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審決分類 審判    A47C
管理番号 1358679
審判番号 無効2019-400002  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-02-27 
確定日 2020-01-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第3217939号実用新案「宮付きすのこベッド」の実用新案登録無効審判事件について,次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案登録第3217939号(以下「本件実用新案登録」という。)は,平成30年6月7日に実願2018-2118号として出願されたものであって,平成30年8月22日にその設定の登録(請求項の数3)がされた。

以後の本件に係る手続の概要は,以下のとおりである。

平成31年 2月27日付け 審判請求書,証拠説明書
令和 1年 6月13日付け 訂正書
令和 1年 6月13日付け 答弁書
令和 1年 7月30日付け 審理事項通知
令和 1年 9月 4日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)
令和 1年 9月 5日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)
令和 1年 9月11日付け 証拠説明書(請求人)
令和 1年 9月13日付け 口頭審理陳述要領書(2)(被請求人)
令和 1年 9月24日 口頭審理
令和 1年10月 8日付け 上申書(請求人)
令和 1年10月23日付け 上申書(被請求人)
令和 1年11月 6日付け 補正許否の決定


第2 本件考案
本件実用新案登録の請求項1及び2に係る考案(以下「本件考案1」及び「本件考案2」という。)は,令和1年6月13日付け訂正書に添付された実用新案登録請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。

【請求項1】
矩形状の支持枠の四隅に,複数の脚部が配された支持台と,
該支持台のヘッド側に固定されて,上部には板状のモバイル端末を立て掛けるモバイルスタンドが設けられるとともに,側面には収納棚が陥没形成された木製で宮付き型のヘッドボードと,
前記支持台に載置されるすのことを備えた宮付きすのこベッドにおいて,
前記モバイルスタンドは,前記モバイル端末のずれ落ちを防止する突条ストッパ部と,該突条ストッパ部より高さが高く,かつ傾斜状態の前記モバイル端末の上部を下方から支持する端末支持板部とを,前記突条ストッパ部の方が前記端末支持板部より手前となるように,互いに平行に離間配置したもので,
前記収納棚は,前記ヘッドボードの両側面を貫通して形成され,
各前記脚部は,前記支持枠に着脱可能に連結され,
前記各脚部を取り外した前記支持枠は,床面に該支持枠の下面を接した状態で床に載置され,
前記ヘッドボードは,
下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結されて,上端部が前記突条ストッパ部を構成する矩形状の前側ボードと,
該前側ボードと平行に離間して,上端部が前記端末支持板部を構成する矩形状の奥側ボードと,
前記前側ボードの上部と前記奥側ボードの上部とを連結する上板と,
前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端とを連結する下板とを有した側面視して矩形状の板枠で,
前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置されたことを特徴とする宮付きすのこベッド。

【請求項2】
各前記脚部は,長さ方向へ連結可能な複数の分割脚部からなることを特徴とする請求項1に記載の宮付きすのこベッド。

第3 当事者の主張及び証拠方法
以下において,甲第1号証等を甲1等,甲1に記載された考案を甲1考案,審判請求書を請求書,令和1年9月4日付け口頭陳述要領書(被請求人),令和1年9月5日付け口頭陳述要領書(請求人),令和1年9月13日付け口頭陳述要領書(被請求人)をそれぞれ,要領書(被請求人1),要領書(請求人),要領書(被請求人2),第1回口頭審理調書を調書,令和1年10月8日付け上申書(被請求人),令和1年10月23日付け上申書(請求人)をそれぞれ,上申書(被請求人),上申書(請求人)ということもある。
なお,行数は,空行を含まない。また,丸数字は(○1)等と表記する。

1 請求人の主張の概要
(1)請求の趣旨
請求人は,実用新案登録第3217939号の請求項1及び2に係る考案についての実用新案登録を無効とする,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求めるものである(調書の被請求人欄以前の欄1。当審注:調書の被請求人欄以前の欄は,当該欄1に審判請求の趣旨が記載されることからも明らかであるように,請求人欄である。以下単に「請求人欄」という。)。

(2)無効理由
請求書,要領書(請求人),口頭審理及び上申書(請求人)における請求人の主張の全趣旨からみて,請求人が主張する無効理由は,以下のとおりである。なお,上申書(請求人)による請求の理由の補正については,上記令和1年11月6日付け補正許否の決定をもって許可した。

無効理由1:実用新案法3条2項違反(同法37条1項2号)
本件の請求項1に係る考案は,甲第1号証に記載された考案及び甲第2号証?甲第6号証に記載された考案に基いて,実用新案登録出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから,実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり,その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し,無効とすべきである(調書の請求人欄4<無効理由1>)。

無効理由2:実用新案法3条2項違反(同法37条1項2号)
本件の請求項2に係る考案は,甲第1号証に記載された考案及び甲第2号証?甲第6号証に記載された考案に基いて,実用新案登録出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから,実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり,その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し,無効とすべきである(調書の請求人欄4<無効理由2>)。

無効理由3:実用新案法5条6項2号違反(同法37条4項)
請求項1?2の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」という構成要件(以下「構成要件(M)」という。)は不明確であるから,請求項1及び2に係る考案が不明確である。
よって,本件の請求項1?2に係る考案は,実用新案法5条6項2号に規定する要件を満たしていない(上申書(請求人)2頁18行?3頁10行)。

無効理由4:実用新案法5条6項1号違反(同法37条4項)
前記構成要件(M)は本件実用新案登録の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の考案の詳細な説明のどこにも記載されていないから,本件の請求項1?2に係る考案は,実用新案法5条6項1号に規定する要件を満たしていない(上申書(請求人)3頁11行?14行)。

無効理由5:実用新案法5条4項違反(同法37条4項)
訂正により,請求項1に前記構成要件(M)が追加されたが,明細書の考案の詳細な説明には,当該構成要件についての説明(具体的な構成及び作用効果等)が何も記載されていないから,本件明細書の考案の詳細な説明は,請求項1?2に係る考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
よって,本件実用新案登録は,実用新案法5条4項に規定する要件を満たしていない(上申書(請求人)3頁15行?末行)。

(3)証拠方法
請求人は,請求書に添付して甲1ないし甲5を提出し,要領書(請求人)に添付して甲6を提出している。

甲1:”モダンデコ 高さ調節可能 すのこベッド ヘッドボード 宮付き 収納付き ベッドフレーム 木製ベッド 天然木 無垢材 脚付きベッド コンセント付き 【Cuenca】セミダブルサイズ (ナチュラル)”,Amazon.co.jpのホームページの印刷物,2019年1月23日,インターネット
<URL : https://www.amazon.co.jp/高さ調節可能-すのこベッド-ベッドフレーム-コンセント付き-【Cuenca】セミダブルサイズ/dp/B07C7DPHK4/ref=sr_1_18?s=home&ie=UTF8&qid=1548207043&sr=1-18&refinements=p_89%3A%E3%83%A2%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%B3>

甲2:”ベッド キング ナチュラル LYCKA リュカ フレームのみ すのこベッド 収納ベッド キング シングル×2 北欧”,Amazon.co.jpのホームページの印刷物,2018年12月3日,インターネット
<URL : https://www.amazon.co.jp/ナチュラル-LYCKA-フレームのみ-すのこベッド-シングル×2/dp/B073W4DWRC/ref=sr_1_fkmr0_3?s=home&ie=UTF8&qid=1548219374&sr=1-3-fkmr0&keywords=%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%89%E3%80%80%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%80%80%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%80%80LYUCA%E3%80%80%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AE%E3%81%BF>

甲3:特開2016-77309号公報

甲4:”コスパクリエーションYS-59368[収納ヘッドボード付きガス圧式跳ね上げ収納ベッド Beegos(ビーゴス)レギュラー SD 横開き マルチラススーパースプリングマットレス付 ホワイト]”,ヨドバシ.comのホームページの印刷物,2018年11月21日,インターネット
<URL : https://www.yodobashi.com/product/100000001002897615>

甲5:実願平4-83672号(実開平6-38721号)のCD-ROM
なお,請求人は甲5として実開平6-38721号公報を提出したとしているが,請求の全趣旨からみて実願平4-83672号(実開平6-38721号)のCD-ROMを引用するものと解するのが相当であるから,甲5として上記CD-ROMの写しが提出されたものとして取り扱う。

甲6:登録実用新案公報第3103337号公報

2 被請求人の主張の概要
(1)答弁の要旨
被請求人は,本件審判の請求は,成り立たない,審判費用は,請求人の負担とする,との審決を求めている(調書の被請求人欄1)。

(2)主張の要点
答弁書,要領書(被請求人1),要領書(被請求人2),口頭審理及び上申書(被請求人)の主張の全趣旨からみて,被請求人の主張の要点は,以下のとおりである。

ア 無効理由1?2について
(1)甲6の明細書の【0008】,および,図1?3に図示する“横長な1枚の板からなるベッド板45”と,(2)図4中に図示された“逆L字型の1枚のフレーム板70”と,(3)図5中に図示された“横長な籠である収納槽台75”とは,本件考案1の「“矩形板枠からなる宮付きヘッドボード”」であるとの請求人の主張は技術常識を逸脱したものであって,到底容認できるものでない。
また,甲6の(1枚板である)ベッド板45の(存在しない)“下板”が,支持枠に該当する甲6の図1?3に示す第1フレーム20の上端部と同じ高さに配置されているとの請求人の主張は,ベッド板45には下板が存在しないため,「第1フレーム20の上端部と高さ位置が対比される“対象物”」が不明であり,また,何れの図面も部品間の位置関係が曖昧な“ヘッド側の斜め上方から見た斜視図”である甲6の図1?3のみを見て,ヘッドボード近辺のベッド部品間の高さ位置の関係を,すべて正確に言い当てることは困難である。
以上から,甲6を,訂正後の本件考案1の「矩形状の板枠からなるヘッドボードの下板の高さを,支持枠の上端部と同じ高さにする」という構成要件に対する先行技術とし,甲1?甲6に示す考案に基づいて,実用新案登録出願前に当業者極めて容易に考案をすることができたものとすることは,できない。
以上から,本件考案1,2は,甲1乃至甲6に記載された考案に基いて,当業者がきわめて容易に考案をすることができたものに該当せず,実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものではないため,その実用新案登録は同法37条1項2号に該当せず,無効とすべきではない(要領書(被請求人2)2頁5行?3頁16行)。

イ 無効理由3について
請求人の指摘のように下板には厚みがあるため,訂正後の請求項1では,「前記下板は,前記支持枠の“上端”と同じ高さに配置された」とは記載せず,登録時の図1,図3および図4(a)に示されている通りに,「前記下板は,前記支持枠の“上端部”と同じ高さに配置された」と記載しているから,実用新案登録を受けようとする本件考案1は明確であり,実用新案法5条6項2号に違反していない(上申書(被請求人)2頁3?18行)。

ウ 無効理由4について
実用新案法14条の2第3項には,図面のみに開示されたものであっても,訂正の根拠となり得ることが明記されていることを踏まえれば,訂正後の構成要件(M)の内容は,登録時の図1,図3および図4(a)に明確に図示されていることで十分に足り,その結果,本件考案1は,実用新案法5条6項1号違反として,無効とすべきものでないことは明らかである(上申書(被請求人)2頁19?29行)。

エ 無効理由5について
訂正後の構成要件(M)の具体的な構成については,登録時の図1,図3および図4(a)に明確に図示されている。
一方,訂正後の構成要件(M)の具体的な作用効果の説明は,この構成要件(M)を含む本件考案1の作用効果が,基本的に訂正前の請求項3の考案の作用効果と同じことから,訂正後の明細書の【0020】?【0022】,および,【0036】?【0037】の6行目までの範囲に,通常の知識を有する者が実施できる程度に明確かつ十分に記載している。
すなわち,構成要件(M)は,あくまで,訂正後の請求項1に記載された「各前記脚部は,前記支持枠に着脱可能に連結され,前記各脚部を取り外した前記支持枠は,床面に該支持枠の下面を接した状態で床に載置され,前記ヘッドボードは,下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結されて,上端部が前記突条ストッパ部を構成する矩形状の前側ボードと,該前側ボードと平行に離間して,上端部が前記端末支持板部を構成する矩形状の奥側ボードと,前記前側ボードの上部と前記奥側ボードの上部とを連結する上板と,前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端とを連結する下板とを有した側面視して矩形状の板枠で,」あることを前提としたものであるため,構成要件(M)を有する本件考案1においても,上記明細書の【0020】?【0022】や,【0036】?【0037】に記載された作用効果を有していることは,当然である(上申書(被請求人)2頁30行?3頁下から8行)。

(3)証拠方法
被請求人は提出した乙第1号証を取り下げたため(調書の被請求人欄3),被請求人の提出した乙号証は存在しない。


第4 当審の判断
1 無効理由1及び2(実用新案法3条2項違反)について
(1)各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された考案
ア 甲1の記載事項等
甲1には,「宮付き」の「すのこベッド」に関して,以下の記載がある。
(1ア) 1頁目 中欄上方
「高さ調節可能 すのこベッド ヘッドボード 宮付き 収納付き ベッドフレーム 木製ベッド 天然木無垢材 脚付きベッド コンセント付き 【Cuenca】 セミダブルサイズ(ナチュラル)」

