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審決分類 審判    B65D
審判    B65D
管理番号 1323544
審判番号 無効2016-400007  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-06-20 
確定日 2016-12-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3161815号実用新案「添物代用シート」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3161815号の請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
平成22年 5月31日 本件実用新案登録出願
平成22年 7月21日 設定登録
平成28年 6月20日 審判請求
平成28年 7月12日 請求書副本の送達
平成28年10月13日付 書面審理通知

第2 本件考案
本件の請求項1?5に係る考案(以下、「本件考案1」?「本件考案5」という。)は、以下のとおりである
「【請求項1】
合成樹脂フィルムのラミネートシートであって、
該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていることを特徴とする添物代用シート。
【請求項2】
前記シートの裏面または表面に吸水材を貼着したことを特徴とする請求項1記載の添物代用シート。
【請求項3】
前記シートが、合成樹脂フィルムと紙または不織布の層とのラミネートシートであることを特徴とする請求項1記載の添物代用シート。
【請求項4】
前記シートは、該シートの貼合せ後に所望の形状に裁断されてなることを特徴とする請求項1に記載の添物代用シート。
【請求項5】
前記合成樹脂フィルムは、抗菌機能及び/又は鮮度保持機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1つに記載の添物代用シート。」

第3 当事者の主張
1.請求人の主張
(1)主張の要点
請求人は、以下の理由により、本件考案1?5に係る実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とするとの審決を求めている。
ア 本件考案1は、甲第1号証に記載された考案であり、実用新案法第3条第1項第3号に掲げる考案に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
イ 本件考案2は、甲第1号証に記載された考案であり、実用新案法第3条第1項第3号に掲げる考案に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
ウ 本件考案3は、甲第1号証に記載された考案であり、実用新案法第3条第1項第3号に掲げる考案に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
エ 本件考案4は、甲第1号証に記載された考案であり、実用新案法第3条第1項第3号に掲げる考案に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
オ 本件考案5は、甲第1号証から甲第6号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

(2)証拠
請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証:登録実用新案第3033287号公報
甲第2号証:特開2006-75014号公報
甲第3号証:特開平11-333982号公報
甲第4号証:特開平9-224560号公報
甲第5号証:特開2000-4854号公報
甲第6号証:特開2007-259875号公報

