• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    A45B
管理番号 1233188
審判番号 無効2010-400002  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-07-23 
確定日 2010-12-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3145029号実用新案「中空軸構造の傘」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3145029号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第3145029号の請求項1に係る考案についての出願は、平成20年6月23日に出願され、平成20年9月3日に実用新案権の設定登録がなされ、平成22年7月23日に請求人である株式会社東京丸惣及び志昌洋傘株式有限会社により本件請求項1に係る考案の実用新案登録について実用新案登録無効審判の請求がなされたものであって、平成22年8月11日に実用新案登録無効審判請求書副本が送達されたが、これに対し、被請求人から応答がなされなかったものである。

II.本件登録実用新案
本件実用新案登録の請求項1に係る登録実用新案(以下、「本件考案」という。)は、本件の登録明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
軸内部を中空構造にし、杖を通して持ち運べる傘。」

III.請求人の求めた審決及び主張
審判請求人は、本件考案についての実用新案登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、甲第1号証を提出するとともに、本件考案は、甲第1号証に記載された考案であって、実用新案法第3条第1項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、その実用新案登録は、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであると主張する。

(証拠方法)
甲第1号証:登録実用新案第3141269号公報

IV.当審の判断
1.甲第1号証
本願の出願前である平成20年5月1日に頒布された刊行物である甲第1号証には、下記の事項が図面とともに記載されている。
ア:「図1は本案の立体分解図、図2は本案の傘の組合せ図、図3は本案の傘の組合せ拡大図、図4は本案の傘と杖を同時に使う状態図である。
図1において、一のステッキ、一の傘、そして一の石突がある。ステッキの一端に手元があって、別の一端に玉ハジキがある。傘の中央部分の上に上ロクロを固定して、下には下ロクロがある。上ロクロの中にパンチを固定して、上にはネジを設計して親骨とつなぐ。下には定位孔がある。また、下ロクロの中央部分にはパンチがあって、上には受骨とつなぐ上部上ロクロがある。中には下のネジとスプリングを結んでつなぐ。受骨とスプリングの一端は親骨とつなぐ。上ロクロと下ロクロはパンチを利用して一つの中棒上につなぐ。この受骨は上ロクロと下ロクロの上、下にあって、上ロクロの定位孔の部分に一つスペーシング孔がある。上ロクロは動かなくて、下ロクロは動くことができる。石突の材質はゴムで、下はへこんでいて一の石突穴が設計されている。以上の構造に設計して、傘と杖を組み合わせた。
組み合わせると、この傘は日光と雨を遮る杖になる。傘を組み合わせる時に、ステッキ10は棒11の玉ハジキ13の一端から傘20の中棒26を通り抜ける。通り抜ける時に玉ハジキ13が自ら圧縮される。玉ハジキ13は定位穴213の中に入って、傘20はステッキ10に固定される。最後に石突30は中棒26の上に覆う。下ロクロ22が動くと、すぐ親骨23は受骨24とスプリング25に支えられて開閉することができる(図2および図3参照)。お年寄りと体の不自由な人が手元12をしっかりと握って、石突が地面と接触する時に、この傘はすぐ一の杖になる。しかも傘20の上で帯をくくるから、杖として使わない時に、傘は外へ広げる。
また、歩く時に、もし日の光が熱くなれば、あるいは雨が降れば、傘を支える必要がある。もし、同時にステッキ10を利用しなければならないときは、定位孔213とスペーシング孔261の玉ハジキを押す。それによって縮めて入った後で、勢いに乗ってステッキ10の棒11と傘20の中棒26は離れる。この時、手はステッキ10の手元12をしっかりと握って、ステッキ10を利用して歩く(図4参照)。他の手は傘20の中棒26の下に握って、中棒26を利用して雨と日光を遮ることができる。
尚、上ロクロと下ロクロをつなぐ親骨、受骨、スプリングは別の構成であってもよい。」( 【0008】)

イ:上記アの「傘を組み合わせる時に、ステッキ10は棒11の玉ハジキ13の一端から傘20の中棒26を通り抜ける。」という記載及び図1?4の図示内容からして、中棒26内部は中空構造であって、該中空構造にステッキ10を通すといえる。

ウ:上記アの「お年寄りと体の不自由な人が手元12をしっかりと握って、石突が地面と接触する時に、この傘はすぐ一の杖になる。しかも傘20の上で帯をくくるから、杖として使わない時に、傘は外へ広げる。」という記載及び上記イからして、傘20はステッキ10を通して持ち運べるといえる。

以上によれば、甲第1号証には、
「中棒26の内部を中空構造にし、ステッキ10を通して持ち運べる傘20。」
の考案(以下「引用考案」という。)が記載されていると認める。

2.対比・判断
本件考案と引用考案とを対比する。
引用考案の「中棒26」、「ステッキ10」、「傘20」は、その構造または機能からみて、本件考案の「軸」、「杖」、「傘」に相当する。

そうすると、両者は、
「軸内部を中空構造にし、杖を通して持ち運べる傘。」
である点で一致し、相違している点はない。

したがって、本件考案は、甲第1号証に記載された考案(引用考案)であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。

V.むすび
以上のとおり、本件考案は、甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものであって、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

審判に関する費用については、実用新案法第41条が準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-10-13 
結審通知日 2010-10-15 
審決日 2010-10-26 
出願番号 実願2008-4962(U2008-4962) 
審決分類 U 1 114・ 113- Z (A45B)
最終処分 成立    
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 関谷 一夫
蓮井 雅之
登録日 2008-09-03 
登録番号 実用新案登録第3145029号(U3145029) 
考案の名称 中空軸構造の傘  
代理人 西垣 康雄  
代理人 西垣 康雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