(1イ) 1頁目 中欄中央
「・【材質】フレーム・・・天然木パイン,床板・・・LVL積層合板
・【特徴】コンセント付き,USB付き,宮棚付き,高さ調節可能。」

(1ウ) 2頁目 左欄 上部写真(請求人が矢印で「写真○2」として示す写真(以下単に「写真○2」ということもある。以下同様。)のうち上方の写真,以下「写真○2上」は写真○2のうち上方に位置する写真,「写真○2下」は写真○2のうち下方に位置する写真を指すものとして用いることがある。以下同様。)の範囲内及び当該写真の上方欄
「枕元に必需品を!コンセント・USBポート付宮棚
時計や携帯電話など置けるスペース,ちょうどいいサイズの宮棚です。」

(1エ) 2頁目 左欄 下部写真(写真○2下)の左側欄
「ブックシェルフ収納
両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計。ベッドでのくつろぎタイムをサポートします。」

(1オ) 3頁目 左欄 上部写真(請求人が矢印で「写真○5」として示す円形の写真に隣接した左上の写真)の上下に位置する欄
「継脚タイプで簡単!3段階の高さ調節
ボルト付きの脚は回すだけで付け外しでき,簡単に3段階の高さを変更できます。」

(1カ) 3頁目 左欄 中央写真(写真○6及びその左側に位置する2枚の写真)の下方に位置する3つの欄
「ハイタイプ
ベッド下収納をたっぷり使える一般的な高さ。」

「ミドルタイプ
少し背が低く,ベッド下収納も使用できます。」

「ロータイプ
圧迫感が少なく,布団での使用や和室にオススメ。」

(1キ) 5頁目 上方(請求人の赤囲み部位)
「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2018/4/15」

(1ク)甲1には,以下の写真○1,2,5及び6が示されている。
(なお,写真○1,2,5及び6は,請求人が提出した拡大写真○1,○2,○5及び○6で示す。)


以上の甲1の摘記と写真を踏まえると,以下の事項が示されていると認められる。
(2ア)摘記(1ア)の「すのこ」,「ヘッドボード」及び「脚」,並びに,摘記(1イ)の「フレーム」について,1頁目に示される2枚の写真○1を総合的に勘案すると,以下の事項が示されているといえる。
「ヘッドボード側ビーム材,ヘッドボードと反対側のビーム材,及び,当該ヘッドボード側ビーム材と当該ヘッドボードと反対側のビーム材と連結された2つの側方ビーム材によって矩形状のフレームが構成されていること。」

「フレームに支持されたすのこを備えること。」

「ヘッドボードは,ヘッドボード側ビーム材に固定されていること。」

「ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍にそれぞれ2つの脚が配され,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍に2つの脚が配されること,及び,2つの側方ビーム材の中央部に脚が配されること。」

(2イ)摘記(1ウ)の「時計や携帯電話など置けるスペース,ちょうどいいサイズの宮棚です」との記載が2頁目の2枚の写真○2上,写真○2下において「宮棚の鉛直方向上方」とともに示されていることから,「宮棚は,鉛直方向上方に時計や携帯電話など置けるスペースを有する」ということができ,2頁目の2枚の写真○2上,写真○2下には「木目を有する宮棚であるヘッドボード」が示されており,摘記(1ア)の「木製ベッド」との記載を踏まえると,ヘッドボードは「宮棚であり,木製であ」るといえる。

そして,摘記(1エ)の「両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計」との記載を踏まえると,摘記(1ア)の「ヘッドボード」について,以下の事項が認定できる。
「ヘッドボードは,鉛直方向上方に時計や携帯電話など置けるスペースを有する宮棚であり,木製であって,
両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計したこと。」

(2ウ)上記(2イ)の「ヘッドボード」について,2頁目の写真○2下,並びに,1頁目の写真○1上及び写真○1下には,次の事項が示されているといえる。
「ヘッドボードは,
鉛直方向下方端部の側面がヘッドボード側ビーム材に連結されるフレーム側の矩形の板材と,
当該フレーム側の矩形の板材と平行に離間する,フレームと反対側に位置する板材と,
フレーム側の矩形の板材の鉛直方向上部の端面と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部付近の側面を連結する上方板材と,
フレーム側の矩形の板材の鉛直方向下方端部付近の側面と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向下方端部付近の側面を連結する下方板材と,を有し,
前記フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部は,前記上方板材から鉛直方向上方に突出している,
側面視して矩形状の宮棚であって,
前記下方の板材は,前記フレームの鉛直方向下方端部付近に配置されていること。」

(2エ)上記(2イ)の「時計や携帯電話など置けるスペース」について,2頁目の写真○2上には,上記(2ウ)に示された「上方板材」及び「前記フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方の端部」は,上記(2イ)に示された「時計や携帯電話など置けるスペース」を有する「宮棚」の「鉛直方向上方」を構成することが示されている。このことから,以下の事項を認定できる。
「時計や携帯電話など置けるスペースは,上方板材と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部が,前記上方板材から鉛直方向上方に突出した部位で構成されること。」

(2オ)上記(2ア)で検討したそれぞれの「脚」について,摘記(1オ)の「ボルト付きの脚は回すだけで付け外しでき,簡単に3段階の高さを変更できます」との記載を踏まえると,3頁目の写真○5には,「前記脚を構成するボルト付きの脚1つが外されている」ことが示されているといえる。
また,当該「ボルト付きの脚」について,3頁目の写真○5,写真○6及び当該写真○6の左側の2枚の写真(それぞれの写真の直下に枠囲いでハイタイプ及びミドルタイプとの記載がある写真)から,「前記脚」は長さ方向に連結されることで3段階で高さを変更していることが見て取れるから,「ボルト付きの脚」が「2つ」具備されており,「長さ方向に連結可能であること」が示されているといえる。
そして,上記(2ア)の「ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍にそれぞれ2つの脚が配され,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍に2つの脚が配されること,及び,2つの側方ビーム材の中央部に脚が配されること」も勘案すれば,上記(2ア)で検討したそれぞれの「脚」について以下の事項が示されているといえる。
「それぞれの前記脚が,長さ方向に連結可能な2つのボルト付きの脚からなり,ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍,及び,2つの側方ビーム材の中央部から付け外しできること。」

(2カ)3頁目の写真○6には,「脚のない状態の宮付きのすのこベッド」が示されており,上記(2オ)で検討したように,「それぞれの前記脚」は「付け外しできる」ものであり,写真○6について説明したものである摘記(1カ)の「ロータイプ 圧迫感が少なく,蒲団での使用や和室にオススメ」との記載も踏まえると,当該写真○6において「それぞれの前記脚」は取り外したものといえる。
そして,上記(2オ)の「側方ビーム材」に関して,3頁目の写真○6には,「床面に一方の側方ビーム材の鉛直方向下方端面が接した状態で載置されていること」が示されているから,以下の事項が認定できる。
「それぞれの前記脚を取り外した状態で,一方の側方ビーム材は,床面に一方の側方ビーム材の鉛直方向下方端面が接した状態で載置されていること。」

以上を踏まえると,甲1には以下の考案(以下「甲1考案」という。)が記載されている。

「ヘッドボード側ビーム材,ヘッドボードと反対側のビーム材,及び,当該ヘッドボード側ビーム材と当該ヘッドボードと反対側のビーム材と連結された2つの側方ビーム材によって矩形状のフレームが構成され,
フレームに支持されたすのこを備え,
ヘッドボードは,
ヘッドボード側ビーム材に固定され,
鉛直方向上方に時計や携帯電話など置けるスペースを有する宮棚であり,木製であって,
両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計したものであって,
時計や携帯電話など置けるスペースは,上方板材と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部が,前記上方板材から鉛直方向上方に突出した部位で構成され,
鉛直方向下方端部の側面がヘッドボード側ビーム材に連結されるフレーム側の矩形の板材と,
当該フレーム側の矩形の板材と平行に離間する,フレームと反対側に位置する板材と,
フレーム側の矩形の板材の鉛直方向上部端面と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部付近の側面を連結する上方板材と,
フレーム側の矩形の板材の鉛直方向下方端部付近の側面と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向下方端部付近の側面を連結する下方板材と,を有し,
前記フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部は,前記上方板材から鉛直方向上方に突出している,
側面視して矩形状の宮棚であり,
前記下方板材は,前記フレームの鉛直方向下方端部付近に配置されており,
ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍にそれぞれ2つの脚が配され,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍に2つの脚が配されるとともに,2つの側方ビーム材の中央部に脚が配され,
それぞれの前記脚が,長さ方向に連結可能な2つのボルト付きの脚からなり,ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍,及び,2つの側方ビーム材の中央部から付け外しでき,
それぞれの前記脚を取り外した状態で,一方の側方ビーム材は,床面に一方の側方ビーム材の鉛直方向下部端面が接した状態で載置されている,
宮付きのすのこベッド。」

イ 甲2の記載事項等
甲2には,「すのこベッド」に関して,以下の記載がある。
(1ア)1頁目 中欄上方
「ベッド キング ナチュラル LYCKA リュカ フレームのみ すのこベッド 収納ベッド キング シングル×2 北欧」

(1イ)1頁目 左側の「写真○3」内
「OPEN SPACE
ヘッドボードには,
雑誌・本が収納可能な
オープンスペースがあります。
左右どちらからも出し入れ可能です。」

(1ウ)3頁目 上方(請求人の赤囲み部位)
「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2017/7/11」

(1エ)甲2には,以下の写真○3が示されている。
(なお,写真○3は,請求人が提出した拡大写真○3で示す。)

(1オ)上記写真○3には,摘記(1イ)の「ヘッドボード」と「オープンスペース」について,「側面に雑誌・本が収納可能で左右どちらからも出し入れ可能なオープンスペースが形成されたヘッドボード」が示されているといえる。

上記写真○3にはまた,上記(1オ)の「ヘッドボード」が,「すのこ」を上面に有する「フレーム」に隣接して配置されていることが示されている。

さらに,上記写真○3には当該「ヘッドボード」が,すのこ側の板材と,当該すのこ側の板材と平行に離間する,すのこと反対側に位置する板材と,前記すのこ側の板材の鉛直方向上部の端面と,前記すのこと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部付近の側面を連結する上方板材と,前記すのこ側の板材の鉛直方向下方端部付近の側面と,前記すのこ側のと反対側に位置する板材の鉛直方向下方端部付近の側面を連結する下方板材と,を有していることも示されている。

そして,上記写真○3において,前記すのこと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部は,前記すのこ側の板材の鉛直方向上方端部よりも大きい突出長さで前記上方板材から鉛直方向上方に突出し,前記下方板材は,前記フレームの鉛直方向下方端部よりも下方に配置されていることが示されている。

以上の甲2の摘記及び写真から,甲2には以下の技術が示されているといえる(以下「甲2技術」という。)。
「すのこベッドにおいて,
ヘッドボードは,
側面に雑誌・本が収納可能で左右どちらからも出し入れ可能なオープンスペース形成がされ,
すのこ側の板材と,
当該すのこ側の板材と平行に離間する,すのこと反対側に位置する板材と,
前記すのこ側の板材の鉛直方向上部の端面と,前記すのこと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部付近の側面を連結する上方板材と,
前記すのこ側の板材の鉛直方向下方端部付近の側面と,前記すのこ側のと反対側に位置する板材の鉛直方向下方端部付近の側面を連結する下方板材と,を有し,
前記すのこ側の板材の鉛直方向上方端部は,前記上方板材から鉛直方向上方に突出し,
前記すのこと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部は,前記すのこ側の板材の鉛直方向上方端部よりも大きい突出長さで前記上方板材から鉛直方向上方に突出し,
前記下方板材は,前記フレームの鉛直方向下方端部よりも下方に配置されている,技術。」

ウ 甲3の記載事項等
甲3には,以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は,ベッドに関し,特に,ヘッドボードを有するベッドに関する。
【0002】
ヘッドボードを有するベッドの一形式として,特許文献1に示されているものが知られている。ベッドに配設されたヘッドボードは,特許文献1の図2に示すように,上方に向けて開口する収納空間Sおよび収納空間Sの開口部を覆う蓋板27を備えている。蓋板27は,収納空間S内にて突出する複数の凸部(係合凸部211a,211b,221c,221d)によって支持されている。収納空間S内や蓋板27の上面は,例えば携帯電話等の小物を置くことができるようになっている。
しかしながら,特許文献1のヘッドボードの収納空間Sが,例えば雑誌程度の大きさの物品を立て掛けて使用される場合,収納空間Sの開口部からその物品の上部が出てしまうため,収納空間Sは,蓋板27が取り外された状態にて使用される。この場合,蓋板27を置く場所を別途確保する必要が生じる。」

「【0005】
しかしながら,凸部は,ヘッドボードの各側板21,22に形成された孔に一端部が埋設された丸棒の他端部によって構成されている。よって,蓋板27が下方位置に位置する場合,すなわち,凸部(丸棒)が下方位置に位置する場合,丸棒の上方位置にて,丸棒が取り外された複数の孔が収納空間Sの開口部から視認可能となる。この場合,ヘッドボードひいてはベッドの意匠性が損なわれる。
そこで,本発明は,上述した課題を解消するためになされたもので,ヘッドボードを有するベッドにおいて,ヘッドボードが,上下方向に移動可能な棚板を有する場合においても,ヘッドボードひいてはベッドの意匠性の向上を図ることを目的とする。」

