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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B42F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B42F
管理番号 1093255
審判番号 訂正2003-39261  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-04-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2003-12-09 
確定日 2004-02-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2601438号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2601438号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、登録第2601438号実用新案(平成5年7月22日出願、平成11年9月17日設定登録)の明細書及び図面を、審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり、すなわち、下記訂正事項1ないし訂正事項21のとおり訂正することを求めるものである。
訂正事項1.実用新案登録請求の範囲の【請求項1】の「成形されていることを特徴とするファイルボックス。」という記載を、「成形されているとともに、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されていることを特徴とするファイルボックス。」と訂正する。
訂正事項2.実用新案登録請求の範囲の【請求項2】から【請求項6】を削除する。
訂正事項3.図面の【図6】から【図10】を削除し、それに伴い【図11】から【図15】の図番を【図6】から【図10】に変更する。
訂正事項4.考案の詳細な説明の段落【0002】の「図11」という記載を、「図6」と訂正する。
訂正事項5.考案の詳細な説明の段落【0004】の「図12」という記載を「図7」と、「図15」という記載を「図10」と、「図13」という記載を「図8」と、「図14」という記載を「図9」と訂正する。
訂正事項6.考案の詳細な説明の段落【0009】の「成形されている。」という記載を、「成形されているとともに、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されている。」と訂正する。
訂正事項7.考案の詳細な説明の段落【0010】から段落【0013】の記載を削除する。
訂正事項8.考案の詳細な説明の段落【0016】の記載を削除する。
訂正事項9.考案の詳細な説明の段落【0017】の「前記側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられているため、背面板の先端部分と底面板の先端部分を直線的に結合する腕部が側面板に形成され、さらに、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連設する支持部が形成され、ファイルボックスの強度がさらに高まる。」という記載を、「前記構成において、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されているので、ファイルボックスの強度が高まる。」と訂正する。
訂正事項10.考案の詳細な説明の段落【0018】及び段落【0019】の記載を削除する。
訂正事項11.考案の詳細な説明の段落【0020】の「第1」という記載を削除する。
訂正事項12.考案の詳細な説明の段落【0034】から段落【0053】の記載を削除する。
訂正事項13.考案の詳細な説明の段落【0058】の記載を削除する。
訂正事項14.考案の詳細な説明の段落【0059】の「前記側面板に、前記後縁部におよぶ第1の前記開口部と、前記底縁部におよぶ第2の前記開口部とが設けられているため、背面板の先端部分と底面板の先端部分を直線的に結合する腕部が側面板に形成され、さらに、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連設する支持部が形成されているため、より剛性の高いファイルボックスとなる。」という記載を、「前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されているので、剛性の高いファイルボックスとなる。」と訂正する。
訂正事項15.図面の簡単な説明の【図1】の「第1」という記載を削除する。
訂正事項16.図面の簡単な説明の【図6】の「本考案の第2実施例を示すファイルボックスの側面図である。」という記載を、「従来のファイルボックスを示す外観斜視図である。」と訂正する。
訂正事項17.図面の簡単な説明の【図7】の「本考案の第3実施例を示すファイルボックスの側面図である。」という記載を、「同ファイルボックスの側面板を示す側面図である。」と訂正する。
