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審決分類 |
審判 B23D |
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管理番号 | 1396344 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2022-09-16 |
確定日 | 2023-02-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3201190号実用新案「回転切断刃」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 実用新案登録第3201190号の請求項1〜5に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件実用新案登録第3201190号の請求項1〜5に係る考案(以下「本件考案1〜5」という。)についての出願は、平成27年9月14日に実用新案登録出願され、平成27年11月4日にその実用新案登録の設定登録がなされたものである。 その後、令和4年9月16日付け(受付日:令和4年9月20日)にて、小野ブレード株式会社(以下「請求人」という。)より本件実用新案登録に対して実用新案登録無効審判が請求され、その審判請求書の副本を実用新案権者・山真製鋸株式会社(以下「被請求人」という。)へ令和4年10月12日付け(発送日:令和4年10月17日、送達日:令和4年10月18日)にて送付するとともに、期間を副本発送の日から30日と指定して答弁書の提出の機会を与えたが、指定期間内に被請求人から応答がなかった。 第2 本件考案 本件考案1〜5は、実用新案登録請求の範囲の請求項1〜5に記載された次のとおりのものであると認める。 【請求項1】 円板状の台金と、前記台金の外周に刃体を備えた回転切断刃であって、 前記台金は二枚の重ね合わされた金属板が接着剤を介して接合された複層構造になっていることを特徴とする回転切断刃。 【請求項2】 請求項1に記載した回転切断刃において、台金及び刃体は二枚の重ね合わされた金属板が接着剤を介して接合された複層構造になっていることを特徴とする回転切断刃。 【請求項3】 請求項1または2に記載した回転切断刃において、重ね合わされた金属板どうしがさらにかしめ接合されていることを特徴とする回転切断刃。 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載した回転切断刃において、台金の外周に径方向外方に突出した複数の刃体を備えていることを特徴とする回転切断刃。 【請求項5】 請求項4に記載した回転切断刃であって、刃体の回転方向前方にチップが接合されていることを特徴とする回転切断刃。 第3 請求人の主張及び提出した証拠 1 請求人の請求の趣旨 登録第3201190号実用新案の実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至請求項5に係る考案についての実用新案登録を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 無効理由 請求人が審判請求書にて主張する無効理由は、以下のとおりである。 (1)無効理由1 本件考案1〜5は、甲第1号証に記載された考案であり、実用新案法第3条第1項第1号あるいは第3号の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効にすべきである。 (2)無効理由2 本件考案1〜5は、甲第1号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、同法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものでもあるから、その実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効にすべきである。 3 請求人が提出した証拠 請求人は、審判請求書とともに以下の甲第1号証を提出した。 甲第1号証 特開2009−101488号公報 第4 当審の判断 1 甲第1号証の記載事項 (1)甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 円板状の台金と、前記台金の外周に刃体を備えた回転切断刃であって、 前記台金は二枚の重ね合わされた金属板が弾性の有る接着剤を介して接合された複層構造になっていることを特徴とする回転切断刃。」 イ 「【請求項2】 請求項1に記載した回転切断刃において、台金及び刃体は二枚の重ね合わされた金属板が接着剤を介して接合された複層構造になっていることを特徴とする回転切断刃。」 ウ 「【請求項3】 請求項1または2に記載した回転切断刃において、重ね合わされた金属板どうしがさらにかしめ接合されていることを特徴とする回転切断刃。」 エ 「【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載した回転切断刃において、台金の外周に径方向外方に突出した複数の刃体を備えていることを特徴とする回転切断刃。」 オ 「【請求項5】 請求項4に記載した回転切断刃であって、刃体の回転方向前方にチップが接合されていることを特徴とする回転切断刃。」 (2)引用考案1及び甲第1号証記載の技術的事項2〜5 ア 上記(1)アから、甲第1号証には、以下の考案(以下、「引用考案1」という。)が記載されているといえる。 