「【0010】
第一実施形態におけるベッド1は,図1に示すように,マットレスM等が載せられて,使用者が就寝するボトム部10およびボトム部10の後方側(使用者の頭部側)に固定されたヘッドボード20を備えている。ヘッドボード20は,複数の板を組み合わせることにより形成されている。板は,例えば合板である。ヘッドボード20は,ヘッドボード本体21および棚板22を備えている。
【0011】
ヘッドボード本体21は,図1および図2に示すように,前板21a,後板21b,左側板21cおよび右側板21dを備えている。
前板21aは,ボトム部10から上方に向かって延びるように配設(立設)された板である。前板21aの左右方向長さがボトム部10の左右方向長さと略同一に,かつ,前板21aの上下方向長さがボトム部10とマットレスMとを合わせた上下方向長さより長くなるように設定されている。前板21aの前面の下端部が,ボトム部10の後面に固定されている。
【0012】
後板21bは,前板21aより後側にて,前板21aと平行に,前板21aの上部と対向するように配設された板である。後板21bは,左右方向長さが前板21aの左右方向長さと略同一に,かつ,上下方向長さが前板21aの上下方向長さのおよそ半分となるように設定されている。
【0013】
左側板21cは,前板21aの左端部と後板21bの左端部とを連結する板である。左側板21cの前後方向長さが前板21aの左右方向長さより短くなるように,かつ,左側板21cの上下方向長さが後板21bの上下方向長さよりわずかに短くなるように設定されている。なお,左側板21cの上下方向長さと後板21bの上下方向長さとを同じ長さに設定しても良い。
【0014】
右側板21dは,前板21aの右端部と後板21bの右端部とを連結する板である。右側板21dの前後方向長さが左側板21cの前後方向長さと同一に,かつ,右側板21dの上下方向長さが左側板21cの上下方向長さのおよそ半分となるように設定されている。また,右側板21dの上端と左側板21cの上端とが,上下方向において同じ位置となるように設定されている。なお,各側板21c,21dの上下方向長さと後板21bの上下方向長さとを同じ長さに設定しても良い。
【0015】
また,ヘッドボード本体21は,図2に示すように,中側板21e,第一支持板21f,天板21g,第二支持板21hおよび第三支持板21iを,さらに備えている。
中側板21eは,ヘッドボード本体21の左右方向中央部にて,右側板21dと平行に,かつ,右側板21dの下部と対向して,前板21aと後板21bとを連結するように配設されている。中側板21eは,上下方向長さが右側板21dの上下方向長さのおよそ半分となるように設定されている。
【0016】
第一支持板21f(特許請求の範囲の第一支持部に相当)は,天板21gおよび棚板22を後述するように支持する板である。第一支持板21fは,下面の中央部が中側板21eの上端に固定され,前板21aと後板21bとを連結するように配設されている。
前板21a,中側板21e,第一支持板21f,後板21bおよび右側板21dによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第一枠部W1が構成されている。
【0017】
天板21gは,第一枠部W1の上部を覆う板である。天板21gの左端部が第一支持板21fに支持されて,天板21gが水平となるように配設されている。天板21gの右端部は,右側板21dの左面に固定されている。また,図1に示すように,天板21gおよび第一枠部W1の上端部によって,ヘッドボード本体21の上端部右側が,トレイ状に形成されている。天板21gの上面には,プラグの差し込み口が上方に向けられたコンセントCが設けられている。
【0018】
また,前板21a,左側板21c,後板21b,中側板21e,第一支持板21fおよび天板21gによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2(特許請求の範囲の枠部に相当)が構成されている。
【0019】
第二支持板21h(特許請求の範囲の第二支持部に相当)は,棚板22を後述するように支持する板である。第二支持板21hは,図2に示すように,第二枠部W2内にて天板21gと平行に,かつ,第一支持板21fより上下方向において下方に配設されている。また,第二支持板21hは,前板21aおよび後板21bに固定されている。また,第二支持板21hの一端(図2における左端)と左側板21cとの間には,第一隙間G1が形成されている。
【0020】
第三支持板21i(特許請求の範囲の第三支持部に相当)は,棚板22を後述するように支持する板である。第三支持板21iの上面が,第二支持板21hの上面と上下方向において同じ位置に設定されている。また,第三支持板21iの一端(図2における左端)が,第二支持板21hとの他端(図2における右端)との間に第二隙間G2(特許請求の範囲の隙間に相当)を形成するように配設されている。さらに,第三支持板21iと中側板21eとの間には,第三隙間G3が形成されている。また,第三支持板21iの上端の右端部21i1には,例えばC面である面取り加工がされている(図3参照)。
【0021】
棚板22は,第二枠部W2の上部を覆う第一位置P1(図2参照),および第一位置P1より下方の第二位置P2(図5参照)に位置決め可能な長方形状の板である。棚板22は,第二枠部W2の開口部に,嵌め込み可能に形成されている。以下,棚板22が第一位置P1に位置決めされている状態にて説明する。棚板22は,第一位置P1に位置決めされている場合,表面22aを上方に(裏面22bを下方に)向けるとともに,天板21gと平行に,かつ,天板21gの上面と棚板22の表面22aとが上下方向において同一位置となるように,位置決めされている。」

「【0026】
次に,棚板22が第二位置P2に位置決めされている状態について説明する。棚板22が第二位置P2に位置決めされている場合,図5に示すように,棚板22は,第二支持板21hおよび第三支持板21iによって支持されている。具体的には,棚板22の裏面22bの脚部22cより他端部E2側は,第二支持板21hによって支持されている。また,棚板22の裏面22bの脚部22cより一端部E1側は,第三支持板21iによって支持されている。」

「【0031】
本実施形態によれば,ベッド1は,ヘッドボード20を備えている。ヘッドボード20は,上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2と,第二枠部W2の上部を覆う第一位置P1,および第一位置P1より上下方向において下方の第二位置P2に位置決め可能な板状の棚板22と,を備えている。棚板22の一端部E1は,棚板22の裏面22bから延びるように設けられた脚部22cを備えている。第二枠部W2は,棚板22が第一位置P1に位置決めされている場合,棚板22の他端部E2を支持する第一支持板21fの一端部21f1と,棚板22が第一位置P1に位置決めされている場合,脚部22cを支持し,棚板22が第二位置P2に位置決めされている場合,棚板22の裏面22bを支持する板状の第二支持板21hと,を備えている。
これによれば,ベッド1の使用者は,第一支持板21fおよび第二支持板21hを移動させることなく,棚板22を第一位置P1または第二位置P2に位置決めするができる。よって,第二枠部W2は,従来技術のように,棚板22を支持するための丸棒を取り外したときに視認可能となる孔が形成されない。したがって,特に,棚板22が第二位置P2に位置したとき,ヘッドボード20ひいてはベッド1の意匠性を向上することができる。
また,棚板22を第一位置P1と第二位置P2との間で移動させる場合,従来技術のように,棚板22を支持するための丸棒のように,第一支持板21fの一端部21f1および第二支持板21hを棚板22の位置に合わせて移動させる必要がない。よって,棚板22を第一位置P1と第二位置P2との間で簡便に移動させることができる。
また,棚板22が第二位置P2に位置決めされている場合,例えば雑誌程度の大きさを有する方形状の物品を立て掛けて収納する空間を第二枠部W2内に形成することができる。よって,このような物品を平置きにすることができる大きさの天板を有するヘッドボードと比べて,ヘッドボード20におけるベッド1の長手方向(前後方向)の長さを短くすることができる。よって,ヘッドボード20ひいてはベッド1のコンパクト化を図ることができる。
また,棚板22を第二位置P2に位置決めすることにより,物品を収納することができる空間を第二枠部W2内に形成することができるため,棚板22が第一位置P1から取り外された場合においても,従来技術のヘッドボードにおける収納空間Sの蓋板のように,棚板22の置き場所を別途確保する必要ない。」

以下の図が示されている。

以上の摘記及び図から,甲3には以下の技術が示されているといえる(以下「甲3技術」という。)。
「マットレスM等が載せられて,使用者が就寝するボトム部10およびボトム部10の後方側(使用者の頭部側)に固定されたヘッドボード20を備えているベッド1において,
ヘッドボード本体21は,前板21a,後板21b,左側板21cおよび右側板21dを備え,中側板21e,第一支持板21f,天板21g,第二支持板21hおよび第三支持板21iを,さらに備え,
前板21aは,ボトム部10から上方に向かって延びるように配設され,前板21aの前面の下端部が,ボトム部10の後面に固定され,
後板21bは,前板21aより後側にて,前板21aと平行に,前板21aの上部と対向するように配設された板であり,左右方向長さが前板21aの左右方向長さと略同一に,かつ,上下方向長さが前板21aの上下方向長さのおよそ半分となるように設定され,
左側板21cは,前板21aの左端部と後板21bの左端部とを連結する板であり,左側板21cの上下方向長さが後板21bの上下方向長さよりわずかに短くなるように設定され,
右側板21dは,前板21aの右端部と後板21bの右端部とを連結する板であり,右側板21dの上下方向長さが左側板21cの上下方向長さのおよそ半分となるように設定され,右側板21dの上端と左側板21cの上端とが,上下方向において同じ位置となるように設定され,
中側板21eは,ヘッドボード本体21の左右方向中央部にて,右側板21dと平行に,かつ,右側板21dの下部と対向して,前板21aと後板21bとを連結するように配設され,
第一支持板21fは,下面の中央部が中側板21eの上端に固定され,前板21aと後板21bとを連結するように配設され,天板21gおよび棚板22を支持する板であり,
天板21gは,第一枠部W1の上部を覆う板であり,左端部が第一支持板21fに支持されて,天板21gが水平となるように配設され,天板21gの右端部は,右側板21dの左面に固定され,
前板21a,中側板21e,第一支持板21f,後板21bおよび右側板21dによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第一枠部W1が構成され,
前板21a,左側板21c,後板21b,中側板21e,第一支持板21fおよび天板21gによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2が構成され,
第二支持板21hは,第二枠部W2内にて天板21gと平行に,かつ,第一支持板21fより上下方向において下方に配設され,前板21aおよび後板21bに固定され,棚板22を支持する板であり,
第三支持板21iは,上面が,第二支持板21hの上面と上下方向において同じ位置に設定され,棚板22を支持する板であり,
棚板22は,第二枠部W2の上部を覆う第一位置P1,および第一位置P1より下方の第二位置P2に位置決め可能な長方形状の板であり,第一位置P1に位置決めされている場合,天板21gの上面と棚板22の表面22aとが上下方向において同一位置となるように,位置決めされ,
棚板22が第二位置P2に位置決めされている場合,雑誌程度の大きさを有する方形状の物品を立て掛けて収納する空間を第二枠部W2内に形成することができ,
棚板22の一端部E1は,棚板22の裏面22bから延びるように設けられた脚部22cを備え,第二枠部W2は,棚板22が第一位置P1に位置決めされている場合,棚板22の他端部E2を支持する第一支持板21fの一端部21f1と,棚板22が第一位置P1に位置決めされている場合,脚部22cを支持し,棚板22が第二位置P2に位置決めされている場合,棚板22の裏面22bを支持する板状の第二支持板21hと,を備えている技術。」

エ 甲4の記載事項等
甲4には,収納ヘッドボード付きガス圧式跳ね上げ収納ベッドについて,以下の記載がある。

(1ア)1頁目 中欄上方
「コスパクリエーション
YS-59368 [収納ヘッドボード付きガス圧式跳ね上げ収納ベッド Beegos(ビーゴス)レギュラー SD 横開き マルチラススーパースプリングマットレス付 ホワイト]
収納に困るスーツケースやバッグ,来客用の布団や季節物の衣類の他,カーペットといった長物までビーゴスならすっきり収納する事ができます。収納するスペースが無いと部屋が雑然とした印象に。大容量のビーゴスなら荷物を全て収納でき,お部屋もすっきりします。」

(1ウ)1頁目 写真○4又は5頁目の写真4の拡大の上欄
「あると便利なコンセント付き。
携帯電話の充電はもちろんタブレットなどにも役立ちます。
※左側の収納用フラップ式フタを開く際は,必ず接続している電子機器のコンセントを外してから行ってください。」

(1エ)1頁目 写真○4又は5頁目の写真4の拡大の左欄上部
「ヘッドボードのサイド側にも収納スペースを設けました。
ここにもA4サイズまでの書籍,ノートなどを収納できます。また収納部は反対側まで貫通型なのでポスターなどの長物の収納も可能です。」

(1オ)1頁目 写真○4又は5頁目の写真4の拡大の左欄下部
「※同収納スペースに雑誌,書籍類を収納する際に奥まで入り込まないように脱着可能なプレートが付属しておりますので,必要に応じてキャビネット内側の奥行き25cmのところにありますのでプレートを溝に差し込んでご使用ください。」

(1カ)1頁目 中段中央部(請求人の矢印を付した欄)
「販売開始日:2015/10/07」

(1キ)甲4には,以下の写真○4が示されている。
(なお,写真○4は,請求人が提出した拡大写真○4で示す。)

