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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K |
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管理番号 | 1081500 |
審判番号 | 不服2001-6917 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2003-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-04-27 |
確定日 | 2003-07-28 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 73413号「中通し釣竿」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 7月11日出願公開、実開平 7- 36651]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
[1]手続の経緯 本願考案は、平成5年12月22日に出願され、平成13年3月30日付で拒絶査定され、これに対し、同年4月27日に拒絶査定に対する不服の審判が請求されるとともに、同年5月21日付で手続補正がなされたものである。 [2].本願考案 以上の経緯から、実用新案登録請求の範囲に記載された請求項に係わる考案は、平成13年5月21日付手続補正書の実用新案登録請求の範囲に記載された請求項1乃至3に記載された以下のとおりである。 (1).請求項1(以下「本願考案1」という) 竿管の外周面から離隔した高さ位置に配設され、孔芯方向が前記竿管の長手方向か又は傾斜方向に設定された釣糸ガイドと、該釣糸ガイドの直ぐ前側には、竿管の長手方向に長くて釣糸を竿管内部に導入する長孔を有する長孔部とを具備し、前記竿管に対して小径竿管を振出式に継ぎ合わせた状態において、前記釣糸ガイドから前記長孔を経由して小径竿管の後端部に設けた釣糸ガイド保持体に向って釣糸を略直線状に案内でき、前記竿管は、小径竿管が前記長孔の後方にまで収納可能な内寸法を有することを特徴とする中通し釣竿。 (2).請求項2(以下「本願考案2」という) 前記長孔の上方と該長孔と前記釣糸ガイドとの間とを釣糸挿通にとって開放しており、しかも前記釣糸ガイド部部への釣糸の絡みをを防止する糸絡み防止部材を具備して成る請求項1記載の中通し釣竿。 (3).請求項3(以下「本願考案3」という) 竿管の長手方向に長孔を延伸形成し、基台と、該基台に形成し、前記長孔に対応する他の長孔と、該他の長孔の長手方向における一側の基台上であって、該基台の外周面から離隔した高さ位置に配設され、孔芯方向が該基台の長手方向か又は傾斜方向に設定された第1釣糸ガイドと、前記他の長孔に配設された第2釣糸ガイドとを具備したユニット体を前記竿管の長孔に前記他の長孔を重ね、前記第1釣糸ガイドが後方に位置する状態で前記ユニット体を前記竿管に固定し、該ユニット体の固定された前記竿管に対して小径竿管を振出式に継ぎ合わせた状態において、第1釣糸ガイドから第2釣糸ガイドを経由して小径竿管の後端部に設けた釣糸ガイド保持体に向って釣糸を略直線上に案内でき、前記第2釣糸ガイドの上方と、該ガイドと前記第1釣糸ガイドとの間とを釣糸挿通にとって開放しており、しかも前記第1釣糸ガイド部分への釣糸の絡みを防止する糸絡み防止部材を具備し、前記竿管は振出式に継ぎ合わせた小径竿管が前記第2釣糸ガイドの後方にまで収納可能な内寸法を有することを特徴とする中通し釣竿。 [3].原査定の拒絶の理由に引用された刊行物記載事項。 (A).仏国特許出願公開第2539582号明細書(1984年7月 )(以下「刊行物A」という)には、図面とともに以下の事項が開示されていると認められる。 (A-1).「釣竿1は、中間竿5?8、穂先9の竿部分は先端に向けてその直径が小さくなり、釣竿を縮めた位置では中間竿は互いに入り込み、穂先、中間竿端は竿4の内部に入り込む伸縮型で、当該中間竿部分5?8の底、及び当該穂先の底には、軸方向通路25?29を開けた閉塞物20?24が配設されており、糸31は、リール15からガイド17と縦方向の隙間19である縦長ガイド18を通過した後、連続する閉塞物20?24およびガイド30、すなわち、中間竿部分5?8、及び穂先9を通ってスリーブ形の口32から出る中通し釣竿」 (B).実公昭32-10592号公報(以下「刊行物B」という)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (B-1).「図面に示すように通孔1を有する支持片2の下端を取付けた台板3の前方に通孔4をあけると共に支持片2の一側に上端を湾曲せる糸掛片10の下端を取付けた釣糸通具の構造。」