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審決分類 審判    E04H
管理番号 1351477
審判番号 無効2018-400002  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-11-28 
確定日 2019-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3161298号実用新案「防風タープテント」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3161298号の請求項3に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
1 本件実用新案登録の出願から別件無効審判請求までの経緯
平成22年 4月27日:出願(実願2010-2816号)
平成22年 7月 7日:設定登録(実用新案登録第3161298号)
平成24年 8月 6日:実用新案技術評価請求
平成24年 9月 5日:実用新案技術評価書(作成日)
平成27年 3月16日:実用新案技術評価請求
平成27年 5月25日:実用新案技術評価書(作成日)

2 別件無効審判事件について
本件実用新案登録につき本件と同一の審判請求人(以下「請求人」という。)により、「実用新案登録第3161298号の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2及び3に係る考案についての実用新案登録を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」、という趣旨の別件無効審判(無効2017-400004号)が請求され、その経緯は以下のとおりである。

平成29年11月 7日:審判請求
平成29年12月 6日:請求書副本の送達通知(答弁指令)(起案日)
平成30年 1月30日:書面審理通知書(起案日)
平成30年 3月 9日:請求人に対し審尋(起案日)
平成30年 4月12日:請求人より回答書提出
平成30年 5月21日:無効理由通知書及び職権審理結果通知書(起案日)
平成30年 5月28日:請求人より意見書提出
平成30年 9月 5日:審決

(上記平成29年12月6日付け請求書副本の送達通知(答弁指令)に対する実用新案法第39条第1項に係る答弁書の提出、及び平成30年5月21日付け無効理由通知書に対する実用新案法第41条で準用する特許法第153条第2項に係る意見書の提出はなされなかった。)

上記審決の結論は
「実用新案登録第3161298号の請求項1ないし2に係る考案についての実用新案登録を無効とする。
実用新案登録第3161298号の請求項3に係る考案についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その3分の1を請求人の負担とし、3分の2を被請求人の負担とする。」
というものであり、その後出訴されず、確定した。
したがって、本件実用新案登録は、請求項3に係る考案についてのもののみとなった。

3 本件無効審判事件について
本件実用新案登録の、実用新案登録請求の範囲の請求項3に係る考案についての実用新案登録につき、平成30年11月28日付けで請求人により無効審判が請求され、その経緯は以下のとおりである。

平成30年11月28日:審判請求
平成31年 1月 7日:請求書副本の送達通知(答弁指令)(起案日)
平成31年 2月22日:書面審理通知書(起案日)

(上記平成31年1月7日付け請求書副本の送達通知(答弁指令)に対する実用新案法第39条第1項に係る答弁書の提出はなされなかった。)


第2 本件考案
本件実用新案登録の請求項3に係る考案(以下「本件考案」という。)は、本件実用新案登録請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるが、本件実用新案登録の請求項3は請求項1及び2を引用するものであるところ、本件実用新案登録の請求項1ないし3の記載は、以下のとおりである。

「【請求項1】
上部天幕および下部天幕の上下二層構造の天幕屋根からなるタープテントであって、前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設けていることを特徴とするタープテント
【請求項2】
請求項1記載のタープテントであって、前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、前記上部天幕は略四角錐状に形成され、前記下部天幕は略四角錐台状に形成されており、前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されていることを特徴とするタープテント
【請求項3】
請求項2記載のタープテントであって、前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配していることを特徴とするタープテント」

そして、上記記載を合わせると本件考案は以下のとおりである。

「上部天幕および下部天幕の上下二層構造の天幕屋根からなるタープテントであって、前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設け、
前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、前記上部天幕は略四角錐状に形成され、前記下部天幕は略四角錐台状に形成されており、前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着され、
前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配していることを特徴とするタープテント」


第3 請求人の主張及び提出した証拠
請求人は、実用新案登録第3161298号の実用新案登録請求の範囲の請求項3に係る考案についての実用新案登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書を提出するとともに、証拠方法として、甲第1ないし9号証を提示し、以下の無効理由を主張した。

<主張の概要>
無効理由(進歩性欠如)
本件考案は、甲第1ないし9号証に記載された考案に基づいて、又は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された考案、若しくは、甲第3号証及び甲第1号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、その実用新案登録は無効とすべきである。

<具体的理由>
1 甲第1号証記載の考案を主引用考案として
(1) 本件考案と甲第1号証記載の考案との対比
ア 甲第1号証には、次の考案が記載されているものといえる。
「支柱1と、支柱1の支持台35と、支柱1の上端部に回動自在に軸支され四本が90°方向の放射方向に延在される主バー4と、各主バー4を上方から覆い周縁部を主バー4の先端部に着脱自在に止着される略矩形形状の天幕22とを有し、
天幕22は地上面から離間して設けられ、天幕22と地上面との間は開放されている、傘状の折畳み形テントであって、
略矩形形状の天幕22の中央部に略矩形形状の開口部24が形成され、
覆布26が開口部24を覆い、
天幕22は開口部24を頂面とする略四角錐台状で、覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う略四角錐状であり、覆布26と天幕22とで天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、四本の主バー4が上記各四角錐の各側辺に位置し、
開口部24を覆う覆布26は、開口部24の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着されている、折畳み形テント。」(審判請求書7頁2から18行)

イ 本件考案と甲第1号証記載の考案と対比すると、以下の点で相違する。
[相違点1] 「上部天幕」と「下部天幕」との固着位置について、本件考案では「前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されている」のに対し、甲第1号証記載の考案では「適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着」するものである点。
[相違点2] 骨組及び支柱について、本件考案では「天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している」のに対し、甲第1号証記載の考案では「天幕23の各底辺の内側に骨組を備えること」と「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している」が明記されていない点。(審判請求書12頁25行から13頁2行)

