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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60N
管理番号 1032502
審判番号 不服2000-7663  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-23 
確定日 2001-02-08 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第20486号「自動車用フロアカーペット」拒絶査定に対する審判事件[平成6年10月11日出願公開、実開平6-72738号]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願考案
本願は、平成5年3月29日に出願されたものであって、その請求項1に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の通りのものである(以下、「本願考案」という。)。

「自動車のフロアパネル上に敷設するフロアカーペットであって、裏面に繊維を主体とした密度0.02?0.01g/cm^(3)の緩衝材をそなえるものにおいて、前記緩衝材の下面が、敷設するフロアパネルに沿う形状に成形されてあり、かつ前記緩衝材の一部が厚さが実質的に0とみなし得る10mm以下ないしは元厚さの10%以下の厚さに圧縮、形状付与されていることを特徴とする自動車用フロアカーペット。」

2.引用刊行物記載の考案
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成2年7月13日に頒布された「実願昭63-171042号(実開平2-88841号)のマイクロフィルム」(以下「引用刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
「本考案は自動車の床に敷設される自動車のカーペットに関するものである。」(明細書第2頁第7行?第8行)
「本考案においてはカーペットの形状安定性が極めて大きくなり、そして立上り部分や凸状成形部分は成形性フェルトの圧縮比を大とすれば該成形性フェルトは硬質板状となってぶかつきは全くなくなりかつ極めて大きな形状安定性が得られ、また凹部形状等の成形も成形性フェルトの圧縮比を大とすることによって可能となり、物入れ等に該凹部形状を使用することが出来る。更に床当接部は成形性フェルトの圧縮比を小さくすることにより適当にクッション性を有し感触良好な床面が得られ、特に床にビードが形成されている場合に、該ビード形状に適嵌する形状に該成形性フェルトを成形しておけば、該ビードが床面から感知されなくなり足がとられることなくかつ外観的にも好ましいものとなる。」(明細書第5頁第9行?第6頁第3行)
また、特に第1図には、
「自動車の床上に敷設するカーペット」であって、裏面に成形性フェルト13をそなえるものにおいて、前記成形性フェルトの下面が、敷設する床17に沿う形状に成形されてあり、かつ前記成形性フェルトの一部が圧縮、形状成形されている自動車用カーペットが示されている。

また、同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成4年9月30日に頒布された「特開平4-274938号公報」(以下「引用刊行物2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
「自動車のフロアパネル上に敷設するフロアカーペットであって、上下一対の発泡ウレタン樹脂注入型の下型上に、あらかじめ賦形したフロアカーペットを裏面を上向きに配置して型締めし、キャビティーにウレタン原液を注入発泡させることにより、ウレタンフォームを主体とした緩衝材が形成されるものにおいて、
該カーペットの裏面に一体的に形成されるウレタンフォームを主体とした緩衝材の密度が0.05g/cm^(3) 以上0.20g/cm^(3)未満である一般部と、密度が0.01g/cm^(3)以上0.03g/cm^(3) 未満である低密度部で一体的に形成されることを特徴とする自動車用フロアカーペット」(特許請求の範囲の請求項1)

なお、原査定において、拒絶の理由を記載した拒絶理由通知書の日付が記載されていないが、原査定の「備考」において参酌された手続補正書および意見書の日付の記載から見て、直前に通知された平成11年4月28日付けの拒絶理由通知に記載した理由により拒絶査定したものとみるのが相当である。

3.対比
本願考案と、引用刊行物1に記載された考案を対比すると、引用刊行物1に記載された「床」、「カーペット」、「成形性フェルト」および「圧縮、形状成形」が、本願考案の「フロアパネル」、「フロアカーペット」、「繊維を主体とした緩衝材」および「圧縮、形状付与」にそれぞれ相当する。
したがって、両者は、
「自動車のフロアパネル上に敷設するフロアカーペットであって、裏面に繊維を主体とした緩衝材をそなえるものにおいて、前記緩衝材の下面が、敷設するフロアパネルに沿う形状に成形されてあり、かつ前記緩衝材の一部が圧縮、形状付与されていることを特徴とする自動車用フロアカーペット。」である点で一致しており、一方、
(1)繊維を主体とした緩衝材に関し、本願考案では、「密度0.02?0.01g/cm^(3)」としたのに対し、引用刊行物1に記載された考案では、特に限定されていない点、および、
(2)緩衝材の一部の圧縮、形状付与に関し、本願考案では、「厚さが実質的に0とみなし得る10mm以下ないしは元厚さの10%以下の厚さ」としたのに対し、引用刊行物1に記載された考案では、特に限定されていない点で、それぞれ相違する。

4.当審の判断
上記相違点(1)について検討すると、引用刊行物2には、本願考案と同様の「自動車用フロアカーペット」において、「緩衝材」の密度として「0.01g/cm^(3)以上0.03g/cm^(3)未満」なる数値が示されており、本願考案の「0.02?0.01g/cm^(3)」なる数値は出願前に公知の数値範囲である。
そして、本願考案において「0.02?0.01g/cm^(3)」に限定することに格別の臨界的意義は認められないから、該相違点は、引用刊行物2に基づき当業者がきわめて容易に想到できたものと認める。

また、上記相違点(2)について検討すると、引用刊行物1に記載された「自動車用フロアカーペット」も「緩衝材」を圧縮するものであり、圧縮後の厚さをどの程度とするかは、当業者が必要に応じて適宜設定すべき設計的事項であって、「10mm以下ないしは元厚さの10%以下の厚さ」とすることに、臨界的意義は認められない。
なお、「厚さが実質的に0とみなし得る」なる記載は、考案の詳細な説明の記載「ここで実質的に0の厚さとは、10mm以下、好ましくは5mm以下の厚さである。または、マットの圧縮前の元厚さに対して10%以下の厚さのことである。」(段落番号【0009】)を参酌すると、単に、圧縮の程度を言い換えただけのものであり、「自動車用フロアカーペット」の構成として特に意味のあるものとは認められない。

そして、本願考案は、引用刊行物1に記載された考案の「自動車用フロアカーペット」の「緩衝材」の密度について引用刊行物2に記載された公知の範囲とし、圧縮後の厚さについて設計的な限定を付したものに相当するが、そうすることにより奏する効果も、予測しうる範囲の効果にすぎない。

5.むすび
したがって、本願考案は、引用刊行物1および2に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとするのが相当であって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-12-14 
結審通知日 2000-12-15 
審決日 2000-12-26 
出願番号 実願平5-20486 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B60N)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 豊原 邦雄見目 省二倉橋 紀夫  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 熊倉 強
藤本 信男
考案の名称 自動車用フロアカーペット  

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