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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16F |
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管理番号 | 1041528 |
審判番号 | 審判1999-12978 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-08-05 |
確定日 | 2001-05-23 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 36368号「ガススプリングの密封案内装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 1月10日出願公開、実開平 7- 1346]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成5年6月8日の出願であって、平成11年7月6日(発送日)に拒絶査定がなされ、平成11年8月5日に審判請求がなされ、その指定期間内に手続補正書が提出されたものである。 2.本願考案 本願の請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 【請求項1】 「シリンダの開口端に固定したベアリング本体と、ベアリング本体の下方に於いてシリンダ内に固定したストッパと、ベアリング本体とストッパとの間に配置されると共にシリンダの内周面とピストンロッドの外周面とに沿って動き得るようにベアリング本体とストッパから独立してフローテイング自在に配設したメインシールと、当該メインシールと所定の間隔をおいてベアリング本体の内周面に設けられ且つピストンロッドの外周面に当接するサブシールと、メインシールとサブシールとベアリング本体とで区画された貯油室とからなることを特徴とするガススプリングの密封案内装置。」 3.引用文献記載の考案 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭54ー15561号(実開昭56-72945号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、緩衝器の技術分野に属する「ガススプリングの密封案内装置」に関することが記載されていて、その明細書及び図面には、次の事項が記載されている。 (1)「有底のシリンダ内に設けられたピストンーピストンロッド組立体と、前記シリンダの開口端に配設され、前記ピストンロッドを案内するロッドガイドと、該ロッドガイドに設けられ、一端が大気に開口し、他端がシリンダ内に開口する第1の通路手段と、該ロッドガイドの下方に位置し、ピストンーピストンロッド組立体の変位を規制するストッパと、前記第1の通路手段の一端をシールする第1のシール部材と、前記ロッドガイドとストッパとの間に位置され、前記ロッドガイドと共同して室を形成し、かつシリンダ内の残余の部分を密閉室とするように設けられた第2のシール部材と、前記室内に封入された油液および前記密封室に封入されたガスと、一端が前記室に開口し、他端が前記密閉室に開口する第2の通路手段とからなるガススプリング。」(実用新案登録請求の範囲) (2)「第2シール部材10のリップ部分11は、高圧力のガスが矢印12の方向へ流れるので、ピストンロッド3から離され、その結果、リップ部分11とピストンロッド3との間には間隙ができて第2の通路手段を構成することとなり、同様に、第2シール部材10の下方にガスが充満される。 所定量のガスがシリンダ1の内部に充満された後、高圧ガス装置から大気へ取り出すと、油用の室内にあった高圧ガスは第1通路手段から大気中へ膨張し、同時に第2シール部材10のリップ部分11は室18内のガスによって矢印12方向とは反対の方向へ押圧されることになるので、室18からのガス漏れは起らない。その後、第1通路手段9から油を油用の室内へ注入し、この油用の室に油を充満させる。以上の作業が終わった後、凹部8内に第1シール部材21を圧入して、第1通路手段9を閉塞すると共にピストンロッド2との間をシールして、本考案ガススプリングが形成される。」(明細書第7頁下から第4行?同第9頁第2行) これらの記載事項及び他の記載を参酌すると、引用文献1には、次のような考案(以下、「引用考案」という。)が記載されていると認めることができる。 「シリンダ1の開口端に装着したロッドガイド5と、ロッドガイド5の下方に於いてシリンダ1内に固着したストッパ13と、ロッドガイド5とストッパ13との間に位置された第2のシール部材10と、ロッドガイド5の上端中央部に形成された凹部8内に圧入され且つピストンロッド2との間をシールする第1のシール部材21と、第2のシール部材10と第1のシール部材21とロッドガイド5とで区画された油用の室である溝6,6…とからなるガススプリング。」 4. 本願考案と引用考案との対比及び当審の判断 そこで本願考案と引用考案とを対比すると、引用考案の「シリンダ1の開口端に装着したロッドガイド5」は本願考案の「シリンダの開口端に固定したベアリング本体」に相当し、同様に、「ロッドガイド5の下方に於いてシリンダ1内に固着したストッパ13」は「ベアリング本体の下方に於いてシリンダ内に固定したストッパ」に、「ロッドガイド5とストッパ13との間に位置された第2のシール部材10」は「ベアリング本体とストッパとの間に配置されたメインシール」に、「ピストンロッド2との間をシールする第1のシール部材21」は「ピストンロッドの外周面に当接するサブシール」に、「第2のシール部材10と第1のシール部材21とロッドガイド5とで区画された油用の室である溝6,6…」は「メインシールとサブシールとベアリング本体とで区画された貯油室」に、「ガススプリング」は「ガススプリングの密封案内装置」に、それぞれ、相当するので、本願考案と引用考案との一致点及び相違点は以下のとおりである。 (一致点) シリンダの開口端に固定したベアリング本体と、ベアリング本体の下方に於いてシリンダ内に固定したストッパと、ベアリング本体とストッパとの間に配置されたメインシールと、当該メインシールと異なる位置に設けられ、ピストンロッドの外周面に当接するサブシールと、メインシールとサブシールとベアリング本体とで区画された貯油室とからなるガススプリングの密封案内装置。 (相違点) (1) 本願考案では、「ベアリング本体とストッパとの間に配置されると共にシリンダの内周面とピストンロッドの外周面とに沿って動き得るようにベアリング本体とストッパから独立してフローテイング自在に配設したメインシール」となっているのに対し、引用考案では、「ベアリング本体(ロッドガイド5)とストッパ(ストッパ13)との間に配置(位置)されたメインシール(第2のシール部材10)」となっている点。 (2) 本願考案では、「当該メインシールと所定の間隔をおいてベアリング本体の内周面に設けられ且つピストンロッドの外周面に当接するサブシール」となっているのに対し、引用考案では、「ベアリング本体(ロッドガイド5)の上端中央部に形成された凹部8内に圧入され且つピストンロッドの外周面に当接する(ピストンロッド2との間をシールする)サブシール(第1のシール部材21)」となっている点。 (相違点についての検討) ・相違点(1)について 本願考案と同じ技術分野である緩衝器において、シール部材をフローテイング自在に配設することが従来周知の技術的事項であり(例えば、実願昭63-15860号(実開平1-119948号)のマイクロフィルム、実願昭63-30485号(実開平1-135244号)のマイクロフィルム)、しかも、この従来周知の技術的事項を引用考案に適用することにより生じる効果は、当業者の予測を越えるものではない。 してみると、この相違点(1)に係る本願考案の構成は、当業者が引用考案に従来周知の技術的事項を適用することによりきわめて容易に想到できたものといわざるを得ない。 ・相違点(2)について 引用文献1には、別の例を示す第3図に「メインシールと所定の間隔をおいてベアリング本体の内周面に設けられ且つピストンロッドの外周面に当接するサブシール」が実質的に記載されていて、また、軸受の内周面にシール部材を設けることが従来周知の技術的事項であるので、この相違点(2)に係る本願考案の構成は、当業者が引用考案の実施に際し適宜採用できる設計的事項にすぎないものといわざるを得ない。 5. むすび したがって、本願考案は、引用考案及び周知の技術的事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案し得たものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 |
審理終結日 | 2001-03-08 |
結審通知日 | 2001-03-21 |
審決日 | 2001-04-03 |
出願番号 | 実願平5-36368 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(F16F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 窪田 治彦、岸 智章 |
特許庁審判長 |
舟木 進 |
特許庁審判官 |
秋月 均 池田 佳弘 |
考案の名称 | ガススプリングの密封案内装置 |
代理人 | 天野 泉 |