(2) 相違点1についての判断
甲第1号証記載の考案において、覆布26を天幕22に止着する箇所は適宜に選択されるところ、止着箇所として、テントの構造、縫着作業の容易性、通気性の効率を考慮し、天幕22が止着される部材であり、傘状の折畳み形テントの主な横材(バー)である四本の主バー4の位置すなわち覆布26及び天幕22の各側辺を選択することは、当業者がきわめて容易に想到し得たことである。
加えて、甲第1号証の図1には「25通気隙間」という名称とともに引出線が記載され、該引出線の矢印は、略四角錐状の覆布26の図面視右側の2つの側辺間の略中間の位置を指しているから、四角錐の側辺間に通気隙間25を形成することが示唆されているといえ、その示唆に従い、四角錐の側辺間に通気隙間25を形成すべく、略四角錐状の覆布26の側辺と、略四角錐台状の天幕22の側辺とを縫着により止着して、相違点1に係る本件考案の構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得ることある。(審判請求書13頁3から17行)

(3) 相違点2についての判断
ア 甲第1号証記載の考案の「傘状の折畳み形テント」は、本件考案の「タープテント」に相当する。(審判請求書13頁19から32行)

イ 「タープテント」において「天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している」ことは、タープテントに関する甲第2号証?第9号証に記載されているように、タープテントの分野において周知の手段である。
甲第2号証?第9号証のテントは「側面が開放されていることを特徴とし、開放感が得られるものの、上部に天幕屋根を有しており、その天幕屋根も天頂部から下方に傾斜する」ものであり、本件考案の「タープテント」に相当する。(審判請求書13頁33行から14頁6行)

ウ 甲第2号証の【底面図】、【正面図参考中央縦断面図】と【右側面図参考中央縦断面図】からは、テントが「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え」ていることがわかる。また【斜視図】、【正面図参考中央縦断面図】と【右側面図参考中央縦断面図】から、テントが「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配していること」がわかり、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」と「骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱(符号4)の構成が記載されている。(審判請求書14頁7から15行)

エ 甲第3号証の【底面図】と【正面図参考中央縦断面図】からは、テントが「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え」ていることがわかる。また【斜視図】と【正面図参考中央縦断面図】から「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配していること」がわかり、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」と「骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱(符号4)の構成が記載されている。(審判請求書14頁16から23行)

オ 甲第4号証の図2と図4に記載の「桁22」とその上部に傾斜配置される同数の「合掌23」は、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」に相当する。
また、甲第4号証の図2、図4の「四隅に立設する柱材21」は「桁22」と「合掌23」に接続されており、本件考案の支柱である「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱7」に相当する。(審判請求書14頁24から30行)

カ 甲第5号証の図11?図13に記載の「桁5」と「合掌7」は、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」に相当する。
また、甲第5号証の図11?13の「四隅の支柱1」は「桁5」と「合掌7」に接続されており、本件考案の支柱である「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱7」に相当する。(審判請求書14頁最下行から15頁5行)

キ 甲第6号証の図6に記載の「梁材23」と「対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24」は、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」に相当する。
また、甲第6号証の図6の「四隅に立設する柱材22」は「シザース状に動作する4面の梁材23と、対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24」に接続されており、本件考案の支柱である「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱7」に相当する。(審判請求書15頁6から14行)

ク 甲第7号証の図7の「四隅に立設する柱材22同士を連結し、シザース状に動作する4面の梁材23と、対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24」は、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」に相当する。
また、甲第7号証の図7の「四隅に立設する柱材22」は「シザース状に動作する4面の梁材23と、対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24」に接続されており、本件考案の支柱である「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱7」に相当する。(審判請求書15頁15から24行)

ケ 甲第8号証の図2?4の「天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組(符号2、5)」は、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」に相当する。
また「骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱(符号4)」は、本件考案の支柱である「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱7」に相当する。(審判請求書15頁25行から最下行)

コ 甲第9号証の図1と図3の「天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組(符号9、10)」は、本件考案の骨組である「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組6」に相当する。
また、「骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱(符号4)を配していること」は、本件考案の支柱である「前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱7」に相当する。(審判請求書16頁1から8行)

(4) まとめ
ア 本件考案の効果としている、地面からの巻き上げ風に対する防風効果、さらには雨対策についても、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証の図面等から予測しうる範囲内のものであり、格別な作用効果を奏するものとはいえない。(審判請求書16頁9から12行)

イ 以上の検討より、本件考案は、甲第1号証記載の考案とテープテントに関する甲第2号証?甲第9号証から、当業者がきわめて容易に想到し得ることといえる。(審判請求書16頁13から15行)

2 甲第2号証又は甲第3号証記載の考案を主引用考案として
(1) 本件考案と甲第2号証又は甲第3号証記載の考案との対比
本件考案と、甲第2号証又は甲第3号証記載の考案とを対比すると、以下の点で相違する。
[相違点1]上部天幕と下部天幕との連結について、本件考案では「上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され」るものであり、かつ「上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されている」のに対し、甲第2号証、甲第3号証では「連結部材で上部天幕の下部の一部分が下部天幕上部に連結(固着)されているが、連結部材が風により下部天幕から離れて通風開口が開いたとき、上部天幕が連結部材により下部天幕から一定以上離れないように支えられる」ものである点。(審判請求書16頁16から28行)

(2) 相違点1についての判断
甲第2号証、甲第3号証に記載の「傘状の折畳み形テント」は、「上部天幕はその下部が下部天幕の頂面周囲の各側面上に重なり合」い、「開口部の周囲に通気隙間を形成するように下部天幕の開口部の周囲に止着され」るものである。
また、甲第2号証、甲第3号証に記載のテントは、側方が開放されているものであり、本件考案における「タープテント」に関するものである。
ここで、上記検討の通り、甲第1号証記載の考案の「タープテント」に関するもので甲第2号証、甲第3号証と技術分野が共通している。
そして、甲第1号証記載の考案のテープテントは、「覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合」い、「開口部24の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着され」るものである。
また、甲第1号証記載の考案も甲第2号証、甲第3号証も「テントの内部の風を外側へ逃がす」という、同様の目的を意図している。
したがって、甲第1号証記載の考案の「覆布26を天幕22に縫着する構成」を、甲第2号証、甲第3号証のタ-プテントに適用し「連結部材による連結ではなく、上部天幕を下部天幕に縫着する構成を採用すること」には、動機付けがあり、当業者がきわめて容易に想到し得ることといえる。
よって、本件考案は、甲第2号証、甲第3号証と甲第1号証記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものといえる。(審判請求書16頁29行から17頁17行)