訂正事項18.図面の簡単な説明の【図8】の「本考案の第4実施例を示すファイルボックスの側面図である。」という記載を、「同ファイルボックスの背面板を示す背面図である。」と訂正する。
訂正事項19.図面の簡単な説明の【図9】の「本考案の第5実施例を示すファイルボックスの側面図である。」という記載を、「同ファイルボックスの底面板を示す底面図である。」と訂正する。
訂正事項20.図面の簡単な説明の【図10】の「本考案の第6実施例を示すファイルボックスの側面図である。」という記載を、「同ファイルボックスの側面板の断面図である。」と訂正する。
訂正事項21.図面の簡単な説明の【図11】から【図15】の「【図11】従来のファイルボックスを示す外観斜視図である。【図12】同ファイルボックスの側面板を示す側面図である。【図13】同ファイルボックスの背面板を示す背面図である。【図14】同ファイルボックスの底面板を示す底面図である。【図15】同ファイルボックスの側面板の断面図である。」という記載を削除する。

2.当審の判断
2-1.訂正の目的・新規事項追加・拡張変更の有無について
訂正事項1は、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案の「開口部」に、「一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されている」という限定を付加するものであるから、実用新案登録請求の範囲の限縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項2から請求項6を単に削除するものであるから、実用新案登録請求の範囲の限縮を目的とするものである。
また、訂正事項3は、訂正事項1及び訂正事項2に伴って、請求項に係る考案の実施例には該当しないものとなった実施例の図面を削除するためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項4及び訂正事項5は、訂正事項3に伴って、考案の詳細な説明の図番の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項6ないし訂正事項10は、訂正事項1及び訂正事項2に伴って、考案の詳細な説明の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項11は、訂正事項1及び訂正事項2により、請求項に係る考案の実施例には該当しないものとなった実施例を削除することに伴って、考案の詳細な説明の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項12は、訂正事項1及び訂正事項2に伴い、請求項に係る考案の実施例には該当しないものとなった実施例を削除するためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項13及び訂正事項14は、訂正事項1及び訂正事項2に伴い、考案の詳細な説明の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項15は、訂正事項1及び訂正事項2により、請求項に係る考案の実施例には該当しないものとなった実施例を削除することに伴って、図面の簡単な説明の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項16ないし訂正事項21は、訂正事項3に伴って、図面の簡単な説明の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1により請求項1に新たに追加された事項のうち、「側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ」ている点は、訂正前の請求項4に記載されていた事項であり、これら第1の開口部及び第2の開口部が「一対の側面板」のそれぞれに設けられた点は、訂正前の考案の詳細な説明の段落【0025】の「前記背面板3は・・・長方形の第1切欠部3cとが設けられている。前記第1切欠部3cは、前記側面板2の第1開口部2bと連続した状態で切欠されている。」という記載、及び段落【0026】の「前記底面板4は図5に示されるように、・・・長方形の第2切欠部4cとが設けられている。前記第2切欠部4cは、前記側面板2の第2開口部2cと連続した状態で切欠されている。」という記載と、図3、4より、背面板3の幅方向両側に第1切欠部3cが設けられていることが看取でき、図5より、底面板4の幅方向両側に第2切欠部4cが設けられていることが看取できることから、願書に添付した明細書または図面に記載された事項であると認められ、また、「第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されている」点は、訂正前の考案の詳細な説明の段落【0023】に記載された事項であるから、上記各訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

2-2.独立特許要件について
(1)訂正後の考案
訂正後の考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの次のものである。
