• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 発明同一 無効としない A23L
管理番号 1020817
審判番号 審判1998-35060  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-02-12 
確定日 2000-07-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2501048号実用新案「簀枠の移送機構」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 I.請求人の趣旨及び答弁の趣旨
1.請求人竹下産業株式会社(以下、請求人という。)は、「登録実用新案第2501048号の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める。
2.被請求人 豊和工業株式会社及び西部産業株式会社は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。
II.手続の経緯・本件考案
本件登録第2501048号実用新案は、昭和57年10月26日に出願された実願昭57ー162766号の一部を昭和62年7月7日に実願昭62ー104319号として新たに実用新案登録出願したものを、さらにその一部を平成6年6月23日に実願平6ー8711号として新たに実用新案登録出願したものであって、平成8年3月28日に設定登録されたものである。その後、平成8年12月11日に実用新案登録異議申立てがなされ、その異議事件において平成9年5月9日付けで本件明細書を訂正する訂正請求がなされ、その訂正を認容する異議決定がなされ、その決定はすでに確定しているので、本件登録第2501048号実用新案の請求項1に係る考案の要旨は、上記訂正請求により訂正された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】乾燥室前部と奥部に設けたスプロケットに懸回した無端状の往復道よりなる簀枠保持棒付乾燥チェーンを上下二段に配設し、それらの上下二段の乾燥チェーンの下側移送路に沿って簀枠保持棒間の簀枠のチェーン側枠棒を係止可能な移送レールを配設し、上段の移送レールの端部から下段の乾燥チェーンの端部との間に、簀枠のチェーン側枠棒を係止してそのチェーン側枠棒を上段の移送レールから下段の乾燥チェーンの簀枠保持棒間に簀枠を反転して移送して簀枠を受渡し可能な係止突起付移送チェーンを配設してなる簀枠の移送機構。」
(以下、本件考案という。)
III.当事者の主張等
1.請求人の主張
請求人は、本件考案は、その出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された実願昭57ー148368号(甲第1号証 実願昭57ー148368号のマイクロフイルム参照)の出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された考案と同一であるから、実用新案法第3条の2の規定に該当し、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである、と主張している。
2.被請求人の主張
被請求人は、請求人が主張する上記無効理由は理由がない旨答弁している。
そして、上記主張を立証する証拠方法として、次の書証を提出している。
乙第1号証 実用新案登録異議意見書
乙第2号証 実開昭61ー64291号公報
乙第3号証 実開昭59ー64690号公報
乙第4号証 実用新案登録異議申立書
乙第5号証 実用新案登録異議の申立てについての決定
乙第6号証 取消理由通知書
乙第7号証 訂正請求書
IV.引用例
実願昭57ー148368号の出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、先願明細書という。)には、「乾燥室1の正面開口部2から奥部に亘って正面開口部および奥部に設けたチエンホイール6、6aを循環する間欠回動無端チエン3、3aを複数段に設け、同チエン3、3aにそれぞれ海苔簀枠支持杆4を設け、上記チエン3、3aの下側移行部に沿って海苔簀枠落下防止装置5、5aを設け、かつ上段側上記チエン3の上記正面開口部チエンホイール6迂回部7から下段側上記チエン3aの上記正面開口部チエンホイール6迂回部7との間に海苔簀枠上下反転下降誘導装置8を設けてなる海苔乾燥装置に関するものである。」(明細書1頁下3行?2頁8行参照)、及び「海苔簀枠上下反転下降誘導装置8は上段落下防止装置5を乾燥室1の正面開口部2側に下方に傾倒し、その下端と下段側迂回部7に向って下方に傾倒する案内11の上端との間に爪付循環チエン12と海苔簀下端部昇降用昇降回動杆13を設けてなるものである。尚図中14で示すものは爪付循環チエン12の上下反転ローラー、15、16は同チエン12の案内ローラー、17は爪、18は爪17への誘導案内ガイドである。」(明細書2頁13行?3頁3行参照)と記載されている。
