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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) A61N |
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管理番号 | 1320236 |
判定請求番号 | 判定2015-600035 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案判定公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2015-11-06 |
確定日 | 2016-10-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3158303号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「電子低周波パルス粘着パッド」は、登録第3158303号実用新案の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件判定は、平成27年11月6日付けで判定請求がされ、平成28年1月28日付けで被請求人から答弁書が提出され、当審において平成28年3月2日付けで審尋がされ、平成28年4月1日付けで請求人から回答書が提出され、さらに平成28年6月24日付けで被請求人から答弁書が提出されたものである。 第2 請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、甲第1号証のイ号図面ならびにその説明書に示す電子低周波パルス粘着パッド(以下「イ号装置」という。)は、実用新案第3158303号として登録された登録実用新案の技術的範囲に属しない、との判定を求めたものである。 第3 本件登録実用新案 実用新案第3158303号として登録された本件登録実用新案は、請求項1ないし請求項6を備えているが、判定請求人は、判定請求書において、本件登録実用新案の説明として実用新案登録第3158303号の請求項1に係る考案のみを挙げ、これのみとイ号図面及びその説明書に示すイ号装置とを対比して、本件登録実用新案の技術範囲に属しないと主張していることから、以下、「第5」にかけて、まず実用新案登録第3158303号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)を対象として検討し、その後、「第6」において、その余の請求項に係る考案を検討する。 本件考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであって、その構成、目的及び効果は、以下のとおりである。 1.本件考案の構成 本件考案を請求人による分説に基づいて記載すると、以下のとおりである。 「【請求項1】 A)1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッドであって、 B)その内部に収納スペースを有する軟質の上蓋本体と、 C)前記収納スペース内に配置され、その上方に第1カンチレバー弾性押圧側と第2カンチレバー弾性押圧側が配置され、且つ、前記第1カンチレバー弾性押圧側と前記第2カンチレバー弾性押圧側がいずれも前記軟質の上蓋本体の内側表面と結合する中空支持筐体と、 D)前記中空支持筐体内に配置され、その上に少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側、及び、第1制御側と第2制御側が配置され、前記第1制御側と前記第2制御側がそれぞれ前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側と結合し、前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側のトリガ回数によって前記少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、及び、前記少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側の出力パルスを調整する制御回路ユニットと、 E)前記制御回路ユニットの作動時に必要な電力を供給するため、前記制御回路ユニットと電気的に結合される電源供給ユニットと、 F)前記中空支持筐体の底部に連結し、前記制御回路ユニットと前記電源供給ユニットを前記中空支持筐体内に固定され、且つその上に前記少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側と電気的に結合する少なくとも1つの第1導電側、及び、前記少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側と電気的に結合する少なくとも1つの第2導電側が配置された台座、及び、 G)前記軟質の上蓋本体の底部と一体として連結し、その中央に開口部が配置され、前記開口部の周縁に前記少なくとも1つの第1導電側と電気的に接続する少なくとも1つの第1導電接触凸片、及び、前記少なくとも1つの第2導電側と電気的に接続する少なくとも1つの第2導電接触凸片が配置され、且つ、その裏面に前記少なくとも1つの第1導電接触凸片と電気的に接続する第1低周波パルスの出力エリア、及び、前記少なくとも1つの第2導電接触凸片と電気的に接続する第2低周波パルスの出力エリアが配置される結合用出力伝送軟質膜と、を含むこと H)を特徴とする1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッド。」 2.本件考案の目的及び作用効果 明細書の記載によれば、本件考案は、製造コストが増えないという前提のもと、無線携帯型低周波冶療器を携行使用に便利で、使用寿命の長いものとすることを目的としたものである(段落【0003】?【0004】参照。)。 