「【請求項1】 間隔をおいて相対向する一対の側面板と、該側面板の後縁部に連設された背面板と、前記側面板の底縁部に連設された底面板とからなり、前記側面板に開口部が設けられ、金型により射出成形されるファイルボックスにおいて、前記開口部は、該開口部の開口縁が前記側面板の縁部に連続し、かつ側面板の面に沿った方向に金型を抜く場合、該金型を抜く方向と平行な平行線を仮想したとき、全ての前記平行線が、遮られることなく前記開口縁全周において線接触あるいは点接触するように成形されているとともに、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されていることを特徴とするファイルボックス。」
(2)刊行物記載の考案との対比・判断
請求人が先行例として提示した実願昭56-5202号(実開昭57-118751号)のマイクロフィルム(以下、刊行物1という。)には、第2、4、6図とそれらに係る明細書の記載を参酌すると、「間隔をおいて相対向する一対の側面板(刊行物1においては三角形側板7と記載されている。以下、各刊行物の記載事項における括弧は、各刊行物に記載された部材名等を示す。)と、該側面板の後縁部に連設された背面板(背板2)と、前記側面板の底縁部に連設された底面板(底板6)とを、プラスチックの一体成形により形成したファイルボックスにおいて、前記側面板の一方に、前記後縁部に及ぶ1つの開口部(窓9)が設けられているファイルボックス。」が、意匠登録第582161号公報(以下、刊行物2という。)には、各図面からみて、「間隔をおいて相対向する一対の側面板と、該側面板の後縁部に連設された背面板と、前記側面板の底縁部に連設された底面板とからなり、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ開口部が設けられているファイルボックス。」が、実願昭55-123476号(実開昭57-44782号)のマイクロフィルム(以下、刊行物3という。)には、第1図ないし第3図とそれらに係る明細書の記載を参酌すると、「間隔をおいて相対向する一対の側面板(右側枠2及び左側枠3)と、該側面板の後縁部に連設された背面板(後側枠4)と、前記側面板の底縁部に連設された底面板(底板1)とからなり、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ開口部(図面より看取される開口部)が設けられているファイルボックス(書類ケース1)。」が、それぞれ記載されている。
さらに、本件の実用新案登録公報において、参考文献として記載された実願昭61-198908号(実開昭63-104070号)のマイクロフィルム(以下、刊行物4という。)には、第1図とそれに係る明細書の記載を参酌すると、「間隔をおいて相対向する一対の側面板(起立板1)と、該側面板の後縁部に連設された背面板(持受板2)と、前記側面板の底縁部に連設された底面板(持受板3)とからなり、前記一対の側面板に、後縁部及び底縁部に及んでいない複数の開口部(第1図より看取される開口部)が設けられているファイルボックス(書類整理器具)。」が、実願昭63-75226号(実開平1-178986号)のマイクロフィルム(以下、刊行物5という。)には、第17図とそれに係る明細書の記載を参酌すると、「側面板(壁面3)と、該側面板の後縁部に連設された背面板(壁面2)と、前記側面板の底縁部に連設された底面板(壁面4)とからなり、前記側面板に、後縁部及び底縁部に及んでいない複数の開口部(透孔15)が設けられているファイルボックス(物品収容事務器具)。」が、実願平2-57518号(実開平4-15571号)のマイクロフィルム(以下、刊行物6という。)には、第1、2、4図とそれに係る明細書の記載を参酌すると、「間隔をおいて相対向する一対の側面板(左右側板4、5)と、該側面板の後縁部に連設された背面板(背板3)と、前記側面板の底縁部に連設された底面板(底板2)とからなり、前記一対の側面板に、後縁部及び底縁部に及んでいない複数の開口部(図面より看取される開口部)が設けられているファイルボックス(ファイルボックス1)。」が、それぞれ記載されている。
しかしながら、上記刊行物1ないし刊行物6のいずれにも、本件訂正後の考案に欠くことができない事項である、「開口部は、該開口部の開口縁が側面板の縁部に連続し、かつ側面板の面に沿った方向に金型を抜く場合、該金型を抜く方向と平行な平行線を仮想したとき、全ての前記平行線が、遮られることなく前記開口縁全周において線接触あるいは点接触するように成形されているとともに、一対の側面板に、後縁部に及ぶ第1の開口部と、底縁部に及ぶ第2の開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より腕部へ連接する支持部とが形成されている」点は、記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正後の考案は、上記構成を具備することにより、「ファイルボックスを金型により成形し形抜きをするとき、側面板を成形する金型を独立させる必要がなく、背面板、底面板、側面板を成形する一体化された金型と、前記各面の内側に入る金型とによりファイルボックスを成形することができる。