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審決分類 審判 訂正  訂正する B25J
管理番号 1078062
審判番号 訂正2003-39023  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2003-07-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2003-02-13 
確定日 2003-05-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2035727号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2035727号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由 第1 手続の経緯
本件実用新案登録第2035727号は、昭和62年10月21日に実用新案登録出願され、平成6年2月9日に出願公告(実公平6-5103号)され、同6年10月21日に設定登録され、同15年2月13日に本件審判の請求がされたものである。

第2 審判の請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、登録時の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり下記1?3のように訂正しようとするものである。
1 訂正事項1
登録時の明細書の実用新案登録請求の範囲の第1項における「一定押し圧力で操作されている場合のみ指令信号を送出する操作可能スイッチ装置を具備したこと」を、「ある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなる指令信号を送出する操作可能スイッチ装置を具備し、かつ前記操作可能スイッチ装置の設置位置が背面であること」と訂正するものであって、訂正前後の各第1項についてその全文を示すと以下のとおりである。
(1) 登録時の明細書の第1項
「一定押し圧力で操作されている場合のみ指令信号を送出する操作可能スイッチ装置を具備したことを特徴とする産業用ロボットの教示装置。」
(2) 訂正明細書の第1項(訂正個所を下線で示す。)
「ある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなる指令信号を送出する操作可能スイッチ装置を具備し、かつ前記操作可能スイッチ装置の設置位置が背面であることを特徴とする産業用ロボットの教示装置。」
2 訂正事項2
登録時の明細書の〔問題点を解決するための手段〕の項の「本考案は上記の問題点を解消するためになされたもので、一定押し圧力で操作されている場合のみ指令信号を送出する操作可能スイッチ装置を具備するようにしたものである。」を、「本考案は上記の問題点を解消するためになされたもので、ある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなる指令信号を送出する操作可能スイッチ装置であって、かつ前記操作可能スイッチ装置の設置位置が背面である操作可能スイッチ装置を具備するようにしたものである。」と訂正する。
3 訂正事項3
登録時の明細書の〔作用〕の項の「操作可能スイッチ装置は一定押し圧力でしか動作しないので、前記の一定押し圧力を適宜設定することにより、不測の誤操作による事故を未然に防止することができる。」を、「操作可能スイッチ装置はある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなるので、前記押し圧と押し過ぎ圧を適宜設定することにより、不測の誤操作による事故を未然に防止することができる。」と訂正する。

