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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G04B
管理番号 1012696
審判番号 審判1998-4818  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-04-01 
確定日 2000-03-08 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第31353号「表示修正機構」拒絶査定に対する審判事件(平成5年11月5日出願公開、実開平5-81782)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年4月14日の出願であって、その請求項1及び請求項2に係る考案は、平成8年4月12日付け手続補正書、平成10年1月6日付け手続補正書及び平成10年4月20日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された考案(以下本件考案という。)は次のとおりである。
「【請求項1】現在表示されている表示部の内容を外部操作部材を用いて修正する表示修正機構において、前記外部操作部材の動作に連動して作動する修正部材を設け、該修正部材の形状は、前記外部操作部材の動作を受ける剛体部と、修正動作を行なう剛体に形成された修正作動部と、この剛体部と修正作動部を結ぶ弾性部とより構成されると共に、前記修正作動部の送り側への動きの一定量以上を制御するストッパー部を、前記修正作動部の近傍に一体的に設けたことを特徴とする表示修正機構。」
2.引用例の記載事項
これに対して、原審において平成9年11月11日付けで通知された拒絶の理由に引用された本件の出願日前に頒布された実公昭48-30216号公報(以下引用例1という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・引用例1
(ア)「本考案は暦時計の暦修正装置に関するものであり、」(1欄15行乃至16行)
(イ)「1はオシドリで、巻真(図示せず)を1段引き出し、ツヅミ車2が小鉄車3に噛み合い、時合せになった状態を示す。オシドリのピン4は修正レバー5のだ円穴6に係合しており、修正レバーは軸7で軸支されている。修正レバーの一端9は軸9を中心に回転する修正ヅメ10のピン11に係合している。修正ヅメはその一端12が、リング状をなし、内歯を有する暦板13の歯14に係合する位置に持ちきたされるよう位置している。
ここで、巻真をさらに一段引き出すと、オシドリのピン15は16の位置まで転位し、オシドリのピンは修正レバーを右回転させ、修正レバーの一端8は修正ヅメを左回転し、修正ヅメを一端12は暦板の歯14に係合し、暦板を転位せしめる」(2欄3行乃至16行)
(ウ)「修正ヅメ12は度当り18を設けておき、修正レバーのアーム部19をたわむようになしておけば、暦板の送りすぎを防ぐことができる。」(2欄26行乃至29行)
(エ)図面には、修正ヅメ10が度当たり18に当接することが二点鎖線で示されており、これにより修正ヅメ10にはストッパ部に相当する部材を有し、該ストッパ部に相当する部材は修正ヅメの一端12の近傍にかつ一体的に設けられていることがみてとれる。
3.対比
本件考案と引用例1記載の考案とを対比すると、引用例1の「暦」及び「巻真」は、本件考案の「現在表示されている表示部の内容」及び「外部操作部材」に相当し、引用例1の「修正レバー5」は、「だ円穴6が設けられているレバー」と「アーム部19」とからなり、「だ円穴6が設けられているレバー」は巻真の転位がオシドリのピン4により該だ円穴6を介して伝わるものであること、そして、「だ円穴6が設けられているレバー」が弾性部により形成される旨の特段の記載がないことから、本件考案の「外部操作部材の動作を受ける剛体部」に相当し、「アーム部19」は本件考案の「弾性部」に相当する。また、引用例1の「修正ヅメの一端12」は弾性部により形成される旨の特段の記載がないことから本件考案の「剛体に形成された修正作動部」に相当し、また、上記記載事項(ウ)及び(エ)により、「ストッパ部に相当する部材」が該修正ヅメの一端12の近傍にかつ一体的に設けていることがみてとれ、また記載事項(ウ)の「暦板の送りすぎを防ぐ」という記載からみて該「ストッパ部に相当する部材」は本件考案の「ストッパ部」と同様に「修正ヅメの一端12」の送り側への動きを一定量以上を制御するものである。
したがって、両者は、「現在表示されている表示部の内容を外部操作部材を用いて修正する表示修正機構において、前記外部操作部材の動作に連動して作動する修正部材を設け、該修正部材の形状は、前記外部操作部材の動作を受ける剛体部と、修正動作を行なう剛体に形成された修正作動部と、弾性部とにより構成されると共に、前記修正作動部の送り側への動きの一定量以上を制御するストッパー部を、前記修正作動部の近傍に一体的に設けた表示修正機構」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点
本件考案は、弾性部が「剛体部と修正作動部を結ぶ」のに対して、引用例1記載の考案は、弾性部(アーム部)が「剛体部(だ円穴6が設けられているレバー)と修正作動部(修正ヅメの一端)を結ぶ」との記載がない点。
4.相違点の判断
上記相違点について検討すると、本件考案の「弾性部が剛体部と修正作動部を結ぶ」とは、本件考案明細書の【0024】の記載及び図1から具体的には、剛体部と修正作動部は弾性部を介して一体的に形成されていることを示している。これに対して、引用例1のものは修正レバーと修正ヅメの一端とが別部材から成るものであるが、アーム部の回転を修正ヅメに設けられたピンとの係合により該修正ヅメの一端が動作するとの観点からみれば、回転伝達系においては、剛体部(だ円穴が設けられているレバー)、弾性部(アーム部)及び修正作動部(修正ヅメの一端)とは結ばれており、また、ストッパ部(ストッパ部に相当する部材)が度当たりに当接したあとに、弾性部(アーム部)がたわむことにより押圧力を逃がすものであるから、動作の点では両者一致している。
また、時計の分野において、外部操作部材により時計内部の部品に対して押圧力を与える機構において、複数のレバーを一体的に形成した伝達部材を採用することは、この出願前周知(特開平2-194394号公報、特開昭50-96280号公報等)であり、伝達部材を一体の部材として形成することも格別なこととは認められないので、結局上記相違点の構成とすることは当業者であればきわめて容易に想到し得るものである。
そして、本願考案の奏する作用効果は、引用例1及び周知技術から当業者が予測しうる程度のものである。
5.むすび
したがって、本願考案は、引用例1に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-11-22 
結審通知日 1999-12-03 
審決日 1999-12-20 
出願番号 実願平4-31353 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (G04B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 井上 昌宏後藤 時男  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 島田 信一
榮永 雅夫
考案の名称 表示修正機構  

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