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審決分類 審判    A47L
審判    A47L
審判    A47L
管理番号 1360532
審判番号 無効2018-400001  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-10-17 
確定日 2020-02-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第3156219号実用新案「モップ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3156219号の請求項1ないし5、7に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案登録第3156219号は、平成21年10月8日に出願された実願2009-7177号に係り、平成21年11月25日にその請求項1ないし7に係る考案について実用新案権の設定登録がなされた。
そしてその後、アイリスオーヤマ株式会社から本件無効審判が請求されたものである。本件無効審判請求以後の経緯は、以下のとおりである。なお、以下、請求人が提出した証拠である甲第1号証等については、「甲1」等と略し、被請求人が提出した証拠である乙第1号証等については、「乙1」等と略す。

平成30年10月17日 審判請求書(以下、「請求書」という。)、甲1ないし6の提出
平成31年 1月21日 答弁書、乙1、2の提出
平成31年 4月19日付け 審理事項通知書
令和 元年 5月17日付け 口頭審理陳述要領書、甲7、8の提出(請求人)
令和 元年 6月 7日付け 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
令和 元年 6月18日 口頭審理
令和 元年 6月25日付け 上申書の提出(被請求人)
令和 元年 7月 8日付け 上申書、甲9、10の提出(請求人)
令和 元年 7月23日付け 上申書の提出(被請求人)

第2 本件登録実用新案
本件登録実用新案は、本件実用新案登録の願書に添付した実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。ただし、無効審判が請求されていない請求項6については、省略した。以下、これらの請求項1ないし7に係る考案を、それぞれ「本件考案1」ないし「本件考案7」といい、これらをまとめて、「本件考案」という。
なお、各請求項には、「A1」等の記号による考案特定事項の分説はされていないが、以下の便宜のため当審で付加したものである。

「【請求項1】
A1 上下に直線移動し、単一方向の回転を生成することによって脱水するモップであって、
B1 内筒体と、
C1 底端部が内筒体の上端に嵌合され、かつ相対的な直線伸縮移動を行なうことが可能である外筒体と、
D1 内筒体の頂端の開口部内に装着される係合ユニットと、
E1 細長い状を呈し、外筒体とともに同調昇降できるように外筒体内に装着される駆動ユニットと、
F1 係合ユニット内に装着され、駆動ユニットを受けるのに用いられ、かつ駆動ユニットの駆動によって回転する際、係合ユニットを単一方向に回転させることしかできない制御ユニットと、
G1 内筒体の底部に装着され、毛糸を有する盤体と、
H1 外筒体に装着され、かつ内筒体と外筒体とを固定するか、あるいは相対的な伸縮が可能な状態に維持することが可能である締付構造と、を備え、
I1 外筒体が上下に移動する際、駆動ユニットは直線運動によって制御ユニットを回転させ、かつ係合ユニットを単一方向に回転させることによって内筒体および盤体を同じ方向に位置させ、かつ慣性力を介して回転を持続させて遠心力を生成することによって毛糸に付着した水を放射することを特徴とするモップ

【請求項2】
A2 駆動ユニットは、らせん状の棒体またはらせん状の片体から構成され、駆動ユニットを受けるのに用いる制御ユニットは、らせん状に対応するスリーブの構造を有するため、駆動ユニットは外筒体の上下の直線移動によって制御ユニットを回転させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載のモップ。

【請求項3】
A3 係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され、
B3 環状体およびキャップによって固定され、
C3 かつ内側底端部に上向きの爪部を有し、
D3 制御ユニットは底端部に上向きの爪部に対応かつ接触する下向きの爪部を有し、
E3 かつ制御ユニットは回転の際に係合ユニットを単一方向に回転させることしかできないことを特徴とする請求項1に記載のモップ。

【請求項4】
A4 係合ユニットは、上端の外側に突出縁部を有し、内側に陥没溝を有し、キャップは環状のリブを有し、リブによって係合ユニットの陥没溝に嵌合・固定されることを特徴とする請求項3に記載のモップ。

【請求項5】
A5 締付構造は、束縛用スリーブおよび旋転筒を有し、
B5 束縛用スリーブは外筒体の底縁部に固定され、下段部にスリットを有し、外周に傾斜溝を有し、
C5 旋転筒は束縛用スリーブの外周に被さり、かつ束縛用スリーブの傾斜溝に向かい合う内側面に傾斜溝を昇降できる突起部を有するため、
D5 旋転筒によって束縛用スリーブの締付または弛緩を行い、束縛用スリーブのスリットの作用によって内筒体と外筒体とを固定して床拭きの便をはかるか、あるいは内筒体を回転状態に維持し、毛糸の脱水を行なうことが可能であることを特徴とする請求項1に記載のモップ。

【請求項7】
A7 盤体は、脱水桶中の自由回転状態を呈するバスケット内に置かれる、盤体は内筒体の駆動によって回転する際、バスケットを同調回転させ、盤体上の毛糸に遠心脱水を行うことが可能であり、脱水桶は毛糸から放射された水を受けることが可能であることを特徴とする請求項1に記載のモップ。」

第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
登録第3156219号実用新案の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案、請求項2に係る考案、請求項3に係る考案、請求項4に係る考案、請求項5に係る考案、及び請求項7に係る考案についての実用新案登録を無効とする、との審決を求めるものである。

2 証拠
請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。
甲1 台湾実用新案第M330077号公報及び明細書
甲2 特開2002-39126号公報
甲2の1 特開平8-170613号公報
甲2の2 特開平7-289491号公報
甲2の3 実願昭62-95288号(実開昭64-2818号)のマイクロフィルム
甲3 中国実用新案第201157333号公報
甲3の1 台湾実用新案第M338635号公報及び明細書
甲4 機械学ポケットブック 平成16年12月20日、株式会社オーム社 発行
甲4の1 機械設計製図便覧第11版 平成21年2月1日、理工学社 発行
甲4の2 技能指導機械要素入門 昭和38年11月5日、工学図書株式会社 発行
甲4の3 新編機械の素 昭和41年10月30日、理工学社 発行
甲5 実願平4-27289号(実開平5-84961号)のCD-ROM
甲6 広辞苑第5版 平成10年11月11日、岩波書店 発行
甲7 米国特許出願公開第2009/0260169号明細書
甲8 機械の研究第21巻第1号 昭和44年1月1日 株式会社養賢堂 発行
甲9 特開昭54-3371号公報
甲10 登録実用新案第3142275号公報
甲10の1 登録実用新案第3147525号公報
甲10の2 登録実用新案第3147772号公報

3 請求人の主張の概要
請求人の主張する無効理由の概要は、以下のとおりである。
(1)無効理由1-1(請求項1の進歩性)について
本件考案1は、甲1に記載された考案と、甲2又は甲2の1のいずれかに記載された事項との組み合わせにより、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである、若しくは、甲1に記載された考案と、周知技術(甲第2号証、甲第2号証の1?3)とに基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2項に該当し、無効とすべきである(請求書17ページ7行ないし同ページ15行。行数には空白行を含まない。以下同様とする。)。
甲1には、締付構造(H1)に該当する構成を開示していない。しかし、かかる構成は、甲2、甲2の1、甲2の2に開示されている(請求書27ページ下から6行ないし同ページ下から4行)。
甲1に記載された考案においても主スリーブ32(内筒体)と把持棒筒34(外筒体)とがスライドして伸縮する構造であるから、掃除中においては両者を固定する必要があるという動機付けが当然存在し、当該動機付けに基づき、甲2又は甲2の1のいずれかに記載された締付構造を甲1に記載された考案に適用することは、当業者にとってきわめて容易である。さらに、甲2等にみられるように、構成要件H1の締付構造は、モップの分野では周知技術に過ぎず、…周知技術である締付構造を、甲1のモップに適用することはきわめて容易である(請求書28ページ16行ないし同ページ26行)。

(2)無効理由1-2(請求項2の進歩性)について
本件考案2は、甲1に記載された考案と、甲2又は甲2の1のいずれかに記載された事項との組み合わせにより、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである、若しくは、甲1に記載された考案と、周知技術(甲第2号証、甲第2号証の1?3)とに基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法37条第1項第2項に該当し、無効とすべきである(請求書17ページ17行ないし同ページ末行)。
甲1は、本件考案2の構成要件A2と同一の構成を開示する(請求書29ページ17行)。

(3)無効理由1-3(請求項3の進歩性)について
本件考案3は、甲1に記載された考案と甲2又は甲2の1に記載された事項または周知技術と、甲3又は甲3の1に記載された事項または周知技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものか、これらに加えて甲5に記載された事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから,実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
本件考案3の構成要件C3(内側底端部の爪部)、D3(制御ユニットの爪部)は、甲1に開示されていない。しかしながら、本件考案3の構成要件C3、D3は、甲3及び甲3の1に開示されている(請求書30ページ20行ないし同ページ21行)。
甲1に記載された考案の単一方向の回転は、一方向軸受40によって実現されている。単一方向の回転を、爪部と爪部の係合によるラチェット構造で実現するか、一方向軸受40で実現するかは、両者は単一方向のみの回転を実現する同等な方式であるため、適宜選択すればよい、設計事項である(請求書32ページ13行ないし同ページ17行)。したがって、甲1に記載された考案の一方向軸受40を、甲3及び甲3の1に開示される爪部同士の係合によるラチェット構造に置き換えることは、当業者にとってきわめて容易である(請求書32ページ22行ないし同ページ24行)。
さらに、甲3及び甲3の1に見られるように、構成要件C3,D3,E3のラチェット構造は、回転モップの分野では周知技術に過ぎず、甲1のモップに適用することはきわめて容易である。また、ラチェット構造は、甲3及び甲3の1のようなモップ分野に限定されず、後述する甲4、甲4の1、甲4の2、甲4の3に示すように、周知技術である(請求書32ページ下から5行ないし33ページ1行)。
本件考案3の構成要件B3について、「係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され、環状体およびキャップによって固定され」と規定されている。…係合ユニットに相当する一方向軸受40は、環状体およびキャップによって固定されている、と解することが可能である。そうすれば、甲1には、本件考案3の構成要件B3と同一構成が開示されている。仮に、本件考案3の構成要件B3と同一構成が甲1に記載されていないとしても、係合ユニットを内筒体に何らかの手段で固定する必要があり、何らかの環状体およびキャップにより固定するようにすることは、設計事項である(請求書33ページ12行ないし34ページ5行)。
さらに、甲5には、筒状の容器本体Aの内側に環状凹部3を形成し、キャップである蓋体Bに環状凸部6を設け、環状凸部6によって環状凹部3に嵌合・固定される構造が開示されている(図1?4参照。)このような固定方法を適用することも可能である。したがって、本件考案3は、上記に加え、甲5に記載された事項を組み合わせることにより当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである(請求書34ページ下から6行ないし同ページ末行)。

(4)無効理由1-4(請求項4の進歩性)について
本件考案4は、甲1に記載された考案と甲2又は甲2の1に記載された事項または周知技術と、甲3又は甲3の1に記載された事項または周知技術と、甲5に記載された事項に基づいて,当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから,実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり,実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
本件考案4の構成要件A4について、甲5の環状凹部3が陥没溝に相当し、甲5の環状凸部6がリブに相当する。甲5の肉厚部2が突出縁部に相当する。よって、甲5には、本件考案4の構成要件A4,B4が開示されている。また、甲5に記載されるとおり、キャップを、環状凹部及び環状凸部とで固定することは、周知技術であり、単なる設計事項に過ぎない(請求書35ページ2行ないし同ページ7行)。

(5)無効理由1-5(請求項5の進歩性)について
本件考案5は、甲1に記載された考案と、甲2又は甲2の1のいずれかに記載された事項との組み合わせにより、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである、若しくは、甲1に記載された事項と、周知技術(甲第2号証、甲第2号証の1?3)とに基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第2項に該当し、無効とすべきである(請求書20ページ5行ないし同ページ13行。)
本件考案5の構成要件A5,B5,C5,D5は、甲2に同一の構成が開示されている。また、本件考案5の構成要件A5,B5,C5,D5は、甲2の1にも開示されている(請求書37ページ20行ないし同ページ23行)。甲1に記載された考案においても主スリーブ32(内筒体)と把持棒筒34(外筒体)とがスライドして伸縮する構造であるから、掃除中においては両者を固定する必要があるという動機付けが当然存在し、当該動機付けに基づき、甲2又は甲2の1のいずれかの締付構造を甲1に適用することは、当業者にとって容易である(請求書38ページ1行ないし同ページ5行)。
さらに、甲2、甲2の1及び甲2の2にみられるように、構成要件HIの締付構造は、モップの分野では周知技術に過ぎず、また、甲2及び甲2の1の段落0002には「このような締め付け構造は、モップの柄に非常に多く用いられている」と記載されているから、周知技術である締付構造を、甲1のモップに適用することはきわめて容易である。また、締付構造を甲1のモップに適用しても、甲1のモップの回転機能が損なわれないので、締付構造を甲1のモップに適用するにあたり阻害要因はない。なお、互いに伸縮可能なパイプを締め付けて固定する構造としては、甲2の3(特に第1図、第2図)に記載されており、締付構造は周知技術と認められる。よって、甲2の3に見られる周知技術(締付構造)を甲1に適用することはきわめて容易である(請求書38ページ6行ないし同ページ17行)。

(6)無効理由1-6(請求項7の進歩性)について
本件考案7は、甲1に記載された考案と甲2又は甲2の1に記載された事項または周知技術に基づいて,当業者がきわめて容易に考案をすることができたもの、あるいは、甲1に記載された考案と甲2又は甲2の1に記載された事項または周知技術と、甲3又は甲3の1に記載された事項または周知技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり,実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
本件考案7の構成要件A7は、考案のカテゴリが「モップ」であり、バスケットを含む記載ではないため、盤体が、バスケット内に置くことが可能なサイズであるモップであることを特定するに過ぎない。盤体のサイズを適宜変更することは、設計変更に過ぎず、当業者がきわめて容易に考案することができたものである(請求書38ページ下から3行ないし39ページ2行)。
さらに、本件考案7の構成要件A7は、甲3及び甲3の1に開示されている(請求書9行ないし同ページ10行)。甲1、甲3、甲3の1の課題及び目的は、モップヘッドを回転させて脱水することであって共通しているため、…甲3又は甲3の1のいずれかのバスケットを甲1に適用することは、当業者にとってきわめて容易である。さらに、甲3及び甲3の1に見られるように、構成要件A7のバスケット自由回転支持構造は、モップの分野では周知技術に過ぎず、…甲1のモップに適用することはきわめて容易である(請求書41ページ2行ないし同ページ11行)。

(7)無効理由2(請求項3、4の明確性)について
請求項3は「係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され、環状体およびキャップによって固定され」と記載されているが、“環状体およびキャップにより固定され”という特定事項の技術的意味を当業者が理解できず、さらに、出願時の技術常識を考慮すると特定事項が不足していることが明らかであるため、請求項3?4に係る考案が不明確であるので、実用新案法第5条第6項第2号の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第4号に該当し、無効とすべきである(請求書21ページ14行ないし同ページ19行)。

(8)無効理由3(請求項3、4の実施可能要件)について
請求項3は「係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され、環状体およびキャップによって固定され」と記載されているが、“環状体”と“キャップ”と“係合ユニット”と“内筒体”の各々の技術的手段の相互関係が不明瞭であり、前記技術的手段の相互関係が出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないため、当業者が請求項3,4に係る考案を実施することができないので、実用新案法第5条第4項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第4号に該当し、無効とすべきである(請求書21ページ下から5行ないし22ページ3行)。

第4 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件請求は成り立たない。との審決を求めている。

2 証拠
被請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。
乙1 登録実用新案第3156219号の実用新案技術評価書
乙2 米国特許第8291544号明細書

