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審決分類 |
審判 A44C |
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管理番号 | 1243092 |
審判番号 | 無効2010-400003 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2010-09-15 |
確定日 | 2011-08-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3144557号実用新案「アクセサリー」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 実用新案登録第3144557号の請求項1ないし2に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 実用新案登録第3144557号の請求項3ないし4に係る考案についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1.本件実用新案登録第3144557号の請求項1ないし4に係る考案についての実用新案登録出願は、平成20年6月20日(優先権主張平成19年10月3日、台湾)になされ、平成20年8月13日にその考案について実用新案権の設定登録がされた。 2.これに対し、平成22年9月15日に、請求人クロックス インクより、本件実用新案登録第3144557号の請求項1ないし4に係る考案についての実用新案登録を無効とするとの審決を求める無効審判の請求がなされた。 3.平成22年12月21日の差出日として、被請求人楊榮洲外2名より審判事件答弁書が提出された。 4.平成23年3月10日に、請求人より口頭審理陳述要領書が提出され、平成23年3月24日に、被請求人から口頭審理陳述要領書が提出され、同3月24日に口頭審理が実施された。 第2 本件考案 本件実用新案登録の請求項1ないし4に係る考案(以下「本件考案1」ないし「本件考案4」という。)は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 取り付け部材と、 前記取り付け部材の一端に取り付けられるモデリングアクセサリーと、 前記モデリングアクセサリーの内部に設けられる発光装置と、を備え、 前記取り付け部材は一端に固定部を有し、前記取り付け部材は他端に前記固定部に対応するストッパー部を有し、前記固定部と前記ストッパー部との間には連結部を有し、前記固定部と前記連結部との接続箇所に第一ストッパー面を形成し、前記ストッパー部と前記連結部との接続箇所に第二ストッパー面を形成し、 前記モデリングアクセサリーは立体に形成され、前記モデリングアクセサリーは前記取り付け部材の前記固定部に固定されて連結し、 前記発光装置は震動を受けて発光する発光素子を有し、前記発光素子は少なくとも一つの電池によって電源が供給され、 前記発光素子は前記モデリングアクセサリーの内部に位置し、前記モデリングアクセサリーは一定の透光性を有することで、前記発光装置の前記発光素子が発光する光を射出することを特徴とするアクセサリー。 【請求項2】 前記モデリングアクセサリーは、底面を有し、前記底面は前記取り付け部材の前記固定部に固定されて連結し、前記モデリングアクセサリーの内部に設けられた密封空間に前記発光装置を設置し、前記発光装置はさらに回路制御基板を有し、前記回路制御基板上には前記発光素子が設置され、前記発光素子は発光ダイオードであり、前記回路制御基板には前記電池および震動スイッチが設置され、前記電池は前記発光素子に電源を供給し、前記発光素子は前記震動スイッチの作動を受けて発光することを特徴とする請求項1に記載のアクセサリー。 【請求項3】 前記発光装置は、前記取り付け部材内に設置され、前記取り付け部材の一端の前記固定部の縁の回りには上方に壁面が延びており、前記壁面内に凹溝が形成され、前記凹溝内には前記発光装置を設置し、前記モデリングアクセサリーの内部にはスペースを有し、前記スペースは開口部を有し、前記取り付け部材の前記固定部における前記壁面が前記開口部によって前記スペース内に嵌め込まれ、前記発光装置の前記発光素子が前記モデリングアクセサリーの内部に位置することを特徴とする請求項1に記載のアクセサリー。 【請求項4】 前記取り付け部材の前記固定部の前記凹溝の底部は、前記連結部に向かって窪んで収納室になり、前記凹溝内に前記発光装置の前記発光素子を設置し、前記収納室内に前記発光装置の前記電池を置くことを特徴とする請求項3に記載のアクセサリー。」 第3 請求人の主張の要点 請求人は、証拠方法として甲第1ないし4号証を提出し、本件考案1ないし4は、甲第1ないし2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、同法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とされるべきである。 証拠方法 甲第1号証:国際公開第2007/8655号 甲第2号証:米国特許第5456032号明細書 甲第3号証:甲第2号証の抄訳 甲第4号証:特表2009-500125号公報 第4 被請求人の主張の要点 被請求人は、請求人の主張する無効理由に対し、本件考案1ないし4は、甲第1ないし2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではないと反論している。 第5 当審の判断 1.甲各号証の記載内容 請求人が提出した甲第1ないし2号証には以下の事項が記載されている。なお、括弧内は、翻訳文を示す。 (1)甲第2号証 ア 明細書の第1欄第7行?第12行 「This invention relates generally to LED light displays, and more particularly to a blinking-light LED device attachable to the shoe of an individual or elsewhere on his person whereby a jogging or other movements which produce changes in velocity cause the LED to be intermittently activated to create strobe light effects.」(本発明は、一般に、LED装置に関し、より詳細には、ストロボ光効果を発揮するように断続的にLEDを作動させる速度変化を生じさせるジョギング等の動きを行う個人用等の靴に取り付けることができる点滅LED装置に関する。) イ 明細書の第2欄第38行?