2.被請求人の主張
被請求人からは、答弁書提出期間内に、何ら応答はなかった。

第4 当審の判断
1.甲第1、3?5号証の記載事項
(1)甲第1号証
ア「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】合成樹脂フィルムのラミネートシートであって、該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていることを特徴とする魚肉汁遮蔽シート。
【請求項2】前記シートの裏面または表面に吸水材を貼着したことを特徴とする請求項1記載の魚肉汁遮蔽シート。
【請求項3】前記シートが、合成樹脂フィルムと紙または不織布の層とのラミネートシートであることを特徴とする請求項1記載の魚肉汁遮蔽シート。」
イ「【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、魚肉汁遮蔽シートに関する。さらに詳しくは、スーパー等で販売している刺身のパックに入れ、ツマに魚肉汁が付着することや、刺身にツマの水分が付着することを防止し、また手作業でパックに詰める作業を簡単にし、費用を低減するために用いられる魚肉汁遮蔽シートに関する。」
ウ「【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の刺身パックでは、刺身の肉汁が滴下し、それを大根などのツマが吸収すると変色してみえる。また、シソの葉やコギク、パセリなどの植物の添物は、時間が経つにつれ変色したり萎れたりする。このため、消費者が店頭で見たとき新鮮でないかのような印象を与えるという問題がある。
また、ツマ自体の味も低下し、さらにツマの余分な水分が刺身に付着すると刺身の味が低下し、消費者が美味しく食べられないという問題がある。
さらに、刺身パックを製造する場合に一つ一つのトレイにオーバやコギクなどの添物を配置よく並べていくのは大変な手間がかかるし、費用も嵩んでいるという問題がある。
【0004】
本考案はかかる事情に鑑み、ツマが刺身の魚肉汁を吸収しないように、また刺身にツマの余分な水分が付着しないように、さらに刺身をトレイにパックする作業が簡単になるようにした魚肉汁遮蔽シートを提供することを目的とする。」
エ「【0006】
【考案の実施の形態】
つぎに、本考案の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本考案の魚肉汁遮蔽シートの第1実施形態に係わる単体図であって、(A)は平面図、(B)は一部拡大断面図である。図2は第1実施形態の他の例の魚肉汁遮蔽シートの単体図であって、(A)は平面図、(B)は一部拡大図である。この魚肉汁遮蔽シート1は正方形である。図1(A)、(B)において、1は第1実施形態に係わる魚肉汁遮蔽シートである。
この魚肉汁遮蔽シート1は長方形のラミネートシートであり、2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されている。各合成樹脂フィルム2、3の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を用いうる。
なお、本実施形態の魚肉汁遮蔽シート1は図1の長方形のものだけでなく、図2(A)、(B)に示すように正方形であってもよく、この他に、三角形、楕円形など任意の形状をとることができる。
さらになお、本実施形態の魚肉汁遮蔽シート1は、透明なシートにしてもよく色物シートにしてもよく、任意の色を採択できる。
【0007】
そして、合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている。図1の添物の図形4はバランであるが、図3(A)、(B)、(C)に示すように、赤ジソや青ジソの葉4A、赤や緑色の楓の葉4B、笹の葉4Cなどの図形であってもよく、図示しないが、このほかコギク、パセリなどの任意の図形を印刷しうる。また、添物の図形4の印刷は一種類に限らず、二種類以上でもよく、さらに実際の添物の配置例に合せて印刷してもよい。
したがって、本物の添物の代用として、刺身などの食品を引き立てることができる。しかも、植物の添物と異なり、変色したり萎れたりせず、さらに、本物の添物を購入するよりも安価に作成することができるという効果を奏する。
【0008】
つぎに、本実施形態の魚肉汁遮蔽シート1の使用方法を説明する。
図4は本実施形態の魚肉汁遮蔽シート1の使用状態を示す側面断面図、図5は同平面図である。
図4において、10はトレイであり、トレイ10の底には大根などを切ったツマ11がのせられている。ツマ11の上面には本実施形態の魚肉汁遮蔽シート1がのせられ、その上に刺身12が置かれている。また、トレイ10の上面はラップフィルム13で包装されている。
このようにして使用する場合、刺身12から魚肉汁が出ても直接ツマ11に触れないので、ツマ11が魚肉汁を吸収して味を低下させたり変色することが避けられる。また、刺身12にツマ11の余分な水分が付着しないので刺身12の味が低下しない。さらに、製造業者がこの刺身パックを作るとき、ツマ11の上に魚肉汁遮蔽シート1を敷くだけでよく、いちいち本物の添物を置く手間を省くことができるので、作業工数が少なくなり、費用が低減するという利点が生じる。
そして、魚肉汁遮蔽シート1を透明にしておけば、図5に示されるように、添物の図形4、4aだけが見えて他の部分は透通り、下のツマ11やトレイ10の底が見え遮断していることが判らないので、違和感がなく見映えもよい。」
オ「【0010】
つぎに、第1実施形態の第2例の魚肉汁遮蔽シート1を説明する。
図8は第1実施形態に係わる魚肉汁遮蔽シート1の第2例の斜視図、図9は同魚肉汁遮蔽シート1の吸水作用を示す側面断面図である。図8の魚肉汁遮蔽シート1は、裏面の一部、とくに下側(通常、ツマは傾斜して盛付けるが、その低い部分をいう)の裏面に吸水材5を貼着したものである。この吸水材5の貼着は、ヒートシール性の吸水材を用いてヒートシールする方法など任意の方法を用いてよい。また、吸水材5には有彩色のもの、例えば緑色のものを用いてもよい。
この実施形態の魚肉汁遮蔽シート1の場合、図9に示されるように、通常トレイ10は少し斜めに陳列されるので、刺身12と魚肉汁の余分な水分が矢印d、wで示すように下方へ流れ出るが魚肉汁遮蔽シート1の下側裏面に位置している吸水材5がそれらを吸水するので、ツマ11に魚肉汁が付着したり、刺身12に水分が吸収されるのを、より効果的に防止することができる。
そして吸水材5が有彩色のものである場合は、魚肉汁を吸収したことも視覚的にわかりにくいので好都合である。
・・・・
【0012】
図11の第1実施形態の第4例の魚肉汁遮蔽シート1は、表面の一部、とくに下側に吸水材5を貼着したものである。この魚肉汁遮蔽シート1では刺身12の魚肉汁の通り路に吸水材5が位置しているので、トレイ10の底に溜まる前に魚肉汁を吸収することができる。」
カ「【0014】
図13には、第2実施形態の魚肉汁遮蔽シート1の断面図が示されている。
第2実施形態の魚肉汁遮蔽シート1は、2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートする代わりに、1枚の合成樹脂フィルム2と紙または不織布との層6とをラミネートしたことを特徴とする。
第2実施形態の魚肉汁遮蔽シート1は一方のフィルムが合成樹脂フィルム2で、他方が紙または不織布の層6である。その余の構成は、第1実施形態の魚肉汁遮蔽シート1と同様であり、同一部品には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施形態の魚肉汁遮蔽シート1の場合、紙または不織布の層6が吸水紙としての機能も併せ奏するので、ツマ11の着色防止やツマ11と刺身12の味の低下防止にとくに高い効果がある。
なお、第2実施形態の魚肉汁遮蔽シート1は、第1実施形態の魚肉汁遮蔽シート1の第1?5例と実質同様な構成を採択できる。」
キ「【0016】
【考案の効果】
本考案の魚肉汁遮蔽シートによれば、刺身パックの魚肉汁とツマの水分による刺身とツマの味の低下および変色を防止することができ、美味しく食べることができる。また、本物の添物の代用として、刺身などの食品を引き立てることができ、しかも植物の添物と異なり、変色したり萎れたりしないので、刺身パックの見映えをよくすることができる。さらに、刺身パックの製造時、添物を一々おく手間が省けるので、作業が省力化され、省費用効果も大きい。そして、食品に対する衛生上の問題も発生しない。」