3 被請求人の主張の概要
被請求人の主張の概要は、以下のとおりである。
(1)無効理由1-1(請求項1の進歩性)について
本件考案1は、「外筒体に装着され、かつ内筒体と外筒体とを固定するか、あるいは相対的な伸縮が可能な状態に維持することが可能である締付構造」(H1)という構成を有する。これに対して、甲1考案は、そのような構成を有しない。甲1には把持棒筒34と主スリーブ32とを軸方向について固定することも回転方向について固定することも何ら記載されていない。…甲1には把持棒筒34と主スリーブ32とを軸方向について固定することも回転方向について固定することも何ら記載されていないから、そのような固定をするために、甲2、甲2の1から3の構成を適用する動機付けが存在しない。さらに、甲2、甲2の1および2に記載された「締付構造」は、本件考案1とその目的および機能を異にするものである。甲2、甲2の1および2に記載された「締付構造」は、…もっぱら軸方向の一時的な移動を許容することを目的としたものである。したがって、本件考案1のように「伸縮が可能な状態に維持」して「外筒体」を軸方向に往復動させることを目的としたものではない。さらに本件考案1のように、外筒体と内筒体との間の当該往復動に伴う回転を積極的に可能にするという機能を有するものでもない。また、甲2の3は「室内の壁間又は天井と床との間」に固定されるパイプであって、本件考案1とも甲1考案とも技術分野が異なる。
以上の観点からも、甲2、甲2の1から3のいずれかの「締付構造」を甲1考案に適用して本件考案1に至る動機付けが存在しない。請求人は、甲1考案と甲2等に記載された事項とを、いわゆる後知恵として組み合わせており、失当である(答弁書3ページ20行ないし4ページ18行)。
甲1に記載された考案はモップ構造についての考案であるが、そのことから直ちに、モップとして使用するときに把持棒筒34と主スリーブ32とが固定されることは導かれない。まず、…「一方の手で主スリーブ32を支えながら、主として他方の手で把持棒筒34を把持」した場合には、主スリーブ32に加えた力はモップヘッド38に伝わるから、不便であるとはいえ、モップとして機能して拭き掃除ができる。よって、モップ構造についての考案だから、モップとして使用するときに把持棒筒34と主スリーブ32とが固定されるとはいえない(令和元年6月7日付け陳述要領書2ページ下から8行ないし3ページ4行)。

(2)無効理由1-2(請求項2の進歩性)について
本件考案2は、本件考案1を引用するものである。…よって、本件考案2も、少なくとも本件考案1で検討した相違点1について甲1考案と相違する。また、請求人により挙げられている証拠も本件考案1と同一である。よって、本件考案1と同様の理由により、本件考案2も無効理由1-2に該当しない(答弁書4ページ下から9行ないし同ページ末行)。

(3)無効理由1-3(請求項3の進歩性)について
甲1には構成B3(環状体およびキャップよって固定され、)は記載されていない。甲5に記載された事項はカメラのフィルム収容容器であって、技術分野が異なり、甲1考案に適用し本件考案3に至る動機付けがない(答弁書6ページ24行ないし同ページ31行)。
甲3に記載されたものの動作の因果関係は、軸棒7がブロック8を上にシフトする、それによって突起19と突起19’とが離れる、したがってブロック8の逆方向の回転がモップヘッド接続材10に伝達されない、というものである。一方、本件考案3においては、反時計回りの回転時に制御ユニットが駆動ユニットによって上にシフトする構成はない。…本件考案3においては、制御ユニットが上にシフトすることで爪部同士が離間して回転が伝達されないのではなく、爪部が互いの傾斜面を乗り越えることで空回転となり、回転が伝達されないものである点で、甲3とは異なる。よって、甲3が構成C3およびD3を開示しているとはいえない。
また、甲3の1には「摺動面(54B)は、底面と傾斜角を成す」および「摺動面(74B)は、底面と傾斜角を成す」という記載はあるが、逆方向の回転の動作の説明はない。よって、甲3の1において、甲3のように駆動回転子52が駆動ロット51によって上にシフトすることで摺動面54Bと摺動面74Bとが離れ、それによって回転が伝達されないものである可能性がある。よって甲3の1における少なくとも部分翻訳文が構成C3およびD3を開示しているとはいえない。
また、請求人は甲4、甲4の1から3を周知技術としている。…しかしながら、甲4、甲4の1から3のいずれにもモップに関する記載はない。よって、甲4、甲4の1から3は、…モップという技術分野において周知技術であることを示す証拠として失当である。
したがって、甲3および甲3の1のいずれにも構成C3及びD3は記載されておらず、これらを他の証拠に組み合わせても本件考案3は導かれない。さらに、甲4および甲4の1から3はモップという技術分野において周知技術であることを示す証拠として失当である。よって、本件考案3は、甲1、甲2、甲2の1から3、甲3、甲3の1、甲4、甲4の1から3、甲5に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとはいえず、無効理由1-3に該当しない(答弁書6ページ下から2行ないし7ページ37行)。

(4)無効理由1-4(請求項4の進歩性)について
本件考案4は、本件考案3を引用するものである。…よって、本件考案4も少なくとも本件考案3で検討した相違点1から4について甲1考案と相違する(答弁書8ページ下から4行ないし同ページ下から2行)。
本件考案4は、「係合ユニットは、上端の外側に突出縁部を有し、内側に陥没溝を有し、キャップは環状のリブを有し、リブによって結合ユニットの陥没溝に嵌合・固定される」(A4)という構成を有する(答弁書9ページ1行ないし同ページ3行)。
本件考案4はモップであるのに対し、甲5に記載されたものはカメラのフィルム収容容器であって、技術分野が異なる。以上の観点から、甲5の環状凹部3、環状凸部6および肉厚部2を甲1考案に適用して本件考案5に至る動機付けが存在しない。請求人は、甲1考案と甲5に記載された事項等とを、いわゆる後知恵として組み合わせており、失当である(答弁書9ページ16行ないし同ページ18行)。

(5)無効理由1-5(請求項5の進歩性)について
本件考案5は、本件考案1を引用するものである(答弁書10ページ8行)。本件考案1と同様の理由により、本件考案5も無効理由1-5に該当しない(答弁書10ページ25行ないし同ページ26行)。

(6)無効理由1-6(請求項7の進歩性)について
本件考案7は、本件考案1を引用するものである(答弁書11ページ18行)。本件考案1と同様の理由により、本件考案7も無効理由1-7に該当しない(答弁書10ページ下から9行ないし同ページ下から8行)。
甲1考案は、エジェクタロッド36が水桶の底部に当接することで、かごを用いるときの課題を解決しているものである。このことは、甲1の部分翻訳文における、「プラスチック製かごは水桶の周辺に設けられているため、ブラシ毛を押圧して乾燥させるとき、付勢力が均一でないまたは付勢力が大き過ぎて、全体の水桶をひっくり返すおそれがあった」(1ページ27行ないし同ページ29行まで)との記載から明らかである(口頭審理陳述要領書2ページ12行ないし同ページ17行)。甲1には、エジェクタロッド36を用いる形態のみが記載され、当該エジェクタロッド36について「モップヘッド38を高くすれば回転に役立つ」(甲1翻訳文4頁15行、16行)と明記されているから、モップ単体でモップヘッド38が回転するという作用効果を奏する。したがって、甲1考案に対して、甲3、甲3の1のようなモップとは別体の回転盤を用いることについて逆の示唆がある(7月23日付け上申書第2ページ16行ないし同ページ22行)。甲1考案においてモップヘッド38を回転させるための駆動機構がモップ側に設けられているにもかかわらず、駆動機構が設けられたバスケットを更に用いる動機付けが存在しない(7月23日付け上申書第3ページ1行ないし同ページ3行)。

(7)無効理由2(請求項3、4の明確性)及び無効理由3(請求項3、4の実施可能要件)について
本件考案3に対して無効理由2および3を有しないことは、本件実用新案登録の技術評価書(乙1)において、本件考案5が明確でないことも、実施可能でないことの指摘もされていないことからも明らかである。
付言すれば、本件考案3に対応する…発明が米国でも登録されている(乙2)。明確であることの要件および実施可能であることの要件は、日本でも米国でも当業者の立場で判断されるべきであるところ、当業者の立場が日本と米国とで大きく異なることは考えにくい。したがって、本件考案3に対応する記載を有する請求項に係る発明が米国で登録されていることによっても、本件考案5は明確であってかつ実施可能であり、実用新案法第5条第6項第2号および同条第4項の規定によっても実用新案登録を受けることができるものであり、その実用新案登録は同法第37条第1項第4号に該当しないと判断することが妥当であるといえる(答弁書12ページ14行ないし同ページ32行)。
本件考案3における「固定」の意義は、願書に添付した明細書の記載および図面を考慮して解釈されるべきである(…)。そこで、本件の図2および図3を参照すると、環状体33は係合ユニット30の軸方向について係合ユニット30の上端から突出縁部31まで延在しており、かつ、軸方向に直交する径方向について、係合ユニット30の外周に装着されている。さらに、同図および明細書の段落0015を参照すると、キャップ34は係合ユニット30の軸方向について係合ユニット30の上端から少なくとも陥没溝32よりも下方まで(図3では突出縁部31の下端まで)延在しており、かつ、径方向について係合ユニット30の内周に装着されている。よって、係合ユニット30の、環状体33とキャップ34とに内外から挟まれた部分は、挟まれることによって径方向の位置が固定されている。すなわち、本件考案3の「固定」を願書に添付した明細書の記載および図面を考慮して解釈すれば、当業者は、環状体とキャップとに挟まれて係合ユニットが径方向に位置決めされていることを含むと解するといえる。以上の通り、本件考案3の「固定」を願書に添付した明細書の記載および図面を考慮して解釈すれば、当業者は、少なくとも、環状体とキャップとに挟まれて係合ユニットが径方向に位置決めされていることを含むと解することができ、本件考案3の「係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され、環状体およびキャップによって固定され」と特定される事項は明確であって、実施可能である(令和元年6月7日陳述要領書4ページ24行ないし同ページ下から3行)。
本件の図2および図3を参照すると、キャップ34において径方向外側に突出した環状のリブ342が係合ユニット30において径方向内側に凹んだ陥没溝32に嵌合する。また、係合ユニット30の外周には環状体33がはまっている。したがって、係合ユニット30は環状体33とキャップ34から径方向の力を受けており、そのバランスによって径方向に位置が決まるのであるから、係合ユニット30が径方向に固定されているといえる。なお、係合ユニット30にキャップ34が嵌合することで、制御ユニット40が係合ユニット30の上方から出てしまわないようにする技術的な意義も有している(令和元年6月25日上申書3ページ30行ないし同ページ37行)。

第5 甲1ないし5について
1 甲1の記載事項及び甲1に記載された考案
(1)甲1の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、次の事項が記載されている。なお、( )内に示した翻訳文は、請求人提出のものによる。また、翻訳文の下線は当審が理解のために付加した(他の甲号証の下線についても同様とする。)。
ア.「


(翻訳文:モップ構造であって、把持棒筒を握って、上、下へ往復運動させると、主スリーブの螺旋状ロッドが上、下へ往復運動して、案内部材を動かして往復回転させることにより、案内部材を覆う一方向軸受を一方向回転させることができ、一方向軸受は主スリーブのヘッド端に固定して設けられているため、主スリーブを一方向運動させ、さらに主スリーブの底部を動かして固定連結されているモップヘッドを一方向回転させることにより、遠心力を用いてモップヘッド上のブラシ毛の余分な水を振り切ることができる。)
)