第3 当審の判断
第1で示したように本件審判に係る実用新案登録出願は、昭和62年10月21日にされたものであり、また、本件審判の請求は、平成15年2月13日にされたものであることから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第1項によりなおその効力を有するとされ、同条第2項により読み替えて適用される上記改正前の実用新案法(以下「旧実用新案法」という。)第39条第1項ただし書き、同条第2項及び同条第3項の各規定に適合することを要するので以下この点ついて検討する。
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、登録時の明細書の実用新案登録請求の範囲の第1項の考案である産業用ロボットの教示装置の操作可能スイッチ装置について、その機能及び設置位置をさらに限定するものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであることが明らかである。
そして、操作可能スイッチ装置が「ある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなる」機能を奏すものであることについては、登録時の明細書の第4頁第4?20行に「操作可能スイッチ11が開放状態ではスイッチ部の電圧Vが基準電圧VHより大きくなって電圧比較器14の出力が「L」レベルとなり、アンドゲート16の出力は出ない。これに対し、操作可能スイッチ11が操作されスイッチ部の電圧Vが基準電圧VHより小さく、基準電圧VLより大きい場合は、電圧比較器14、15の出力が共に「H」となり、アンドゲート16の出力即ち操作可能指令信号が出る。ところが操作可能スイッチ11が押し過ぎ状態では、スイッチ部の電圧Vが基準電圧VLより小さくなり電圧比較器15の出力が「L」となって、アンドゲート16の出力が出ない。つまり、操作可能スイッチ11がある一定押し圧で意識的に押され、VL<V<VHの条件を満足している場合のみ、操作可能指令信号が出力されてロボット教示可能となる。」と記載されていること、また、同第5頁第4?8行に「第5図はメカニカルな操作可能スイッチ11を示すもので、操作状態を「開放」「操作」「押し過ぎ」の3つの位置が作れる様に構成し、「操作」位置のみ操作スイッチがオンになる様にしたものである。」と記載されていることに基づくものである。また、「操作可能スイッチ装置の設置位置が背面である」ことについては、操作可能スイッチである導電ゴムスイッチの設置位置例を示す図である登録時の図面の第4図の(b)に、上面に親指が位置し、下面に他の4指が位置して操作可能スイッチ11を押さえている状態が示されており、技術常識からみて、操作可能スイッチが産業用ロボットの教示装置の背面に設置されていることが明らかである。
したがって、訂正事項1の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でなされたものであり、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項2及び訂正事項3について
訂正事項2及び訂正事項3は、訂正事項1の訂正に整合させて明細書の考案の詳細な説明中の所要箇所の記載を訂正するものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でなされたものであって、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2 独立実用新案登録要件について
上記したように訂正事項1は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当するので、さらに独立実用新案登録要件について検討すると、訂正前の実用新案登録請求の範囲の第1項の考案については、拒絶の理由が通知されることなく登録に至ったものであるところ、訂正後の同第1項の考案についても実用新案登録をすることができないとする理由を発見できない。
したがって、訂正後における実用新案登録請求の範囲の第1項に記載されている事項により構成される考案は、出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、旧実用新案法第39条の各規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
産業用ロボツトの教示装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】ある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなる指令信号を送出する操作可能スイッチ装置を具備し、かつ前記操作可能スイッチ装置の設置位置が背面であることを特徴とする産業用ロボットの教示装置。
【請求項2】操作可能スイッチ装置は押し圧力によって電気抵抗値が変化する導電ゴムと、その導電ゴムの抵抗値の変化を電圧の変化に変換する電圧変換回路と、その出力信号を基準値と比較する電圧比較回路から成ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の産業用ロボットの教示装置。
【考案の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本考案は産業用ロボットの教示装置に関するものである。
〔従来技術とその問題点〕
従来の産業用ロボットの教示装置は、第1図に示すように、操作可能スイッチ1を押している時のみ、指令スイッチ2が機能するようになっている。
そのため、びっくりした時などのように、何かの拍子に操作者が無意識に強くにぎりしめて操作可能スイッチ1と指令スイッチ2を同時に押してしまい、産業用ロボットが起動し、危険な状態となることが危惧されている。
そこで本考案は、不用意な取扱いにおいても、誤まった操作とならないよう配慮した教示装置を提供しようとするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本考案は上記の問題点を解消するためになされたもので、ある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなる指令信号を送出する操作可能スイッチ装置であって、かつ前記操作可能スイッチ装置の設置位置が背面である操作可能スイッチ装置を具備するようにしたものである。
〔作用〕
操作可能スイッチ装置はある力で押すとオンになりさらに押し過ぎるとオフとなるので、前記押し圧と押し過ぎ圧を適宜設定することにより、不測の誤操作による事故を未然に防止することができる。
〔実施例1〕
以下本考案の実施例について図面に基づき説明する。
第2図は実施例において使用した導電ゴムの特性を示す説明図で、(a)図は押圧力に対する導電粒子の状態を示し、(b)図は押圧力と抵抗値の関係を示す図である。
第3図は上記の導電ゴムの特性を利用した操作可能スイッチ装置の主要部の回路を示すもので、11は第4図(a),(b)に示すように教示装置の表面に設けた導電ゴムを用いた操作可能スイッチ、12は導電ゴムの感度調整用可変抵抗器、13は電圧比較器14,15の入力電圧を得るための入力抵抗である。
電圧比較器14は操作可能スイッチ11の開放状態を検出するものであり、電圧比較器15は、操作可能スイッチ11の押し過ぎ状態を検出するものであって、VH,VLはそれぞれ電圧比較器の基準電圧である。
Rは電圧比較器の入力抵抗、16は操作可能指令信号を作る為のアンドゲートである。
いま、操作可能スイッチ11が開放状態ではスイッチ部の電圧Vが基準電圧VHより大きくなって電圧比較器14の出力が「L」レベルとなり、アンドゲート16の出力は出ない。
これに対し、操作可能スイッチ11が操作されスイッチ部の電圧Vが基準電圧VHより小さく、基準電圧VLより大きい場合は、電圧比較器14、15の出力が共に「H」となり、アンドゲート16の出力即ち操作可能指令信号が出る。
ところが操作可能スイッチ11が押し過ぎ状態では、スイッチ部の電圧Vが基準電圧VLより小さくなり電圧比較器15の出力が「L」となって、アンドゲート16の出力が出ない。
つまり、操作可能スイッチ11がある一定押し圧で意識的に押され、
VL<V<VH
の条件を満足している場合のみ、操作可能指令信号が出力されてロボット教示可能となる。
操作可能指令信号の処理は、システムによって異なるので省略する。
〔実施例2〕
第5図はメカニカルな操作可能スイッチ11を示すもので、操作状態を「開放」「操作」「押し過ぎ」の3つの位置が作れる様に構成し、「操作」位置のみ操作スイッチがオンになる様にしたものである。しかし、この方法はスイッチの形状が複雑で、教示装置への組込が容易でない欠点がある。
〔考案の効果〕
本考案を採用することにより、産業用ロボットの教示装置の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来装置の斜視図、
第2図は導電ゴムの特性を示す図、
第3図は本案実施例の電気回路図、
第4図は導電ゴムスイッチ設置位置例を示す図、
第5図は異なる実施例の概略図である。
11……操作可能スイッチ
12……感度調整用可変抵抗器
13……入力抵抗
14,15……電圧比較器
16……アンドゲート
訂正の要旨 訂正の要旨
審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2003-04-23 
出願番号 実願昭62-160026 
審決分類 U 1 41・ 83- Y (B25J)
最終処分 成立    
前審関与審査官 酒井 進  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 鈴木 孝幸
宮崎 侑久
登録日 1994-10-21 
登録番号 実用新案登録第2035727号(U2035727) 
考案の名称 産業用ロボツトの教示装置  
代理人 本多 弘徳  
代理人 小栗 昌平  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 本多 弘徳  
代理人 高松 猛  
代理人 小栗 昌平  
代理人 市川 利光  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 市川 利光  
代理人 高松 猛  

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