第3欄第36行 「Referring now to FIGS. 1 to 4, there is shown a blinking-light LED device 10 in accordance with the invention, a pair of which are adhered to the outer side of a sports shoe 11 worn by a jogger or other active individual. LED device 10 is formed by a heart-shaped casing molded of synthetic plastic material, such as polyethylene or polypropylene, the casing having a face section 12 and complementary rear section 13. Attached to rear section 13 is a double-faced adhesive tape 14 which makes it possible to adhere the LED device to shoe 11 or to any other suitable surface. Mounted on face section 12 at its center and projecting therefrom is a LED 15. As shown in FIG. 5 which exposes the interior cavity of face section, LED 15 is provided with short leads 15A and 15B, led 15 A having a right-angle bend to define the fixed contact of a make-and-break switch having a movable contact 16. Movable contact 16 is formed by a cantilevered flat metal spring having a weight 17 attached to its free end, weight 17 being in the form of a cylindrical metal post. The other end of movable contact 16 is connected to the positive terminal of a miniature 1.5V battery cell 18 whose negative terminal is connected to the positive terminal of an identical cell 19. Thus cells 18 and 19 are connected in series to provide a 3V D-C power supply for LED 15. The negative terminal of cell 19 is connected through a current-limiting resistor 20 to lead 15B of the LED, thereby completing the circuit. The weighted movable contact 16 of the make-and-break switch is acceleration-sensitive, which is to say that when shoe 11 is worn by a jogger, the foot movement of the jogger give rise to changes in velocity which are sensed by movable contact 16, causing this contact to flex momentarily and engage fixed contact 15A, thereby closing the switch to apply the 3V D-C from the power supply to LED 15. When LED 15 is activated momentarily, it emits a flash of light. And when LED 15 is activated, the current flowing therethrough passes through current-limiting resistor 20 and the resultant voltage drop developed across the resistor abruptly inactivates the LED. Hence each time the switch is closed momentarily as a result of a change in velocity, the LED is briefly activated to produce an intense flash of light, very much in the manner of a strobe flashtube. Thus the LED produce strobe-like effects. The activation of the LED is intermittent and random, for it depends on the varying shoe movement of the jogger. And when attached to shoe 11 are a pair of LED devices 10, because the devices are at different positions on the shoe, they do not blink in synchronism with each other, but at more or less different instants. Thus when a jogger runs at night, while he may generally be difficult to see, and this to a degree depends on the nature and color of the apparel he is wearing, what will be clearly seen are the flashes of light emitted by the LED devices attached to his shoes. The light flashes act as safety signals which make observers in the vicinity of the jogger aware of his presence. The various electrical components are nested within the contoured interior cavity 21 of the face section 12 of the csing, so that assembly of the components is a simple procedure. The rear section 13 of the casing is provided with a complementary interior cavity 22, so that after the electrical components are assembled in the face section 12, one has only to place the rear section over the face section and bond them together.」