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審決分類 審判 全部無効 特39条先願 無効とする。(申立て全部成立) A23L
審判 全部無効 発明同一 無効とする。(申立て全部成立) A23L
管理番号 1020797
審判番号 審判1999-35332  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-06-30 
確定日 2000-05-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2016359号実用新案「包装した三角おにぎり」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2016359号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 I.手続の経緯・本件考案
本件登録第2016359号実用新案(以下、「本件考案」という。)は、平成1年3月16日に実用新案登録出願され、平成6年5月11日に設定の登録がなされたもので、本件考案は、その明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「矩形状の外装フイルム1とその内面のほぼ中央において自由状態で重合するよう配置された二枚一対の隔離フイルム2,3とにより袋状の海苔5の収納部6を形成すると共に、外装フイルムの略中央の縦方向にカットライン7を設け、前記隔離フイルム2,3上に三角おにぎりAを海苔5とは隔離した状態で載せ、フイルムを前記おにぎりAに沿って折畳むことにより三角おにぎりを包装したものにおいて、前記フイルムの3つの開口頂部a,b,cをヒートシール9にて封鎖したことを特徴とする包装した三角おにぎり。」

II.当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、「第2016359号登録実用新案の請求項1は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、本件考案は、(1)先願の甲号証に記載された考案と同一であるから、実用新案法7条1項の規定に違反し、或いは(2)考案者及び出願人が同一でない甲号証に係る考案と同一であるから、同法3条の2の規定に違反してなされたものである旨主張している。

甲第1号証:実公平7-7745号公報(甲第2号証の公告公報)
甲第2号証:平成1年実用新案登録願第6882号の願書に最初に添付した明 細書及び図面の写し
2.被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、本件考案は、実用新案法7条1項の規定及び同法3条の2の規定に違反しない旨主張している。