[証拠方法]
甲第1号証:登録実用新案第3013187号公報
甲第2号証:意匠登録第1360378号公報
甲第3号証:意匠登録第1359836号公報
甲第4号証:特開2002-138713号公報
甲第5号証:登録実用新案第3028118号公報
甲第6号証:特開2007-132026号公報
甲第7号証:特開2007-177524号公報
甲第8号証:特開2008-25235号公報
甲第9号証:特開2007-23697号公報


第4 被請求人の主張
上記第3の請求人の主張する無効理由に対し、上記第1の3のとおり、被請求人からは何らの応答はなかった。


第5 当審の判断
1 甲第1ないし9号証の記載事項
(1) 甲第1号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、次の事項が記載されている(審決で下線を付した。以下同様。)。

ア 「【請求項1】支柱と、この支柱の上端部に回動自在に軸支され放射方向に延在される複数の主バーと、前記支柱に軸方向に移動自在に嵌合された摺動筒と、前記各主バーの中間部に一端部をそれぞれ回動自在に軸支するとともに他端部を前記摺動筒に回動自在に軸支され放射方向に延在される複数のヒンジバーと、前記支柱の上部位置に出没自在に取付けられスプリングにて突出する方向に付勢され前記摺動筒を前記支柱の上側位置に保持して前記各主バーを展開した状態に支持する係合子と、前記各主バーを上方から覆い周縁部を前記主バーの先端部に着脱自在に止着され中央部に開口部を形成した天幕と、この天幕の中央部に形成した開口部を覆ってこの開口部の周囲に通気隙間を形成して止着され中央部を前記支柱の上端部に着脱自在に止着される覆布と、前記支柱の下端部を挿脱自在に支持する支持部と注入口とを有する容器体にて形成した支持台とからなることを特徴とする折畳み形テント。

イ 「【請求項2】主バーおよびヒンジバーはそれぞれ四本として90°方向に延在させ、天幕は略矩形状としたことを特徴とする請求項1記載の折畳み形テント。」

ウ 「【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す折畳み形テントを展開した状態の斜視図である。」

エ 「【0001】【産業上の利用分野】本考案は傘状の折畳み可能な折畳み形テントに関する。」

オ 「【0003】【考案が解決しようとする課題】上記従来のテントでは、テント内に強風が吹き込んだ場合に傘体が煽られて転倒されることがあり、支柱を強固に固定しなくてはならず、テントの設置に手数が掛かる問題がある。」

カ 「【0014】【作用】請求項1記載の考案の折畳み形テントは、・・・
【0015】・・・テントの天幕は中央部の開口部の周囲に取着した覆布にて通気隙間が形成され、テント内に強風が吹き込んでも通気隙間から吹き抜け、テントは転倒することがない。」

キ 「【0016】請求項2記載の考案の折畳み形テントは、・・・天幕は矩形状に設置され、複数のテントを並設しても天幕部が連接されて間隙が生じることなく、多人数の集会のテントにも利用でき、また、通路の雨避けとしても利用できる。」

ク 「【0025】また、図1において、22は天幕で、前記展開状態の主バー4間の空間形状に近似した略三角形状の天幕片23を縫着してまたは一体に形成して略矩形形状に形成され、この天幕22は前記各主バー4を上方から覆うようになっている。この天幕22の中央部に略矩形形状の開口部24が形成され、この天幕22の開口部24を覆う覆布26がこの開口部24の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着などにより止着されている。」

ケ 図1は次のものである。


コ 図1から以下のことが看て取れる。
(ア) 上記ア、及びオないしキの記載を参酌して、図1から、天幕22が地上面から離間して設けられ、天幕22と地上面との間は開放されていることが看て取れる。
(イ) 上記ア、イ、キ、及びクの記載を参酌して、図1から、天幕22は開口部24を頂面とする略四角錐台状で、覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う略四角錐状であり、覆布26と天幕22とで天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、四本の主バー4が上記各四角錐の各側辺に位置していることが看て取れる。
(ウ) 図1には「25通気隙間」という名称とともに引出線が記載され、該引出線の矢印は、略四角錐状の覆布26の図面視右側の2つの側辺間の略中間の位置を指している。

サ 上記アないしコからみて、甲第1号証には、次の考案(以下「甲1考案」という。)が記載されているものと認める。

「支柱1と、支柱1の支持台35と、支柱1の上端部に回動自在に軸支され四本が90°方向の放射方向に延在される主バー4と、各主バー4を上方から覆い周縁部を主バー4の先端部に着脱自在に止着される略矩形形状の天幕22とを有し、
天幕22は地上面から離間して設けられ、天幕22と地上面との間は開放されている、傘状の折畳み形テントであって、
略矩形形状の天幕22の中央部に略矩形形状の開口部24が形成され、覆布26が開口部24を覆い、
天幕22は開口部24を頂面とする略四角錐台状で、覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う略四角錐状であり、覆布26と天幕22とで天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、四本の主バー4が上記各四角錐の各側辺に位置し、
開口部24を覆う覆布26は、開口部24の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着されている、
折畳み形テント。」

(2) 甲第2号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【意匠に係る物品】テント」

イ 「【意匠に係る物品の説明】本願意匠に係る物品は、上部に庇状の換気部を備えており、天候等の条件により換気口の開閉ができるものである。」

ウ 【斜視図】は以下のものである。


エ 【正面図】は以下のものである。


オ 【右側面図】は以下のものである。


カ 【平面図】は以下のものである。


キ 【底面図】は以下のものである。


ク 【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】は以下のものである。


ケ 【正面図参考中央縦断面図】は以下のものである。


コ 【右側面図参考中央縦断面図】は以下のものである。


サ 上記【斜視図】、【正面図】、【右側面図】、【平面図】、【底面図】、【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】、【正面図参考中央縦断面図】、及び【右側面図参考中央縦断面図】から、以下の点が看て取れる。
(ア) 上記アに記載されたとおり、上記各図面に記載される物品はテントであることを踏まえると、【斜視図】及び【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】の略下半分に見られる4本の棒状部材は地面から立設するテントの支柱であり、該支柱上部に見られる屋根様の部材は該支柱上に張られた幕(以下「幕屋根」という。)と認められる。
また、前記幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなしていること、さらに前記幕屋根は地面から離間して設けられ、前記幕屋根と地面との間は開放されていることが看て取れる。
そして、【底面図】、【正面図参考中央縦断面図】、及び【右側面図参考中央縦断面図】で前記幕屋根の斜辺及び底辺部に見られる棒状のものが組み合わされた部材は、【斜視図】、【正面図】、【右側面図】、【平面図】、及び【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】では該棒状のものは見られないこととあわせると、前記幕屋根の各側辺および各底辺の内側に架設される骨組と認められる。また、該骨組と前記支柱とが連結されていることが看て取れる。