これにより、金型の製造コストが削減され金型の成形期間も短縮される。また、従来、4個の金型を使用し4方向に金型を開き形抜きを行っていたものが、2個の金型を使用し、2方向に金型を開き行えるため成形機を小型化でき、あるいは、1台の成形機により複数個のファイルボックスが製造でき、製造コストの削減あるいは、生産性の向上が図れる。また、側面板には開口部が成形されているために、ファイルボックスが軽量化し、また製造コストも押さえることができる。したがって、成形方法が簡単であって、軽量化されたファイルボックスを提供し得る。また、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連接する支持部とが形成されているので、剛性の高いファイルボックスとなる。」(訂正明細書第7頁第17行?第8頁第10行)という明細書に記載された技術的効果を有するものである。
したがって、本件訂正後の考案は、刊行物1ないし6に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえないから、刊行物1ないし6によっては実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできず、他に実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とする理由も発見しない。

3.むすび
以上のとおり、本件審判の請求は、実用新案登録請求の範囲の限縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、更に実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第14条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第2項の規定により読み替えて適用される旧実用新案法第39条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
ファイルボックス
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 間隔をおいて相対向する一対の側面板と、該側面板の後縁部に連設された背面板と、前記側面板の底縁部に連設された底面板とからなり、前記側面板に開口部が設けられ、金型により射出成形されるファイルボックスにおいて、前記開口部は、該開口部の開口縁が前記側面板の縁部に連続し、かつ側面板の面に沿った方向に金型を抜く場合、該金型を抜く方向と平行な平行線を仮想したとき、全ての前記平行線が、遮られることなく前記開口縁全周において線接触あるいは点接触するように成形されているとともに、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連設する支持部とが形成されていることを特徴とするファイルボックス。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、書類等を起立させた状態で収納するファイルボックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、書類などを起立させた状態で収納するファイルボックスにおいては図6に示されるように、相対向する側面板2、背面板3及び底面板4からなる略直方体形状の函体であって、一面から該一面に連設する他面に亙って開口部が成形されている。
【0003】
前記ファイルボックス1の側面板2はB5サイズ、A4サイズなど収納される用紙サイズに応じた面積を有しており、したがって、例えばA4サイズの書類を、その長辺が垂直となる縦置きにする場合には、ファイルボックス1も同様に前記側面板2の長辺を垂直にし縦置きにする。また、A4サイズの書類を、その短辺が垂直となる横置きにする等、書類の収納状態に応じた配置を行うものである。
【0004】
前記側面板2は図7、図10に示すように、表面が凹凸状に加工されており、その凹部には縦長の開口部2aが切欠されている。また、前記背面板3は図8に示すように、長方形であり、長方形のラベル貼着面3aと略楕円形の窓部3bとが設けられている。さらに、前記底面板4にも同様に、図9に示すように、長方形のラベル貼着面4aと円形の貫通穴4bとが設けられている。
【0005】
前記各面に設けられた開口部2aまたは窓部3b、貫通穴4bにより、ファイルボックスの材料費の削減と軽量化が図られている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のファイルボックス1においては、側面板2に設けられた開口部2aが、前記側面板2の縁部に連設していないため、形抜きをするとき、前記開口部2aの形状を維持するために、垂直方向に金型を開く必要があり、側面板2を成形するための独立した金型が必要であった。このため、側面板2を成形する金型が2個、背面板3と底面板4とを成形するL字形の金型が1個、前記各面に囲まれ内側に入る金型が1個の合計4個もの金型が必要となる。
【0007】
さらに、型抜きをするとき各金型を4方向に開く必要があるため、型抜き工程が複雑になるとともに、その動作も大きくなり、成形機が大型になるという問題点があった。
