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審決分類 |
審判 全部申し立て B05B 審判 全部申し立て B05B |
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管理番号 | 1005282 |
異議申立番号 | 異議1998-75104 |
総通号数 | 5 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-10-01 |
確定日 | 1999-07-14 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2569763号「動力噴霧機における噴口の実圧力表示装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2569763号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 実用新案登録第2569763号の請求項1に係る考案は、平成4年8月11日に実用新案登録出願され、平成10年1月30日に実用新案登録の設定の登録がなされ、平成10年10月12日に株式会社丸山製作所から、平成10年10月23日に株式会社共立から、それぞれ、実用新案登録異議の申立てがなされたもので、その後、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月2日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年5月18日に手続補正がなされたものである。 2.訂正の内容 平成11年5月18日付手続補正により適法に補正された訂正の内容は以下のとおりである。 1)訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る記載「【請求項1】複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンの噴口近くに圧力計を具備してなる動力噴霧機における噴口の実在圧力表示装置」を「【請求項1】複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備してなる動力噴霧機における噴口の実在圧力表示装置」と訂正する。 3.訂正の適否についての判断 1)訂正の目的 訂正事項aは、圧力計の取付位置をより特定したものであるから実用新案登録請求の範囲の減縮に該当すると認められる。 2)新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3)独立登録要件 [引用刊行物] 当審が平成11年2月9日付けで通知した取消理由通知で引用した刊行物1(「産業洗浄 高圧洗浄作業編」第36-38頁、第110-111頁、第116頁、日本洗浄協会、昭和63年6月14日発行)には、 高圧洗浄用の噴射ガンにおいて洗浄対象によって種々のガンノズルを使い分けること(第37頁第5行-第38頁第3行,3-1噴射ガン型洗浄(1)工法の概要、第38頁第24-26行及び第116頁第1-26行を参照)、 ノズル孔径を変更すると噴射圧力が変化すること(第110頁第4行、表4-16噴射水量,圧力ノズル孔径,反動力の関係、及び第111頁第15-27行を参照)が記載されていると認められる。 同じく刊行物2(実公昭58-6525号公報)には、 握持部2、3を有し、握持部3より先端側に第1から第4の散布ノズルを設け、この握持部2と各散布ノズルとの間に圧力計21を設けた長帯域散布装置の考案が記載されるとともに、 「図中1は握持部2,3によって握持しつつ薬液等の散布を行なわせるようにした散布導液管、4は導液管1の基部側に設けた送液ホース連結管、5は導液管1の送液口開閉弁であって、前記握持部2の軸杆6に支持されており、この軸杆6は導液管1の基部へ進退自在に螺合せしめてある」(第1欄第36行一第2欄第4行)、 「今導液管1の手許で握持部2を回動操作して、送液口開閉弁5を開放すると連結管4に連結せる送液ホースによって給送されるポンプからの圧送液は……第1散布ノズル7の噴口8および第2散布ノズル9の噴口12から前方に向かって直進的に射出され」(第2欄第33-37行)が記載されていると認められる。 [対比・判断] 訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、請求項1に係る考案という)と刊行物1ないし2に記載された考案とを対比すると、刊行物1ないし2のいずれにも、請求項1に係る考案を特定するための事項である「複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備し」たことが記載されていない。 すなわち、刊行物1には、動力噴霧器のスプレーガンを複数種類の噴口を装着可能としたことは記載されていると認められるが、スプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を設けることは記載も示唆もされていないと認められる。 また、刊行物2には、複数の散布ノズルを有する散布装置の散布ノズル近くに圧力計21を設けることが記載されているが、散布ノズル近くに設けた圧力計21の作用効果については何も記載されておらず、また、この散布ノズルは、複数設けられているだけであって、複数種類のものを装着可能としたものではなく、複数種類のものを装着可能とすることを示唆する記載も認められない。 そして、両刊行物には、噴口を異なるものに変更したときに生ずる問題点(噴出圧力を適切に調節することが困難であること)については何も記載されていないので、両刊行物に記載された技術的事項を組み合わせてみようとすることは当業者にとってきわめて容易に想到できることとは認められない 請求項1に係る考案は、上記事項を具備することにより、管内抵抗をいちいち考慮せずに噴口の種類により適切な圧力になるように圧力調節できるもので未熟練者でも容易にしかも適確に操作できるという訂正明細書中に記載された効果を有するものと認められる。 よって、請求項1に係る考案は、引用各刊行物に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは認められない。 また、他に請求項1に係る考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとすべき理由を発見しない。 