(図1から4には、本発明のLED装置10が示されている。2つのLED装置10がジョギング等の運動を行う人の運動靴11の外側面に取り付けられている。LED装置10は、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成プラスチック材料で成形されたハート形状のケーシングを備えている。ケーシングは、前方部12と、この前方部12の対応する後方部13とを備えている。運動靴11や他の所望の表面に対してLED装置10を取り付けることができるように、後方部13には両面テープ14が接着されている。LED素子15が、前方部12の中央に突出するように設けられている。 図5には、前方部の内部空間が示されている。LED素子15は、短いリード線15A、15Bを備えている。リード線15Aは、開閉スイッチの固定接点となるように、右側に曲成されている。開閉スイッチは、可動接点16を有している。可動接点16は、片持ちとされた平板金属スプリングとされており、その自由端には錘17が固定されている。錘17は、円柱状の金属ポストとされている。可動接点16の他端は、1.5Vの小型電池18の正端子に接続されている。電池18の負端子は、同種の電池19の正端子に接続されている。このように、電池18、19は直列に接続され、3Vの直流電力をLED素子15に供給するようになっている。電池19の負端子は、電流制限用抵抗20を介してLED素子15のリード線15Bに接続されており、これにより、電気回路が構成される。 開閉スイッチの錘を有する可動接点16は、加速度に応答する。例えばジョギングする人が運動靴11を履いた際に、ジョギングする人の脚の運動が速度変化をもたらし、可動接点16が応答し、固定接点15Aに瞬間的に弾性的に接触する。これにより、スイッチが閉じられて3Vの直流電力が電力源からLED素子15へと供給される。LED素子15が瞬間的に動作されると、フラッシュ光が出射される。 LED素子15が動作されると、電流が電流制限用抵抗20を流れて、抵抗によって得られた電圧降下が突発的なLED素子15の動作を抑制する。 ここで、各時刻において速度変化に応じてスイッチが瞬間的に閉とされ、LED素子は、あたかもストロボの閃光電球のように、強いフラッシュ光を出射するように瞬間的に動作する。この様にして、LED素子は、フラッシュ光のような効果を発揮する。 LED素子の動作は、ジョギングする人の運動靴の動作によって変化するので、間欠的かつランダムである。そして、2つのLED装置10が運動靴11に取り付けられた場合、各LED装置は異なる運動靴の位置に取り付けられるので、互いに同期して発光することがなく、多少の時間差をもって発光する。 このように、夜間にジョギングを行う際には、着ている衣服の性質や色にある程度依存するが、一般には視認することは困難である。しかし、運動靴に取り付けられたLED装置から出射されるフラッシュ光によって明確に視認することができる。フラッシュ光は、近傍にいる人にジョギングする人の存在を気づかせることにより、安全信号として機能する。 種々の電気的構成部品は、ケーシングの前方部12の内部空間21内に収納される。これにより、各電気的構成部品の組立を簡便な作業で行うことができる。ケーシングの後方部13は、対応する内部空間22を有しているので、前方部12内に各電気的構成部品が組付けられた後に、前方部を覆うように後方部を位置させてから互いに接着するだけでよい。) 上記アないしイの摘記事項を、技術常識を勘案しつつ本件考案1ないし4に照らしてして整理すると、甲第2号証には、次の考案(以下「甲2考案」という。)が記載されていると認められる。 「両面テープ14と、 両面テープ14の前面に接着されているLED装置10と、 前記LED装置10のケーシングの前方部12の中央に突出するように設けられているLED素子15とケーシングの前方部12の内部空間21に収納された種々の電気的構成部品、を備え、 前記LED装置10はハート形状のケーシングを備え、 前記LED素子15は、加速度に応答する錘17を有する可動接点16の応答により、フラッシュ光が出射されるものであり、前記LED素子15は小型電池18、19によって電源が供給され、 前記LED素子15はケーシングの前方部12の中央に突出するように設けられている運動靴11等に固定するLED装置。」 (2) 甲第1号証 ア 明細書の第2頁第2行?第4行 「[0004] The present invention relates to systems and methods for securing accessories to clothing. In particular, but not by way of limitation, the present invention relates to systems and methods for securing accessories to shoes with stretchable holes.」(【0004】本発明は、衣類にアクセサリーを固定するためのシステムおよび方法に関する。特に、しかし限定するわけではないが、本発明は、伸縮可能な穴を有する靴にアクセサリーを固定するためのシステムおよび方法に関する。) イ 明細書の第6頁第15行?第8頁第18行 「[0012] Referring now to the drawings, where like or similar elements are designated with identical reference numerals throughout the several views, and referring in particular to FIG. 2A, it illustrates a system 200 for attaching a decorative accessory 205 to clothing in accordance with an illustrative embodiment of the invention. In the illustrative embodiment of FIG. 2A, system 200 attaches decorative accessory 205 to a molded shoe 100 through one of the expandable holes 105. Molded shoe 100 is shown in FIG. 2A for illustrative purposes only. In other embodiments, the