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審決分類 審判    G01G
管理番号 1024975
審判番号 審判1997-3587  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-03-06 
確定日 2000-05-08 
事件の表示 平成 3年実用新案登録願第 42280号「軟粘物計量装置」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 4年12月18日出願公開、実開平 4-136526 ]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1,本願考案
本願は、平成3年6月6日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成9年4月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりの事項により特定されるものである。
【請求項1】
供給ホッパの内部に掻出用回転羽根を設け、該ホッパの下端に筒状体を設け、該筒状体を遮断する上下の交互開閉シャッタ間に容量計量桝を形成し、該桝の下方に電子はかりによる重量計量器を設け、該計量器は中央部を枢支した傾倒可能な水平計量シュートを有し、電子はかり計量値は制御装置によって設定値と比較され不足量が演算され、その信号によって該計量器と上記桝との中間部に向う供給コンベヤ及びその先端上の掻出回転車よりなる被計量物補給装置を動作しかつ上記計量器の計量シュートを傾倒させる排出装置を設けてなる軟粘物計量装置。
2,引用例の記載事項
当審が平成11年9月16日付けでした通知した拒絶理由において引用した特開昭52ー129465号公報(以下、「引用例1」という)、特開昭57ー1921号公報(以下、「引用例2」という)、実公昭32ー2387号公報(以下、「引用例3」という)には、それぞれ下記の事項が記載されている。
引用例1
「図により説明すると、2は穀物1を貯留するタンクで、該タンク2の下部は漏斗状3に形成して穀物を流出し易い形状とし、その中心部分に排出口4を形成する。排出口4の下端には計量筒5の上部を連結する。……。計量筒5の下端は開口させて下端開口部6とする。下端開口部6の下面か、もしくは、その近辺には第一開閉弁7が取付けられる。……。第一開閉弁7には、……開閉装置が取付けられる。第一開閉弁7は、この開閉装置に信号が送られると、自動的に全閉または全開する。第一開閉弁7の上方で排出口4の下部には、第二開閉弁8が取付けられる。……。第一開閉弁7と第二開閉弁8との間によって形成された部分が計量部18となる。計量部18の内容積は、計量しようとする穀物の量よりも僅かに少な目となるように形成される。……。計量筒5の下部には計量タンク9が配置される。計量タンク9の計量機構は公知のもので充分である。天秤式、バネ式、台秤等のいずれの形式でも充分使用できる。計量タンク9の側壁19の一部で、内部に充填された穀物1の表面より僅かに上部位置付近には、……受口14が取付けられる。……。受口14の上部には、穀物を補充する補充用供給筒10の排出口11が臨み、排出口11には繰出ロール13が軸装される。……。計量タンク9の排出口15には開閉弁16が取付けられる。前記繰出ロール13は計量時の小投入に該当する装置であり、計量タンク9に付属する計量機構に関連的に結合され、計量に達しない場合は作動して繰出し、最終計量終了の直前で作動を停止し、空間残留と衝撃荷重分を考慮して正確に計算するものである。」(第1頁右下欄第13行?第3頁左上欄第2行)
「計量タンク9に付属している計量機構は、まだ、その量に達していないことを指示し、その信号により、繰出ロール13に取付けられている原動軸を回転させて補充用供給筒10より穀物を補充する。」(第3頁右上欄11行?15行)
引用例2
「本発明は、飯、煮豆、佃煮等の粒状の食品および練った小麦粉等の粘性のある紛状の食品の自動計量装置に関するものである。」(第1頁左欄7行?9行)
