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審決分類 審判    E06B
管理番号 1102937
審判番号 無効2000-40006  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-02-01 
確定日 2004-09-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第3054948号実用新案「遮蔽用品取り付け器具」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3054948号の請求項10ないし請求項17に係る各考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第一 手続の経緯、本件考案
本件登録実用新案第3054948号考案は、平成10年6月15日に出願され、平成10年10月7日に設定登録されたものである。
平成12年2月1日、その請求項10ないし請求項17に係る各考案の登録を無効とするとの審判請求がされ、平成12年5月8日に答弁書が提出されている。平成12年9月22日、特許庁審判廷(京都リサーチパーク4階A会議室)で口頭審理が公開のもとに行われ、その際請求人より口頭審理陳述要領書及び手続補正書が提出され、平成12年10月17日、被請求人より上申書が提出されている。口頭審理での合議体からの審尋に対し、平成12年11月22日、請求人より回答書が提出され、平成13年1月19日、被請求人より答弁書が提出されている。さらに平成13年7月19日、請求人より、審判請求書に対する手続補正書が提出されている。
本件登録実用新案第3054948号の請求項10ないし請求項17に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項10ないし請求項17に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項10】 窓枠等に接合固定される固定板、該固定板に対して略直角方向である上板、及び該固定板並びに上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と、該側板に対して近設される近設板、及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項11】 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、及び該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、締結操作により該支持部材を該側板に対して摺動させることが可能であるとともに該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記締結具の締結操作を行って該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項12】 窓枠等に接合固定される固定板、該固定板に対して略直角方向である上板、該固定板並びに上板に対して略直角方向である側板、及び該上板の中央付近から略直角方向に延びる雌螺子から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と、雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項13】 窓枠等に接合固定される固定板、該固定板に対して略直角方向である上板、及び該固定板並びに上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と、該側板に対して近設される近設板、及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され、該上板又は/及び該支持板が、1又は2以上の凸部を備えた遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木に設けられた係合溝に係合することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項14】 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、及び該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され、該上板の少なくとも略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項15】 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、及び該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と、該側板に対して近設される近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、該桟木の側面を前記側板に密着させることを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項16】 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板、及び該上板の中央付近から略直角方向に延びて該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することとなる雌螺子から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具とから構成され、該上板の少なくとも略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合するとともに、該桟木の側面を前記側板に密着させることを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
【請求項17】 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる2枚の側板、及び該上板の中央付近から略直角方向に延びて該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することとなる雌螺子が一体に形成されて成る固定部材と、該側板に対して摺動可能に係合される2枚の近設板、及び該近設板が両端に略直角方向に固定された支持板が一体に形成されて成る支持部材と、雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具とから構成され、該上板の略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる2個の凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して上下方向に摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記2個の凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合するとともに、該桟木の側面を前記2枚の側板に密着させることを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。」
なお、請求項16及び請求項17における「前記雄螺子を捻回させて」の記載について、その記載の前には、「雄螺子形状を成しており・・・該雌螺子に螺入される締結具」との記載はあるが、「雄螺子」そのものについての言及はなくその意味するところが明確でないので、「前記雄螺子形状の締結具を捻回させて」と認定した。

第二 請求人の主張
一 理由1について
本件登録第3054948号実用新案の請求項10ないし請求項17に係る各考案は、甲第1号証から甲第9号証によると、実用新案法3条1項1号ないし3号の規定に該当し実用新案登録を受けることができないものであるか、又は、同各考案は、同法3条2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、同法37条1項2号の規定に該当し、無効とすべきものである。

二 理由2について
本件登録第3054948号実用新案の請求項10ないし請求項17に係る各考案は、甲第10号証から甲第14号証によると、実用新案法3条1項3号の規定に該当し実用新案登録を受けることができないものであるか、又は、同各考案は、同法3条2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、同法37条1項2号の規定に該当し、無効とすべきものである。

三 理由3について
本件登録第3054948号実用新案の請求項10ないし請求項17に係る各考案は、甲第15号証から甲第18号証によると、実用新案法37条1項5号の規定に該当し実用新案登録を受けることができないものであり、無効とすべきものである。

