第5止め部と、を含み、前記第1ロック具は、更に、第1ロッド部と、前記第1ロッド部の反対側に位置する第1押付部と、を有し、二つの前記第1柱部と二つの前記第4止め部の間に第1バネが設けられており、前記第2ロック具は、更に、第2ロッド部と、前記第2ロッド部の反対側に位置する第2押付部と、を有し、二つの前記第2柱部と二つの前記第5止め部の間に第2バネが設けられており、前記第1押圧ボタンは、前記第1ロッド部を挿入可能な第1挿入溝と、前記第1止め部に押付け、又は前記第1止め部から離れ可能な第1フック部と、を有し、前記第2押圧ボタンは、前記第2ロッド部を挿入可能な第2挿入溝と、前記第2止め部に押付け、又は前記第2止め部から離れ可能な第2フック部と、を有し、前記ロックユニットは、錠であり、前記第3止め部に押付け、又は前記第3止め部から離れ可能な二つの凸部を有し、前記各凸部が前記第3止め部に押付けているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とからずれており、前記各凸部が前記第3止め部から離れているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とに押付けている」であるのに対し、甲1考案において、本体はそのような特定事項を有さない点。

b 判断
(相違点1について)
甲2考案は、「本体は、第1止め部と、第2止め部と、前記第1止め部と前記第2止め部の間に位置しており、ロックユニットを入れ可能な溝部と、前記溝部の周囲に設けられている二つの第3止め部と、第1ロック具の二つの第1柱部にそれぞれ対応する二つの第4止め部と、第2ロック具の二つの第2柱部にそれぞれ対応する二つの第5止め部と、を含み、前記第1ロック具は、更に、第1ロッド部と、前記第1ロッド部の反対側に位置する第1押付部と、を有し、二つの前記第1柱部と二つの前記第4止め部の間に第1バネが設けられており、前記第2ロック具は、更に、第2ロッド部と、前記第2ロッド部の反対側に位置する第2押付部と、を有し、二つの前記第2柱部と二つの前記第5止め部の間に第2バネが設けられており、第1押圧ボタンは、前記第1ロッド部を挿入可能な第1挿入溝と、前記第1止め部に押付け、又は前記第1止め部から離れ可能な第1フック部と、を有し、第2押圧ボタンは、前記第2ロッド部を挿入可能な第2挿入溝と、前記第2止め部に押付け、又は前記第2止め部から離れ可能な第2フック部と、を有し、前記ロックユニットは、錠であり、前記第3止め部に押付け、又は前記第3止め部から離れ可能な二つの凸部を有し、前記各凸部が前記第3止め部に押付けているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とからずれており、前記各凸部が前記第3止め部から離れているときには、前記二つの凸部が、前記第1ロック具の前記第1止め部と前記第2ロック具の前記第2止め部とに押付けているものとする」考案である。
そうすると、本件請求項2で特定している事項、すなわち相違点1に係る特定事項は、甲2考案と一致している。甲1考案と甲2考案とは、2組のスライドファスナーを集中的に閉塞・開放できるスーツケースの錠前装置で技術分野が共通し、その機能作用も共通するから、甲2考案を甲1考案に適用して、相違点1に係る特定事項とすることは、当業者にとって極めて容易になし得る事項にすぎない。

本件考案2を全体としてみても、作用効果については、甲1考案及び甲2考案から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本件考案2は、甲1考案及び甲2考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(3)本件考案3について
a 対比
本件考案3は、その考案を特定するために必要な事項である「ロックユニット」に関して、本件考案2の「ロックユニット」を「前記ロックユニットは、更に、暗号錠を含み、前記暗号錠は、前記第1ロック具と前記第2ロック具との変位の可否を制御可能である」に限定するものである。
したがって、本件考案3と甲1考案とを対比すると、上記相違点1に加えて、次の点で相違する。