(2)甲第3号証
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、抗菌セラミックス粉体を練り込んだポリオレフィン系樹脂を、吸水性を有する不織布や、非吸水性のポリエチレン系フィルム等と貼り合わせ、ドリップシートや袋等に加工し、特に抗菌性を付与した抗菌シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のシート材としては、多種多褌なものが開示されているが、主に天然素材(ワサビ等)から抽出した抗菌剤を使用したものがある。また、抗菌セラミックス粉体を使用したものとしては、主成分として銀を含んでいるのが現状である。
【0003】しかしながら、上記前者においては天然素材を使用しているため、効果の持続性に問題を生じ、長期間使用できない。また、上記後者においても銀の効果はある程度確認できるが、それ以上の効果を有するものが現在市場に出回っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の種々の問題点に鑑みなされたもので、その目的は魚介類等のパック商品内に入れるドリップシートや生鮮食料品の容器や袋に加工して使用し、鮮度保持するもので、抗菌性が高く、長期間に及び、かつドリップが出易い食品においても使用できる抗菌シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段として、酸化珪素、酸化アルミニュームなどのセラミックスに、酸化チタンを吸着させたものを主成分とする抗菌セラミックス粉体を練り込んだポリオレフィン系樹脂を、吸水性を有する不織布、合成紙、パルプ紙等に貼り合わせた。・・・・」

(3)甲第4号証
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソチオシアン酸エステルをシクロデキストリンで包接した包接化合物の粉末を含有する水膨潤性ポリウレタン樹脂層からなる抗菌性フィルムで、ラップ等で包装された容器と食品との間に敷いたり、覆ったりするものであり、食品におけるカビの発生や細菌の増殖等を防ぐ抗菌効果を有する抗菌性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、抗菌性フィルム及びその製造方法としては、イソチオシアネート類化合物又はテルペン類化合物又はこれらの配合物をシクロデキストリンで包接した包接化合物を合成樹脂フィルムに分散含有させたもの(例えば特開平6-191562号公報)、アリルイソチオシアネートをシクロデキストリンで包接した包接化合物の粉末をラミネート用接着剤に分散させた接着剤層を有する抗菌性フィルム(例えば特開平6-92842号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記およびは共に、アリルイソチオシアネートをシクロデキストリンで包接した包接化合物がフィルムまたは接着剤層内に取り込まれいるため食品から滲み出るドリップと該包接化合物との接触が遅くなり、容器に包装された食品の抗菌効果が低下するという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、末端イソシアネート基含有親水性ポリウレタンプレポリマーに該包接化合物の粉末を混合分散させた水膨潤性ポリウレタン樹脂層からなる抗菌性フィルムをラップ等で包装された容器と食品との間に敷いたり、覆ったりすることにより、食品から滲み出るドリップが速やかに水膨潤性ポリウレタン樹脂層に浸透し、該包接化合物と接触して速やかに抗菌ガスを徐放させ、食品を包装した直後からの抗菌効果を示すことを見い出し本発明に到達した。」