イ.「



(翻訳文:【技術分野】
本考案はモップ構造に関し、特に回転によってモップヘッドのブラシ毛を脱水して乾燥させるモップ構造に関する。
【背景技術】
現在の湿式モップは大体2種類があって、モップヘッドにより分離されており、スポンジモップヘッドとブラシ毛モップヘッドに分けられる。
スポンジモップヘッドにはスポンジの挟持に用いる脱水装置が設けられて、脱水が非常に便利になっているが、スポンジの広がり範囲が制限されて、床板を掃除するとき、死角に対しては非常に処理しにくくなる。ブラシ毛モップヘッドは布、コットンまたはいかなる吸水の柔軟な長形材質を用いてブラシ毛を製造しているため、ブラシ毛が変形して広がって、掃除しやすく、かつ死角の清掃に役に立っているが、ブラシ毛モップヘッドの脱水は面倒である。
従来のブラシ毛モップヘッドは人工でブラシ毛の水を拭いて乾燥させる必要があるため、力を要し、かつ衛生的ではなかった。そのため、プラスチック材質からなるかご形の脱水装置が考案されて、ブラシ毛モップヘッドをプラスチック製かごの中に入れて回転かつ押圧してブラシ毛を絞り乾燥させている。しかし、このような絞り乾燥式は効果が低く、絞られたブラシ毛は依然として大量の水を含み、それ以外に、プラスチック製かごは水桶の周辺に設けられているため、ブラシ毛を押圧して乾燥させるとき、付勢力が均一でないまたは付勢力が大き過ぎて、全体の水桶をひっくり返すおそれがあった。
そのため、本考案の主な目的は、上記の問題点を解決するため、回転によってモップヘッドのブラシ毛を脱水して乾燥させるモップ構造を提供することにある。
【考案の概要】
本考案の目的はモップ構造を提供することにある。モップヘッドを高速に回転させて、遠心力でモップヘッドのブラシ毛の水を脱水して乾燥させ、その脱水効果が優れている以外、方法が容易で、気楽で、使用者の手または身体を汚さない利点を有する。それ以外に、構造が簡単で、軽量で、技術的製品化に役立ち、消費者から深く愛されている。
本考案はモップ構造に関し、該モップ構造は、主スリーブ、把持棒筒、モップヘッド、一方向軸受、案内部材、螺旋状ロッドを含む。
該把持棒筒は該主スリーブの上端から該主スリーブに接続し、該把持棒筒が該主スリーブに対して往復摺動することができる。
該モップヘッドは中空になって該主スリーブの下端に固定されている。該一方向軸受は該主スリーブの上端の内側に固定されている。該案内部材は該一方向軸受の内側の中空箇所に設けられて、該一方向軸受に相対して一方向に回転し、該案内部材は、上、下に貫通してスリット孔を有する。
該螺旋状ロッドの上端は該把持棒筒の内部の上端に固定され、下へ向って該把持棒筒を通して、該案内部材のスリット孔を貫通して該主スリーブ内に進入される。
該把持棒筒は上、下に往復運動し、更に該螺旋状ロッドが上、下に往復運動して、該案内部材を連動して往復運動させ、これにより、一方向軸受が一方向に回転し、かつ該主スリーブが一方向に回転し、更に該モップヘッドを連動して一方向に回転させ、遠心力で該モップヘッドのブラシ毛の余分な水を振り切っている。
本考案のモップ構造は、螺旋状ロッド、案内部材、一方向軸受の互いの組合せにより、モップヘッドが高速に一方向回転を行い、かつ遠心力でブラシ毛の水を振り切って脱水し、脱水効果が優れており、その方法が便利で、気楽で、かつ使用者の手または身体を汚さない利点を有する。それ以外に、構造が簡単で、軽量で、技術的製品化に役立ち、消費者から深く愛されている。
本考案の利点は以下の技術手段と図面により更に詳しく説明する。
【考案を実施するための形態】
図1は、本考案のモップ構造30の地面拭きが可能状態を示す図である。本考案のモップ構造30は、円盤状に類似するモップヘッド38を有し、モップヘッド38の下部はブラシ毛3802を有し、布、コットンなどの吸水可能な柔軟化材質からなり、図1のモップ構造30は地面拭きが可能状態になっており、図面でモップヘッド38は水桶内で水洗いする状態を示す。
モップ構造30は、主スリーブ32、把持棒筒34、一方向軸受40、案内部材42、螺旋状ロッド44、エジェクタロッド36、把持スリーブ50、及びバネ46を更に含む。
主スリーブ32の管壁は、上、下方向へ延伸する溝70を有し、モップヘッド38の中央部は貫通孔を有し、かつ主スリーブ32の下端に固定され、エジェクタロッド36は主スリーブ32の内部に設けられ、把持スリーブ50は主スリーブ32の外部に接合され、溝70によりエジェクタロッド36に連結される。
使用者がブラシ毛3802の水を振り切るとき、使用者は把持スリーブ50を握って下へ押し下げると、把持スリーブ50は溝70に沿って上から下へ移動し、これにより、エジェクタロッド36は主スリーブ32内でモップヘッド38の貫通孔を通してモップヘッド38の下方へ延出し、エジェクタロッド36が下へ延出して水桶の底部に当接する。使用者がモップ構造30に対して地面を拭く状態にするとき、使用者は把持スリーブ50を握って上へ持ち上げると、把持スリーブ50は溝70に沿って下から上へ移動して、エジェクタロッド36を収納して主スリーブ32内に進入させることができる。
図2と図3は、エジェクタロッド36が下へ向って水桶の底部に当接する状態を示し、図2は、本考案のモップ構造30の脱水するための第1状態を示す。図3は、本考案のモップ構造30の脱水するための第2状態を示す。
把持棒筒34は主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合して、主スリーブ32を把持棒筒34に対して往復摺動させており、把持棒筒34が主スリーブ32の最上部に摺動したときを第1状態とし、把持棒筒34が主スリーブ32の最下部に摺動したとき(ほぼ主スリーブ32と共に重なっている)を第2状態とする。モップ構造30は第1状態と第2状態に繰り返されると、モップヘッド38が高速に回転し、遠心力を用いてブラシ毛3802の水を振り切ることができる。
図4は、本考案のモップ構造30の一方向回転を制御する関連機構の側面断面図である。一方向軸受40は主スリーブ32の上端の内側に固定されている。案内部材42は一方向軸受40の内側の中空箇所に設けられ、案内部材42は一方向軸受40により制御されて一方向軸受40に相対して一方向回転(一方向軸受40の有する部材、原理は説明しない)し、図5は、本考案の案内部材42を示す、案内部材42は上、下へ貫通してスリット孔4202を有する。
バネ46は主スリーブ32内に設けられ、螺旋状ロッド44の上端は把持棒筒34の内部の上端に固定され、下へ向って把持棒筒34を通し、案内部材42のスリット孔4202を貫通してスリーブ32内に進入し、かつバネ46の内部を貫通し、螺旋状ロッド44の下端はバネ46の下端に固定され、バネ46の上端は案内部材42の下端に可動連結(回転可能に連結)されている。
把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動(第1状態と第2状態を繰り返す)させると、螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が回転方式でスリット孔4202の内壁を干渉して、案内部材42を連動して往復回転させている。一方向軸受40が案内部材42の一方向回転を干渉するため、一方向軸受40が一方向のみ回転し、かつ一方向軸受40が主スリーブ32に固定されているため、主スリーブ32も従って一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させて、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができる。
第2状態のとき、螺旋状ロッド44は最底部に押圧され、バネ46は延伸状態になり、その後、把持棒筒34を押圧する手をゆっくり緩くするとき、バネ46の復元力により把持棒筒34を補助して上へ運動させ、これにより、使用者は気軽く把持棒筒34を押圧して第1状態と第2状態の間に往復させることができる。
ここで説明を加えると、エジェクタロッド36を主スリーブ32内に進入または延出させるときは位置決めする必要がある。図1に示すように、主スリーブ32の上端は少なくとも1つの第1位置決め孔60(図面では2つである)を有し、主スリーブ32の下端は少なくとも1つの第2位置決め孔62(図面では2つである)を有し、把持スリーブ50は主スリーブ32の内部で少なくとも1つの位置決め部64(図面では2つである)を有する。
エジェクタロッド36が主スリーブ32の上端に位置するとき、位置決め部64は第1位置決め孔60を干渉して、エジェクタロッド36を主スリーブ32の内部に収納して固定させている。把持スリーブ50の押ボタンを押圧すると、位置決め部64は第1位置決め孔60から離脱し、把持スリーブ50はエジェクタロッド36を連動して下へ向って移動させることができる。
エジェクタロッド36が主スリーブ32の下端に位置し、かつエジェクタロッド36の下端が下へ向ってモップヘッド38に延出するとき、位置決め部64は第2位置決め孔62を干渉してエジェクタロッド36を固定している。これに反して、把持スリーブ50の押ボタンを更に押圧すると、位置決め部64が第2位置決め孔62から離脱し、把持スリーブ50がエジェクタロッド36を連動して上へ移動させることができる。
前記把持スリーブの50とエジェクタロッド36のいずれか1つの実施例で、モップヘッド38を高くすれば回転に役立つことがわかり、他のいかなるモップヘッド38を高くする結構は、全て本考案の主な特徴の範囲から離れない。
本考案のモップ構造30は、螺旋状ロッド44、案内部材42、および一方向軸受40が互いに組合されて、モップヘッド38を高速に一方向回転させることができ、かつ遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の水を振り切ることができ、脱水効果が優れ、かつ方法が便利で、気軽で、使用者の手または身体を汚さない利点を有する。それ以外に、構造が簡単で、軽量で、技術的製品化に役立ち、消費者から深く愛されることができる。
以上の好ましい具体的実施例に対する説明は、本考案の特徴と精神を更に詳しく理解させるためのものであり、上述の好ましい具体的実施例を用いて本考案の範囲を制限するものではない。これに反して、その目的はいろんな変更、同等の技術特徴は本考案の請求範囲内に属するべきであることにある。)

ウ.甲1には、圖一及び圖二、圖三として、次のような図が記載されている。以下、下図の左から、「図1」、「図2」、「図3」とする(なお、上記、翻訳文においても「図1」、「図2」、「図3」とそれぞれ訳した。)。


エ.甲1には、「図2は、本考案のモップ構造30の脱水するための第1状態を示す。図3は、本考案のモップ構造30の脱水するための第2状態を示す。」と記載され、また、「把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動(第1状態と第2状態を繰り返す)させると、螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が回転方式でスリット孔4202の内壁を干渉して、案内部材42を連動して往復回転させている。一方向軸受40が案内部材42の一方向回転を干渉するため、一方向軸受40が一方向のみ回転し、かつ一方向軸受40が主スリーブ32に固定されているため、主スリーブ32も従って一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させて、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができる」ことが記載(改行は省略した。上記イ参照。)されており、モップ構造30により、把持棒筒34を上下に往復させると、モップヘッドは一方向回転し、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることがわかり、この、ブラシ毛3802の余分な水を振り切ることを甲1の上記記載では、「脱水する」としていると解されることから、甲1には、把持棒筒34を上下に往復させ、モップヘッドを一方向回転させることによって、脱水するモップ構造について記載されている。

オ.甲1には、「把持棒筒34は主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合して、主スリーブ32を把持棒筒34に対して往復摺動させ」ることが記載されているから、甲1には、主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合して、主スリーブ32に対して往復摺動させることが可能である把持棒筒34について記載されている。

カ.上記イより、「螺旋状ロッド44の上端は把持棒筒34の内部の上端に固定され、下へ向って把持棒筒34を通し、案内部材42のスリット孔4202を貫通してスリーブ32内に進入し、かつバネ46の内部を貫通し、螺旋状ロッド44の下端はバネ46の下端に固定され、バネ46の上端は案内部材42の下端に可動連結(回転可能に連結)されている」(上記イ参照。)から、螺旋状ロッド44は、把持棒筒34とともに往復運動できるように把持棒筒34の内部の上端に固定されているといえる。また、螺旋状ロッド44は、図2及び図3の記載から細長い形状を有しているといえる。

キ.甲1には、上記イより「一方向軸受40は主スリーブ32の上端の内側に固定されている。案内部材42は一方向軸受40の内側の中空箇所に設けられ」、螺旋状ロッド44は、「案内部材42のスリット孔4202を貫通してスリーブ32内に進入し」、「螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動する」と、「螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が回転方式でスリット孔4202の内壁を干渉して、案内部材42を連動して往復回転させ」、「一方向軸受40が案内部材42の一方向回転を干渉するため、一方向軸受40が一方向のみ回転」することが記載されている。これより、甲1には、主スリーブ32の上端の内側に固定されている一方向軸受40と、一方向軸受40の内側の中空箇所に設けられ、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を有し、螺旋状ロッド44の往復運動に連動して往復回転する際、一方向軸受40を一方向のみ回転させる案内部材42について記載されているといえる。

ク.甲1には、上記イより、「モップヘッド38の中央部は貫通孔を有し、かつ主スリーブ32の下端に固定され」ることが記載され、この「モップヘッド38の下部はブラシ毛3802を有し」ていることも記載されているから、甲1に記載されたモップヘッド38は、主スリーブ32の下端に固定され、ブラシ毛3802を有する。

ケ.甲1には、「把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動(第1状態と第2状態を繰り返す)させると、螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が回転方式でスリット孔4202の内壁を干渉して、案内部材42を連動して往復回転させている。一方向軸受40が案内部材42の一方向回転を干渉するため、一方向軸受40が一方向のみ回転し、かつ一方向軸受40が主スリーブ32に固定されているため、主スリーブ32も従って一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させて、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができる。」と記載(上記イ参照)されていることから、把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、案内部材42を連動して往復回転させ、かつ、一方向軸受40が一方向のみ回転し、主スリーブ32も一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させて、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができることについて記載されているといえる。

コ.また、甲1には、螺旋状ロッド44に関し、「螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が回転方式でスリット孔4202の内壁を干渉して、案内部材42を連動して往復回転させている」と記載(上記イ参照)されていることと、上記ケをあわせてみれば、甲1には、螺旋状ロッド44は、螺旋状棒体を有し、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を有する案内部材42は、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体がスリット孔4202の内壁を干渉して、把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、螺旋状ロッド44が上、下へ往復運動することによって案内部材42を往復回転させていることも記載されているといえる。

サ.甲1には、「使用者がブラシ毛3802の水を振り切るとき」には、「エジェクタロッド36は主スリーブ32内でモップヘッド38の貫通孔を通してモップヘッド38の下方へ延出し、エジェクタロッド36が下へ延出して水桶の底部に当接する」ことが記載(上記イ参照)され、さらにこの状態で、把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、上記ケに記載するように、モップヘッド38も連動して一方向に高速に回転し、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができることから、甲1には、モップヘッドは、エジェクタロッド36が主スリーブ32内でモップヘッド38の貫通孔を通してモップヘッド38の下方へ延出し、エジェクタロッド36が水桶の底部に当接する状態で把持棒筒34を往復運動させると、モップヘッド38も連動して一方向に高速に回転し、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができることも記載されている。

(2)甲1考案の認定
ア.上記(1)のアないしサを含む甲1全体の記載を総合すると、甲1には、以下の考案が記載されていると認められる(以下、「甲1考案1」という)。(分説記号a1等は、本件考案に付与したA1等にならって、合議体が付与した。以下同様とする。)

a1 把持棒筒34を上下に往復させ、モップヘッド38を一方向回転させることによって、脱水するモップ構造であって、
b1 主スリーブ32と、
c1 主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合して、主スリーブ32に対して往復摺動させることが可能である把持棒筒34と、
d1 主スリーブ32の上端の内側に固定されている一方向軸受40と、
e1 細長い形状を有し、把持棒筒34とともに往復運動できるように把持棒筒34に装着される螺旋状ロッド44と、
f1 一方向軸受40の内側の中空箇所に設けられ、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を有し、螺旋状ロッド44の往復運動に連動して往復回転する際、一方向軸受40を一方向のみ回転させる案内部材42と、
g1 主スリーブ32の下端に固定され、ブラシ毛3802を有するモップヘッド38と、
i1 把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、案内部材42を連動して往復回転させ、かつ、一方向軸受40が一方向のみ回転し、主スリーブ32も一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させて、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができるモップ構造。

イ.また、甲1には、上記(1)のコより、次の考案(以下、「甲1考案2」という。)も記載されているといえる。

a2 螺旋状ロッド44は、螺旋状棒体を有し、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を有する案内部材42は、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体がスリット孔4202の内壁を干渉して、把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、螺旋状ロッド44が上、下へ往復運動することによって案内部材42を往復回転させている甲1考案1のモップ構造。

ウ.さらに、甲1には、上記(1)のキより、次の考案(以下、「甲1考案3」という。)も記載されているといえる。

a3 一方向軸受40は、主スリーブ32の上端の内側に固定され、
b3 かつ、一方向軸受40が案内部材42の一方向回転を干渉するため、一方向軸受40が一方向のみ回転する甲1考案1のモップ構造。

エ.さらに、甲1には、上記(1)のサより、次の考案(以下、「甲1考案4」という。)も記載されているといえる。

a4 モップヘッドは、エジェクタロッド36が主スリーブ32内でモップヘッド38の貫通孔を通してモップヘッド38の下方へ延出し、エジェクタロッド36が水桶の底部に当接する状態で把持棒筒34を往復運動させると、モップヘッド38も連動して一方向に高速に回転し、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができる甲1考案1のモップ構造。

2 甲2の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2には、次の事項が記載されている。なお、一部改行を削除した。

(1)「【請求項1】 大径パイプ内に小径パイプをスライド可能に挿入してなる伸縮パイプにおいて、該小径パイプの所要のスライドによって設定されたパイプ長さを固定具で固定可能とした伸縮パイプの固定装置であり、
前記固定具は、前記大径パイプの端部に固定されて前記小径パイプを挿通させ得る内筒を具え、該内筒の外周面に雄ネジ部が設けられてなり、又前記内筒の先端は、内方に向けて小径となり且つ内方端が外方端よりも前記大径パイプの端部に近いテーパ面に形成された内筒部材と、前記小径パイプを挿通させることができ、且つ前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が内周面に設けられた外筒を具え、該外筒の内周面の基端側の部分は、内方に向けて小径となり且つ内方端が外方端よりも前記大径パイプの端部から遠いテーパ面に形成された外筒部材と、前記小径パイプが挿通可能で且つ内面が円弧状面に形成されたC字状を呈し且つ前記内筒部材のテーパ面と前記外筒部材のテーパ面との間に介在せしめられる、径が弾性的に縮小し得るC字状リング部材とを具えており、
前記雄ネジ部に前記雌ネジ部を螺合させて前記外筒部材を回転させることにより、前記C字状リング部材が、前記内筒部材のテーパ面と前記外筒部材のテーパ面との間に挟まれた状態となり得、該挟まれた状態から外筒部材を締め付けることにより、前記両テーパ面が前記C字状リング部材の外側部を内方に押圧するに伴い該C字状リング部材の直径が小さくなって該C字状リング部材の内面が前記小径パイプの外周面を押圧状態となり、それに伴う摩擦力の作用によって、該C字状リング部材が前記小径パイプと一体化し、このように一体化したC字状リング部材が、前記大径パイプに固定状態にある前記内筒部材と一体化することを特徴とする伸縮パイプの固定装置。」

(2)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大径パイプ内に小径パイプをスライド可能に挿入してなる伸縮パイプにおいて、該小径パイプの所要のスライドによって設定されたパイプ長さを固定具で固定可能とした伸縮パイプの固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】モップや洗車ブラシ等の清掃用具の柄や幟竿等に多用されている伸縮パイプは、大径パイプ内に小径パイプをスライド可能に挿入し、該小径パイプの所要のスライドによって設定されたパイプ長さを固定装置で固定可能となされていた。
【0003】前記固定装置の一例としては、小径パイプの端部に筒体を固定し、該筒体の外周に偏心リングを組み込み、大径パイプと小径パイプの僅かな逆方向の回動操作によって、前記偏心リングを、大径パイプの内周面と前記筒体の外周面との間で圧接状態とし、接触部に作用する摩擦力によって、両パイプの相対的な移動を阻止するように構成されていた。
【0004】しかしながら、かかる構成の固定装置は、前記のように、大径パイプと小径パイプの僅かな逆方向の回動操作によってパイプ長さを固定するものであったため、その相対的な回動が一寸した外力の作用によって緩む恐れがあり、その結果、伸縮パイプの固定状態が解除されてしまう問題があった。例えば、洗車ブラシのブラシ部分に加わる外力の作用によって前記固定状態が解除されてしまう問題があったのである。又、前記固定操作や固定の解除操作を反復して行う内に前記偏心リングに摩耗等が生じ、固定効果が低下する問題も発生した。
【0005】このような問題点の解消された固定装置としては、例えば図16?17に示すものが提案されている。該固定装置aは、小径パイプbがスライド可能に挿入される大径パイプcの端部にスリーブdが固定され、該スリーブdの先側部分eの外周面がテーパ面fに形成されると共に、該先側部分eには、その先端で開口するスリットgの複数が周方向に所要間隔で設けられてなる。又前記スリーブdの基端側部分の外周面には雄ネジ部jが設けられると共に、該雄ネジ部jに螺合される固定筒kの先側部分の内周面には、該固定筒kを締め付けた時に前記テーパ面fを内方に向けて押圧するテーパ面mが設けられていた。そして、前記小径パイプbのスライド長さを所要に設定した後に前記固定筒kを締め付けると、図18に示すように、該固定筒kのテーパ面mが前記スリーブdのテーパ面fを内方に押圧し、該押圧により、スリーブdのスリットg,g間に形成された挾持片nの夫々が内方に変形して小径パイプbの外周面pを挾持し、この挾持によって、前記設定されたパイプ長さを固定可能としてなるのものであった。
【0006】かかる固定筒を用いる固定装置によるときは、前記偏心リングを用いる固定装置とは異なり、大径パイプ及び小径パイプとは別個に設けられた固定筒を十分に締め付けることによって固定作用を得ることができるため、大径パイプと小径パイプの僅かな逆方向の回動操作によって固定させる場合のような、固定状態が不用意に解除されてしまうといった問題が発生しない利点があった。」

