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審決分類 |
審判 全部申し立て E06B |
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管理番号 | 1028401 |
異議申立番号 | 異議1997-72406 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1997-05-20 |
確定日 | 2000-10-23 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2517886号「捲上げシヤツタ?の取着構造」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2517886号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件実用新案登録第2517886号に係る考案は、平成2年8月27日に出願され、平成8年9月3日に実用新案登録の設定登録がされ、その後、平成9年5月20日に三和シャッター工業株式会社より、実用新案登録異議の申立てがなされ、次いで、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年10月29日に手続補正書が提出されたが、この手続補正書は、平成11年3月3日付けで手続却下の決定がなされている。 2.実用新案登録異議申立てについて 2-1.本件考案 実用新案登録第2517886号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。 「シヤツター(10)を捲上げ、捲下げする捲取りシヤフト(2)を左右の駆動軸受ブラケツト(3)及び従動軸受ブラケツト(4)によって架設支持し、天井壁面(15)(15)に支持受台(5)(5)を固定し、該支持受台(5)(5)には、合成樹脂及び合成ゴムよりなる複数の防振ゴム(6)(6)を載置すると共に、該防振ゴム(6)(6)には内部にボルト等を挿通する貫通孔を形成し、該防振ゴム(6)(6)の上面に金属等の下部受板(8)を載置し、支持受台(5)(5)と該下部受板(8)との間に防振ゴム(6)(6)を介在してボルトにより固定し、該下部受板(8)には、左右に跨って複数の架設材(7)(7)を架設固定し、該架設材(7)(7)の上部には、上部受板(9)(9)を介在して捲取シヤフト(2)を支持した左右の該駆動軸受ブラケツト(3)と該従動軸受ブラケツト(4)を載置連結したことを特徴とする捲上げシヤツターの取着構造」 2-2.申立ての理由の概要 申立人三和シャッター工業株式会社は、証拠として甲第1号証(実願昭61-193721号(実開昭63-98987号)のマイクロフイルム)、甲第2号証(実願昭61-197874号(実開昭63-102888号)のマイクロフイルム)を提出し、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。 2-3.引用刊行物記載の考案 先の取消理由通知において引用した刊行物1(実願昭61-193721号(実開昭63-98987号)のマイクロフイルム)には、『上板、上板の両端部から垂下する両側面板、及び両側面板から内方に向けて延びる底部材を備えるシャッターケース1を用意し、その両側面板間に、巻きとりシャフト2を架設支持し、シャッターケース1の底部材を、天井壁面に固着した各取付ブラケット19,19上に、ボルトを挿通する貫通孔を有するゴム製防振材22を介在して、ボルトにより固定した捲上げシャッターの取着構造』が記載されている。 また、同刊行物2(実願昭61-197874号(実開昭63-102888号)のマイクロフイルム)には、『建物の躯体(壁面)に固定した各躯体取付部材1に対して、巻取シャフト2を支持する各部材取付部材4を、防振ゴム5を介在して載置固定した捲上げシャッターの取着構造、および躯体に固定された防振ゴムに、躯体取付部材を固定した捲上げシャッターの取着構造』が記載されている。 2-4.対比・判断 本件考案と刊行物1記載の考案とを対比すると、刊行物1記載の考案の巻きとりシャフト、取付ブラケットおよび防振材は、それぞれ本件考案の捲取シヤフト、支持受台および防振ゴムに相当する。 また、本件考案において、捲取りシヤフトを架設支持した駆動軸受ブラケツト及び従動軸受ブラケツトは、その「駆動」及び「従動」の限定には格別の意味はなく、単なる『軸受ブラケツト』と解することができる。したがって、刊行物1記載の考案における、巻きとりシャフト(本件考案の捲取りシヤフトに相当する。)を架設支持したシャッターケース1の両側面板は、本件考案の両軸受ブラケツト、すなわち駆動軸受ブラケツト及び従動軸受ブラケツトに相当する。 また、シャッターケース1の底部材は、図面及び説明からみて、少なくともゴム製防振材22上、すなわち各取付ブラケット19の上方に位置する部位に存在していることは認められるが、シャッターケース1の底面全体にわたって、すなわち左右の取付ブラケット19,19間に跨って架設配置されているものと認めることはできない。 なお、実用新案登録異議申立人は、刊行物1に記載されたシャッターケース1の底部材が本件考案の架設材に相当することを前提として主張しているが、上記のように、刊行物1記載の考案の底部材が左右の取付ブラケットに跨って設けられているとは認められないから、実用新案登録異議申立人の主張は採用できない。 したがって、本件考案と刊行物1記載の考案とは、 「シヤツターを捲上げ、捲下げする捲取りシヤフトを左右の駆動軸受ブラケツト及び従動軸受ブラケツトによって架設支持し、天井壁面に支持受台を固定し、該支持受台には、合成樹脂及び合成ゴムよりなる複数の防振ゴムを載置すると共に、該防振ゴムには内部にボルト等を挿通する貫通孔を形成し、該防振ゴムを介して、捲取シヤフトを支持した左右の駆動軸受ブラケツト及び従動軸受ブラケツトを、該支持受台に載置連結したことを特徴とする捲上げシヤツターの取着構造」 である点で一致し、次の点で相違している。 相違点 本件考案においては、支持受台に左右の軸受ブラケツトを載置連結するために、「防振ゴムの上面に金属等の下部受板を載置し、支持受台と下部受板との間に防振ゴムを介在してボルトにより固定し、該下部受板には、左右に跨って複数の架設材を架設固定し、該架設材の上面に上部受板を介在して」いるのに対して、刊行物1記載の考案においては、左右の軸受ブラケツトは上板を備えたシャッターケースの左右の側板であって、シャッターケースが防振ゴムを介して支持受台に載置されている点で相違する。 そして、刊行物2記載の考案は、左右の支持受台(躯体取付部材1)にそれぞれ左右の軸受ブラケツト(部材取付部材4)を防振ゴムを介して取付けることを開示するが、上記相違点に関する本件考案の構造を開示するものではない。 そして、このような相違点により、防振ゴムが、下部受板を用いることにより支持受台に強固に支持され、また、複数の架設材が、この下部受板に各端部が固定されることにより、支持受台に安定して固定され、さらに両軸受ブラケツトが、上部受板を介在することにより、支持受台間に跨って安定して固定された複数の架設材に対して、安定して支持されることになり、したがって、「駆動軸受ブラケツトと従動軸受ブラケツトとを安定して支持し、且つシヤツター昇降時に生ずる騒音及び振動を該防振ゴムによって吸収して外部に伝達する振動や騒音を極力防止する作用をする」(実用新案登録公報第3欄第39行?43行参照)という作用効果を生じるものと認める。 2-5.むすび 以上のとおりであるから、本件考案は上記刊行物1または2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-09-27 |
出願番号 | 実願平2-89344 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(E06B)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岡 千代子 |
特許庁審判長 |
伊坪 公一 |
特許庁審判官 |
阿部 綽勝 住田 秀弘 |
登録日 | 1996-09-03 |
登録番号 | 実用新案登録第2517886号(U2517886) |
権利者 |
小俣シヤツタ?工業株式会社 東京都北区東田端1?4?1 |
考案の名称 | 捲上げシヤツタ?の取着構造 |
代理人 | 三澤 正義 |
代理人 | 仙田 実 |