(相違点2)
本件考案3において、ロックユニットは、更に、暗号錠を含み、暗号錠は、第1ロック具と第2ロック具との変位の可否を制御可能であるのに対して、甲1考案においては、そのようなものであるか不明な点。

b 判断
相違点1についての判断は、本件考案2の相違点1についての判断と同様である。

相違点2について
甲1には、摘記事項1a「【請求項4】
複数のダイヤルの回転操作により前記解除ボタンを操作可能または操作不能とするダイヤルロック機構を含み、前記ロック機構は、ダイヤルロック機構のダイヤルの回転操作により解除ボタンが操作可能となった状態で、スライドフックの係止解除方向へのスライドを阻止するよう前記係止片を揺動操作させるものとした請求項1乃至3のいずれか記載のトラベルケースの錠前装置。」の記載からみて、「ロック機構」は、「複数のダイヤルの回転操作により前記解除ボタンを操作可能または操作不能とする」ものであって、「ダイヤルロック機構のダイヤルの回転操作により解除ボタンが操作可能となった状態で、スライドフックの係止解除方向へのスライドを阻止するよう前記係止片を揺動操作させるもの」すなわち暗号錠を含む点が記載されている。そして、甲1の「ロック機構」は、本件考案3の「ロックユニット」に相当するから、「ロックユニットは暗号錠を含む」点は、甲1に記載されている。
また、甲1の摘記事項1m「・・・図8に示すように、ダイヤルロック機構41は、筐体22の第1挿入部23a,23bおよび第2挿入部24a,24bそれぞれに対向すべく、筐体22の平面視右上および平面視左下それぞれに例えば3つのダイヤル42a,42b,42cが一部露出した状態で並設されて成る。これら3つのダイヤル42a,42b,42cの各回転位置が予め指定されている番号順となるように回転操作されることで解除ボタン25a,25bがロック解除され、またこれら3つのダイヤル42a,42b,42cの各回転位置が予め指定されている番号順となっておらず、ランダム回転位置であったときには、解除ボタン25a,25bがロックされるようになっている。」の記載からみて、「ダイヤルロック機構」は、「解除ボタンのロックの解除を制御する」といえる。

ロック機構として、甲1に記載された暗号錠を甲1考案に適用して、相違点2に係る考案特定事項とすることは、当業者が極めて容易になし得た事項にすぎず、その際、「暗号錠は、第1ロック具と第2ロック具との変位の可否を制御可能である」にすることは、当業者が当然配慮することである。
本件考案3を全体としてみても、作用効果については、甲1考案、甲第1号証に記載された技術及び甲2考案から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本件考案3は、甲1考案、甲1に記載された技術及び甲2考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(4)本件考案4について
a 対比
本件考案4は、本件考案1のロックユニットに「前記ロックユニットは暗号錠である」点が特定されている。

b 判断
甲1には、摘記事項1a「【請求項4】
複数のダイヤルの回転操作により前記解除ボタンを操作可能または操作不能とするダイヤルロック機構を含み、前記ロック機構は、ダイヤルロック機構のダイヤルの回転操作により解除ボタンが操作可能となった状態で、スライドフックの係止解除方向へのスライドを阻止するよう前記係止片を揺動操作させるものとした請求項1乃至3のいずれか記載のトラベルケースの錠前装置。」の記載からみて、「ロック機構」は、「複数のダイヤルの回転操作により前記解除ボタンを操作可能または操作不能とする」ものであって、「ダイヤルロック機構のダイヤルの回転操作により解除ボタンが操作可能となった状態で、スライドフックの係止解除方向へのスライドを阻止するよう前記係止片を揺動操作させるもの」すなわち暗号錠である点が記載されている。そして、甲1の「ロック機構」は、本件考案4の「ロックユニット」に相当するから、「ロックユニットは暗号錠である」点は、甲1に記載されている。
上記本件考案1の検討も併せて考慮すると、本件考案4は、甲1に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件考案1、4に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、本件考案2、3に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。

第5 まとめ
本件考案1?4についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当するので、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-03-31 
結審通知日 2015-04-02 
審決日 2015-04-15 
出願番号 実願2013-4305(U2013-4305) 
審決分類 U 1 114・ 113- Z (A45C)
U 1 114・ 121- Z (A45C)
最終処分 成立  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 松下 聡
蓮井 雅之
登録日 2013-09-11 
登録番号 実用新案登録第3186449号(U3186449) 
考案の名称 ダブルロック機能付きスーツケース  
代理人 野崎 俊剛  
代理人 下田 容一郎  
代理人 下田 憲雅  
代理人 奈良 如紘  
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