(イ) 【斜視図】、【正面図】、【右側面図】、【平面図】、【底面図】、【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】、【正面図参考中央縦断面図】、及び【右側面図参考中央縦断面図】から、前記幕屋根は、その略四角錐状の天頂部まわりで、上下二層が重ね合わされた構造(以下、上の層を「上部幕屋根」、下の層を「下部幕屋根」という。)になっていることが看て取れる。

(ウ) 【正面図】、【右側面図】、【正面図参考中央縦断面図】、及び【右側面図参考中央縦断面図】から、前記下部幕屋根は略四角錐台状をなしていることが看て取れる。
また【平面図】、【底面図】を見比べると、【底面図】の中央部分である前記下部幕屋根の天頂部から前記上部幕屋根の一部が見えていることが看て取れる、すなわち下部幕屋根の天頂部に開口が設けられていることが看て取れる。

(エ) 【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】より、前記上部幕屋根は、換気口を閉じた状態において、略四角錐台状の前記下部幕屋根と各側面が重なり合う略四角錐状をなしていることが看て取れる。
これに対して【斜視図】では、前記上部幕屋根の該略四角錐は、各底辺が、その両端部分すなわち略四角錐の各側辺にあたる部分は前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったまま、中央部分が持ち上がった弓なり状の形状をなし、それに伴い前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側面と離間し隙間が開いていることが看て取れる。
そして、【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】が「換気口を閉じた状態を示した」とされており、これに対して【斜視図】は換気口を開いた状態を示すと解されるから、上述のとおり【斜視図】で看て取れる、前記上部幕屋根が前記下部幕屋根と離間した隙間は、換気口にあたると認められる。
さらに、上述のとおり【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】と【斜視図】とを通じ前記上部幕屋根の各底辺の両端部分すなわち各側辺に当たる部分が前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったままであること、及び前記上部幕屋根が略四角錐状であるのに対し前記下部幕屋根は略四角錐台状であることから、前記上部幕屋根の各側辺の下部が、それぞれ対応する前記下部幕屋根各側辺の上部に固着されていると認められる。

(オ) 上記(ア)ないし(エ)からみて、甲第2号証には、次の考案(以下「甲2考案」という。)が記載されているものと認める。

「天候等の条件により換気口の開閉ができるテントであって、
天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなす幕屋根を有し、
前記幕屋根は地上面から離間して設けられ、前記幕屋根と地上面との間は開放されており、
前記幕屋根各側辺の内側、および前記幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組と連結される、地面から立設する支柱を配し、
前記幕屋根は、その略四角錐状の天頂部で、上部幕屋根と下部幕屋根の上下二層が重ね合わされた構造であり、
前記下部幕屋根は略四角錐台状をなし、
前記下部幕屋根の幕天頂部に開口が設けられ、
前記上部幕屋根は、
換気口を閉じた状態では、略四角錐台状の前記下部幕屋根と各側面が重なり合う略四角錐状をなし、
換気口を開いた状態では、前記略四角錐状の各底辺が、その両端部分すなわち略四角錐の各側辺にあたる部分は前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったまま、中央部分が持ち上がった弓なり状の形状をなし、それに伴い前記両端部分以外が前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側面と離間した隙間があいて換気口となり、
前記上部幕屋根の各側辺の下部が、それぞれ対応する前記下部幕屋根各側辺の上部に固着されている、
テント。」

(3) 甲第3号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【意匠に係る物品】テント」

イ 「【意匠に係る物品の説明】本願意匠に係る物品は、上部に庇状の換気部を備えており、天候等の条件により換気口の開閉ができるものである。」

ウ 【斜視図】は以下のものである。


エ 【正面図】は以下のものである。


オ 【平面図】は以下のものである。


カ 【底面図】は以下のものである。


キ 【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】は以下のものである。


ク 【正面図参考中央縦断面図】は以下のものである。


サ 上記【斜視図】、【正面図】、【平面図】、【底面図】、【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】、及び【正面図参考中央縦断面図】から、以下の点が看て取れる。
(ア) 上記アに記載されたとおり、上記各図面に記載される物品はテントであることを踏まえると、【斜視図】及び【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】の略下半分に見られる4本の棒状部材は地面から立設するテントの支柱であり、該支柱上部に見られる屋根様の部材は該支柱上に張られた幕(以下「幕屋根」という。)と認められる。
また、前記幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなしていること、さらに前記幕屋根は地面から離間して設けられ、前記幕屋根と地面との間は開放されていることが看て取れる。
そして、【底面図】及び【正面図参考中央縦断面図】で前記幕屋根の斜辺及び底辺部に見られる棒状のものが組み合わされた部材は、【斜視図】、【正面図】、【平面図】、及び【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】では該棒状のものは見られないこととあわせると、前記幕屋根の各側辺および各底辺の内側に架設される骨組と認められる。また、該骨組と前記支柱とが連結されていることが看て取れる。

(イ) 【斜視図】、【正面図】、【平面図】、【底面図】、【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】、及び【正面図参考中央縦断面図】から、前記幕屋根は、その略四角錐状の天頂部まわりで、上下二層が重ね合わされた構造(以下、上の層を「上部幕屋根」、下の層を「下部幕屋根」という。)になっていることが看て取れる。

(ウ) 【正面図】及び【正面図参考中央縦断面図】から、前記下部幕屋根は略四角錐台状をなしていることが看て取れる。
また【平面図】、【底面図】を見比べると、【底面図】の中央部分である前記下部幕屋根の天頂部から前記上部幕屋根の一部が見えていることが看て取れる、すなわち下部幕屋根の天頂部に開口が設けられていることが看て取れる。