3 甲2の1の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2の1には、次の事項が記載されている。なお、一部改行を削除した。

(1)「【請求項1】 小径パイプがスライド自在に挿入された大径パイプの端部にスリーブを固定し、そのスリーブの先端部外周にテーパ面を設け、そのテーパ面に続く円筒部の外周にねじを形成し、前記スリーブの先端からねじの後端に至る軸方向のスリットを円周方向に所要間隔をおいて複数設け、上記スリーブのねじにねじ係合された操作筒の内周先端部に、その操作筒の締付け時に前記テーパ面を内方向に押圧するテーパ面を設けた伸縮パイプ。」

(2)「【0001】【産業上の利用分野】この発明は、伸縮パイプに関するものである。
【0002】【従来の技術】大径パイプの内側に小径パイプをスライド自在に挿入した伸縮パイプは、のぼり竿やモップの柄等に非常に多く用いられている。
【0003】上記伸縮パイプは、普通、大径パイプと小径パイプの相対的な移動によって長さを調整したのち、ロック機構の作用によりロックして両パイプの相対的な移動を防止している。」

「【0007】この発明の課題は、大径パイプと小径パイプとが同軸上に配置された状態でその両パイプを確実にロックすることができると共に、ロック効果を長期にわたって保持することができる伸縮パイプを提供することである。」

「【0011】図示のように、大径パイプ1の内側には小径パイプ2がスライド自在に挿入され、大径パイプ1の端部にスリーブ3が取付けられている。
【0012】スリーブ3の内周には段4が形成され、その段4が大径パイプ1の端縁と衝合している。このスリーブ3は接着による手段を介して大径パイプ1の端部に固着されている。
【0013】スリーブ3の先端部外周にはテーパ面5が形成され、そのテーパ面5に続く円筒部の外周にねじ7が設けられている。また、スリーブ3には先端面からねじ7の後端部に至る軸方向の複数のスリット8が周方向に等間隔に形成され、隣接するスリット8間が挾持片9とされている。
【0014】スリーブ3の外側に設けた操作筒10の内周先端部にはテーパ面11が形成され、そのテーパ面11に続く内周にスリーブ3のねじ7と係合するめねじ12が設けられている。
【0015】いま、操作筒10を締め付けると、その操作筒10に設けられたテーパ面11がスリーブ3のテーパ面5を内方向に押圧し、その押圧によって挾持片9が内方向に変形する。
【0016】ここで、挾持片9を形成するスリット8がテーパ面5の軸方向長さに相当する長さであると、挾持片9が容易に変形せず、その変形時、挾持片9の先端部のみが小径パイプ2の外周に接触して、小径パイプ2を強固に挾持することができない。
【0017】そこで、テーパ面5の軸方向長さを長くすれば、長さの長い変形の容易な挾持片9を形成することができるが、この場合、スリーブ3が大型化するという問題が生じる。
【0018】実施例では、スリーブ3に設けられたスリット8がスリーブ3の先端からねじ7の後端に至る長さを有しているため、コンパクトなスリーブ3でありながら、変形の容易な挾持片9を得ることができる。操作筒10の締付けにより、上記操作片9が内方向に変形することにより、挾持片9は内周先端から小径パイプ2の外周に接触し、操作筒10の締付け量が多くなるに従って小径パイプ2の外周に対する挾持片9の接触長さが長くなる。
【0019】このため、複数の挾持片9は小径パイプ2をきわめて強固に挾持することになり、その挾持によって大径パイプ1と小径パイプ2とは確実にロックされる。
【0020】また、複数の挾持片9はスリーブ3のテーパ面5の押圧によって内方向に変形するため、挾持片9は内方向に均等に変形し、小径パイプ2は大径パイプ1と軸心が一致する状態でロックされる。
【0021】上記のように、挾持片9は内方向の変形によって小径パイプ2を挟持し、その変形による復元力によって挾持片9は操作筒10を押圧するため、操作筒10の弛みを防止し、伸縮パイプをロック状態に確実に保持する。」

4 甲2の2の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2の2には、次の事項が記載されている。なお、一部改行を削除した。

(1)「【請求項1】 柄部を連結せる長円形状の基台主体にモップ材を覆装してなるものであって; 屈曲折目部を介し対設した一方の基台部表面に設けた柄部受入支持部上面と連なる連接片を有する斜面部下縁が前記屈曲折目部沿いに連設し、また前記斜面部下縁の横方向より緊密に嵌着する切込部を形成し、かつ接続部位上面には補強片を固着してなる別体とした平坦状の保持板を配置して、しかも着脱自在としてなる清掃用モップ。」

(2)「【産業上の利用分野】 本発明は、床面に限らず、壁面その他にも共用され、特にそれらの隅角部位の清掃について効果的に使用される清掃用モップに関するものである。
【0002】【従来の技術】 従来より広く提供されている清掃用具のうち、一般にモップ(mop)と呼称されているT字形の長い柄の先に雑巾またはモップ糸を備えたものは、主に床面等に対し平面的に縦または横方向への擦過動作を行って清掃するものである。その1例としては、特開昭56-5628号公報(モップ)に示されるように、モップ洗浄用のバケツに絞り機構を要しない構成とした提案に示されるものや、モップ糸の取り替えを工夫したもの(昭和61年11月11日付の家庭日用品新聞第12頁掲載の広告頁)が知られている。」

(3)「【0009】 図1ないし図3において、1は合成樹脂製の長円形状の基台主体であって、該基台主体1の長手方向に対し中央部位で二分する位置に形成した二折可能な屈曲折目部6を介し、基台部5A,5Bが対設される。基台部5A表面のほぼ中心部位には、傾斜した形状の柄部受入支持部7の放射片8の下端が連設し、柄部受入支持部7の上面と連なる連接片10を有する斜面部9下縁が前記屈曲折目部6沿いに連設している。11Aは連接片10と斜面部9との接続部位に沿って隆設した咬合突縁部である。また基台部5B表面には、前記咬合突縁部11Aと対応する咬合受入部11Bが隆設してある。
【0010】 2Aは平坦状の保持板であり、該保持板2Aの後述する突部14と対向する側縁よりには前記斜面部9下縁の横方向より嵌入した場合、緊密に嵌着する切込部12を形成してあり、切込部12の及ばない接続部位上面には、図2のごとく補強片13が固着される。保持板2A、補強片13は金属製またはプラスチック製とされるが、いずれの場合も強固な材質であることが好ましい。また切込部12は図3のごとく斜面部9の傾斜角度と合致させずに、保持板2Aと直角に形成することがよく、嵌着した場合の緊密度が高まることになる。
【0011】 図面上(図1、図2)、保持板2A側縁の一方を突部14とする場合を示したが、それは主に意匠的配慮と保持板2Aを必要限度内に幅狭とし、材料費の節減を計ったものであるので、図示を省略したが例えば長方形状に形成することも差し支えない。
【0012】 3は基台主体1下面方向から覆装する柔軟な布製のモップ材であり、その裏面にモップ糸17を密植し、モップ材3表面には両端に基台主体1を挿着するための袋部18A,18Bが対設してある。4は図面上後端と中間部を一部省略した既知の柄部であり、図示例の場合、2本のパイプからなる柄部4の中間部には、該パイプを伸縮させ固定することができる既知の緊締部材20を備え、柄部4の前端近くには、柄部4と柄部受入支持部7とを連結させた場合に、取り外し自在のもとに固定する回動固定部材21を設けてある。」

5 甲2の3の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2の3には、次の事項が記載されている。なお、一部改行を削除した。

(1)「【実用新案登録請求の範囲】
(1) 先端に雄ねじを形成させた外パイプと、この外パイプ内に摺動自在に挿入される内パイプと、前記外パイプの雄ねじに螺合され先端部を外パイプに挿入された内パイプの表面に接せられた調節部材と、この調節部材に螺合され、螺合時に調節部材の先端を内パイプに押し付ける固定部材とを有することを特徴とする伸縮パイプ。」

(2)「本考案は長さを調節することができるパイプに関する。さらに詳細には室内の壁間又は天井と床との間に確実に固定することができるパイプに関する。」(第2ページ9行ないし12行)

(3)「第1図は本考案伸縮パイプ1の断面図で、図示のように内パイプ2は外パイプ3に摺動自在とされている。外パイプ3の一端の外周には雄ねじ4が切られ他端にはキャップ5が取り付けられている。内パイプ2は単なるパイプであり、その外パイプ3に入れられない側の先端には同様にキャップ6が取り付けられている。」(第6ページ18行ないし20行)

(4)「前記外パイプ3の雄ねじ4には第2図に示す調節部材10が取り付けられている。この調節部材10は前記雄ねじ4に螺合させられる雌ねじ11を有する調節部12と内パイプ2を固定する固定部13とからなる筒体である。調節部12は外パイプ3の外周とほぼ等しい内周とされ、その内周に前記雌ねじが切られた形状である。一方、固定部13は先端からスリット14が適宜の長さに4本形成され、かつ、外周部に雄ねじ15が形成された形状であり、さらに、先端部分16は傾斜面とされている。この固定部13の内周側は少なくとも一定幅は内パイプ2の外周とほぼ等しい内周とされ、その一部に溝17が切られている。この溝17にはゴム等の摩擦量の多い材料のパッキン18が挿入される。
前記調節部材10の雄ねじ15に螺合される雌ねじ21を内周部に有する筒体が固定部材20で、この筒体内部にはさらに雌ねじ21を雄ねじ15に螺合させたときに前記傾斜面16と接触する傾斜面とされた楔部22が形成されている。この楔部22は固定部材20を調節部材10に螺合させて行くことによりその傾斜によって調節部材10の固定部13を内パイプ2の表面に押し付けるように構成されている。
スリット14によって固定部13は弾性を持たせられているので、その先端16を楔部22によって押されることによってその内周部が内パイプ2の表面に押し付けられ、調節部材10が内パイプ2に固定される。調節部材10の先端16を傾斜面としたのは楔部22の傾斜と接触させるためであるが、必ずしも傾斜面である必要はない。要は楔部22によって固定部13が内パイプ2側に押し付けられる構成であればどのようなものでも良い。」(7ページ18行ないし9ページ11行)

(5)「固定部材20の螺合を緩めておけば、調節部材10の固定部13は内パイプ2に押し付けられないので、内パイプ2は外パイプ3内で自由に移動させることができる。この伸縮パイプ1を取り付ける箇所の間隔に応じた長さに伸ばした後、固定部材20を調節部材10の雄ねじ15に螺合させる。当然調節部材10は事前に外パイプ3に螺合させられている。固定部材10を螺合させるとその楔部22が傾斜面16に接触し、さらに螺合され続けることによって楔部22の傾斜によって調節部材10の固定部13が円心側に押され、その内周部が内パイプ2の表面に強く押し付けられる。パッキン18が固定部13の内周部に設けられているので、固定部13はより密着させられる。いずれにしても上記のように固定部材20の雄ねじ15への螺合によって内パイプ2は調節部材10に固定される。従って、内パイプ2は摺動することなく停止させられ全体の長さが一応設定される。その長さに設定したのち、所定の箇所に配置し、調節部材10を回転させる。調節部材10はその雌ねじ11が外パイプ3の雄ねじ4に螺合されているだけであるので、この回転によって内パイプ2ごと回転し、全体の長さを雌ねじ11と雄ねじ4のかみ合いで決められる長さだけ変えることができる。すなわち、調節部材10の回転によって全体の長さを長くすることができるので、結果的にこの伸縮パイプ1の両端に突っ張り力を与えることができる。」(10ページ4行ないし11ページ11行)

6 甲3の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3には、次の事項が記載されている。なお、( )内に示した翻訳文は、請求人提出のものによる。

(1)「


(翻訳文:【背景技術】
従来のモップは、使用又は洗浄後に、通常、比較的長い時間で干し、又は、比較的大きな力で水分を絞る必要がある。また、手動で絞り部材を操作しながら水分を絞る必要があるので、手が汚れた水を触ってしまい、特に、絞り過程においては、絞り部材が引っかかって布が取り出せない可能性もあるため、手動で絞り部材を外して布を取り出さないといけないということが生じてしまう。よって、従来のモップを洗浄する際、時間がかかり、衛生上の要求も満たせない。
【実用新案の内容】
従来技術の欠陥を克服するために、本考案は、モップ支えによりモップをモップバケツにまっすぐに挿入し、モップロッドを下方へ押しつけることでモップヘッドを軸方向に回転させて脱水することが可能な回転モップ及びモップバケツを提供することを目的とする。当該回転モップ及びモップバケツは、構造が簡単且つ合理的であり、コストが低く、使いやすい。)