したがって、請求項1に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであると認められる。 4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2?4項の規定に適合するので、当該請求を認める。 4.実用新案登録異議の申立についての判断 1)本件請求項1に係る考案 本件請求項1に係る考案は、訂正後の明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。 2)申立の理由の概要 (1)実用新案登録異議申立人株式会社丸山製作所は、甲第1号証(「産業洗浄 高圧洗浄作業編」第36-38頁、第110-111頁、第1 16頁、日本洗浄協会、昭和63年6月14日発行、取消理由通知で引用した刊行物1)、甲第2号証(実公昭58-6525号公報、取消理由通知で引用した刊行物2)、甲第3号証(実公昭58-33793号公報)、甲第4号証(実公昭41-22999号公報)、甲第5号証(実開昭62-148372号公報)を提出して、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証及び甲第2ないし5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、本件請求項1に係る考案についての実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである旨を主張している。 (2)実用新案登録異議申立人株式会社共立は、甲第1号証(実公昭58-6525号公報、取消理由通知で引用した刊行物2)、甲第2号証(「’88 NAGATA CATALOG」第5、6及び17頁)を提出し、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案に基づいてその考案の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから旧実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、甲第2号証により、その出願前に日本国内において公然実施された考案であるから旧実用新案法第3条第1項第2号の規定に違反してなされたものであるので、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき旨を主張している。 3)判断 (1)実用新案登録異議申立人株式会社丸山製作所の主張について 甲第1、2号証には、上記「3.訂正の適否についての判断」中で、それぞれ、引用刊行物1、2に記載された考案として述べた考案が記載されていると認められる。 甲第3号証には、スプリンクラー用検圧弁の考案が記載されるとともに、「検圧する場合には、検圧計の注入針を単に挿通するだけの簡単な操作によってスプリンクラーの噴出圧を正確に検知し得るものであるから、従来に比して検圧作業能率を著しく高めることができるばかりか、検圧結果による調圧バルブの操作も短時間になし得るので、スプリンクラーの噴出圧の検出、調節作業を極めて高能率に行うことができるものである」(第3頁第5欄第12-19行)が記載されていると認められる。 甲第4号証には、直進型ノズル(1)及び複数の噴射頭(J_(1)、J_(2)、J_(3))と、その近くに圧力計(13)を設けた噴射頭の考案が記載されていると認められる。 甲第5号証には、噴霧管(b)に、複数の噴口(c)と、その近くに圧力計(f)を設けた流量計付きノズルの考案が記載されていると認められる。 しかし、上記甲各号証には、本件請求項1に係る考案を特定する事項の一部である「複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備し」たことが記載されていない。 すなわち、甲第1、2号証については、上記「3.訂正の適否についての判断」中で、それぞれ、引用刊行物1、2に記載された考案について述べたとおりである。 甲第3号証には、スプリンクラーの噴出圧の検出、調節作業に使用する検圧計が記載されているが、動力噴霧器のスプレーガンを複数種類の噴口を装着可能としたことは記載も示唆も認められない。 甲第4号証には、甲第2号証と類似した構造を有する噴霧管、流量計付ノズルの考案が記載されていると認められるが、この考案についてみても上記「3.訂正の適否についての判断」中で、引用刊行物2に記載された考案について述べた理由と同じく、複数種類の噴口を装着可能とすることは記載も示唆も認められない。 甲第5号証にも、複数種類の噴口を装着可能とすることは記載も示唆も認められない そして、本件請求項1に係る考案は、上記事項を具備することにより、管内抵抗をいちいち考慮せずに噴口の種類により適切な圧力になるように圧力調節できるもので未熟練者でも容易にしかも適確に操作できるという明細書中に記載された効果を有するものと認められる。 よって、本件請求項1に係る考案は、甲第1ないし5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは認められない。 (2)実用新案登録異議申立人株式会社共立の主張について 甲第1号証には、上記「3.訂正の適否についての判断」中で、引用刊行物2に記載された考案として述べた考案が記載されていると認められる 甲第2号証には、複数の噴口と、圧力計を有する散布装置が記載されていると認められる。 しかし、上記甲1、2号証には、本件請求項1に係る考案を特定する事項の一部である「複数利類の噴口を装着可能としたスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備し」たことが記載されていない。 すなわち、甲第1号証については、上記「3.訂正の適否についての判断」中で、引用刊行物2に記載された考案について述べたとおりである。 また、甲第2号証には、複数種類の噴口を装着可能とすることは記載されておらず、本件請求項1に係る考案が記載されているとは認められないので、本件請求項1に係る考案がその出願前に日本国内において公然実施された考案であるとは認められない。 そして、本件請求項1に係る考案は、上記事項を具備することにより、管内抵抗をいちいち考慮せずに噴口の種類により適切な圧力になるように圧力調節できるもので未熟練者でも容易にしかも適確に操作できるというの訂正明細書中に記載された効果を有するものと認められる。 