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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1001289
審判番号 審判1998-4040  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-03-18 
確定日 1999-08-18 
事件の表示 平成3年実用新案登録願第81772号「多面取り基板」拒絶査定に対する審判事件(平成7年10月18日出願公告、実公平7-45975)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 .(手続の経緯と本願の考案)
本願は、平成3年9月12日の出願であって、その請求項に係る考案は、出願公告後の平成10年4月17日付で補正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「多面取り基板にプリント配線基板を多面取りし、各プリント配線基板の4辺に沿ってスリット孔を穿設し、該スリット孔の端部に該スリット孔の幅よりプリント配線基板の内側に膨出する突部を形成し、隣接するスリット孔の突部に相対峙させ突部間にプリント配線基板の外郭線より内側にブリッジ部を形成すると共に前記突部がブリッジ切断用のノッチを形成する様にしたことを特徴とする多面取り基板。」 (以下、「本願考案」という)
2.(引用例の記載事項)
これに対し、原査定の理由となった実用新案登録異議の決定の理由で引用された、いずれも本願出願前に頒布された刊行物は次のとおりである。
実願昭61-15923号(実開昭62-128663号)のマイクロフィルム(以下、「第1引用例」という)
特開昭53-149672号公報(以下、「第2引用例」という)
上記第1引用例には、「プリント基板(1)を型枠取りし、分割使用するプリント板(41、42)の分割用の溝枠(2)」に関して、「該溝枠(2)の不連続部(3)では少なくとも該溝枠(2)による周辺で形作るプリント板(41、42)内方への切込(10)を形成」し、当該内方への切込により、溝枠に沿ってプリント基板を分割したときに、不連続部の割辺が外方に突出しないようにすることと、その実施例として、不連続部を内方へ折り曲げた「く」字型(11)としたものが記載されている。(第3頁第15行?第4頁第8行、第4頁第15?18行、第1及び第3図参照)
また、第2引用例には、「一枚の大面積プリント基板にスリットを設け、このスリット部分から分割して所要の大きさの複数枚のプリント基板として使用するもの」の分割手段に関して、従来から「手あるいは工具」によって分割されてきた旨が記載されている。(第1頁左下欄第4?7行、同欄第18行?同頁右下欄第3行参照)
3.(考案の対比)
本願考案と、第1引用例に記載された考案とを対比すると、第1引用例記載の「プリント基板」は本願考案の「多面取り基板」に、以下同様に、「プリント板」は「プリント配線基板」に、「溝枠」は「スリット孔」に、「不連続部」は「ブリッジ部」にそれぞれ相当するものであり、また、第1引用例記載の「溝枠による周辺」によって、プリント板の「外郭線」が形成され、同じく溝枠端部において、「く」字型の部分は、本願考案の突部と同様に「プリント板の内側」に向かって設けられた「突部」とみることができる。
したがって、本願考案と第1引用例記載の考案との一致点と相違点とは、次のとおりである。
[一致点]
「多面取り基板にプリント配線基板を多面取りし、各プリント配線基板の4辺に沿ってスリット孔を穿設し、該スリット孔の端部にプリント配線基板の内側に向かう突部を形成し、隣接するスリット孔の突部に相対峙させ突部間にプリント配線基板の外郭線より内側にブリッジ部を形成」した点。
[相違点]
突部の形状に関して、本願考案では、「スリット孔の幅よりプリント配線基板の内側に膨出」して「ブリッジ切断用のノッチを形成する」ものであるのに対し、第1引用例には、かかるノッチに関する言及がない点。
4.(相違点の判断)
上記相違点について検討すると、第2引用例にも示されているように、多面取り基板からのプリント配線基板の分割手段としては、手による折り取りと共に、ニッパ等の工具類を用いる分割手段も必要に応じて適宜採用されているところである。(なお、上記第2引用例には、「工具」と記載されているのみで、ニッパを明示しているわけではないが、例えば特開昭54-66470号公報や実願昭57-148815号(実開昭59-54965号)のマイクロフィルム等にも示されているように、かかる切断用工具の代表的なものとしては、一般にニッパが採用されている。)そして、かかる切断用の工具を使用する場合においては、被切断部近傍に工具の使用を容易にするための空隙部を設けておくことは常套手段であり、かかる空隙部として、第1引用例記載の「く」字型部先端を「スリット孔の幅より」膨出させて、本願考案と同様のものとすることは、当業者であれば極めて容易に想到しうる程度の設計事項といえる。
5.むすび
以上のとおり、本願考案については、第1及び第2引用例記載の考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-05-25 
結審通知日 1999-06-08 
審決日 1999-06-30 
出願番号 実願平3-81772 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 市川 裕司加藤 友也  
特許庁審判長 浜 勇
特許庁審判官 神崎 潔
清水 英雄
考案の名称 多面取り基板  
代理人 三好 祥二  

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