(4)甲第5号証
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品の鮮度を保持するために該食品に接するように又は食品の近傍に設けられる食品鮮度保持材に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば弁当のように食品を包装して提供する場合、その食品の鮮度を保持するために、食品酸化防止剤を袋に入れて食品の傍らに添えることがなされている。あるいは食品の下敷きや食品を覆うカバー、さらには飾りをプラスチック製として、これに予め食品保存料その他の鮮度保持成分を混入させておくこともなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、食品酸化防止剤を食品の傍らに添えることは見栄えが悪くなる、という問題がある。一方、上記下敷き、カバー等に鮮度保持成分を混入したものは、見栄えの点では良くなるものの、そのような鮮度保持成分が下敷きやカバーの内部に閉じこめられたままで食品の鮮度保持に有効に働かなかったり、あるいは逆にそのような成分が短時間で放出されて食品の鮮度保持が不十分になることがある。
【0004】そこで、本発明では、このような問題を解決して食品の鮮度を一定時間確実に保持することができる食品鮮度保持材を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課題に対して、食品には水分がつきものであることから、親水性のポリマーと、水分の存在によって包接成分を放出する包接化合物とを組合せ、この包接化合物に包接させた鮮度保持成分を、食品の水分を利用して放出させるようにすることで、これを解決したものである。」

2.甲第1号証に記載された考案
ア 甲第1号証に記載された「魚肉汁遮蔽シート」は、「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成され」た「ラミネートシート」であって(段落【0006】)、この「合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている」(段落【0007】)ものである。
イ また、この「魚肉汁遮蔽シート」は、「裏面の一部、とくに下側(通常、ツマは傾斜して盛付けるが、その低い部分をいう)の裏面に吸水材5を貼着」(段落【0010】)し、あるいは、「表面の一部、とくに下側に吸水材5を貼着」(段落【0012】)したものである。
ウ また、「魚肉汁遮蔽シート」は、2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートする代わりに、1枚の合成樹脂フィルム2と紙または不織布との層6とをラミネートしてもよく、魚肉汁遮蔽シート1は、「一方のフィルムが合成樹脂フィルム2で、他方が紙または不織布の層6」(段落【0014】)からなるものである。
エ また、「魚肉汁遮蔽シート」は、長方形のものだけでなく、「正方形」であってもよく、この他に、「三角形、楕円形など任意の形状」(段落【0006】)をとることができるものである。

よって、甲第1号証には、
上記アによれば、「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシートであって、合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている、魚肉汁遮蔽シート」の考案(以下、「甲1-1考案」という。)が、
上記ア、イによれば、「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシートであって、合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている魚肉汁遮蔽シートにおいて、シートの裏面または表面に吸水材5を貼着した、魚肉汁遮蔽シート」の考案(以下、「甲1-2考案」という。)が、
上記ア、ウによれば、「一方のフィルムが合成樹脂フィルム2で、他方が紙または不織布の層6をラミネートして作成されたラミネートシートであって、合成樹脂フィルムの貼合せ面には添物の図形4が印刷されている、魚肉汁遮蔽シート」の考案(以下、「甲1-3考案」という。)が、
上記ア、エによれば、「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシートであって、合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている魚肉汁遮蔽シートにおいて、シートは、長方形のものだけでなく、正方形、三角形、楕円形など任意の形状である、魚肉汁遮蔽シート」の考案(以下、「甲1-4考案」という。)が、それぞれ記載されている。