提出された証拠方法は、以下のとおりである。なお、平成12年9月22日の口頭審理において、同日付け手続補正書により甲第18号証が新たに提出されているが、同証拠は甲第15号証及び甲第16号証において示されている「中華民國申請案號087200503」の中華民國專利公報(公告編號386414)であることから、関連する証拠として採用することとした。又、平成12年11月22日付け回答書により、甲第4号証:レシートの写し、甲第12号証:実願昭49-61378号(実開昭50-150519号)のマイクロフィルム、及び甲第14号証:実願昭47-37310号(実開昭48-113517号)のマイクロフィルムが取り下げられるとともに、参考資料1?8が提出されている。
甲第1号証:TAIWAN BANBOO CURTAIN ENTERPRISE CO. LTD.のインボイス(T B-0205/98)の写し
甲第2号証:MERIDIAN EXPRESS CO.LTD.BILL OF LADING(船荷証券)の写し
甲第3号証:木下昭二の証明書
甲第5号証:INSTALATION INSTRUCTIONの写し
甲第6号証:CHIN-CHANG SHIの証明書
甲第7号証:TAIWAN BANBOO CURTAIN ENTERPRISE CO. LTD.のインボイス(T B-0522/98)の写し
甲第8号証:松井賢の証明書
甲第9号証:取扱説明書の写し
甲第10号証:公告編號243656(中華民國專利公報)
甲第11号証:実願昭54-154785号(実開昭56-73488号) のマイクロフィルム
甲第13号証:実願昭47-69228号(実開昭49-27517号)の マイクロフィルム
甲第15号証:「經濟部中央標準局專利處函」の写し
甲第16号証:中華民國經濟部中央標準局への出願納付書の写し
甲第17号証:登録実用新案第3054948号公報
甲第18号証:公告編號386414(中華民國專利公報)
さらに、請求人は、平成13年7月19日付けで手続補正書を提出しているが、同補正書は審判請求書を補正するものであり、その補正は審判請求の理由及び証拠を追加するものであって審判請求書の要旨を変更するものであることから、採用できない。

第三 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、理由1?理由3について、概略、以下におけるような反論を行っている。
一 理由1について
甲第1号証?甲第3号証について、請求人の回答書によっても、甲第1号証?甲第3号証の関係が明らかでない。すなわち、甲第1号証には「ROLL BLINDS」「PINo.120197」や「INVOICENo.:TB-0205/98」の文字があるが、甲第2号証及び甲第3号証には「ROLL BLINDS」以外に一致する文言はない。回答書で「甲第2号証にも記載事実がある。」とする根拠が不明である。さらに、回答書で「甲第3号証は、TB-0205/98の商品が、添付写真のブラケットと同一であることを証明しており、」とするが、甲第3号証にはTB-0205/98なる記号はなく、どのような根拠によって「証明」というのか不明である。株式会社湯川家具が「ロールブラインド」を輸入していることは確認できるが、その「取り付け器具」が如何なる形状構造のものであるかについて、何ら特定できる記載はない。
又、甲第5号証が示す使用説明書と同一と思われる使用説明書が、甲第3号証及び甲第6号証の写真中に写されている。しかしながら、甲第3号証は、前述したように、客観的に1998年4月30日以前に販売された商品を証明するものではないため、何ら証拠とはなり得ない。甲第6号証についても、同様である。
さらに甲第7号証?甲第9号証について、参考資料を検討しても、「ロールアップブラインド」の輸入の事実は認められるが、それに付属していて入れられていた取り付け器具が、甲第8号証の写真にある取り付け器具と同一のものであるとする証明にはならない。(平成13年1月19日付け答弁書11頁14行?14頁14行)