(エ) 【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】より、前記上部幕屋根は、換気口を閉じた状態において、略四角錐台状の前記下部幕屋根と各側面が重なり合う略四角錐状をなしていることが看て取れる。
これに対して【斜視図】では、前記上部幕屋根の該略四角錐は、各底辺が、その両端部分すなわち略四角錐の各側辺にあたる部分は前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったまま、中央部分が持ち上がった弓なり状の形状をなし、それに伴い前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側面と離間し隙間が開いていることが看て取れる。
そして、【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】が「換気口を閉じた状態を示した」とされており、これに対して【斜視図】は換気口を開いた状態を示すと解されるから、上述のとおり【斜視図】で看て取れる、前記上部幕屋根が前記下部幕屋根と離間した隙間は、換気口にあたると認められる。
さらに、上述のとおり【換気口を閉じた状態を示した参考斜視図】と【斜視図】とを通じ前記上部幕屋根の各底辺の両端部分すなわち各側辺に当たる部分が前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったままであること、及び前記上部幕屋根が略四角錐状であるのに対し前記下部幕屋根は略四角錐台状であることから、前記上部幕屋根の各側辺の下部が、それぞれ対応する前記下部幕屋根各側辺の上部に固着されていると認められる。

(オ) 上記(ア)ないし(エ)からみて、甲第3号証には、次の考案(以下「甲3考案」という。)が記載されているものと認める。

「天候等の条件により換気口の開閉ができるテントであって、
天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなす幕屋根を有し、
前記幕屋根は地上面から離間して設けられ、前記幕屋根と地上面との間は開放されており、
前記幕屋根各側辺の内側、および前記幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組と連結される、地面から立設する支柱を配し、
前記幕屋根は、その略四角錐状の天頂部で、上部幕屋根と下部幕屋根の上下二層が重ね合わされた構造であり、
前記下部幕屋根は略四角錐台状をなし、
前記下部幕屋根の幕天頂部に開口が設けられ、
前記上部幕屋根は、
換気口を閉じた状態では、略四角錐台状の前記下部幕屋根と各側面が重なり合う略四角錐状をなし、
換気口を開いた状態では、前記略四角錐状の各底辺が、その両端部分すなわち略四角錐の各側辺にあたる部分は前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったまま、中央部分が持ち上がった弓なり状の形状をなし、それに伴い前記両端部分以外が前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側面と離間した隙間があいて換気口となり、
前記上部幕屋根の各側辺の下部が、それぞれ対応する前記下部幕屋根各側辺の上部に固着されている、
テント。」

(4) 甲第4号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【0017】図1?図6の第1形態例に示す組み立て式テント20は、正四角形の四つ角部に配設される4本の支柱21間に同数の桁22を掛け渡し、さらにその上部に同数の合掌23を傾斜配置し、該合掌23の中央頂部に突き上げ金具24を取り付けて骨組み25を構成し、さらに前記合掌23に屋根幕26を被せると共に、該屋根幕26の中央頂部にキャップ27を被着することにより、正四角形で寄せ棟造りの組み立て式テント20が構成される。」

イ 図2は次のものである。


ウ 図4は次のものである。


(5) 甲第5号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【0015】4はジョイント部で、4隅の支柱1にはそれぞれ3つのジョイント部を設け、中柱2には5つのジョイント部を設けている。5は桁で、各支柱間のジョイント部4に両端を差し込み、支柱間の上端を結合している。中間部にはヒンジ部6を有しており、収納時に折り畳みできるようになっている。7は合掌で、4本を1組とし、ジョイント部4に夫々端部を差し込み、斜め上方の連結部8で回動可能に結合されている。9は棟で、2組の合掌の頭頂部を連結する。この棟9は桁5と兼用できるようにしている。10は吾妻型テントである。
・・・
【0017】・・・図10?図13は1組の四角錐型テントの張設の手順を例示したものであり、・・・
【0018】図11はジョイント部4aの拡大斜視図で、桁5や合掌7の接続状態を示す。
図12はテント16の張設例を示し支柱1を立設しかけた状態を示している。・・・」

イ 図11は次のものである。


ウ 図12は次のものである。


エ 図13は次のものである。


(6) 甲第6号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【0006】この折畳式テントは、図6に示すように四隅に立設する柱材22同士を連結し、シザース状に動作する4面の梁材23と、対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24を備え、各梁材23及び屋根リンク部材24は柱材22に装着する連結部材25と夫々回動可能に接続していた。」

イ 図6は次のものである。


(7) 甲第7号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第7号証には、次の事項が記載されている。
ア 「【0006】この折畳式テントは、図7に示すように四隅に立設する柱材22同士を連結し、シザース状に動作する4面の梁材23と、対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24を備え、各梁材23及び屋根リンク部材24は柱材22に装着する連結部材25と夫々回動可能に接続していた。」

イ 図7は次のものである。


(8) 甲第8号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【0010】図1乃至図3に示すように、本実施態様の展張、折り畳み自在に構成されたドーム型屋根のテント(1)は、平面正方形の接地面の4つの角部にそれぞれ1本ずつ立設される4本の支柱(4)と、各支柱(4)間に架け渡され、全体として長方形の枠状をなすトラスフレーム(5)と、各支柱(4)の上端に連結される屋根支持フレーム(2)と、該屋根支持フレーム(2)を支持するカンチレバー(6)と、屋根支持フレーム(2)の先端を相互に連結する頂部連結部材であるハブ部材(7)と、これら支柱(4)、トラスフレーム(5)、屋根支持フレーム(2)からなる骨組状の天幕支持構造(8)に冠装される天幕(9)(図1に二点鎖線で図示)とから構成される。尚、テント(1)の設置形態は、平面正方形に限られるものではなく、長方形であっても良いことは勿論である。」