3.判断
(1)本件考案1について
本件考案1と甲1-1考案とを対比すると、甲1-1考案の「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシート」、「合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている」ことは、それぞれ、本件考案1の「合成樹脂フィルムのラミネートシート」、「シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていること」に相当する。
また、本件考案1の「添物代用シート」と、甲1-1考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、複数のシートが貼合された「ラミネートシート」であるという限りにおいて一致する。
そうすると、本件考案1と甲1-1考案は、
「合成樹脂フィルムのラミネートシートであって、該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されている、ラミネートシート」であることで一致し、下記の点で、一応、相違する。
《相違点1》
ラミネートシートが、本件考案1は「添物代用シート」であるのに対し、甲1-1考案は「魚肉汁遮蔽シート」である点。

この相違点1について検討する。
本件考案1の「添物代用シート」は、「従来の刺身パックでは、刺身の肉汁が滴下し、それを大根などのツマが吸収すると変色してみえ」、「シソの葉やコギク,パセリなどの植物の添物は、時間が経つにつれ変色したり萎れたりする」ため、「消費者が店頭で見たとき新鮮でないかのような印象を与えるという問題」(段落【0005】)があり、「ツマ自体の味も低下し、さらにツマの余分な水分が刺身に付着すると刺身の味が低下し、消費者が美味しく食べられないという問題」(段落【0006】)や、「刺身パックを製造する場合に一つ一つのトレイにオーバやコギクなどの添物を配置よく並べていくのは大変な手間がかかるし、費用も嵩んでいるという問題」(段落【0007】)もあることから、「ツマが刺身の魚肉汁を吸収しないように、また刺身にツマの余分な水分が付着しないように、さらに刺身をトレイにパックする作業が簡単になる」(段落【0008】)ことを解決しようとする課題として成されたものである。
そして、この「添物代用シート」を、「ツマ11の上面には本実施形態の添物代用シート1がのせられ、その上に刺身12が置かれ」(段落【0029】)るように用いることで、「本物の添物の代用として、刺身などの食品を引き立てることができ、しかも植物の添物と異なり、雑菌が少なく衛生的で変色したり萎れたりしないので、刺身パックの見映えをよくすることができる。」(段落【0017】)、「刺身パックの製造時、添物を一々おく手間が省けるので、作業が省力化され、省費用効果も大きく、食品に対する衛生上の問題も発生しない。」(段落【0018】)という効果を奏するものである。
一方、甲1-1考案の「魚肉汁遮蔽シート」も、本件考案1と同様の課題(甲第1号証の記載事項「1.(1)ウ」)の解決を意図し、この「魚肉汁遮蔽シート」を、ツマと刺身の間に配置して(甲第1号証段落【0008】)、「本物の添物の代用として、刺身などの食品を引き立てることができる。しかも、植物の添物と異なり、変色したり萎れたりせず、さらに、本物の添物を購入するよりも安価に作成することができる」(同段落【0007】)という効果を奏するものである。
そうすると、甲1-1考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、本件考案1と同様に、ツマと刺身の間に本物の「添物の代用」として配置されるものであり、本件考案1と同様の作用、効果を奏するものであるから、甲1-1考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、本件考案1の「添物代用シート」に相当するものといえる。
したがって、相違点1は実質的なものではなく、本件考案1は、甲第1号証に記載された甲1-1考案である。

(2)本件考案2について
本件考案2と甲1-2考案とを対比すると、甲1-2考案の「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシート」、「合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている」こと、「シートの裏面または表面に吸水材5を貼着した」ことは、それぞれ、本件考案2の「合成樹脂フィルムのラミネートシート」、「シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていること」、「シートの裏面または表面に吸水材を貼着したこと」に相当する。
また、本件考案2の「添物代用シート」と、甲1-2考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、複数のシートが貼合された「ラミネートシート」であるという限りにおいて一致する。
そうすると、本件考案2と甲1-2考案は、
「合成樹脂フィルムのラミネートシートであって、該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されている、ラミネートシート」であることで一致し、下記の点で、一応、相違する。
《相違点2》
ラミネートシートが、本件考案2は「添物代用シート」であるのに対し、甲1-2考案は「魚肉汁遮蔽シート」である点。