shoe may be a type other than a molded shoe. In still other embodiments, system 200 can attach decorative accessory 205 to other articles of clothing, including, without limitation, belts, hats, and scarves with stretchable holes for insertion of a securing portion of system 200. For example, a belt or hat may be made of a foam material. A scarf may be knitted from a stretchable material such as yarn and have holes through which a securing portion of system 200 can be inserted. [0013] FIG. 2B illustrates a system 200 for attaching a decorative accessory 205 to clothing in accordance with an illustrative embodiment of the invention. FIG. 2B shows a side view of system 200. In this illustrative embodiment, system 200 includes a shaft 210, a first shoulder 215 secured to one end of shaft 210, a second shoulder 220 secured to the opposite end of shaft 210, and a third shoulder 225 that is adjacent to second shoulder 220. For reasons that will become apparent, first shoulder 215 may be termed an "inner shoulder," and second and third shoulders (220 and 225) may be termed "outer shoulders." [0014] First shoulder 215 is configured for insertion through an expandable hole in an article of clothing (e.g., an expandable hole 105 in molded shoe 100). Since first shoulder 215 is larger than the expandable hole when the expandable hole is in its unexpanded state, first shoulder secures system 200 to the article of clothing. First shoulder 215 engages the inner surface of the clothing material (e.g., the inner surface of molded shoe 100). Since, when attached to molded shoe 100, first shoulder 215 is close to the wearer's foot, it is advantageous for first shoulder 215 to be a low-profile shoulder for greater comfort. In embodiments in which first shoulder 215 is removably secured to shaft 210, shaft 210 maybe inserted into expandable hole 105, and first shoulder 215 may be placed on the inside of the article of clothing and secured to shaft 210. [0015] Second shoulder 220 engages the article of clothing (e.g., molded shoe 100), but how it engages the article of clothing varies depending on the embodiment, as will be explained more fully in connection with FIGS. 2C and 2D. [0016] In the embodiment shown in FIG. 2B, third shoulder 225 is flush mounted to second shoulder 220. Flush mounting can be accomplished in a variety of ways. In one embodiment, third shoulder 225 is glued to second shoulder 220. In some embodiments, decorative accessory 205 is separate from third shoulder 225 and is attached to third shoulder 225 by a suitable chemical (e.g., glue) or mechanical fastener. In other embodiments, decorative accessory 205 is fully or partially integrated (e.g., molded) with third shoulder 225. In some embodiments, third shoulder 225 and decorative accessory 205 are one and the same. For example, decorative accessory may be a design such as a "smiley face" that is stamped or embossed, optionally in relief, on the exposed surface of third shoulder 225. [0017] Shaft 210, first shoulder 215, second shoulder 220, and third shoulder 225 may vary in their lateral cross-sectional shape, depending on the embodiment. For example, in embodiments in which third shoulder 225 and decorative accessory 205 are one and the same, third shoulder 225 may be in the shape of a frog, butterfly, heart, or any other decorative shape. 