【0008】
本考案は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、成形方法が簡単であって軽量化されたファイルボックスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本考案におけるファイルボックスにあっては、間隔をおいて相対向する一対の側面板と、該側面板の後縁部に連設された背面板と、前記側面板の底縁部に連設された底面板とからなり、前記側面板に開口部が設けられ、金型により射出成形されるファイルボックスにおいて、前記開口部は、該開口部の開口縁が前記側面板の縁部に連続し、かつ側面板の面に沿った方向に金型を抜く場合、該金型を抜く方向と平行な平行線を仮想したとき、全ての前記平行線が、遮られることなく前記開口縁全周において線接触あるいは点接触するように成形されているとともに、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連設する支持部とが形成されている。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】
前記構成において、前記側面板の前記開口部は、該開口部の開口縁が前記側面板の縁部に連続し、かつ、側面板の面に沿った方向に金型を抜く場合、該金型を抜く方向と平行な平行線を仮想したとき、全ての前記平行線が遮られることなく、前記開口縁全周において、線接触あるいは点接触するように成形されているため、形抜きをするとき、金型を側面板に沿い、開くことができ、開口部に対し垂直に金型を開く必要がなく、側面板を成形する金型を独立させる必要がなくなる。
【0015】
このため、背面板、底面板、側面板を成形する一体化された金型と、前記各面の内側に入る金型との2個によりファイルボックスを成形することができる。これにより、ファイルボックスを成形する金型の数が減り、形抜きをするときの金型を開く動作も少なくなる。また、側面板には開口部が成形されているために、ファイルボックスの軽量化も行える。
【0016】
【0017】
また、前記構成において、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連設する支持部とが形成されているので、ファイルボックスの強度が高まる。
【0018】
【0019】
【0020】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に従って説明する。図1に示すようにファイルボックス1にあっては、合成樹脂により成形されており、間隔をおいて相対向する一対の側面板2と、該側面板2の後縁部2dに連設された背面板3と、前記側面板2の底縁部2eに連設された底面板4とが、金型により、一体成形されている。
【0021】
前記側面板2は扇形状であり、基端部が垂直に交わった長辺である後縁部2dと短辺である底縁部2eと、前記各辺の先端部が略円弧状の前縁部2fとを有しており、B5サイズ用、あるいはA4サイズ用等、用紙サイズにあった大きさである。また、前記側面板2には、第1の開口部である第1開口部2bと第2の開口部である第2開口部2cとが設けられている。
【0022】
前記第1開口部2bは、開口縁5を有する略三角状であり、前記開口縁5が側面板2の後縁部2dと連続するように切欠されている。前記第2開口部2cもまた、開口縁6を有する略三角状であり、前記開口縁6が側面板2の底縁部2eと連続するように切欠されている。このため、各開口部2b、2cの各開口幅は、前記各縁部2d、2e上で最大となるような構成となっている。
【0023】
また、前記各開口部2b、2cの斜辺により、側面板2には、腕部2hと支持部2gとが形成されている。前記腕部2hは、前記背面板3の先端部分と底面板4の先端部分を直線的に連設するように形成されており、また、前記支持部2gは、前記底縁部2eと前記後縁部2dとが連設された部分から、その幅を広ろげるように前記前縁部2fの方向へ伸び前記腕部2hと連設されている。
【0024】
なお、前記第1開口部2bと第2開口部2cとは図2に示すように、射出成形し形抜きを行うとき、白抜き矢印の金型を抜く方向Aと平行な平行線7を仮想したとき、全ての前記平行線7が遮られることなく、前記各開口縁5、6全周に亙り、点接触するように成形されている。
【0025】
前記背面板3は図3、図4に示されるように、略長方形状であり、長方形のラベル貼着面3a、略楕円状の窓部3b、長方形の第1切欠部3cとが設けられている。前記第1切欠部3cは、前記側面板2の第1開口部2bと連続した状態で切欠されている。
【0026】
前記底面板4は図5に示されるように、略長方形状であり、長方形のラベル貼着面4a、略楕円状の貫通穴4b、長方形の第2切欠部4cとが設けられている。前記第2切欠部4cは、前記側面板2の第2開口部2cと連続した状態で切欠されている。
【0027】
以上の構成に係る本実施例において、側面板2の各開口部2b、2cの各開口縁5、6は、前記後縁部2d、前記底縁部2eと連続し、かつ、射出成形し形抜きを行うとき、金型を抜く方向と平行な平行線7を仮想したとき、全ての前記平行線7が遮られることなく、前記各開口縁5、6全周に亙り、点接触するように成形されているため、形抜きをするとき、各開口部2b、2cに対し、垂直に金型を開く必要がなく、側面板2を成形する金型を別途、製作する必要もなくなる。