(2)「


(翻訳文 :図1は、本考案に記載の回転モップの模式図であり、中空のモップロッド1と、真ん中から二つに折ることができるモップヘッド2と、モップロッド1とモップヘッド2を接続する中継接続部材3とを備える。図2は、中継接続部材の断面模式図である。前記中継接続部材3は、上から下へ順に上部蓋4、外部ケース14及び底部蓋12からかる中空のケーシングを備える。外部ケース14の軸心には、表面が捩り模様である軸棒7を軸方向に沿って設置し、軸棒7における上部蓋4寄りの一端には、外部ケース14の軸方向に沿って上下へスライドし、外部ケース14の軸線を回転軸として軸棒7を回転させることができるモップロッド接続材5を設置する一方、底部蓋12寄りの一端には、軸棒7により外部ケース14の軸線を回転軸として回転するモップヘッド接続材10を設置し、モップロッド1は、モップロッド接続材5と接続し、モップヘッド2は、モップヘッド接続材10と接続する。上述した技術案においては、従来技術を用いてモップロッド1とモップロッド接続材5を接続することができ、例えば、ねじ接続しても良く、係合接続しても良い。また、従来技術を用いてモップヘッド2とモップヘッド接続材10を接続することができ、例えば、ねじ接続しても良く、係合接続しても良い。モップロッド1とモップロッド接続材5が接続されると、モップロッド1を上下方向において押す又は引っ張ることにより、モップロッド接続材5が外部ケース14の軸方向に沿って上下方向においてスライドする。これによって軸棒7は、外部ケース14の軸線を回転軸として回転することになり、最終的にモップヘッド2を回転させ、モップヘッド2を脱水する目的を実現する。そのために、上部蓋4には、モップロッド1とマッチングする貫通孔を設置し、底部蓋12には、モップヘッド2の接続部材とマッチングする貫通孔を設置している。前記モップロッド1には、従来技術のものを用いても良く、例えば、一体化されたモップロッドであっても良く、セパレートのモップロッドであっても良く、伸縮可能なモップロッドであっても良い。前記モップヘッドには、従来技術のものを用いても良く、例えば、自在継手付き接続部材であり、真ん中から二つに折ることが可能なモップヘッドであっても良く、雌ねじ付き接続棒であり、真ん中から二つに折ることが可能なモップヘッドであっても良い。従来技術を用いて上部蓋4と外部ケース14を接続することができ、例えば、ねじ接続しても良く、係合接続しても良い。上部蓋14は、モップロッド接続材5を外部ケース14内に制限し、従来技術を用いて底部蓋12と外部ケース14を接続することができ、例えば、ねじ接続しても良く、係合接続しても良い。上部蓋4、外部ケース14及び底部蓋12からなる中空のケーシングの形状は、従来技術のものを用いても良く、例えば、円柱形であっても良く、図2に示す形状であっても良い。
上述した技術案に基づいて、以下の具体的な実施例が挙げられる。モップロッド接続材5には、軸方向において軸棒7が貫通する、軸棒7の表面の捩り模様とマッチングするための捩り模様貫通孔22を設置している。モップロッド接続材5の側面には、軸方向において少なくとも1つの溝23’を設置し、外部ケース14内壁には、溝23’とマッチングする突起(凸稜)23を設置している。外部ケース14と底部蓋12を接続する箇所には、軸方向において少なくとも1つの突起(凸稜)15を設置し、底部蓋12には、突起15とマッチングする溝15’を設置し、外部ケース14と底部蓋12との間には、底部蓋バネ13を設置し、底部蓋12の底面には、半径方向において少なくとも1つの溝16’を設置し、モップヘッド接続材10には、軸方向において軸棒7が挿入する貫通孔17を設置し、モップヘッド接続材10には、溝16’とマッチングする突起(凸稜)16を設置し、モップヘッド接続材10と軸棒7は、ピン21により接続する。モップロッド接続材5の側面の溝23’は、外部ケース14の内壁における溝23’とマッチングする突起23に係合すると、モップロッド接続材5は、外部ケース14の軸方向に沿って上下へスライドするしかできない。モップロッド接続材5には、軸方向において軸棒7が貫通する、軸棒7の表面の捩り模様とマッチングするための捩り模様貫通孔22を設置しているため、モップロッド接続材5が外部ケース14の軸方向において上下へスライドする際、捩り模様貫通孔22を貫通する軸棒7が時計回り回転又は反時計回り回転する。また、モップヘッド接続材10と軸棒7は、ピン21により接続するので、軸棒7が時計回り回転又は反時計回り回転することに伴い、モップヘッド接続材10も同時に時計回り回転又は反時計回り回転し、同時に、モップヘッド接続材10と接続するモップヘッド2も同時に時計回り回転又は反時計回り回転する。よって、モップヘッド2を脱水する目的を実現することができる。通常、モップで掃除する際、モップヘッド2を回転させる必要がないので、外部ケース14と底部蓋12を接続する箇所には、軸方向において少なくとも1つの突起15を設置し、底部蓋12には、突起15とマッチングする溝15’を設置している。従って、外部ケース14の突起15は、底部蓋12における突起15とマッチングする溝15’と係合すると、底部蓋は、外部ケース14の軸方向に沿って上下へスライドするしかできない。外部ケース14と底部蓋12との間に設置されている底部蓋バネ13により、底部蓋12が軸方向に沿って外部ケース14から突出する状態を保つことができる。また、底部蓋12の底面における半径方向に設置する溝16’は、モップヘッド接続材10における溝16’とマッチングする突起16に係合すると、垂直方向及び水平方向における2セットの突起及び溝の設置により、モップヘッド接続材10が回転できないので、モップヘッド2を回転させない目的を実現することができる。モップヘッド2を回転させる必要がある場合、底部蓋を圧迫して底部蓋バネ13を収縮させることにより、底部蓋12の底面における半径方向に沿って設置する溝16’とモップヘッド接続材10における溝16’とマッチングする突起16を離させることで、モップヘッド2を回転させる目的を実現することができる。
上述した技術案においては、モップヘッド2は、軸棒7の回転に伴って時計回り回転する又は反時計回り回転する。上述した技術案に基づいて、モップヘッド2が単一方向で回転して脱水する目的を実現させるための具体的な実施例は、次の例を挙げられる。モップロッド接続材5には、軸方向において軸棒7が貫通する、軸棒7の表面の捩り模様とマッチングするための捩り模様貫通孔22を設置し、モップロッド接続材5の側面には、軸方向において少なくとも1つの溝23’を設置し、外部ケース14の内壁には、溝23’とマッチングする突起23を設置している。外部ケース14と底部蓋12を接続する箇所には、軸方向において少なくとも1つの突起15を設置し、底部蓋12には、突起15とマッチングする溝15’を設置し、外部ケース14と底部蓋12との間には、底部蓋バネ13を設置し、底部蓋12の底面には、半径方向において少なくとも1つの溝16’を設置し、モップヘッド接続材10には、軸方向において軸棒7が挿入する貫通孔17を設置し、モップヘッド接続材10には、溝16’とマッチングする突起16を設置する。モップヘッド接続材10における突起16から離れる一端は、回転蓋11に接続し、回転蓋11は、軸方向において軸棒7が貫通する貫通孔18を設置し、回転蓋11の内には、軸方向において上下へ動くブロック8を更に設置し、ブロック8とモップヘッド接続材10が接触する端面には、それぞれ少なくとも1つの横断面が矩形である突起19、19’(即ち、突起19はブロック8に設置し、突起19’はモップヘッド接続材10に設置する。または、突起19’はブロック8に設置し、突起19はモップヘッド接続材10に設置しても良い)を設置し、ブロック8には、軸方向において軸棒7が貫通する貫通孔20を設置し、ブロック8は、ピン21により軸棒7に固定されている。本実施例においては、ブロック8と軸棒7は、ピン21により接続するので、軸棒7が時計回り回転する又は反時計回り回転することに伴い、ブロック8も同時に時計回り回転する又は反時計回り回転する。ブロック8は、回転蓋11の内に設置し、上下へ動くことができる。ブロック8は、モップロッド接続材5が下へ動くことによって軸棒7を回転させる際、軸棒7の位置も同時に下へシフトするので、ブロック8は、回転しながら下へシフトする。また、ブロック8とモップヘッド接続材10が接触する端面における突起19及び突起19’が接触すると、ブロック8は、モップヘッド接続材10を連動させて同時に回転する。ブロック8は、モップロッド接続材5が上へ動くことに伴って軸棒7を逆方向で回転させる際、軸棒7の位置も同時に上へシフトするので、ブロック8は、逆方向で回転しながら上へシフトする。ブロック8とモップヘッド接続材10が接触する端面における突起19と突起19’とが離れると、モップヘッド接続材10は、ブロック8と共に逆方向で回転しないので、モップヘッド2を単一方向で回転して脱水する目的を実現することができる。よって、突起19及び突起19’の形状は、少なくとも互いに噛み合わせることができる形状にするべきであり、そういう形状ではなければ、ブロック8によってモップヘッド接続材10を回転させることができない、又は、スムーズに回転することができない。例えば、断面積が三角形である場合、2つの斜面を噛合面とすることが適切ではない。前記突起19及び突起19’は、断面が直角台形であり、互いにマッチングする突起であっても良く、ブロック8とモップヘッド接続材10が接触する端面における突起19及び突起19’が接触すると、直角台形の直角辺が互いに噛合することで、ブロック8によりモップヘッド接続材10を回転させ、ブロック8とモップヘッド接続材10が接触する端面における突起19と突起19’とが離れると、直角台形の斜辺の存在で、ブロック8によりモップヘッド接続材10を回転させることができない。よって、ブロック8は、回転蓋11において上下へ動く範囲については、従来技術を用いても良いが、少なくとも突起19と突起19’を重ねあわせた高さよりやや大きい。ブロック8とモップヘッド接続材10が接触する端面における突起19及び突起19’が正確に接触したり、離れたりすることを保障するために、本実施例では、次の技術案を用いている。モップヘッド接続材10における突起16から遠く離れる一端は、回転蓋11に接続し、回転蓋11には、軸方向において軸棒7が貫通する貫通孔18を設置し、回転蓋11内には、軸方向において上下へ動くブロック8を設置している。従来技術を用いてモップヘッド接続材10と回転蓋11を接続することができ、例えば、ねじ接続しても良く、係合接続しても良い。
上述した技術案に基づき、モップヘッド接続ブロック10をよりスムーズに回転させるために、図2に示すように、モップヘッド接続ブロック10に圧力軸受9を設置しても良い。当該圧力軸受9には、従来技術を用いても良く、例えば、図2に示すように、上から下へ順にリング状の上仕切り板41、リング状のホルダ42及びリング状の下仕切り板43であっても良い。ホルダ42には、円周方向に等間隔で少なくとも4つのボール44を設置し、上仕切り板41及び下仕切り板43のそれぞれには、ボール44とマッチングするボール軌道を設置している。図2の圧力軸受9は、ケーシング14、回転蓋11及びモップヘッド接続材10の形状、サイズの合わせのことで、モップヘッド接続ブロック10がケーシング14から外れることを防止する機能も有している。
上述した技術案に基づき、モップロッド接続ブロック5とモップヘッド接続ブロック10との間には、バネ6を設置している。よって、手動でモップロッド1を下へプッシュすると、従動的にモップロッド接続ブロック5は、ケーシング14の軸方向に沿って上下へ摺動し、これに伴って軸棒7がケーシング14の軸線を回転軸として回転し、最終的にモップヘッド2を回転させることになり、モップヘッド2を脱水する目的を実現させたあと、バネ6は、モップロッド1を自動的に元の位置に戻させるための役割を果たすので、人為的な労動が軽減され、回転脱水操作の時間及び労力が節約でき、使いやすい目的を実現することができる。
本考案に記載のモップバケツについては、図3、図4、図5を参照し、図3は、モップバケツの縦方向の断面模式図であり、図4は、モップバケツの横方向の断面模式図であり、図5は、モップ支え枠の立体透視模式図である。本考案に記載のモップバケツは、その底面に支持台52を設置するバケツ本体51を有する。回転盤54は、圧力軸受53により支持台52と接続し、バケツ本体51のバケツ縁には、モップ支持枠55を設置し、当該モップ支持枠55の天井面には、モップヘッド2が2つに折られた後に通過するためのモップ溝56及び支え底蓋12を支持するための4つの突出部57を設置している。回転盤54とモップ支持枠55の天井面との距離は、モップヘッド2が2つに折られた後の長さとマッチングする。当該支持台52には、従来技術を用いても良く、例えば、図3及び図4に示す階段状であっても良く、円柱状又は他の適切な形状であっても良い。当該圧力軸受53には、従来技術を用いても良く、例えば、前記圧力軸受9のように、左から右へ順にリング状の上仕切り板、リング状のホルダ及びリング状の下仕切り板であっても良い。ホルダは、円周方向に等間隔で少なくとも4つのボールを設置し、上仕切り板及び下仕切り板のそれぞれには、ボールとマッチングするボール軌道を設置している。前記回転盤54には、従来技術を用いても良く、回転しやすくするために、回転盤54に貫通孔又は貫通溝を設置し、回転盤54の中に落ちた水が貫通孔又は貫通溝を通過してバケツ本体51に流れ込むようにさせることができる。モップ支持枠55は、回転盤54の真上に設置し、モップ支持枠55とバケツ本体51の接続部分の形状は、マッチングする必要がある。モップ支持枠55とバケツ本体51の接続方法については、従来技術を用いて良く、例えば、係合接続又は挿入接続又はピンによる接続であっても良い。モップ支持枠55の側面は、枠構造のみを有しても良く、回転時に汚い水が飛び掛かることを防止するために、密封構造が好ましい。使用上の便利さを考慮する場合、バケツ本体51の内部に面する側に開口してもよく、さらにバケツ本体51の内部に面する側においてバケツ本体51の内部に向けて回転盤54を遮るための水遮り板を設置してもよい。モップ支持枠55の天井面のモップ溝56は、図5に示す十字形状の溝であっても良く、他の形状のモップ溝であっても良く、モップヘッド2が2つに折られた後にモップ溝を通過することができ、突出部57は、底蓋12を支持することができれば良い。前記底蓋12を支持することとは、突出部57は、モップ支持枠によりモップがまっすぐにモップバケツに入った際に、底蓋を圧迫して底蓋バネ13を収縮させ、底蓋12の底面における半径方向に設置する溝16’とモップヘッド接続ブロック10における溝16’とマッチングする凸稜16を離させる役割を果たしていることを意味する。よって、モップヘッド2が2つに折られてモップ溝56からバケツ本体51に入った後、突出部57は、底蓋を圧迫して底蓋のバネ13を収縮させ、底蓋12の底面における半径方向に設置する溝16’とモップヘッド接続ブロック10における溝16’とマッチングする凸稜16を離させるので、モップヘッド接続ブロック10が回転できる状態になり、この時、手動でモップロッド1を下へプッシュすると、モップロッド接続ブロック5がケーシング14の軸方向に沿って下へ移動し、これに伴って軸棒7がケーシング14の軸線を回転軸として回転し、軸棒7がモップヘッド接続ブロック10を回転させ、最終的にモップヘッド2を回転させる。モップロッド1が外されると、バネ6がモップロッド接続ブロック5をケーシング14の軸方向に沿って上へ移動させ、これに伴って軸棒7がケーシング14の軸線を回転軸として逆方向に回転させ、次にモップロッド1を下へプッシュするための準備ができ、モップヘッド2を脱水する目的を実現する。)

7 甲3の1の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3の1には、次の事項が記載されている。なお、( )内に示した翻訳文は、請求人提出のものによる。

(1)「


(翻訳文:【考案の技術分野】
本考案は、モップに関し、特に、モップロッドの軸方向の作用力をモップヘッドの回転運動に変換させ、モップヘッドにおいて遠心力を発生させる動力変換装置を備えるモップに関する。
【従来技術】
従来のモップにおいては、モップヘッド及びモップロッドを主に有し、モップヘッドを絞って脱水させるために、様々な異なる方法がある。1つの方法では、使用者が手でモップヘッドの一端を固定し、モップヘッドの他端を回転させて吸い込まれた水分をこれによって絞り出させる。故に、モップヘッドを使用者の希望に合わせてある程度絞って使用上の要求を満たすことができる。当該方法では、使用者の手が直接にモップヘッドに接触しないといけないので、使用後に手が汚れて洗わないといけないというデメリットが生じてしまう。
上述したデメリットを解消するために、人々は、モップ絞り脱水装置を用いてモップヘッドを脱水させる方法を使っている。当該方法では、モップヘッドを当該絞り脱水装置に当接し、モップロッドの軸方向に沿ってモップヘッドに作用力を加えると同時に、モップロッドを回転軸として当該モップヘッドを回転させ、よってモップヘッドの水分が絞り出され、水が絞り脱水装置の孔から放出される。
上述したモップ絞り脱水装置では、モップを絞り脱水させる効果が得られるが、モップ絞り脱水装置によりモップヘッドを絞り脱水させるために、使用者は、モップに対してモップヘッド方向へ作用力を加えると同時に、モップロッドを回転させてモップヘッドを絞り脱水させる目的を実現する必要がある。使用者にとっては、大きな力が必要であるので、力が不足している人にとっては、非常に不便である。)