」(【0012】ここで図面を参照すると、同じまたは同様の要素は、いくつかの図面を通して一意的な参照番号を用いて指定されている。特に図2Aを参照すると、本発明の例示的な実施形態にしたがう、衣類に装飾的なアクセサリー205を取り付けるためのシステム200が示されている。図2Aの例示的な実施形態において、システム200は、拡張可能な穴105のうちの1つを介することにより、成形された靴100に装飾的なアクセサリー205を取り付けている。成形された靴100は、図2Aでは単なる例示目的で示されている。その他の実施形態において、この靴は、その他のタイプの成形された靴であり得る。さらに他の実施形態において、システム200は、システム200の固定部分の挿入のための伸縮可能な穴を有するベルト、帽子、およびスカーフを含むその他の装着用の物品に、装飾的なアクセサリー205を取り付け得る。例えば、ベルトまたは帽子は、フォーム材料から形成されたものであり得る。スカーフは、伸縮可能な材料(例えば、ヤーン)から編まれたものであり得、システム200の固定部分が挿入され得る穴を有し得る。 【0013】図2Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがう、衣類に装飾的なアクセサリー205を取り付けるためのシステム200を示している。図2Bは、システム200の側面図を示している。この例示的な実施形態において、システム200は、軸210、軸210の1つの端に固定された第1のショルダー215、軸210の反対の端に固定された第2のショルダー220、および第2のショルダー220に隣接している第3のショルダー225を含んでいる。以下で明らかになる理由により、第1のショルダー215は、“内部ショルダー”と称され、第2のショルダー220および第3のショルダー225は、“外部ショルダー”と称される。 【0014】第1のショルダー215は、装着用の物品における拡張可能な穴(例えば、成形された靴100における拡張可能な穴105)を通って挿入するように構成されている。拡張可能な穴が拡張していない状態のときに、第1のショルダー215は、拡張可能な穴よりも大きいので、第1のショルダーは、システム200を装着用の物品に固定し得る。第1のショルダー215は、装着用の物品の内面(例えば、成形された靴100の内面)と係合し得る。整形された靴100に取り付けられたときに、第1のショルダー215は装着者の足に近くなるので、快適性を増大させるためには、第1のショルダー215は、薄型であることが有利である。第1のショルダー215が軸210に取り外し可能なように固定される実施形態において、軸210は、拡張可能な穴105の中に挿入され得、第1のショルダー215は、装着用の物品の内面上に配置され得、軸210に固定され得る。 【0015】第2のショルダー220は、装着用の物品(例えば、成形された靴100)と係合するが、これがどのようにして装着用の物品と係合するのかは、図2Cおよび図2Dに関連して以下でより十分に説明される実施形態に依存して変動する。 【0016】図2Bに示されている実施形態において、第3のショルダー225は、第2のショルダー220に対して平らに搭載されている。平らに搭載することは、様々な方法で達成され得る。一実施形態において、第3のショルダー225は、第2のショルダー220に糊付けされ得る。一部の実施形態において、装飾的なアクセサリー205は、第3のショルダー225とは別個のものであり、適切な化学的なファスナー(例えば、糊)または機械的なファスナーによって、第3のショルダー225に取り付けられる。その他の実施形態において、装飾的なアクセサリー205は、第3のショルダー225とは完全または部分的に一体化(例えば、成形)されている。一部の実施形態において、第3のショルダー225および装飾的なアクセサリー205は、1つの同じものである。例えば、装飾的なアクセサリーは、第3のショルダー225の露出表面上にスタンプまたはエンボス加工、オプションとしてレリーフ加工された、“スマイリーフェース”のようなデザインであり得る。 【0017】軸210、第1のショルダー215、第2のショルダー220、および第3のショルダー225は、実施形態に依存して、その横断面の形状を変動させ得る。例えば、第3のショルダー225および装飾的なアクセサリー205が1つの同じものである場合、第3のショルダー225は、蛙、蝶、ハート、または任意のその他の装飾的な形状であり得る。) ウ 明細書の第12頁第17行?第13頁第10行 「[0030] FIGS. 8A-8D are schematics of a system 800 for securing a decorative accessory 205 to a molded shoe 100 or other article of clothing, in accordance with an illustrative embodiment of the invention. System 800 includes a locking fastener that uses the compressibility of the clothing material (e.g., foam) itself as a spring. FIG. 8 A illustrates, in cross section, a portion of system 800 that includes fixed shoulder 805 and shaft 210. The fixed shoulder 805 could, as the inner shoulder, include a low-profile shoulder to minimize a wearer's discomfort. Alternatively, the fixed shoulder 805 could, as an outer shoulder, be attached to the decorative accessory 205 or be integrated with decorative accessory 205. [0031] In this embodiment, the end 810 of shaft 210 opposite fixed shoulder 805 includes a rectangular flange 815. Rectangular flange 815 is configured to be inserted through a rectangular cutout in a mating receiver. When rectangular flange 815 is rotated (twisted) 90 degrees while the clothing material is slightly compressed, rectangular flange 815 engages a rectangular depression in the receiver. Releasing the pressure on the clothing material acts as a spring to lock flange 815 it into place and to establish the receiver as a second shoulder. FIG. 8B shows another side view of the portion of system 800 shown in FIG. 8A.」