以上の甲4の摘記及び写真から,甲4には以下の技術が示されているといえる(以下「甲4技術」という。)。
「収納ヘッドボード付きガス圧式跳ね上げ収納ベッドにおいて,
ヘッドボードのサイド側に収納スペースを設け,ここにもA4サイズまでの書籍,ノートなどを収納でき,収納部は反対側まで貫通型なのでポスター長物の収納も可能であり,
ヘッドボードの左側に収納用フラップ式フタを有する技術。」

オ 甲5の記載事項等

甲5には以下の事項が記載されている。
「【請求項1】 ベッドフレ?ムを支持する脚を複数の単位脚に切断し,各単位脚間に結合手段を設けてなるベッド。」

甲5には以下の図が示されている。

以上の甲5の摘記及び図1から,甲5には以下の技術が示されているといえる(以下「甲5技術」という。)。

「ベッドにおいて,ベッドフレ?ムを支持する脚を複数の単位脚に切断し,各単位脚間に結合手段を設けた技術。」

カ 甲6の記載事項等

甲6には以下の事項が記載されている。
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
ベッドフレーム及びヘッドボードフレーム構造により構成され,
該ベッドフレームは,上面にマットレスを設置可能な第一,二フレーム体をサポートポスト上で折り畳み可能に設けて構成され,
該第一,二フレーム体のそれぞれ異なる端部には該サポートポストと同等の高さの立柱組を設置し,
該ヘッドボードフレーム構造は該ベッドフレームの一方の側のフレーム体に設置され,該ヘッドボードフレーム構造は2本のサポートフレーム及びベッド板により構成され,該二本のサポートフレームは該ベッド板を内側に固定し,また,該フレーム体の立柱組両側上端には固定孔を具えた挿入ポストをそれぞれ延伸し,該二本の挿入ポストを該サポートフレームの二本の固定支管に挿入して固定し,
これにより折り畳み時にその方向及び位置が変化しないようにしたことを特徴とする折畳みベッドのヘッドボードフレーム構造。
・・・
【請求項6】
前記ヘッドボードフレーム構造のベッド板上には収納槽台を設置することを特徴とする請求項1,或いは2記載の折畳みベッドのヘッドボードフレーム構造。」

「【0001】
本考案は一種の折畳みベッドのヘッドボードフレーム構造に関する。特に一種の多元的でかつ使用者が自ら組立て及び折畳みを行うことができるヘッドボードフレームの構造で,折畳みベッドの経済性を向上させることができる折畳みベッドのヘッドボードフレーム構造に係る。」

「【0004】
上記公知構造の欠点を解決するため,本考案は折畳みベッドのヘッドボードフレーム構造の提供を課題とする。
それは,公知構造の可変性に欠け,変化に乏しく,不便であるなどの欠点に対して改良を加え,折り畳みベッドの経済的価値を向上させることができる。」

「【0008】
次に図1,2が示す本考案の構造上の特色について説明する。該ヘッドボードフレーム構造40は,該ベッドフレーム10のどちらか一方の第一,二フレーム体20,30(本考案は第一フレーム体20を実施例とする)に設置する。該ヘッドボードフレーム構造40は,サポートフレーム41及びベッド板45により構成し,該サポートフレーム41は二本のL字型を呈する中空の固定支管42により構成する。該二本の固定支管42は,固定ボルト44を利用して該ベッド板45を内側に固定し,かつ該第一フレーム体20の立柱組21は両側上端において,固定孔55を具えた挿入ポスト50をそれぞれ設置する。該二本の挿入ポスト50は,該サポートフレーム41の二本の固定支管42に対応して挿入して設置され,該固定ボルト43を利用して固定される。
該ヘッドボードフレーム構造40は該サポートフレーム41の固定支管42により該第一フレーム体20の挿入ポスト50上に設置されて,組合せ式かつ使用の便の高い折畳みヘッドボードセットの構造を構成する。
次に図1,2,7が示すように,使用者は自身の必要に応じてヘッドボードフレーム構造40を組立てることができる。こうして場所を取らず,使用の利便性を向上させることができる。
さらに図3が示すように,使用者は該ベッド板45上においてフック65を具えたラック60を掛けることができ,これにより,使用者は該ラック60に物品を入れることができる。
また図4が示すように,該サポートフレーム41の固定支管42上において逆L字型のフレーム板70を設置し,使用者は該フレーム板上に装飾品を飾ることができる。
さらに,図5が示すように,該固定支管42上に開口部が上に向かった収納槽台75を設置し,様々な物品を収納することができる。
これらにより,該ヘッドボードフレーム構造40の多目的化を実現し,使用者は自身で組立てまた解体することにより,生活の彩りを演出することができる。」

甲6には以下の図が示されている。

甲6の図1には,次の事項が示されている。
「第一フレーム体20の上端部近傍とベッド板45の下方が略同じ高さであ」ること。

上記【0008】の「該二本の固定支管42は,固定ボルト44を利用して該ベッド板45を内側に固定し,」との記載と,「さらに,図5が示すように,該固定支管42上に開口部が上に向かった収納槽台75を設置し,様々な物品を収納することができる」との記載から,「固定支管42は,ベッド板45に代えて,開口部が上に向かった収納槽台75を設置し,様々な物品を収納することができるものであ」ることが認定できる。

そして,甲6の図5から,次の事項が認定できる。
「固定支管42に開口部が上に向かった収納槽台75を設置した場合に,第一フレーム体20の上端部近傍と収納槽台75が略同じ高さであ」ること。

以上の甲6の摘記,図及び認定事項から,甲6には以下の技術が示されているといえる(以下「甲6技術」という。)。

「折畳みベッドであって,ヘッドボードフレーム構造40はベッドフレーム10の第一フレーム体20に設置され,該ヘッドボードフレーム構造40は,サポートフレーム41及びベッド板45により構成し,該サポートフレーム41は二本のL字型を呈する中空の固定支管42により構成し,該二本の固定支管42は,固定ボルト44を利用して該ベッド板45を内側に固定し,かつ該第一フレーム体20の立柱組21は両側上端において,固定孔55を具えた挿入ポスト50をそれぞれ設置し,該二本の挿入ポスト50は,該サポートフレーム41の二本の固定支管42に対応して挿入して設置され,該固定ボルト43を利用して固定され,
第一フレーム体20の上端部近傍とベッド板45の下方が略同じ高さであり,
また,固定支管42は,ベッド板45に代えて,開口部が上に向かった収納槽台75を設置し,様々な物品を収納することができるものであり,
固定支管42に開口部が上に向かった収納槽台75を設置した場合に,第一フレーム体20の上端部近傍と収納槽台75が略同じ高さである,技術。」

(2)本件考案1について
本件考案1と甲1考案とを対比する。

ア-1 甲1考案の「ヘッドボード側ビーム材,ヘッドボードと反対側のビーム材,及び,当該ヘッドボード側ビーム材と当該ヘッドボードと反対側のビーム材と連結された2つの側方ビーム材によ」り構成される「矩形状のフレーム」は本件考案1の「矩形状の支持枠」に相当する。

ア-2 甲1考案の「ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍」及び「ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍」は,それぞれ,フレームの隅部分を構成するから,本件考案1の「四隅」に相当し,甲1考案の「ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍にそれぞれ2つ」配される「脚」,「ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍に2つ」配される「脚」,及び,「2つの側方ビーム材の中央部」に配される「脚」は,本件考案1の「脚部」に相当する。

そうすると,甲1考案の「ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍にそれぞれ2つの脚が配され,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍に2つの脚が配されるとともに,2つの側方ビーム材の中央部に脚が配され」ることは,本件考案1の「支持枠の四隅に,複数の脚部が配された」ことに相当する。

ア-3 甲1考案の「フレーム」及び「脚」は,上記ア-1及びア-2の対比を踏まえると,本件考案1の「矩形状の支持枠の四隅に,複数の脚部が配された」構成を備えたものであり,本件考案1の「支持台」に相当する。

イ-1 上記ア-1及びア-3を踏まえると,甲1考案の「ヘッドボード側ビーム材」は「支持台」を構成する「フレーム」の「ヘッドボード側」に位置し,甲1考案の「ヘッドボード側」は本件考案1の「ヘッド側」に相当するから,甲1考案の「ヘッドボードは,ヘッドボード側ビーム材に固定され」ることは,本件考案1の「ヘッドボード」が「該支持台のヘッド側に固定され」ることに相当する。

イ-2 甲1考案の「宮棚」における「鉛直方向上方」は本件考案1の「ヘッドボード」における「上部」に相当し,甲1考案の「携帯電話」は本件考案1の「モバイル端末」に相当し,甲1考案の「鉛直方向上方に時計や携帯電話など置けるスペースを有する宮棚であ」ることは,本件考案1の「上部には板状のモバイル端末を立て掛けるモバイルスタンドが設けられる」ことと,「上部にはモバイル端末を置けるスペースが設けられる」点で共通する。

イ-3 甲1考案の「両サイド」は,本件考案1の「側面」に相当し,甲1考案の「両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計した」ことは,「ブックシェルフ」が「両サイド」に対して雑誌や本が収まるよう陥没形成されていることといえるから,本件考案1の「側面には収納棚が陥没形成された」ことに相当する。

イ-4 甲1考案の「宮棚であり,木製であ」る「ヘッドボード」は,本件考案1の「木製で宮付き型のヘッドボード」に相当する。

ウ 上記ア-3における対比を踏まえると,甲1考案の「フレームに支持されたすのこを備え」たことは,本件考案1の「前記支持台に載置されるすのことを備え」たことと,「前記支持台に支持されたすのこを備え」る限度で共通する。

エ 甲1考案の「それぞれの前記脚」は,「ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍,及び,2つの側方ビーム材の中央部から付け外しでき」るものであって,それぞれの前記脚が「ヘッドボードと反対側のビーム材」,「ヘッドボード側ビーム材」及び「2つの側方ビーム材」により構成される「フレーム」に対して直接に,又は,少なくとも間接的に,着脱可能に連結されたものといえる。

そして,上記アー1,ア-2における対比も踏まえると,甲1考案の「それぞれの前記脚が,ヘッドボードと反対側のビーム材の両端部の近傍,ヘッドボード側ビーム材の両端部の近傍,及び,2つの側方ビーム材の中央部から付け外しでき」ることは,本件考案1の「各前記脚部は,前記支持枠に着脱可能に連結され」ることに相当する。

オ 上記ア-1に示すように,甲1考案の「側方ビーム材」は「フレーム」を構成するものであり,「それぞれの前記脚を取り外した状態」の「一方の側方ビーム材」は,本件考案1の「前記各脚部を取り外した前記支持枠」に相当するものである。
また,甲1考案の「側方ビーム材」における「鉛直方向下部端面」は本件考案1の「該支持枠の下面」に相当する。
そうすると,甲1考案の「それぞれの前記脚を取り外した状態で,一方の側方ビーム材は,床面に一方の側方ビーム材の鉛直方向下部端面が接した状態で載置され」ることは,本件考案1の「前記各脚部を取り外した前記支持枠は,床面に該支持枠の下面を接した状態で床に載置され」ることに相当する。

カ-1 甲1考案の「フレーム側の矩形の板材」は本件考案1の「矩形状の前側ボード」に,甲1考案の「フレーム側の矩形の板材」の「鉛直方向下方端部の側面」は本件考案1の「矩形状の前側ボード」の「下端部」に,甲1考案の「ヘッドボード側ビーム材」は本件考案1の「ヘッド側の枠材」に相当し,甲1考案の「鉛直方向下方端部の側面がヘッドボード側ビーム材に連結されるフレーム側の矩形の板材」と,本件考案1の「下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結されて,上端部が前記突条ストッパ部を構成する矩形状の前側ボード」とは,「下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結される矩形状の前側ボード」の点で共通する。

カ-2 上記カ-1での対比を踏まえると,甲1考案の「当該フレーム側の矩形の板材と平行に離間する,フレームと反対側に位置する板材」と,本件考案1の「該前側ボードと平行に離間して,上端部が前記端末支持板部を構成する矩形状の奥側ボード」とは,「該前側ボードと平行に離間する矩形状の奥側ボード」の点で共通する。

カ-3 上記カ-1及びカ-2での対比を踏まえると,甲1考案の「フレーム側の矩形の板材の鉛直方向上部端面」は本件考案1の「前記前側ボードの上部」に相当し,甲1考案の「フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部付近の側面」は本件考案1の「前記奥側ボードとの上部」に相当する。
そうすると,甲1考案の「フレーム側の矩形の板材の鉛直方向上部端面と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部付近の側面を連結する上方板材」は,本件考案1の「前記前側ボードの上部と前記奥側ボードの上部とを連結する上板」に相当する。

カ-4 上記カ-1及びカ-2での対比を踏まえると,甲1考案の「フレーム側の矩形の板材の鉛直方向下方端部付近の側面」は本件考案1の「前記前側ボードの下端」に相当し,甲1考案の「フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向下方端部付近の側面」は本件考案1の「前記奥側ボードとの下端」に相当するから,甲1考案の「下方板材」は本件考案1の「下板」に相当する。
そうすると,甲1考案の「フレーム側の矩形の板材の鉛直方向下方端部付近の側面と,フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向下方端部付近の側面を連結する下方板材」は,本件考案1の「前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端を連結する下板」に相当する。

