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審決分類 審判 全部申し立て   G06F
管理番号 1053462
異議申立番号 異議2000-74678  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2002-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-12-26 
確定日 2002-01-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第2605190号「コネクタ」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2605190号の請求項1、2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 【1】手続きの経緯
本件実用新案登録第2605190号考案に係る出願は、平成5年7月21日に出願され、その考案は平成12年4月21日にその請求項1、2に係る考案について設定登録がなされ、平成12年6月26日に実用新案登録公報が発行され、その考案(全請求項 1、2)について平成12年12月26日付で実用新案異議申立人南野紀世美から実用新案登録異議の申立てがなされ、その全請求項について平成13年4月20日付の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年7月9日に異議意見書とともに訂正請求がなされ、この訂正請求について平成13年7月30日付の訂正拒絶理由通知がなされ、これに対して実用新案権者からは何らの応答もなかったものである。
【2】訂正の適否についての判断
1、訂正の要旨
本件訂正の要旨は、訂正請求書に記載された訂正事項aのとおりであって、その訂正事項は、請求項1、2に係わる考案について、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする、というものである。
2、検討
訂正事項aの訂正内容は、訂正前の請求項1、2に係わる考案を次のように限定するものである。
(イ)、コネクタがソケットとプラグからなり、プラグがソケットに挿入されること。
(ロ)、ソケットが単一のアクチュエータ又は単一の検出手段に接続されること。
(ハ)、プラグがコントローラに接続され、プラグ内にコネクタ番号設定手段、判定手段、データ送出手段を備えること。
しかしながら、訂正により、アクチュエータ又は検出手段側に備えられる、コネクタ番号設定手段、判定手段、データ送出手段を、アクチュエータ又は検出手段に接続されるコネクタ(通常用いられる接続手段である。)内に備えることから一転し、単一のアクチュエータ又単一の検出手段に接続されるソケットに挿入されるプラグ内に上記手段を備えるものとなり、このことによりアクチュエータ又は検出手段の設置位置の自由度が向上し、設置位置を最適化でき、利用範囲が広がり、きわめて汎用性に富むものとなり、また、アクチュエータ又は検出手段の選択の幅が広くなるなどの新たな目的・効果を達成するものとなすことから、この訂正事項aに係わる訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものではあるが、訂正前の実用新案登録請求の範囲を実質上拡張し、変更するものと認められる。
したがって、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成11年法律第41号。)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第2項の規定に適合しない。
よって、当該訂正は認められない。
【3】 特許異議申立てについての判断
I.請求項1に係る考案
(1)、本件実用新案登録第2605190号の設定登録時の請求項1に係る考案(以下、「本件考案1」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「アクチュエータとコントローラとの間に接続されるコネクタであって、前記コネクタを特定するコネクタ番号情報が設定されるコネクタ番号設定手段と、前記コントローラから前記アクチュエータを制御する制御信号とともに出力されるコネクタ指定情報が、前記コネクタ番号設定手段に設定されているコネクタ番号情報に一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記コネクタ指定情報が前記コネクタ番号情報に一致したと判定されたとき、接続されている前記アクチュエータに前記制御信号を送出するデータ送出手段と、を備えることを特徴とするコネクタ。」
(2)、当審が通知した取消理由に引用された刊行物2(特開昭59-17076号公報)には、「アクチュエータとコントローラとの間に接続される装置であって、サブコントローラの制御回路を特定する、アドレス番号情報が設定されるアドレス設定回路と、前記コントローラから前記アクチュエータを制御する制御信号とともに出力されるアドレス指定情報が前記アドレス設定回路に設定されているアドレス番号情報に一致するか否かを判定するアドレス一致回路と、前記アドレス一致回路により前記アドレス指定情報が前記アドレス番号情報に一致したと判定されたとき、接続されている前記アクチュエータに前記制御信号を送出するゲート回路と、を備える装置」が記載されている。また、同じく引用された刊行物5(特開平5-134790号公報)には、「送信側と受信側との間に接続されるコネクタにコネクタ番号を付して他のコネクタと区別して接続すること」が記載されている。
(3)、そこで、本件考案1と刊行物2に記載された考案とを比較すると、刊行物2の「アドレス一致回路」、「ゲート回路」は本件考案の「判定手段」、「データ送出手段」に相当するから、両者は「アクチュエータとコントローラとの間に接続される装置であって、接続するための装置を特定する番号情報が設定される、接続するための装置の番号設定手段と、前記コントローラから前記アクチュエータを制御する制御信号とともに出力される接続するための装置の指定情報が、前記接続するための装置の番号設定手段に設定されている接続するための装置の番号情報に一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記接続するための装置の指定情報が前記接続するための装置の番号情報に一致したと判定されたとき、接続されている前記アクチュエータに前記制御信号を送出するデータ送出手段と、を備える接続するための装置。」で一致し、