(登録請求の範囲) (B-2).「本実用新案は上述のように台板3に支持片2を設けこれに通孔1をあけ且台板3の前方に通孔4をあけたるを以って通孔4を釣竿7の通孔9の位置に合致せしめ台板3を釣竿7に固着し釣糸6を通孔1,4,9に通すと釣糸は通孔4に接触し釣竿7の通孔9に強く接触せず従って釣糸6が従来のように通孔9の部分で釣竿に喰込むおそれがなく釣糸6を円滑に通過せしめ得られ釣糸の繰出し及び巻取りが軽快であり」(第1頁左欄第13?同頁右欄第4行) [4].本願考案1(前者)と刊行物Aに記載された考案(後者)との比較 (1).構成の対応関係 後者における、「ガイド17」、「縦方向の隙間19」、「中間竿」、「閉塞物」は、各々前者における「釣糸ガイド」、「長孔部」、「小径竿管」、「釣糸ガイド保持体」に対応する。 また、後者のFig.5を参照すると、隙間19を挟んで閉塞物と反対側に存在するガイド17との間を結ぶ糸31は略直線状であることは、図面上から明らかである。 (2).前者と後者との一致点、相違点 (ア).一致点 竿管の外周面から離隔した高さ位置に配設され、孔芯方向が前記竿管の長手方向に設定された釣糸ガイドと、 該釣糸ガイドの前側には、竿管の長手方向に長くて釣糸を竿管内部に導入する長孔を有する長孔部とを具備し、 前記竿管に対して小径竿管を振出式に継ぎ合わせた状態において、 前記釣糸ガイドから前記長孔を経由して小径竿管の後端部に設けた釣糸ガイド保持体に向って釣糸を略直線状に案内でき、 前記竿管は、小径竿管が前記長孔の後方にまで収納可能な内寸法を有する中通し釣竿」の点、 (イ).相違点 長孔部の配設位置に関して、前者は釣糸ガイドの直ぐ前としているのに対し、後者は、ガイド17と隙間19は、共に直径が最大の竿部4に設けられているが、隙間19がガイド17の直ぐ前であるか否か不明である点 (3).相違点の検討 「直ぐ前側」とは如何なる程度の間隔を指し、そのような構成により如何なる作用効果を奏するのかに関する記載は本願の明細書には認められず不明瞭であるが、実施例に則して、釣糸ガイド14と、糸が竿の内部に入る長孔部分とが一体的に構成される程度の間隔であるとして検討する。 刊行物Bには、台板3に、本願考案1の釣糸ガイド14、及び長孔位置に各々対応する、陶磁器製環体8、及び通孔4が一体的に構成されることが示されているから、釣糸ガイドの直ぐ前側に長孔部を設けることは当業者がきわめて容易に為し得ることである。 (4).本願考案1の判断 したがって、本願考案1は、刊行物A、及び刊行物Bに記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。 [4].本願考案2(前者)と刊行物Aの考案(後者)との比較。 (1).本願考案2 本願考案2は、本願考案1において、釣糸ガイド部への釣糸の絡みを防止する糸絡み防止部材を具備させた点を限定したものである。 (2).前記限定事項の検討 糸絡み防止部材を具備した釣糸ガイドは、例えば、特開平5-184267号公報、実願平2-116796号(実開平4-74958号)のマイクロフィルム、特公平1-16128号公報、実公昭56-32045号公報等に見られるように周知の釣糸ガイドであり、当該周知の釣糸ガイドを、刊行物Aの釣糸ガイドとして採用することは当業者ならば適宜為し得る程度の事項である。 (3).本願考案2の判断 前記限定事項以外は、前記本願考案1にて検討したとおり当業者がきわめて容易に為し得る程度の事項であるから、本願考案2は、刊行物A、刊行物Bに記載された発明、及び周知事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであると認められ、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。 [5]むすび 以上のとおりであるから、残余の請求項について検討するまでもなく、本件実用新案登録出願は、平成5年改正法による改正前の実用新案法第11条第1項の規定に該当し、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-05-16 |
結審通知日 | 2003-05-16 |
審決日 | 2003-06-17 |
出願番号 | 実願平5-73413 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(A01K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 秋月 美紀子、星野 浩一、森次 顕 |
特許庁審判長 |
中村 和夫 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 渡部 葉子 |
考案の名称 | 中通し釣竿 |
代理人 | 越智 俊郎 |