カ-5 甲1考案の「側面視して矩形状の宮棚」は,本件考案1の「側面視して矩形状の板枠」に相当する。

以上のことから,本件考案1と甲1考案とは以下の点で一致し,また以下の点で相違する。なお,この点については,請求人,被請求人に異論はない(要領書(請求人)6頁3?5行,要領書(被請求人1)4頁17?19行)。

[一致点1]
「矩形状の支持枠の四隅に,複数の脚部が配された支持台と,
該支持台のヘッド側に固定されて,上部にはモバイル端末を置けるスペースが設けられるとともに,側面には収納棚が陥没形成された木製で宮付き型のヘッドボードと,
前記支持台に支持されたすのこを備える宮付きすのこベッドにおいて,
各前記脚部は,前記支持枠に着脱可能に連結され,
前記各脚部を取り外した前記支持枠は,床面に該支持枠の下面を接した状態で床に載置され,
前記ヘッドボードは,
下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結される矩形状の前側ボードと,
該前側ボードと平行に離間する矩形状の奥側ボードと,
前記前側ボードの上部と前記奥側ボードの上部とを連結する上板と,
前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端とを連結する下板とを有した側面視して矩形状の板枠で,
ある宮付きすのこベッド。」

[相違点1]
「上部にはモバイル端末を置けるスペースが設けられる」,「ヘッドボード」に関して,
本件考案1は,
「上部には板状のモバイル端末を立て掛けるモバイルスタンドが設けられるとともに」,
「前記モバイルスタンドは,前記モバイル端末のずれ落ちを防止する突条ストッパ部と,該突条ストッパ部より高さが高く,かつ傾斜状態の前記モバイル端末の上部を下方から支持する端末支持板部とを,前記突条ストッパ部の方が前記端末支持板部より手前となるように,互いに平行に離間配置したもので」,
「下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結されて,上端部が前記突条ストッパ部を構成する矩形状の前側ボードと,
該前側ボードと平行に離間して,上端部が前記端末支持板部を構成する矩形状の奥側ボードを有し」,
「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」ものであるのに対して,
甲1考案は,
「鉛直方向上方に時計や携帯電話など置けるスペースを有する」とともに,
「時計や携帯電話など置けるスペースは,前記上方板材と,前記フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部が,前記上方板材から鉛直方向上方に突出した部位で構成され,」
「鉛直方向下方端部の側面がヘッドボード側ビーム材に連結されるフレーム側の矩形の板材と,当該フレーム側の矩形の板材と平行に離間する,フレームと反対側に位置する板材と」,を有し,
「前記フレームと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部は,前記上方板材から鉛直方向上方に突出している」ものであり,
「前記下方の板材は,前記支持枠の鉛直方向下方端部付近に配置され」たものである点。

[相違点2]
「収納棚」に関して,
本件考案1は,「前記ヘッドボードの両側面を貫通して形成されたものである」のに対して,甲1考案は,「両サイドには雑誌や本が収まる」ものであるが,「両サイド」を貫通して形成されたものか不明である点。

イ 相違点の検討
[相違点1について]
(ア)甲2について
甲2には上記「(1)イ」のとおり,甲2技術が記載されていると認められる。

a 突条ストッパ部及び端末支持板部に関して
本件考案1と甲2技術とを対比すると,甲2技術の「ヘッドボード」の「前記すのこ側の板材」は本件考案1の「前側ボード」に相当し,甲2技術の「ヘッドボード」の「前記すのこと反対側に位置する板材」は本件考案1の「前側ボード」に相当し,甲2技術の「ヘッドボード」の「上方板材」は本件考案1の「上板」に相当し,甲2技術の「ヘッドボード」の「下方板材」は本件考案1の「下板」に相当する。
そうすると,甲2技術は,上記相違点1に係る本件考案1における「ヘッドボード」に関して,「前側ボードと,前側ボードと平行に離間」する「奥側ボードを有し」ているものとはいえる。

しかしながら,甲2技術の「前記すのこ側の板材の鉛直方向上方端部は,前記上方板材から鉛直方向上方に突出し」た構成が「モバイル端末のずれ落ちを防止する」こと,及び,甲2技術の「前記すのこと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部は,前記すのこ側の板材の鉛直方向上方端部よりも大きい突出長さで前記上方板材から鉛直方向上方に突出し」た構成が,「傾斜状態の前記モバイル端末の上部を下方から支持する」ことについては,甲2に記載も示唆もされていない。
そうすると,甲2技術の「前記すのこ側の板材の鉛直方向上方端部」は本件考案1の「突条ストッパ部」に相当するとはいえず,また,甲2技術の「前記すのこと反対側に位置する板材の鉛直方向上方端部」は本件考案1の「傾斜状態の前記モバイル端末の上部を下方から支持する端末支持板部」に相当するとはいえない。
したがって,甲2には,上記相違点1に係る本件考案1の「突条ストッパ部」及び「端末支持板部」に相当する構成を備えさせる点が記載されているとはいえない。

b 下板の配置に関して
甲2技術の「下方板材」は,「前記フレームの鉛直方向下方端部よりも下方に配置されている」ものであるから,甲2技術は,上記相違点1に係る本件考案1の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」ことに相当する構成を備えたものでもない。
そして,甲2において,上記相違点1に係る本件考案1の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」ことに相当する構成を備えさせることを示唆する他の記載もない。

c 以上から,甲1考案に甲2技術を適用しても,上記相違点1に係る本件考案1の構成に至らない。

(イ)甲3について
甲3には上記「(1)ウ」のとおり,甲3技術が記載されていると認められる。

a 突条ストッパ部及び端末支持板部に関して
本件考案1と甲3技術とを対比すると,甲3技術の「ヘッドボード本体21」及び「ヘッドボード20」は本件考案1の「ヘッドボード」に相当し,甲3技術の「前板21a」は本件考案1の「前側ボード」に相当し,甲3技術の「後板21b」は本件考案1の「奥側ボード」に相当するから,甲3技術は,上記相違点1に係る本件考案1における「ヘッドボード」に関して,「前側ボードと,前側ボードと平行に離間」する「奥側ボードを有し」ているものといえる。
また,甲3技術は「棚板22が第二位置P2に位置決めされている場合,雑誌程度の大きさを有する方形状の物品を立て掛けて収納する空間を第二枠部W2内に形成することができ」るものであり,「前板21a,左側板21c,後板21b,中側板21e,第一支持板21fおよび天板21gによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2が構成され」るところ,例えばタブレット型の端末等,モバイル端末も雑誌程度の大きさを有する方形状の物品を含むものといえるから,甲3技術の「ヘッドボード本体21」及び「ヘッドボード20」の「前板21a,左側板21c,後板21b,中側板21e,第一支持板21fおよび天板21gによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2が構成され」たものは,本件考案1の「板状のモバイル端末を立て掛けるモバイルスタンド」に相当し,甲3技術の「前板21a」の上端部分は,上記方形状の物品のずれ落ちを防止するものといえるから,上記相違点1に係る本件考案1の「モバイル端末のずれ落ちを防止する突条ストッパ部」に相当し,甲3技術の「後板21b」の上端部と,上記相違点1に係る本件考案1の「傾斜状態の前記モバイル端末の上部を下方から支持する端末支持板部」とは,少なくとも「傾斜状態の前記モバイル端末の上部を支持する端末支持板部」である点で共通するとまではいえる。

b 下板の配置に関して
上記aに示すとおり,甲3技術は,上記相違点1に係る本件考案1における「前側ボード」に相当する「前板21a」と,上記相違点1に係る本件考案1における「前側ボードと平行に離間」する「奥側ボード」に相当する「後板21b」を有しているものといえる。
しかしながら,甲3には,「前板21a」の下端部と「後板21b」の下端とを連結する,本件考案1の「下板」に相当する構成を備えることの明示的な記載がない。
また,仮に,甲3技術が「前板21a」の下端部と「後板21b」の下端とを連結する本件考案1の「下板」に相当する構成を備え,さらに「ボトム部10」が本件考案1の「支持枠」に相当する構成を備えたものとしても,甲3の図1には,本件考案1の「支持台」に相当する「ボトム部10」の上端部が,「後板21b」の下端よりも低い高さに位置することが示されるに留まるから,甲3に,上記相違点1に係る本件考案1の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」ことに相当する構成を備えさせる点が記載されているとはいえない。

c 甲1考案への甲3技術の適用について
甲3技術は,甲1考案が具備している本件考案1の「ヘッドボード」の「側面には収納棚が陥没形成された」ことに相当する構成を具備するものでないから,甲1考案と甲3技術とは「ヘッドボード」の構成が異なるものであって,甲1考案に,甲3技術を適用する動機付けがあるとはいえない。
また,甲3技術は,「前板21a,左側板21c,後板21b,中側板21e,第一支持板21fおよび天板21gによって,上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2が構成され」る構成を含むものであるところ,甲1考案の「両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計したもの」である構成は,甲3技術の「上下方向に貫通する断面長方形状の第二枠部W2」との構成を適用することを配置上,阻害するといえるから,甲1考案に,甲3技術を適用することには,阻害要因があるともいえる。

d 以上から,甲1考案に,甲3技術を適用する動機付けはなく,阻害要因があるともいえる。また,甲1考案に甲3技術を適用しても,上記相違点1に係る本件考案1の構成に至らない。

(ウ)甲4?5について
甲4には,上記「(1)エ」のとおり甲4技術の記載が認められ,甲5には,上記「(1)オ」のとおり甲5技術の記載が認められる。

a 突条ストッパ部及び端末支持板部に関して
上記相違点1に係る本件考案1の「突条ストッパ部」及び「端末支持板部」に相当する構成を備えさせる点は,甲4?5のいずれにも記載がない。

b 下板の配置に関して
甲4?5には,上記相違点1に係る本件考案1の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」ことに相当する構成を備えさせる点の記載もない。

c 以上から,甲1考案に甲4又は5技術を適用しても,上記相違点1に係る本件考案1の構成に至らない。

(エ)甲6について
甲6には,上記「(1)カ」のとおり甲6技術の記載が認められる。

a 突条ストッパ部及び端末支持板部に関して
上記相違点1に係る本件考案1の「突条ストッパ部」及び「端末支持板部」に相当する構成を備えさせる点は,甲6に記載がない。

b 下板の配置に関して
(a)甲6技術の「ヘッドボードフレーム構造40」の「ベッド板45」は甲6の図1を見ても明らかなように,1枚の板であるから,当該「ベッド板45」は,本件考案1の「前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端とを連結する下板」に相当する構成を備えたものとはいえない。

(b)甲6技術の「開口部が上に向かった収納槽台75」について,甲6の図5から,「収納槽台75」が「該第一フレーム体20」側の板状部材(以下,単に「近傍側板状部材」ということもある。),「該第一フレーム体20」と反対側の板状部材(以下,単に「反対側板状部材」ということもある。),両板状部材の長手方向両側面をそれぞれつなぐ両側の板状部材から構成される略矩形の構造体を具備することが示されているといえ,「収納槽台75」は「様々な物品を収納することができ」,「開口部が上に向かった」ものであるから,当該「収納槽台75」の上記略矩形の構造体内に「様々な物品を収納する」ための構造を具備したものといえる。

そして,甲6技術の「収納槽台75」の上記近傍側板状部材と本件考案1の「下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結される矩形状の前側ボード」とは「前側ボード」である点で共通し,甲6技術の「収納槽台75」の上記反対側板状部材と本件考案1の「該前側ボードと平行に離間する矩形状の奥側ボード」とは,「該前側ボードと平行に離間する奥側ボード」である点で共通するから,甲6技術の「収納槽台75」は,上記相違点1に係る本件考案1の「前側ボード」及び「奥側ボード」と共通する構成を具備したものとまではいえる。

一方,甲6技術に記載される「ベッド板45」及び「収納槽台75」は,上記相違点1に係る本件考案1の「前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端とを連結する下板」に相当する構成を備えたものとはいえない。

c 甲1考案への甲6技術の適用について
(a)甲1考案の「ヘッドボード」は,「ヘッドボード側ビーム材に固定され,鉛直方向上方に時計や携帯電話など置けるスペースを有する宮棚であり,木製であって,両サイドには雑誌や本が収まるブックシェルフを設計したものであ」るから,甲6技術の「ヘッドボードフレーム構造40」の「ベッド板45」又は「開口部が上に向かった収納槽台75」と,機能・構造が異なるものである。

(b-1)甲6技術の「ベッド板45」は,上記b(a)にも示したように一枚の板であるから,そもそも本件考案1の「前側ボード」及び「奥側ボード」に相当する構成を具備したものでない。

また,甲6技術の「固定支管42」に,「ベッド板45を内側に固定し」た構成に代えて「収納槽台75を設置した場合」において,「固定支管42」には,「内側」に「収納槽台75」が「固定し」たものとなるところ,「固定支管42」には,「収納槽台75」の上記反対側板状部材が固定され,当該「固定支管42」が「ベッドフレーム10」の「第一フレーム体20」に設置される「挿入ポスト50」に「固定され」ることとなる。