しかし、この相違点2は、前記(1)で相違点1について検討したように、実質的なものではなく、本件考案2は、甲第1号証に記載された甲1-2考案である。

(3)本件考案3について
本件考案3と甲1-3考案とを対比すると、甲1-3考案の「一方のフィルムが合成樹脂フィルム2で、他方が紙または不織布の層6をラミネートして作成されたラミネートシート」、「合成樹脂フィルムの貼合せ面には添物の図形4が印刷されている」ことは、それぞれ、本件考案3の「合成樹脂フィルムと紙または不織布の層とのラミネートシート」、「シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていること」に相当する。
また、本件考案3の「添物代用シート」と、甲1-3考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、複数のシートが貼合された「ラミネートシート」であるという限りにおいて一致する。
そうすると、本件考案3と甲1-3考案は、
「合成樹脂フィルムと紙または不織布の層とのラミネートシートであって、該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されている、ラミネートシート」であることで一致し、下記の点で、一応、相違する。
《相違点3》
ラミネートシートが、本件考案3は「添物代用シート」であるのに対し、甲1-3考案は「魚肉汁遮蔽シート」である点。

しかし、この相違点3は、前記(1)で相違点1について検討したように、実質的なものではなく、本件考案3は、甲第1号証に記載された甲1-3考案である。

(4)本件考案4について
本件考案4と甲1-4考案とを対比すると、甲1-4考案の「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシート」、「合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている」ことは、それぞれ、本件考案4の「合成樹脂フィルムのラミネートシート」、「シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていること」に相当する。
また、本件考案4の「シートは、該シートの貼合せ後に所望の形状に裁断されてなること」と、甲1-4考案の「シートは、長方形のものだけでなく、正方形、三角形、楕円形など任意の形状である」は、「シートが所定の形状である」という限りにおいて一致する。
さらに、本件考案4の「添物代用シート」と、甲1-4考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、複数のシートが貼合された「ラミネートシート」であるという限りにおいて一致する。
そうすると、本件考案4と甲1-4考案は、
「合成樹脂フィルムのラミネートシートであって、該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷され、シートが所定の形状である、ラミネートシート」であることで一致し、下記の点で、一応、相違する。
《相違点4-1》
本件考案4のシートは、「シートの貼合せ後に所望の形状に裁断されてなる」のに対し、甲1-4考案のシートは、「長方形のものだけでなく、正方形、三角形、楕円形など任意の形状である」点。
《相違点4-2》
ラミネートシートが、本件考案4は「添物代用シート」であるのに対し、甲1-4考案は「魚肉汁遮蔽シート」である点。

まず、相違点4-1について検討する。
甲1-4考案の「長方形のものだけでなく、正方形、三角形、楕円形など任意の形状」に形成されたシートは、甲第1号証に「製造業者がこの刺身パックを作るとき、ツマ11の上に魚肉汁遮蔽シート1を敷くだけでよく、いちいち本物の添物を置く手間を省くことができるので、作業工数が少なくなり、費用が低減するという利点が生じる。」(甲第1号証段落【0008】)と記載されているように、製造業者が刺身パックを作るにあたり、ツマの上に敷くだけでよいシートとして用いられるものであるから、甲1-4考案のシートの「長方形のものだけでなく、正方形、三角形、楕円形など任意の形状」は、消費者に販売する「所望の形状」であるといえ、甲1-4考案の「長方形のものだけでなく、正方形、三角形、楕円形など任意の形状」のシートと、本件考案4の「所望の形状に裁断されてなる」状態のシートとは、刺身パックに用いられて消費者に販売される段階の「シート」として変わるものではない。
そして、甲1-4考案の「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成された」シートは、個々のフィルムを裁断した後に、裁断したフィルムを貼合せてラミネートシートを作るよりも、大きめのフィルム同士を貼合せた後に一度に裁断したほうが、貼合せの際の位置決めで、裁断した個々のフィルムの形を揃える手間も掛からず、安く作れることは明らかであり、甲第1号証の「魚肉汁遮蔽シート」が、「本物の添物を購入するよりも安価に作成することができる」(甲第1号証段落【0007】)ことを意図したものであることからしても、甲1-4考案のシートが、「貼合せ後に所望の形状に裁断されてなる」シートであると理解するのが自然である。
よって、相違点4-1に係る「シートの貼合せ後に所望の形状に裁断されてなる」ことは、甲第1号証に記載されているに等しい事項であり、相違点4-1は実質的なものではない。
また、相違点4-2は、上記(1)で相違点1について検討したように、実質的なものではない。
したがって、本件考案4は、甲第1号証に記載された甲1-4考案である。