二 理由2について
本件請求項10ないし17に係る「固定部材」と「支持部材」との摺動は、「支持部材」を、「固定部材」に設けられた「側板」の面に対して摺動させるものである。この「側板」の摺動面は、本件明細書の図4(C),(D)に示される側板34の断面における内側の図面視左右の面であり、両図から摺動面が長手、幅両方向に所定の広がりを持つ平面であることが示されている。従って、甲第10号証の「L型ガイド柱」を構成する板状の部材の端部を「スライダーレール」に嵌装させて摺動するものとは異なる。
更に、本件請求項15ないし17に係る構成においては、本件図2において示されるように、側板34と桟木22とが側面密着部35の部位で密着せしめられており、桟木22の前後方向の固定が強化されている。即ち、「桟木が側面密着部に密着されることにより、桟木が少なくとも3方向において規制される。又、凸部を桟木の係合溝に係合させた場合には、桟木が4方向において移動しないように規制される」。このような構成は甲第10号証には開示されていない。
甲第11号証ないし甲第14号証はいずれも構成要素としてカーテンレールを上下から挟持する本件請求項10ないし17に係る「固定部材」及び、「支持部材」に相当する部材を備えるが、いずれの「固定部材」に相当する部材も本件請求項10ないし17に係る「側板」に相当する部材を備えていない。
したがって、本件請求項10ないし17に係る構成は、甲第11号証ないし甲第14号証のいずれにも開示されたものではない。(平成12年5月8日付け答弁書4頁14行?5頁16行)

三 理由3について
甲第15及び16号証は台湾在住の王氏の出願に関するものであるが、冒認出願であり、証拠とはならない。請求人は、事実の認識に誤りがある。(平成12年5月8日付け答弁書5頁18,19行)

第四 請求項10に係る考案について
一 公知の技術的事項について
請求人が提出した甲第10号証(公告編號243656[中華民國專利公報])には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定される下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向である凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して近設されるスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向である位置制御片から成る昇降固定台と、該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案1」という。)が開示されているものと認める。
なお、上記認定に際し、部材等の名称は、請求人が提出した、審判請求書、口頭審理陳述要領書及び回答書において記載されているものを、可能な限り使用している。

二 当審での検討
(一)本件請求項10に係る考案と公知考案1との対比
本件請求項10に係る考案と公知考案1とを対比すると、請求項10に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案1における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「位置決め台」、「スライダレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定される固定板、該固定板に対して略直角方向である上板、及び該上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と、該側板に対して近設される近設板、及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1で相違している。
相違点1
本件(請求項10)に係る考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(1)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
なお、以下の相違点において、請求項及び公知考案は異なるものの、実質的にその相違点の内容が同じものが多数出現することから、その異なる請求項及び公知考案については、例えば「(請求項10)」のとおりの括弧書きとした。

(二)相違点1に対する検討
上記公知考案1において、本件請求項10に係る考案における側板に対応する部材としてL型ガイド柱摺動面が記載されている。このL型ガイド柱摺動面(側板)は、L型ガイド柱摺動面(側板)に近設されるスライダレール縦面(近設板)を介して昇降固定台(支持部材)を摺動させるものであるが、L型ガイド柱摺動面(側板)は、下方に延びる面(固定板)の両側にそれぞれ内側に向けて凹陥して相互に対向して形成されている(請求書11頁28,29行、第3図参照)。換言すると、L型ガイド柱摺動面(側板)は、凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対しては略直角方向ではなく、下方に延びる面(固定板)と平行に形成されている。
しかしながら、L型ガイド柱摺動面(側板)を、下方に延びる面(固定板)と平行に形成するか、あるいは下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向に形成するかといったようなことは、具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項といえるものであり、L型ガイド柱摺動面(側板)を、下方に延びる面(固定板)と平行に形成するのに代えて下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向に形成するようなことに格別の困難性を見出すことはできず、このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項10に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案1から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項10に係る考案は、公知考案1に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第五 請求項11に係る考案について
一 公知の技術的事項について
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と、締結操作により該昇降固定台を該L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることが可能であるとともに該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、前記ねじの締結操作を行って該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案2」という。)
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項11に係る考案と公知考案2との対比
本件請求項11に係る考案と公知考案2とを対比すると、請求項11に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案2における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「位置決め台」、「スライダレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、及び該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、締結操作により該支持部材を該側板に対して摺動させることが可能であるとともに該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記締結具の締結操作を行って該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1で相違している。
相違点1
本件(請求項11に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(2)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。

(二)相違点1に対する検討
さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で検討したことが準用できる。