(b-2)そして,甲6技術の「第一フレーム体20」は本件考案1の「支持枠のヘッド側の枠材」に相当するところ,上記(a)及び(b-1)を踏まえると,甲6技術の「第一フレーム体20」は,本件発明1の「前側ボード」に相当する構成に連結されるものとはいえず,また,「固定支管42」や「挿入ポスト50」を固定時に介在するものである。
そうすると,甲6技術の「ベッド板45」又は「収納槽台75」を構成要素とする「ヘッドボードフレーム構造40」は,本件考案1の「前側ボード」の「下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結され」ることに相当する構成を備えた甲1考案の「ヘッドボード」と,本件発明1の「支持枠のヘッド側の枠材」に相当する構成の連結対象が異なるものといえる。

(b-3)そして,上記「(1)カ」に示す【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】に「該ヘッドボードフレーム構造は該ベッドフレームの一方の側のフレーム体に設置され,該ヘッドボードフレーム構造は2本のサポートフレーム及びベッド板により構成され,該二本のサポートフレームは該ベッド板を内側に固定し,また,該フレーム体の立柱組両側上端には固定孔を具えた挿入ポストをそれぞれ延伸し,該二本の挿入ポストを該サポートフレームの二本の固定支管に挿入して固定し」と記載され,【請求項6】に「前記ヘッドボードフレーム構造のベッド板上には収納槽台を設置する」と記載されている。
上記記載の「ベッド板」は甲6技術の「ベッド板45」の実施態様に対応し,以下それぞれ,前者の「収納槽台」は後者の「収納槽台75」,前者の「サポートフレーム」は後者の「サポートフレーム41」,前者の「固定支管」は後者の「固定支管42」,前者の「ベッドフレーム」は後者の「ベッドフレーム10」,前者の「フレーム体」は後者の「第一フレーム体20」,前者の「挿入ポスト」は後者の「挿入ポスト50」の実施態様にそれぞれ対応する。
そうすると,甲6技術の「ベッド板45」又は「収納槽台75」は,当該「ベッド板45」又は「収納槽台75」を「内側に固定し」た「サポートフレーム41」の「固定支管42」による,「ベッドフレーム10」の「第一フレーム体20」の「挿入ポスト50」への固定を前提とするものといえる。

(c)上記(a)に示すとおり甲1考案の「ヘッドボード」は甲6技術の「ヘッドボードフレーム構造40」と機能・構造が異なり,上記(b-2)に示すとおり,甲6技術の「ヘッドボードフレーム構造40」は,甲1考案の「ヘッドボード」と,本件発明1の「支持枠のヘッド側の枠材」に相当する構成の連結対象が異なるものといえるから,甲1考案に甲6技術を適用する動機付けはない。

また,上記a,bに示すとおり甲6技術は上記相違点1に係る本件考案1の構成を備えたものとはいえず,また,上記(b-2)及び(b-3)に示すとおり甲6技術は,甲1考案の「ヘッドボード」と,本件発明1の「支持枠のヘッド側の枠材」に相当する構成の連結対象が異なる構成を前提としたものであるから,仮に甲1考案に甲6技術を適用しても,本件考案1に至らない。

(オ)請求人の主張について
請求人の上記相違点1に関する主張について検討する。

a 突条ストッパ部及び端末支持板部に関して
請求人は,以下の旨を主張する(以下「主張A-1」,「主張A-2」という。)。

[主張A-1]
甲2の写真○3は「すのこベッド」に関し,写真○3には本件登録実用新案の構成Cの「前記モバイル端末のずれ落ちを防止する突条ストッパ部」を有する「モバイルスタンド」が開示されている。さらに「該突条ストッパ部より高さが高く,かつ傾斜状態の前記モバイル端末の上部を下方から支持する端末支持板部とを,前記突条ストッパ部の方が前記端末支持板部より手前となるように,互いに平行に離間配置した」ことが開示されている。
引用考案(甲1)も甲2も共に「モバイルスタンドを有する宮付きすのこベッド」に関するものであり,引用考案の「モバイルスタンド」構成に,甲2の「モバイルスタンド」を選択することは,当業者がきわめて容易に想到し得たことである。
また,甲3の図1には「モバイル端末のずれ落ちを防止する前板21aと該前板21aより高さが高い後板21bとを,前記前板21aの方が前記後板21bより手前になるように,互いに平行に離間配置したことが開示」されている。
引用考案も甲3も共に「モバイルスタンドを有する宮付きベッド」に関するものであり,引用考案の「モバイルスタンド」構成に,甲3の「モバイルスタンド」を選択することは,当業者がきわめて容易に想到し得たことである(請求書7頁下から6行?8頁11行)。

[主張A-2]
本件考案の「前記モバイル端末のずれ落ちを防止する突条ストッパ部」については,甲2の写真○3と甲3の図1に記載されている。
甲1考案も甲2,甲3も共に「モバイルスタンドを有する宮付きすのこベッド」に関するものであり,甲1考案の「モバイルスタンド」の構成に,甲2,甲3の「モバイルスタンド」を選択することは,当業者がきわめて容易に想到し得たことである(要領書(請求人)8頁5行?8頁15行)。

しかしながら,上記「(ア)b」に示すとおり,甲2には,上記相違点1に係る本件考案1の「突条ストッパ部」及び「端末支持板部」に相当する構成を備えさせる点が記載されているとはいえない。
また,上記「(イ)c」に示すとおり,甲1考案に,甲3技術を適用する動機付けはなく,阻害要因があるといえる。

したがって,上記主張A-1及び主張A-2は採用することができない。

b 下板の配置について
請求人は,以下の旨を主張する(以下「主張B」という。)。

[主張B]
訂正後の本件考案1の一番の特徴である「(ヘッドボードの)下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置」の構成は,甲6に記載されている。
具体的には,甲6の図1?5に,訂正後の本件考案1の特徴である「(ヘッドボードの)下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置」の構成が記載されている。
図1と図2と,【0008】から考えると,第一フレーム体20の立柱組21に設置された挿入ポスト50に,ベッド板45に固定されたサポートフレーム41の二本の固定支管42を挿入し,固定ボルト43で固定すると「ベッド板45の下板は,第1フレーム20の上端部と同じ高さに配置」されることになり,「ベッド板45」は,本件考案1の「ヘッドボード」に該当し,第1フレーム20は,本件考案1の「支持枠」に該当する。
また,【0008】の図5の説明では「固定支管42上に開口部が上に向かった収納槽台75を設置し,様々な物品を収納することができる。」ことも記載されており,これは,本件考案1の「宮付き型のヘッドボード」に該当する。
ここで,甲1考案と甲6は共に「宮付き型ヘッドボードを有する宮付きすのこベッド」に関するものであるから,甲1考案の「ヘッドボードとベッドフレーム」の構成に,甲6の「ベッド板と第1フレーム」の構成を選択することは,当業者がきわめて容易に想到し得たことである(要領書(請求人)6頁8行?8頁4行)。

しかしながら,上記「(エ)b」に示すとおり,甲6には,上記相違点1に係る本件考案1の「前記前側ボードの下端部と,前記奥側ボードの下端とを連結する下板」に相当する構成の記載がない。また,上記「(エ)c」に示すとおり,甲1考案に甲6技術を適用する動機付けはなく,仮に甲1考案に甲6技術を適用しても,本件考案1に至らないものである。

したがって,上記主張Bは採用することができない。

(エ)小括
以上のとおり,甲1考案に甲3,6技術を適用する動機付けがない。また,甲2?6には上記相違点1に係る本件考案1を具備させることの記載もないから,甲1考案に甲2?6技術を適用しても,上記相違点1に係る本件考案1の構成に至るものではない。

[相違点2について]
甲2技術の「ヘッドボード」が「側面に雑誌・本が収納可能で左右どちらからも出し入れ可能なオープンスペース形成がされ」ることは,本件考案1の「収納棚」が「前記ヘッドボードの両側面を貫通して形成されたものである」ことに相当する構成を具備したものといえる。
また,甲4技術の「ヘッドボードのサイド側に収納スペースを設け」,「収納部は反対側まで貫通型」であることは,本件考案1の「ヘッドボード」の「収納棚」が「前記ヘッドボードの両側面を貫通して形成されたものである」ことに相当する。

甲1考案と甲2技術又は甲4技術はいずれも,側面に収納棚が陥没形成されたヘッドボードを備えたベッドである点で共通するから,甲1考案において甲2技術又は甲4技術のヘッドボードの態様を参考に,上記相違点2における本件考案1の構成を具備させることは,当業者が適宜になし得た事項といえる。

ウ まとめ
以上のとおり,甲3,6技術については甲1考案に適用する動機付けもなく,甲1考案に甲2?6技術を適用しても,上記相違点1に係る本件考案1の構成に至るものではない。したがって,本件考案1は,甲1考案及び甲2?6技術から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえないから,その登録が実用新案法3条2項の規定に違反して実用新案登録されたものとすることはできない。

(3)本件考案2について
本件考案2は,本件考案1の構成をすべて含むものであるから,本件考案1と同様の理由により,当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえず,その登録が実用新案法3条2項の規定に違反して実用新案登録されたものとすることはできない。

2 無効理由3(実用新案法5条6項2号違反)について
(1)明確性要件の判断について
特許法36条6項2号は,特許請求の範囲の記載において,特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨を規定する。同号がこのように規定した趣旨は,特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には,特許発明の技術的範囲,すなわち,特許によって付与された独占の範囲が不明となり,第三者に不測の不利益を及ぼすことがあるので,そのような不都合な結果を防止することにある。
そして,特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載のみならず,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるかという観点から判断されるべきである。(例えば,知財高裁平成20年(行ケ)第10107号,同平成29年(行ケ)第10138号等参照。)

このことは,実用新案法第5条6項2号明確性要件の判断にも当然あてはまる。

(2)「上端部」との用語の語義について
ア 本件考案1及び2の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」との上記構成要件(M)における「上端部」という語は,「上」と「端」と「部」が接合された用語といえる。ここで,「上」の語義は「物の上部」(広辞苑第六版)であり,「端」(はし)の語義は「物の末の部分。先端。」(広辞苑第六版)であり,「部」の語義は,「分けること。分けた一区分。」(広辞苑第六版)であるから,「端部」は,「物の末の部分として分けた一区分」と理解でき,「上端部」は,「物の上部の末の部分として分けた一区分」と理解できる。

イ 本件実用登録考案の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の記載について
(ア)本件明細書の考案の詳細な説明には,「端部」を含む語について以下の記載がある。
「【0011】
“すのこ(床板,敷板)”としては,例えば,多数枚の板材の幅方向の両端部を,一対のベルトにより連結したものを採用することができる。その他,各ベルトに代えて,一対の細長い連結板材を使用したものでもよい。・・・(後略)・・・」
「【0016】
請求項3に記載の考案は,前記各脚部を取り外した前記支持枠は,床面に該支持枠の下面を接した状態で床に載置され,前記ヘッドボードは,下端部が前記支持枠のヘッド側の枠材に連結されて,上端部が前記突条ストッパ部を構成する矩形状の前側ボードと,該前側ボードと平行に離間して,上端部が前記端末支持板部を構成する矩形状の奥側ボードと,前記前側ボードの上部と前記奥側ボードとの上部とを連結する上板と,前記前側ボードの下端と,前記奥側ボードとの下端とを連結する下板とを有した側面視して矩形状の板枠で,前記下板の下面は,前記支持枠の下面より上方に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の宮付きすのこベッドである。」
「【0020】
また,請求項3に記載の考案によれば,脚部が存在しない支持枠(支持台)を,支持枠の下面が床面に当接状態で床に直接載置した場合,ヘッドボードの下板は,床面より上方に配置される。そのため,例えば,使用者が上半身のみを起こしてヘッドボードに凭れかかったとき,側面視して矩形状の板枠からなるヘッドボードには,支持枠のヘッド側の枠材と連結した前側ボードの下端部を支点として,外方(奥方向)への大きな曲げ応力が作用する。」
「【0022】
しかしながら,請求項3の考案では,ヘッドボードの下板が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボードが,前側ボードの下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボードと下板との接合部分が床面に接することはない。・・・(後略)・・・」
「【0026】
以下,これらの構成部品を具体的に説明する。
支持枠11は,何れも無垢材(パイン材)からなるフット側枠材18と,ヘッド側枠材19と,右側枠材20と,左側枠材21とを矩形枠状に連結したものである。フット側枠材18の長さ方向の中間部と,ヘッド側枠材19の長さ方向の中間部とには,細長い金属製の補強枠材22が架け渡されている。また,左,右側枠材20,21の互いに対峙した各辺部には,各すのこ板(横板)17aの長さ方向の端部を支持するための左右一対の長尺なフランジ(図示せず)がそれぞれ突設されている。・・・(後略)・・・」
「【0027】
・・・(前略)・・・
すのこ17は,多数枚のすのこ板17aの幅方向の両端部を,左右一対のベルトによりそれぞれ連結したものである。」
「【0028】
次に,図1および図2を参照して,前記モバイルスタンド14について説明する。
モバイルスタンド14は,スマートフォン23のずれ落ちを防止する高さ1cmの突条ストッパ部24と,突条ストッパ部24より高さが高く(高さ10cm),かつ傾斜状態のスマートフォン23の上端部を下方から支持する端末支持板部26とを,突条ストッパ部24の方が端末支持板部26より手前となるように,互いに平行に7cmだけ離間配置したものである。
・・・(後略)・・・」
「【0029】
図2に示すように,ヘッドボード16の具体的な構成は,下端部が支持枠11のヘッド側枠材19に連結されて,上端部が突条ストッパ部24を構成する矩形状の前側ボード25と,前側ボード25と平行に離間して,上端部が端末支持板部26を構成する矩形状の奥側ボード27と,前側ボード25の上部と奥側ボード27との上部とを連結する上板28と,前側ボード25の下端と,奥側ボード27との下端とを連結する下板29とを有した,側面視して縦長矩形状の板枠である。・・・(後略)・・・」
「【0030】
・・・(前略)・・・その後,左,右側枠材20,21の対峙する各フランジに,展開状態の2枚のすのこ17の幅方向の両端部をそれぞれ載置する。これにより,各すのこ17が支持台13に敷設される。」
「【0031】
・・・(前略)・・・具体的には,突条ストッパ部24と上板28との連結部分の内側コーナーに,スマートフォン23の下端部を当接し,この状態でスマートフォン23の上端部の下面(裏面)を端末支持板部26の上端部に載置する。・・・(後略)・・・」
「【0036】
・・・(前略)・・・そのため,例えば,使用者が上半身のみを起こしてヘッドボード16に凭れかかったとき,ヘッドボード16には,支持枠11のヘッド側枠材19と連結した前側ボード25の下端部を支点として,外方(奥方向)への大きな曲げ応力が作用する。・・・(後略)・・・」
「【0037】
しかしながら,この実施例1では,ヘッドボード16の下板29が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボード16が,前側ボード25の下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボード27と下板29との接合部分が床面に接することはない(図4(a))。・・・(後略)・・・」