「円板状の台金と、前記台金の外周に刃体を備えた回転切断刃であって、 前記台金は二枚の重ね合わされた金属板が弾性の有る接着剤を介して接合された複層構造になっている回転切断刃。」 また、上記(1)イ〜オから、甲第1号証には、引用考案1に加え、以下の技術的事項もそれぞれ記載されているといえる。 イ 「回転切断刃において、台金及び刃体は二枚の重ね合わされた金属板が接着剤を介して接合された複層構造になっていること。」(以下「甲第1号証記載の技術的事項2」という。) ウ 「回転切断刃において、重ね合わされた金属板どうしがさらにかしめ接合されていること。」(以下「甲第1号証記載の技術的事項3」という。) エ 「回転切断刃において、台金の外周に径方向外方に突出した複数の刃体を備えていること。」(以下「甲第1号証記載の技術的事項4」という。) オ 「回転切断刃であって、刃体の回転方向前方にチップが接合されていること。」(以下「甲第1号証記載の技術的事項5」という。) 2 対比・判断 (1)本件考案1について 本件考案1と引用考案1とを対比すると、両者は、 「円板状の台金と、前記台金の外周に刃体を備えた回転切断刃であって、 前記台金は二枚の重ね合わされた金属板が接合された複層構造になっている回転切断刃。」 である点で一致し、以下の<相違点>で一応相違する。 <相違点> 本件考案1においては、「台金」は「二枚の重ね合わされた金属板が接着剤を介して接合された複層構造」であるのに対し、 引用考案1においては、「台金」は「二枚の重ね合わされた金属板が弾性の有る接着剤を介して接合された複層構造」である点。 上記相違点について検討する。引用考案1における「接着剤」は弾性を有するという性状の特定があるものの、本件考案1の「接着剤」の技術的範囲に含まれるものであるから、実質的に相違点であるとはいえない。 したがって、本件考案1は引用考案1であるから、本件考案1は実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。 (2)本件考案2について 甲第1号証には、引用考案1に加え、上記1(2)イの甲第1号証記載の技術的事項2も記載されている(以下、引用考案1と甲第1号証記載の技術的事項2とを合わせたものを、「引用考案2」という。)。 本件考案2と引用考案2とを対比すると、両者は上記(1)の<相違点>で一応相違し、その余の点で一致する。 そして、上記(1)のとおり、上記<相違点>は実質的に相違点であるとはいえない。 したがって、本件考案2は引用考案2であるから、本件考案2は実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。 (3)本件考案3について 甲第1号証には、引用考案2に加え、上記1(2)ウの甲第1号証記載の技術的事項3も記載されている(以下、引用考案2と甲第1号証記載の技術的事項3とを合わせたものを、「引用考案3」という。)。 本件考案3と引用考案3とを対比すると、両者は上記(1)の<相違点>で一応相違し、その余の点で一致する。 そして、上記(1)のとおり、上記<相違点>は実質的に相違点であるとはいえない。 したがって、本件考案3は引用考案3であるから、本件考案3は実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。 (4)本件考案4について 甲第1号証には、引用考案3に加え、上記1(2)エの甲第1号証記載の技術的事項4も記載されている(以下、引用考案3と甲第1号証記載の技術的事項4とを合わせたものを、「引用考案4」という。)。 本件考案4と引用考案4とを対比すると、両者は上記(1)の<相違点>で一応相違し、その余の点で一致する。 そして、上記(1)のとおり、上記<相違点>は実質的に相違点であるとはいえない。 したがって、本件考案4は引用考案4であるから、本件考案4は実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。 (5)本件考案5について 甲第1号証には、引用考案4に加え、上記1(2)オの甲第1号証記載の技術的事項5も記載されている(以下、引用考案4と甲第1号証記載の技術的事項5とを合わせたものを、「引用考案5」という。)。 本件考案5と引用考案5とを対比すると、両者は上記(1)の<相違点>で一応相違し、その余の点で一致する。 そして、上記(1)のとおり、上記<相違点>は実質的に相違点であるとはいえない。 したがって、本件考案5は引用考案5であるから、本件考案5は実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件考案1〜5は甲第1号証に記載された考案であり、実用新案法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その他の無効理由を検討するまでもなく、本件実用新案登録は同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、実用新案法第41条が準用する特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-12-21 |
結審通知日 | 2022-12-23 |
審決日 | 2023-01-17 |
出願番号 | U2015-004668 |
審決分類 |
U
1
114・
113-
Z
(B23D)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
鈴木 貴雄 |
特許庁審判官 |
見目 省二 奥隅 隆 |
登録日 | 2015-11-04 |
登録番号 | 3201190 |
考案の名称 | 回転切断刃 |
代理人 | 吉川 晃司 |
代理人 | 森定 勇二 |
代理人 | 吉川 明子 |