(三)まとめ
全体として、本件請求項11に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案2から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項11に係る考案は、公知考案2に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第六 請求項12に係る考案について
一 公知の技術的事項について
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定される下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向である凹型板、該凹型板に対して略直角方向であるL型ガイド柱摺動面、及び下方に延びる面の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設したねじ孔から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向である位置制御片から成る昇降固定台と、雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔に螺入されるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、前記ねじを捻回させて該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案3」という。)
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項12に係る考案と公知考案3との対比
本件請求項12に係る考案と公知考案3とを対比すると、請求項12に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「雌螺子」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案3における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「ねじ孔」、「位置決め台」、「スライダレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定される固定板、該固定板に対して略直角方向である上板、該上板に対して略直角方向である側板、及び雌螺子から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と、雄螺子形状を成しており下から該雌螺子に螺入される締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1及び2で相違している。
相違点1
本件(請求項12に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(3)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点2
本件請求項12に係る考案においては、雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びるように設けられ、締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し、公知考案3においては、ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され、ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点。

(二)相違点に対する検討
1 相違点1について
さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で検討したことが準用できる。
2 相違点2について
桟木(単レールスライダ台)を挟持して桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持するために、締結具(ねじ)を捻回させて支持部材(昇降固定台)を側板(L型ガイド柱摺動面)に対して摺動させるのに際し、上記公知考案3における、ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され、ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される構成に代えて、本件請求項12に係る考案におけるような、雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びるように設けられ、締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される構成を用いるようなことは、具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず、この点に格別の困難性を見出すことはできず、このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項12に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案3から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項12に係る考案は、公知考案3に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第七 請求項13に係る考案について
一 公知の技術的事項について
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定される下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向である凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して近設されるスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向である位置制御片から成る昇降固定台と、該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成され、該凹型板が1の凸部を備えた遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該レールスライダ台を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該単レールスライダ台に設けられた係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案4」という。)
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項13に係る考案と公知考案4との対比
本件請求項13に係る考案と公知考案4とを対比すると、請求項13に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案1における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「位置決め台」、「スライダレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定される固定板、該固定板に対して略直角方向である上板、及び該上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と、該側板に対して近設される近設板、及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され、上板が1の凸部を備えた遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木に設けられた係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1及び3で相違している。
相違点1
本件(請求項13に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(4)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点3
本件請求項13に係る考案においては、上板又は/及び支持板が、1又は2以上の凸部を備えているのに対し、公知考案4においては、凹型板(上板)が1の凸部を備えているものの2以上の凸部を備えてなく、又、位置制御片(支持板)が1又は2以上の凸部を備えていない点。

(二)相違点に対する検討
1 相違点1について
さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で検討したことが準用できる。
2 相違点3について
桟木(単レールスライダ台)を挟持して該桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持する際に、該桟木(単レールスライダ台)に設けられた係合溝に係合する凸部を形成するのに、上記公知考案4における凹型板(上板)が1の凸部を備えている構成に代えて、本件請求項13におけるように、上板(凹型板)又は/及び支持板(位置制御片)が1又は2以上の凸部を備えている構成を用いるようなことは、具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず、この点に格別の困難性を見出すことはできず、このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項13に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案4から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項13に係る考案は、公知考案4に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第八 請求項14に係る考案について
一 公知の技術的事項について
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と、該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成され、該凹型板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該単レールスライダ台の上面に設けられた該単レールスライダ台の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案5」という。)
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項14に係る考案と公知考案5との対比
本件請求項14に係る考案と公知考案5とを対比すると、請求項14に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案5における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「位置決め台」、「スライダレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、及び該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され、該上板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1及び4で相違している。
相違点1
本件(請求項14に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(5)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点4
本件(請求項14に係る)考案においては、上板の少なくとも略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有するのに対し、公知考案(5)においては、凹型板(上板)に凸部を有するものの、そのような構成を有しない点。