「ホッパ(10)下部の略中央部に対応する位置で、口部(15)の底板(14)よりやや上方には第1の送出手段(17)が配設されており、これは両側板(11)(12)に回転可能に支承されている。この送出手段(17)は、側板(11)(12)に支承されたシャフト(18)と、このシャフト(18)に嵌合し得るとともに等間隔に配設された環状体(19)と、それぞれの環状体(19)の外面から放射方向等間隔に突設された3本の支杆(21)とより成り、・・・飯の送出用開口部(16)にはさらに第2の送出手段(22)がその両端を回転可能に支承されて配設されており、この第2の送出手段(22)は上記第1の送出手段(17)と同様にそれぞれ3本の支杆(21)を有する5個の環状体(19)をシャフト(18)に等間隔に取り付けて形成されている。これら第1,第2の送出手段(17)(22)はいずれも電動機等の駆動源(25)によって、支杆(21)先端部が底板(14)に沿って飯を送り出す方向に回転するようになされている。」(第2頁右上欄2行?左下欄2行)
「第2搬送手段(50)は前記第1搬送手段(30)の飯の搬送方向の前端に位置するローラ(36)の下方に配設されており、装置本体(1)の側部に回転可能に支承された2つの支持ローラ(51)(52)と、この支持ローラ(51)(52)との間に張設されたベルト(53)を有している。このベルト(53)は、前記第1搬送手段(30)のローラ(34)による飯の搬送方向と直交する方向に飯を搬送するように配設されており」(第3頁左上欄13行?右上欄3行)
「この払落し手段(60)はベルト(53)の送出端部における支持ローラ(52)の斜め上方に配設されており、装置本体(1)の側壁に前記支持ローラ(52)と平行に支承され、かつ電動機等の駆動源(図示せず)により回転駆動される主軸(61)を有し、この主軸(61)の周囲に複数の羽根を放射状に突設して成るものである。そしてベルト(53)により搬送された飯は、この払落し手段(60)の羽根によって断続的に計量手段に送られるが、この際送られる飯の量を正確に一定に保つために払落し手段(60)の駆動源としてはパルスモータを用いるのが好ましい。」(第3頁左下欄16行?右下欄9行)
「そしてベルト(53)の送出端部から払落し手段(60)により断続的に飯受部(86)へ飯が送給されると、その重さで板ばね(77)(77)(77)(77)がたわんで可動板(78)が変位し、、その変位が差動トランス(83)によって検出され、これを重量に換算することによって計量を行なう。飯受部(86)へ給送される飯が設定重量に達すると搬送手段(31)(50)、払落し手段(60)等の駆動を停止するとともに回転軸(71)を90°回転させ、下方に予め載置した弁当等の容器(図示せず)に収納するか」(第4頁右上欄9行?14行)
「また飯受部(86)へ送られる飯の重量が設定重量の約80%に達した際に第2搬送手段(50)におけるベルト(53)の搬送速度を低下させ、一方払落し手段(60)の回転速度を一定に保つことにより、飯受部(86)へ送られる飯の量を減少することによって、より正確に計量することができる。」(第4頁右上欄17行?左下欄4行)
引用例3
「供給管15の排出口15の下方に於て上段30と下段31の2段より成る卓子を設け上段30には衡器32をおく、この衡器の皿33は衡杆34の端に枢着せられていて梁35より下垂せる腕36の下端に軸着せられた指37に対設せられ該指37は床面上の杆38と連杆39にて連結せられており且常にバネ40にて上方に引かれ皿33にみだりに作用しない様にしてある。」(第1頁左欄6行?13行)
「従って皿33中に粉末が一定量落下すると接点46をとざし電磁石42を作動し扉17を閉ざし粉末の供給を阻止するようになっている。而して皿33の転倒した位置33'の下方に漏斗47を設け下段31上に充填すべき容器48をおくものとする。」(第1頁左欄18行?22行)
そして、皿33の上辺が粉末落下時には水平であることはその目的からして自明である。
また、皿33は枢着部を中心に転倒し且つ復帰すること、及び図面第1図の記載からみて、皿33のほぼ中央部が枢止されているものと認める。
3,対比
そこで、請求項1に係る考案と引用例1に記載された考案とを対比すると、
引用例1に記載された「計量部18」、「計量タンク9の計量機構」、「補充用供給筒10、排出口11及び繰出ロール13」、「開閉弁16」がそれぞれ本願考案の「容器計量桝」、「重量計量器」、「被計量物補給装置」、「排出装置」に相当するので、本願考案は引用例1に記載された考案と下記の一致点で一致し、下記の相違点で相違する。
一致点
