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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K |
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管理番号 | 1041526 |
審判番号 | 審判1999-18681 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-11-25 |
確定日 | 2001-05-18 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 29437号「パワートレーンの防振構造」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年12月20日出願公開、実開平 6- 87036]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、出願日が平成5年6月2日であつて、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成10年11月13日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 エンジンの動力をプロペラシャフトから終減速装置を介して駆動輪側に伝達するパワートレーンにおけるプロペラシャフトと終減速装置との接続部にダイナミックダンパーを設けたパワートレーンの防振構造であって、前記ダイナミックダンパーは、前記プロペラシャフトと同心に配設される円環形状の支持プレートと、該支持プレートの外縁部近傍に弾性体を介して固定される慣性マスと、を含んで構成されたことを特徴とするパワートレーンの防振構造。 2.引用例 これに対し、原査定の拒絶理由に引用された実公昭49-43773号公報(以下、「引用例」という。)には、車輌の駆動系捩り共振防止装置に関して、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)「原動機からの駆動力を適宜クラッチ装置および最終減速歯車装置を経て車輪に伝達せしめるようになした車両の駆動系において、前記最終減速歯車装置の入力軸とユニバーサル接手とを結合する前記入力軸側のフランジ部材もしくはユニバーサル接手側の取付部材の何れか一方に適宜回転質量を有するフランジを前記入力軸と同一軸心的に一体に成形し、駆動系の捩り共振周波数を下げると共に振動振幅を小さくしたことを特徴とする車両の駆動系捩り共振防止装置。」(実用新案登録請求の範囲) (イ)「しかしチューナホイールは曲げ振動に対しても比較的影響の少ない最終減速歯車装置の前部、すなわち最終減速歯車装置の入力軸(ドライブピニオン)とユニバーサル接手とを結合する前記入力軸側のフランジ部材もしくはユニバーサル接手側の取付部材の何れか一方に取付けるのが良いものである。なお該部分に該チユーナホイールを取付ける方法としては該チユーナホイールを別体に形成して前記フランジ部材または取付部材にボルトで取付ける方法と、該フランジ部材または取付部材にチユーナホイールを同一軸心的に一体的に成形する方法とがあるが、」(4欄42行?5欄9行) 以上の記載事項並びに明細書及び図面の全記載からみて、引用例には、以下の考案(以下、「引用考案」という。)が記載されているものと認める。 「原動機の駆動力をプロペラシャフト5から最終減速歯車装置を介して車輪側に伝達する駆動系におけるプロペラシャフト5と最終減速歯車装置との接続部にチューナホイールを設けた駆動系の共振防止装置。」 3.対比 本願考案と引用考案を比較すると 、引用考案の「原動機」は本願考案の「エンジン」に、以下同様に、「駆動力」は「動力」に、「プロペラシャフト5」は「プロペラシャフト」に、「最終減速歯車装置」は「終減速装置」に、「車輪」は「駆動輪」に、「駆動系」は「パワートレーン」に、「共振防止装置」は「防振構造」に、それぞれ相当するものと認められるので、両者には、下記の一致点及び相違点があるものと認められる。 [一致点] 「エンジンの動力をプロペラシャフトから終減速装置を介して駆動輪側に伝達するパワートレーンにおけるプロペラシャフトと終減速装置との接続部に振動減衰手段を設けたパワートレーンの防振構造 」である点。 [相違点] 本願考案では、振動減衰手段としてダイナミックダンパを用い、該ダイナミックダンパーは、プロペラシャフトと同心に配設される円環形状の支持プレートと、該支持プレートの外縁部近傍に弾性体を介して固定される慣性マスと、を含んで構成されているのに対し、 引用考案では、振動減衰手段としてチューナホイールを用い、プロペラシャフトと同心に配設されるフランジ部材または取付部材にチューナホイールを取付けて構成した点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 動力伝達系における共振点をずらし他の共振系との重複を避けるための防振構造として、動力伝達部分に弾性体と慣性マスからなるダイナミックダンパを使用することは慣用されている技術である{実願平1-54294号(実開平2-144825号)のマイクロフィルム(慣用技術文献1という)、特開昭50-35824号公報、実願平1-77924号(実開平2-119542号)のマイクロフィルム参照}。 また、ダイナミツクダンパを 円環形状の支持プレートと、該支持プレートの外縁部近傍に弾性体を介して固定される慣性マスで構成することも、前記慣用技術文献1の従来技術として示された明細書1頁20行 ?2頁4行に記載の「第8図のように、前端にブッシュdを配置すると共に後端にクッションeを配置して外筒の振動リングfを装着したダイナミックダンパgをボールヨークhに連結されたコンパニオンフランジ部iに共締めしたものがある」、及び第8図に開示されていることからみて、この点は、引用考案に弾性体と慣性マスからなるダイナミックダンパの技術を適用するに際し、当業者がきわめて容易に想到できたものと認める。 そして、引用考案が奏する効果は、当業者の予測を越えるものではない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願考案は、引用考案及び慣用されている技術に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よつて、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-03-07 |
結審通知日 | 2001-03-16 |
審決日 | 2001-03-27 |
出願番号 | 実願平5-29437 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(B60K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 亀丸 広司、仁木 浩 |
特許庁審判長 |
舟木 進 |
特許庁審判官 |
常盤 務 秋月 均 |
考案の名称 | パワートレーンの防振構造 |
代理人 | 笹島 富二雄 |