【0028】
そして、前記第1開口部2b、前記第2開口部2cが背面板3の第1切欠部3cおよび底面板4の第2切欠部4cと連続するように設けられ、しかも、前記支持部2gの幅が、前縁部2fから後縁部2dと底縁部2eとが連設する方向に向け狭くなっている。
【0029】
このため、側面板2、背面板3、底面板4を一体成形できる1個の金型を作り、この金型に、各開口部2b、2cを成形する凸部を設け、ファイルボックスを製造する場合にも、支持部2gが伸びる方向へ金型を抜くことができる。よって、金型の数や金型を開く方向を減らすことができる。
【0030】
これにより、従来、4個の金型を使用し4方向に金型を開き形抜きを行っていたものが、2個の金型を使用し2方向に金型を開いて形抜きを行うことができるため、成形機を小型化できるか、あるいは、従来の4方向に金型を開くことのできる成形機1台を使用し、2つのファイルボックス1を同時に製造することができ、製造コストの削減あるいは、成形期間が短縮され生産性の向上が図れる。
【0031】
また、側面板2には各開口部2b、2cが設けられているために、ファイルボックス1の材料費の削減と軽量化を図ることができる。
【0032】
したがって、成形方法が簡単化し、しかも、軽量化されたファイルボックスとなる。
【0033】
さらに、腕部2hにより背面板3の先端部分と底面板4の先端部分が直線的に結合され、また、支持部2gにより背面板3と底面板4との結合部より前記腕部2hへ連設しているためファイルボックス1の強度も高まる。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【考案の効果】
以上説明したように本考案にあっては、ファイルボックスを金型により成形し形抜きをするとき、側面板を成形する金型を独立させる必要がなく、背面板、底面板、側面板を成形する一体化された金型と、前記各面の内側に入る金型とによりファイルボックスを成形することができる。これにより、金型の製造コストが削減され金型の成形期間も短縮される。
【0055】
また、従来、4個の金型を使用し4方向に金型を開き形抜きを行っていたものが、2個の金型を使用し、2方向に金型を開き行えるため成形機を小型化でき、あるいは、1台の成形機により複数個のファイルボックスが製造でき、製造コストの削減あるいは、生産性の向上が図れる。
【0056】
また、側面板には開口部が成形されているために、ファイルボックスが軽量化し、また製造コストも押さえることができる。
【0057】
したがって、成形方法が簡単であって、軽量化されたファイルボックスを提供し得る。
【0058】
【0059】
また、前記一対の側面板に、前記後縁部に及ぶ第1の前記開口部と、前記底縁部に及ぶ第2の前記開口部とが設けられ、これら第1及び第2の開口部を除いた部分により、前記一対の側面板に、背面板の先端部分と底面板の先端部分を結合する腕部と、背面板と底面板との結合部より前記腕部へ連設する支持部とが形成されているので、剛性の高いファイルボックスとなる。
【0060】
【0061】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の実施例を示すファイルボックスの側面図である。
【図2】
同ファイルボックスの開口部の形状を示す側面図である。
【図3】
同ファイルボックスの正面図である。
【図4】
同ファイルボックスの背面図である。
【図5】
同ファイルボックスの底面図である。
【図6】
従来のファイルボックスを示す外観斜視図である。
【図7】
同ファイルボックスの側面板を示す側面図である。
【図8】
同ファイルボックスの背面板を示す背面図である。
【図9】
同ファイルボックスの底面板を示す底面図である。
【図10】
同ファイルボックスの側面板の断面図である。
【符号の説明】
1 ファイルボックス
2 側面板
2a 開口部
2b 第1開口部
2c 第2開口部
2d 後縁部
2e 底縁部
2f 前縁部
2g 支持部
2h 腕部
3 背面板
3a ラベル貼着面
3b 窓部
3c 第1切欠部
4 底面板
4a ラベル貼着面
4b 貫通穴
4c 第2切欠部
5 開口縁
6 開口縁
7 平行線
【図面】





訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2004-01-26 
出願番号 実願平5-44633 
審決分類 U 1 41・ 853- Y (B42F)
U 1 41・ 851- Y (B42F)
最終処分 成立    
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 砂川 克
清水 康司
登録日 1999-09-17 
登録番号 実用新案登録第2601438号(U2601438) 
考案の名称 ファイルボックス  
代理人 畑中 芳実  
代理人 畑中 芳実  
代理人 福迫 眞一  
代理人 福迫 眞一  

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