供給ホッパを設け、該ホッパの下端に筒状体を設け、該筒状体を遮断する上下交互開閉シャッタ間に容量計量桝を形成し、該桝の下方に重量計量器を設け、不足量の信号によって被計量補給装置を動作しかつ排出装置を設けてなる計量装置。
相違点(1)
本願考案は、計量装置が軟粘物の計量に用いられ、供給ホッパの内部に掻出用回転羽根が設けられているのに対し、引用例1に記載のものは穀物の計量に用いられ、掻出用回転羽根が設けられていない点。
相違点(2)
本願考案は、被計量補給装置が計量器と上記桝との中間部に向う供給コンベヤとその先端上の掻出回転車とよりなっているのに対し、引用例1に記載のものは、補充用供給筒10と繰出ロール13とよりなっており、計量タンク9の受け口14に向かっている点。
相違点(3)
本願考案は、はかりが電子はかりであって、電子はかりの計量値は制御装置によって設定値と比較され不足量が演算されるのに対し、引用例1に記載のものは、電子はかりとの明示の記載はなく、計量機構が不足量を指示するものの、その指示が設定値との比較演算によるものか明示されていない点。
相違点(4)
本願考案は、重量計量器が、該計量器の中央部を枢支した傾倒可能な水平計量シュートを有するはかりであるのに対し、引用例1に記載されたものはそのようなものでない点。
4,相違点の判断
相違点(1)について
引用例2には、飯等の軟粘物を自動計量し、ホッパ内にある飯等の軟粘物を掻出すため、環状体の放射方向に3本の支杆を設け、回転させる送出手段をホッパ内部に設けた計量装置が記載されているから、相違点(1)は、引用例1に記載された計量装置に引用例2に記載された計量装置の構成を適用することにより当業者がきわめて容易に想到しうる程度のことにすぎない。
相違点(2)について
まず、引用例1の補充用供給筒10、排出口11及び繰出ロール13も、計量タンク9の受け口14に向けているものの、計量機構により計量されるものであるから、計量筒5と計量タンク9の計量機構との中間部に向けられたものであることに変わりはない。
次に引用例2には、飯の補給を第2搬送手段のベルト53の搬送速度を低下させ、ベルト53及びその先端上の回転する複数の羽根62よりなる払落し手段60により行い、計量手段70に供給することが記載されているから、相違点(2)は、引用例1に記載された被計量補給装置に引用例2のベルト及び払落し手段を適用することにより、当業者がきわめて容易に想到しうる程度のことにすぎない。
相違点(3)について
電子はかりは重量計測手段として普通に知られており、計量した重量値を制御装置によって設定値と比較し不足量を演算することは本願出願前周知(例えば特開昭60-253924号公報、特開昭48-3963号公報、特開昭50-123373号公報参照)であるから、相違点(3)は、引用例1に記載された計量装置のはかりとして前記普通に知られた電子はかりを用いるとともに、制御装置として前記周知技術を適用したものに相当し、このようなことは当業者がきわめて容易に想到しうる程度のことにすぎない。
相違点(4)について
皿33のほぼ中央部を枢支した傾倒可能な水平計量シュートを有する計量器が引用例3に記載されているから、相違点(4)は、引用例1に記載の計量装置に引用例3の計量器を適用することにより当業者がきわめて容易に想到しうる程度のことにすぎない。
そして、本願考案の効果も引用例1乃至引用例3の記載事項及び前記周知技術から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。
5,むすび
したがって、請求項1に係る考案は、引用例1乃至引用例3に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項に規定により実用新案登録を受けることができない。
審理終結日 2000-02-01 
結審通知日 2000-02-18 
審決日 2000-03-06 
出願番号 実願平3-42280 
審決分類 U 1 80・ 121- WZ (G01G)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 福田 裕司  
特許庁審判長 高瀬 浩一
特許庁審判官 新宮 佳典
渡邊 聡
考案の名称 軟粘物計量装置  
代理人 藤井 信行  

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