(イ)
a 【0011】には,「“すのこ(床板,敷板)”」を構成する「多数枚の板材の幅方向の両端部」は,「一対のベルトにより連結したもの」であることが示され,【0027】にも,「すのこ17は,多数枚のすのこ板17aの幅方向の両端部を,左右一対のベルトによりそれぞれ連結したものである」ことが示されている。
また,【0026】には,「支持枠11の」「左,右側枠材20,21の互いに対峙した各辺部に」,「各すのこ板(横板)17aの長さ方向の端部を支持するための左右一対の長尺なフランジ(図示せず)がそれぞれ突設されている」ことが示され,【0030】には「左,右側枠材20,21の対峙する各フランジに,展開状態の2枚のすのこ17の幅方向の両端部をそれぞれ載置する」ことが示されている。

b 上記aに示す「“すのこ(床板,敷板)”」を構成する「多数枚の板材の幅方向の両端部」,「多数枚のすのこ板17aの幅方向の両端部」はいずれも,幅方向に寸法を有する「ベルト」により連結されるものである。
また,上記(ア)に示す「各すのこ板(横板)17aの長さ方向の端部」,「展開状態の2枚のすのこ17の幅方向の両端部」はいずれも,幅方向に寸法を有する「フランジ」に「支持」又は「載置」されるものである。
そうすると,「“すのこ(床板,敷板)”」を構成する「多数枚の板材の幅方向の両端部」,「多数枚のすのこ板17aの幅方向の両端部」,「各すのこ板(横板)17aの長さ方向の端部」,「展開状態の2枚のすのこ17の幅方向の両端部」はいずれも,それぞれの部材の末の部分として分けた一区分と理解できる。
したがって,これらの記載における「(両)端部」なる用語は,「物の(両方の)末の部分として分けた一区分」として,上記アに示す語義に沿って用いられたものといえる。

(ウ)
a 【0016】には,「前記ヘッドボード」が有する「前側ボード」の「上端部」が「前記突条ストッパ部を構成する」ことが示され,「奥側ボード」の「上端部」が「前記端末支持板部を構成する」ことが示されており,【0029】には,「ヘッドボード16」が有する「前側ボード25」の「上端部」が「突条ストッパ24を構成する」ことが示され,「奥側ボード27」の「上端部」が「端末支持板部26を構成する」ことが示されている。

b 上記aに示す記載における「前記ヘッドボード」が有する「前側ボード」の「上端部」及び「奥側ボード」の「上端部」は,それぞれ,「突条ストッパ部」及び「端末支持板部」を構成する「前側ボード」の上部の末の部分として分けた一区分と理解できる。
また,上記(ア)に示す記載における「ヘッドボード16」が有する「前側ボード25」の「上端部」及び「奥側ボード27」の「上端部」は,それぞれ,「突条ストッパ部24」及び「端末支持板部26」を構成する「前側ボード25」の上部の末の部分として分けた一区分と理解できる。
よって,これらの記載における「上端部」なる用語は,「物の上部の末の部分として分けた一区分」として,上記アに示す語義に沿って用いられたものといえる。

(エ)
a 【0016】には,「前記ヘッドボード」が有する「前側ボード」の「下端部」が,「前記支持枠のヘッド側の枠材に連結され」ることが示されており,【0029】には,「ヘッドボード16」が有する「前側ボード25」の「下端部」が,「支持枠11のヘッド側枠材19に連結され」ることが示されている。
また,【0020】には「ヘッドボードには,支持枠のヘッド側の枠材と連結した前側ボードの下端部を支点として,外方(奥方向)への大きな曲げ応力が作用する」ことが示され,【0022】には,「ヘッドボードが,前側ボードの下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボードと下板との接合部分が床面に接することはない」ことが示され,【0036】には「ヘッドボード16には,支持枠11のヘッド側枠材19と連結した前側ボード25の下端部を支点として,外方(奥方向)への大きな曲げ応力が作用する」ことが示され,【0037】には,「ヘッドボード16が,前側ボード25の下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボード27と下板29との接合部分が床面に接することはない」ことが示されている。

b 上記aに示す記載において,「前記ヘッドボード」が有する「前側ボード」の「下端部」,及び,「ヘッドボード16」が有する「前側ボード25」の「下端部」は,それぞれ,上下方向に幅を有する「前記支持枠のヘッド側の枠材」,「支持枠11のヘッド側枠材19」と連結されるものである。
そうすると,「前記ヘッドボード」が有する「前側ボード」の「下端部」,及び,「ヘッドボード16」が有する「前側ボード25」の「下端部」は,それぞれの部材の末の部分として分けた一区分と理解できるから,これらの記載における「(下)端部」なる用語は,「物の(下部の)末の部分として分けた一区分」として,上記アに示す語義に沿って用いられたものといえる。

(オ)
a【0028】には,「端末支持板部26」が「傾斜状態のスマートフォン23の上端部を下方から支持する」ことが示され,【0031】には,「突条ストッパ部24と上板28との連結部分の内側コーナーに,スマートフォン23の下端部を当接し,この状態でスマートフォン23の上端部の下面(裏面)を端末支持板部26の上端部に載置する」ことが示されている。

b 上記aに示す「傾斜状態のスマートフォン23の上端部」は,「端末支持板部26」が「下方から支持する」ものであり,「下面(裏面)を端末支持板部26の上端部に載置する」ものであるところ,スマートフォン23において支持及び載置される領域は上下方向に幅を有するスマートフォン23の上部の末の部分として分けた一区分に含まれることは技術的に明らかであるから,「傾斜状態のスマートフォン23の上端部」はスマートフォン23の上部の末の部分として分けた一区分と理解できる。
また,上記(ア)に示す「スマートフォン23の下端部」は「突条ストッパ部24と上板28との連結部分の内側コーナーに」当接するものであるところ,「突条ストッパ部24と上板28との連結部分の内側コーナーに」当接する部位がスマートフォン23の下部の末の部分として分けた一区分に含まれることは技術的に明らかであるから,「スマートフォン23の下端部」はスマートフォン23の下部の末の部分として分けた一区分と理解できる。
よって,これらの記載における「上端部」なる用語は,「物の上部の末の部分として分けた一区分」として,上記アに示す語義に沿って用いられたものといえる。

(カ)以上から,本件明細書の考案の詳細な説明における記載を踏まえても,本件考案1及び2における「端部」は,「物の末の部分として分けた一区分」と理解でき,「上端部」は,「物の上部の末の部分として分けた一区分」と理解できる。

ウ 上記ア及びイから,本件考案1及び2の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」との上記構成要件(M)における「上端部」という語は,「物の上部の末の部分として分けた一区分」と解するのが相当である。

(3)本件実用新案登録の願書に添付された図面(以下「本件図面」ということもある。)として,以下が示されている。




(4)検討
以上を踏まえて請求項1及び2に係る考案につき検討する。

上記「(2)ア」に示すように,「上端部」という語義は,「物の上部の末の部分として分けた一区分」と理解できるところ,本件考案1及び2の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」との上記構成要件(M)の「上端部」は,「前記支持枠の上部の末の部分として分けた一区分」と解するのが相当である。

また,上記下板には厚みがあるところ,本件考案1及び2の実施例1を示す上記(3)に示した図4(a)には,下板29全体が,上下方向に見て支持枠11の上端近傍,すなわち,支持枠11の上部の末の部分として分けた一区分の高さ範囲に位置することが示されており,「上端部」の上記語義を踏まえると,「下板29」全体の高さ方向の範囲は,「支持枠11」の「上端部」の高さ方向の範囲に含まれているといえる。

そして,当該図4(a)に示される事項も踏まえると,上記構成要件(M)は,「下板」全体の高さ方向の範囲と,「支持枠」の「上端部」という,「物の上部の末の部分として分けた一区分」の高さ方向の範囲を特定し,それぞれの高さ範囲同士の異同を特定したものと理解できる。

したがって,上記構成要件(M)の記載が,本件明細書の記載及び本件図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎としても,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。また,本件考案1及び2のその余の構成についても,記載が不明確であるとはいえない。

(5)請求人の主張について
請求人は,「『前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された』との記載では,下板のどの部分が支持枠の上端部と同じ高さに配置されているのかが不明確である。当然のことながら下板には厚みがあるから,下板のどの部分(例えば,上面や下面等)が支持枠の上端部と同じ高さなのかが明示されなければ,請求項1で特定される考案が不明確である。請求項1を引用する請求項2も同様である。」と主張する(上申書(請求人)2頁18行?3頁10行)。

しかしながら,上記(4)で述べたように,上記構成要件(M)の「上端部」は,「前記支持枠の上部の末の部分として分けた一区分」と解するのが相当であり,本件図面に示される事項も踏まえると,上記構成要件(M)は,「下板」全体の高さ方向の範囲と,「支持枠」の「上端部」という,「物の上部の末の部分として分けた一区分」の高さ方向の範囲を特定し,それぞれの高さ範囲同士の異同を特定したものと理解できる。
そうすると,上記構成要件(M)の記載は,請求人の上記主張のように「下板のどの部分(例えば,上面や下面等)が支持枠の上端部と同じ高さなのか」を明示せずとも,本件明細書の記載及び本件図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎としても,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。

したがって,請求人の当該主張は採用することができない。

(6)小括
以上のとおりであるから,本件考案1及び2は,その登録が実用新案法5条6項2号の規定に違反して実用新案登録されたものとすることはできない。

3 無効理由4(実用新案法5条6項1号違反)について
(1)明細書のサポート要件の判断について
特許請求の範囲の記載が,特許法36条6項1号に係る規定(いわゆる「明細書のサポート要件」)に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。(知財高裁特別部判決平成17年(行ケ)10042号参照。)