(【0030】図8A?図8Dは、本発明の例示的な実施形態にしたがう、成形された靴100またはその他の装着用の物品に装飾的なアクセサリー205を固定するためのシステム800の概略図である。システム800は、ロッキングファスナーを含んでおり、このロッキングファスナーは、装着用の材料(例えば、フォーム)自身の圧縮性をバネとして使用する。図8Aは、固定ショルダー805および軸210を含むシステム800の一部の断面を示している。固定ショルダー805は、内部ショルダーとして、装着者の不快感を最小化するために薄型のショルダーを含み得る。代替的に、固定ショルダー805は、外部ショルダーとして、装飾的なアクセサリー205に取り付けられたり、または装飾的なアクセサリー205と一体的であったりし得る。 【0031】この実施形態において、軸210の端810は、長方形のフランジ815を含む固定ショルダー805と対向する。長方形のフランジ815は、適合する受容部における長方形の切り抜きを通って挿入されるように構成されている。装着用の材料がわずかに圧縮される間に、長方形のフランジ815が90度回転される(捩られる)ときに、長方形のフランジ815は、受容部における長方形の窪みと係合する。装着用の材料上の圧力の解放はバネとして機能し、フランジ815を所定の場所にロックし、受容部を第2のショルダーとして確立させる。図8Bは、図8Aに示されているシステム800の一部の別の側面図を示している。) エ 図面の8A図、8B図を参照すると、軸210の内側は空洞になっているのが見て取れる。 上記アないしウの摘記事項、及びエの認定事項を、技術常識を勘案しつつ本件考案1ないし4に照らしてして整理すると、甲第1号証には、次の考案(以下「甲1考案」という。)が記載されていると認められる。 「システム800と、 前記システム800に取り付けられる装飾的なアクセサリー205と、を備え、 前記システム800は一端に固定ショルダー805を有し、前記システム800は他端に長方形のフランジ815を有し、前記固定ショルダー805とフランジ815との間には軸210を有し、 前記アクセサリー205は前記システム800の固定ショルダー805に取り付けられ、 前記軸210の内側は空洞になっている靴100等に固定するシステム800。」 2.対比・判断 (1) 本件考案1について ア 対比 本件考案1と甲2考案とを対比する。 甲2考案の「両面テープ14」が「取り付け部材」といえるものであることは明らかである。また、甲2考案の「LED装置10」は、ハート形状のケーシングを備えていることから、「モデリングアクセサリー」といえるものであることは明らかである。したがって、甲2考案の「両面テープ14の前面に接着されているLED装置10」は、本件考案1の「取り付け部材の一端に取り付けられているモデリングアクセサリー」に相当する。 甲2考案の「LED素子15とケーシングの前方部12の内部空間21に収納された種々の電気的構成部品」は、本件考案1の「発光装置」に相当する。 甲2考案の「LED装置10」は、ハート形状のケーシングを備えているから、これが「立体に形成され」ているものといえることは明らかである。 甲2考案の「LED素子15」が「発光素子」であることは明らかである。また、甲2考案の「LED素子15は、加速度に応答する錘17を有する可動接点16の応答により、フラッシュ光が出射されるもの」は、本件考案1の「発光装置は震動を受けて発光する発光素子を有」することに相当する。 甲2考案が、「発光装置の発光素子が発光する光を射出する」ものであることは明らかである。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりと認められる。 <一致点1> 「取り付け部材と、 前記取り付け部材の一端に取り付けられるモデリングアクセサリーと、 前記モデリングアクセサリーに設けられる発光装置と、を備え、 前記モデリングアクセサリーは立体に形成され、 前記発光装置は震動を受けて発光する発光素子を有し、前記発光素子は電池によって電源が供給され、 前記発光装置の前記発光素子が発光する光を射出するアクセサリー。」 <相違点1> 取り付け部材に関して、本件考案1では、「取り付け部材は一端に固定部を有し、前記取り付け部材は他端に前記固定部に対応するストッパー部を有し、前記固定部と前記ストッパー部との間には連結部を有し、前記固定部と前記連結部との接続箇所に第一ストッパー面を形成し、前記ストッパー部と前記連結部との接続箇所に第二ストッパー面を形成し、モデリングアクセサリーは前記取り付け部材の前記固定部に固定されて連結」するものであるのに対して、甲2考案は、LED装置10に接着される両面テープ14である点。 <相違点2> 発光装置の構成に関して、本件考案1では、「発光装置はモデリングアクセサリーの内部に設けられるものであって、発光素子は前記モデリングアクセサリーの内部に位置し、前記モデリングアクセサリーは一定の透光性を有する」ものであるのに対して、甲2考案は、LED素子15はケーシングの前方部12の中央に突出するように設けられているものである点。 イ 相違点についての判断 (ア) <相違点1>について 甲1考案は、「システム800と、前記システム800に取り付けられる装飾的なアクセサリー205と、を備え、前記システム800は一端に固定ショルダー805を有し、前記システム800は他端に長方形のフランジ815を有し、前記固定ショルダー805とフランジ815との間には軸210を有し、前記アクセサリー205は前記システム800の固定ショルダー805に取り付けられ、前記軸210の内側は空洞になっている靴100等に固定するシステム800。」である。 ここで、甲1考案の「システム800」、「アクセサリー205」、「固定ショルダー805」、「長方形のフランジ815」、「軸210」は、それぞれ、本件考案1の「取り付け部材」、「モデリングアクセサリー」、「固定部」、「ストッパー部」、「連結部」に相当する。