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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01F
管理番号 1048642
審判番号 審判1999-10972  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-02 
確定日 2001-11-12 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 7013号「トランス部品」拒絶査定に対する審判事件〔平成 6年 9月 2日出願公開、実開平 6- 62514、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。   
結論 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。
理由 1 本願考案
本願は、平成5年2月2日の出願であって、その実用新案登録請求の範囲請求項1?3に係る考案は、その【実用新案登録請求の範囲】請求項1?3に記載されたとおりの次のものである。
「【請求項1】 円柱部及び両端の拡大フランジ部を有する軟磁性ドラムと、該軟磁性ドラムの前記円柱部に巻装した2以上のコイル巻線と、前記軟磁性ドラムを取り囲み且つ前記拡大フランジ部に嵌合する軟磁性スリーブとよりなり、前記ドラムに巻かれた前記コイル巻線の各ターン間は巻線の周りに充分な空気を介在するように互いに離間させ、前記巻き線と前記軟磁性スリーブとの間には充分な空隙を存在させ、さらに前記拡大フランジには溝を設けて前記コイル巻線の各引出リードを嵌合させたことを特徴とするコモンモードトランス部品。
【請求項2】 外形が円筒形であり、軟磁性ドラムと軟磁性スリーブの端面がほぼ同一の平面をなし、両巻線の端部が前記平面に引き出されて膜状外部端子に接続されている請求項1に記載のトランス部品。
【請求項3】 外形が直方体形であり、軟磁性ドラムと軟磁性スリーブの端面がほぼ同一の平面をなし、両巻線の端部が前記平面に引き出されて膜状外部端子に接続されている請求項1に記載のトランス部品。」

2 引用例
実願昭54-151826号(実開昭56-70618号)のマイクロフィルム(以下、引用例1という。)には、軟磁性ドラム(鍔付コア4)と、該軟磁性ドラムに巻装されたコイル巻線(巻線1)と、前記軟磁性ドラムを挿入する軟磁性スリーブ(筒状コア5)とからなるトランス部品が記載されている。
実願昭63-41613号(実開平1-145110号)のマイクロフィルム(以下、引用例2という。)には、端面に端子8が設けられたドラムコア5と、リング6とからなるコイル素子が記載され、ドラムコア6の一方の鍔部4周面の対向する2個所の位置には、一対の溝7が設けられて、この溝7内面から鍔部4の外面にかけて、スパッタリングにより一対の電極が形成され、上記コイル3の両端は、それぞれ溝7内で電極8に熱圧着により接続されることが記載されている。
軟磁性ドラムと軟磁性スリーブとを有するトランスは、実公昭35-32046号公報、実公昭45-17111号公報に記載されている。
導体の周りの小ループ磁界の発生を抑制してコイルの特性を向上させることは実願昭63-54851号(実開平1-162217号)のマイクロフィルム、特開昭59-28305号公報、特開昭57-173918号公報に記載されている。
特開昭60-66804号公報には、棒状コア4の外周面に形成された螺旋溝4aに沿って導線1を2本ペアで巻線したコモンモードチョークコイルが記載されている。
実願昭60-159716号(実開昭62-68210号)のマイクロフィルムには、高耐圧被覆を施した各相線(2a’)、(2b’)、(2c’)を一括束にして、コア(1)に巻き付けたコモンモードコイルが記載されている。

3 本願考案と引用例との対比
請求項1の考案と引用例1とを対比すると、「円柱部及び両端の拡大フランジ部を有する軟磁性ドラムと、該軟磁性ドラムの前記円柱部に巻装した2以上のコイル巻線と、前記軟磁性ドラムを取り囲み且つ前記拡大フランジ部に嵌合する軟磁性スリーブとよりなる、コモンモードトランス部品」の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
前者は、「前記ドラムに巻かれた前記コイル巻線の各ターン間は巻線の周りに充分な空気を介在するように互いに離間させ、前記巻き線と前記軟磁性スリーブとの間には充分な空隙を存在させ」ているのに対して、後者は、巻線(1)を一対の鍔部(2)(3)を両端に有するボビン即ちフェライト製の鍔つきコア(4)に巻装しているとの記載のみで、ターン間の状態は示されていない点、
(相違点2)
前者は、「前記拡大フランジには溝を設けて前記コイル巻線の各引出リードを嵌合させ」ているのに対して、後者は、筒状コア5に溝部を有するが、拡大フランジ部には溝がない点。
(相違点2の検討)
まず先に相違点2について検討すると、引用例2にドラムコア6の一方の鍔部4周面の対向する2個所の位置には、一対の溝7が設けることが示されており、引用例1の拡大フランジに溝を設けることは、当業者がきわめて容易になしえることであり、その際コイル巻線の各引出リードを嵌合させることは単なる設計的事項であるので、この相違点は格別のものではない。
(相違点1の検討)
しかしながら、ドラムに巻かれた前記コイル巻線の各ターン間は巻線の周りに充分な空気を介在するように互いに離間させることは、引用例1,2,3及び上記の他の引用例のいずれにも示唆する記載はない。そして、該構成によりトロイダルコアに2本の巻線を施して成るコモンモードトランスと同等以上の0.95以上の結合係数が得られるという効果を奏する。
確かに、導体の周りの小ループ磁界の発生を抑制してコイルの特性を向上させるために、非磁性材料を介在させ磁気抵抗を増大させることにより各巻線の周りを周回する小磁束ループを防ぐ技術は示されるが、コモンモードコイルにおいて、特開昭60-66804号公報や実願昭60-159716号(実開昭62-68210号)のマイクロフィルムを見ても、螺旋溝に沿って導線を2本ペアで巻線したり、一括束にしたりしており、コモンモードの巻線の周りの小ループ磁界の発生を抑制してコイルの特性を向上させる思想を認めることはできない。従って、この相違点は格別なものである。

4 まとめ
請求項1に係る考案は、上記各引用例記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることができない。請求項2及び3は、請求項1を引用する従属形式の考案であり、請求項1がきわめて容易に考案をすることができない以上、請求項2及び3に係る考案についても、上記各引用例記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることができない。
また、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-10-26 
出願番号 実願平5-7013 
審決分類 U 1 8・ 121- WY (H01F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 久保田 昌晴  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 浅野 清
橋本 武
考案の名称 トランス部品  
代理人 風間 弘志  
代理人 倉内 基弘  
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