(二)相違点に対する検討
1 相違点1について
さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で検討したことが準用できる。
2 相違点4について
桟木(単レールスライダ台)を挟持して該桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持する際に、該桟木(単レールスライダ台)の上面に設けられた該桟木(単レールスライダ台)の長手方向の係合溝に係合する凸部を形成するのに、上記公知考案5における凹型板(上板)が凸部を備えている構成に代えて、本件請求項14におけるように、上板の少なくとも略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有する構成を用いるようなことは、具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず、この点に格別の困難性を見出すことはできず、このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項14に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案5から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項14に係る考案は、公知考案5に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第九 請求項15に係る考案について
一 公知の技術的事項について
1 甲第10号証
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して近設されるスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と、該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案6」という。)
が開示されているものと認める。
2 甲第11号証
請求人が提出した甲第11号証(実願昭54-154785号[実開昭56-73488号]のマイクロフィルム)はカーテンレール用ブラケットに関するものであり、同号証には、明細書及び図面の記載を参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる取付部、該取付部に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略水平方向となる、カーテンレールの上面と係合するブラケット本体の上片と、同下面と係合する爪片、及び該上片に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる、カーテンレールの該取付部側と反対側の側面と係合する挟片とカーテンレールの該取付部側の側面と係合する側片から成るブラケット本体と、該窓枠等に固定された際に略水平方向となる爪片、及び挟片から成るスライド部材と、該スライド部材を該ブラケット本体へ摺動可能に留めるビスとから構成されるカーテンレール用ブラケットであり、カーテンレールを前記ブラケット本体と前記スライド部材との間に保持し、該スライド部材を摺動させることにより、該カーテンレールを挟持して該カーテンレールを略水平方向に支持する際に、該カーテンレールの該取付部側の側面をカーテンレールの該取付部側の側面と係合するブラケット本体の側片に密着させるカーテンレール用ブラケット」
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項15に係る考案と公知考案6との対比
本件請求項15に係る考案と公知考案6とを対比すると、請求項15に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案5における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「位置決め台」、「スライダレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、及び該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と、該側板に対して近設される近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1及び5で相違している。
相違点1
本件(請求項15に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(6)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点5
本件(請求項15に係る)考案においては、桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、該桟木の側面を側板に密着させるのに対し、公知考案(6)においては、このような構成を有しない点。

(二)相違点に対する検討
1 相違点1について
さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で検討したことが準用できる。
2 相違点5について
上記甲第11号証によると、「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる取付部、該取付部に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略水平方向となる、カーテンレールの上面と係合するブラケット本体の上片と、同下面と係合する爪片、及び該上片に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる、カーテンレールの該取付部側と反対側の側面と係合する挟片とカーテンレールの該取付部側の側面と係合する側片から成るブラケット本体と、該窓枠等に固定された際に略水平方向となる爪片、及び挟片から成るスライド部材と、該スライド部材を該ブラケット本体へ摺動可能に留めるビスとから構成されるカーテンレール用ブラケットであり、カーテンレールを前記ブラケット本体と前記スライド部材との間に保持し、該スライド部材を摺動させることにより、該カーテンレールを挟持して該カーテンレールを略水平方向に支持する際に、該カーテンレールの該取付部側の側面をカーテンレールの該取付部側の側面と係合するブラケット本体の側片に密着させるカーテンレール用ブラケット」が、本件考案の出願前に公知であり、カーテンレールの上面及び側面をブラケット本体の上片、側片及び挟片とスライド部材の挟片で規制し、同カーテンレールの下面をブラケット本体とスライド部材の各爪片で規制していることが示されている。そして、上記甲第11号証における、カーテンレール、ブラケット本体、スライド部材は、請求項15に係る考案における、桟木、固定部材、支持部材に対応することから、カーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させる技術手段が開示されているものと認められる。
してみると、公知考案6におけるような遮蔽用品取り付け器具において、上記甲第11号証におけるようなカーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させる点に着目してその技術手段を採用し、本件請求項15に係る考案におけるように構成するようなことは、公知考案6の遮蔽用品取り付け器具及び甲第11号証のカーテンレール用ブラケットのいずれも技術的に互いに近縁関係にあり、しかも公知考案6に甲第11号記載の技術手段を適用することに特段の阻害する要因もないことからすると、格別の困難性を見出すことはできず、当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項15に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案6及び上記甲第11号証記載の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項15に係る考案は、公知考案6及び上記甲第11号証記載の技術手段に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第十 請求項16に係る考案について
一 公知の技術的事項について
1 甲第10号証
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面、及び下方に延びる面の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設したねじ孔から成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と、雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔に螺入されるねじとから構成され、該凹型板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、前記雄螺子形状のねじを捻回させて該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該単レールスライダ台の上面に設けられた該単レールスライダ台の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案7」という。)
が開示されているものと認める。
2 甲第11号証
請求人が提出した甲第11号証はカーテンレール用ブラケットに関するものであり、同号証には、明細書及び図面の記載を参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる取付部、該取付部に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略水平方向となる、カーテンレールの上面と係合するブラケット本体の上片と、同下面と係合する爪片、及び該上片に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる、カーテンレールの該取付部側と反対側の側面と係合する挟片とカーテンレールの該取付部側の側面と係合する側片から成るブラケット本体と、該窓枠等に固定された際に略水平方向となる爪片、及び挟片から成るスライド部材と、該スライド部材を該ブラケット本体へ摺動可能に留めるビスとから構成されるカーテンレール用ブラケットであり、カーテンレールを前記ブラケット本体と前記スライド部材との間に保持し、該スライド部材を摺動させることにより、該カーテンレールを挟持して該カーテンレールを略水平方向に支持する際に、該カーテンレールの該取付部側の側面をカーテンレールの該取付部側の側面と係合するブラケット本体の側片に密着させるカーテンレール用ブラケット」
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項16に係る考案と公知考案7との対比
本件請求項16に係る考案と公知考案7とを対比すると、請求項16に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「雌螺子」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案3における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「ねじ孔」、「位置決め台」、「スライドレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板、及び雌螺子から成る固定部材と、該側板に対して摺動する近設板、及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と、雄螺子形状を成しており下から該雌螺子に螺入される締結具とから構成され、該上板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1及び4?6で相違している。
相違点1
本件(請求項16に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(7)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点4
本件(請求項16に係る)考案においては、上板の少なくとも略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有するのに対し、公知考案(7)においては、凹型板(上板)に凸部を有するものの、そのような構成を有しない点。
相違点5
本件(請求項16に係る)考案においては、桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、該桟木の側面を側板に密着させるのに対し、公知考案(7)においては、このような構成を有しない点。
相違点6
本件(請求項16に係る)考案においては、雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ、締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し、公知考案(7)においては、ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され、ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点。