イ 図1は次のものである。


ウ 図2は次のものである。


エ 図3は次のものである。


オ 図4は次のものである。


(9) 甲第9号証
本件実用新案登録出願前に頒布された刊行物である甲第9号証には、次の事項が記載されている。

ア 「【0015】 図1に示すように、本例における庇付テント(1)は、屋根幕(2)を展張して支持する屋根構造フレーム体(3)と、該屋根構造フレーム体(3)を支持する4本の支柱(4)と、該それぞれの支柱(4)の上部に配設される連結体(5)と、この連結体(5)に取付けられる庇展張フレーム(6)と、前記支柱(4)に取付けられるスライドブラケット(7)と、このスライドブラケット(7)に一端が取付けられ、他端が前記庇展張フレーム(6)に連結される庇支持フレーム(8)と、屋根構造フレーム体(3)と庇展張フレーム(6)に支持されて展張される屋根幕(2)とから構成される。」

イ 「【0019】 図1及び図3に示すように、屋根構造フレーム体(3)は、各支柱から屋根幕(2)の頂点位置に向けて架設される屋根幕(2)を支持するための屋根展張フレーム(9)と、隣接する各支柱間に架設される架橋フレーム(10)とから構成される。屋根展張フレーム(9)は、ほぼ同等の長さを有する2本の一字形フレーム(11a)(11b)を長手方向に連結具(12)を介して連結してなり、各屋根展張フレーム(9)は屋根幕(2)の頂点をなす位置において互いに回動可能に連結されている。」

ウ 図1は次のものである。


エ 図3は次のものである。


2 対比・判断
(1) 甲1考案を主引用例として
ア 対比
本件考案と甲1考案とを対比する。

(ア) 本件考案の「タープテント」がいかなるテントを指すかについて、本件明細書を参照すると、
「【技術分野】【0001】本考案は・・・タープテントに関する。
【背景技術】【0002】・・・タープテントは、側面が開放されていることを特徴とし、開放感が得られるものの、上部に天幕屋根を有しており、その天幕屋根も天頂部から下方に傾斜するのが通常である・・・。」
と説明されている。
すると、甲1考案の「傘状の折畳み形テント」は、側面が開放され(「天幕22は地上面から離間して設けられ、天幕22と地上面との間は開放されている」)、テント上部に天幕屋根(「覆布26」及び「天幕22」)を有しており、その天幕屋根が天頂部から下方に傾斜する(「覆布26と天幕22とで天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状」)ものであるから、上記本件明細書の説明に沿うものであり、本件考案の「タープテント」に相当する。

(イ) 甲1考案において、「天幕22」とその「開口部24を覆」う「覆布26」とでテントの天幕屋根が構成されていることは明らかである。また「覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う」ということは、「覆布26」と「天幕22」との上下二層の構造であるといえる。
よって、甲1考案の「覆布26」、「天幕22」はそれぞれ本件考案の「上部天幕」、「下部天幕」に相当し、そして甲1考案の「覆布26」及び「天幕22」を合わせ、本件考案の「上部天幕および下部天幕の上下二層構造の天幕屋根」に相当する。

(ウ) 甲1考案で「覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う」ことは、本件考案で「下部天幕天頂部に上部天幕が重ね合わされ」ることに相当する。

(エ) 甲1考案で、「覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う」ものであるから、「開口部24の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着され」る際には、「その下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に」に縫着により止着されるものと解される。
よって、甲1考案において「覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合」い、「開口部24の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着され」ることは、本件考案で「上部天幕下部の一部分が下部天幕上部に固着され」ることに相当する。

(オ) 甲1考案で「略矩形形状の天幕22の中央部に略矩形形状の開口部24が形成され」、「天幕22は開口部24を頂面とする略四角錐台状で」あることは、本件考案で「下部天幕天頂部に一」「の開口部を設けている」ことに相当する。

(カ) 甲1考案で「天幕22は開口部24を頂面とする略四角錐台状で、覆布26はその下部が天幕22の頂面周囲の各側面上に重なり合う略四角錐状であり、覆布26と天幕22とで天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし」ていることは、本件考案で「前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、前記上部天幕は略四角錐状に形成され、前記下部天幕は略四角錐台状に形成されて」いることに相当する。

(キ) 甲1考案における「支柱1の上端部に回動自在に軸支され四本が90°方向の放射方向に延在される主バー4」は、天幕22に「上方から覆」われ、かつ略四角錐台状の天幕22の「各側辺に位置」するものであるから、本件考案の「前記天幕屋根各側辺の内側」「に架設される骨組」に相当する。

(ク) 甲1考案における支柱1とその支持台35は、主バー4を軸支するものであり、またテントの支柱(とその支持台)であることを踏まえると地面から立設するものと解されるから、本件考案の「前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱」に相当する。

よって、本件考案と甲1考案とは、次の一致点で一致し、下記相違点で相違する。

[一致点]
「上部天幕および下部天幕の上下二層構造の天幕屋根からなるタープテントであって、前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設け、
前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、前記上部天幕は略四角錐状に形成され、前記下部天幕は略四角錐台状に形成され、
前記天幕屋根各側辺の内側に架設される骨組を備え、
前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を有している、
タープテント」

[相違点A1]
「上部天幕」と「下部天幕」との固着位置について、本件考案では「前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されている」のに対し、甲1考案では「適宜箇所を縫着により天幕22の開口部24の周囲に止着」するものである点。

[相違点A2]
「骨組」と「支柱」について、本件考案では、骨組が「前記天幕屋根各底辺の内側」にも架設され、また支柱が「骨組下部の四隅に」配されているのに対し、甲1考案は「傘状の折畳み形テント」であり、骨組が天幕屋根(天幕22)各底辺の内側に架設されるものではなく、また支柱が骨組下部の四隅に配されるものではない点。

イ 判断
(ア) 相違点A1について
甲1考案において、覆布26を天幕22に止着する箇所は適宜に選択されるところ、止着箇所として、テントの構造、縫着作業の容易性、通気性の効率を考慮し、天幕22が止着される部材であり、傘状の折畳み形テントの主な横材(バー)である四本の主バー4の位置すなわち覆布26及び天幕22の各側辺を選択することは、当業者がきわめて容易に想到し得たことである。
加えて、上記1(1)ケのとおり、甲第1号証図1には「25通気隙間」という名称とともに引出線が記載され、該引出線の矢印は、略四角錐状の覆布26の図面視右側の2つの側辺間の略中間の位置を指しているから、四角錐の側辺間に通気隙間25を形成することが示唆されているといえ、その示唆に従い、四角錐の側辺間に通気隙間25を形成すべく、略四角錐状の覆布26の側辺と、略四角錐台状の天幕22の側辺とを縫着により止着して、相違点A1に係る本件考案の構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得ることである。