(イ)「接続するための装置」が本件考案1では「コネクタ」であるのに対し、刊行物2に記載された考案では「サブコントローラの制御回路」である点、
(ロ)接続するための装置の「番号情報」が本件考案1では「コネクタ番号情報」であるのに対し、刊行物2では制御回路の「アドレス番号情報」である点で相違する。
(4)次に、前記相違点について検討する。
相違点(イ)について検討すると、送信側と受信側との間をコネクタにより接続することは周知であり、前記刊行物5にはコネクタにコネクタ番号を付して他のコネクタと区別し、コネクタで接続することが開示されているから、刊行物2に示されるアクチュエータとコントローラとの間に存在する、接続するための装置であるサブコントローラの制御回路(アドレス設定回路、判定手段等を内蔵する)をコネクタとして構成することに格別困難性を要しないものと認められる。
相違点(ロ)について検討すると、刊行物2に示される、接続するための装置の番号情報である、サブコントローラの制御回路のアドレスは、本件考案のコネクタのコネクタ番号と同様に、他の制御回路(本件のコネクタ)を識別し区別するためのものであるから、コネクタ番号を用いることに格別困難性を要しないものと認められる。
したがって、請求項1に記載された考案は前記刊行物2及び5に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
II.請求項2に係わる考案
(1)、本件実用新案登録第2605190号の設定登録時の請求項2に係る考案(以下、「本件考案2」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項2に記載された次のとおりのものである。
「検出手段とコントローラとの間に接続されるコネクタであって、前記コネクタを特定するコネクタ番号情報が設定されるコネクタ番号設定手段と、前記コントローラから出力されるコネクタ指定情報が、前記コネクタ番号設定手段に設定されているコネクタ番号情報に一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記コネクタ指定情報が前記コネクタ番号情報に一致したと判定されたとき、接続されている前記検出手段からの検出出力を前記コントローラに対して送出するデータ送出手段と、を備えることを特徴とするコネクタ。」
(2)、当審が通知した取消理由に引用された刊行物2(特開昭59-17076号公報)には、「端末装置であるアクチュエータとコントローラとの間に接続される装置であって、サブコントローラの制御回路を特定する、アドレス番号情報が設定されるアドレス設定回路と、前記コントローラから前記アクチュエータを制御する制御信号とともに出力されるアドレス指定情報が前記アドレス設定回路に設定されているアドレス番号情報に一致するか否かを判定するアドレス一致回路と、前記アドレス一致回路により前記アドレス指定情報が前記アドレス番号情報に一致したと判定されたとき、接続されている前記アクチュエータに前記制御信号を送出するゲート回路と、を備える装置」が記載されている。また、同じく引用された刊行物3(特開平5-10308号公報)には「検出手段側の信号をコントローラ側に送ること」が記載されている。さらに、同じく引用された刊行物5(特開平5-134790号公報)には、「送信側と受信側との間に接続されるコネクタにコネクタ番号を付して他のコネクタと区別して接続すること」が記載されている。
(3)、そこで、本件考案2と刊行物2に記載された考案とを比較すると、刊行物2の「アドレス一致回路」、「ゲート回路」は本件考案の「判定手段」、「データ送出手段」に相当するから、両者は「端末装置とコントローラとの間に接続される装置であって、前記接続するための装置を特定する番号情報が設定される、接続するための装置の番号設定手段と、前記コントローラから出力される接続するための装置の指定情報が、前記接続するための装置の番号設定手段に設定されている接続するための装置の番号情報に一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記接続するための装置の指定情報が前記接続するための装置の番号情報に一致したと判定されたとき、接続されている前記端末装置と前記コントローラ間でデータを送受する手段を備える装置。」で一致し、
(イ)「接続するための装置」が本件考案2では「コネクタ」であるのに対し、刊行物2に記載された考案では「サブコントローラの制御回路」である点、
(ロ)接続するための装置の「番号情報」が本件考案2では「コネクタ番号情報」であるのに対し、刊行物2では制御回路の「アドレス番号情報」である点、
(ハ)端末装置とコントローラとの送受信が本件考案2では検出手段からコントローラへの検出信号の送出であるのに対し、刊行物2に記載された考案ではコントローラからアクチュエータへの制御信号の送出である点で相違する。
(4)次に、前記相違点について検討する。
相違点(イ)、(ロ)は前記した考案1と同様であるから、本件考案1での検討を引用する。
相違点(ハ)について検討すると、端末装置とコントローラとの信号の送受を刊行物3に記載されたような検出手段側からの検出信号をコントローラ側に送出するものとすることに格別困難性を要しないものと認められる。
したがって、請求項2に記載された考案は前記刊行物2、3及び5に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
III.まとめ
以上のとおり、請求項1及び2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
【4】 むすび
以上のとおり、請求項1及び2に係る考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものであるから、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-11-07 
出願番号 実願平5-39824 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (G06F)
最終処分 取消    
前審関与審査官 竹井 文雄  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 稲葉 和生
植松 伸二
登録日 2000-04-21 
登録番号 実用新案登録第2605190号(U2605190) 
権利者 エスエムシー株式会社
東京都港区新橋1丁目16番4号
考案の名称 コネクタ  
代理人 佐藤 辰彦  
代理人 千葉 剛宏  

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