そして、甲1考案において、固定ショルダー805と軸210との接続箇所には第一ストッパー面が形成され、長方形のフランジ815と軸210との接続箇所には第ニストッパー面が形成されていることは明らかであるから、甲1考案は、「取り付け部材は一端に固定部を有し、前記取り付け部材は他端に前記固定部に対応するストッパー部を有し、前記固定部と前記ストッパー部との間には連結部を有し、前記固定部と前記連結部との接続箇所に第一ストッパー面を形成し、前記ストッパー部と前記連結部との接続箇所に第二ストッパー面を形成し、モデリングアクセサリーは前記取り付け部材の前記固定部に固定されて連結」されるものであるといえる。そして、甲1考案も甲2考案も、ともに靴等に固定する装飾具であって、甲1考案の固定構造を甲2考案の固定構造への適用を阻害する要因も格別見当たらないことからすれば、甲2考案において、取り付け部材を、甲2考案における両面テープ14を用いるものに代え、取り付け部材を、一端に固定部を有し、他端に前記固定部に対応するストッパー部を有し、前記固定部と前記ストッパー部との間には連結部を有し、前記固定部と前記連結部との接続箇所に第一ストッパー面を形成し、前記ストッパー部と前記連結部との接続箇所に第二ストッパー面を形成し、LED装置10は前記取り付け部材の前記固定部に固定されて連結されたものとすることは、当業者がきわめて容易になし得たことである。 (イ) <相違点2>について 光を発光する装飾具において、発光素子を透光性を有する部材の内部に設けることは、例えば、特開2001-70014号公報(明細書の段落【0007】及び図3、図4参照。)、特開2004-194775号公報(明細書の段落【0016】及び図1、図2参照。)、実願昭59-7704号(実開昭60-120613号)のマイクロフィルム(明細書第2頁第12行?第19行及び第2図参照。)に記載されているように従来周知の事項であることからすれば、甲2考案においても、発光素子であるLED素子15を透光性を有する部材の内部に位置するものとすることは、当業者がきわめて容易に想到し得た程度の事項である。 (ウ) 本件考案1の効果について 本件考案1の効果についてみても、甲1考案、甲2考案及び周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。 (エ)まとめ したがって、本件考案1は、甲1考案、甲2考案及び周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 (2) 本件考案2について ア 対比 本件考案2は、本件考案1のアクセサリーにおいて、「前記モデリングアクセサリーは、底面を有し、前記底面は前記取り付け部材の前記固定部に固定されて連結し、前記モデリングアクセサリーの内部に設けられた密封空間に前記発光装置を設置し、前記発光装置はさらに回路制御基板を有し、前記回路制御基板上には前記発光素子が設置され、前記発光素子は発光ダイオードであり、前記回路制御基板には前記電池および震動スイッチが設置され、前記電池は前記発光素子に電源を供給し、前記発光素子は前記震動スイッチの作動を受けて発光することを特徴とする」という限定を付すものである。 そこで、本件考案2と甲2考案とを対比すると、後者の「LED素子15」が前者の「発光ダイオード」に相当すること、及び、後者において、小型電池18、19がLED素子15に電源を供給し、LED素子15が震動スイッチに相当する加速度に応答する錘17を有する可動接点16の応答により発光することは明らかであるので、両者は、以下の点で一致し、前記(1)アで示した相違点1ないし相違点2に加え、以下の相違点3で相違する。 <一致点2> 「取り付け部材と、 前記取り付け部材の一端に取り付けられるモデリングアクセサリーと、 前記モデリングアクセサリーに設けられる発光装置と、を備え、 前記モデリングアクセサリーは立体に形成され、 前記発光装置は震動を受けて発光する発光素子を有し、前記発光素子は発光ダイオードであり、前記発光素子は電池によって電源が供給され、前記電池は前記発光素子に電源を供給し、前記発光素子は前記震動スイッチの作動を受けて、前記発光装置の前記発光素子が発光する光を射出するアクセサリー。」 <相違点3> 本件考案2は、「モデリングアクセサリーは、底面を有し、前記底面は取り付け部材の固定部に固定されて連結し、前記モデリングアクセサリーの内部に設けられた密封空間に発光装置を設置し、前記発光装置はさらに回路制御基板を有し、前記回路制御基板上には前記発光素子が設置され、前記回路制御基板には電池および震動スイッチが設置され」るものであるのに対し、甲2考案は、LED素子15、加速度に応答する錘17を有する可動接点16、電池18、19等は有するものの、回路制御基板を有するかどうか不明な点。 イ 相違点についての判断 (ア)<相違点1>、<相違点2>について 相違点1、2についての判断は、上記(1)イ(ア)、(イ)に記載したとおりである。 (イ)<相違点3>について 一般に、制御回路の各制御素子を回路制御基板上に設け、当該基板を密封することは例示するまでもなく従来周知の事項であったことからすれば、甲2考案においても、LED装置10に制御回路基板を密封収納し、当該制御回路基板上にLED素子15、小型電池18、19、錘17を有する可動接点16等を設置することは、当業者がきわめて容易になし得たものである。 (ウ)本件考案2の効果について 本件考案2の効果についてみても、甲1考案、甲2考案及び周知の事項から当業者が十分予測できる範囲内のものであって、顕著なものとはいえない。 (エ)まとめ したがって、本件考案2は、甲1考案、甲2考案及び周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 (3) 本件考案3について ア 対比・判断 本件考案3は、本件考案1のアクセサリーにおいて、「前記発光装置は、前記取り付け部材内に設置され、前記取り付け部材の一端の前記固定部の縁の回りには上方に壁面が延びており、前記壁面内に凹溝が形成され、前記凹溝内には前記発光装置を設置し、前記モデリングアクセサリーの内部にはスペースを有し、前記スペースは開口部を有し、前記取り付け部材の前記固定部における前記壁面が前記開口部によって前記スペース内に嵌め込まれ、前記発光装置の前記発光素子が前記モデリングアクセサリーの内部に位置することを特徴とする」という限定を付すものである。 本件考案3と甲2考案、又は甲1考案とを対比する。 甲2考案は、取り付け部材として両面テープ14を用いるものであって、両面テープであるので、固定部の縁の回りに上方に延びる壁面を想定できない。甲1考案は、取り付け部材を有しているものの、固定部の縁の回りには、上方に延びる壁面が設けられているものではない。ここで、甲1号証における図8A、図8Bには、軸210の内部が中空になっているものが示されているが、この内部の中空部は、収納部として利用されているものではない。 ここで、請求人は、平成23年3月10日付け口頭審理陳述要領書において、「甲第2号証には、電池交換が可能とされる場合、ケーシングの前方部12と後方部13とを嵌合によって着脱自在としてもよいことが開示されている。そして、この甲第2号証記載のケーシングを甲第1号証記載のシステム200の第3のショルダー225に固定すると、甲第1号証記載のシステム200と甲第2号証記載のケーシングの後方部13とが一体化する。