(2)「


(翻訳文:【実施形態】
図1及び図2に示すように、本発明は、軸筒(10)と、摺動材(30)と、駆動材(50)と、位置決め材(60)と、回転子(70)と、動作ガイド材(90)とを備えるモップを提供する。当該モップは、ケーシング(20)、ロッドヘッド(40)及び弾性素子(80)を備えても良い。
当該軸筒(10)は、中空の円柱であり、上部先端(11)と、底端(12)と、内周面(13)と、動作空間(14)と、外周面(15)とを有する。当該内周面(13)は、当該上部先端(11)から当該底端(12)へ伸びて形成し、また、位置決め溝(16)を有しても良い。当該位置決め溝(16)は、当該軸筒(10)の上部先端(11)から当該底端(12)へ伸びて内周面(13)に形成している。当該位置決め溝(16)は、当該軸筒(10)を貫通する貫通孔であっても良い。当該動作空間(14)は、当該内周面(13)の内壁により、また、さらに選択的にその上にある2本の仕切り突出リブとにより区画されて形成している。当該外周面(15)は、当該上部先端(11)から当該底端(12)へ伸びて形成し、また、少なくとも1つの第一の係合部(17)を有しても良い。当該第一の係合部(17)は、当該外周面(15)における底端(12)に近い箇所に位置している。
図5に示すように、当該ケーシング(20)は、中空の円柱であり、被せ合せ面(21)及び少なくとも1つの第二の係合部(22)を有し、当該被せ合せ面(21)は、当該軸筒(10)を収容するための空間を形成し、また、当該軸筒(10)の外周面(15)の一部に当接しても良く、当該第二の係合部(22)は、当該被せ合せ面(21)の当該軸筒(10)の第一の係合部(17)に対応する箇所に形成され、第一の係合部(17)と係合することにより、当該軸筒(10)に固定されている。
当該摺動材(30)は、当該軸筒(10)の動作空間(14)内に位置し、且つ、天井面(31)並び底面(32)及び外壁(33)並び把手固定部(34)を有する、中空の円柱である本体を備える。また、当該天井面(31)は、当該軸筒(10)の上部先端(11)に近い。好ましくは、当該把手固定部(34)は、当該天井面(31)に位置し、凹んだ錐形の空間が形成され、周壁に雌ねじが形成されている。また、端面においては、貫通する、円形ではない結合孔(36)を有する。当該底面(32)は、当該天井面(31)に対向し、当該底面の中心においては、摺動材(30)の軸方向に沿って天井面(31)へ向かって凹んだ溝が形成されている。当該外壁(33)は、当該天井面(31)から当該底面(32)へ伸びて形成し、位置決め部(35)を有する。当該位置決め部(35)の両側においては、当該外壁(33)に切り溝が切られても良い。当該位置決め部(35)は、形成された本体の自在端に位置し、当該外壁(33)から当該位置決め溝(16)内へ突出し、当該軸筒(10)の位置決め溝(16)とマッチングし、当該軸筒(10)の位置決め溝(16)内に位置している。
図3、図4及び図5に示すように、当該動作ガイド材(90)は、当該凹んだ溝内に設置し、断面が円形ではない柱体(92)を有し、当該結合孔(36)を貫通して当接することで両者の位置が決まる。柱体(92)の軸方向には、貫通する螺旋ガイド溝(91)が設置されている。
1つの実施例においては、前記摺動材(30)と前記動作ガイド材(90)は、凹んだ錐形の空間内に柱体(92)を形成するように設計しても良い。
当該ロッドヘッド(40)は、当該軸筒(10)の動作空間(14)内に位置し、先端及び結合端(42)を有する。当該先端には、固定部(41)を設置し、当該固定部(41)は、当該摺動材(30)の天井面(31)の把手固定部(34)の雌ねじと結合するための雄ねじを有し、当該摺動材(30)に固定している。当該結合端(42)は、モップロッドと接続するので、モップロッドがロッドヘッド(40)方向へプッシュされると、当該ロッドヘッド(40)は、軸筒(10)の動作空間(14)内に位置する摺動材(30)を当該軸筒(10)の底端(12)にプッシュする。
当該駆動材(50)は、当該軸筒(10)の動作空間(14)内に位置し、当該摺動材(30)の底面(32)と隣り合い、当該駆動材(50)は、駆動ロッド(51)及び駆動回転子(52)を有する。当該駆動棒ロッド(51)には、動作ガイド材(90)の螺旋ガイド溝(91)とマッチングするねじが形成されている。図7に示すように、当該駆動回転子(52)は、円柱であり、当該駆動ロッド(51)における摺動材(30)から遠く離れる一端を被せるように固定し、天井面、底面及び駆動機構(53)を有する。当該天井面は、当該摺動材(30)に面し、当該底面は、当該天井面に対向する。当該駆動機構(53)は、当該底面に位置し、動き停止面(54A)及び摺動面(54B)を有する少なくとも1つの突起ブロック(54)を含む。当該動き停止面(54A)は、底面に垂直し、当該摺動面(54B)は、底面と傾斜角を成す。
図6に示すように、当該位置決め材(60)は、当該駆動材(50)の駆動回転子(52)の外側を被せるように設置する中空の円柱である。当該位置決め材(60)は、天井面、底面、収容溝(61)及び固定機構(62)を有する。当該天井面は、当該摺動材(30)の近くに位置し、当該底面は、当該天井面に対向し、当該駆動材の収容溝(61)は、底面に形成し、当該底面から当該天井面へ伸び、当該天井面においては、当該駆動材(50)の駆動棒(51)が通すことができるものの、当該駆動回転子(52)が通すことができない開口が形成されている。当該固定機構(62)は、当該位置決め材(60)の底面の近くに位置し、また、少なくとも1つのピン(62A)及び少なくとも1つのフランジ(62B)を有しても良い。当該ピン(62A)は、当該底面から位置決め材(60)から遠く離れる方向へ延出し、当該フランジ(62B)は、当該ピン(62A)の当該収容溝(61)に近い箇所に位置し、収容溝(61)の方向へ突出する。
図4、図6及び図7に示すように、当該回転子(70)は、ベース部(71)と、従動ユニット(73)と、固定機構と、接続部(76)とを備え、包囲壁(72)を有しても良い。当該ベース部(71)は、天井面及び底面を有する円形板である。当該従動ユニット(73)は、当該ベース部の天井面に設置し、また、少なくとも1つの位置止めブロック(74)を有しても良い。また、当該位置止めブロック(74)は、当該駆動材(50)の駆動機構(53)の突起ブロック(54)とマッチングし、動き停止面(74A)及び摺動面(74B)を有し、当該動き停止面(74A)は、底面に垂直し、当該摺動面(74B)は、底面と傾斜角を成す。動き停止面(54A)と動き停止面(74A)が当接すると、回転子(70)は、駆動材(50)に伴って動作する。当該固定機構は、当該ベース部の天井面に形成し、当該位置決め材(60)の固定機構(62)と連結し、少なくとも1つの位置決め孔(75A)及び少なくとも1つの溝(75B)を備えても良い。また、当該位置決め孔(75A)内には、当該位置決め材(60)のピン(62A)を設置している。なお、当該位置決め孔(75A)は、当該ベース部の天井面及び底面を貫通する貫通孔であっても良い。当該溝(75B)は、当該位置決め孔(75A)内の、当該位置決め材(60)の固定機構(62)のフランジ(62B)に対応する箇所に位置し、当該フランジ(62B)と係合する。図4に示すように、当該ベース部の底面は、天井面に対向し、接続部(76)を有する。当該接続部(76)は、当該底面の中央に形成し、モップヘッドと接続することができる。また、当該包囲壁(72)は、当該天井面(71A)から軸筒(10)の上部先端(11)の方向へ延出する。
当該弾性素子(80)は、当該摺動材(30)と当該回転子(70)との間に位置し、当該摺動材(30)の底面(32)の溝内に当接する一方の端及び当該回転子(70)のベース部(71)の天井面にある位置決め材(60)の外部に当接する他方の端を有する。
本考案は、回転脱水用バケツを提供する。図8、図9、図10及び図11に示すように、当該回転脱水用バケツ(100)は、バケツ本体(101)、脱水回転盤(102)及び支持枠(103)を有する。
当該バケツ本体(101)は、上部先端、底端、蓄水空間、バケツ縁、少なくとも1つの固定溝及び回転軸ユニットを有する。当該蓄水空間は、当該バケツ本体(101)の上部先端から底端へ凹むことで形成し、当該バケツ縁は、バケツ本体(101)の上部先端に位置して当該蓄水空間に繋がる開口を形成し、当該固定溝は、当該バケツ本体(101)のバケツ縁に位置する。当該回転軸ユニットは、当該バケツ本体(101)に形成し、当該蓄水空間内に位置し、回転軸受(104A)及び軸受固定材(104B)を有する。当該回転軸受(104A)は、中空の柱体であり、貫通孔を有する。また、当該軸受固定材(104B)は、柱体であり、当該回転軸受(104A)の貫通孔を貫通して設置している。
当該脱水回転盤(102)は、開口が上へ向ける碗状体であり、上部先端、底部、モップ溝、複数の濾過孔及び1つの軸穴を有する。当該モップ溝は、当該上部先端から底部へ凹むことで形成し、モップヘッドを収容することができる。当該複数の濾過孔は、当該脱水回転盤(102)の底部に形成し、当該モップ溝に繋がる。当該軸穴は、脱水回転盤(102)の底部の中央に位置し、当該底部を貫通することができる。当該軸穴は、当該バケツ本体(101)の回転軸ユニットの外側を被せるように設置している。)

8 甲4の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4には、次の事項が記載されている。

(1)「一方向クラッチ(ワンウェイクラッチ)
一方向クラッチはカムクラッチとも呼ばれ、内・外輪の間に多数のカムを配列し、一方向回転のみ駆動してトルクを伝達し、逆回転時には空転するクラッチである。間欠送り、逆転防止、スピード切換えなど、機械の自動化や省力化に広く利用されている。一方向クラッチはカム、内・外輪、スプリングなどで構成されており、内・外輪間に規則的に多数並んだカムは、内・外輪の相対回転方向によってかみあいと空転が行われる。」(152ページ1ないし7行)

9 甲4-1の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4-1には、次の事項が記載されている。

(1)「また、9・28図は一般に多く用いられているクラッチのつめの形をしめしたものであるが、同図(a)では回転はいずれの方向にでも伝えるが、(b)では、一方だけしか伝えず、逆方向の回転に対しては、フリーホィーリング機構となり逆転を防止する。」(「9・3 クラッチ」の「1.かみあいクラッチ」の項目より抜粋)

10 甲4-2の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4-2には、次の事項が記載されている。

(1)「5・2・6 クラッチ(clutch)
従軸の回転を断続する必要があるときに用いる軸継手をクラッチ(clutch)といい、クラッチにはかみあいクラッチ(dog clutch)と摩擦クラッチ(friction clutch)がある。
1)かみあいクラッチ 互いにかみあう爪をもったフランジを両軸端にはめ、必要に応じてかみあわせるようにしたものである。爪の形は図5・21に示すように種々あり、(a)は山形、(b)はのこ歯形(比較的小荷重に用いる)、(c)はらせん形、(d)は角形、(e)は台形(大荷重に用いる)とよばれるもので、これらのうち(b)と(c)とは一方向だけに回転を伝えるものである。」(69ページ4ないし12行)

11 甲4-3の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4-3には、次の事項が記載されている。

(1)「26.11 ランニング フェース ラチェット(のこ歯継手)(その1) running face ratchet
フェース ラチェット2,3は、その縁面にのこ(鋸)歯をもち、2は軸1に固定している。てこ5を矢の方向に下げれば、3は左に移って軸上で遊ぶ、図に示すように両歯がかみあうと、軸1の矢の方向の回転は3,4を同じ方向に回転させる。2,3のかみあいをはずすと、軸1の回転は3,4に伝わらない。軸1が矢と反対に回転すると、2,3のかみあいははずれる。てこ5の代わりに、26.12に示すような圧縮ばね5を用いるものもある。

26.12 ランニング フェース ラチェット(その2)
1,2は一体で、円板のボス3は軸1上に空転する。圧縮ばね5によって円板は左右から鎖歯車(sprocket wheel)4を押す。軸1が矢の方向に回転すると、2、3はすべって回転は4に伝わらないが、軸1を矢と反対の方向に回転すれば4は回転する。しかし、回転モーメントが円板の摩擦によるモーメントよりも大きくなければ、すべって4は回らない。

26.13 クラッチ継手
図(a)は、ねじれクラッチ継手(spiral clutch coupling)であり、同図(b)は、かみあいクラッチ(jaw clutch coupling)である。
2は、軸1に固定している。3は他軸6にキーとみぞの仕掛けですべり待遇をしている。4には26.7のような二叉リンクがはさまっている。両軸は、2,3両者がかんで動力を伝える。2,3のかみあいをはずせば軸1の回転は軸6に伝わらない。図(b)は、左右どちらにも回転するが、図(a)は逆回転の場合にはずれる。」(188ページ17行ないし189ページ19行)

12 甲5の記載事項
本件実用新案登録出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5には、次の事項が記載されている。なお、改行を一部省略した。

(1)「【0001】【産業上の利用分野】
本考案は、フィルム収納容器に関するものである。
【0002】【考案の背景】
写真フィルムが装填されたパトローネは、衝撃による損傷や湿気などによる変質を防止する為に、フィルム収納容器内に収納された状態で市販されている。そして、このフィルム収納容器からパトローネは取り出されてカメラに装填される。
【0003】
このフィルム収納容器は、従来、図4に示す如く構成されたものである。図4中、21は側壁上部の内側に環状凹部22が設けられた略円筒形状の容器本体であり、この容器本体21内にパトローネ23が仮想線で示す如く収納されている。24は蓋体であり、この蓋体24には容器本体21の外径よりも僅かに大きな外径の縁部25とスリーブ26とが構成されており、このスリーブ26の略中間部には環状凹部22に対応した環状凸部27が設けられている。尚、縁部25の側壁外周には縦方向に沿った溝28が形成されている。
【0004】
そして、このフィルム収納容器からパトローネ23を取り出す作業は、蓋体24の縁部25に力を加えることにより、蓋体24の一部を変形させ、環状凹部22と環状凸部27との嵌合を解除することで行われる。…」

第6 請求人が主張する無効理由についての当審の判断
1 無効理由2について
事案に鑑み、無効理由2から検討する。
本件考案3は、上記「第2 本件登録実用新案」に示すとおりであるところ、まず、考案特定事項A3により、「係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され」ることが特定され、さらに、考案特定事項B3により、「環状体およびキャップによって固定され」ることが特定されている考案である。この考案特定事項A3及びB3において、環状体およびキャップによって係合ユニットがどのように固定されているのか不明であり、係合ユニットが「環状体およびキャップによって固定され」ることが特定されていても、本件考案3において、環状体及びキャップが係合ユニットを固定することの技術的意味が不明であるから、本件考案3は、明確であるとはいえない。
すなわち、本件考案3においては、「係合ユニットは、内筒体の頂端に装着され、環状体およびキャップによって固定され」ることの技術的意味に応じて、他の考案特定事項(請求項3が引用する請求項1において特定される考案特定事項を含む)との関係も異なるものと考えられるが、請求項3の記載では、考案特定事項A3及びB3と、他の考案特定事項との関係が不明である。
そこで、本件考案3の考案特定事項A3及びB3の技術的意味について、本件の考案の詳細な説明及び図面を参照すると、考案の詳細な説明には、環状体およびキャップに関して、次のように記載されている。

「【0015】
係合ユニット30は、内筒体10の頂端の開口部内に装着される。本実施形態において、係合ユニット30は、内筒体10の頂端に装着され、環状体33およびキャップ34によって固定される。係合ユニット30は上端の外側に突出縁部31を有し、内側に陥没溝32を有する。キャップ34は上端面部に貫通孔341を有し、外周に環状のリブ342を有し、リブ342によって係合ユニット30の陥没溝32に嵌合・固定される。図6に示すように、係合ユニット30は内側底端部に上向きの爪部35を有する。」

また、本件の図2、図3及び図5についてみると、これらは下図のとおりである(参照番号33が環状体で34がキャップであり、図5については、当該参照番号が省略されている。)。