(イ) 相違点A2について
甲1考案の折畳み形テントは、「主バー4」が「支柱1の上端部に回動自在に軸支され四本が90°方向の放射方向に延在される」、「傘状の折畳み形テント」であって、相違点A2に係る本件考案の構成である、四隅に支柱が配されるテントとは、テントの基本的な構成が大きく異なるものであり、そのような傘状に折畳むテントの四隅に支柱を配する動機付けがあるとはいえない。また甲第1号証全体をみても、傘状に折畳むテントの四隅に支柱を配することは記載も示唆もされていない。
そして仮に甲第2ないし9号証の記載から、骨組が「前記天幕屋根各底辺の内側」にも架設され、また支柱が「骨組下部の四隅に」配されているタープテントが周知技術であるとしても、甲第2ないし9号証記載のテントはいずれも傘状の折畳み形テントではなく、傘状に折畳むテントの天幕屋根各底辺の内側に骨組を架設すること、また傘状に折畳むテントを四隅に支柱を配するものとすることは記載も示唆もされていないから、当該周知技術を甲1考案に適用して相違点A2に係る本件考案の構成とする動機付けがあるとはいえない。
よって、当業者が当該周知技術を甲1考案に適用して、相違点A2に係る本件考案の構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得ることではない。

(ウ) 小括
以上のことから、本件考案は、甲1考案及び甲第2ないし9号証に記載された周知技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。

(2) 甲2考案を主引用例として
ア 対比
本件考案と甲2考案とを対比する。

(ア) 本件考案の「タープテント」がいかなるテントを指すかについて、本件明細書を参照すると、
「【技術分野】【0001】本考案は・・・タープテントに関する。
【背景技術】【0002】・・・タープテントは、側面が開放されていることを特徴とし、開放感が得られるものの、上部に天幕屋根を有しており、その天幕屋根も天頂部から下方に傾斜するのが通常である・・・。」
と説明されている。
また、甲2考案の「幕屋根」が本件考案の「天幕屋根」に相当することは明らかである。
すると、甲2考案のテントは、側面が開放され(「前記幕屋根は地上面から離間して設けられ、前記幕屋根と地上面との間は開放されており」)、テント上部に天幕屋根(幕屋根)を有しており、その天幕屋根が天頂部から下方に傾斜する(「天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなす」)ものであるから、上記本件明細書の説明に沿うものであり、本件考案の「タープテント」に相当する。

(イ) 甲2考案で「天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなす幕屋根を有し」ていることは、本件考案で「前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし」ていることに相当する。

(ウ) 甲2考案の「前記骨組と連結される、地面から立設する支柱」は、テントの支柱であることを踏まえると、骨組を支えるものと解される。
よって、甲2考案で「前記幕屋根各側辺の内側、および前記幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組と連結される、地面から立設する支柱を配し」ていることは、本件考案で「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している」ことに相当する。

(エ) 甲2考案で「前記幕屋根は、その略四角錐状の天頂部で、上部幕屋根と下部幕屋根の上下二層が重ね合わされた構造」であることは、本件考案の天幕屋根が「上部天幕および下部天幕の上下二層構造」であって、「前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ」ていることに相当し、
甲2考案の「上部幕屋根」、「下部幕屋根」はそれぞれ本件考案の「上部天幕」、「下部天幕」に相当する。

(オ) 甲2考案で「前記下部幕屋根の幕天頂部に開口が設けられ」ていることは、本件考案で「前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設けている」ことに相当する。

(カ) 甲2考案で「前記上部幕屋根の各側辺の下部が、それぞれ対応する前記下部幕屋根各側辺の上部に固着されている」ことは、本件考案で「前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され」かつ「前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されている」ことに相当する。

(キ) 甲2考案で「前記下部幕屋根は略四角錐台状をなし」ていることは、本件考案で「前記下部天幕は略四角錐台状に形成されて」いることに相当する。

よって、本件考案と甲2考案とは、次の一致点で一致し、下記相違点で相違する。

[一致点]
「上部天幕および下部天幕の上下二層構造の天幕屋根からなるタープテントであって、前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設けており、
前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、前記下部天幕は略四角錐台状に形成されており、前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されており、
前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している、
タープテント」

[相違点B]
上部天幕について、
本件考案では「略四角錐状に形成され」ているのに対して、
甲2考案では、「換気口を閉じた状態では、略四角錐台状の前記下部幕屋根と各側面が重なり合う略四角錐状をなし」ているが、「換気口を開いた状態では、前記略四角錐状の各底辺が、その両端部分すなわち略四角錐の各側辺にあたる部分は前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったまま、中央部分が持ち上がった弓なり状の形状をなし」ており、「それに伴い前記両端部分以外が前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側面と離間した隙間があいて換気口」となるものである点。

イ 判断
(ア) 相違点Bについて
甲第1号証には上記1(1)サのとおり甲1考案が記載されており、
そして上記(1)ア及び上記アを参照して、
甲2考案と甲1考案とは、いずれも、天幕屋根の内側に架設される骨組を備え、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を有している、タープテントであって、その天幕屋根が、空気を通すために(甲2考案:換気、甲1考案:通気)、
上部天幕(甲2考案:上部幕屋根、甲1考案:覆布26)および下部天幕(甲2考案:下部幕屋根、甲1考案:天幕22)の上下二層構造の天幕屋根からなり、
前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部(甲2考案:開口、甲1考案:開口部24)を設けており、
前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、
前記下部天幕は略四角錐台状に形成される、という構造を有する点で共通するものであり、
さらに、前記上部天幕と前記下部天幕との間に隙間を形成して空気が通れるようにする(甲2考案:「隙間があいて換気口となり」、甲1考案:通気隙間25)という、前記構造が奏する機能の面でも共通するものである。
よって、甲2考案における上部天幕(上部幕屋根)とそれにより形成される空気が通れる隙間にかかる構成に代えて、甲1考案の略四角錐状に形成された上部天幕(覆布26)とそれにより形成される隙間(通気隙間25)にかかる構成を採用し、相違点Bに係る本件考案の構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たことである。