III.当審の判断
(1)実用新案法7条1項違反について
請求人が提出した本件考案の出願日前の出願に係る実願平1-6882号(登録実用新案第2098989号として平成8年1月26日に登録;甲第1号証)の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、
「【請求項1】方形状をなすとともに、中央部に開封用の処置が施された表面側のフィルムと、中央部が互いに重なるとともに、この部分を除いた周縁部が前記表面側のフィルムとの間で接着された2枚の裏面側のフィルムとからなり、表面側のフィルムおよび裏面側のフィルムの上半部に三角形状のおにぎり用の御飯を位置したのち下半部を折り曲げて御飯の両面および底面に裏面側のフィルムを接触させ、下半部の両隅部を折り曲げて御飯の両傾斜面に接触させたのちに上半部の両隅部も下半部の両隅部に重ねた状態に折り曲げるとともに、上半部の両端部を御飯の片面を覆っている下半部に接触した状態で互いに重合させ、この状態で上半部の両隅端部をラベルで下半部に止着し、さらに、3隅部の隙間をそれぞれシールして御飯を密封することを特徴とする包装した三角おにぎり。」である。
本件考案と甲第1号証に係る考案を対比すると、本件考案では、「フイルムを前記おにぎりAに沿って折畳むことにより三角おにぎりを包装したもの」であるのに対し、甲第1号証に係る考案では、「下半部の両隅部を折り曲げて御飯の両傾斜面に接触させたのちに上半部の両隅部も下半部の両隅部に重ねた状態に折り曲げるとともに、上半部の両端部を御飯の片面を覆っている下半部に接触した状態で互いに重合させ、この状態で上半部の両隅端部をラベルで下半部に止着し」である点で一応相違するものの、その余の点では一致している。
そこで、この一応の相違点について検討するに、甲第1号証に係る考案の、「下半部の両隅部を折り曲げて御飯の両傾斜面に接触させたのちに上半部の両隅部も下半部の両隅部に重ねた状態に折り曲げるとともに、上半部の両端部を御飯の片面を覆っている下半部に接触した状態で互いに重合させ」という事項は、下半部の両隅部と上半部の両隅部が、結局は三角おにぎりの形状に沿って折り曲げられているということであるから、本件考案の「フイルムを前記おにぎりAに沿って折畳む」という事項に包含される、すなわち、本件考案の一態様に相当するといえる。
そうすると、本件考案は、甲第1号証に係る考案と何ら相違するところはないので、本件考案は、実用新案法7条1項の規定に違反してなされたものである。
(2)実用新案法3条の2違反について
請求人が提出した、本件考案の出願日前の出願であって、その出願後に出願公開された実願平1-6882号の願書に最初に添付した明細書及び図面(甲第2号証)には、
「第1図および第2図にはこの考案による包装材の第1の実施例が示されていて、この実施例に示す包装材にあっては、直方形状の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを表面側のフィルム1として用い、この表面側のフィルム1の短い辺のほぼ中央に、長い辺に平行に、約1.5mm幅の開封用のテープ3を接着し・・・(略)・・・そして、上記のようにした表面側のフィルム1の裏面に、2枚の高密度ポリエチレンフィルムからなる裏面側のフィルム2a,2bを、それらの中央部が互いに1cm以上重なった状態で、かつ、前記表面側のフィルム1の中央部に位置するように位置して、周縁部を熱圧着して、表面側のフィルム1と裏面側のフィルム2a,2bとの間の周縁部を接着して包装材を形成する。上記のように形成した包装材を使用する場合には、まず、表面側のフィルム1と裏面側のフィルム2a,2bとの間で形成された空所に巻装物である、たとえば、海苔6を入れ、また、裏面側のフィルム2a,2bの上面の上部に、第3図に示すように前記表面側のフィルム1に設けた開封用のテープ3に頂部が位置するように三角形状のおにぎり用の御飯7を置く。つぎに、包装材の下半部を折り返したのちに、その下半部の両隅部を折って三角柱状のおにぎり用の御飯7の側面に接触させ、こののち、包装材の上半部の両隅部を手前側に起立させて前記下半部の両隅部に折り重ねたのちにラベル9で止める。さらに、この状態にあっては第10図に示すものと同様に3隅部に隙間29が生じたままとなっているので3隅部を熱シール15して第4図に示すようにして密封するものである。」(7頁13行?9頁9行)と記載されている。
上記記載によると、甲第2号証には、「直方形状の表面側のフィルム1のほぼ中央に開封用のテープ3を接着し、この表面側のフィルム1の裏面に、2枚の裏面側のフィルム2a,2bを、それらの中央部が互いに重なった状態で、かつ、前記表面側のフィルム1の中央部に位置するように位置して、周縁部を熱圧着して包装材を形成し、この包装材の空所に、海苔6を入れ、裏面側のフィルム2a,2bの上面の上部に、三角形状のおにぎり用の御飯7を置き、つぎに、包装材の下半部を折り返したのちに、その下半部の両隅部を折って三角柱状のおにぎり用の御飯7の側面に接触させ、こののち、包装材の上半部の両隅部を手前側に起立させて前記下半部の両隅部に折り重ねたのちにラベル9で止め、3隅部を熱シール15して密封した包装した三角おにぎり」が開示されているといえる。
そこで、本件考案と甲第2号証に記載された考案とを対比すると、本件考案では、「フイルムを前記おにぎりAに沿って折畳むことにより三角おにぎりを包装したもの」であるのに対し、甲第1号証に係る考案では、「裏面側のフィルム2a,2bの上面の上部に、三角形状のおにぎり用の御飯7を置き、つぎに、包装材の下半部を折り返したのちに、その下半部の両隅部を折って三角柱状のおにぎり用の御飯7の側面に接触させ、こののち、包装材の上半部の両隅部を手前側に起立させて前記下半部の両隅部に折り重ねた」ものである点で一応相違するが、その余の点では一致している。
この一応の相違点について検討するに、甲第2号証に係る考案の、「裏面側のフィルム2a,2bの上面の上部に、三角形状のおにぎり用の御飯7を置き、つぎに、包装材の下半部を折り返したのちに、その下半部の両隅部を折って三角柱状のおにぎり用の御飯7の側面に接触させ、こののち、包装材の上半部の両隅部を手前側に起立させて前記下半部の両隅部に折り重ねた」という事項は、下半部の両隅部も上半部の両隅部も、結局は三角おにぎりの形状に沿って折り曲げられているということであるから、本件考案の「フイルムを前記おにぎりAに沿って折畳む」という事項に包含される、すなわち、本件考案の一態様に相当するといえる。
そうすると、本件考案は、甲第2号証に係る考案と同一であり、しかも、本件考案の考案者が甲第2号証に係る考案者と同一であるとも、この出願の時において、その出願人が甲第2号証に係る出願人と同一であるとも認められないので、本件考案は実用新案法3条の2の規定に違反してなされたものである。

IV.むすび
以上のとおり、本件考案は、実用新案法37条1項2号に該当し、無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-03 
結審通知日 2000-03-17 
審決日 2000-03-28 
出願番号 実願平1-29891 
審決分類 U 1 112・ 161- Z (A23L)
U 1 112・ 4- Z (A23L)
最終処分 成立    
前審関与審査官 植野 浩志  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 田中 久直
藤田 節
登録日 1994-05-11 
登録番号 実用新案登録第2016359号(U2016359) 
考案の名称 包装した三角おにぎり  
代理人 大内 信雄  
代理人 藤本 昇  
代理人 平田 功  

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