上記段落【0015】には、係合ユニット30は、内筒体10の頂端に装着され、環状体33およびキャップ34によって固定されることが記載されており、さらに、これらの図をみると環状体33は、係合ユニット30の上端部付近に外挿されていることが見てとれる。上記図2及び図3をみると、環状体33とキャップ34は、係合ユニット30に装着、固定されているようにみえるが、この環状体33とキャップ34が係合ユニット30以外の何に固定されているか不明であり、その結果、係合ユニット30を環状体33とキャップ34とにより固定する手段は、考案の詳細な説明や図面の記載をみても不明である(なお、図3の記載から、環状体33がスリーブ70aのフック74と接しているようにみえるが、このスリーブ70aは、外筒体20と共に昇降するものであるから、図3の状態のときにフック74が環状体74に接しているとしても、図5の状態においては、環状体33は、フック74からはずれており、これにより環状体33がフック74により固定されているとはいえない。)。
また、上記図面の記載からみて、環状体33は、内筒体10と内筒体10の軸方向(以下、「上下方向」という。)にずれた位置にあり、また、キャップ34は、係合ユニット30の上側からかぶせられるように装着されているものの、環状体33と同様に内筒体10と上下方向にずれた位置にあるため、環状体33とキャップ34は、係合ユニット30を内筒体10の頂端に固定する手段としては機能しているとはいえず、係合ユニット30が環状体33とキャップ34によって内筒体の頂点に固定されていると解することはできない。
また、ほかに環状体33とキャップ34によって係合ユニット30が何らかの部材に固定されることは、考案の詳細な説明や図面の記載をみても、一切記載がない。
したがって、考案の詳細な説明及び図面には、環状体30とキャップ34により係合ユニット30を固定するという記載(段落【0015】)はあるものの、その具体的な事項については何ら記載されておらず、さらに図面を参酌しても、環状体30とキャップ34により係合ユニット30を固定することの技術的意味は理解できず、かえって、環状体30とキャップ34が係合ユニット30を固定しているとはいえないものが本件の図面には記載されている。結局、本件の考案の詳細な説明及び図面を参照しても、環状体30とキャップ34が係合ユニット30を固定することの技術的意味について不明であり、本件考案3における考案特定事項A3及びB3の技術的意味が不明であるから、本件考案3を明確に把握することが困難である。

被請求人は、令和元年6月25日提出の上申書において、「本件考案の願書に最初に添付した図2および図3を参照すると、キャップ34において径方向外側に突出した環状のリブ342が係合ユニット30において径方向内側に凹んだ陥没溝32に嵌合する。また、係合ユニット30の外周には環状体33がはまっている。したがって、係合ユニット30は環状体33とキャップ34から径方向の力を受けており、そのバランスによって、径方向に位置が決まるのであるから、係合ユニット30が径方向に固定されているといえる。」と主張している。
しかしながら、「キャップ34において径方向外側に突出した環状のリブ342が係合ユニット30において径方向内側に凹んだ陥没溝32に嵌合」し、「係合ユニット30の外周には環状体33がはまっている」ことにより、キャップ34と環状体33が係合ユニット30に対して固定されていることは理解できるが、係合ユニット30がキャップ34及び環状体33によって何らかの部材に固定されていることは理解できない。また、「係合ユニット30は環状体33とキャップ34から径方向に固定されているといえる」との主張に関して、なぜ係合ユニット30は環状体33とキャップ34から径方向の力を受けると、そのバランスによって径方向に位置が決まるのか不明であるとともに、何に対して径方向の位置が決まるのか不明であり、その主張内容が判然としない。
また、同上申書において、「なお、係合ユニット30にキャップ34が嵌合することで、制御ユニット40が係合ユニット30の上方から出てしまわないようにする技術的な意義も有している。」と主張しているが、請求項3には、係合ユニット、キャップおよび制御ユニットの関係については記載がされておらず、かかる主張は、請求項の記載に基づかない主張であり、採用できない。
さらに、被請求人は実用新案技術評価書(乙1)や米国での審査結果(乙2)において、実用新案法第5条第6項第2号に関する指摘を受けていないと主張するが、被請求人の主張する指摘を受けていないことが、本件考案3及び本件考案4が実用新案法第5条第6項第2号に規定する要件を満たしていることを示す事実であるとはいえず、被請求人の主張は採用することができない。

よって、本件考案3の考案特定事項A3及びB3が明確でないから、本件考案3は、この点において明確とはいえず、本件考案3は、実用新案法第5条第6項第2号の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。
さらに、本件考案3を引用する本件考案4も、本件考案3と同様に明確とはいえず、本件考案4は、実用新案法第5条第6項第2号の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。

2 無効理由3について
次に、事案に鑑み、無効理由3について検討する。
上記「1 無効理由2について」で検討したとおり、本件の考案の詳細な説明及び図面には、実質的に係合ユニットが「環状体およびキャップによって固定され」ることについて記載されていない。考案の詳細な説明及び図面には、環状体30とキャップ34により係合ユニット30を固定するという記載(段落【0015】)はあるものの、その具体的な事項については何ら記載されておらず、さらに図面を参酌しても、環状体30とキャップ34により係合ユニット30を固定することは理解できず、かえって、環状体30とキャップ34が係合ユニット30を固定しているとはいえないものが本件の図面には記載されているから、結局、本件の考案の詳細な説明には、係合ユニットが「環状体およびキャップによって固定され」ることについて、技術常識を参酌しても記載されているとはいえず、その結果、当業者が本件考案3を実施できる程度に記載されているものとはいえないから、本件考案3は、実用新案法第5条第4項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。
さらに、本件考案3を引用する本件考案4も、本件考案3と同様に考案の詳細な説明には当業者がその考案を実施できる程度に記載されていないから、実用新案法第5条第4項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。


3 無効理由1-1について
(1)対比及び一致点、相違点について
ア.対比
本件考案1と甲1考案1とを対比する。
(ア) 甲1考案1の「把持棒筒34を上下に往復させ」ることは、把持棒筒34を上下に直線運動させることだから、本件考案1の「上下に直線移動し」に相当し、甲1考案1の「モップヘッドを一方向回転させること」は、本件考案1の「単一方向の回転を生成すること」に相当する。また、甲1考案1の「モップ構造」は、本件考案1の「モップ」に相当する。したがって、甲1考案1の「把持棒筒34を上下に往復させ、モップヘッドを一方向回転させることによって、脱水するモップ構造」は、本件考案1の「上下に直線移動し、単一方向の回転を生成することによって脱水するモップ」に相当する。
(イ)甲1考案1の「主スリーブ32」は、本件考案1の「内筒体」に相当する。
(ウ)甲1考案1の「把持棒筒34」は、本件考案1の「外筒体」に相当し、甲1考案1の「接合して」は、本件考案1の「嵌合され」に相当する。さらに、把持棒筒34が「主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合」することは、把持棒筒34の底端部が主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合することとなるから、甲1考案1の「主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合している把持棒筒34」は、本件考案1の「底端部が内筒体の上端に嵌合されている外筒体」に相当する。また、甲1考案1の「主スリーブ32に対して往復摺動させること」は、本件考案1の「相対的な直線伸縮移動を行なうこと」に相当する。したがって、甲1考案1の「主スリーブ32の上端から主スリーブ32に接合して、主スリーブ32に対して往復摺動させることが可能である把持棒筒34」は、本件考案1の「底端部が内筒体の上端に嵌合され、かつ相対的な直線伸縮移動を行なうことが可能である外筒体」に相当する。
(エ)甲1考案1の「主スリーブ32の上端の内側」は、本件考案1の「内筒体の頂端の開口部内」に相当し、前者の「固定されている」、「一方向軸受40」は、それぞれ後者の「装着される」、「係合ユニット」に相当する。したがって、甲1考案1の「主スリーブ32の上端の内側に固定されている一方向軸受40」は、本件考案1の「内筒体の頂端の開口部内に装着される係合ユニット」に相当する。
(オ)甲1考案1の「細長い形状を有し」は、本件考案1の「細長い状を呈し」に相当し、前者の「往復運動できるように」、「螺旋状ロッド44」は、それぞれ後者の「同調昇降できるように」、「駆動ユニット」に相当する。したがって、甲1考案1の「細長い形状を有し、把持棒筒34とともに往復運動できるように把持棒筒34に装着される螺旋状ロッド44」は、本件考案1の「細長い状を呈し、外筒体とともに同調昇降できるように外筒体内に装着される駆動ユニット」に相当する。
(カ)甲1考案1の「一方向軸受40の内側の中空箇所」は、本件考案1の「係合ユニット内」に相当する。また、前者の「設けられ」、「案内部材42」は、それぞれ後者の「装着され」、「制御ユニット」に相当する。甲1考案1の「螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を」案内部材42が有することは、案内部材42のスリット孔4202により、螺旋状ロッド44を受けるのに用いられることであるから、本件考案1の「駆動ユニットを受けるのに用いられ」る制御ユニットに相当する。また、甲1考案1の「螺旋状ロッド44の往復運動に連動して往復回転する際」は、本件考案1の「駆動ユニットの駆動によって回転する際」に相当し、前者の「一方向軸受40を一方向のみ回転させる」は、後者の「係合ユニットを単一方向に回転させることしかできない」に相当する。したがって、甲1考案1の「一方向軸受40の内側の中空箇所に設けられ、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を有し、螺旋状ロッド44の往復運動に連動して往復回転する際、一方向軸受40を一方向のみ回転させる案内部材42」は、本件考案1の「係合ユニット内に装着され、駆動ユニットを受けるのに用いられ、かつ駆動ユニットの駆動によって回転する際、係合ユニットを単一方向に回転させることしかできない制御ユニット」に相当する。
(キ)甲1考案1の「主スリーブ32の下端」、「固定され」、「ブラシ毛3802」、「モップヘッド38」は、それぞれ本件考案1の「内筒体の底部」、「装着され」、「毛糸」、「盤体」に相当する。したがって、甲1考案1の「主スリーブ32の下端に固定され、ブラシ毛3802を有するモップヘッド38」は、本件考案1の「内筒体の底部に装着され、毛糸を有する盤体」に相当する。
(ク)甲1考案1の「把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると」は、本件考案1の「外筒体が上下に移動する際」に相当する。また、甲1考案1の「螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、案内部材42を連動して往復回転させ」ることは、本件考案1の「駆動ユニットは直線運動によって制御ユニットを回転させ」ることに相当する。
さらに、甲1考案1の「一方向軸受40が一方向のみ回転」することは、本件考案1の「係合ユニットを単一方向に回転させること」に相当し、甲1考案1の「主スリーブ32も一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させ」ることは、一方向軸受40から一方向へ回転させるための駆動力をモップヘッドが受けていないときに、モップヘッド38は、自身の慣性力により回転を継続し、次に一方向軸受40が一方向へ回転したときにさらに速度を増すことで、「一方向に高速に回転」するようにしたものと解されるから、本件考案1の「内筒体および盤体を同じ方向に位置させ、かつ慣性力を介して回転を持続させ」ることに相当する。また、甲1考案1の「遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ること」は、本件考案1の「遠心力を生成することによって毛糸に付着した水を放射すること」に相当する。
したがって、甲1考案1の「把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、螺旋状ロッド44は上、下へ往復運動するため、案内部材42を連動して往復回転させ、かつ、一方向軸受40が一方向のみ回転し、主スリーブ32も一方向回転し、更にモップヘッド38を連動して一方向に高速に回転させて、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ること」は、本件考案1の「外筒体が上下に移動する際、駆動ユニットは直線運動によって制御ユニットを回転させ、かつ係合ユニットを単一方向に回転させることによって内筒体および盤体を同じ方向に位置させ、かつ慣性力を介して回転を持続させて遠心力を生成することによって毛糸に付着した水を放射すること」に相当する。

イ.一致点及び相違点について
上記ア.より、本件考案1と甲1考案1とは、次の[一致点1]の点で一致し、[相違点1]の点で相違する。

[一致点1]
上下に直線移動し、単一方向の回転を生成することによって脱水するモップであって、
内筒体と、
底端部が内筒体の上端に嵌合され、かつ相対的な直線伸縮移動を行なうことが可能である外筒体と、
内筒体の頂端の開口部内に装着される係合ユニットと、
細長い状を呈し、外筒体とともに同調昇降できるように外筒体内に装着される駆動ユニットと、
係合ユニット内に装着され、駆動ユニットを受けるのに用いられ、かつ駆動ユニットの駆動によって回転する際、係合ユニットを単一方向に回転させることしかできない制御ユニットと、
内筒体の底部に装着され、毛糸を有する盤体と、
を備え、
外筒体が上下に移動する際、駆動ユニットは直線運動によって制御ユニットを回転させ、かつ係合ユニットを単一方向に回転させることによって内筒体および盤体を同じ方向に位置させ、かつ慣性力を介して回転を持続させて遠心力を生成することによって毛糸に付着した水を放射することを特徴とするモップ。

[相違点1]
本件考案1のモップは、「外筒体に装着され、かつ内筒体と外筒体とを固定するか、あるいは相対的な伸縮が可能な状態に維持することが可能である締付構造」(考案特定事項H1)を備えているのに対し、甲1考案1は、このような締付構造を備えることが不明である点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
甲1に記載されたモップ構造は、上記「第5 甲1ないし5について」の「1 甲1の記載事項及び甲1に記載された考案について」に示すとおりのでものであるところ、甲1考案1のようなモップ構造を用いて地面拭きを行うときには、地面にある汚れを除去するために、モップヘッド38を地面に押しつける力(すなわち、把持棒筒34が主スリーブ32に挿入される方向に作用する力、いわば、把持棒筒34と主スリーブ32とが両者が縮まる方向に作用する力)を作用させる必要があることは、当業者にとって自明な事項である。
そして、甲1考案1のモップ構造においても、地面拭きを行うときには、モップヘッド38を地面に押しつける方向の力を作用させる必要があることは、明らかであり、そのために、把持棒筒34と主スリーブ32とが上下方向に相対運動することを阻止するための構造が必要であるといえる。
一方、大径のパイプに小径のパイプを挿入したモップなどに使用される柄において、大径のパイプと小径のパイプとを固定し、また相対的な伸縮が可能な状態とすることができる固定手段をモップ等の柄に用いることは周知技術(甲2については、【0002】、【0005】の記載、甲2の1については、【0002】、【0007】、【0012】の記載、甲2の2については、【0012】の記載参照。以下、「周知技術1」という。)である。
そうすると、甲1考案1のモップ構造においては、上述のように、把持棒筒34と主スリーブ32が上下方向に相対運動することを阻止するための構造が必要であり、さらに、甲1考案1も上記周知技術1も、モップなどに使用される柄が大径のパイプに小径のパイプを挿入したものである点で共通することから、甲1考案1のモップ構造の主スリーブ32と把持棒筒34とを固定する手段として、周知技術1の固定手段を適用し、本件考案1の上記相違点1に係る考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になし得たことである。
そして、本件考案1の奏する効果は、甲1考案1及び周知技術1の奏する作用効果からきわめて容易に予測される範囲内のものにすぎず、顕著なものということはできない。

被請求人は、甲1に記載されたモップ構造に、甲2等に記載される固定手段を適用する動機がない旨を主張するが、上記のとおり、甲1考案1のモップ構造は、把持棒筒34と主スリーブ32とが上下方向に相対運動することを阻止するための構造が必要であるから、固定手段を適用する動機付けがあるといえ、被請求人の主張は採用することができない。

したがって、本件考案1は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

(3)無効理由1-1についての結論
本件考案1は、甲1考案1と、周知技術1により、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

4 無効理由1-2について
(1)対比及び一致点、相違点について
ア.対比
本件考案2と甲1考案2とを対比する。
(ア) 甲1考案2の「螺旋状ロッド44」は、本件考案2の「駆動ユニット」に相当する。また、前者の「螺旋状棒体を有し」は、後者の「らせん状の棒体またはらせん状の片体から構成され」に相当するから、甲1考案2の「螺旋状ロッド44は、螺旋状棒体を有し」は、本件考案2の「駆動ユニットは、らせん状の棒体またはらせん状の片体から構成され」に相当する。
(イ)甲1考案2の「螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が干渉するスリット孔4202を有する案内部材42」は、螺旋状ロッド44の往復運動を受けるように、螺旋状ロッド44の螺旋状棒体が案内部材42のスリット孔4202に干渉していることを意味していると解されるから、本件考案2の「駆動ユニットを受けるのに用いる制御ユニット」に相当する。また、甲1考案2の「螺旋状ロッド44の螺旋状棒体がスリット孔4202の内壁を干渉して」は、スリット孔4202の内壁が螺旋状棒体の螺旋の形状に対応する構造を有していることにより、「干渉して」いると解されるから、本件考案2の「らせん状に対応するスリーブの構造を有するため」に相当する。
(ウ)甲1考案2の「把持棒筒34を押圧して上、下へ往復運動させると、螺旋状ロッド44が上、下へ往復運動することによって」は、本件考案2の「駆動ユニットは外筒体の上下の直線移動によって」に相当する。また、甲1考案2の「案内部材42を往復回転させている」ことは、本件考案2の「制御ユニットを回転させることが可能であること」に相当する。

