ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 A41D |
---|---|
管理番号 | 1032428 |
審判番号 | 新実用審判1999-40028 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-11-29 |
確定日 | 2000-11-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3063532号実用新案「編み手袋」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3063532号実用新案の明細書の請求項1および2に記載された考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
I.経緯 本件登録第3063532号実用新案は、平成11年4月28日に出願され、平成11年8月18日に設定登録されたものであって、当該審判請求後の平成12年4月17日付けで職権により実用新案登録無効理由を通知した(特許法第153条第2項を準用する実用新案法第41条)。 II.本件考案 本件考案の要旨は明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1および2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】薬指と小指の指股位置を人差し指と中指、中指と薬指の指股位置より下げて編まれていることを特徴とする編み手袋。 【請求項2】手袋編み機の工程に3本胴をいう機構を設定し、(1)薬指、(2)中指、(3)人差し指、(4)3本胴、(5)小指、(6)4本胴、(7)親指、(8)5本胴、(9)手首部分という工程で編まれていることを特徴とする請求項1記載の編み手袋。」 (マル付き数字は、表記の都合上カッコ付きとした。) III.請求人の主張 請求人は本件実用新案登録請求の範囲の請求項1および2に係る実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決をもとめたものである。そして、本件の請求項1に係る考案は、(1)本件出願前に頒布された刊行物に記載された考案であり、(2)本件出願の日前の他の出願であって当該出願後出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、(3)本件の請求項2に係る考案は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案ではないから、本件実用新案登録は実用新案法第3条第1項、同法第3条の2あるいは同法第3条柱書の規定に違反してなされたものであり、無効とされるべきであると主張し、該主張を立証すべく、甲第1?4号証を提出している。(なお、請求人は平成12年2月1日付けで審判請求理由補充として、甲第5号証を提出しているが、この理由補充は請求の要旨を変更するものであるから、採用できない。) IV.当審の判断 (1)無効理由通知 当審において、引用例として本件の出願前に頒布された実願昭57-6115号(実開昭58-110015号)のマイクロフィルム(請求人提出の甲第1号証。以下、「引用例」という。)を提示し、本件の請求項1および2に係る考案は、引用例に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、無効とされるべきであるとし、職権により平成12年4月17日付けで実用新案登録無効理由を通知した。 被請求人は、これに対して指定期間経過後も答弁書を提出していない。 そして、引用例には、以下の点が記載されている。 a)「この考案の手袋は、第1図に示すように綿糸、合繊繊維糸又は毛糸等の原糸を用いて編成され、小指部1と薬指部2との中間付け根3が薬指部2と中指部4との中間付け根5より所定長さlだけ掌甲部6に入り込んで設けられている。中間部(中指部の誤記と解される)4と人指指部7との中間付け根8は、前記薬指部2と中指部4との中間付け根5と同じ編みコースに形成されている。」(2頁12?19行、第1図参照。) b)第1図を参酌すると、手袋の編成は(1)手首部分、(2)掌甲部分の親指部と人指指部との中間付け根まで、(3)小指部と薬指部との中間付け根まで、(4)薬指部と中指部との中間付け根および中指部と人指指部との中間付け根まで、が各々一連の単位となっており、各指部の中間付け根から5本の指部が編成されている。 (2)本件考案と引用例記載の考案との対比・判断 1)請求項1に係る考案について 本件請求項1に係る考案と引用例に記載された考案とを対比すると、後者の「小指部1と薬指部2との中間付け根」、「『中間(指)部4と人指指部7との中間付け根』および『薬指部2と中指部4との中間付け根』」は各々前者の「薬指と小指の指股位置」、「人差し指と中指、中指と薬指の指股位置」に相当する。そして、後者における「小指部1と薬指部2との中間付け根」は「『中間(指)部4と人指指部7との中間付け根』および『薬指部2と中指部4との中間付け根』」より所要長さだけ掌甲部に入り込んで、すなわち、下げて設けられており、後者の手袋も綿糸等を編成してなるものであるから、両者は構成が一致する。 したがって、請求項1に係る考案は引用例に記載された考案であり、本件請求項1に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。 2)請求項2に係る考案について 本件請求項2には、編み工程を特定した手袋が記載されているが、「物」として把握される編み手袋である請求項2に係る考案と引用例記載の考案と対比すると、後者の手首部から「薬指部と中指部との中間付け根および人指指部と中指部との中間付け根まで」、「小指部と薬指部との中間付け根まで」、「掌甲部分の親指部と人指指部との中間付け根まで」は各々前者の「3本胴」、「4本胴」、「5本胴」に相当し、後者も5本の指および手首部分を備えた編み手袋であるから、両者は構成が一致する。 したがって、請求項2に係る考案は引用例に記載された考案であり、本件請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。 V.むすび 請求人は、前記III-(1)?(3)の理由により本件請求項1および2に係る実用新案登録は無効にされるべきであると主張しているが、これら主張を検討するまでもなく前記IV-(2)の項で述べたように、本件請求項1および2に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-09-01 |
結審通知日 | 2000-09-12 |
審決日 | 2000-10-06 |
出願番号 | 実願平11-4029 |
審決分類 |
U
1
111・
113-
Z
(A41D)
|
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 雪枝 |
特許庁審判官 |
船越 巧子 鈴木 美知子 |
登録日 | 1999-08-18 |
登録番号 | 実用新案登録第3063532号(U3063532) |
考案の名称 | 編み手袋 |
代理人 | 内藤 哲寛 |