また、先願明細書には、間欠回動無端チエンを上下二段に設けること、間欠回動無端チエンの下側移行部において、海苔簀枠はそのチエン側枠棒が海苔簀枠落下防止装置に係止されながら移送されること、及び海苔簀枠が上段の海苔簀枠落下防止装置の端部に達すると、海苔簀枠のチエーン側枠棒とは反対側の枠棒を爪付循環チエーンの爪で係止し、該係止した枠棒を前側に位置させて横移動させた後、海苔簀下端部昇降用昇降回動杆を下方向に回動させ、海苔簀枠のチエーン側枠棒を前側にして案内レールを滑らせて下段側間欠回動無端チエンの上側移行部の簀枠保持棒間に移送することが記載されている。(図面参照)
これらの記載からみて、先願明細書には、乾燥室前部と奥部に設けたチエンホイールに懸回した間欠回動無端チエンを上下二段に配設し、それらの上下二段の間欠回動無端チエンの下側移送路に沿って海苔簀枠支持杆間の簀枠のチエン側枠棒を係止可能な海苔簀枠落下防止装置を配設し、上段の海苔簀枠落下防止装置の端部から下段の間欠回動無端チエンの端部との間に、海苔簀枠上下反転下降誘導装置を配設し、前記海苔簀枠上下反転下降誘導装置は、上段海苔簀枠落下防止装置を乾燥室の正面開口部側に下方に傾倒し、その下端と下段側迂回部に向って下方に傾倒する案内の上端との間に爪付循環チエンと海苔簀下端部昇降用昇降回動杆とから構成され、海苔簀枠が上段の海苔簀枠落下防止装置の端部に達すると、海苔簀枠のチエーン側枠棒とは反対側の枠棒を爪付循環チエーンの爪で係止し、該係止した枠棒を前側に位置させて横移動させた後、海苔簀下端部昇降用昇降回動杆を下方向に回動させ、海苔簀枠のチエーン側枠棒を前側に位置させて案内レールを滑らせて下段側間欠回動無端チエンの上側移行部の簀枠保持棒間に移送するようにした簀枠の移送機構が記載されているものと認める。
V.当審の判断
本件考案と先願明細書に記載された考案を対比すると、後者における「チエンホイール」、「間欠回動無端チエン」、「海苔簀枠支持杆」及び「海苔簀枠落下防止装置」は、前者の「スプロケット」、「簀枠保持極付乾燥チェーン」、「簀枠保持棒」及び「移送レール」に相当することから、両者は、乾燥室前部と奥部に設けたスプロケットに懸回した無端状の往復道よりなる簀枠保持棒付乾燥チェーンを上下二段に配設し、それらの上下二段の乾燥チェーンの下側移送路に沿って簀枠保持棒間の簀枠のチェーン側枠棒を係止可能な移送レールを配設し、上段の移送レールの端部から下段の乾燥チェーンの端部との間に、簀枠の枠棒を係止して上段の移送レールから下段の乾燥チェーンの簀枠保持棒間に簀枠を反転して移送して簀枠を受渡し可能にする係止突起付移送チェーンを配設してなる簀枠の移送機構の点で一致する。
しかしながら、両者の上記係止突起付移送チェーンによる簀枠移送機構についてみると、前者においては、簀枠のチェーン側枠棒を係止してそのチェーン側枠棒を上段の移送レールから下段の乾燥チェーンの簀枠保持棒間に簀枠を反転して移送して簀枠の受渡しを行うのに対して、後者においては、簀枠のチェーン側枠棒とは反対側の枠棒を係止し、その係止した枠棒を前側に位置させて横移動させた後、簀下端部昇降用昇降回動杆を下方向に回動させ、簀枠のチェーン側枠棒を前側に位置させて案内レールを滑らせて上段の移送レールから下段の乾燥チェーンの簀枠保持棒間に簀枠を反転して簀枠の受渡しを行うものであり、両者の上記係止突起付移送チェーンによる簀枠移送機構は相違する。
したがって、本件考案は、先願明細書に記載された考案と同一であるということはできない。
VI.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1998-12-25 
結審通知日 1999-01-05 
審決日 1999-01-18 
出願番号 実願平6-8711 
審決分類 U 1 112・ 161- Y (A23L)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 河野 直樹大久保 元浩種村 慈樹鈴木 恵理子  
特許庁審判長 徳▲廣▼ 正道
特許庁審判官 田中 久直
木原 裕
登録日 1996-06-12 
登録番号 実用登録第2501048号(U2501048) 
考案の名称 簀枠の移送機構  
代理人 神谷 巖  
代理人 前島 旭  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 永井 浩之  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