イ.一致点及び相違点について
上記ア及び前記「3 無効理由1-1について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」より、本件考案2と甲1考案2とは、本件考案1と甲1考案1との一致点である[一致点1]に加えて、次の[一致点2]の点で一致し、本件考案1と甲1考案1との相違点である[相違点1]の点で相違する。

[一致点2]
駆動ユニットは、らせん状の棒体またはらせん状の片体から構成され、駆動ユニットを受けるのに用いる制御ユニットは、らせん状に対応するスリーブの構造を有するため、駆動ユニットは外筒体の上下の直線移動によって制御ユニットを回転させることが可能である点。

(2)判断
本件考案2と甲1考案2との相違点である[相違点1]は、上記「3.無効理由1-1について」の「(2)判断」において示した理由と同様の理由により、甲1考案1のモップ構造の主スリーブ32と把持棒筒34とを固定する手段として、周知技術1の固定手段を適用し、本件考案2の上記相違点1に係る考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になし得たことである。
そして、本件考案2の奏する効果は、甲1考案2および周知技術1の奏する作用効果からきわめて容易に予測される範囲内のものにすぎず、顕著なものということはできない。
したがって、本件考案2は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

(3)無効理由1-2についての結論
本件考案2は、甲1考案2と、周知技術1により、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

5 無効理由1-5について
(1)対比及び一致点、相違点について
本件考案5と甲1考案1とを対比する。本件考案5と甲1考案1とは、前記「3 無効理由1-1について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」に示すように対比することができ、本件考案5と甲1考案1とは、本件考案1と甲1考案1との一致点である[一致点]の点で一致し、本件考案1と甲1考案1との相違点である[相違点1]に加えて、次の[相違点2]の点で相違する。

[相違点2]
本件考案5は、締付構造は、束縛用スリーブおよび旋転筒を有し、束縛用スリーブは外筒体の底縁部に固定され、下段部にスリットを有し、外周に傾斜溝を有し、旋転筒は束縛用スリーブの外周に被さり、かつ束縛用スリーブの傾斜溝に向かい合う内側面に傾斜溝を昇降できる突起部を有するため、旋転筒によって束縛用スリーブの締付または弛緩を行い、束縛用スリーブのスリットの作用によって内筒体と外筒体とを固定して床拭きの便をはかるか、あるいは内筒体を回転状態に維持し、毛糸の脱水を行なうことが可能であるのに対し、甲1考案1には、このような締付構造を備えることが不明である点。

(2)判断
[相違点1]と[相違点2]は、本件考案5における「締付構造」に関するものであり、関連する相違点であるから、まとめて検討する。
甲2には、上記「第5 甲1ないし5について」の「2 甲2の記載事項」に示すとおりの記載があり、これらの記載と図16ないし図19の記載より、甲2には、モップの柄に多用されている大径パイプc内に小径パイプbをスライド可能に挿入してなる伸縮パイプにおいて、スリーブd及び固定筒kを有し、スリーブdは大径パイプcの端部に固定され、その先端で開口するスリットgを有し、外周面には雄ネジ部jが設けられ、固定筒kはスリーブdの外側にかぶさり、スリーブdの雄ネジ部jに螺合される内周面にネジ部を有するため、固定筒kによって、スリーブdを押圧し、スリーブdのスリットg間に形成された挟持片nが小径パイプbを挟持し、大径パイプcと小径パイプbを固定可能とする固定装置について記載されている。そして、この固定装置は、固定筒kによってスリーブdを押圧しない状態のときには、スリーブdの挟持片nが小径パイプbを挟持しない状態となるから、大径パイプと小径パイプとは、固定されておらず、スライド可能な状態であると解される。
また、甲2の1には、上記「第5 甲1ないし5について」の「3 甲2の1の記載事項」に示すとおりの記載があり、これより、モップの柄等に用いられる大径パイプの内側に小径パイプをスライド自在に挿入した伸縮パイプのロック機構において、大径パイプ1の端部に取付けられるスリーブ3と操作筒10を有し、スリーブ3は、先端面からスリット8が形成され、外周にねじ7が設けられ、操作筒10は、スリーブ3の外側に設けられ、内周面にスリーブ3のねじ7と係合するめねじ12が設けられ、操作筒10によって、スリーブの押圧または弛緩を行い、大径パイプ10と小径パイプのロックと伸縮が可能状態とするロック機構について記載されている。
そして、上記甲2及び甲2の1に記載されるように、大径のパイプに小径のパイプを挿入したモップなどに使用される柄に、大径のパイプと小径のパイプとを固定し、また相対的な伸縮が可能な状態とすることができるように、スリーブと筒(甲2の固定筒、甲2の1の操作筒)を有し、スリーブは大径パイプの端部に固定され、端部にスリット有し、外周面にネジ部を有し、筒は、スリーブの外周に被さり、かつスリーブのネジ部に係合する面にこのネジ部と係合するネジ部を有して、筒によってスリーブの締付けと弛緩を行う固定手段を大径のパイプに設けることは、周知技術(以下、「周知技術2」という。)であるといえる。
そしてこの周知技術2の固定手段は、モップの柄の固定に用いられるものであるから、前記「3 無効理由1-1について」の「(2)判断」で示したように、甲1考案1のモップ構造を「地面拭きが可能状態」に維持するために、把持棒筒34と主スリーブ32との固定を行う機構として、甲1考案1に適用することは、当業者がきわめて容易に想到し得た事項である。
そうすると、甲1考案1に上記周知技術2の固定手段を適用し、甲1考案1を把持棒筒34と主スリーブ32とを固定して地面拭きの便をはかるか、あるいは、主スリーブ32を回転可能に維持し、脱水を行うことが可能である状態とすることを選択できるようにして、本件考案5の上記相違点1及び相違点2に係る考案特定事項を得ることは、当業者がきわめて容易になし得たことである。
したがって、本件考案5は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

(3)無効理由1-5についての結論
本件考案5は、甲1考案2と周知技術2により、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

6 無効理由1-6について
(1)対比及び一致点、相違点について
本件考案7と甲1考案4とを対比する。本件考案7と甲1考案4とは、前記「3 無効理由1-1について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」に示すように対比することができ、本件考案7と甲1考案4とは、本件考案1と甲1考案1との一致点である[一致点]の点で一致し、本件考案1と甲1考案1との相違点である[相違点1]に加えて、次の[相違点3]の点で相違する。

[相違点3]
本件考案7は、盤体は、脱水桶中の自由回転状態を呈するバスケット内に置かれる、盤体は内筒体の駆動によって回転する際、バスケットを同調回転させ、盤体上の毛糸に遠心脱水を行うことが可能であり、脱水桶は毛糸から放射された水を受けることが可能であるのに対し、甲1考案4は、モップヘッドは、エジェクタロッド36が主スリーブ32内でモップヘッド38の貫通孔を通してモップヘッド38の下方へ延出し、エジェクタロッド36が水桶の底部に当接する状態で把持棒筒34を往復運動させると、モップヘッド38も連動して一方向に高速に回転し、遠心力でモップヘッド38のブラシ毛3802の余分な水を振り切ることができる点。

(2)判断
ア.[相違点1]について
本件考案7と甲1考案2との相違点である[相違点1]は、上記「3.無効理由1-1について」の「(2)判断」において示した理由と同様の理由により、甲1考案1のモップ構造の主スリーブ32と把持棒筒34とを固定する手段として、周知技術1の固定手段を適用し、本件考案7の上記相違点1に係る考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になし得たことである。

イ.[相違点3]について
甲3には、上記「第5 甲1ないし5について」の「5 甲3の記載事項」に示すとおりの記載があり、甲3の図3ないし5をあわせてみると、甲3には、モップロッドを下方へ押しつけることにより、モップヘッドを回転させて脱水するモップにおいて、圧力軸受53によりモップバケツの底面の支持台52と接続される回転盤54に貫通孔または貫通溝を設置して、回転盤54内に落ちた水がバケツ本体51に流れ込むようにし、モップヘッド2を回転させることにより、モップヘッド2を脱水することが記載されている。ここで、圧力軸受53によりモップバケツの底面の支持台52と接続される回転盤54は、自由回転状態でありモップヘッドとあわせて回転するといえる。また、モップヘッド2の脱水時に流れる水は、回転盤54の貫通孔等を通してバケツ本体51に流れ込むことから、モップヘッド2の脱水時には、モップヘッド2は、回転盤54内に置かれているといえる。
また、甲3の1には、上記「第5 甲1ないし5について」の「6 甲3の1の記載事項」に示すとおりの記載があり、これと第8ないし10図をあわせてみると、甲3の1には、モップロッドの軸方向の力をモップヘッドの回転運動に変換するモップにおいて、モップヘッドは、回転脱水用バケツ(100)内の脱水回転盤(102)内に置かれ、脱水回転盤(102)は、複数の濾過孔を有することが記載されている。この濾過孔から流れた脱水時の水は、バケツ本体(101)で受けることができると解される。
また、甲3に記載された回転盤と甲3の1に記載された脱水回転盤は、いずれも軸受等によりバケツ本体に接続されたものであるから、モップヘッドの回転とあわせて回転可能なものであると解される。
そして、上記甲3及び甲3の1に記載されるように、ロッドの軸方向の力をモップヘッドの回転運動に変換するモップにおいて、モップヘッドは、バケツ本体中の自由回転状態である回転盤内に置かれ、このモップヘッドが回転する際、回転盤を回転させ、モップヘッドに脱水を行うことを可能とし、バケツ本体は、モップヘッドから脱水された水を受けることができるようにすることは、周知技術(以下、「周知技術3」という。)である。
甲1考案4のモップ構造と周知技術3のモップとは、水桶又はバケツの中でモップヘッド等を回転させることにより脱水する点で共通し、甲1考案4のエジェクタロッド36と周知技術3の回転盤とは、モップヘッドの脱水時に、モップヘッドを回転可能にすると共に、モップロッドを介してモップヘッドに作用するモップロッドの軸方向の力を受けて、モップヘッドを支持する点で共通するものであり、甲1考案4の水桶も周知技術3のバケツ本体も脱水によって生じた水を溜めるものである点で共通する。
したがって、甲1考案4の上記相違点3に係るエジェクタロッド36と水桶に替えて、周知技術3を適用し、本件考案7の上記相違点3に係る考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になし得たことである。

被請求人は、甲1に記載された考案は、エジェクタロッド36が水桶の底部に当接することで、モップ構造の脱水にかごを用いるときの課題を解決しているものであるから、甲1に記載された考案にかごを用いることには阻害要因がある旨を主張するが、被請求人がその根拠とする甲1の記載をみると、「従来のブラシ毛モップヘッドは人工でブラシ毛の水を拭いて乾燥させる必要があるため、力を要し、かつ衛生的ではなかった。そのため、プラスチック材質からなるかご形の脱水装置が考案されて、ブラシ毛モップヘッドをプラスチック製かごの中に入れて回転かつ押圧してブラシ毛を絞り乾燥させている。しかし、このような絞り乾燥式は効果が低く、絞られたブラシ毛は依然として大量の水を含み、それ以外に、プラスチック製かごは水桶の周辺に設けられているため、ブラシ毛を押圧して乾燥させるとき、付勢力が均一でないまたは付勢力が大き過ぎて、全体の水桶をひっくり返すおそれがあった。」(甲1翻訳文1ページ22行ないし同ページ28行)と記載されており、これは、ブラシ毛モップヘッドをプラスチック製かごの中に入れて回転かつ押圧してブラシ毛を絞り乾燥させているものにおいて、ブラシ毛を押圧して乾燥させるとき、付勢力が均一でないまたは付勢力が大き過ぎて、全体の水桶をひっくり返すおそれがあったことを指摘しているもの、すなわち、水桶を用いてブラシ毛を押圧して絞り乾燥(「脱水」の意味と解される。)させるとき、水桶をひっくり返すおそれがあるという課題を示しているにすぎず、水桶を用いて回転させて遠心力を利用して脱水するときの課題とは解されないから、被請求人の主張は採用することができない。
また、被請求人は、甲1考案4においてモップヘッド38を回転させるための駆動機構がモップ側に設けられているにもかかわらず、駆動機構が設けられたバスケットを更に用いる動機付けが存在しないと主張するが、上記のように、甲1考案4のエジェクタロッド36と周知技術3の回転盤は、モップの毛糸(甲1考案4の「ブラシ毛3802」)を遠心力により脱水させるために、モップヘッドを内筒体(甲1考案4の「主スリーブ」)を中心として回転させると共に、モップロッドを介してモップヘッドに作用するモップロッドの軸方向の力を受けて、モップヘッドを支持する点で共通することから、甲1考案4に周知技術3を適用する動機付けは存在し、被請求人の主張は採用することができない。

ウ.そして、[相違点1]及び[相違点3]を総合的に勘案しても、本件考案7の奏する作用効果は、甲1考案4、周知技術1及び周知技術3からきわめて容易に予測される範囲内のものにすぎず、顕著なものということはできない。

(3)無効理由1-6についての結論
本件考案7は、甲1考案4と周知技術1及び周知技術3により、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

7 無効理由1-3と無効理由1-4について
無効理由1-3と無効理由1-4について簡単に検討する。
無効理由1-3と無効理由1-4は、それぞれ、本件考案3と本件考案4は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、その実用新案登録は同法37条第1項第2項に該当し、無効とすべきであるとするものである。
本件考案3と甲1考案3とは、本件考案1と甲1考案1との相違点である[相違点1]に加え、次の相違点4と相違点5の点で一応、相違する。

[相違点4]
本件考案3は、係合ユニットは、環状体およびキャップによって固定されているのに対し、甲1考案3は、一方向軸受40を固定する手段が明らかでない点。

[相違点5]
本件考案3は、係合ユニットは、内側底端部に上向きの爪部を有し、制御ユニットは底端部に上向きの爪部に対応かつ接触する下向きの爪部を有するのに対し、甲1考案3は、一方向軸受40が案内部材42の一方向回転を干渉するため、一方向軸受40が一方向のみ回転することは甲1に記載されてものの、一方向のみに回転するための事項が明らかでない点。

ここで、相違点5に係る本件考案3の発明特定事項は、甲3の1に記載され、また回転軸方向に互いに向き合う爪部をもうけ、一方向にのみ回転を伝達する機構は周知技術(甲4、甲4の1ないし3)でもあるから、甲1考案3の一方向軸受40に、甲3の1に記載されたもの、あるいは周知技術を適用し、相違点5に係る本件考案5の考案特定事項を得ることは当業者がきわめて容易になしえたことである。
次に、相違点4について検討すると、上記「1 無効理由2について」及び「2 無効理由3について」に示したとおり、相違点4に係る本件考案3の考案特定事項A3及びB3は、不明確であり、また、考案の詳細な説明は、当業者が本件考案3及び本件考案4を実施できる程度に記載されているとはいえないから、この点に関する相違点4に係る本件考案3及び本件考案4の考案特定事項が当業者にとって、きわめて容易になし得たことであるか否かについて判断することができない。

したがって、本件考案3と本件考案4については、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないか否かについて判断することができない。

第7 むすび
以上のとおり、請求項3及び4に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第5条第4項及び同法第5条第6項第2項に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたものであるから、実用新案法第37条第1項第4号の規定に該当し、無効とすべきものである。
また、請求項1、2、5及び7に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであるから、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2019-09-20 
結審通知日 2019-09-26 
審決日 2019-10-11 
出願番号 実願2009-7177(U2009-7177) 
審決分類 U 1 124・ 537- Z (A47L)
U 1 124・ 121- Z (A47L)
U 1 124・ 536- Z (A47L)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 長馬 望
柿崎 拓
登録日 2009-11-25 
登録番号 実用新案登録第3156219号(U3156219) 
考案の名称 モップ  
代理人 龍華国際特許業務法人  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
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