そして、本件考案は、「電源と正負両極性の電流パルス出力を発生できる回路を配置内蔵し、機器本体と結合用伝導粘着パッドがフラットケーブルの使用と留め具を付加する必要がない状態で、外観と連結して1枚式シームレス、防水の構造を形成し、低周波パルス出力を発生する自己粘着の粘着パッド装置である1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッドを提供する。」という効果を有する(段落【0006】参照。)。 第4 イ号物件 イ号物件は、判定請求書に添付された甲第1号証に記載された「イ号図面」及び「説明書」が示すイ号装置である。 第5 当審の判断 1.イ号について (1)判定請求書及び甲1号証の記載事項 判定請求書の第4頁「(4)イ号の説明」には、 「イ号は、次のa?hに分説するとおりの構成を具備するものである。 a.1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッドであって、 b.その内部に収納スペースを有する軟質の上蓋本体と、 c.前記収納スペース内に配置され、その上方に第1カンチレバー弾性押圧側と第2カンチレバー弾性押圧側が配置され、且つ、前記第1カンチレバー弾性押圧側と前記第2カンチレバー弾性押圧側がいずれも前記軟質の上蓋本体の内側表面と結合する中空支持筐体と、 d.前記中空支持筐体内に配置され、その上に少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側、及び、第1制御側と第2制御側が配置され、前記第1制御側と前記第2制御側がそれぞれ前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側と結合し、前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側のトリガ回数によって前記少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、及び、前記少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側の出力パルスを調整する制御回路ユニットと、 e.前記制御回路ユニットの作動時に必要な電力を供給するため、前記制御回路ユニットと電気的に結合される電源供給ユニットと、 f.前記中空支持筐体の底部に連結し、前記制御回路ユニットと前記電源供給ユニットを前記中空支持筐体内に固定され、導電性を有する部分のない台座、及び、 g.前記軟質の上蓋本体の底部と一体として連結し、その中央に開口部が配置され、前記開口部の周縁に通電ケーブルを介して前記第1低周波パルスの出力側と電気的に接続し、及び、通電ケーブルを介して前記第2低周波パルスの出力側と電気的に接続する結合用出力伝送軟質膜と、を含むこと h.を特徴とする1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッド。」と記載されている。 また、甲第1号証のイ号図面には、イ号装置の全体構成を分解した図が記載されており、その説明書には「図面は、本件登録実用新案の図2に合わせ、部材に分解して斜視したものである。」、「図面において、部品の名称を、本件登録実用新案の明細書に合わせて示した。」、「台座は、導電性を有する部分がない。」と記載されている。 (2)甲3号証及び回答書の記載事項 平成28年3月2日付け審尋に対して提出された平成28年4月1日付け回答書には、イ号図面ならびにその説明書の説明を補足するとして、甲第3号証が添付されている。 (i)前記回答書には、「イ号図面(1)は、判定請求書に添付したものである。」(第2頁第1行)と記載されている。 (ii)甲第3号証のイ号図面(5)には、結合用出力伝送軟質膜と接続電極が接する箇所の断面を拡大した図が記載されている。 (iii)甲第3号証のイ号図面(2)には、制御回路ユニットの拡大図が記載され、回答書には「制御回路ユニットには、2の接続電極が設けられている。図は上方から見た図である。電源ON/OFFスイッチ及び出力電圧UP、DOWNのスイッチが設けられている。これらのスイッチは、中空支持筺体に設けられたカンチレバー弾性押圧側(イ号図面(1)で上蓋本体のマークと同様の形状に見えるもの(ただし、実装としてはいかなる形状でもよい))を介して押圧され、出力電圧を変化させ、電源をON/OFFさせる。」(第2頁第2?8行)と記載されている。 (iv)甲第3号証のイ号図面(3)には、制御回路ユニットを下方から見た図が、また、イ号図面(4)には、中空支持筺体、制御回路ユニット、通電ケーブルを組み立てた状態の構造を下方から見た図が記載され、回答書には「制御回路ユニットには、電源供給ユニットの正極接触端及び通電ケーブル接触端(負極接触端)が下方に設けられている。」(第2頁第9?11行)、「電源供給ユニット(ボタン型電池)の正極接触端及び通電ケーブル接触端が設けられている。電源供給ユニットの正極の端部に電源供給ユニットの正極接触端が接し、負極に通電ケーブルの一端が接し他端が通電ケーブル接触端に接する、電源供給ユニットの正極接触端及び通電ケーブル接触端との間に電源供給ユニットの電圧に基づく電位差が生じ、制御回路ユニットに送電可能である。」(第2頁第13?18行)と記載されている。 (v)甲第3号証のイ号図面(5)には、結合用出力伝送軟質膜と接続電極が接する箇所の断面を拡大した図が記載され、回答書には「制御回路ユニットは、制御結果の電力を接続電極に供給する。2の接続電極は、制御回路ユニットの外側に突出し、中空支持筺体の内側面にバネ作用により押しつけられている。」(第2頁第18?20行)、「中空支持筺体は結合用出力伝送軟質膜中央の開口部を貫通して結合用出力伝送軟質膜の上方に配される。接続電極が中空支持筺体の内側の面にバネ作用により押しつけられて接触している。結合用出力伝送軟質膜の凸部が中空支持筺体と台座との間を通って、接続電極と中空支持筺体の内側の面との間にあり、制御回路ユニットに取り付けられた接続電極に圧着される。