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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01P |
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管理番号 | 1032377 |
審判番号 | 審判1998-18820 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-11-26 |
確定日 | 2000-10-13 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 13495号「回転検出装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月 7日出願公開、実開平 6- 72058]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、平成5年3月23日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という)は、平成10年8月3日付け及び平成10年12月28日付け各手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものと認める。 「【請求項1】 回転体に直接若しくは間接的に取り付けられた回転自在な反射板と、上記反射板に光を照射すると共に上記反射板で反射した光を検出するセンサを有する回転検出装置において、 抜き孔を設けることにより上記センサから照射された光を反射するための反射部を、上記反射板に少なくとも1箇所断続的に設け、上記回転体と上記反射板の間に無反射面を有する板体を介在させ、上記抜き孔を通過した光が上記板体の無反射面で吸収されてなることを特徴とする回転検出装置。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例(実願昭62-89201号[実開昭63-200234号]のマイクロフィルム)には、リール台の回転/停止状態を判別する際に用いた回転板の回転/停止判別装置に関し、次の記載がある。 「(1)は反射面(1a)及び非反射面(1b)を有し、リール台(図示せず)下面に配置される回転板、(9)は透孔(9a)及び非反射面(9b)を有し、リール台下面に配置される回転板、(2)(3)は電源電圧VDDが入力する電源端子、(4)はそのエミッタが接地された受光素子としてのホトトランジスタ、(6)はそのアノードが抵抗(7)を介して前記電源端子(3)と接続されると共にそのカソードが接地された発光素子としての発光ダイオード、(10)は前記ホトトランジスタ(4)及び前記発光ダイオード(6)より成る検出部、(11)は前記ホトトランジスタ(4)のコレクタと接続されてレベル信号が入力する入力端子(11a)及び出力端子(11b)を有し、前記回転板(1)の回転/停止状態を判別する判別部、」(明細書13頁13行?14頁7行) 「回転板(1)に対する光信号の照射位置を判別し、特に判別部(11)の判別出力を用い、単位時間内に生ずる第10図の周期T0の波形の回数によって、リール台の回転/停止状態を判別する。」(明細書第22頁14行?18行)) 「本考案において、第2図の反射面(1a)及び非反射面(1b)を交互に有する回転板(1)に代わって第3図の透孔(9a)及び非反射面(9b)を交互に有する回転板(9)を用いてもよく、」(明細書24頁7行?10行) 「反射面又は透光と非反射面を交互に有する回転板と、該回転板に光信号を照射する発光素子と前記反射面又は透孔を介して前記光信号を受光する受光素子を有する検出部と、」(実用新案登録請求の範囲) そして、透孔と非反射面を有する回転板において、透孔を通して入射光が反射をするわけであるから、リール台と回転板との間に反射面を有する面部材が介在することは明らかである。 してみると、引用例には次の事項が記載されている。 リール台に取り付けられた回転自在の透孔と非反射面を交互に有する回転板と、上記リール台と、回転板に光を照射すると共に反射した光を検出する検出部を有するリール台の判別装置において、 透孔を設け、透孔と非反射面を交互に有する回転板との間に反射面を有する面部材を介在させ、非反射面を交互に有する回転板により、検出部から照射した光を反射するための反射部を複数箇所断続的に設け、上記回転板に検出部から光を照射したとき、上記非反射面に照射された光は吸収され、上記透孔を通過した光は上記面部材の反射面で反射されてなるリール台の回転判別装置。 3.対比 引用例の「リール台の回転判別装置」が回転を検出していることは明らかであるから、本願考案の「回転検出装置」に相当する。 また、引用例に記載された面部材は、本願考案の板体と、反射面を有する面部材であるという点で共通し、本願の考案の回転自在な反射板も回転板の一種である。 さらに、引用例の回転板のリール台への取り付け状態は、直接若しくは間接的のうちいずれか一方であることも明らかである。 そこで、本願考案と引用例に記載された考案とを対比すると、引用例に記載の「リール台」、「透孔」、「検出部」は本願考案の「回転体」、「抜き孔」、「センサ」に相当するから、両者は下記の一致点で一致し、下記の相違点で相違する。 (一致点) 回転体に直接若しくは間接的に取り付けられた回転自在な回転板と、回転板に光を照射すると共に反射した光を検出するセンサを有する回転検出装置において、 回転板に抜き孔を設けることにより上記センサから照射された光を反射するための反射部を複数箇所断続的に設け、上記回転体と上記回転板との間に面部材を介在させた回転検出装置。 (相違点) 相違点1 抜き孔回転板の表面及び面部材の性質が、本願考案では、それぞれ反射面及び無反射面であるのに対し、引用例に記載のものは、それが非反射面及び反射面と逆であり、そのため本願考案では抜き孔回転板の表面が光を反射させる反射面であって、面部材は透孔を通過した光が吸収される非反射面であるのに対し、引用例に記載のものは、抜き孔回転板の表面では光を吸収しする非反射面であって、面部材では透孔を通過した光を反射する反射面である点。 相違点2 回転体と回転板の間に介在する面部材が、本願考案は板体であるのに対し、引用例にはどのようなものか特に記載されていない点。 4.相違点の判断 相違点1について 抜き孔回転板を用いた反射面の断続による回転の検知を行おうとすると、反射面を回転板の表面にするか、面部材にするかのいずれかに定まり、抜き孔回転板の表面及び面部材のいずれかを非反射面及び反射面にすれば、回転板の回転で回転体の周波数が検知することができるのであるから、抜き孔回転板の表面を反射部にして板体を無反射面にするか、抜き孔回転板の表面を非反射面にして板材を反射面とするかは、当業者が実施に際し利害得失を勘案して適宜選択しうる技術的事項にすぎない。 相違点2について 面部材を板体とすることは、反射面を抜き孔の対峙する面全体に設ける必要があること、回転板とリール台との間隔等を考慮すれば、当業者が当然考慮すべき程度のことにすぎない。 そして、本願考案の効果についても引用例の記載事項に基いて当業者が予測できる程度のものにすぎない。 5.むすび したがって、本願考案は、引用例に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-07-26 |
結審通知日 | 2000-08-04 |
審決日 | 2000-08-17 |
出願番号 | 実願平5-13495 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(G01P)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後藤 時男 |
特許庁審判長 |
高瀬 浩一 |
特許庁審判官 |
山川 雅也 杉野 裕幸 |
考案の名称 | 回転検出装置 |
代理人 | 山口 邦夫 |
代理人 | 佐々木 榮二 |