この一体化された甲第1号証記載のシステム200及び甲第2号証記載のケーシングの後方部13に対して、甲第2号証記載のケーシングの前方部12が着脱自在となる。そうすると、一体化した甲第1号証記載のシステム200と甲第2号証記載のケーシングの後方部13とが本件考案3の『取り付け部材』に、着脱自在とされた甲第2号証記載のケーシングの前方部12が本件考案3の『モデリングアクセサリー』に、甲第2号証記載のケーシングの後方部13が本件考案3の『固定部』に、それぞれ相当することになる。 そして、甲第2号証の図6から明らかなように、ケーシングの後方部13には内部空間22が形成されており、この内部空間22内に、甲第2号証の図5に示されたLED素子15を含む発光装置が収納されるようになっている。したがって、甲第2号証記載のケーシングの後方部13の内部空間22が本件考案3の『凹溝』に相当し、この内部空間22を形成する周囲壁部が本件考案3の『壁面』に相当する。なお、甲第2号証記載の発光装置は本件考案3の『モデリングアクセサリー』に相当するケーシングの前方部12に固定されているが、発光装置をケーシングの前方部12に固定するか、あるいは後方部13に固定するかは極めて選択的な事項であって、例えば、特開2001-70014号公報、特開2004-194775号公報、実開昭60-120613号公報に開示されているように、発光装置を本体側に設置することが周知であることに鑑みれば、発光装置の固定先を甲第2号証記載のケーシングの前方部12から後方部13に変更することは極めて容易に想到し得る事項である。 また、甲第2号証には、本件考案3のように『前記取り付け部材の前記固定部における前記壁面が前記開口部によって前記スペース内に嵌め込まれ、』という構成が開示されていない。しかし、甲第2号証記載のケーシングの前方部12に開口部を有するスペースを形成してケーシングの後方部13を嵌め込むという構成は、容器の構成としては例を挙げるまでもなく極めて一般的であり、この点に進歩性を肯定的に評価する程の技術的困難性はない。」(第2頁第1行?下から2行目。)旨主張している。 しかしながら、甲2考案は、LED素子15はケーシングの前方部12の中央に突出するように設けられているものであることから、甲2考案においてLED素子15の前方にさらに透明カバーを設けることはともかく、LED素子15を前方の部材であるケーシングの前方部12に代えて、後方部13に配置する構成とすることは、阻害要因があるということができる。しかも、本件考案3では、さらに、「取り付け部材の一端の固定部の縁の回りには上方に壁面が延びており、前記壁面内の凹溝内に発光装置を設置し」と特定していることから、甲2考案において、甲1考案を採用することに加え、請求人が主張するように、この甲第2号証記載のケーシングを甲第1号証記載のシステム200の第3のショルダー225に固定することにより、甲第1号証記載のシステム200と甲第2号証記載のケーシングの後方部13とを一体化し、さらにケーシングの後方部13へ発光装置を設置するように変更することになる。このように、甲1考案を甲2考案を適用することに加え、さらに改良を加えることは、これをきわめて容易になし得たとすることは、にわかには肯定しがたい。 また、甲1考案は、そもそも発光装置が設けられていないものであるから、これを出発点となる考案として、甲2考案を適用しても、本件考案3をきわめて容易になし得たものとすることもできない。 以上のとおりであるから、甲1考案、甲2考案いずれを出発点としても、本件考案3で特定する「取り付け部材の一端の固定部の縁の回りには上方に壁面が延びており、前記壁面内に凹溝が形成され、当該凹溝内に発光装置を設置」するという構造をきわめて容易になし得たものとすることはできない。 そして、本件考案3は、この構造により、「モデリングアクセサリー2Aをまず成形した後、取り付け部材1Aの固定部11Aと発光装置3Aとをモデリングアクセサリー2Aの内部に固定する。この様にすることで、発光装置3Aが高温によって故障しないようにし、製品の歩留りを更に高めることができる。」という、本件実用新案権の明細書の段落【0014】記載の効果を奏するものである。 したがって、本件考案3を、甲1考案、甲2考案及び従来周知の事項から当業者がきわめて容易になし得たとすることはできない。 (4) 本件考案4について ア 対比・判断 本件考案4は、本件考案3のアクセサリーにおいて、「前記取り付け部材の前記固定部の前記凹溝の底部は、前記連結部に向かって窪んで収納室になり、前記凹溝内に前記発光装置の前記発光素子を設置し、前記収納室内に前記発光装置の前記電池を置くことを特徴とする」という限定を付すものである。 しかしながら、上記(3)で前記したとおり、本件考案3が甲1考案、甲2考案及び従来周知の事項から当業者がきわめて容易になし得たものとすることができない以上、本件考案3を引用する本件考案4を、甲1考案、甲2考案及び従来周知の事項から当業者がきわめて容易になし得たとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおり、本件考案1ないし本件考案2は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるので、本件考案1ないし本件考案2についての実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号の規定に該当するので、無効とすべきものである。 また、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件考案3ないし本件考案4を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第64条の規定により、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-04-01 |
出願番号 | 実願2008-4195(U2008-4195) |
審決分類 |
U
1
114・
121-
ZC
(A44C)
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最終処分 | 一部成立 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 長屋 陽二郎 |
登録日 | 2008-08-13 |
登録番号 | 実用新案登録第3144557号(U3144557) |
考案の名称 | アクセサリー |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | 伊藤 寛之 |
代理人 | SK特許業務法人 |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | 藤田 考晴 |
代理人 | 伊藤 寛之 |
代理人 | 伊藤 寛之 |
代理人 | SK特許業務法人 |
代理人 | SK特許業務法人 |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | 上田 邦生 |