(イ) 小括
よって、本件考案は、甲2考案及び甲1考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

(3) 甲3考案を主引用例として
ア 対比
本件考案と甲3考案とを対比する。

(ア) 本件考案の「タープテント」がいかなるテントを指すかについて、本件明細書を参照すると、
「【技術分野】【0001】本考案は・・・タープテントに関する。
【背景技術】【0002】・・・タープテントは、側面が開放されていることを特徴とし、開放感が得られるものの、上部に天幕屋根を有しており、その天幕屋根も天頂部から下方に傾斜するのが通常である・・・。」
と説明されている。
また、甲3考案の「幕屋根」が本件考案の「天幕屋根」に相当することは明らかである。
すると、甲3考案のテントは、側面が開放され(「前記幕屋根は地上面から離間して設けられ、前記幕屋根と地上面との間は開放されており」)、テント上部に天幕屋根(幕屋根)を有しており、その天幕屋根が天頂部から下方に傾斜する(「天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなす」)ものであるから、上記本件明細書の説明に沿うものであり、本件考案の「タープテント」に相当する。

(イ) 甲3考案で「天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状をなす幕屋根を有し」ていることは、本件考案で「前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし」ていることに相当する。

(ウ) 甲3考案の「前記骨組と連結される、地面から立設する支柱」は、テントの支柱であることを踏まえると、骨組を支えるものと解される。
よって、甲3考案で「前記幕屋根各側辺の内側、および前記幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組と連結される、地面から立設する支柱を配し」ていることは、本件考案で「前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している」ことに相当する。

(エ) 甲3考案の「上部幕屋根」、「下部幕屋根」はそれぞれ本件考案の「上部天幕」、「下部天幕」に相当し、
甲3考案で「前記幕屋根は、その略四角錐状の天頂部で、上部幕屋根と下部幕屋根の上下二層が重ね合わされた構造」であることは、本件考案の天幕屋根が「上部天幕および下部天幕の上下二層構造」であって、「前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ」ていることに相当する。

(オ) 甲3考案で「前記下部幕屋根の幕天頂部に開口が設けられ」ていることは、本件考案で「前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設けている」ことに相当する。

(カ) 甲3考案で「前記上部幕屋根の各側辺の下部が、それぞれ対応する前記下部幕屋根各側辺の上部に固着されている」ことは、本件考案で「前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され」かつ「前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されている」ことに相当する。

(キ) 甲3考案で「前記下部幕屋根は略四角錐台状をなし」ていることは、本件考案で「前記下部天幕は略四角錐台状に形成されて」いることに相当する。

よって、本件考案と甲3考案とは、次の一致点で一致し、下記相違点で相違する。

[一致点]
「上部天幕および下部天幕の上下二層構造の天幕屋根からなるタープテントであって、前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部を設けており、
前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、前記下部天幕は略四角錐台状に形成されており、前記上部天幕各側辺が、それぞれ対応する前記下部天幕各側辺に固着されており、
前記天幕屋根各側辺の内側、および前記天幕屋根各底辺の内側に架設される骨組を備え、前記骨組下部の四隅に、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を配している、
タープテント」

[相違点B’]
上部天幕について、
本件考案では「略四角錐状に形成され」ているのに対して、
甲3考案では、「換気口を閉じた状態では、略四角錐台状の前記下部幕屋根と各側面が重なり合う略四角錐状をなし」ているが、「換気口を開いた状態では、前記略四角錐状の各底辺が、その両端部分すなわち略四角錐の各側辺にあたる部分は前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側辺上に重なり合ったまま、中央部分が持ち上がった弓なり状の形状をなし」ており、「それに伴い前記両端部分以外が前記下部幕屋根の略四角錐台状の各側面と離間した隙間があいて換気口」となるものである点。

イ 判断
(ア) 相違点B’について
甲第1号証には上記1(1)サのとおり甲1考案が記載されており、
そして上記(1)ア及び上記アを参照して、
甲3考案と甲1考案とは、いずれも、天幕屋根の内側に架設される骨組を備え、前記骨組を支えるための、地面から立設する支柱を有している、タープテントであって、その天幕屋根が、空気を通すために(甲3考案:換気、甲1考案:通気)、
上部天幕(甲3考案:上部幕屋根、甲1考案:覆布26)および下部天幕(甲3考案:下部幕屋根、甲1考案:天幕22)の上下二層構造の天幕屋根からなり、
前記下部天幕天頂部に前記上部天幕が重ね合わされ、前記上部天幕下部の一部分が前記下部天幕上部に固着され、前記下部天幕天頂部に一または複数の開口部(甲3考案:開口、甲1考案:開口部24)を設けており、
前記天幕屋根は、天頂部を錐面の頂点とする略四角錐状の外見をなし、
前記下部天幕は略四角錐台状に形成される、という構造を有する点で共通するものであり、
さらに、前記上部天幕と前記下部天幕との間に隙間を形成して空気が通れるようにする(甲3考案:「隙間があいて換気口となり」、甲1考案:通気隙間25)という、前記構造が奏する機能の面でも共通するものである。
よって、甲3考案における上部天幕(上部幕屋根)とそれにより形成される空気が通れる隙間にかかる構成に代えて、甲1考案の略四角錐状に形成された上部天幕(覆布26)とそれにより形成される隙間(通気隙間25)にかかる構成を採用し、相違点B’に係る本件考案の構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たことである。

(イ) 小括
よって、本件考案は、甲3考案及び甲1考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。


第6 まとめ
以上のとおり、本件実用新案登録の請求項3に係る考案は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された考案に基づいて、又は甲第3号証及び甲第1号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
よって、本件実用新案登録の請求項3に係る考案についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当するから、無効とすべきものである。

そして、審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-03-07 
結審通知日 2019-03-11 
審決日 2019-03-26 
出願番号 実願2010-2816(U2010-2816) 
審決分類 U 1 114・ 121- Z (E04H)
最終処分 成立  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 小野 忠悦
前川 慎喜
登録日 2010-07-07 
登録番号 実用新案登録第3161298号(U3161298) 
考案の名称 防風タープテント  
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