よって、本件請求項1に係る考案は、その出願前に日本国内において公然実施された考案であるとは認められず、また、甲第1号証に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとも認められない。 4)むすび 以上のとおりであるから、両実用新案登録異議申立人の実用新案異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 動力噴霧機における噴口の実圧力表示装置 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備してなる動力噴霧機における噴口の実圧力表示装置 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本案は動力噴霧機における噴口の実圧力表示装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 動力噴霧機はクランクシャフトを回転してプランジャーをシリンダ内で往復運動させることにより圧力を発生させ、この圧力で撒水や薬液の散布をして防虫防除、防カビをするものである。かかる動力噴霧機には、圧力計が装備されている。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 以上の如く従来の動力噴霧機には圧力計が装備されているが、実際の噴口近くの圧力は噴ロノズルの種類、及び管内抵抗等により異なり、その圧力を推測するには難しい。特に動力噴霧機を常時取り扱っていない作業者は尚更である。したがって本案は噴口の実圧力表示装置をうることを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本案は以上のような目的を達成するため次のような動力噴霧機における噴口の実圧力表示装置を提供するものである。すなわち、複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンの噴口近くに圧力計を具備してなる動力噴霧機における噴口の実圧力表示装置である。 【0005】 【作用】 スプレーガンの噴口近くに圧力計を具備しているので噴口近くの実圧力を容易に知ることができて動力噴霧機の圧力を調整することができる。 【0006】 【実施例】 以下図面に示す実施例について説明する。 先ず、動力噴霧機から説明するとエンジンやモーターにより発生した動力はベルトを介して駆動プーリー(1)に伝達される。ケース(2)に軸受支持されたクランクシャフト(3)は駆動プーリー(1)より得た動力でコンロッド(4)を介してプランジャー基部(5)及びプランジャー(6)を往復運動させる。 プランジャー基部(5)及びプランジャー(6)は連結ボルト(7)で連結されている。プランジャー(6)の往復運動と吸水弁(8)の逆流防止作用により吸水口(9)から液体が流入し、圧力タンク(10)内の圧力は図示しない圧力計に表示され、圧力調節レバー(11)を回動することにより作業に応じた圧力に調節される。圧力タンク(10)内の圧力が一定圧に達すると薬液等は圧力弁(12)より圧送され吐出口(13)より吐出される。圧力強制的に下げたい場合は安全弁リフレバー(14)を回動して液体を余剰口(15)へ流れ出るようにする。 【0007】 本案は以上のような動力噴霧機におけるスプレーガンの噴口近くに圧力計を具備したものである。 図示のものは吐出口(13)にホース(21)が接続され、これにスプレーガン(16)が取付けられる。(17)はスプレーガン(16)の噴口であって霧状に噴霧する噴口、ストレートに噴霧する噴口、拡散状に噴霧する噴口が着脱自在に取り換えられるようになっている。(18)はスプレーガンのハンドルであり、これにバルブハンドル(19)がある。そして(20)がスプレーガン(16)に設けられた噴口(17)近くの圧力計である。 【0008】 本案は噴口の種類によって上下する圧力を圧力計(20)でみて噴口の種類に合った圧力で液体を供給できるように圧力調節レバー(11)を回動して作業に応じた圧力に調節するものである。 以上の如く構成すれば管内抵抗をいちいち考慮せずに噴口の種類により適切な圧力になるように本機の圧力調節をやればよいことになる。 【0009】 【考案の効果】 本案のものによればスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備しているので管内抵抗をいちいち考慮せずに噴口の種類により適切な圧力になるように圧力調整できるもので未熟練者でも容易にしかも適確に操作できるという特徴に加えて、圧力計はスプレーガンのバルブハンドル操作により噴霧を停止した瞬間に急激に上昇する圧力の影響を全く受けることが無いという効果をも有するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本案装置を示す説明図である。 【符号の説明】 10 圧カタンク 11 圧力調節レバー 13 吐出口 16 スプレーガン 17 噴口 20 圧力計 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 1)訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る記載 「【請求項1】複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンの噴口近くに圧力計を具備してなる動力噴霧機における噴口の実在圧力表示装置」を、 「【請求項1】複数種類の噴口を装着可能としたスプレーガンのバルブハンドルよりも噴口近くに圧力計を具備してなる動力噴霧機における噴口の実在圧力表示装置」と訂正する。 |
異議決定日 | 1999-06-21 |
出願番号 | 実願平4-62005 |
審決分類 |
U
1
651・
112-
YA
(B05B)
U 1 651・ 121- YA (B05B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 綿谷 晶廣 |
特許庁審判長 |
小林 正巳 |
特許庁審判官 |
石橋 和夫 石井 克彦 |
登録日 | 1998-01-30 |
登録番号 | 実用登録第2569763号(U2569763) |
権利者 |
ヤンマー農機株式会社 大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 |
考案の名称 | 動力噴霧器における噴口の実圧力表示装置 |
代理人 | 赤澤 日出夫 |
代理人 | 橋場 満枝 |
代理人 | 石戸 元 |
代理人 | 石戸 久子 |