図に示すとおり、台座は接続電極に接していない。すなわち、台座は、中空支持筺体を固定するものであり、電気信号の導通がない。」(第2頁第22行?第3頁第2行)と記載されている。 (3)認定事項 上記(2)(i)より、甲第3号証のイ号図面(1)は甲第1号証のイ号図面と同じであると認定でき、甲第3号証のイ号図面(2)?(5)は、その詳細を示したものと認定できる。なお、イ号図面(1)はイ号図面と同じであること、甲第3号証のイ号図面(2)?(5)は、その詳細を示したものであることに当事者間で争いがない。 i)構成a.について、 請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているとおり、イ号装置は、「1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッド」であると認める。 なお、イ号装置がa.の構成を備えることについて判定請求書において具体的な説明がされていないが、当事者間で争いがない。 ii)構成b.について、 上記(2)(ii)より、上蓋本体内部に中空支持筺体が収納されるスペースがあるとみてとれることから、請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているとおり、イ号装置は、「その内部に収納スペースを有する軟質の上蓋本体」を有すると認める。 なお、イ号装置がb.の構成を備えることについて判定請求書において具体的な説明がされていないが、当事者間で争いがない。 iii)構成c.について、 上記(2)(iii)より、請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているとおり、イ号装置は、「前記収納スペース内に配置され、その上方に第1カンチレバー弾性押圧側と第2カンチレバー弾性押圧側が配置され、且つ、前記第1カンチレバー弾性押圧側と前記第2カンチレバー弾性押圧側がいずれも前記軟質の上蓋本体の内側表面と結合する中空支持筐体」を有すると認める。 なお、イ号装置が以上のc.の構成を備えることについて判定請求書において具体的な説明がされていないが、当事者間で争いがない。 iv)構成d.について、 上記(2)(iii)より、請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているとおり、イ号装置は、「前記中空支持筐体内に配置され、その上に少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側、及び、第1制御側と第2制御側が配置され、前記第1制御側と前記第2制御側がそれぞれ前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側と結合し、前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側のトリガ回数によって前記少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、及び、前記少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側の出力パルスを調整する制御回路ユニット」を有すると認める。 なお、イ号装置が以上のd.の構成を備えることについて判定請求書において具体的な説明がされていないが、当事者間で争いがない。 v)構成e.について、 上記(2)(iv)より、請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているとおり、イ号装置は、「前記制御回路ユニットの作動時に必要な電力を供給するため、前記制御回路ユニットと電気的に結合される電源供給ユニット」を有すると認める。 vi)構成f.について、 上記(2)(v)より、台座が中空支持筺体の底部に連結していることがみてとれることから、請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているとおり、イ号装置は、「前記中空支持筐体の底部に連結し、前記制御回路ユニットと前記電源供給ユニットを前記中空支持筐体内に固定され、導電性を有する部分のない台座」を有すると認める。 vii)構成g.について、 上記(2)(v)及び当審の通知した審尋項目(3)に対して前記回答書で「結合用出力伝送軟質膜の凸部は、「導電接触凸片」に相当する。」(第3頁下から3行目)と回答していることより、イ号装置の制御回路ユニットに設けられた2つの接続電極が、結合用出力伝送軟質膜の第1導電接触凸片及び第2導電接触凸片に通電していると認める。請求人が上記(1)の「イ号の説明」で説明しているg.とは異なるが、上記(2)(v)の記載及び甲第3号証からは、このように認められる。 さらに、電子低周波パルス粘着パッドが出力する低周波パルスを人体に伝える部分には、人体と電気的に結合し、低周波パルスを出力するエリアを設ける必要があることは自明であること、イ号図面(1)?(4)を考慮すると、イ号装置は、「前記軟質の上蓋本体の底部と一体として連結し、その中央に開口部が配置され、前記開口部の周縁に、制御回路ユニットに設けられた第1接続電極と電気的に接続する第1導電接触凸片、及び、制御回路ユニットに設けられた第2接続電極と電気的に接続する第2導電接触凸片が配置され、且つ、その裏面に前記第1導電接触凸片と電気的に接続する第1低周波パルスの出力エリア、及び、前記第2導電接触凸片と電気的に接続する第2低周波パルスの出力エリアが配置される結合用出力伝送軟質膜」を有すると認める。 2.イ号装置の特定 イ号装置は、上記1.(3)の認定事項を整理し、本件考案の分説と対応するように符号を付して、分説すると、次のとおりのものと認める。 