(5)本件考案5について
本件考案5と甲1-1考案とを対比すると、甲1-1考案の「2枚の合成樹脂フィルム2、3をラミネートして作成されたラミネートシート」、「合成樹脂フィルム2または合成樹脂フィルム3の貼合せ面には添物の図形4が印刷されている」ことは、それぞれ、本件考案5の「合成樹脂フィルムのラミネートシート」、「シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されていること」に相当する。
また、本件考案5の「添物代用シート」と、甲1-1考案の「魚肉汁遮蔽シート」は、複数のシートが貼合された「ラミネートシート」であるという限りにおいて一致する。
そうすると、本件考案5と甲1-1考案は、
「合成樹脂フィルムのラミネートシートであって、該シートの貼合せ面に、添物の図形が印刷されている、ラミネートシート」であることで一致し、下記の点で相違する。
《相違点5-1》
合成樹脂フィルムが、本件考案5は「抗菌機能及び/又は鮮度保持機能を有する」のに対し、甲1-1考案は、そのような機能を有さない点。
《相違点5-2》
ラミネートシートが、本件考案5は「添物代用シート」であるのに対し、甲1-1考案は「魚肉汁遮蔽シート」である点。

まず、相違点5-1について検討する。
甲第1号証の「魚肉汁遮蔽シート」は、消費者に販売される生鮮食品に用いるものである以上、「消費者が店頭で見たとき新鮮でないかのような印象を与えるという問題」(甲第1号証段落【0003】)や、「食品に対する衛生上の問題」(同段落【0016】)を解決しなければならないことは明らかである。
一方、生鮮食品に触れるシートにおいて、衛生上や新鮮さの保持のために、シートに抗菌機能や鮮度保持機能を持たせることは、本件考案の出願前に周知の技術的事項(例えば、甲第3号証の段落【0004】(「魚介類等のパック商品内に入れるドリップシートや生鮮食料品の容器や袋に加工して使用し、鮮度保持するもので、抗菌性が高く、長期間に及び、かつドリップが出易い食品においても使用できる抗菌シートを提供するものである」)、甲第4号証の段落【0001】(「容器と食品との間に敷いたり、覆ったりするものであり、食品におけるカビの発生や細菌の増殖等を防ぐ抗菌効果を有する抗菌性フィルムに関するものである」)、甲第5号証の段落【0001】(「食品の鮮度を保持するために該食品に接するように又は食品の近傍に設けられる食品鮮度保持材」)の記載参照。)である。
そのため、甲第1号証に記載されたこれらの問題の解決のために、上記周知の技術的事項に基づき、甲1-1考案の「合成樹脂フィルム」に、抗菌機能や鮮度保持機能を付加することは、当業者がきわめて容易に想到することができたものである。
また、相違点5-2は、上記(1)で相違点1について検討したように、実質的なものではない。
したがって、本件考案5は、甲第1号証に記載された甲1-1考案及び甲第3?5号証に記載された周知の技術的事項に基いて、当業者がきわめて容易に想到することができたものである。

4.まとめ
よって、本件考案1?4は、実用新案法第3条第1項第3号に掲げる考案に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
また、本件考案5は、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

第5 むすび
以上のとおり、本件考案1ないし5は、請求人の主張する無効理由により、その実用新案登録を無効とすべきものである。
審判費用については、実用新案法第41条の規定で準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-10-25 
結審通知日 2016-10-27 
審決日 2016-11-09 
出願番号 実願2010-3627(U2010-3627) 
審決分類 U 1 111・ 113- Z (B65D)
U 1 111・ 121- Z (B65D)
最終処分 成立  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 井上 茂夫
山田 由希子
登録日 2010-07-21 
登録番号 実用新案登録第3161815号(U3161815) 
考案の名称 添物代用シート  
代理人 神保 欣正  
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