(二)相違点に対する検討
1 相違点1、4及び5について
相違点1については、さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で、相違点4については、さきの「第八 請求項14に係る考案について、二(二)2 相違点4について」の項で、相違点5については、さきの「第九 請求項15に係る考案について、二(二)2 相違点5について」の項で、それぞれ検討したことが準用できる。
2 相違点6について
桟木(単レールスライダ台)を挟持して桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持するために、雄螺子形状の締結具(ねじ)を捻回させて支持部材(昇降固定台)を側板(L型ガイド柱摺動面)に対して摺動させるのに際し、上記公知考案7における、ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され、ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される構成に代えて、本件請求項16に係る考案におけるような、雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ、締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される構成を用いるようなことは、具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず、この点に格別の困難性を見出すことはできず、このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項16に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案7及び上記甲第11号証記載の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項16に係る考案は、公知考案7及び上記甲第11号証記載の技術手段に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第十一 請求項17に係る考案について
一 公知の技術的事項について
1 甲第10号証
請求人が提出した甲第10号証には、カーテン、レール固定具の改良構造が記載されており、特に第3図、第4図及び第4図-Aを参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面、該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板、及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる2枚のL型ガイド柱摺動面、及び下方に延びる面の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設したねじ孔が一体に形成されて成る位置決め台と、該L型ガイド柱摺動面に対して摺動可能に係合される2枚のスライダレール縦面、及び該スライダレール縦面が両端に略直角方向に固定された位置制御片が一体に形成されて成る昇降固定台と、雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔に螺入されるねじとから構成され、該凹型板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し、前記雄螺子形状のねじを捻回させて該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して上下方向に摺動させることにより、該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該単レールスライダ台の上面に設けられた該単レールスライダ台の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(以下、「公知考案8」という。)
が開示されているものと認める。
2 甲第11号証
請求人が提出した甲第11号証はカーテンレール用ブラケットに関するものであり、同号証には、明細書及び図面の記載を参照すると、
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる取付部、該取付部に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略水平方向となる、カーテンレールの上面と係合するブラケット本体の上片と、同下面と係合する爪片、及び該上片に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる、カーテンレールの該取付部側と反対側の側面と係合する挟片とカーテンレールの該取付部側の側面と係合する側片から成るブラケット本体と、該窓枠等に固定された際に略水平方向となる爪片、及び挟片から成るスライド部材と、該スライド部材を該ブラケット本体へ摺動可能に留めるビスとから構成されるカーテンレール用ブラケットであり、カーテンレールを前記ブラケット本体と前記スライド部材との間に保持し、該スライド部材を摺動させることにより、該カーテンレールを挟持して該カーテンレールを略水平方向に支持する際に、該カーテンレールの該取付部側の側面をカーテンレールの該取付部側の側面と係合するブラケット本体の側片に密着させるカーテンレール用ブラケット」
が開示されているものと認める。