a)1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッドであって、 b)その内部に収納スペースを有する軟質の上蓋本体と、 c)前記収納スペース内に配置され、その上方に第1カンチレバー弾性押圧側と第2カンチレバー弾性押圧側が配置され、且つ、前記第1カンチレバー弾性押圧側と前記第2カンチレバー弾性押圧側がいずれも前記軟質の上蓋本体の内側表面と結合する中空支持筐体と、 d)前記中空支持筐体内に配置され、その上に少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側、及び、第1制御側と第2制御側が配置され、前記第1制御側と前記第2制御側がそれぞれ前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側と結合し、前記第1カンチレバー弾性押圧側、及び、前記第2カンチレバー弾性押圧側のトリガ回数によって前記少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側、及び、前記少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側の出力パルスを調整する制御回路ユニットと、 e)前記制御回路ユニットの作動時に必要な電力を供給するため、前記制御回路ユニットと電気的に結合される電源供給ユニットと、 f)前記中空支持筐体の底部に連結し、前記制御回路ユニットと前記電源供給ユニットを前記中空支持筐体内に固定され、導電性を有する部分のない台座、及び、 g)前記軟質の上蓋本体の底部と一体として連結し、その中央に開口部が配置され、前記開口部の周縁に、制御回路ユニットに設けられた第1接続電極と電気的に接続する第1導電接触凸片、及び、制御回路ユニットに設けられた第2接続電極と電気的に接続する第2導電接触凸片が配置され、且つ、その裏面に前記第1導電接触凸片と電気的に接続する第1低周波パルスの出力エリア、及び、前記第2導電接触凸片と電気的に接続する第2低周波パルスの出力エリアが配置される結合用出力伝送軟質膜と、を含むこと h)を特徴とする1枚式構造の電子低周波パルス粘着パッド。 (下線は当審で付与。) 3.本件考案とイ号装置との対比・判断 (1)構成要件(A)?(E)、(H)について 本件考案とイ号装置とを対比すると、請求人はイ号装置の構成(a)?(e),(h)は、本件考案の構成要件(A)?(E),(H)を充足する旨主張し、被請求人も特段の反論を主張していない。 (2)構成要件(F)について イ号装置の構成(f)は、本件考案の構成要件(F)の「前記中空支持筐体の底部に連結し、前記制御回路ユニットと前記電源供給ユニットを前記中空支持筐体内に固定された台座」を充足するものの、当該「台座」が「前記少なくとも1つの第1低周波パルスの出力側と電気的に結合する少なくとも1つの第1導電側、及び、前記少なくとも1つの第2低周波パルスの出力側と電気的に結合する少なくとも1つの第2導電側が配置された」ものである点を充足しない。 (3)構成要件(G)について イ号装置の構成(g)は、本件考案の構成要件(G)の「前記軟質の上蓋本体の底部と一体として連結し、その中央に開口部が配置され、且つ、その裏面に前記少なくとも1つの第1導電接触凸片と電気的に接続する第1低周波パルスの出力エリア、及び、前記少なくとも1つの第2導電接触凸片と電気的に接続する第2低周波パルスの出力エリアが配置される結合用出力伝送軟質膜と、を含むこと」を充足するものの、当該「結合用出力伝送軟質膜」が「前記開口部の周縁に前記少なくとも1つの第1導電側と電気的に接続する少なくとも1つの第1導電接触凸片、及び、前記少なくとも1つの第2導電側と電気的に接続する少なくとも1つの第2導電接触凸片が配置され」るものである点を充足しない。 したがって、イ号装置は本件考案の構成要件を充足しない。 なお、被請求人は平成28年6月24日付け答弁書で、「台座そのものに「第1導電側(端子)」「第2導電側(端子)」が存在しなくても、それを「制御回路ユニット」に移し替えただけであって、実質の機能はまったく同一だからである。」、「…そしてイ号の「接続電極」は、本件登録実用新案の「台座」の「導電側(端子)」と「制御回路ユニット」の「低周波パルスの出力側(端子)」との組み合わせに等しいものである、ということができる。」、「上記の図面で明らかなように、イ号の台座に存在しないとする「第1導電側」「第2導電側」は、実質的に本件登録実用新案の「台座」の「導電側(端子)」と「制御回路ユニット」の「低周波パルスの出力側(端子)との組み合わせに等しいものであって、イ号図面ならびにその説明に示す装置は本件登録実用新案の技術範囲に属するものである。」(第2?4頁「[2]回答書の誤解」、「[3]比較」、「[4]実質的に同一」)と主張するが、イ号の「接続電極」が本件登録実用新案の「導電側(端子)」と「低周波パルスの出力側(端子)」の組み合わせと同様な機能を有するとしても、相違する構成を有するものである。 したがって、当該主張は採用しない。 第6 請求項2?6について 本件登録実用新案の請求項2?6に係る考案について検討すると、請求項2?6に係る考案は、請求項2?6が請求項1を引用するものであるから、上記「第5」「3.」の検討と同様にイ号装置は請求項2?6に係る考案の構成要件を充足しない。 よって、イ号装置は請求項2?6に係る考案に属しない。 第7 むすび したがって、イ号装置は、本件考案の技術的範囲に属しないものと認められる。 よって結論のとおり判定する。 |
判定日 | 2016-10-03 |
出願番号 | 実願2010-129(U2010-129) |
審決分類 |
U
1
2・
1-
ZA
(A61N)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 真徳 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 関谷 一夫 |
登録日 | 2010-03-03 |
登録番号 | 実用新案登録第3158303号(U3158303) |
考案の名称 | 電子低周波パルス粘着パッド |
代理人 | 金子 宏 |
代理人 | 山口 朔生 |