この判断基準は,実用新案法5条6項1号の明細書のサポート要件の判断基準にも当然あてはまる。

(2)本件明細書の記載について
本件考案1及び2の課題及び本件考案1及び2の特に構成要件(M)に関連して,本件明細書には以下の記載がある。
「【0021】
仮に,ヘッドボードの下板の下面が,支持枠の下面と同一高さであれば,このヘッドボードの曲げによって奥側ボードと下板との接合部分(角部分)が床面に強く押し付けられ,この角部分に応力が集中する。そのため,例えば,このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものの場合には,この応力集中を原因として,矩形状の板枠であるヘッドボードが変形したり,最悪の場合,崩壊するおそれがあった。
【0022】
しかしながら,請求項3の考案では,ヘッドボードの下板が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボードが,前側ボードの下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボードと下板との接合部分が床面に接することはない。その結果,このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものであっても,上記角部分への応力集中を原因としたヘッドボードの変形や,ボードの崩壊は発生しない。」
「【0026】
以下,これらの構成部品を具体的に説明する。
支持枠11は,何れも無垢材(パイン材)からなるフット側枠材18と,ヘッド側枠材19と,右側枠材20と,左側枠材21とを矩形枠状に連結したものである。フット側枠材18の長さ方向の中間部と,ヘッド側枠材19の長さ方向の中間部とには,細長い金属製の補強枠材22が架け渡されている。また,左,右側枠材20,21の互いに対峙した各辺部には,各すのこ板(横板)17aの長さ方向の端部を支持するための左右一対の長尺なフランジ(図示せず)がそれぞれ突設されている。支持枠11の四隅付近の下面には,それぞれフェルトが貼着されている。これにより,脚部12を取り外したロースタイルでのベッド使用時に,支持枠11により床を傷つけにくい。」
「【0029】
図2に示すように,ヘッドボード16の具体的な構成は,下端部が支持枠11のヘッド側枠材19に連結されて,上端部が突条ストッパ部24を構成する矩形状の前側ボード25と,前側ボード25と平行に離間して,上端部が端末支持板部26を構成する矩形状の奥側ボード27と,前側ボード25の上部と奥側ボード27との上部とを連結する上板28と,前側ボード25の下端と,奥側ボード27との下端とを連結する下板29とを有した,側面視して縦長矩形状の板枠である。上板28には,スマートフォン23の電源を確保するために,ごみの侵入を防止するスライド式コンセントが設けられている。このとき,下板29の下面は,支持枠11の下面より8cmほど上方に配置されている。各ボード25,27および上,下板28,29の板厚は,10mmである。」
「【0035】
例えば,2個の分割脚部12a,12bを連結した脚部12を用いるハイスタイル(床からすのこ17の上面までの高さが35cm)の場合には,ベッド10の下スペースに,衣類等の荷物を入れた収納ボックスを収納することができる(図3(a)を参照)。また,各分割脚部12aを外して,分割脚部12bのみからなる脚部12を用いるミドルスタイル(床からすのこ17の上面までの高さが22cm)の場合には,ソファに座るようにベッド10に腰掛けることができる(図3(b)を参照)。さらに,脚部12を全て取り除いたロースタイル(床からすのこ17の上面までの高さが9.5cm)の場合には,ベッド10に座って足を伸ばすことができる(図3(c)を参照)。床からの高さが低いため,今まで床や畳に布団を敷いて寝ていた使用者にとって,違和感が小さいベッド10となる。しかも,高齢者などがベッド10から転落しても怪我をしにくい。」
「【0036】
また,ここでは,脚部12が存在しない支持枠11を,支持枠11の下面が床面に当接状態で床に直接載置した場合,ヘッドボード16の下板29が,床面より上方に配置されるように構成している。そのため,例えば,使用者が上半身のみを起こしてヘッドボード16に凭れかかったとき,ヘッドボード16には,支持枠11のヘッド側枠材19と連結した前側ボード25の下端部を支点として,外方(奥方向)への大きな曲げ応力が作用する。
仮に,従来のようにヘッドボード16の下板29の下面が,支持枠11の下面と同一高さであれば,このヘッドボード16の曲げによって奥側ボード27と下板29との接合部分(角部分)が床面に強く押し付けられ,この角部分aに応力が集中する(図4(b))。そのため,例えば,このベッド10が,経年劣化等によってガタツキが大きいものの場合には,この応力集中を原因とし,矩形状の板枠であるヘッドボード16が変形したり,最悪の場合,崩壊するおそれがあった。
【0037】
しかしながら,この実施例1では,ヘッドボード16の下板29が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボード16が,前側ボード25の下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボード27と下板29との接合部分が床面に接することはない(図4(a))。その結果,このベッド10が,ガタツキの大きいものであっても,上記角部分aへの応力集中を原因としたヘッドボード16の変形や,このボード16の崩壊は発生しない。
また,このようにヘッドボード16の下板29と床面との間にスペースが存在するため,このスペースでの通気性を高めることもできる。
なお,実施例1では,シングルサイズの宮付きすのこベッド10を例としたが,これに限定されない。例えば,この宮付きすのこベッド10を2つ並列して,キングサイズのものとしてもよい。この場合,各収納棚15が連通することで,見かけ上,キングサイズのヘッドボード16の内部空間に,2倍の長さの長尺な収納棚15が形成される。」

(3)検討
以上を踏まえて検討する。

ア 本件考案が,考案の詳細な説明の記載や示唆,当業者が出願時の技術常識から当業者が当該考案の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かについて
(ア)本件考案1及び2の課題について
上記(2)の【0021】及び【0036】から,本件考案1及び2の課題は,「ヘッドボードの下板の下面が,支持枠の下面と同一高さであれば,このヘッドボードの曲げによって奥側ボードと下板との接合部分(角部分)が床面に強く押し付けられ,この角部分に応力が集中する」ため,「例えば,このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものの場合には,この応力集中を原因として,矩形状の板枠であるヘッドボードが変形したり,最悪の場合,崩壊するおそれがあった」ことであると解される。

(イ)上記構成要件(M)の作用について
上記(2)の【0022】に「ヘッドボードの下板が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボードが,前側ボードの下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボードと下板との接合部分が床面に接することはない。その結果,このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものであっても,上記角部分への応力集中を原因としたヘッドボードの変形や,ボードの崩壊は発生しない」と記載され,上記(2)の【0037】に「この実施例1では,ヘッドボード16の下板29が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボード16が,前側ボード25の下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボード27と下板29との接合部分が床面に接することはない(図4(a))。その結果,このベッド10が,ガタツキの大きいものであっても,上記角部分aへの応力集中を原因としたヘッドボード16の変形や,このボード16の崩壊は発生しない。」と記載されている。
また,上記「2(4)」にも示したように,本件図面の図4(a)には,「下板29全体が,上下方向に見て支持枠11の上端近傍に位置すること」が示されている。

これらを踏まえると,本件考案1?2に係る請求項1?2の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」との上記構成要件(M)の記載によって,本件考案1?2の宮付きすのこベッドが,「ヘッドボードの下板が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボードが,前側ボードの下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボードと下板との接合部分が床面に接することはない」結果,「このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものであっても,上記角部分への応力集中を原因としたヘッドボードの変形や,ボードの崩壊は発生しない」との作用を奏することを理解できるものと認められる。

(ウ)以上から,当業者は,考案の詳細な説明に基づき,本件考案1?2に係る請求項1?2に記載のとおりの各構成によって,上記bに示す本件考案1及び2の課題を解決できると認識することができるといえる。

イ 本件考案1?2が,考案の詳細な説明に記載されているか否かについて
(ア)本件考案1?2の上記構成要件(M)に関して,上記「2(4)」にも示したように,本件図面の図4(a)には,「下板29全体が,上下方向に見て支持枠11の上端近傍に位置すること」が示されている。

(イ)上記(2)の【0029】の「下板29の下面は,支持枠11の下面より8cmほど上方に配置されている」,「各ボード25,27および上,下板28,29の板厚は,10mm」との記載から,下板29は,支持枠11の下面である下端より8?9cmの高さ範囲に存在するといえる。
また,上記「2(3)」に示した図3(c)には,「すのこ17の上面が支持枠11の上端と略同一の高さであること」が示されており,上記(2)の【0035】の「さらに,脚部12を全て取り除いたロースタイル(床からすのこ17の上面までの高さが9.5cm)の場合には,ベッド10に座って足を伸ばすことができる(図3(c)を参照)。」との記載,上記(2)の【0026】の「支持枠11の四隅付近の下面には,それぞれフェルトが貼着されている」との記載とを踏まえると,支持枠11の上端はロースタイルとした際に,支持枠11の四隅付近の下面のフェルトが圧縮されて微小な厚みとして介在することを差し引いても,支持枠11の上端は,支持枠11の下面から約9cmの高さに存在するものと解される。
そうすると,支持枠11の下面である下端より8?9cmの高さ範囲に存在する下板29全体は,支持枠11の下面から約9cmの高さに存在する支持枠11の上端近傍に位置しているといえるから,これらの記載及び図示からも,上記「2(4)」に示した「下板29全体が,上下方向に見て支持枠11の上部の末の部分として分けた一区分の高さ範囲に位置すること」が示されているといえる。

(ウ)以上のように,本件明細書及び本件図面には,「下板29全体が,支持枠11の上部の末の部分として分けた一区分の高さ範囲に位置することが示されている」といえ,上記(1)に示した「上端部」の上記語義を踏まえると,「下板29全体の高さ方向の範囲が,支持枠11の上端部の高さ方向の範囲に含まれること」が示されているといえる。

(エ)そうすると,本件考案1?2に係る請求項1?2に記載された上記構成要件(M)は考案の詳細な説明に記載されているといえる。また,本件考案1?2に係る請求項1?2に記載されたその余の構成については,考案の詳細な説明に記載されていることが明らかである。

ウ 小括
したがって,本件考案1?2は,考案の詳細な説明に記載されているということができ,当業者は,考案の詳細な説明に基づき,本件考案1?2に係る請求項1?2に記載のとおりの各構成によって,上記bに示す本件考案1及び2の課題を解決できると認識することができるといえるから,本件の請求項1?2に係る考案は,実用新案法5条6項1号に規定する要件を満たしている。

(4)請求人の主張について
請求人は,「前記構成要件(M)は本件明細書の考案の詳細な説明のどこにも記載されていないから,本件の請求項1?2に係る考案は,実用新案法5条6項1号に規定する要件を満たしていない。」と主張する。

しかしながら,上記(3)で述べたように,本件考案1?2は,考案の詳細な説明に記載されているということができ,当業者は,考案の詳細な説明に基づき,請求項1?2に記載のとおりの各構成によって,上記bに示す本件考案1及び2の課題を解決できると認識することができるといえるから,本件の請求項1?2に係る考案は,実用新案法5条6項1号に規定する要件を満たしている。

したがって,請求人の当該主張は採用することができない。

(5)小括
以上のとおりであるから,本件考案1及び2は,その登録が実用新案法5条6項1号の規定に違反して実用新案登録されたものとすることはできない。

4 無効理由5(実用新案法5条4項違反)について
(1)実用新案法5条4項に掲げる要件の判断について
実用新案法5条4項は,「前項第三号の考案の詳細な説明の記載は,経済産業省令で定めるところにより,その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなければならない。」と規定し,実用新案法施行規則3条(委任省令)は,「実用新案法第5条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載は,考案が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が考案の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならい。」と規定している。

(2)検討
本願の考案の詳細な説明に,考案が解決しようとする課題及びその解決手段がその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が本件考案1?2の技術上の意義を理解できる程度に記載され,考案の詳細な説明の記載が当業者が本件考案1?2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるか,以下検討する。

ア 本件考案1?2が解決しようとする課題について
上記「3(3)ア(ア)」に示すように,本願の考案の詳細な説明には,「ヘッドボードの下板の下面が,支持枠の下面と同一高さであれば,このヘッドボードの曲げによって奥側ボードと下板との接合部分(角部分)が床面に強く押し付けられ,この角部分に応力が集中する」ため,「例えば,このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものの場合には,この応力集中を原因として,矩形状の板枠であるヘッドボードが変形したり,最悪の場合,崩壊するおそれがあった」との考案が解決しようとする課題が記載されている。

イ 解決手段について
上記「3(3)ア(イ)」に示すように,本件明細書における本願の考案の詳細な説明の【0022】及び【0037】並びに本件図面の図4(a)から,本件考案1?2に係る請求項1?2の「前記下板は,前記支持枠の上端部と同じ高さに配置された」との上記構成要件(M)の記載によって,本件考案1?2の宮付きすのこベッドが,「ヘッドボードの下板が床面より上方に配置されているため,このようにヘッドボードが,前側ボードの下端部を支点として外方へ大きく湾曲したとしても,奥側ボードと下板との接合部分が床面に接することはない」結果,「このベッドが,経年劣化等によるガタツキの大きいものであっても,上記角部分への応力集中を原因としたヘッドボードの変形や,ボードの崩壊は発生しない」との作用を奏すること,すなわち,上記課題の解決手段を当業者は理解できるものと認められ,考案の詳細な説明の記載は当業者が本件考案1?2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえる。

ウ 小括
したがって,本願の考案の詳細な説明は,本件考案1?2が解決しようとする課題及びその解決手段が当業者が本件考案1?2の技術上の意義を理解できる程度に記載され,考案の詳細な説明の記載は当業者が本件考案1?2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえるから,本件実用新案登録は,実用新案法5条4項に規定する要件を満たしている。

(3)請求人の主張について
請求人は,「今回の訂正により,請求項1に前記構成要件(M)が追加されたが,明細書の考案の詳細な説明には,当該構成要件についての説明(具体的な構成及び作用効果等)が何も記載されていないから,本件明細書の考案の詳細な説明は,請求項1?2に係る考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。」と主張する。

しかしながら,上記(2)で述べたように,本願の考案の詳細な説明は,上記「(2)ア」に示す本件考案1?2が解決しようとする課題が記載され,上記「(2)イ」に示すように,当該課題の解決手段が当業者が本件考案1?2の技術上の意義を理解できる程度に記載され,また,考案の詳細な説明の記載は当業者が本件考案1?2の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえるから,本件実用新案登録は,実用新案法5条4項に規定する要件を満たしている

したがって,請求人の当該主張は採用することができない。

(4)小括
以上のとおりであるから,本件実用新案登録が,実用新案法5条4項の規定に違反して実用新案登録されたものとすることはできない。


第5 むすび
以上のとおり,本件考案1及び2は,請求人の主張する無効理由及び証拠によっては無効とすることはできないから,本件考案1及び2についての審判の請求は成り立たない。

審判費用については,実用新案法41条の規定で準用する特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により,請求人の負担とする。

よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-11-06 
結審通知日 2019-11-11 
審決日 2019-11-29 
出願番号 実願2018-2118(U2018-2118) 
審決分類 U 1 114・ 121- Y (A47C)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
岡▲さき▼ 潤
登録日 2018-08-22 
登録番号 実用新案登録第3217939号(U3217939) 
考案の名称 宮付きすのこベッド  
代理人 白井 重隆  
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