二 当審での検討
(一)本件請求項17に係る考案と公知考案8との対比
本件請求項17に係る考案と公知考案8とを対比すると、請求項17に係る考案の「固定板」、「上板」、「側板」、「雌螺子」、「固定部材」、「近設板」、「支持板」、「支持部材」、「締結具」及び「桟木」は、それぞれ公知考案3における「下方に延びる面」、「凹型板」、「L型ガイド柱摺動面」、「ねじ孔」、「位置決め台」、「スライドレール縦面」、「位置制御片」、「昇降固定台」、「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応し、両者は次の点で一致する。
「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板、該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板、該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる2枚の側板、及び雌螺子が一体に形成されて成る固定部材と、該側板に対して摺動可能に係合される2枚の近設板、及び該近設板が両端に略直角方向に固定された支持板が一体に形成されて成る支持部材と、雄螺子形状を成しており下から該雌螺子に螺入される締結具とから構成され、該上板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり、遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し、前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して上下方向に摺動させることにより、該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」
そして、両者は、下記の相違点1及び5?7で相違している。
相違点1
本件(請求項17に係る)考案においては、側板が、固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し、公知考案(8)においては、L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが、下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点5
本件(請求項17に係る)考案においては、桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に、該桟木の側面を側板に密着させるのに対し、公知考案(8)においては、このような構成を有しない点。
なお、公知考案8において、L型ガイド柱摺動面(側板)を2枚とする構成が開示されており、相違点としては上記のとおりとなる。
相違点6
本件(請求項17に係る)考案においては、雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ、締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し、公知考案(8)においては、ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され、ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点。
なお、公知考案8において、ねじ孔(雌螺子)を位置決め台(固定部材)に一体に形成する構成が開示されており、相違点としては上記のとおりとなる。
相違点7
本件請求項17に係る考案においては、上板の略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる2個の凸部を有するのに対し、公知考案8においては、凹型板(上板)に凸部を有するものの、そのような構成を有しない点。

(二)相違点に対する検討
1 相違点1、5及び6について
相違点1については、さきの「第四 請求項10に係る考案について、二(二)相違点1に対する検討」の項で、相違点5については、さきの「第九 請求項15に係る考案について、二(二)2 相違点5について」の項で、相違点6については、さきの「第十 請求項16に係る考案について、二(二)2 相違点6について」の項で、それぞれ検討したことが準用できる。
2 相違点7について
桟木(単レールスライダ台)を挟持して該桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持する際に、該桟木(単レールスライダ台)の上面に設けられた該桟木(単レールスライダ台)の長手方向の係合溝に係合する凸部を形成するのに、上記公知考案8における凹型板(上板)が凸部を備えている構成に代えて、本件請求項17におけるように、上板の略水平方向両端に、該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる2個の凸部を有する構成を用いるようなことは、具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず、この点に格別の困難性を見出すことはできず、このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。

(三)まとめ
全体として、本件請求項17に係る考案によってもたらされる効果も、公知考案8及び上記甲第11号証記載の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別なものとは言えない。
したがって、本件請求項17に係る考案は、公知考案8及び上記甲第11号証記載の技術手段に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

第十二 結び
以上、本件登録第3054948号の請求項10ないし請求項17に係る各考案の登録は、他の無効審判請求の理由を検討するまでもなく、実用新案法37条1項2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-08-23 
結審通知日 2001-08-29 
審決日 2001-09-21 
出願番号 実願平10-4258 
審決分類 U 1 121・ 121- Z (E06B)
最終処分 成立    
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 中田 誠
鈴木 公子
登録日 1998-10-07 
登録番号 実用新案登録第3054948号(U3054948) 
考案の名称 遮蔽用品取り付け器具  
代理人 楠本 高義  
代理人 宮崎 伊章  

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